(㈩*㈩)<実はこの人滅茶苦茶器用。
(・▽・)<そうなんですか?
(㈩*㈩)<一度見た事なら大抵コピーできるし、二度見たなら完コピ。
(㈩*㈩)<だから、料理も上手いし、大抵の武器は使える。
(㈩*㈩)<そして、身体スペックも人間最高峰。
(・▽・)<鳶が鷹を生んだって奴ですか?
(㈩*㈩)<龍かもしれない。
(・▽・)<……わお。
その場にいる人間は全滅させた。
だが、まだこの施設には人がいる。
なので、ユウナは休憩も挟まず、行動を続ける。
『悪人の使い捨て……虚しい人生だね』
『ホゴォ!?』
隈なく施設を回り、中にいる人間を殺して行く。
どう見ても違法なうえ、柄の悪い人ばかりだったので、良心は痛まない、
それが終わったら、先程の場所に戻り、資料を見て、色々確認する。
「そこでここが異世界だってわかったんだ」
何もない状態で放り出されたうえ、知り合いや後ろ盾すらない。
普通の人間だったら、絶望するかもしれない。
だが、生憎と彼女は普通ではない。
「まあどうにかなるでしょう」
それにこう思ったそうだ。
(もしかしたら知り合いがいるかもってね)
そして、金目の物を持ちだし、フラフラしている時にレイリに出会った。
しかも彼女は友達の名前を言っていたからこそ、話しかけた訳だった。
■□■□
「僕は運が良い。ずぅぅううーーっと運がなかったからね」
そう言ったユウナ。
そして、一息入れるためにほうじ茶のおかわりを淹れ飲む。
その説明を聞いて……
「……」
レイリは何も言えなくなった。
この人は殺す事に容赦がない。
敵だからなのかもしれないが……
(どうしてだろう……)
そう思い訊ねる事にする。
「「
クインと言葉が重なる。
お互い顔を見合わせ。
「ええと……クインちゃんからいいよ」
「レイリ先でいい」
お互い遠慮し合う。
するとクインがこう言う。
「悩んでいるんでしょう? だから聞いて見たら?」
「……じゃあわたしからで」
「ん」
ユウナの方を見るレイリ。
「あの……聞いていいでしょうか?」
「何だい? 答えられる事なら答えるよ」
その言葉にレイリは意を決して訊ねる。
「初めて人を殺した時……どう思いました?」
その言葉を聞くとユウナは真顔になる。
ややあって口を開く。
「罪悪感とか諸々で気分が悪かった。戦いの後、かなり吐いたよ」
一拍置いてこう言う。
「今でも人殺しは慣れない」
「ん!」
その言葉に驚いたのはクイン。
「そうは見えない」
「見せないようにしているだけだよ」
そう言って苦笑する。
そしてユウナは続ける。
「確かに人の命は大事だよ。でもね、戦わないと、殺さないと、守れないものがあるんだ」
そう言って手を翳す。
「だから戦る時、殺る時は躊躇ったら駄目だ。その躊躇いで更に人が死ぬんだから」
彼女はそう断言した。
「躊躇ったら、死ぬ……」
その言葉を反芻するレイリ。
それを横目にクインは手を挙げる。
「質問?」
「ん」
「何だい?」
一拍置いてクインは口を開く。
「サクに殺されたんだよね?」
「そうだよ」
「何で殺されたのに感謝しているの?」
クインの素朴な疑問。
「あ……確かに。わたしもそれは気になります」
レイリもこう言った。
それにユウナは少し何かを考えるような仕草をする。
一分程して口を開く。
「話すのはいいけど、全然楽しくない話だよ。それでもいい?」
少しだけ圧を出すユウナ。
だが、二人はそれに怯まず、力強く頷く。
「わかった」
そして、彼女の口から出たのは――あまりにも酷く胸糞悪くなる話だった。
●○
「まず最初に言って置くと、僕はね二回死んだんだ」
「二回目にサクに殺されたんだ。……え? どうしてそんな事になったのか?」
「まず一度目。僕は普通の村で、普通の両親から生まれた」
「それですくすく育って行ったんだけど……」
「問題が発生したんだ。村に盗賊がやって来た」
「そいつらは質が悪くてね、一回来て洗いざらい持って行くじゃなくて……」
「近くに根城を作って、定期的に来て徴収していく感じだったんだ」
「生かさず殺さずって奴。逆らったり、歯向かう奴は殺された」
「もう希望もない日々だった。だからこそ――ボクは立候補したんだ」
「[アイツらを倒してくる]ってさ。ん? 止められなかったのか、だって?」
「うん。というか止める気力もなかったな。親は心配してくれたけど」
「だから隠していたらしい武器とか持たせてくれた」
「そして、ボクは盗賊達の根城に行って……、そいつ等を全滅させた」
「え? 何歳の時か? 確か……八歳くらいだったかな?」
「ん? よく倒せた? 相手が自分を舐め腐っている内に削って行って……」
「後は冥刀を使って。両親が持たせてくれたのって冥刀だったんだよ」
「しかも不可思議叢雅の作品だから、強力さは折り紙つき」
「どうしたの? クインさん。え? 不可思議の作品はハイリスクだろうって?」
「よく知ってるね。とは言えリスクをある程度は調整出来る奴だったから、それを設定して」
「全員殺した。……レイリさん? どうしたの? え? 命乞いとかしてくる奴いなかったかって?」
「……いたよ。でも容赦なく殺っておいた」
「禍根は残せないからね。……まあ戦い終わった後、気分悪くなったけど」
「何度も吐いたし、その日は眠れなかった。色々な考えが頭を巡ってね」
「それでこう思ったんだ。奪った命に意味を持たせようって」
「だからこの世界を良くするために旅に出た」
「え? 道中大丈夫だったのかって? 大丈夫じゃないに決まってるでしょう?」
「数えきれない程襲われたし、危ない時もあった。序盤は死に掛けた事も多かった。」
「でも……そんな風にしていると同士が出来た。仲間が出来た」
「応援してくれる人、感謝してくれる人も出来た」
「本当にあの頃は良かった。楽しかった。でもね、夢はいづれ覚めるものだった」
「あの世界で信者を増やしている教団があってね。そいつらに目を付けられた」
「邪魔な僕を消そうとしたんだ。とは言っても正面からぶつかったら負けるから」
「搦め手を使って来た。仲間を離脱させ、悪評をばら撒いて、濡れ衣着せされた」
「具体的には……え? 言わなくて良い? そう? じゃあどうなったかだけ」
「断頭台で首切られて死んだ。もうひとりぼっちだった時にね」
「[お前の家族を人質にした、出頭するなら命だけは助けてやる]って」
「だから、大人しく捕まった。そしたら動けないようにって手足斬られて」
「そして暴力振るわれ、慰み者にされて、処刑された。裁判もなしにね」
「しかも家族はとっくに死んでいた。死ぬ寸前に首を見せられた」
「本当に酷いよね。あの世界の人間って約束を破る物だと思っているから」
「その後、その死体が教団に利用されたんだ。……今思えばこうする気だったのかも」
「あいつら使い捨ての信者や、冥刀持ちの戦闘員だけじゃなくて」
「そういう死体を利用して戦闘員にしていたし」
「しかも質が悪い事に魂も呼び戻して使うんだ。本当に辛かった」
「……まあ多少は抵抗したけどね。身体操作を応用して弱体化してたし、冥刀はなかったし」
「腱位置をズラして筋出力の抑制して、関節可動域を制限して」
「神経伝達速度を最低レベルまで低下させて、脳神経回路の一部休止させた」
「……まあそれでも僕を倒せる人はいなかったけど」
「それでそんな日々がずっと続くんだって思ってたんだけど……」
「ある時、彼が……サクが現れた。彼が僕を殺して解放してくれた」
「だから感謝しているのさ」
◇◆◇◆
簡略した自身の反省を話し終え、ユウナはお茶のおかわりを淹れようと、急須からお茶を注ごうとするが……
「あれま空だ」
「ん」
それにクインがおかわりを淹れに部屋を出た。
残されたのはユウナとレイリ。
その状況下で
「……あの」
レイリが口を開く。
「ん?」
「何で普通に話せるんですか?」
まず思ったのはこれだった。
それにユウナは肩をすくめて答える。
「過去は過去だからね」
もう既に終わった事。
彼女にはどうしようもない。
それに……
「あの世界じゃもっと酷い事例がありふれていたから」
自分にあった事なんてよくある事。
近い事例、もっと酷い事例なんて腐る程ある。
「……」
納得できるような、できないようなレイリ。
そんな彼女に向けてユウナは訊ねる。
「じゃあ今度は僕の番」
「え?」
「ここまで答えたんだから、僕の質問にも答えてくれるだろう?」
それにレイリは、答えないというのは不義理なのでコクリと頷く。
「まあ身構えなくて良いよ。……もしかしてさ、君は最近、初めて人を殺した?」
「! ……はい。わかりますか?」
「なんとなくね」
モンセラートやコジュウロウの二人に至っては、殺しまくっているため相手の人数すらなんとなくは把握出来る。
凄いな、とレイリが思っていると。
「まあ、君は大丈夫だよ」
ユウナは告げる。
「え」
「君は人を殺した事、分かり合えそうだった人を殺して,、気に病んでいるのもあるけど」
一拍置いて告げる。
「殺した時に、快楽を感じたんでしょう?」
「!!」
「だから自分も快楽殺人鬼に堕ちるじゃないかって思っていたのでしょう?」
その言葉にレイリは表情を凍り付かせた。
暫くして……重い口を開く。
「そこまでわかっちゃうんですね」
「旅をしていると色々な人を見るからね」
その言葉を聞いてレイリは躊躇ながらも口を開く。
「わたしはあの時、快楽を感じたんです。しかもまた味わいたいって思ったんです」
「でも積極的に殺したいとは思っていないでしょう?」
「それは……そうですけど」
「なら大丈夫さ」
即答するユウナ。
「上手くその衝動と付き合っていけば良いんだ」
でも……と更に彼女は続ける。
「我慢し過ぎは体に良くないから適度に発散させる事。いいね?」
「でも……」
「でももへちまもない。我慢し過ぎるととんでもない事になるんだから」
その言葉には実感が籠っていた。
そんな会話をしていると、クインがおかわりのお茶を淹れて戻って来た。
「ん」
「ありがとね」
「ありがとうクインちゃん」
そして三人でお茶を飲む中、レイリはクインに話しかける。
「クインちゃん」
「ん?」
「色々心配かけてごめんね」
「……もう大丈夫なの?」
クインの問いかけにレイリは頷く。
「うん。完全じゃないけど」
「ん。なら良かった」
(……色々な人に心配かけちゃったな)
そう思いながら時計を見てみると……
「あ」
もう時間は午後八時近く。
レイリの家に門限はないが、それでも結構遅いので、立ち上がる。
「ゴメン、こんな遅くまで。もう帰るね」
「じゃあ僕もお暇しようかな」
ユウナも釣られて立ち上がる中、
「んん」
クインが声を掛けて来る。
「今日は泊まって行ったら?」
「「え」」
「もう遅い。それに」
クインの視線はユウナを捉える。
「アナタ家ないでしょう?」
「宿探そうかなって。最悪野宿でも平気だし」
旅をしていたため、サバイバルは得意なユウナ。
レイリの方も。
「流石に悪いから……。家も近いし大丈夫」
そんな二人にクインは少し嘆息して言う。
「別にいいから。今日は泊っていく」
「「……」」
「返事」
「「はい!」」
そういう訳でレイリとユウナはお泊りと相成った。
レイリは親に電話をする中、ユウナは特に何もしない中、
「ん」
「何?」
「服ないの?」
「ないね」
着の身着のまま出て来たうえ、死体から服を剥ぎ取るのもアレだった。
そんな彼女にクインは少し考えた後、
「何か貸す」
「何から何までありがたいけど……」
クインを上から下まで見てユウナ告げる。
「サイズ……平気かな?」
「……」
クインは結構小柄な方。
それに対しユウナの(今の)体と比べ十センチ程違う。
それにクインは
「なら裸でいるといい」
「わー!? ごめんごめん」
因みに、クインの私服、部屋着、寝間着はダボダボした物は多かったので、レイリにも着れた。
******
そして翌日。
朝餉の匂いで眼を覚ますクイン。
「ん? ん~、ん」
寝ぼけ眼で何があったを思い出す。
そして自室を出て、キッチンへ向かうとそこには一人の女性が料理をしていた。
「あ、おはよう」
「ん」
「朝御飯作ってるよ。勝手にゴメンね」
「ん」
気にするなという風にクインは首を横に振る。
「なら良かった。そういえばレイリは一度帰るって」
「ん」
そうして二人は出来た朝食を食べ始めた。
【TIPS:異世界の歴史】
(・▽・)<丁度良い機会だから、やりましょう。
(#ー#)<ええと確か……変わった経緯はこっちと同じだったよな?
(・▽・)<怪物の襲来がきっかけですね。
(・▽・)<でも、そちらと違い備えが出来ていなかったので、かなり追い込まれました。
(・▽・)<そして……、反撃の手として
(㈩*㈩)<冥刀が開発された。
(#ー#)<急に出た!? まあ当事者だしいいのか。
(㈩*㈩)<それで怪物は掃討出来たけど、次に人間同士の争いとなった。
(・▽・)<叢雅一門全滅は怪物襲来の二十年後くらい。
(・▽・)<その更に三十年後にユ……勇者が活動しました。
(・▽・)<そして、五十年後にヤク事件でトドメが刺されました。
(#ー#)<百年で滅んだのか……。
(㈩*㈩)<百年頑張った……と言えるかな。無理か。