(㈩*㈩)<前も説明した見える強さ、見えない強さ。
(㈩*㈩)<ユウナは前者のタイプ。なんだけど、あまりに大きすぎて強く見えない。
(・▽・)<サクとは別の意味で突っかかる人が多いんですね。
(㈩*㈩)<うん。彼女の場合、一流の戦闘者がヤバイって気づくくらいだから。
(㈩*㈩)<カナタの場合、秘咒のせいでヤバイように見えた。
学校の近くだったうえ、武器を抜く人が出てしまったので、教師まで駆けつけて来た。
「何の騒ぎだい?」
「どうしたの~?」
やって来たのは武闘派二人。
イオリとキョウコ。
武器を持った三人を見て、二人揃って溜息を吐いた。
そして、キョウコはこう言う。
「やっぱり~、キミ達か~」
「私を含めないでください!?」
イヌコが叫ぶが、それは全員がスルーする。
「ところで~、何かあったの~?」
聞いて来たキョウコに、その場の全員が事情を説明する。
それを聞き、ユウナに視線を向ける二人。
(……これ、本当に人間?)
(次元が違うね~)
この二人はユウナの強さに感づいていた。
とは言え、戦闘態勢ではないので、そこまで警戒はしていなかったが。
「サクヅキくんに会いに来た訳ね~」
「はい。後、彼の友人にも会いたいなと」
実はユウナはオウカの友達や仲間と面識がない。
あの時の彼はモンセラートの手伝いをしていた頃なのだが、彼女とは別行動をしていた。
そんな彼女の言葉に、二人の表情は芳しくない。
「本人の確認が取れないと流石に入校させる訳には行かないね」
「ただでさえ、今日は来るかわからないのに~」
「「え!?」」
キョウコの聞き捨てならない言葉に、全員の視線が彼女を向く。
……イオリも知らなかったらしい。
「ああ、そっか~。実は彼、今日は用事があってね~、来れるかわからないって~」
「あ! もしかして……」
カナタには心当たりがあった。
なので。
「あの輪の件ですか?」
ヤクやシャブと言わず、ぼかして訊ねる。
それにキョウコは頷く。
「そうだよ~」
((輪? 何の話?))
疑問に思う一同。
ジンナが代表して訊ねる。
「何があったのですか?」
「まあ色々とね~」
流石に言えないので曖昧に言う。
「じゃあ、ユウナさんをどうするのですか?」
「スニーキングミッションや潜むのは得意だよ」
「「だからやるな!?」」
全員がツッコミを入れる。
そんな中、キョウコがある事を思い出す。
「あ。なら彼女を呼ぼう」
「「彼女?」」
「ほら、サクヅキくんの友達」
「「ああ!」」
ジンナとカナタが思い出した。
それは……
「マリアさん!」
「誰?」
唯一この場で知らないイヌコが疑問符を浮かべる中、カナタとジンナがふと思い出す。
(でも確かサクの友達と仲間って出会った時期がバラバラだったような……)
(面識ある人少ないよね? 大丈夫かな?)
杞憂で済めば良いと思った二人だった。
******
その日、マリアは早朝……どころか、深夜に目が覚めた。
マリアは修道女らしく規則正しい生活を送っている。
流石に早いので、もう一度寝ようと思ったのだが……
「……眠れません」
しょうがないので、もう起きてしまう事にする。
(眠くなったら、昼寝でもしましょうか)
そんな事を思いながら、ベッドから起き上がり、トレーニングウェア――実はオウカの御下がり――を着る。
……実はマリア、寝る時は全裸派。流石に野宿の時はしないが。
そして、日課である正拳突きをおこなう。
普段は一万回おこなうが、今日はそれ以上やる事にする、
「ハッ! ハッ! ハッ! ハッ!」
日が昇り、早朝から朝となる。
それでも彼女は正拳突きを続けていると、小さな鳥が彼女の肩に止まる。
「この連絡方法は……キョウコさんですね」
鳥を手に取ると手紙に変わる。
そこには学校に来てくれ、とあった。
しかも転移用の使い捨ての呪符まで同封されている。
「? 何でしょうね」
疑問に思いながら、マリアは一旦中に入り、改造修道服に着替え、呪符を発動させ、その場から消えた。
******
そしてわちゃわちゃしている学校前にマリアが現れる。
「「マリアさん!」」
「皆さんおはようございます」
挨拶してきた顔見知りに一礼するマリア。
一方、
「……誰なの? この人?」
彼女を知らないイヌコが首を捻る。
それにレイリが説明する。
「実習の時に引率してくれた人。先輩の友達だって」
「どおりで……」
奇抜な恰好をしている訳だと納得するイヌコ。
胸元と太腿が丸出しの修道服なうえ、スタイルは良いので、やはり目立つ。
そんなマリアはキョウコに訊ねる。
「それでワタクシに何の用でしょう?」
「実はね~そっち出身のサクヅキクンの知り合いが来ててね~」
「そうなのですか……」
マリアが視線をユウナに向ける。
ユウナもそれに応じる。
視線が交差。
(知らない人。誰かはわかりませんが、かなり強い)
(凄いね。肉体が人間範疇にない)
互いを分析する。
そして歩み寄り自己紹介する。
「初めまして。マリアと申します」
「こちらこそ。僕は――ユウナだ」
その名前にマリアの目が見開かれる。
「まさか……勇者?」
「「勇者?」」
「……まあそう呼ばれた事もあるね」
肯定したユウナ。
それにマリアは沈黙していたが……
「そう……ですか」
目を伏せた。
そして。
「お前がかぁぁああーー!!」
咆哮を上げてユウナを殴り飛ばした!
それに全員がギョッとする。
マリアを知らない人にとっては、いきなり人を殴り飛ばしたようにしか見えない。
「ま、マリアさん? いきなり何を?」
キョウコが驚く。
驚きのあまり、いつもの口調がなくなり、糸目が見開かれている。
知っている人にとっても、いつも穏やかなマリアが凄まじい激情を見せ、人を殴りつけたのだから。
だが、マリアはそれに答えない。
少しは落ち着いたようだが、険しい顔でユウナの方を見ている。
すると……
「驚いた……」
声が聞こえて来た。
すると倒れていたユウナが起き上がり、体に付いた砂や埃を払いながら、こちらに歩み寄る。
その足に乱れはなく、表立ったダメージはなさそう。
「凄い一撃。金剛石すら砕けそう」
「よく言いますね。受け流した癖に」
マリアにはわかっていた。
殴った瞬間、芯をズラされたうえ、片腕を体の間に挟みダメージを抑え、自分から吹っ飛んでいた。
それにユウナはひらひらと手を振って言う。
「いやいや、全部は受け流せなかった」
実はユウナ、結構ダメージを貰ってしまった。
しかも……
(胴体に直撃してたら、内臓イカレてたな)
盾代わりにした右腕が動かない。完全に受け流せなかったのだ。
「あのゴミ溜めに居ただけはあるね」
そう呟くとマリアが恵心した顔になって告げる。
「ゴミ溜めとは良い表現ですね。ワタクシも使いましょう」
その言葉からは、自分の世界に対する愛着が感じられなかった。
それにユウナは察する。
「ああ……、君も酷い目にあった口か」
「ええ」
返事をしてからマリアは答える。
「孤児院を人質に、娼館に叩き売られ、女としての幸せを奪われました」
しかも孤児院は自分が売られた日に、皆殺しで大炎上です、と続ける。
それに誰も何も言えなくなる中、ユウナは口を開く
「そっか。僕は……」
「あ、知っています」
彼女の言葉を遮り言う。
「仲間に裏切られ、達磨にされて、犯されて、処刑されたんですよね」
全員の視線が集中するが、それにユウナは気にする事もなく微笑んでる。
「そうだよ。もしかして……色々伝わっている?」
「はい。あの時代の人間なら皆知っています」
「いや~、恥ずかしいね」
そう言って顔を少し染めるユウナだが、どう見てもワザよやっているようにしか見えない。
「やっぱり強姦されるって辛いよね」
「ええ」
((なんでそんな事平然と言えるの……?))
その会話を聞いた女子達が唖然とした。
ユウナが口を開く。
「ところでさ、聞いても良い?」
「構いませんよ」
表面上は穏やかなマリア。
だが、余程鈍い人でない限りわかる。
これはいつ爆発するかわからない爆弾。
だが、その爆弾を平然と触れる者はいる。
「いきなり殴って来たのって、僕に恨みがあるから?」
ユウナの問いにマリアは平然と頷く。
「ええ」
幸い爆弾はまだ爆発しない。
「アナタが世界を救えなかったから」
しかも良い所まで行ったのに
「後世の人、皆が皆、苦しみ続けたのですから」
しくじったせいで、世界は更に酷い事になったのだから。
その時だった。
「おかしいですよ! それ!」
「こら! レイリ!」
「だって、それはユウナさんが何かした訳じゃない!」
「ん」
レイリが叫ぶ。
イヌコが止めようとするが、それを振り払う。
その言葉に、マリアとユウナの視線が彼女に向く。
……クインがさりげなく庇うように、二人の前に出て同意する。
「ユウナさんは、良くしようと努力したんでしょう? だったら攻められるいわれはないはずです!」
その言葉にユウナは少しだけ驚いたような顔をしてから、穏やかな表情を浮かべる。
一方、マリアはその言葉に――頷く。
「ええ。そうですね」
「!」
「……わかっているの?」
クインが思わず口を開いてしまった。
それにマリアは再び頷く。
「はい。だから八つ当たりです」
平然と威張れない事をマリアは言った。
それに、
(やっぱりサクヅキクンの友人だ……)
(ソルさんもそうだったけど、どこかズレてる)
(何か悲しい人……)
キョウコ、カナタ、ジンナの三人はこう思った。
そしてマリアは続ける。
「とは言え一発では収まりませんので」
彼女の右腕の周りの空間が揺らめく。
「今からアナタを殺しにかかりますので……」
巨大なパイルバンカーが装着される。
「抵抗してください」
抜錨と同時、マリアの圧が膨れ上がる。
並みの戦闘者でも怯む圧だが、ユウナは動じず笑う。
「へえ……。やりそうだね」
それに腰に挿していた大振りの鉈を引き抜いた。
彼女は知らない事だが、この鉈、仮想敵がモンスターやプレイヤーなので、そういう敵にも有効打を与えられるうえ、かなり頑丈。
そして武器を展開した二人は――
「死んだらすいません」
「死なないから安心してかかってきな」
激突した。
●○
「どうしたのネラ? 聞きたい事でもあるの?」
「え? この世界とあの世界の違いが知りたい?」
「どうしてあそこまで酷い事になったのか?」
「……何度か言ったけど、変貌したきっかけはこっちもそっちも同じ」
「
「……まあここは事前にわかっていたから、準備が出来ていた」
「だから被害を抑えられた。え? 被害は出てる? ……少ない方だと思う」
「あっちは事前にわからなかった。しかもこっちと違って対抗する人もいない」
「……まあ今思えば、居たかもしれないけど、少なかったのかもね」
「そうして人口と国土を失う中、
「おかげでこっちは未だに完全には収まっていないけど、あっちは駆逐出来た」
「……今思えばそれが不味かったのかもしれなかったけど」
「そうして今度は人同士の争いとなった。抗争に戦争。呆れるよね、本当に」
「え? こちらもある? 大規模なのはやる暇がないじゃない。だからマシ」
「そうして弱い者は死んで、強い者しか残らない。花より拳、理性より本能、人より獣」
「弱肉強食だね。寧ろ……蟲毒かな? え? どっちも最終的には同じ?」
「そうだね。だから、戦闘者の平均値がこっちより圧倒的に高い」
「うん? 対
「対
「そんな事ないよ。さっきも言ったけど、人外もいたよ」
「異常進化した生物、暴走した兵器、怪物になったり、させたり」
「ネラが使ってる機体だってあるから。……納得したようで何より」
「じゃあ話を戻す。長く活動出来ている戦闘者は」
「何かしらの武器を持っている。ああ、冥刀って意味じゃないよ?」
「この世界風に言うなら、何かしらの能力・体質・術技を持っていた」
「例えば、ソルドアット。アレは勘が鋭い」
「本人曰く、選択問題を間違えた事ないって」
「そして、マリアはあの体質。常人以上の筋肉と骨を持っている」
「しかも燃費まで良いし、鍛えれば鍛える程凄まじい事になる」
「それと……。ねえネラ。あなたから見てあの二人はどう見えた?」
「多少変わった人だとは思うけど、そこまで狂ってはいないって思うでしょう?」
「そんな事ない。あの二人だって狂っている。ただそれを上手く隠しているだけ」
「ソルドアットはサクとの戦いで出し切ったけど、マリアが問題」
「アレはアレで色々秘めている」
「いずれわかる。きっと。彼女があの世界の出身だってわかるよ」
【TIPS:オウカの友達・仲間】
(・▽・)<これ何度か述べられてますけど、誤解する人もいると思うので、改めて。
(・▽・)<実は全員集合した事は一度たりともない。面識ない人も結構多い。
(#ー#)<……性格的に集合は無理じゃないか、って奴もいるしな。
(・▽・)<確かにコジュウロウさん、ソルドアットさん、リリアーヌさんはそうですね。
(#ー#)<……(お前もだろう)。
(㈩*㈩)<時期は大体四つに分けられる。
(㈩*㈩)<【オートクレール】との珍道中が前期。
(㈩*㈩)<彼女を倒すための旅が中期。
(㈩*㈩)<倒し終わった後の、穏やかな(?)時間が後期。
(㈩*㈩)<神ノ刃との決戦が終期。
(㈩*㈩)<時期が短い人が多いけど、跨っている人もいるにはいる。
(㈩*㈩)<特にソルドアット、ディアン、ヴィーの三人は結構長め。
(・▽・)<私は中期だけですね。復讐者二人はも一期だけです。
(#ー#)<修道女と勇者は?
(・▽・)<前者は後期と終期、勇者は中期です。
(・▽・)<明日も更新です♪ お楽しみに