(㈩*㈩)<忘れている人もいるかもしれないから、おさらい。それと捕捉。
(㈩*㈩)<釘型の冥刀で、マリアが使っていたけど、腕遺して行方不明になった際
(㈩*㈩)<サクが使う事になり、最終決戦で無くなり、その後は残滓を使っていた。
(・▽・)<あの塵屑が奪ったんですよね?
(㈩*㈩)<そ。だけど本来の持ち主が現れたせいで、そちらに戻った。
(#ー#)<これ本来あり得ないんだよな。なんでこうなったんだ?
(㈩*㈩)<う~ん、使い手との繋がりが強かったからか、
(㈩*㈩)<サクの所へは戻れないから、あっちへって言う感じかも。
そうして、ようやく【メルヴェイユーズ】が能力を解放し、第三ラウンドが始まるはず……だった。
「「はい、そこまで」」
ユウナとマリアの周囲に二種類の呪符――長方形とメンコの折紙――が大量に展開。そこから鎖が飛び出し二人を拘束する。カナタとキョウコの二人掛かりで準備した物だった。
更にその二人を押しとどめるように、ユウナの方へはレイリとクイン、マリアの方へはジンナとイオリが行き己の得物を突きつける。
……武闘派ではないイヌコだけは見守っていたが、その心中は穏やかではない。
(み、皆大丈夫かしら……)
そんな事を思っていた。
「もうやめてください……ユウナさん」
「ん」
レイリとイヌコがユウナへ向けて声を掛ける。
「これ以上戦ったら死んじゃいます」
「ん」
「この程度掠り傷だよ」
そんな事はない。
外もボロボロだが、中もズタボロだった。
そして、マリアの方もイオリとジンナが説得している。
「八つ当たりは十分でしょう? 止まって」
「これ以上やるなら、警察や警備員を呼ぶ事になるよ?」
「構いません。蹴散らすだけです」
やめて欲しい。
しかも実際にやれるだけの実力がある。
とは言え、これ以上続けたら、どちらが死ぬだろう。
それに……
(まあこっちも八つ当たりは済んだからね)
実はこの戦い、ユウナにとっても八つ当たりを兼ねていた。
元々、過去の経験から宗教団体が大嫌いなユウナ。
僧侶、巫女、神父、修道女などの聖職者は見ただけで殺したくなる。
……まあ、彼女の場合、普通の聖職者はまともと言う事を知っているので、実際に見ても、殺そうとしないので、まだ理性がある方である。
だからこそ、レイピアを降ろしてマリアを見て告げる。
「どう? まだ戦る? それともやめる? 僕としてはここまででいいけど……」
「……」
それにマリアは沈黙。
そして、考える。
(最初の一発で目的は果たしましたし、これ以上はサク様の迷惑になるかもしれません)
もうなっている。
(それに結構傷は負わせられましたし……、ここまでにしておきましょうか)
そう結論付けた。
なので両腕に付けられたパイルバンカーを武装解除し、亜空間に収納。
「……ええ。良いでしょう」
「それを聞いて安心したよ」
そう言ってユウナは降ろしたレイピアを鞘に納め、腰に佩刀した。
◇◆◇◆
高校の昼休憩が終わり、予冷がなり、後少しで午後の授業が始まるタイミングで、教室に滑り込む人影があった。
「遅れました……」
サクヅキ=オウカだった。
そんな彼に全員の視線が向く。
[視線、向感]
[サク、何をした?]
[……何もしていないと思うけど]
相棒達とそう念話しながら、自分の席に座る。
そして、近くのジンナに挨拶。
「おはよ」
「もう昼だよ」
「じゃあ……こんにちは」
そんな彼にジンナが溜息を吐きながら言う。
「大変だったんだよ?」
「何が起きたの?」
その問いに、答えようとしたジンナだったが、丁度そのタイミングで教師がやって来たので……
「サク君の友達が暴れた」
これだけ言った。
それにオウカは眼を向いた後、コソコソとジンナにこう言う。
「……後で詳しい話宜しく」
「当事者に聞いてね」
「当事者……?」
首を捻ったオウカ。
(誰だろう? マリアかな? でもアイツそこまで好戦的じゃないよな?)
そんな事を頭の片隅で考えながら、授業を受けたオウカだった。
……
…………
………………
そして午後の授業が終わり放課後。
オウカとジンナは当事者がいる教室に向かっていた。
その道中、何があったのかを
「……マリアが襲い掛かったって、マジか」
「やっぱり珍しい事なの?」
「ああ。アイツは根は優しくて穏やかだからな」
余程の事がない限り、暴れるどころか、怒る事も少ない。
「……まあ完全にキレるとヤバイんだけどね」
だが、完全にブチ切れたり、自棄になると怖い。
現に昔は全人類全滅をおこなおうとした程。
「でもさ、その相手って誰なの?」
「……サク君も知っている人」
「?」
その言い方に疑問符を浮かべるオウカだった。
▼▽▼
実はオウカは誰とマリアが戦ったのか聞いていない。
それは本人――ユウナからこう言われたのだ。
『僕が来たって事は内緒にしてくれない? サプライズにしたいんだ』
『ん?』
クインの疑問にユウナは少し笑う。
『君達には言ったけど、僕と彼の付き合いは短いんだ』
『そういえば、一時間もないって言ってましたね』
『『そんな短いの!?』』
それだったら忘れている可能性もあるんじゃないかと、何人かが思う。
『それに見た目も変わっちゃったからね』
『ん~』
大丈夫なの、と訊ねるクインにユウナは笑ってこう言う。
『だから試したい事があるんだ。だから僕が誰かは言わないでね』
その言葉を彼彼女らは守ったのだ。
◇◆◇◆
そういう訳で、マリアとその対戦相手がいるという部屋まで来たオウカ。
「……(誰がいるんだろう)」
少し部屋で立ち尽くしていると……
「入室」
「入ったら?」
「別に誰かわからなくても、怒らないと思うよ」
三人からそう言われ、オウカは
(女は度胸、男も度胸!)
部屋へ入った。
そこは応接室であり、対面ソファに二人の人間が座っていた。
「サク様、こんにちは」
一方にはマリア。
いつのも改造修道服の恰好なのだが、斬られたり、刺されたりした後なのか、露出度が上がっている。
「おう……」
若干目に毒なので視線を逸らし、もう一方の人物に目を移す。
「フフフ」
もう一方には知らない人物。……少なくとも見た目は。
まるで人形のような、もしくは作られたような美貌の、色素の薄い肌、眼、髪をした女性。服装は学校のジャージ。
(誰だ?)
首を捻る中、聞こえて来たのは……
「嘘でしょう……」
マユの絶句したような声。
元々、あまり表情を変えず、感情を表に出さない彼女としては珍しい。
「なんであなたがここに!?」
「へえ、僕が誰かわかるの? 見た目は面影ないのに……」
そういう女性にマユは冷静さを取り戻しこう言う。
「
「道理だね」
「なあマユ。誰なんだ?」
オウカはマユに訊ねた。
「引っかかりがあるんだけど……」
「それh」
マユが答えを言うのを遮るように、女性は一気にオウカの近くに来る。
「!(殺気と敵意がなかったせいで気づけなかった……)」
「わからないか……。まあしょうがないね」
そうして自然な動作でオウカに顔を寄せ……
「思い出させてあげる」
唇に唇で触れた。
「「……」」
それに部屋にいた一同沈黙。
何が起こったのかわかっていない顔。
その時だった。
「遅れました~。あ、ワンコちゃんは用事があるそうです」
「ん」
「どうなったの?」
レイリ、クイン、カナタが入室して来た。
そして、オウカと女性のキスを見た三人は……
「「……」」
こちらも沈黙。
それを良いに女性は……
「ん……」
舌をオウカの口内に入れる。
それにオウカも絶句して、なすがままになっていたが……
(この感触……まさか!)
どうにか再起動し女性の肩を掴んで離し
「ぷは」
「お前……ユウナか!?」
そう言った。
それに女性は満面の笑みを浮かべて言う。
「ああそうだよ。覚えてくれていて、思い出してくれて嬉しいよ」
そうしてまたキスをした。
それに真っ先に起動し噴火したのは……
「「何をしているんですか!」」
カナタとマリアだった。
そのまま二人を引き離す。
それにユウナは悪びれる事なく告げる。
「え? 再会のキス」
「それに怒っているんです!」
「恋人でもないのにそんな事しないでください!」
その言葉に他の面々も再起動し始める。
「す、凄いもの見ちゃった……」
「んん……」
「ボク、キス見たの初めて……」
レイリ、クイン、ジンナがコメント。
一方、オウカはと言えば……
「サク、隙見せすぎ」
「いやだって悪意も殺気もないし」
「言い訳しない! わたしもした事ないのに……」
「接吻、
「救命行為でしょう?」
「……」
マユとネラに言い寄られていた。
そんなわちゃわちゃした騒ぎが暫く続いた。
………………
…………
……
そうした騒ぎはキョウコが用事を終えてやってくるまで続いた。
「皆~、落ち着いた~?」
「「はい……」」
全員がソファか、他の教室に持って来た椅子に座っている。
そして、キョウコが折紙式神に持ってこさせたお茶が、全員に行き渡ったタイミングでオウカの方を向く
「サクヅキクン~」
「はい」
「あの件はどうなった?」
そして訊ねる。
それにオウカは苦虫を嚙み潰したような顔になる。
「……」
そして、沈黙。
彼に付き添っていたネラとマユも
「……」
「……」
「「……」」
何も言わない。
これを見たキョウコは悟る。
(あ~、これ確実に~、面倒な事になったな~)
とは言えいつまでも黙っている訳には行かないので。
「サクヅキクン」
「「!」」
間延び口調を止め、糸目を開眼させたキョウコは呼びかける。
それに複数人がぎょっとする。
暫くして、オウカはこめかみを揉んでから口を開く。
「予想を遥かに超える規模で面倒な事になりました」
「「何の話?」」
それにこの部屋にいる大多数の面々が疑問に思う中、カナタが説明する。
「簡単に言うとね……」
それを聞いた全員の顔が歪む。
マリアとユウナ――あの麻薬の出所の世界出身者は無表情だが、色々思う所があるよう。
「ワタクシがいなくなった後に、そんな事が……」
「……なるほど。それで文明維持が不可能になったのか」
その二人を心配そうに見ていたクインがオウカに話しかける。
「ん」
「協力してくれるのは嬉しい。でも……」
「?」
オウカはお茶の残りを飲み干し、こう言う。
「今回の件、あちらこちらに波及してエライ事になりそうなんだ」
△▲△
時間は戻り、本来なら高校で授業を受ける時間。
オウカの姿はとあるビルの一室にあった。
今回の発起人がレンタル会議室を借りたので、そこにいる訳である。
「わざわざ借りたんですね」
「廃倉庫とか、廃屋でも良かったんじゃないの?」
マユもそうコメント。
人形態を取り、動画投稿の際に被っているお面を被りオウカの傍にいる。
因みにネラも来ており、機械アリの姿でオウカの肩に止まっている。
二人の言葉に答えるのは……
「今回あちらこちらから来るからね。流石そういう所じゃ不味いんだよ」
警察官であるモモタ。
彼が今回の話し合いの発起人だった。
オウカは前日にモモタから連絡を受け、ここに来た訳だった。
「あちこち……ですか? もしかして……極道とか?」
そう言ったタイミングで扉が開く。
視線を向けると、そこにいたのはスーツの男。
「邪魔するぜ」
そしてモモタへ訊ねる。
「アンタがモモタさんか」
「そういう君はオノヅカクンだよね?」
「君付けはやめてくれ」
苦笑する男はオウカとマユに目を移す。
「この二人も関係者か?」
「ああ。そうだよ」
そう言ってモモタはスーツの男を紹介する事にする。
「カレはオノヅカ=ケンヤ。≪羽王組≫の幹部にして、武闘派だ」
「極道……」
マユが思わず呟いてしまう。
そして、モモタに聞く。
「良いの? 警察と暴力団が関わるなんて……」
「マル暴なんかは関わりがあったりするよ。蛇の道は蛇だから」
何でも知り合いの刑事に紹介して貰ったそうだ。
「それに≪羽王組≫は仁義と任侠の昔ながらの極道だから」
「もしかしてあの薬の件で?」
「ああ」
マユの疑問に、オノヅカが首肯。
「ウチの組はヤクはご法度だからな」
「使うのだけじゃなくて、売るのも?」
「ああ。アレは人を壊すだけだからな」
最近、≪羽王組≫の
「今回はその件で色々話を聞けそうだからな。代表して来た訳だ」
そう言って一服セット――煙草、ライター、煙を吸い込む小型の機械――を出して喫煙しようとしたが、
「ここ禁煙」
「……悪い」
禁煙だったので、煙草を仕舞う。
そんな彼にオウカはこう言う。
「喫煙者には厳しい世界になりましたよね」
「わかるか?」
「知り合いが喫煙者だったので」
オウカが思い出したのはお嬢様ベアトリクス。
アレは日光に弱いのに日中に出歩き、煙草は身体に悪いと知っていたのに普通に喫煙していた。
【コソコソ話】
(#ー#)<……。なあ、コイツってもしかして経験豊富?
(・▽・)<豊富って訳でもないですよ? 多少ある程度。
(㈩*㈩)<どこかの百合女のせいでね。因みにちょっとネタバレだけど
(㈩*㈩)<接吻した相手は、性交した相手より多い。
(㈩*㈩)<そして、勇者は死ぬ前にキスしてるから。
(・▽・)<三日連続更新をします。明日もお楽しみに♪