(・▽・)<ポンコツお嬢様アンジェリカ。実はかなり奔放。アグレッシブ。
(・▽・)<酒も嗜むし、煙草も大好き。しかも太陽光に弱いのに日中に出歩く。
(・▽・)<だから内も外もボロボロ。
(#ー#)<メイドは止めなかったのか?
(・▽・)<止めたけど、聞かなかった。それに事情が事情だから強く止められなかった。
(#ー#)<? どういう事だ?
(・▽・)<それは追々やります。
そんな事をオウカが思い返していると、マユがモモタに訊ねる。
「他にもまだ来るの?」
「ああ。今回の麻薬の件、あちらこちらに飛び火したんだ」
「「え」」
聞き捨てならない言葉。
思わずオウカとマユは変な声を出す。
どういう事は問いただそうとした時だった。
それはノックの音。
そして
「失礼する」
誰かが入室して来た。
そこにいたのは女性。
剣道や合気道で使うような袴付の道着を着て、様々な色にメッシュを入れた深い緑髪の毛をつむじで束ねている。
その女性にモモタが挨拶する。
「久しぶり。アズミさん」
「ナオか……。いつ以来だ?」
「半年ぶりだね」
「そういえばそうだな」
女性の視線がオウカ達へと向く。
「それで? カレらの紹介はしてくれないの?」
「全員揃ったらやろうと思ってる」
モモタの返答にオウカは訊ねる。
「まだ来るんですか?」
「ああ。来r」
最後まで言えなかった。
「邪魔するぜ」
扉が乱暴に開けられ入って来たのは一人の男。
サングラスをした柄の悪そうな男。
キョロキョロと中を見渡し、モモタの方を向く。
「アンタがモモタか」
「ああ。キミがもしかして――
その言葉にマユ以外――この世界出身者が男を見る。
蟲灼晃而家。
三奇拳の一つ――バグズ界蟲拳を受け継ぐ戦闘集団の一族。
表でも裏でもその恐ろしさは知られている。
モモタの確認に男は頷く。
「ああ」
「他は?」
「オレは連携とか無理だからな。一人が良いつった」
威張れる事ではない。
それにオウカは不安に思う中、男の視線がオウカへ向く。
「なんだこのガキ共? 今回の関係者なのか?」
「ああそうだ」
答えたのはモモタ。
「モロに関わっているらしくてね」
「ふ~ん。ところでこれで全員か?」
「後一人来る」
そう言った時だった。
「もう来てるよ」
「「!?」」
その声に全員が声の方へ向く。
会議室の隅の椅子に一人の性別不詳が腰かけていた。
白黒の髪の毛、白黒のオッドアイ、白黒の服が特徴的。
この人物をオウカは、オノヅカは知っている。
「「
「やあ旦那達」
「久しぶりです」
「こっちはこの間会ったばっかだな」
手を挙げて挨拶するシロ。
それに道着の女と、柄の悪い男も反応。
「ほう……」
「コイツがね……」
女と男は顔は知らなかったようだが、存在は知っていたようだ。
そしてそれは……
「こちらも光栄だよ。まさか百獣寺の“
シロも同じだった。
「「ッ!?」」
言い当てられた二人が警戒する。
そこへモモタが手を合わせ音を鳴らす。
「はい。とりあえず全員集まった所で話を始めよう」
平日だから用事がある人もいるだろうし、と付け加える。
その言葉に異論はないのか、全員席に付く。
そして、モモタが話を始める。
「じゃあボクが進行させて貰う。今回集まって貰ったのは……」
言葉を切り、懐から出したのは透明な袋に入れられた輪状の錠剤。
「このクスリ……【エンジェルハイロゥ】と、それに付随して発生した諸々についての話だ」
そこまで言ったタイミングで全員を見渡し告げる。
「と、その前に自己紹介をして貰おう。知らない面々もいるし」
そういう訳で自己紹介が始まる。
「じゃあ言い出しっぺから。ボクはモモタ=ナオ。刑事をしている」
そして、次に口を開いたのは――道着の女性。
「アーシはイサカ=アズミ。一応霊獣拳士」
その言葉にモモタがツッコミを入れる。
「一応って……。霊獣と契約出来ているんだから、正式な拳士でしょう」
((!))
それに内心で驚くオウカとネラ。
念話で会話し合う。
[つまりは……皆伝以上]
[心技、体極]
百獣寺の修行は厳しい。
そのうえ、とある事件以来、幾ら強かろうが、幾ら才能があろうが、心が歪んでいる場合、霊獣と契約は出来ない。
それを成したと言う事は、少なくとも悪人ではないという事だろう。
その言葉に反応したのは蟲灼晃而一族の男。
「へえ……。そんなに強いのか?」
ゆっくりと立ち上がる。
そして
「オレはエンバだ」
自己紹介をする。
それと同時彼の体からオーラが立ち昇り形を作る。
その形は蜻蛉。正確には鬼蜻蜓。
翅を震わせ顎を鳴らす。
それに対抗するかのようにアズミの体からもオーラが立ち昇り形を作る。
その形は孔雀。
飾り羽を扇状に開き威嚇する。
「やるのか?」
「いいぜ」
アズミも立ち上がり、そのまま両者ぶつかり合うかと思った時だった。
「楽しそうだな」
オウカが口を開く。
「俺も混ぜてくれ」
それと同時に彼が本気の圧を出す。
常人なら気絶するだろうが、この場の面々は全員が猛者。怯む者はいない。
それどころか……
「へえそこまで強くなさそうに見えたけど」
「……お前強そうだな」
そんな二人にオウカは笑って言う。
「強いか弱いかで言えば……魔王だな」
そのまま魔王は自己紹介。
「俺はサクヅキ=オウカ。今は普通の学生をやっている」
「「どこが普通だ」」
全員からツッコミが入る。
「身のこなしや立ち姿とか見ても只者でないのがわかる」
「どう見ても普通に学生には見えない」
「殺し屋とか、一流の戦闘者って言った方がしっくりくる。」
「血の匂いが濃いぜ?」
「分かる人には分かっちゃうよ?」
上からアズミ、モモタ、オノヅカ、エンバ、シロ。
更に、
「全く同意見」
[同感]
「……酷い」
そう言ったオウカを無視して、自己紹介が再開する。
次に名乗ったのは……
「わたしは――刹那叢雅。動画で知っているかもだけど一応」
マユだった。
しかも仕事名を名乗っている。
それに思わずオウカは訊ねる。
「良いのか?」
「今回の件は冥刀も関わっているから」
この間、話した事の内容がドンピシャリで来たからこそだった。
それに反応したのはモモタとオノヅカ。
「もしかして……動画投稿サイトで冥刀の解説している人?」
「うん」
「本物か?」
「冥刀持っているなら証拠見せれるけど……」
そういうマユに全員顔を見合わせ……
「持っていない」
「生憎と」
「持ってねえ」
「そもそも簡単に手に入るモノじゃねえだろう」
その言葉にマユは肩を竦める。
そこへシロが助け舟を出した。
「本物だよ。自分が保証する」
「「……」」
その言葉に全員が納得した。
マユが礼を言う。
「ありがとう」
「いいさ。お得意様のフォローも仕事みたいなものだよ」
そう言ってから、シロは自己紹介。
「こっちも改めて。自分はクロサキ=シロ。情報屋をやっている」
それに続けてオノヅカが自己紹介。
「おれはオノヅカ=ケンヤ。≪羽王組≫の幹部だ」
こうしてこの場の全員が名乗り終わったのだが……
「「待った」」
アズミとエンバが待ったをかける。
その目線はオウカ……ではなく、肩に向いている。
「もう一匹いるぞ?」
「アクセサリーかとも思ったが、生体反応がある」
氣を使う人は生命反応に敏感。
だからこそ感じ取れたのだろう。
なので。
「ネラ」
「了解」
「「!」」
機械アリが喋ったのに数名驚く。
……シロは知っているのか口元に笑みを浮かべた。
そして、オウカの肩から飛び降り、彼女は自己紹介。
「
「冥刀?」
「半分、残半、分人」
彼女は正直に言った。
その言葉に何人かが興味深そうな顔をする。
それについて聞こうとした者もいたが……
「はい、そこまで。聞くなら後でね」
モモタが遮った。
「今はあの麻薬についてだ」
それに全員が(一応)納得する。
そしてモモタがオウカの方を見る。
「じゃあ……サクヅキクン。お願い出来る?」
「わかりました」
そしてオウカが説明をしようとしたのだが……
「ちょっといいか?」
アズミが発言。
「何で彼が?」
他の面々も気になっているのか、オウカに視線が向く。
それに彼は意を決して答える。
「あのヤク――【エンジェルハイロゥ】は俺の
「「!?」」
全員から驚いた気配がする。
そのままオウカは説明をする。
信じられないかも、と前置きをして、きっかけから結末、そして、異世界で起こったという事まで話す。
「――異常です。違った以上です」
「あながち間違えじゃない」
「確かに」
マユとシロのコメント。
それに苦笑したオウカは他の面々を見渡す。
「何か質問はあります?」
その言葉に真っ先に反応したのが、オノヅカ。
「色々信じられねえが、今は置いておく」
「はい」
「何でこの世界にあるんだ?」
「それは俺も聞きたいです」
オウカはそう言う。
「資料は全部抹消しましたし、現存していたのも消したんですけど」
「つまりは作られたのか、消し損ねたかは、わからない……と?」
それに頷くオウカ。
そこへマユが捕捉する。
「本来ならどっちもあり得ないだけどね」
「異世界の産物……だからか?」
アズミの疑問にコクリと頷くマユ。
「うん。作るのは本人……パナケアしか出来ないし、残り物を売りさばいているにしても……」
チラリとオウカを横目で見てから続ける。
「そこまで数があるはずない」
「結局なんもわかんねえじゃねえか」
エンバの言葉が全てを表していた。
だが、それをシロが否定する。
「いや、そうでもないよ? 飛び火した件と合わせれば自ずとわかる」
「飛火、如何?」
そういえばその件があった。
ネラが代表して訊ねる。
それに口を開いたのはオノヅカ。
「オレの可愛い舎弟達が売人らしい奴を見つけたんだが……」
「返り討ち?」
「ああ」
「そいつ等が弱かっただけじゃねえの?」
エンバが余計な事を言う。
それにオノヅカが眉を吊り上げ、エンバを睨んだ。
そのままお互い近づき合い。
「喧嘩を売っているなら買うぞ?」
「おもしれえ」
右拳がぶつかり合う。
エンバはオーラを纏い、オノヅカは眼の白黒が反転し
結果は互角。衝撃波がまき散らされる。
「……!」
「やるなあ!」
そのまま左拳がぶつかり合おうとしたタイミングで……
「やめろと言っている」
アズミが乱入。踵落としが炸裂!
二人の攻撃が止まる。
「今は争っている場合じゃないだろう」
「そうそう。続きをお願い」
モモタの言葉にオノヅカは少し黙り込んでから、口を開く。
「確かにオレよか弱い。でもそんじょそこいたのチンピラには負けねえ」
「実際その売人はそこまで強くない……はずだった」
シロが捕捉説明。
何でも調べたらしいのだが、ただのチンピラらしい。
「だが、奴は――化けた」
「「化けた?」」
「ああ」
何でも追い詰められたその売人が麻薬を服用したらしい。
その結果、舎弟達は全員病院送りになったとの事。
それにアズミが反応。
「そう……。そっちもなのね」
「も? まさか……」
「ええ。察しの通り。死んではないのね?」
「ああ。一人危なかったが峠は越えた」
アズミの問いに答えたオノヅカ。
とは言え、全員暫くはベッドの上で生活らしい。
「で、そっちも被害に遭った口か?」
「ええ。その薬を破門された奴が使ってたのよ」
破門された数名が、お礼参りと乗り込んでそれを使って来たとの事。
「あり得ない位に身体能力が上がっていたわ。まあ返り討ちにしたけど」
幾ら身体能力が上がろうとも、それ以外そのまんまならつけ入る隙はある。
更にエンバが口を開く。
「こっちは別件で追っていた奴が、似たような薬を使って来た」
「「別件?」」
首を捻る面々に、答えたのはシロ。
「蟲灼晃而一族のチカラを悪用した馬鹿共の粛清さ」
「「馬鹿だろうソイツ」」
蟲灼晃而一族の絆の強さは知られている。
手を出したら、どうなるかなんて火を見るより明らかなのに。
「旦那は心当たりある?」
「……」
シロの言葉にオウカは沈黙。
少しして口を開く。
「あるんだね?」
「ああ。もしかしてその錠剤は翼型?」
「「ああ」」
全員同意。
それにオウカの顔が歪む。
「間違えない。【ダークウィング】だ」
それは堕天使の翼の名を持つ薬。
【エンジェルハイロゥ】の改悪版である麻薬……というかドーピング薬。
服用すれば超人的な身体能力、再生治癒能力、防御力を得る事が出来る。
動物実験ではネズミがトラを殺したとの事。
【TIPS:三奇拳の基本技能】
(#ー#)<この三つ、全員がシャーマンなんだが、ぶっちゃけ普通に強い。
(#ー#)<特に契約した奴の場合、身体操作とか、氣とか、色々出来る。
(・▽・)<例えば?
(#ー#)<劇中でも少し出たが、こんな感じだな。
・関節外してのリーチ伸ばし、髪の毛等を伸縮させ自在操作
・内臓曲げ、血止め、無呼吸での長時間活動、飲まず食わずでもある程度生存可能
・ゾーンに意図的に潜入、特殊な呼吸による身体強化、脳内麻薬自在分泌
・オーラ操作……というかオーラ(普通に光熱)の奔流に耐える肉体
・筋肉を締めての肉体の硬化、心拍数を高めて血流を加速させ身体能力強化。
・特殊な歩法による、水上・空中移動。……人によっては普通に歩ける。
・徒手空拳で切断・貫通、どんな態勢でも攻撃可能。
(・▽・)<それは恐れられる訳です。