冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【コソコソ話】
(・▽・)<ポンコツお嬢様アンジェリカ。実はかなり奔放。アグレッシブ。

(・▽・)<酒も嗜むし、煙草も大好き。しかも太陽光に弱いのに日中に出歩く。

(・▽・)<だから内も外もボロボロ。

(#ー#)<メイドは止めなかったのか?

(・▽・)<止めたけど、聞かなかった。それに事情が事情だから強く止められなかった。

(#ー#)<? どういう事だ?

(・▽・)<それは追々やります。


佰伍拾陸

 そんな事をオウカが思い返していると、マユがモモタに訊ねる。

 

「他にもまだ来るの?」

「ああ。今回の麻薬の件、あちらこちらに飛び火したんだ」

「「え」」

 

 聞き捨てならない言葉。

 思わずオウカとマユは変な声を出す。

 どういう事は問いただそうとした時だった。

 

 それはノックの音。

 そして

 

「失礼する」

 

 誰かが入室して来た。

 そこにいたのは女性。

 剣道や合気道で使うような袴付の道着を着て、様々な色にメッシュを入れた深い緑髪の毛をつむじで束ねている。

 

 その女性にモモタが挨拶する。

 

「久しぶり。アズミさん」

「ナオか……。いつ以来だ?」

「半年ぶりだね」

「そういえばそうだな」

 

 女性の視線がオウカ達へと向く。

 

「それで? カレらの紹介はしてくれないの?」

「全員揃ったらやろうと思ってる」

 

 モモタの返答にオウカは訊ねる。

 

「まだ来るんですか?」

「ああ。来r」

 

 最後まで言えなかった。

 

「邪魔するぜ」

 

 扉が乱暴に開けられ入って来たのは一人の男。

 サングラスをした柄の悪そうな男。

 キョロキョロと中を見渡し、モモタの方を向く。

 

「アンタがモモタか」

「ああ。キミがもしかして――蟲灼晃而(ムシャノコウジ)家の?」

 

 その言葉にマユ以外――この世界出身者が男を見る。

 

 蟲灼晃而家。

 三奇拳の一つ――バグズ界蟲拳を受け継ぐ戦闘集団の一族。

 表でも裏でもその恐ろしさは知られている。

 

 モモタの確認に男は頷く。

 

「ああ」

「他は?」

「オレは連携とか無理だからな。一人が良いつった」

 

 威張れる事ではない。

 それにオウカは不安に思う中、男の視線がオウカへ向く。

 

「なんだこのガキ共? 今回の関係者なのか?」

「ああそうだ」

 

 答えたのはモモタ。

 

「モロに関わっているらしくてね」

「ふ~ん。ところでこれで全員か?」

「後一人来る」

 

 そう言った時だった。

 

「もう来てるよ」

「「!?」」

 

 その声に全員が声の方へ向く。

 会議室の隅の椅子に一人の性別不詳が腰かけていた。 

 白黒の髪の毛、白黒のオッドアイ、白黒の服が特徴的。

 この人物をオウカは、オノヅカは知っている。

 

「「クロサキ(シロさん)!」」

「やあ旦那達」

「久しぶりです」

「こっちはこの間会ったばっかだな」

 

 手を挙げて挨拶するシロ。

 それに道着の女と、柄の悪い男も反応。

 

「ほう……」

「コイツがね……」

 

 女と男は顔は知らなかったようだが、存在は知っていたようだ。

 そしてそれは……

 

「こちらも光栄だよ。まさか百獣寺の“孔雀王(マラク・タウス)”、蟲灼晃而の“鬼人”に会えるとはね」

 

 シロも同じだった。

 

「「ッ!?」」

 

 言い当てられた二人が警戒する。

 そこへモモタが手を合わせ音を鳴らす。

 

「はい。とりあえず全員集まった所で話を始めよう」

 

 平日だから用事がある人もいるだろうし、と付け加える。

 その言葉に異論はないのか、全員席に付く。

 そして、モモタが話を始める。

 

「じゃあボクが進行させて貰う。今回集まって貰ったのは……」

 

 言葉を切り、懐から出したのは透明な袋に入れられた輪状の錠剤。

 

「このクスリ……【エンジェルハイロゥ】と、それに付随して発生した諸々についての話だ」

 

 そこまで言ったタイミングで全員を見渡し告げる。

 

「と、その前に自己紹介をして貰おう。知らない面々もいるし」

 

 そういう訳で自己紹介が始まる。

 

「じゃあ言い出しっぺから。ボクはモモタ=ナオ。刑事をしている」

 

 そして、次に口を開いたのは――道着の女性。

 

「アーシはイサカ=アズミ。一応霊獣拳士」

 

 その言葉にモモタがツッコミを入れる。

 

「一応って……。霊獣と契約出来ているんだから、正式な拳士でしょう」

((!))

 

 それに内心で驚くオウカとネラ。

 念話で会話し合う。

 

[つまりは……皆伝以上]

[心技、体極]

 

 百獣寺の修行は厳しい。

 そのうえ、とある事件以来、幾ら強かろうが、幾ら才能があろうが、心が歪んでいる場合、霊獣と契約は出来ない。

 それを成したと言う事は、少なくとも悪人ではないという事だろう。

 

 その言葉に反応したのは蟲灼晃而一族の男。

 

「へえ……。そんなに強いのか?」

 

 ゆっくりと立ち上がる。

 そして

 

「オレはエンバだ」

 

 自己紹介をする。

 それと同時彼の体からオーラが立ち昇り形を作る。

 その形は蜻蛉。正確には鬼蜻蜓。

 翅を震わせ顎を鳴らす。

 

 それに対抗するかのようにアズミの体からもオーラが立ち昇り形を作る。

 その形は孔雀。

 飾り羽を扇状に開き威嚇する。

 

「やるのか?」

「いいぜ」

 

 アズミも立ち上がり、そのまま両者ぶつかり合うかと思った時だった。

 

「楽しそうだな」

 

 オウカが口を開く。

 

「俺も混ぜてくれ」

 

 それと同時に彼が本気の圧を出す。

 常人なら気絶するだろうが、この場の面々は全員が猛者。怯む者はいない。

 それどころか……

 

「へえそこまで強くなさそうに見えたけど」

「……お前強そうだな」

 

 そんな二人にオウカは笑って言う。

 

「強いか弱いかで言えば……魔王だな」

 

 そのまま魔王は自己紹介。

 

「俺はサクヅキ=オウカ。今は普通の学生をやっている」

「「どこが普通だ」」

 

 全員からツッコミが入る。

 

「身のこなしや立ち姿とか見ても只者でないのがわかる」

「どう見ても普通に学生には見えない」

「殺し屋とか、一流の戦闘者って言った方がしっくりくる。」

「血の匂いが濃いぜ?」

「分かる人には分かっちゃうよ?」

 

 上からアズミ、モモタ、オノヅカ、エンバ、シロ。

 更に、

 

「全く同意見」

[同感]

 

 相棒二人(ネラとマユ)もフォローはしなかった。

 

「……酷い」

 

 そう言ったオウカを無視して、自己紹介が再開する。

 次に名乗ったのは……

 

「わたしは――刹那叢雅。動画で知っているかもだけど一応」

 

 マユだった。

 しかも仕事名を名乗っている。

 それに思わずオウカは訊ねる。

 

「良いのか?」

「今回の件は冥刀も関わっているから」

 

 この間、話した事の内容がドンピシャリで来たからこそだった。

 それに反応したのはモモタとオノヅカ。

 

「もしかして……動画投稿サイトで冥刀の解説している人?」

「うん」

「本物か?」

「冥刀持っているなら証拠見せれるけど……」

 

 そういうマユに全員顔を見合わせ……

 

「持っていない」

「生憎と」

「持ってねえ」

「そもそも簡単に手に入るモノじゃねえだろう」

 

 その言葉にマユは肩を竦める。

 そこへシロが助け舟を出した。

 

「本物だよ。自分が保証する」

「「……」」

 

 その言葉に全員が納得した。

 マユが礼を言う。

 

「ありがとう」

「いいさ。お得意様のフォローも仕事みたいなものだよ」

 

 そう言ってから、シロは自己紹介。

 

「こっちも改めて。自分はクロサキ=シロ。情報屋をやっている」

 

 それに続けてオノヅカが自己紹介。

 

「おれはオノヅカ=ケンヤ。≪羽王組≫の幹部だ」

 

 こうしてこの場の全員が名乗り終わったのだが……

 

「「待った」」

 

 アズミとエンバが待ったをかける。

 その目線はオウカ……ではなく、肩に向いている。

 

「もう一匹いるぞ?」

「アクセサリーかとも思ったが、生体反応がある」

 

 氣を使う人は生命反応に敏感。

 だからこそ感じ取れたのだろう。

 なので。

 

「ネラ」

「了解」

「「!」」

 

 機械アリが喋ったのに数名驚く。

 ……シロは知っているのか口元に笑みを浮かべた。

 そして、オウカの肩から飛び降り、彼女は自己紹介。

 

当機(わたし)、ネラ=D=パラポ」

「冥刀?」

「半分、残半、分人」

 

 彼女は正直に言った。

 

 その言葉に何人かが興味深そうな顔をする。

 それについて聞こうとした者もいたが……

 

「はい、そこまで。聞くなら後でね」

 

 モモタが遮った。

 

「今はあの麻薬についてだ」

 

 それに全員が(一応)納得する。

 

 そしてモモタがオウカの方を見る。 

 

「じゃあ……サクヅキクン。お願い出来る?」

「わかりました」

 

 そしてオウカが説明をしようとしたのだが……

 

「ちょっといいか?」

 

 アズミが発言。

 

「何で彼が?」

 

 他の面々も気になっているのか、オウカに視線が向く。

 それに彼は意を決して答える。

 

「あのヤク――【エンジェルハイロゥ】は俺の友達(ダチ)友達(ダチ)が作った物なんです」

「「!?」」

 

 全員から驚いた気配がする。

 そのままオウカは説明をする。

 信じられないかも、と前置きをして、きっかけから結末、そして、異世界で起こったという事まで話す。

 

「――異常です。違った以上です」

「あながち間違えじゃない」

「確かに」

 

 マユとシロのコメント。

 それに苦笑したオウカは他の面々を見渡す。

 

「何か質問はあります?」

 

 その言葉に真っ先に反応したのが、オノヅカ。

 

「色々信じられねえが、今は置いておく」

「はい」

「何でこの世界にあるんだ?」

「それは俺も聞きたいです」

 

 オウカはそう言う。

 

「資料は全部抹消しましたし、現存していたのも消したんですけど」

「つまりは作られたのか、消し損ねたかは、わからない……と?」

 

 それに頷くオウカ。

 そこへマユが捕捉する。

 

「本来ならどっちもあり得ないだけどね」

「異世界の産物……だからか?」

 

 アズミの疑問にコクリと頷くマユ。

 

「うん。作るのは本人……パナケアしか出来ないし、残り物を売りさばいているにしても……」

 

 チラリとオウカを横目で見てから続ける。

 

「そこまで数があるはずない」

「結局なんもわかんねえじゃねえか」

 

 エンバの言葉が全てを表していた。

 だが、それをシロが否定する。

 

「いや、そうでもないよ? 飛び火した件と合わせれば自ずとわかる」

「飛火、如何?」

 

 そういえばその件があった。

 ネラが代表して訊ねる。

 それに口を開いたのはオノヅカ。

 

「オレの可愛い舎弟達が売人らしい奴を見つけたんだが……」

「返り討ち?」

「ああ」

「そいつ等が弱かっただけじゃねえの?」

 

 エンバが余計な事を言う。

 それにオノヅカが眉を吊り上げ、エンバを睨んだ。

 

 そのままお互い近づき合い。

 

「喧嘩を売っているなら買うぞ?」

「おもしれえ」

 

 右拳がぶつかり合う。

 エンバはオーラを纏い、オノヅカは眼の白黒が反転し濃褐色(ブラウンクロス)となっている。

 結果は互角。衝撃波がまき散らされる。

 

「……!」

「やるなあ!」

 

 そのまま左拳がぶつかり合おうとしたタイミングで……

 

「やめろと言っている」

 

 アズミが乱入。踵落としが炸裂!

 二人の攻撃が止まる。

 

「今は争っている場合じゃないだろう」

「そうそう。続きをお願い」

 

 モモタの言葉にオノヅカは少し黙り込んでから、口を開く。

 

「確かにオレよか弱い。でもそんじょそこいたのチンピラには負けねえ」

「実際その売人はそこまで強くない……はずだった」

 

 シロが捕捉説明。

 何でも調べたらしいのだが、ただのチンピラらしい。

 

「だが、奴は――化けた」

「「化けた?」」

「ああ」

 

 何でも追い詰められたその売人が麻薬を服用したらしい。

 その結果、舎弟達は全員病院送りになったとの事。

 それにアズミが反応。

 

「そう……。そっちもなのね」

「も? まさか……」

「ええ。察しの通り。死んではないのね?」

「ああ。一人危なかったが峠は越えた」

 

 アズミの問いに答えたオノヅカ。

 とは言え、全員暫くはベッドの上で生活らしい。

 

「で、そっちも被害に遭った口か?」

「ええ。その薬を破門された奴が使ってたのよ」

 

 破門された数名が、お礼参りと乗り込んでそれを使って来たとの事。

 

「あり得ない位に身体能力が上がっていたわ。まあ返り討ちにしたけど」

 

 幾ら身体能力が上がろうとも、それ以外そのまんまならつけ入る隙はある。

 

 更にエンバが口を開く。

 

「こっちは別件で追っていた奴が、似たような薬を使って来た」

「「別件?」」

 

 首を捻る面々に、答えたのはシロ。

 

「蟲灼晃而一族のチカラを悪用した馬鹿共の粛清さ」

「「馬鹿だろうソイツ」」

 

 蟲灼晃而一族の絆の強さは知られている。

 手を出したら、どうなるかなんて火を見るより明らかなのに。

 

「旦那は心当たりある?」

「……」

 

 シロの言葉にオウカは沈黙。

 少しして口を開く。

 

「あるんだね?」

「ああ。もしかしてその錠剤は翼型?」

「「ああ」」

 

 全員同意。

 それにオウカの顔が歪む。

 

「間違えない。【ダークウィング】だ」

 

 それは堕天使の翼の名を持つ薬。

 【エンジェルハイロゥ】の改悪版である麻薬……というかドーピング薬。

 服用すれば超人的な身体能力、再生治癒能力、防御力を得る事が出来る。

 動物実験ではネズミがトラを殺したとの事。




【TIPS:三奇拳の基本技能】
(#ー#)<この三つ、全員がシャーマンなんだが、ぶっちゃけ普通に強い。

(#ー#)<特に契約した奴の場合、身体操作とか、氣とか、色々出来る。

(・▽・)<例えば?

(#ー#)<劇中でも少し出たが、こんな感じだな。


・関節外してのリーチ伸ばし、髪の毛等を伸縮させ自在操作
・内臓曲げ、血止め、無呼吸での長時間活動、飲まず食わずでもある程度生存可能
・ゾーンに意図的に潜入、特殊な呼吸による身体強化、脳内麻薬自在分泌
・オーラ操作……というかオーラ(普通に光熱)の奔流に耐える肉体
・筋肉を締めての肉体の硬化、心拍数を高めて血流を加速させ身体能力強化。
・特殊な歩法による、水上・空中移動。……人によっては普通に歩ける。
・徒手空拳で切断・貫通、どんな態勢でも攻撃可能。


(・▽・)<それは恐れられる訳です。
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