(#ー#)<百獣寺の皆伝以上取得が難しくなった要因にして、
(#ー#)<霊獣拳士が少なくなった原因。
(#ー#)<異名は“鵺”。五種類の獣のチカラを使うからこそ。
(・▽・)<こういう異常者って稀に出るんですよね~。でもそんなに強いんですか?
(#ー#)<元々、才能があったうえ、五種類の霊獣と契約しているからな。
(#ー#)<直接戦闘から搦め手までこなせる。
(#ー#)<更に装備も上等だからな、誰も倒せなかった。
(#ー#)<因みに
ゴジョウの攻撃はクインの小さな体に突き刺さる。
そして、連続打撃は彼女の命を奪った。
倒れ伏すクインにゴジョウはしまった、という顔をする。
(失敗した~。トドメさしちゃった……)
実は
動けない程度に痛めつけて、たっぷり楽しんでから殺すつもりだったのだ。
「まあいいか~。死k」
最低な言葉を吐こうとしたゴジョウだったが、最後まで言えなかった。
突如として倒れ伏した。
それと入れ替わるようにクインが起き上がる。
《九生玖魂》
クインの最後の切り札にして最終手段。
回数などの制約はあるが、自身を殺した相手を殺し、そのチカラを簒奪する強力な秘咒。
「ん……」
殴られ蹴られた箇所を擦る。
完全に回復したとは言え、少し違和感がある。
そして、彼女は自分が手に入れたチカラを確認する。
「……」
教わらなくてもわかる。
野生動物が習わなくても歩き、飛ぶ、泳げるようにわかる。
クインの体から五色のオーラが立ち昇る。
「ん、ん」
そのまま構えを取る。
猿(ヒヒ)、蛇、虎、狸、鶫(虎鶫)の五種類の構えを取り、拳や蹴りを宙に繰り出す。
暫くそうしていたが、解除して溜息を吐く。
「どうしよう……」
思わず言葉が出てしまった。
無口なクインが一人事を言うのはかなり珍しい。
逆を言えば、それほどの事態という事だった。
一つ目が、ゴジョウ=メグルの死体について。
賞金首になっているので、持って行けばかなりの金額が貰えるだろう。
だが、その場合、どうやって倒したのか根掘り葉掘り聞かれるので、この場に放置。
モンスターが食べてくれるので問題はない。
二つ目が、手に入れたチカラについて。
これが最大の問題。
霊獣と契約できるのは百獣寺と契約した者だけ。
奪った事例はあるにはあるらしいが、全部奪い返されている。
クインの場合、状況が状況なので刺客が送られる……という事はなさそうだが。
(これ……返せる?)
奪った相手は特殊な呪法で霊獣を縛り付けていたらしく、取れる気配がない。
つまり、霊獣を返したくても返せない。
恐らく返すには……
(アタシが死ぬしかない?)
何となくそう思った。
恐らくその考えは間違っていない。
(厄介なチカラ手に入れちゃった……)
もう一度溜息を吐くとクインはその場を後にした。
■□■□
霊獣拳を手に入れたきっかけを思い起こしたクイン。
(思えば使ったのって数える程もない)
バレたら不味いので、実戦で使ったのは二回くらい。
そして、秘密にしているので、知っている人はオウカしかいない。
(サクは口が堅い。相棒にはバレているかもしれないけど、吹聴はしないから平気)
そんな事を思い、ベッドから起き上がる。
すると、腹が小さく鳴る。
腹を擦るクイン。
「ん~」
空腹を感じるクイン。
だが、食料がない。
昨日はユウナが食料を食べつくしたので何もない。
「ん」
そのままクインは立ち上がり、エコバックと財布を持ち、食料を買いに出かけた。
******
時間は戻る。
模擬戦をする事になった四人の女性達。
カナタが案内した場所は、廃屋が並ぶ場所。
因みにここら一体久遠家の私有地らしい。
「ここ?」
ジンナが疑問を口に出す。
そこにあったのは小さな小屋。
それに、カナタは微笑み鍵を開ける。
中も見た目通り小さい。
「戦うスペースないですよね?」
レイリも訊ねた。
一方、アズミは何かに気づいたらしく、納得したような顔になる。
「わざわざ作ったの?」
その疑問にカナタは床の一部をひっくり返す。
すると、そこには地下に続く階段がある。
「「!」」
驚く二人を後目に、カナタはアズミの質問に答える。
「ええ。鍛錬できる場所が欲しかったので」
カナタは戦闘者であるが、生産者も兼ねている。
刀剣が主だが、他の分野も専門家には劣るが、ある程度は可能。
メンテナンスや修理くらいなら出来、物によっては改良まで出来る。
「今は便利な道具もありますし」
「まあそうね」
実は、これソルドアットが遺していた物。
オウカのために色々仕込んでいた山小屋があったのだが、それを彼から譲り受け改良したものだった。
「足元気を付けてね」
明かりを付け、階段を下って行く四人。
そして、到着。
そこは何もない空間になっている。
だが、分かる人には分かる。
(結界が張れるようになっているのね)
アズミには感知出来た。
(しかもかなり強靭な結界。何かしら術技を試し打ちするところかしら?)
彼女の考えは正しい。
元々カナタは剣技に呪符を使った術を織り交ぜ戦うので、火力殲滅の術技を幾つも持つ。
それを試す場所であった。
だからこそ、今回の模擬戦には持ってこいだった。
そして戦いの準備をする。
アズミはそのまんまだが、他の三人は破れたり汚れても良い衣服に着替える。
そして、武器を準備していると、アズミが聞いてくる。
「それで誰から戦る?」
その問いに三人は顔を身わせ相談。
その結果……
「まずはわたしからです!」
レイリが一番手となる。
愛用の巨大斧を構える。
そのツギハギ斧を見て彼女は聞いてくる。
「それで大丈夫? 砕けたのを無理矢理繋げたみたいだけど」
「この間砕けたんです」
新しいのにするようにイヌコに言われていた。
どうにか形だけは取り繕ったが、もう以前のスぺックは出せない。
それはプロでも同じ。
それでも……
「でもお気に入りなので」
……実はもう一つ理由があるが、それは今は言わなかった。
「そ」
アズミは納得する。
彼女自身は武器を使わない。それどころか
それでもそういうものだとわかるからこその納得。
そうして両者、二メートル程間合いを開けて向かい合う。
「合図はどうします?」
「好きなタイミングで良いわよ?」
レイリの問いに、アズミは答える。
「
そして、具体例を告げる。
「例え、寝てる時でも、御飯食べてる時でも」
少しだけ間を開けて続ける。
「用を足してる時でも、性交している時でも」
「「ぶ!?」」
それには三人噴き出した。
顔を赤くしてむせる三人。
それにアズミはいたずらっぽく笑って問いかける。
「あら? 経験ないの?」
「「あるわけないじゃないですか!」」
三人共咆える。
「そういうアズミさんはどうなんですか!」
カナタの言葉にアズミはキョトンとした後、平然と言う。
「経験? ないわよ? 立派な処女よ」
「威張らないでください!?」
ジンナが叫ぶ。
アズミはそれに笑って続ける。
「それに……どうもあーしは愛がわからないの」
彼女は壮絶な過去がある訳ではない。
先天的な異常がある訳でもない。
「だから、生涯処女じゃないかしら?」
そんな言葉にカナタは発言する。
「それはわかりませんよ? 人生色々ですから」
「男も色々、女も色々ですからね」
ジンナが続けて言った。
それにキョトンしたアズミだったが。
「ああそうかもな」
否定はせず、肯定した。
そして話が終わったタイミングで
「ハア!」
レイリが飛び出す。
いつもの定石である、間合いをパワーで潰しての、斧を振りかぶっての薙ぎ払い。
だが、その一撃は受け止められてしまう。
「!?」
「凄いパワー」
両手での真剣白刃取り。
そして、レイリの力を受け流し、足元へ流す。
地面に蜘蛛の巣状の日々が入る。
この芸当は中伝以上なら誰でもこなせるが、どこまで受け流せるかは人によりけり。
アズミの場合、こういうの技が得意なので、パワー自慢のプレイヤーの攻撃を受け流すなんて朝飯前。
だが、それをレイリは想定済み。
「アアアアアア!」
「あら」
咆哮と同時、巨斧をアズミごと上に持ち上げ、振り回す。
アズミは斧を挟んでおけず、吹っ飛ぶ。しかし、空中で器用に態勢を整え着地。
そこへ再びレイリが突撃。
「さっきと同じじゃ変わらないわよ?」
その言葉に対する答えは……
「違いますよっと!」
巨斧の投擲。
それにアズミはどうするかを思考を加速させ考え……
(避けましょう)
体勢を低くして避けると同時。
「今度はこっちからよ」
コマ落としのように、次の瞬間レイリの近くにいるアズミ。
地面を砕ける程踏みしめると同時、両手を引き繰り出したのは双掌。
外部破壊の右手と、内部破壊の左手で繰り出す内外同時破壊の一撃。
本気で打てば相手は惨たらしい姿となって死ぬ。
だが、流石に模擬戦でそんな事はしない。
(まあ暫くは立てないと思うけど)
そんな事を思って繰り出した一撃は……
「!」
「想定済みです」
レイリが出した右手の手斧によって防がれていた。
しかも手加減した一撃だったせいで、完全に受け止められていた。
恐らく、殺す気で打っていたら、手斧は砕けていただろう。
「やあ!」
「おっと」
左手に持った手斧を振り下ろす。
技を打った直後で避けらないタイミング。
狙うは肩。
(取った!)
だが、斧が止まった。
肌どころか服すら破けておらず、止まっている。
「!?」
思わずそこを見る。
アズミは振り下ろした所にオーラを展開していた。
確かにオーラは物理的干渉能力を持つ。
だが、それでもオーラはエネルギー。
物理の一撃を防ぎ続けるなんて事は難しい。
(先輩が言っていた
そんなレイリの疑問にアズミが答える。
「オーラの防御法の一つよ。全身に纏うオーラを一点集中する。どんな一撃でも受け止められるわ」
アズミの言葉に何をやったのか理解したレイリ。
だが、同時にこの技最大の欠点に気づく。
なので……
「ハア!」
「!」
前蹴りを腹部を叩き込む。
今度は直撃。
アズミは吹っ飛ぶ事でダメージを抑えたようだが、今度は手ごたえがあった。
そのまま間合いを離した状態でアズミは微笑んでから口を開く。
「気づいたようね」
「わたしもオーラ使いなので」
「あら珍しい」
思わず口に出てしまったアズミ。
オーラを使う者は少ない。
誰でも使える代わり、実戦で使えるようになるには鍛錬が必要だからである。
そして、レイリが続ける。
「確かに今の技、どんな技でも防げるでしょうけど、他の部位の防御力は下がりますよね?」
「……」
沈黙の肯定。
実際その通り。
このオーラの一点集中は、その部位は絶対無敵だが、他の部位は通常時より防御力が下がる。その上、一点集中できる範囲はオーラの扱いに長ける者ですら数センチ範囲が限界。
扱いがかなり難しい技である。
黙っていたアズミが口を開く。
「オーラは生命の力だから、それはしょうがない」
「……」
「でも、覚えて置いて損はないわよ。それと……もう一つ」
構えを取るアズミ。
「今の技と対になる技もあるわ。見せてあげる。さあ投げて来なさい」
その言葉にレイリは、手斧二つを投擲。
更に、リターン機能を使う事で、ぶん投げた巨斧もアズミに向かわせる。
三点同時攻撃。
避けるのは不可能。
防ぐのも先程の防御も使えない。
だが、三つの斧はアズミにぶつかった……と同時地面に落ちた。
彼女は防御動作すらしていない。
ただ一瞬だけオーラを展開しただけ。
「……今のは?」
レイリが疑問に思う中、アズミは答える。
「オーラを一気に放出しただけ。一瞬だけ無敵になれるの」
それを聞いたレイリはもう絶句するしかない。
先程の一点集中より遥かに使いずらい技だった。
なので、彼女は聞いてみる事にした。
「もしかして……〈心牙〉も使えたりします?」
その疑問にアズミが目を見開く。
「よく知ってるわね……。まさか」
「あ。わたしは使えません。先輩で使える人がいるだけです」
その言葉にアズミは驚く。
「凄いわね……。あ、さっきの答えだけどあーしは使えない」
肩をすくめて続ける。
「使えるのは老師だけ。アレは奥義だもの」
そして、何か嫌な事を思い出したかのように続ける。
「……そういえばもう一人いたわね」
その顔は苦々しく、嫌そうだった。
【TIPS:鉄拳、鉄足、鉄肢】
(#ー#)<スキルの一つ。手足の防具を付けない代わり、
(#ー#)<手足の硬度や強度を上げ、拳蹴の威力を上げるスキル。
(#ー#)<あまり覚えている人はいない。ぶっちゃけると、
(#ー#)<防具した方が強い場合が多いから。でも使う人もいるにはいる。
(・▽・)<そう言えば……学外実習の引率プレイヤーでいましたね。
(#ー#)<ああソイツ。ダイヤモンドの奴だな。
(#ー#)<因みに同系統のが三つある。どれを使うかはスタイルによるな。