(・▽・)<リアがなぜサクに任せようとしたか?
(・▽・)<それは終盤に明らかになります。
(#ー#)<ちゃんと理由あるんだな。
【TIPS】
<アーティファクト>
(#ー#)<<モンスター>の素材や<オブジェクト>を
(#ー#)<活かして作ると上記のようになる。
(#ー#)<……まあ職人の腕によるけどな。
こうして丸く収まったと思われたが、納得していない者がいた。
それがランコだった。
「私は納得出来ません! 私だけで十分です!! 私が信頼出来ないのですか!?」
「……そういう訳ではありません」
「ではなぜ!?」
「あなたへの負担が掛かり過ぎるからです」
リアの言葉はランコに気を使った物。なのだが、カナタは何か違和感を感じ取っていた。
(何かしら? この感じ。何かある)
そして、その言葉でもランコは止まらない。
「……お心遣いは感謝します。ですが、私だけでも」
「ランコ」
「……わかりました。では」
ジロリとオウカを見た。そして、宣言する。
「この男に勝利して、私だけで十分という事を証明してみせましょう!」
「じゃあ~、やってみる~?」
「「え」」
今まで見守っていたキョウコの言葉に全員が反応した。
******
そういう訳でやって来たのは、オウカの退学を掛けた決闘をした部屋だった。
「取っておいたんだ~、使うかもしれないから~」
とはキョウコの言葉。
そういう訳でオウカとランコは部屋の真ん中へ、他の面々は端へ移動する。そして、結界が起動した。念には念を入れてキョウコは結界を複数枚張る。カナタももしもの時のために更に補強した。
「さあ~、思いっきりやっていいよ~」
「私も……」
「ありがとう~。これで安心~。まあ結界が壊れる攻撃はやめてね~」
キョウコの視線はオウカを捉えていたが、それをオウカは聞かなかった事にする。
[さすがに使わないでしょう]
[当たり前だ]
そもそも【コラーダ】を使うという事は、相手を確実に仕留める意思表示でもある。
五メートル程離れ、武器を構える両者。
ランコが出したのは巨大な十文字槍。見た所<冥刀>ではなさそうだが、何かしらの<アーティファクト>ではありそうな一品。
(槍か。そういえば言ってたな)
そんな事を思いながら、ナイフ、ドス、鉄棒から、どれを出すかを選択しようと思ったが。
「これで行く」
相手は長物使い。ならばこちらも相応の物を出そう。なのでオウカは虚空に手を入れエモノを引きずり出した。
それは身の丈以上、一・八メートル程はありそうな大太刀だった。因みにこれも親友の作品である。それをオウカは両手で持って構えた。
「さて戦ろうか?」
「返り討ちにしてやる」
そして、キョウコが合図をした。
「始め!」
戦いの幕が開けた。
そして、両者同時に地面を蹴った。スピードは互角。両者共に重量武器を持っているのに速い。そして、中央で激突!
「シャア!」
「ハア!」
刃と刃、斬撃と刺突がぶつかる。そのまま壮絶な剣戟乱舞が始める。金属音が連続して響き渡る。
「もはや~学生レベル超えてる~」
「す、凄い。あのランコの槍と互角なんて」
「というかどちらもスピード凄いな……」
「パワーも凄いわよ。どっちも重い武器でしょう」
観戦者が三者三様の反応をする。
そんな四人を他所に戦いはエスカレートしていく。
「オオオオオオ!」
「ハアアアアアア!」
大太刀と大槍が幾度も激突する。傍目からは刃の豪雨にしか見えない。そんな状況で動きを変えたのは――ランコからだった。
槍の柄が伸びた。刃がオウカに迫る。
「!」
太刀では防げない。そう判断したオウカは、左腕でそれを防ぐ。
(腕取った!)
ランコの思いとは裏腹に、響き渡ったのは金属音。破けた制服の中から手甲が見える。
ランコが思わず呟く。それに答えるオウカ。
「甲冑を仕込んでいるのね……」
「命の取り合いをしている身だ。当然の備えだろう?」
ニヤリと笑うオウカ。それに観客が内心でツッコミを入れる。
((そこまでここは物騒じゃないよ!?))
因みに、所によっては犯罪都市ばりに物騒な場所はある。
閑話休題。
「それにしても」
オウカは訊ねる。
「その槍は?」
答えが返って来るかはわからなかったが聞いてみる。ランコは答える。
「ウチのお抱え鍛冶師に作って貰った業物。蛇の<ユニークモンスター>の素材で作った。おかげで」
言葉を切る。大槍の柄が伸縮!
「こういう事もできる、のよ!」
そこからランコの攻撃方法が変化する。柄が蛇や鞭のように伸縮するので突きが速くなる。しかも十文字槍なため範囲が広い。
それをオウカは大太刀で防げないと判断し、エモノをロングナイフに切り替えて防ぐ。二刀流の手数と防御で防いでいく。だが無傷で防げてもリーチの差でこちらの攻撃は届かない。
(どうしよう……)
そろそろ手札を切ろうかと考えるオウカ。
一方ランコは攻めあぐねていた。
(まさかこれも防がれるとは……)
このまま続ければどうなるかわからない。ならば新たな手札を切るしかない。
彼女はそう決意した。
「ハッ!」
「おっと」
一際素早く重い突き。それをオウカはナイフ二本で受け止める。
そして、一旦仕切り直しになる。
睨み合う両者。最初に口を開いたのはランコ。
「正直貴方を甘く見ていた。強いのはわかってたけど」
「そうかい」
「このままでは埒が明かない。だから使わせて貰う」
その言葉と同時にランコは光球を周囲に幾つも展開する。それを見たリアの顔色が変わる。
「ランコ! 彼を殺す気ですか!?」
「手加減しますので大丈夫です!」
それを聞いたカナタがリアに訊ねる。
「カミヨさん。どういう事?」
「アレは爆属性の魔法です」
魔法には属性が存在する。とは言え、これも四大元素、五大、陰陽五行など色々あるため、これの分類も匙が投げられた(笑)。
とは言え「火」、「水」、「風」、「地」の四つはよく使われる。エネルギー、液体、気体、固体で表す事ができるからだ。
そして、爆属性は火属性の一種とされ、火属性よりも殲滅力が勝る。その代わり、制御が効かないという欠点がある。
そうしてランコは光球――エネルギー爆弾と言うべき物をオウカへ目がけ飛ばす。
「そういう訳だ。殺す気はないから死んでくれ」
「矛盾してr」
オウカがツッコミを入れようとしたが、最後まで言えなかった。光球がオウカの近くで爆発を起こす。どうにか避け切るが、間髪入れず襲い掛かる光球。それらは任意のタイミングにも爆発可能なのでかなり避け辛い。
しかも攻撃はこれだけでなく……
「死ねえ!」
「殺す気あるじゃねえか!」
槍まで襲い掛かる。しかも、柄が鞭や蛇のように伸縮するので、動きが読みづらい。
本体であるランコに攻撃を加えようにも、自分の体表を爆破させ自由自在に移動までしてくる。
「これで終わりだ!」
遂に光球に囲まれるオウカ。万事休す。
(仕方ない。使うか)
オウカは遂に決断する。
「目には目を。歯には歯を。――蛇には蛇をだ」
手札を切る事を。
「〈
その言葉と同時、オウカは爆発に呑まれた。
■□■□
「やったか?」
ランコは呟く。一応手加減はした。多分手足の数本位のダメージだろうと思っていた。
そうして、爆破の煙が晴れていく。そこにはオウカはいなかった。代わりに鎮座していたのは巨大な刃が連結したモノ。それがオウカに巻き付き、爆発から彼を守ったのだ。
「……それがお前の武器か?」
「まあね」
そういうと刃はまるで蛇のように鎌首を擡げた。
【マッネ・モショミ】。オウカが使っていた<冥刀>の一つ。現在は〈
待機と通常時は蛇腹剣なのだが、抜錨状態になると、この巨大な刃が連結した大蛇のような形となる。変わった能力は持たないが、その巨体は純粋に力強く、堅く、速い。
「結構お気に入りなんだ」
そういうとオウカは無手の右手を振るう。すると【マッネ・モショミ】は凄まじいスピードでランコ目がけ襲い掛かる!
「!」
それを爆破の衝撃と自前の脚力でどうにか避けるが、先程までいた地面は砕け散った。
(喰らえば不味いな)
光球を幾つか作り出し、刃蛇に当てて爆発させるが、全く効いていない。思わず舌打ちしてしまうランコ。
「チィ!」
そして、そこから攻守が入れ替わった。
******
観客が見守る中、戦闘光景は先程と一変していた。
オウカが右腕を振るうと、刃蛇が襲い掛かる。それをランコはどうにか避け、光球や槍による攻撃を仕掛けるも、それらは刃蛇が蹴散らしてしまう。
そんな光景を見ながら、オウカの戦い方をある程度は知っている二人――ジンナとカナタが会話をする。
「一体どれだけ手札あるのかしら?」
「さあ? でも、複数兼ね備えているのもあるみたいだから、全部合計したら百は行くんじゃないの?」
「流石にそれは……ありそう」
「でしょ?」
そして、キョウコがボソリと呟く。
「やっぱり~、彼はああいう武器が~、しっくり来るのかな~?」
「? どういう事ですか?」
「ああ~、知らないのか~」
リアの疑問にふと思い返す。知らない人の方が多いと。だから説明する事にする。
「サクヅキクンが《クロス》を盗まれたのは知っているだろう?」
「はい」
実は結構有名な《クロス》盗難事件である。
「彼が持っていたのは~、《ブルークロス》だったんだよ~」
「青……確か、武器を呼び出す能力ですよね?」
「そうだよ~」
正確に言えば、武器召喚に付随して、その武器を扱う技術、<スロット>の増加、頑健さまで付く。そのためか、《ブルークロス》は全てがそこそこ以上と言われている。
「因みに~、蛇腹剣だったんだ」
「そうだったのですか?」
「うん~」
因みに、刀身の内部がチェーンソーのようになっている蛇腹剣だった。稀にこういう特殊な武器が当たる人もいるそうだ。
(それにしても~)
キョウコはふと思う。それはオウカの《クロス》を盗んだ奴の事を。
(誰なんだろう)
未だに犯人は捕まっていない、どころか、わかってすらない。全てが不明。実は、同じ事があってはならないという事で、かなりしっかりした捜査がおこなわれた。それでもわからなかった。
(〈強奪〉持ちはいなかった)
<スキル>の使用に際しては、今は結構緩い。一時期は厳しかった事もあったのだが、とある事件の影響――<プレイヤー>が集団の非プレイヤーにリンチされて死ぬ痛ましい事件があってから、規制が緩和された。
とは言え、やたらめったら使っていい訳ではない。そして、使用を制限、もしくは禁止の<スキル>はある。人の心身を傷つけるモノを、何もしていない人に使うのは勿論アウト。〈強奪〉はその最たる例である。
制限や禁忌の<スキル>は保持している場合、事前に報告が必要。だが、この高校にそんな報告はない。因みに登録せず罪を犯した場合、罪も重くなる。
(隠しているのか。もしくは見れないか……)
髪の毛を弄りながら考えるキョウコ。とは言え、これ以上は思い浮かばない。
「いずれ落とし前つけてやる」
小声で呟くキョウコだった。その眼は開眼していた。
◇◆◇◆
今の戦況はオウカに傾いていた。攻撃は喰らっていないものの、【マッネ・モショミ】をランコは攻略出来ていない。
だが油断はしない。相手もまだ隠し玉があるかもしれない。
(このまま押し切る)
一旦、蛇を引かせる。次の一撃を最大にするための溜めをおこなう。それに対してランコは使用していた蛇の槍と入れ替わりに新たな槍を出す。それは柄も刃も大きな槍。直腸的なのは、柄と刃の間に大きな円盤が付いていた。
(うん?)
円盤が回り始める。どうやら、この状況を打破できる手札らしい。
(まあいい)
だがやるべきことは変わらない。押し込むだけ。
そして、両者激突と思われたその時だった。
「そこまでです!」
止めたのは……リアだった。
「ランコ! いい加減にしなさい! その槍は幾らなんで駄目でしょう! 手加減きかないんだから!」
「え、ですg」
「ですがもへちまもない!」
「は、はい」
プリプリ怒るリア。結構怖い。その怒りの矛先はオウカにも向く。
「オウカさんも! やり過ぎです! 殺し合いじゃないんですから」
「すいません。俺の悪い癖」
「治しなさい!」
「善処します」
その後、ランコを幾らか説教してリアは止まった。こうしてオウカはリアの護衛をする事になり、ランコも認めた。
「……まあ足手纏いにはならないだろうからな」
不承不承だったが。
【コソコソ話】
(㈩*㈩)<サクは《クロス》以外の増強手段として
(㈩*㈩)<冥土師匠から貰った<オブジェクト>等を使って
(㈩*㈩)<強い<アーティファクト>を職人に依頼した。
(#ー#)<金は?
(㈩*㈩)<勿論、冥土師匠のくれた物がある。入学祝いにくれた。
(#ー#)<……? アレそんなのあったか?
(・▽・)<あなた使うまでもないでしょう。
(#ー#)<うるせー! で?
(㈩*㈩)<結論から言えば、素材と金を持ち逃げされた。
(#ー#)<……確か、その頃だよな? 《クロス》盗まれたの。
(㈩*㈩)<うん。正に泣きっ面に蜂状態だった。
(・▽・)<……あのサクがそのままにしておくとは思えないんですけど。
(㈩*㈩)<勿論。帰還して、決闘までの空白期。その期間に見つけ出した。
(㈩*㈩)<そして、……まあカタにはめてヤキを入れた。
(#ー#)<ご愁傷様。それで弁償は?
(㈩*㈩)<無理だった。だから、……まあ相応の末路を迎えた。
(・▽・)<わくわく♪ コンクリート? ポークorフィッシュ?
(#ー#)<楽しそうに言うな!?