(#ー#)<闘氣のオーラは上手く使えば、その攻撃に対し絶対的な防御力を誇る。
(#ー#)<今回出て来た二つはその極みだな。
(㈩*㈩)<扱いかなり難しそうだけど?
(#ー#)<まあな。一点集中は範囲の狭さ、一気放出は時間の短さがネック。
(#ー#)<実戦で使う奴はそうはいない。
(#ー#)<実のところ、三奇拳ですらあまりいない。
(㈩*㈩)<うわあ……。
(嫌な奴の顔思い出した)
首を横に振って、考えを振り払う。
そして、代わりの斧――いつも使う巨斧、二刀流や投擲用の小斧の中間の大きさの物――を構えたレイリに向けて歩み寄る。
「じゃあ、真っ向勝負しましょうか」
「……はい!」
そうして斧が届く範囲に来ると、両者オーラを展開。
そして
「ハア!」
「おっと」
レイリは斧を振り、アズミは手刀で対抗。
斧と手刀の鍔迫り合い。
ギリギリとぶつかり合う。
(やっぱりパワーでは向こうが上か……)
だがやはり、腕力ではアズミが上。
それでも技を使う事で上手く受け流す。
レイリは更に力を込める事で対抗しようとしたのだが……
「あ……」
「悪手ね……」
見ていたジンナとカナタは顔を顰める。
これは不味いと。
アズミはその一撃を透かす。
「わ!?」
斧が地面に突き刺さる。
その上にアズミは器用に乗る。
「手加減してあげるから、眠りなさい」
そのまま後ろに回転するようにして、蹴りを打つ。
威力としてはそこまで高くないが、顎へ当て脳を揺らす一撃。
その攻撃はレイリを行動不能にする。
それにカナタが動く。
「そこまで!」
それにアズミは斧の上から器用に下りる。
レイリはフラフラしている。
「眼が~」
「ほら、肩かしてあげるから、座って休みなよ」
ジンナがレイリに肩を貸して、壁側に連れて行き座らせる。
「すいません」
「良いよ別に。大丈夫」
「休めば何とか……」
実はそこまでダメージはないレイリ。
どうやら手加減してくれたらしい。
ただ……表情は暗い。
「負けました……」
「そりゃあ相手が悪い」
戦った相手はイデア百獣拳の霊獣拳士。
しかも、今回の件で選ばれているので、かなりの実力者なのだろう。
「それでも悔しいです」
しかもあの負け方は前にもやられた。
悔しさもひとしおだった。
それにジンナはこう言う。
「だったら反省して次に活かせば良いさ。それに」
ニヤリと笑い告げる。
「ボクが仇を取ってあげるから」
そう言って腕輪をサバイバルナイフへと変えた。
一方、アズミはカナタと少し話していた。
「ちょっといいかしら?」
「何でしょう?」
「〈心牙〉使えるのって……あなた?」
「違います。知っている人ではありますけど」
「あらそう」
意外そうな顔をするアズミにカナタは訊ねる。
「何でそう思ったのか聞いても良いでしょうか?」
「だってあなた、かなり強いでしょう?」
戦うのが楽しみ、とアズミは好戦的に笑った。
その言葉にカナタはフフフと笑ってから口を開く。
「知りたいなら、ジンナに勝ってからにしてくださいね」
その言葉にアズミは不敵に笑った。
そうして第二戦が始まる。
二人は数メートル離れて向かい合う。
そのまま相手の出方を伺う両者。
(戦闘方法はレイリの時と変わらず……か)
(ナイフの二刀流。アレ……ただのサバイバルナイフじゃないわね)
(手足には防具はなしか。防具を着けない代わり、拳や足を硬くするスキルがあったよね)
(気配がある。明らかに無生物じゃない。妖刀の可能性もあるけど……)
(〈鉄拳〉と〈鉄足〉の四肢verがあったような……? それ使ってるのかな?)
(この感じは多分冥刀。能力はわからないか)
分かる事を整理し……。
「では、行きます」
「来なさい」
ジンナはアズミに向かって行った。
ジンナが振るう右の刃をアズミは素手で受ける。
響いたのは――金属音。
更に、普通なら出血するだろうが、しないどころか薄皮一枚も切れない。
「やっぱり〈鉄拳〉ですか!」
「一応正確。正確には〈鉄肢〉だけど」
「何が違うんですかっと」
左の刃を振るうもそれも受け止められる。
それにジンナは連続攻撃に切り替える。
刃の五月雨を手で弾きながら、質問に答えるアズミ。
「〈鉄肢〉なら一つ分の容量で済む」
スキルは無限に覚えるなんて不可能。
容量の問題がある。
「大きなメリットでしょう?」
「それはまあ……」
「でも、ちょっと手に入れにくいのよね……」
実は〈鉄拳〉や〈鉄足〉よりもレアである。
「それに手足一組だから、靴を履いただけで手の効果も切れちゃう」
「だから素足なんですね」
納得するジンナ。
(困るなら別々に取った方が良いと思うけど)
そんな事を思ったジンナ。
そんな会話をしながらも刃と拳の応酬は止まらない。
アズミが動く。
「変化を付けましょうか」
防御に徹していたアズミが手刀を攻撃にも使い始める。
「隙あり」
「ないですよっと」
繰り出された手刀。
槍のように鋭い一撃を、ジンナは首の動きだけで避ける。
カウンターでナイフの一撃を繰り出したが、それはアズミにより払いのけられてしまう。
そのまま両者、攻撃に集中する。
刃と拳の応酬。金属音が響き渡る。
「凄い……互角」
観戦していたレイリが呟く。
一方、カナタは冷静に分析している。
(確かに互角に見えるけど……)
表情を伺うと、アズミはまだ余裕そう。
恐らくまだスピードを上げられる。
(それに、アズミさんはまだ足技を使っていない)
本人の言と、レイリとの戦いを見る限り、彼女のスタイルは蹴り中心。
なのにまだ使っていない。
(でもジンナも手札がある)
ジンナの冥刀――【エスペ・アヴァンチュルーズ】。
そのチカラは攻撃をすればするほど、時間が経てば経つほど、一撃が速く重く鋭くなるというモノ。
しかもそれをスキルによって増強している。
だが、今はそれを上手く隠している。
「ここからね」
カナタが呟いた。
奇しくも、その言葉を合図にしたかのように状況が動く。
先に動いたのは――アズミ。
「足元がお留守よ」
震脚。
ジンナの足を踏み潰しにかかる。
だが、それをジンナは読んでいる。
「わかってる」
足を引っ込める事で躱し、その足に蹴りを入れる。
だが、それは避けられる。
「……へえ。上半身に集中すると、下半身が疎かになるものだけど」
「こういうのはよくやられたから」
感心するアズミに、ジンナは苦笑。
それにアズミはある事に思い至る。
「もしかして……彼?」
「はい」
オウカとは偶に模擬戦をするジンナ。
足を何度も踏まれました、とジンナはその時の痛みを思い出しながらそう言った。
「へえ、それは良い事教えてくれたわねっと」
アズミは足を踏む……と見せかけながら、前蹴りを叩き込む。
「それもわかってます」
その蹴りをジンナはナイフの柄で受ける。
「あら」
(今がチャンス!)
アズミが片足立ちになったタイミングで、遂にジンナは【エスペ・アヴァンチュルーズ】のチカラを解放し、アズミを一気に押し返す。
「(能力を使い始めた)!?」
……正確に言えばセーブしていた分を解放だが。
それでも敵にとってはいきなりステータスが上昇したように思える。
「ハア!」
「!」
遂に拮抗が崩れる。
アズミがバランスを崩し、倒れかける。
そこへジンナが追撃を仕掛けようとするが……
「これくらい……」
不安定な態勢で足を動かす。
空を蹴る事で間合いを離す。
空中系が得意なアズミだからこそ出来る芸当だった。
だが、それにジンナは追いすがる。
繰り出す連続攻撃。セーブをしていないため、一撃一撃がドンドン重く鋭く速くなる。
それをどうにか態勢を整えアズミは迎撃する。
先程は手だけでどうにか対応していたが、今は足も使って対応している。
生半可な戦闘者、それどころかロボットすらも崩れた連撃であるが、彼女はイデア百獣拳の霊獣拳士。
だからこそ、どうにか対応出来ていた。
だが、それはいつまでも出来る訳がない。
(まだまだ上がりそうね)
アズミは分析していく。
(どこまで上がる? それに……)
手足の様子を伺う。
少し痺れて来たうえに、薄皮が斬られている。
普通に受けたのでは斬られるようになったので、刃を受けないようにして対応していた。
(畢竟……持っているわよね?)
冥刀の奥の手。
使えない人も多いが、恐らくジンナは使えると考え行動していアズミ。
「……(今は待ちね)」
オーラを手足に集中させ刃を受け流す。
リジェネも使っての、持久戦の構えを取るアズミだった。
それにジンナは思考。
(普通なら短期決戦を挑んでくるけど、この人は待ちか)
丁寧に確実に一撃一撃を叩き込む。
(珍しい。限界に達するのを待っているのかな)
そう思った。
(というか……限界あるのかな?)
実はジンナは限界値があるのか知らない。
最大でどうなるかもわからない。
戦いで能力を使った事は何度かあるが、能力を知った相手は短期決戦を挑んでくるので、勝つにしろ負けるにしろ、あっという間に決着してしまう。
(相手は霊獣拳士。だったらまだ手札持っているかもしれない……いや絶対ある)
オウカの助言で走り込みやダンスをしてスタミナを増やした。
独自の判断で、体力やスタミナが上昇するスキルも習得した。
今のジンナは、不眠不休飲まず食わずでも一カ月くらいならパフォーマンスを落とさず、戦い続けられる。
(地道に行こう)
………………
…………
……
そして一時間が経過。
まだ二人は戦い続けていた。
ジンナの限界値は未だ訪れず、強化が続いていた。
アズミはどうにか凌いでいるのだが、道着はあちらこちら斬られ、肌にも切り傷が目立って来た。
一見、ジンナが有利そうな状況。
「このまま行けば、ジンナ先輩勝ちそうですね」
「……このまま行けばね」
レイリの言葉に答えたカナタ。
アズミは何かを狙っているのをカナタは気づいていた。
(何が狙いなのかしら?)
そう思った瞬間だった。
ジンナの一撃が空ぶった瞬間、アズミが動く。
「この距離なら剣は触れないでしょう?」
「!?」
密着する程の間合い。
この距離は武器を触れない、どころか拳蹴すら使えない。
だが……
「ハア!」
「がは!?」
体当たり――鉄山靠が炸裂。
ジンナが吹っ飛んだ。
こうして二戦目が決着した。
「勝負あり!」
カナタがそう声を掛ける。
「ジンナ先輩! 大丈夫ですか?」
レイリがジンナが駆け寄る。
大きな怪我はないが、拳法熟達者の鉄山靠を喰らい、衝撃が全身に伝わっているため、倒れたまま動けないジンナ。
「い、一応……」
どうにか首を動かし、アズミを見て訊ねる。
「狙ってましたか?」
「ええ」
アズミは続ける。
「確かに攻撃は強力になっていたけど、高くなっているステータスの制御が甘くなっていたわよ?」
「……うぐ」
実は今回の戦いで、今までを遥かに超える勢いでステータスが上昇したせいで、肉体の制御が甘くなっていたジンナ。
その隙をアズミは見逃さなかった。
「ステータスって少し上げただけでも、完全制御は難しくなるものだからね」
それはテクニックファイターだからこその言葉。
「ステータス差で押しつぶすなら良いけど、あなたの場合は……」
「わかってます……」
ジンナは戦闘方法は、継続時間でステータスを上げ、叩き潰すのが主な戦闘方法。
だが、上がり過ぎて制御が甘くなってしまった。
そこを付かれたのだ。
「色々考えてみます」
「相談には乗ってあげる」
そして、アズミはカナタの方を向く。
「さああなたの番よ?」
「はい。わかってます」
カナタはアズミに近づいて行く。
そして、何かの瓶を出しアズミに渡す。
「どうぞ回復薬です」
体力・気力・魔力を回復させる高級なもの。
「……いいの?」
「ええ」
アズミの疑問に頷いてからカナタは続ける。
「だって負けた時に連戦していたからって言い訳されたくないので」
その言葉は相手を舐めている……とも取れる言葉。
だが、カナタは相手を舐めていない。
ただ全力の相手に自身の全力を試しただけだった。
それにアズミは凄まじい好戦的な笑みを浮かべる。
……漫画だったら見開き一ページを全て消費して描かれそう。
「そ。ならありがたく」
瓶の中身を飲み干し、瓶を指輪型の匣に仕舞う。
(一瞬毒の可能性も疑ったけど、ちゃんとした回復薬だった)
おかげで全力で戦える。
それどころか、最初の戦いの時より調子が良い気がする。
「ん」
軽く地面を飛び跳ねる。
そして、シャドーで拳と蹴を繰り出す。
「どうかしら?」
「良い気分よ。じゃあ始めましょうか?」
「はい」
そして、示し合わせたかのように二人は飛び出した。
三度目の戦いにして最大規模の戦いが幕明けた。
【TIPS:スキル】
(#ー#)<人によって容量が違う。そして、覚えられる適性とかもある。
(#ー#)<更に際限なく覚えるのは不可能なうえ、一度覚えた物を取り消すのも難しい。
(㈩*㈩)<完全不可能って訳じゃないんでしょう?
(#ー#)<まあな。でも特殊なチカラを使わなきゃ無理だな。
(#ー#)<同系統でランクが高いと上書きされる事もあるけど。
(・▽・)<作中のキャラって容量どうしているんでしょう?
(#ー#)<完全に埋めている奴はほぼいない。全員余白を残している。
(#ー#)<せっかくレアなスキル手に入れたのに使えないんじゃ元子もないからな。
(・▽・)<確かにそうですね。