(・▽・)<このヨシダという方の知り合いはどうなったんですか?
(㈩*㈩)<皆さんの想像通り殺された。しかも……
(㈩*㈩)<その家族や親類まで殺された。そして漏らした奴も同様。
(・▽・)<まあそれくらいやりますよね。
(㈩*㈩)<しかもその知り合いの目の前で見せつけて最後に殺した。
(・▽・)<ふうん。
(#ー#)<(そういえばコイツ物騒な世界出身だったな。だから動じないんだな。)
……
…………
………………
そうしてヨシダの案内を受け、彼が所属している組織――≪
物陰から様子を伺ってみる。
そこは少し広めの廃倉庫であり、見張りが二人扉の前に立っている。
「さて……どうしよう?」
「一気に行きましょう!」
「そればっかりね。」
「それしかないけど」
「異論はないけど、誰がやるの?」
そうして相談した結果……
「私と」
「あーしがやる」
カナタとアズミがやる事になった。
理由は――隠密状態で一気に殺れるから。
アズミは気配を濃くする事も、薄くする事も自前で可能。
そのためヘイト集めてのタゲ取りも可能だが、気配を遮断し、無意識に入り込んでの隠密活動も結構上手い。
カナタは数多の感覚を欺瞞させる術を使う事で、五感探知に引っかからず動く事が可能。
レイリはともかく、オウカとジンナも隠密は出来るが、この二人の隠密は凄まじいからこそ適任。
「じゃあお願い」
「ええ」
「任せて」
オウカの言葉に二人は頷く。
そして、一気に動く。
カナタは幾つもの術を合わせ姿を消し、アズミは気配を無くす。
そして、見張りに接近する。
「あーあ、暇だな」
「真面目にやんねえと殺されるぞ」
「だな」
会話をしている男二人。
武装は対プレイヤー、モンスター用の長銃。
最近、ある企業が作り出して出回っている代物。
装弾数は二百発。銃剣の如く先端にナイフが付いており、かなり頑丈に出来ているので槍のように使え、遠近万能に戦える。
そういう訳で二人は背後に回る。
そして合図と共に。
「フ」
「ハッ」
同時に動いた。
カナタは小太刀を一閃し、首を切断。
アズミは両手で首を捻り折る。
「ッ!」
「ポキュ!」
そうして見張りは何が起こったのかもわからず死んだ。
死んだ瞬間、物陰にいた三人……
「じゃあ行きましょう!」
「そうね」
「おい、しっかりついて来いよ」
「は、はい!」
否、四人は動く。
ヨシダもセットである。
騙しもせず、罠も仕掛けなかったので、死なせるのは惜しいとなった。
前に出たのはレイリ。
(後、どれだけ持つだろう……)
その手には愛用のツギハギ巨斧。
「ドア! オープン、ザ、プラアアイスウゥ!」
「……ブレイクじゃない?」
「プライスは要らないと思う」
ツッコミを入れるジンナとオウカに構わず、それを自らの剛力でぶん投げた。
それは扉を砕き、その近くにいた者達を吹き飛ばした。
中には数十人近くがいる。
いきなり突っ込んで来た巨大な斧にざわめく半グレ達。
「な、なんだ!?」
「カチコミか!」
だが、冷静に武器を装備する者もチラホラ。
どうやら訓練されているらしい。
「馬鹿か、この人数相手によぉ」
「死にに来たか?」
そうして入って来る者を迎撃しようとしたが。
「何か言っていないですぐ動け」
「うお!?」
オウカがいつの間にか近くにいた。
「お前の来世……河童な」
「人間が良い!?」
手に持った黒いナイフで相手の頭部を斬った。
そのまま縦横無尽に暴れ、頭無し人間を量産する。
ジンナも動く。
「やっぱりこっちの方がしっくり来る」
手に持っているのは冥刀【エスペ・アヴァンチュルーズ】の双頭剣形態。それを双剣にする。
「ハ、フ、ヤア!」
「ギャ」
「へぶ」
「ピぎゃ」
双剣が振るわれるたび相手が死んで逝く。
その一撃は鋭く、速く、重い。
「舐めるなよ!」
盾を持った奴が前に出て来る。
ジンナの一撃を受け止めたが……
「脆い」
「へあ!?」
盾ごと真っ二つ。
実はアズミとの模擬戦が終わってもなお、抜錨状態を解除しなかったので、戦闘力はあの時のまま。
今のジンナのステータスはドエライ事になっている。
そして戦うのはこの二人だけではない。
「新武器の試しと行こうかな……」
二人とは少し遅れて突入するレイリ。
巨斧はぶん投げてしまったので無手。
だったが、その手にいつの間にか斧二つ握られている。
どことなく異質な気配を放つ一対の斧。
実はこれ――冥刀である。
▼▽▼
銘は【ラビリス】。
ミユのゴタゴタの際、オウカはその人物と戦い倒した後、何かの役に立つかもしれないと回収して、マユに調整して貰い、預かって貰っていた。
そうして今回オウカを待っている間、マユがレイリに訊ねる。
『その斧、どうしたの?』
『この間の実習で壊れちゃって……』
『新しいのは?』
『持っていないです』
『そう、なら』
彼女は【ラビリス】を渡す。
『はい。これ使って』
『え!?』
『いいの!?』
驚くレイリ。アズミも冥刀の希少性を知っているので聞いた。
それにマユはさも平然と答える。
『仕舞っておくなら誰かが使った方がいい。変形機能で大斧にもなるからピッタリだと思って』
『……』
レイリは手を伸ばそうとして躊躇うも……
(斧の冥刀ってあんまりないんだよね)
この事を思い出し。
『……~~』
受け取った。
■□■□
そしてレイリは言葉を紡ぐ。
「刃金の誓い、今此処に」
両手の斧が脈動する。
「戦士七人、乙女七人。怪物の生贄となれ」
レイリはオーラを纏う。
「迷宮、牛魔、雷光、英雄、短剣。赤い糸玉」
半グレ達は詠唱を止めようと襲い掛かって来る。
「されど怪物倒し、迷宮より生きて戻れ」
だが、それをレイリは捌いていく。
「光へ堕ちろ、闇を照らせ」
そして、レイリの目が光る。
「
詠唱が終わると同時……
「!」
レイリは、冥刀のチカラで増強されたステータスで切り込む。
「は、はえぇ!」
「い、いつの間に」
怯む相手を双斧で斬り裂く。
「フッ」
「ぎゃああ!?」
「ごえぇ……」
その手に躊躇いはない。
(ああ、この感覚……病みつきになりそう)
人の命を絶つ事に快楽を感じてしまうレイリ。
だが
(溺れないようにしないと)
自身を律する。
普段は抑え、こういう時に発散させる。
もしどうしようもなくなったら、その時は
(サクヅキ先輩か、クインちゃんに殺してもらおうっと)
そう思ったら、気が楽になって来た。
「フフフ」
レイリは笑った。
そのまま笑顔で相手を殺していく。
それに半グレ達は怖気付く。
「ば、化け物!」
「に、逃げろぉー!」
「逃げ場なんてねえ! 戦え!」
まとめ役らしい奴が檄を飛ばすが、効果はない。
それどころか……
「ぐぎゃあ!?」
「ほげえ!!」
出口へ向かった者達の断末魔が上がる。
彼らが倒れると、そこにはその下手人がいる。
「好き放題やって来たんだから、好きにやられる覚悟を持たないと……ね」
手に太刀を持った少女――クドウ=カナタ。
そのままバッタバッタと斬り払って行く。
下手に術を使うよりもこちらの方が絶望を与えられる。
それに半グレ達はここの出口は無理だと諦める。
「ならあっちだ!」
「逃げるぞ!」
別の出口に向かう。
「やった。出口だ!」
そこならまだ大丈夫だと希望を持っていたが……
「張っているに決まっている」
「ギャアアア」
そこには――イサカ=アズミがいる。
タイキックで首の骨が圧し折れ一発で絶命した半グレ。
実は事前に周囲を偵察していたのである。
だからこそ、カナタとアズミの二人は逃げそうな所に張っていた。
「さあ死になさい」
そのまま流れるような蹴りにより、出口にいた者の命を奪って行った。
◇◆◇◆
「ど、どうしてこうなった……?」
リーダーが呟くのも無理はない。
半グレ組織≪燼≫は壊滅寸前だった。
中では、オウカ、ジンナ、レイリが暴れ、出入口にはカナタとアズミがいる。
つまりは逃げる事が出来ず、戦うしか選択肢がない。
(せっかくここまで大きくなったのに……)
リーダーは今までの事を走馬灯のように思い出し始めた。
▼▽▼
≪燼≫
よくある弱小半グレ組織(?)
とは言え、弱小組織に過ぎず、一時は敵対組織にやられる寸前だった。
だが……
『なぁ、ちょっくらよぉ〜、協力してくんねえかぁ?』
ある時、その人物がやって来て全てが変わった。
下っ端の一人が敵対組織との抗争中に、助けて貰ったと言う事で連れてきたのだ。
『オイラはあまり表立って動けねえんさぁ〜』
との事。
そして、この人物は手付金代わりに敵対組織を全滅させた。
そういう訳で、その男――カマタの下に≪燼≫は付く事になった。
それからは彼の指示で動いたおかげで収入が増え、組織の規模も大きくなった。
……ただ偶に舐めた奴が粛清されるようにはなった。
しかも全く容赦がない。
なにせ何をやっているのかをちょっと漏らしただけの奴が、その家族諸共殺害された。
それには全員が怖気づいた。
結果、組織を抜けようとした奴も出たが、その日の内に骸となった。
とは言え、飴と鞭の内、鞭だけでなく、飴もあった。
下っ端までかなりの金が貰えるようになったのだ。
だからこそ、抜けようとする者はいなくなった。
来るもの拒まず、去る物はこの世からとなり、組織は拡大していった。
だが、その組織は壊滅しようとしていた。
◇◆◇◆
そうして、生きている者は残り僅かとなった。
人間ピンチになると、逆に冷静となる。
だからこそリーダーは気づいた。
襲撃者の後ろに自身の組織の下っ端が居る事に。
「おい! お前裏切ったのか!?」
「ぴえ!?」
怯える裏切者――ヨシダ。
彼は怯えながら言葉を絞り出す。
「は、吐かないと殺されるから……」
「馬鹿! 裏切者がどうなったか知っているだろう!?」
「そ、それは……」
その時だった。
「こうなるねぇ~」
第三者の声。
「「ッ!!」」
このままだと不味いと感じ取ったのは――勘の鋭いオウカとレイリ。
咄嗟の判断でオウカはジンナを掴み伏せさせる。
「伏せろ!」
「わ!」
レイリはヨシダに足払いして地面に倒しておく。
「ごめんなさい!」
「ほべ!?」
そうして自分も伏せた瞬間だった。
斬撃が辺りを乱舞する。
その結果、その場で立っていた者は全員斬り刻まれた。
「ぎゃあああ!」
「か、カマタさん!? なんで!?」
「俺らまでぇ―!!」
暫し断末魔がこだました。
その結果、立っていた者達――<<燼>>の構成員は斬り刻まれて絶命。
生き延びたのは伏せていたオウカ、ジンナ、レイリ、ヨシダの四人。……出入口を付近にいたカナタとアズミも無事。
伏せながらオウカは分析している。
(今の攻撃……空間切断が付与されてた)
つまりは、概念、もしくは次元系統――時間、空間、重力――の防御でないと防げない。
(それと今のいきなり放たれた……という事は)
「サク君、サク君」
ジンナの呼びかけに、オウカの思考がストップする。
彼女は続ける。
「この態勢はちょっと……」
オウカは今ジンナを押し倒した状態になっていた。
「……すまん」
素直に謝ったオウカ。
「こういう事はTPO考えてね?」
いたずらっぽく言うジンナに、オウカは言い返す。
「そこから先……シテいいの?」
「!」
ジンナの顔がトマト色になった。
何か雰囲気が甘くなっている。
そこへ立ち上がったレイリが叫ぶ。
「先輩達! そういう事は後にしてください!」
「そういう問題!?」
ヨシダがツッコミを入れる。
因みに足払いが強すぎた事と、転倒した時の打ちどころが悪かったせいで、まだ立てない彼。
「……ま、確かにそうだな。ほいっと」
「……ありがと」
オウカは先に立ち上がり、ジンナに手を貸して立ち上がらせる。
するとそれを見計らったかのように声が聞こえる。
「生き残りがいるのかぁ?」
その言葉と同時、空間が破けたかのように裂ける。
そして、そこから男が出て来た。
短めの髪をした物静かな雰囲気の男。
これだけなら街中にでも歩いていそうなのだが、とある一点が異常。
肩に巨大な大鎌を担いでいる。
そして、目が白黒反転し、片方は青く、片方は青紫に光っている。
その眼がぐるりと辺りを見渡し、口を開く。
「雑魚が一人、強そうなのが二人、凄く強そうなのが二人……」
そして、視線はオウカを真っ直ぐに捉える。
「ヤバそうなのが一人」
「そう言って貰えて光栄だね」
オウカは笑った。……俗にいう眼が笑っていないという奴だった。
そんな彼は問いかける。
「もしかしてお前が……カマタ?」
「そうだけど、誰から聞いた?」
その言葉にオウカはすぐに答える。
「断末魔で叫ばれていた」
「あらら」
ヨシダからも聞いていたが、あえてこう答えたオウカだった。
【TIPS:ラビリス】
(㈩*㈩)<両刃斧型の冥刀。元は
(㈩*㈩)<オウカが回収して、レイリに渡した。
(㈩*㈩)<補正が高めで、変形機能も高い。そして能力は身体増強のオーラ。
(㈩*㈩)<後、奥の手で迷宮の展開がある。
(#ー#)<だからラブリュスとラビリンスを合わせた名前になってのんか?
(㈩*㈩)<そういう事。そして冥刀らしく所有者によって多少差異も出てる。
(㈩*㈩)<その辺は追々。