(#ー#)<人間大のサイズで、人型のロボット。イメージ的には動くマネキン。
(#ー#)<武器はサブマシンガンとビッグナイフ。遠近対応可能。
(・▽・)<そういえば、最初出たのと、戦車に居たのって何か違いません?
(#ー#)<ああ違う。後者の方が優秀。高度なAIも積んでいる。
(#ー#)<だから戦車でアイツの動きを見切ってから挑んだ。
(㈩*㈩)<結果は……あの馬鹿と同じタイプなせいで負けちゃったのか。
そうして彼は背を向ける。
見物人達の近くに行きこう言う。
「勝ったぜ」
エンバの言葉にオノヅカとモモタは……
「油断し過ぎだ」
「もうちょっとスマートに行けたんじゃないの?」
「幾ら調整があるとはいえ、そんな事繰り返していたら死ぬぞ?」
「初見殺しとかあるからね。プレイヤーしかり、モンスターしかり」
結構手厳しい意見。
「……」
エンバは沈黙。
そして、オウカは……
(二人が厳しく言ったんなら……)
少し考え。
「オーラの配分が上手かったですね」
こう言った。
飴と鞭という言葉があるように、人は鞭だけでは駄目だ。
飴も与えなければならない。
なので、オウカは飴になる事にする。
「流石界蟲拳」
オーラの熟練者は攻撃や防御などの性質に特化出来る。
更にそこから細分化させる事も可能。
防御なら、対物理、対エネルギーなどに可能。
ベニバナも可能だが、やはりまだ精度や出力が甘い。
だが、エンバはそれが完璧だった。
そんなオウカの褒める言葉に
「……おう、そうかい」
それだけ言ったエンバ。
だったが、その表情は少し緩んでいる。
「まあ、ウチはオーラの専門家だからな」
エンバはそう言った。
………………
…………
……
その後も偶に戦闘しながら、奥へ進むオウカ達。
道中、オートマタや機械ゴーレムが出現するので、戦っていく四人。
戦闘はエンバとオノヅカが中心に戦い、偶にモモタが障壁で支援していた。
オウカが手を出す暇もなく、隙もなかった。
「……」
手を出さなくて良いのは楽で良いが……
(やっぱり多少は戦りたいな……)
そんな風にウズウズしていると、モモタが話しかけて来る。
「そういえばさ……」
「はい?」
「サクヅキくんってどう戦うの?」
「どうって……」
顎に手をやり、少し考えてから説明する。
「主に使うのは刃物系ですね。鉈、ナイフ、長ドスを使って……」
左手で黒い剣を作り出してこう言う。
「色々混ぜて戦います。状況に応じて他の武器も使いますね」
そんな彼の言葉にオノヅカがこう言う。
「百聞は一見に如かず」
「……ええそう言いますね」
「次は譲る。おいエンバ」
「ん? ……ま、いいか」
「という訳だ。やってみろ」
「……わかりました」
そういう訳で、次に何か出てきたらオウカが戦う事になった。
……
…………
………………
次の相手はオウカが戦う事になったのは良いのだが……
「出て来ねえな……」
「……出ないね」
オノヅカとモモタが呟いた。
そう言うのも無理はない。
先程まではひっきりなしにオートマタだの、ロボットだのが出て来たのに、今は何も出てこない。罠すらない。
「何でだ?」
首をひねるエンバ。
それにオウカも考えていたが、ふと彼の脳裏にある光景が過った。
△▲△
それは彼がまだ一年生だった頃。
しょっちゅうゴタゴタに巻き込まれたり、首を突っ込むオウカであるが、ちゃんと暇……というか問題に巻き込まれていない時期も存在した。
それはそんなある日の一幕。
最後の授業とホームルームが終わり、生徒達は部活へ向かったり、委員会活動をしたりする。
とは言え、何かしら用事があったり、帰宅部だったりして帰る者もいる。
オウカもその中の一人だった。
「さて帰るか……」
そう呟き荷物をまとめてると、誰かが傍に来た。
「サク君」
「ジンナ?」
そこに居たのはクロガネ=ジンナだった。
「どうした? 何か困り事か?」
「そんなしょっちゅう巻き込まれないよ。誰かさんと違って」
余計な一言を言った彼女にオウカは席から立ちあがり……
「確か……ここをこうして……」
「?」
まず、ジンナの背後に周り、彼女の左足に自分の左足を絡める様にフックさせる。
「こうやって……」
彼女の右腕の下を経由して、自分の左腕を首の後ろに巻きつける。
「こう!」
背筋を伸ばすように伸び上がる。
「イタタタタタタ!?」
ジンナが悲鳴を上げた。
コブラツイストである。
しかも、オウカは両手をクラッチして、威力が増させている。
「余計な事を言うのはこの口か? え?」
「ゴメンゴメンゴメン!?」
これがオウカとジンナの関係だった。
こんな風にジンナが軽口を叩き、オウカが折檻するという事がよくある。
クラスメイトやオウカの他の友人達も最初は驚いていたが、今ではよくあるスキンシップという事で、生暖かく見守っている。
因みに、オウカも本気ではない。
そんなに痛まないようにやっているうえ、後遺症が出ないようにしている。
閑話休題。
そして、オウカは訊ねる。
「それで? 何の用?」
「え? この体勢で言うの?」
コブラツイストを掛けたまま。
それにジンナが驚いたように言った。
「いいから言え。ふざけた理由だったら……」
「……だったら?」
「このままパワーボム」
「やめて!?」
異性にやる事でない。
……というか同性にやる事でもないが。
このままでは本当に投げられてしまうと、ジンナが要件を口にする。
「今日さ、予定ある?」
「特には」
「だったらさ、遊ばない?」
「……どこで?」
「ゲーセンとか?」
その言葉に呆けたような表情になったオウカ。
コブラツイストが緩む。
その隙にジンナは何とか抜け出す。
「サク君さ、そういう事ってした事ないでしょう?」
「……まあ」
オウカはそもそもこの学校に入学するまで、人間とあまり交流していない。
小さい頃の場合、育ての親は絡繰人形、友達はゴキブリ、ドブネズミ、シロアリだった。
家出(もしくは脱獄)後は、師匠であるメイドと、その知り合いくらい。
そして、高校に入学後は今は知り合いが増えたが、あの事件まではボッチ。
異世界後もゴタゴタに巻き込まれてばっかりだったので、学生らしい事をした事がなかった。
「だから行こうよ」
そう言って彼女は手を差し出す。
オウカはその手を――
「ああ」
取った。
そしてこう続ける。
「でも、俺、そう言う事わからないから教えてくれ」
「お安い御用だよ」
そうして二人は手を取り合って遊びに行く事になった。
教室を出て行った二人を見て、残った生徒が呟く。
「……アレで付き合ってないの?」
「どう見てもただの友人関係じゃないよね……」
そんな呟きにまだ教室に居たタナカがこう言う。
「アイツも色々あったらしいからな、距離感おかしいんよ」
その言葉に全員一応納得した。
………………
…………
……
そうしてゲームセンターで遊ぶオウカとジンナ。
そんな中であるゲームに目が入る。
「これって?」
「ん? ……ああ、戦略ゲームだよ」
「??」
ジンナは説明する。
「単純に戦わせるだけじゃなくて、勝利のために熟考して計画を練ることに焦点を当ててるの」
「ふ~ん……」
「ま、実際にやってみよう」
「……おう」
そういう訳でやってみる事になった。
「……誰でも使える訳じゃないんだな」
「当然だよ。強いユニットは生産コストが高いから」
技術ツリーや相応の時間が必要となる。
「本当にシュミレーションしているんだな……」
そう思ったオウカだった。
◇◆◇◆
(アレは結構楽しかった。今度は皆で行こうかな)
その時を思い出したオウカ。
少しだけ表情が緩む。
とは言え、なぜ思い出したのかが、わからなかったが。
「あ」
ジンナが言っていた言葉を思い出す。
ある可能性を思いつき、思わず声が出てしまった。
それに三人の視線がオウカへ向く。
「どうした?」
「なんかあったか?」
「何に気づいたの?」
三人の疑問にオウカは口を開く。
「コスト」
「「は?」」
「コスト、て?」
モモタの疑問にオウカはジンナが言っていた事をそのまま話す。
戦略シュミレーションゲームの事、強いユニットは生産コストが高い事、技術リーや相応の時間が必要な事を話す。
それにオノヅカが訊ねる。
「それが何か関係あるのか?」
「それは……」
答えようとしたオウカだったが、その前にモモタが引き継ぐように口を開く。
「ここに居るであろう相手は、ちょっとずつちょっとずつ生産体制を整えていたって事だね」
「……はい」
「頑張ったね。とても頑張った」
「敵を褒めるな」
エンバのコメントを無視して、モモタは続ける。
「ていう事は、ここまでぼくらがやって来たなら、そろそろ満を持して投入するんじゃないかって事?」
「……はい」
返事をしたオウカ。
それにエンバとオノヅカの表情が引き締まる。
そのタイミングだった
地面が震える。
「地震……?」
「いや、何か違う……」
「まさか……下に!?」
「ドンピシャリか」
四人はその場から飛びのく。
丁度そのタイミングで地面から巨大な物が躍り出た。
『RURURU~~♪』
そして、歌っているかのような咆哮を上げた。
それは巨大なゴーレムと言うべき物。
今まで出て来たロボット、オートマタ、歩行戦車は、見た目は(内部はともかく)完全機械だったのだが、このゴーレムは鉱物や岩石で構成され、背中に樹木を生やしている。
これだけなら、自然界でも時々発生するのだが、機械部品があちらこちらについており、全身に砲口が存在している。
「これって……ミユが戦ったとか言う……」
オウカが呟いた。
それは、かつてオウカが協力した、ミユが古巣の殺し屋組織と激突した際に、組織のボス――
オウカも話に聞いていた。
……ただ、多少の差異はある。
機械装甲が少し多くなっており、砲口は減っていた。
四人には一目でわかった。
今までのオートマタ、ロボット、歩行戦車と比べ物にならない程強い。
それを見てオウカは――前に出る。
「じゃ、約束通り俺がやります」
作って、そのままにしておいた黒い剣の形を変えていく。
あっという間に、身の丈……どころか彼の身長よりも遥かに……というか五倍はありそうな巨大剣にする。
常人、というか力自慢のプレイヤーでも引きずるのがやっとそうな大剣をオウカは軽々と担ぎ上げる。
「……おい、大丈夫か?」
「明らかにレイドボスだけど」
オノヅカとモモタが心配そうにそう言うが、オウカはこう答える。
「大丈夫です。問題ないです」
「それ、問題ある人のセリフだったような?」
モモタの言葉に、オウカは訊ねてみる。
「さっきといい、今といい、もしかしてゲームやるんですか?」
「多少ね」
「納得しました」
気になった事が聞けたので、オウカは更に前に出る。
そんな彼に今度はエンバが話しかける。
「いいなぁ。俺様に変わってくんね?」
「そうしたいのは山々ですけど、さっき言いましたよね?」
「あん? ……ああ」
次の相手は譲るとエンバは言っていた。
なので、
「……いいぜ」
大人しく引いた。
それにオウカは無言でペコリと頭を下げて、相手――巨大ゴーレムと向かい合う。
「じゃあやろうか」
そのまま彼は駆け出した。
巨大な大剣を持っているとは思えないスピード。
それにゴーレムは全身の砲口からミサイルを放ち対抗する。
「んな!?」
「やっぱりロボットでもあるのかよ」
オノヅカとエンバがそう言った。
そのミサイルはオウカ目がけ、襲いかかて来る。
それを、オウカは首に掛けていたペンダントを指輪と腕輪にする。
これは冥刀だった。銘を【グウェンゾライ・アプ・カイディオ】。
叢雅一門の一人、須臾叢雅が作り出した最強の一振り。
それから、
「ハッハー!」
そのまま機動力を引き上げ、一気にミサイルを引き離す。
そして、対象を見失ったミサイルは――モモタ、オノヅカ、エンバを代わりにロックオンした。
「は!?」
「あの野郎!?」
「あらら~」
襲い掛かるミサイル。
それにモモタは両手で結印を結び、
「二人共、動かないで」
障壁を張った。
それはドーム状であり、幾重にも重なっている。
それはミサイルを全て完全に防ぎ切った。
【後書】
(・▽・)<実は作者はあまりゲーセンに行った事がないので、
(・▽・)<どういうゲームが置いてあるとかわかりません。
(・▽・)<本当のゲーセンは戦略ゲームなんてない可能性もありますが。
(・▽・)<なので、ここのゲーセンにはなんかある、とだけ。