(・▽・)<彼は障壁の達人です。
(・▽・)<前に使ったのは、単分子程の薄さの障壁で、長ドスの射程伸ばす最強の矛。
(・▽・)<今回使ったのは、障壁を薄くして幾重にも重ねる。
(・▽・)<しかも絶え間なく紡ぎ出す事で、連続攻撃も防ぎ切る。
(・▽・)<これが最強の盾。
(・▽・)<因みに普通の障壁でもかなりの強度と硬度を誇る。
(㈩*㈩)<基本技でも極めると強い一例だね。
そんな様子を知ってか知らずかオウカは戦闘を続行する。
遂に、ゴーレムに肉薄し、巨大剣を振り下ろした。
☆★☆★☆
実はこの巨大剣はただの剣ではない。
オウカの左腕の代わりになっている黒腕で作り出した物。
コレは――彼の友達と言うには少し違うかもしれない。……強いて言うなら悪友であるコジュウロウが、オウカの特大ピンチの時に際し、使えるように《
そのチカラは刀剣類を作り出す事。
最初は制限や燃費などの問題があったのだが……
『わたしがどうにかして見せる!』
マユ――叢雅一門の一人にして、全員の冥刀製作に関わっていた人物、仕事名は刹那叢雅が立ち上がった。
更に。
『この腕……金属なのか。実に興味深い』
ジンナの知り合いである、鬼の鍛冶師イムロンの力も借りた。
その結果――かなり使い勝手が良くなった。
作り出せるのは刀剣だけだったが、現在はは暗器や忍具のカテゴリーに入る武器も生成可能になった。
更に、三本以上作り出すと疲労具合が段違いだったが、今は大量に作り出しでもしない限りそこまで消耗せず、刀剣自体の変形ならノーリスク。
それに加え、切斬能力は色々拡張・強化し様々な応用が利くようになった。
ただし……
『つ、疲れた……』
『……槌も持てん』
『疲労、困憊』
マユとイムロン、そして補助に回ったネラは疲れ果てていた。
◇◆◇◆
その一撃はまともに喰らえばゴーレムを真っ二つにする致命斬撃。
それをゴーレムは体に防御バフを重ねる事で致命傷を伏せぐ。
それでも巨大剣が体に半分以上食い込む。
そうしてゴーレムはオウカの動きを止め、彼目がけ砲口から機銃を連射。
それに、彼は巨大剣を離し、飛び退いた。
そのままゴーレムを駆け上がりながら、次々と剣を作り出して突き刺していく。
そして、ゴーレムから離れ……
「オラァ!」
手で引っ張るような動作をする。
するとゴーレムに食い込んでいた巨大剣がオウカの手元に戻る。
手放す前に鎖を生成し、くっつけていたのだ。
巨大剣は鎖鎌ならぬ鎖巨大剣となっていた。
それをオウカは両手で持ち正眼で構える。
ゴーレムは再び防御バフで防ごうとしたが……
「さっきと同じな訳ないでしょう」
その言葉と同時、突き刺していた数多の剣が大爆発。
そのせいでバフが出来ず、防御力が低下。
その隙を、オウカは見逃さない。
「ハァ!」
巨大剣が振り下ろされる。
それと同時、刃が光線状の剣となり、ゴーレムを一刀両断した。
「……」
真っ二つになったゴーレムをオウカは無言で見つめる。
相手が完全に動かなくなるまで油断はしない。
「……やっぱり」
呟くオウカ。
彼の予感通り、二つになったゴーレムの体が修復し始める。
だが、それを見過ごすオウカではない。
「させるかよ」
再びゴーレムに接近しようとするが、それに砲口が向く。
「ッ!?」
嫌な予感がしたオウカ。
横っ飛びに回避。
するとそこにレーザーが着弾。
どうやら、ミサイルだけでなく、弾丸とレーザーを撃てるらしい。
更にミサイルと機銃まで放たれる。
それを回避しながら、オウカは思考する。
(余程近付けたくないらしい)
ゴーレムを見ると、砲口が熱くなっている。
どうやら自身の損傷と消耗を無視して攻撃をしているらしい。
その間も修復が進んでいる。
(さて、どうするか……)
オウカは思考。
このままやっていると長期戦になる。
なので。
「よし」
決断。
一気に決める。
「よいしょっと」
巨大剣を少しだけ変形させ、大きな盾が合体したような形状にする。
そして、それを盾代わりに突進。
それにゴーレムは攻撃の雨霰を打ち対抗。
だが、どれもオウカに届かない。巨大剣の硬度を突破出来ない。
再びゴーレムに近づいていく。
そして、 間近まで来た時だった。
ゴーレムの足が動いた。
屈伸をするかのように膝を曲げ、ジャンプ。
のしかかりでオウカは押しつぶそうとする。
「い!?」
「おいおい……」
「……わ」
見物人三人が驚いた。
流石にその攻撃は予想外だったらしい。
オウカはそのままぶっ潰された……ように見えた。
だが、オウカはそこに居なかった。
「隙を作ってくれてありがとう」
彼はゴーレムの真上にいた。
そのまま巨大剣を振り下ろす。
それをゴーレムは防御バフを重ねる事で一撃のダメージを下げる。
巨大剣は半分刺さった所で止まった。
だが、それは想定済み。
「一度で駄目なら……何度でも」
巨大剣の一部……ゴーレムに食い込んだ所を切り離す。
そして、移動しながら残りの部分を形成し直し、巨大な剣鉈のようにする。
そして、振り下ろす。
そのままそれを繰り返す。
そうしてゴーレムの体には幾つも刃が突き刺さった状態になる。
だが、オウカの手元の剣も長ドス程の長さと太さになってしまった。
「見つけた」
それでも巨大剣だった物は役目を果たした。
何度も斬る内に、オウカは核を見つけた。
「もう一回っと」
指を弾くオウカ。
突き刺さった刃が再び起爆。
そして、出て来た核に向け、オウカは一撃を見舞った。
核は真っ二つになった。
それと同時、ゴーレムの体が崩れ去った。
復活する事も考慮して、暫く観察していたが、その心配はなさそう。
「ふぃ~」
手元の刃を仕舞い、オウカは三人の元に戻る。
「終わりました……」
そんな彼に
「みたいだな」
「危ねえ所も少しあったな」
「まあ無事で何よりだよ」
三人はそう声を掛けた。
「まあ結構タフな相手だったので」
「みたいだな。ありゃオレだと少しキツかった」
「そうか? 内部破壊とかで行けた気がするけどな……」
「見た感じ核が動いているから、そう簡単には行かないと思うけど」
そうして四人は少し会話をしてから、その場を後にした。
■□■□
とある場所。
見た所、あちらこちらに外の映像が映っている部屋。
オウカ達の珍道中を見ている者
「三人は見ない顔だが、一人は【機甲人形】と戦っていた奴だな」
白衣を着て椅子に座っている男。
彼はイヌガミ=コウメイ。
とある組織の幹部の一人である
実はこの場所、彼の隠れ家の一つ。
「中々楽しめそうだな……」
そう言ったのはドレッドヘアの男。
彼はセナヤマ=カズマサ。
組織の新入りである。
一応イヌガミの護衛……という訳でここにいる。
「なるほどっちゃ。クルセイダー、ノーブル、シャーマン、デュナミスト……ちゃね」
壁際に背を預けているのはリーゼントが特徴の伊達男。
彼はゴドー=ヨシノ。
この場の面々では一番の古株。
彼もイヌガミの護衛、そして、新人の監督でここにいる。
▼▽▼
この日、イヌガミは昨日の【装甲人形】で得たデータを纏めて、次の作品に生かそうとしていたのだが、侵入者を探知した。
映像を見てみた所、見知った顔が一人あった。
「おや、バレたか」
彼は馬鹿ではない。
だからこそ、昨日の戦闘で何かしらの手掛かりを掴まれ、ここに居る事に気づいた。
自分だけで迎え撃とうかとも思ったが、報連相は大事。
「一応……一言言って置こう。面倒だがな」
なので、一応リーダーという事になっているカダに連絡した。
……ぶっちゃけこの組織、幹部に上下関係はあまりない。
「しかし……なぜバレたのか……」
そんな事を考えていると、二人の人間が転移して来た。
「お前達が吾の護衛という訳か……」
「そうっちゃ。自分らみたいな戦闘員と違って替えが効かないっちゃ」
そう言ったのはゴドー。
そしてもう一人――セナヤマが笑う。
「それで俺様も付き添いで来た訳さ」
彼はそう言った。
そんな二人にイヌガミは反論する。
「確かに戦闘員なら替えは効く。だが、お前達レベルはそうはいないぞ?」
実はこの組織の面々……特に戦闘要員である五人は全員がクロスを二つ持つクルセイダーなうえ、冥刀を使いこなすデュナミストでもある。
それだけでなく、その二つ以外にも手札をまだ隠している。
スキルなり、モンスターなり、アーティファクトなり。
ここまで持っている人はそうはいない。
クロスは手に入れるのは容易いが、戦闘に使えるかどうかは五分五分。そして、一回目の投与の適合率は高いが、二回目の成功率は半分以下になる。しかも二回目も当たりを引き当てるのは相当な運が必要。
冥刀に至っては、そう簡単に手入らないうえ、手に入ったとしても、相性や代償などで使えるかはわからない。
そんな中で、この組織の五人は当たりに部類のクロスを二つ持つうえ、冥刀を使いこなしていた。
そんなプレイヤーは滅多にいない。
そんな彼の言葉に、セナヤマは口元に笑みを浮かべる。
「そう言って貰えると嬉しいね。まあカダさんもヤバかったら逃げてこいって言ってるから平気さ」
「そうか」
「それに……コレもあるしな」
セナヤマが出したのは錠剤。翼のような意匠を持っている。
【ダークウィング】であった。
実はこれ、幹部全員所持している。
つまり、更にブースト可能。
そんなセナヤマにイヌガミは注意するように言う。
「確かにそれはチカラが得られる。だが、複数服用はやめて置け。下手をしなくても死ぬぞ?」
「へいへいっと」
セナヤマは錠剤を仕舞う。
「そういえば……」
ゴドーがイヌガミに問う。
「自分らの服用限界はわかるっちゃ?」
「うん? ああ。だが……」
「わかってる。オーバードーズするのはどうしようもなくなった時だけっちゃ」
「ならいい」
そうして監視カメラの映像に目を移すと、侵入者は着実にこちらに近づいて来る。
それにイヌガミは座っている椅子のスイッチを押す。
すると、椅子が浮き上がり、そのまま浮遊して動きが始めた。
「さて。では行くか」
「「どこへ?」」
「来客には挨拶しなくては……だろう?」
イヌガミの言葉にゴドーとセナヤマは――凶悪な笑みを浮かべた。
「そうこなくっちゃ」
「待ってるのは暇だからな……」
そうして三人は部屋を出た。
◇◆◇◆
そして、そのまま進む四人。
巨大ゴーレムが出てきて以降、何も出てこない。
それが逆に不気味。
オウカが呟く。
「……この感じだとアレですね」
「アレ?」
「ええ。似たようなパターンを経験した事があるので」
思い出したのは、仲間や友人達と偶にしたカチコミ。
あの頃はヤンチャだったなと、思い返す。
……今も十分やんちゃである。
すると、モモタが訊ねて来る。
「じゃあ聞くけどさ……」
「はい」
「この後ってどうなるの?」
「簡単ですよ」
オウカが説明する。
替えが効く雑兵や雑魚でも、失い過ぎれば補充に時間も手間もかかる。
だからこそ……
「敵のボス、もしくは幹部がお出ましです」
そのタイミングだった。
エンバが立ち止まる。
「――誰か来たぞ」
「ドンピシャですね」
やっと事態が動くと、オウカとエンバは口元に笑みを浮かべる。
「人数は? つーか人か?」
オノヅカが問いかける。
「人だな。人数は三人」
熟練した闘氣使いは戦闘だけでなく、気配を感じ取るのも上手い。
しかも界蟲拳の場合、その蟲の特性すら使用可能。
なのだが……
「……なんだが」
「どうした?」
歯切れが悪いエンバ。
「足音が二人分しかねえ。……浮いてんのか?」
首をひねるエンバ。
それにモモタが答える。
「すぐにわかるよ。きっと」
……
…………
………………
少しして四人の前に現れたのは三人の男。
浮いた椅子に座る白衣を着た男。
ドレッドヘアで、アクセサリーをジャラジャラ付けたチャラ男。
皮ジャンを着たリーゼントの男。
「そりゃあ足音しねえ訳だ」
「あの椅子欲しいな」
「ぶっ殺してから奪え」
「……警察官の前でそういう事言うのやめてくれる?」
三者三様……四者四様に反応する。
気楽に会話しているが、この場の全員が、すぐに戦闘が始まっても対応可能。
(それにしても……)
モモタは相手の様子を観察する。
(武装してるのは、一人か)
二番目と三番目なら、街を歩いていもおかしくないが……
白衣はこれと言った武装はないが、【匣】を持っている可能性があるので油断出来ない。
チャラ男も同じようだが、履いている靴が厚底なうえ、奇妙な気配がある。
伊達男は腰に二丁の拳銃を携帯している。
(一人だけ。でも油断は出来ない)
そんな事を思った。
【コソコソ話】
(㈩*㈩)<あの黒腕、使いやすいようにはしたんだけど……
(・▽・)<何かあったんですか?
(㈩*㈩)<アイツがストックしていた情報がいつの間にか無くなってた。
(・▽・)<は? どういう事ですか?
(㈩*㈩)<わからない。しかも、あったはずの
(・▽・)<……。それサクには言ったんですか?
(㈩*㈩)<一応伝えた。あまり気にして無さそうだったけど。
(㈩*㈩)<あのままだと使えなかったから別にいいって。
(・▽・)<?? どういう事ですか?
(㈩*㈩)<資料のデータはメモリに入っているけど、
(㈩*㈩)<見るための機械がない状態。
(・▽・)<納得しました。