冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:モモタの障壁】
(・▽・)<彼は障壁の達人です。

(・▽・)<前に使ったのは、単分子程の薄さの障壁で、長ドスの射程伸ばす最強の矛。

(・▽・)<今回使ったのは、障壁を薄くして幾重にも重ねる。

(・▽・)<しかも絶え間なく紡ぎ出す事で、連続攻撃も防ぎ切る。

(・▽・)<これが最強の盾。

(・▽・)<因みに普通の障壁でもかなりの強度と硬度を誇る。

(㈩*㈩)<基本技でも極めると強い一例だね。


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 そんな様子を知ってか知らずかオウカは戦闘を続行する。

 遂に、ゴーレムに肉薄し、巨大剣を振り下ろした。

 

 

 ☆★☆★☆

 

 

 実はこの巨大剣はただの剣ではない。

 オウカの左腕の代わりになっている黒腕で作り出した物。

 コレは――彼の友達と言うには少し違うかもしれない。……強いて言うなら悪友であるコジュウロウが、オウカの特大ピンチの時に際し、使えるように《冥肌鏤骨(オストラコン)》のようにして遺して置いたモノ。

 

 そのチカラは刀剣類を作り出す事。

 最初は制限や燃費などの問題があったのだが……

 

『わたしがどうにかして見せる!』

 

 マユ――叢雅一門の一人にして、全員の冥刀製作に関わっていた人物、仕事名は刹那叢雅が立ち上がった。

 更に。

 

『この腕……金属なのか。実に興味深い』

 

 ジンナの知り合いである、鬼の鍛冶師イムロンの力も借りた。

 

 その結果――かなり使い勝手が良くなった。

 

 作り出せるのは刀剣だけだったが、現在はは暗器や忍具のカテゴリーに入る武器も生成可能になった。

 更に、三本以上作り出すと疲労具合が段違いだったが、今は大量に作り出しでもしない限りそこまで消耗せず、刀剣自体の変形ならノーリスク。

 それに加え、切斬能力は色々拡張・強化し様々な応用が利くようになった。

 

 ただし……

 

『つ、疲れた……』

『……槌も持てん』

『疲労、困憊』

 

 マユとイムロン、そして補助に回ったネラは疲れ果てていた。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 その一撃はまともに喰らえばゴーレムを真っ二つにする致命斬撃。

 それをゴーレムは体に防御バフを重ねる事で致命傷を伏せぐ。

 それでも巨大剣が体に半分以上食い込む。

 

 そうしてゴーレムはオウカの動きを止め、彼目がけ砲口から機銃を連射。

 それに、彼は巨大剣を離し、飛び退いた。

 そのままゴーレムを駆け上がりながら、次々と剣を作り出して突き刺していく。

 

 そして、ゴーレムから離れ……

 

「オラァ!」

 

 手で引っ張るような動作をする。

 するとゴーレムに食い込んでいた巨大剣がオウカの手元に戻る。

 手放す前に鎖を生成し、くっつけていたのだ。

 巨大剣は鎖鎌ならぬ鎖巨大剣となっていた。

 それをオウカは両手で持ち正眼で構える。

 

 ゴーレムは再び防御バフで防ごうとしたが……

 

「さっきと同じな訳ないでしょう」

 

 その言葉と同時、突き刺していた数多の剣が大爆発。

 そのせいでバフが出来ず、防御力が低下。

 その隙を、オウカは見逃さない。

 

「ハァ!」

 

 巨大剣が振り下ろされる。

 それと同時、刃が光線状の剣となり、ゴーレムを一刀両断した。

 

「……」

 

 真っ二つになったゴーレムをオウカは無言で見つめる。

 相手が完全に動かなくなるまで油断はしない。

 

「……やっぱり」

 

 呟くオウカ。

 彼の予感通り、二つになったゴーレムの体が修復し始める。

 だが、それを見過ごすオウカではない。

 

「させるかよ」

 

 再びゴーレムに接近しようとするが、それに砲口が向く。

 

「ッ!?」

 

 嫌な予感がしたオウカ。

 横っ飛びに回避。

 するとそこにレーザーが着弾。

 どうやら、ミサイルだけでなく、弾丸とレーザーを撃てるらしい。

 更にミサイルと機銃まで放たれる。

 それを回避しながら、オウカは思考する。

 

(余程近付けたくないらしい)

 

 ゴーレムを見ると、砲口が熱くなっている。

 どうやら自身の損傷と消耗を無視して攻撃をしているらしい。

 その間も修復が進んでいる。

 

(さて、どうするか……)

 

 オウカは思考。

 このままやっていると長期戦になる。

 なので。

 

「よし」

 

 決断。

 一気に決める。

 

「よいしょっと」

 

 巨大剣を少しだけ変形させ、大きな盾が合体したような形状にする。

 そして、それを盾代わりに突進。

 それにゴーレムは攻撃の雨霰を打ち対抗。

 だが、どれもオウカに届かない。巨大剣の硬度を突破出来ない。

 再びゴーレムに近づいていく。

 

 そして、 間近まで来た時だった。

 ゴーレムの足が動いた。

 屈伸をするかのように膝を曲げ、ジャンプ。

 のしかかりでオウカは押しつぶそうとする。

 

「い!?」

「おいおい……」

「……わ」

 

 見物人三人が驚いた。

 流石にその攻撃は予想外だったらしい。

 

 オウカはそのままぶっ潰された……ように見えた。

 だが、オウカはそこに居なかった。

 

「隙を作ってくれてありがとう」

 

 彼はゴーレムの真上にいた。

 そのまま巨大剣を振り下ろす。

 それをゴーレムは防御バフを重ねる事で一撃のダメージを下げる。

 巨大剣は半分刺さった所で止まった。

 だが、それは想定済み。

 

「一度で駄目なら……何度でも」

 

 巨大剣の一部……ゴーレムに食い込んだ所を切り離す。

 そして、移動しながら残りの部分を形成し直し、巨大な剣鉈のようにする。

 そして、振り下ろす。

 

 そのままそれを繰り返す。

 そうしてゴーレムの体には幾つも刃が突き刺さった状態になる。

 だが、オウカの手元の剣も長ドス程の長さと太さになってしまった。

 

「見つけた」

 

 それでも巨大剣だった物は役目を果たした。

 何度も斬る内に、オウカは核を見つけた。

 

「もう一回っと」

 

 指を弾くオウカ。

 突き刺さった刃が再び起爆。

 そして、出て来た核に向け、オウカは一撃を見舞った。

 核は真っ二つになった。

 

 それと同時、ゴーレムの体が崩れ去った。

 復活する事も考慮して、暫く観察していたが、その心配はなさそう。

 

「ふぃ~」

 

 手元の刃を仕舞い、オウカは三人の元に戻る。

 

「終わりました……」

 

 そんな彼に

 

「みたいだな」

「危ねえ所も少しあったな」

「まあ無事で何よりだよ」

 

 三人はそう声を掛けた。

 

「まあ結構タフな相手だったので」

「みたいだな。ありゃオレだと少しキツかった」

「そうか? 内部破壊とかで行けた気がするけどな……」

「見た感じ核が動いているから、そう簡単には行かないと思うけど」

 

 そうして四人は少し会話をしてから、その場を後にした。

 

 

 ■□■□

 

 

 とある場所。

 見た所、あちらこちらに外の映像が映っている部屋。

 

 オウカ達の珍道中を見ている者()がいた。

 

「三人は見ない顔だが、一人は【機甲人形】と戦っていた奴だな」

 

 白衣を着て椅子に座っている男。

 彼はイヌガミ=コウメイ。

 とある組織の幹部の一人である

 実はこの場所、彼の隠れ家の一つ。

 

「中々楽しめそうだな……」

 

 そう言ったのはドレッドヘアの男。

 彼はセナヤマ=カズマサ。

 組織の新入りである。

 一応イヌガミの護衛……という訳でここにいる。

 

「なるほどっちゃ。クルセイダー、ノーブル、シャーマン、デュナミスト……ちゃね」

 

 壁際に背を預けているのはリーゼントが特徴の伊達男。

 彼はゴドー=ヨシノ。

 この場の面々では一番の古株。

 彼もイヌガミの護衛、そして、新人の監督でここにいる。

 

 

 ▼▽▼

 

 

 この日、イヌガミは昨日の【装甲人形】で得たデータを纏めて、次の作品に生かそうとしていたのだが、侵入者を探知した。

 映像を見てみた所、見知った顔が一人あった。

 

「おや、バレたか」

 

 彼は馬鹿ではない。

 だからこそ、昨日の戦闘で何かしらの手掛かりを掴まれ、ここに居る事に気づいた。

 自分だけで迎え撃とうかとも思ったが、報連相は大事。

 

「一応……一言言って置こう。面倒だがな」

 

 なので、一応リーダーという事になっているカダに連絡した。

 ……ぶっちゃけこの組織、幹部に上下関係はあまりない。

 

「しかし……なぜバレたのか……」

 

 そんな事を考えていると、二人の人間が転移して来た。

 

「お前達が吾の護衛という訳か……」

「そうっちゃ。自分らみたいな戦闘員と違って替えが効かないっちゃ」

 

 そう言ったのはゴドー。

 そしてもう一人――セナヤマが笑う。

 

「それで俺様も付き添いで来た訳さ」

 

 彼はそう言った。

 

 そんな二人にイヌガミは反論する。

 

「確かに戦闘員なら替えは効く。だが、お前達レベルはそうはいないぞ?」

 

 実はこの組織の面々……特に戦闘要員である五人は全員がクロスを二つ持つクルセイダーなうえ、冥刀を使いこなすデュナミストでもある。

 それだけでなく、その二つ以外にも手札をまだ隠している。

 スキルなり、モンスターなり、アーティファクトなり。

 

 ここまで持っている人はそうはいない。

 

 クロスは手に入れるのは容易いが、戦闘に使えるかどうかは五分五分。そして、一回目の投与の適合率は高いが、二回目の成功率は半分以下になる。しかも二回目も当たりを引き当てるのは相当な運が必要。

 冥刀に至っては、そう簡単に手入らないうえ、手に入ったとしても、相性や代償などで使えるかはわからない。

 

 そんな中で、この組織の五人は当たりに部類のクロスを二つ持つうえ、冥刀を使いこなしていた。

 そんなプレイヤーは滅多にいない。

 

 そんな彼の言葉に、セナヤマは口元に笑みを浮かべる。

 

「そう言って貰えると嬉しいね。まあカダさんもヤバかったら逃げてこいって言ってるから平気さ」

「そうか」

「それに……コレもあるしな」

 

 セナヤマが出したのは錠剤。翼のような意匠を持っている。

 【ダークウィング】であった。

 実はこれ、幹部全員所持している。

 つまり、更にブースト可能。

 

 そんなセナヤマにイヌガミは注意するように言う。

 

「確かにそれはチカラが得られる。だが、複数服用はやめて置け。下手をしなくても死ぬぞ?」

「へいへいっと」

 

 セナヤマは錠剤を仕舞う。

 

「そういえば……」

 

 ゴドーがイヌガミに問う。

 

「自分らの服用限界はわかるっちゃ?」

「うん? ああ。だが……」

「わかってる。オーバードーズするのはどうしようもなくなった時だけっちゃ」

「ならいい」

 

 そうして監視カメラの映像に目を移すと、侵入者は着実にこちらに近づいて来る。

 それにイヌガミは座っている椅子のスイッチを押す。

 すると、椅子が浮き上がり、そのまま浮遊して動きが始めた。

 

「さて。では行くか」

「「どこへ?」」

「来客には挨拶しなくては……だろう?」

 

 イヌガミの言葉にゴドーとセナヤマは――凶悪な笑みを浮かべた。

 

「そうこなくっちゃ」

「待ってるのは暇だからな……」

 

 そうして三人は部屋を出た。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 そして、そのまま進む四人。

 巨大ゴーレムが出てきて以降、何も出てこない。

 それが逆に不気味。

 

 オウカが呟く。

 

「……この感じだとアレですね」

「アレ?」

「ええ。似たようなパターンを経験した事があるので」

 

 思い出したのは、仲間や友人達と偶にしたカチコミ。

 あの頃はヤンチャだったなと、思い返す。

 ……今も十分やんちゃである。

 

 すると、モモタが訊ねて来る。

 

「じゃあ聞くけどさ……」

「はい」

「この後ってどうなるの?」

「簡単ですよ」

 

 オウカが説明する。

 

 替えが効く雑兵や雑魚でも、失い過ぎれば補充に時間も手間もかかる。

 だからこそ……

 

「敵のボス、もしくは幹部がお出ましです」

 

 そのタイミングだった。

 エンバが立ち止まる。

 

「――誰か来たぞ」

「ドンピシャですね」

 

 やっと事態が動くと、オウカとエンバは口元に笑みを浮かべる。

 

「人数は? つーか人か?」

 

 オノヅカが問いかける。

 

「人だな。人数は三人」

 

 熟練した闘氣使いは戦闘だけでなく、気配を感じ取るのも上手い。

 しかも界蟲拳の場合、その蟲の特性すら使用可能。

 なのだが……

 

「……なんだが」

「どうした?」

 

 歯切れが悪いエンバ。

 

「足音が二人分しかねえ。……浮いてんのか?」

 

 首をひねるエンバ。

 それにモモタが答える。

 

「すぐにわかるよ。きっと」

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

 少しして四人の前に現れたのは三人の男。

 

 

 浮いた椅子に座る白衣を着た男。

 ドレッドヘアで、アクセサリーをジャラジャラ付けたチャラ男。

 皮ジャンを着たリーゼントの男。

 

 

「そりゃあ足音しねえ訳だ」

「あの椅子欲しいな」

「ぶっ殺してから奪え」

「……警察官の前でそういう事言うのやめてくれる?」

 

 三者三様……四者四様に反応する。

 気楽に会話しているが、この場の全員が、すぐに戦闘が始まっても対応可能。

 

(それにしても……)

 

 モモタは相手の様子を観察する。

 

(武装してるのは、一人か)

 

 二番目と三番目なら、街を歩いていもおかしくないが……

 

 

 白衣はこれと言った武装はないが、【匣】を持っている可能性があるので油断出来ない。

 チャラ男も同じようだが、履いている靴が厚底なうえ、奇妙な気配がある。

 伊達男は腰に二丁の拳銃を携帯している。

 

 

(一人だけ。でも油断は出来ない)

 

 そんな事を思った。




【コソコソ話】
(㈩*㈩)<あの黒腕、使いやすいようにはしたんだけど……

(・▽・)<何かあったんですか?

(㈩*㈩)<アイツがストックしていた情報がいつの間にか無くなってた。

(・▽・)<は? どういう事ですか?

(㈩*㈩)<わからない。しかも、あったはずのディアンの遺したモノ(他の情報)すら消えてた。

(・▽・)<……。それサクには言ったんですか?

(㈩*㈩)<一応伝えた。あまり気にして無さそうだったけど。

(㈩*㈩)<あのままだと使えなかったから別にいいって。

(・▽・)<?? どういう事ですか?

(㈩*㈩)<資料のデータはメモリに入っているけど、

(㈩*㈩)<見るための機械がない状態。

(・▽・)<納得しました。
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