(#ー#)<クロスを二つ持つクルセイダーを指す。あまりいない。
(・▽・)<確か……二度目の投与は危険だからでしたっけ?
(#ー#)<ああ。まず一回目の場合、成功率は大体六割前後。
(#ー#)<クロスってのは増幅器や追加機関に近いから、
(#ー#)<弱いプレイヤーや無能力者だと確率が上昇する。
(#ー#)<逆に、元から持っている場合、確率が低下する。
(・▽・)<へえ。まあ今はパッチテストもあるんでしょう? 死亡率は低そうですけど。
(#ー#)<……まあそうなんだが。
(・▽・)<歯切れ悪いですね。
(#ー#)<アレも絶対じゃない。つーか低くても一縷の望みをかける奴はいる。
(・▽・)<……。それで二度目は?
(#ー#)<そして、二度目だが、成功率は一回目の半分以下。
(#ー#)<しかも能力ガチャだからな。当たりもあれば外れもある。
(#ー#)<だから外れる事もある。
(㈩*㈩)<じゃああの生徒会長さんは運が良かったんだね。
(#ー#)<そういう事だな。
そうして十メートル程離れた所で両者止まる。
「……」
「……」
「「……」」
どちらも何も言わない。
無言のまま相手を観察する。
鑑定系の術技を持つ者は使う。
普通に使うのはマナー違反だが、戦う相手や敵なら話は別。
(……なるほど)
イヌガミは分析していく。
サングラスの男――界蟲拳使いはスキルを持っていない。恐らく蟲のチカラ以外は持っていない。
スーツ姿の男――クルセイダーはクロス以外に、殴撃強化と幾つかの背水強化のスキルを持っている。
くたびれた背広の男――シャーマンは障壁の術に、魔力回復や障壁強化などを持っている。
ここまでは普通のプレイヤー。
なのだが……
(何だ……この男……、いや女か? どっちだ?)
長髪の中性的な人物。
(……まあ男と仮定しておこう。少年だな)
何も見えない。
それどころか、何もわからない。
(吾の〈鑑定〉は結構な格上でも見れし、阻害、隠蔽、欺瞞も突破できるのだが……)
つまり、圧倒的な格上か、見れない存在であるかのどちらか、もしくは両方。
(実に興味深いな……)
そんな事を思っていると、その少年――オウカが口を開く。
「随分と面白い代物を持っているね」
「「……」」
一同が沈黙し、次の言葉を待つ中、彼は続ける。
「昨日の鎌使いは【ドローミ】、今日の相手は【セブンリーグブーツ】と【ガーンデーヴァ&チャンドラダヌス】だとは」
「「!?」」
その言葉に相手――ゴドーとセナヤマは驚愕する。
どうやらあっているらしい。
一方、味方側は……
「……よく知ってるね」
「マニアかよ」
「で? 能力は?」
こっちも結構驚いていた。
そんな中、真っ先に驚愕から抜け出したのはイヌガミ。
口を開く。
「……実に」
一拍置いて続ける。
「実に興味深い」
「……悪い癖が出たっちゃ」
「??」
イヌガミの目は輝いていた。
それにゴドーがやれやれとなり、セナヤマの頭上に疑問符が浮かぶ。
「なぜわかった! なぜ知っている! 吾に教えてくれ!」
「(アイツは対象を興味を持つと止まらなくなる)」
「(ああ、そういう……)」
ゴドーの説明に、セナヤマは納得する。
とは言え……
「自分も気になるっちゃ」
「同じく」
どうしてわかったのかは、二人共気になる。
実は鑑定でも冥刀は見れない。
???と表示されるだけである。
その問いかけにオウカはこう答える。
「知り合いが冥刀には詳しくてね。色々知っているんだ」
当たり障りのない答えを返して置いた。
嘘は言っていないが、本当の事も言っていない。
そんな彼の答えにイヌガミはこう言う。
「ぜひその知り合いを紹介してくれ」
「……こっちの質問に答えてくれるならいいよ」
「「おい!?」」
オウカの答えにオノヅカとエンバが咆えた。
それに構わずオウカは続ける。
「で? どうするの?」
その問いかけにイヌガミは悩み始める。
「ふ~む」
「……えっと、いいのか?」
「良い訳ないっちゃ!」
新入りの問いに、先輩が咆える。
一方、オウカもオノヅカとエンバから問い詰められる。
「おいどういうつもりだ?」
「相手は敵だろうが。話を聞くにしてもぶっ殺してからだろうが」
殺したら駄目である。
「殺したら聞けないよ?」
モモタがツッコミを入れたが、全員無視する。
そんな二人にオウカは答える。
「情報は欲しいでしょう?」
「それは……まあ」
「それに、殺す相手だろうが、なんだろうが理解して置かないと」
「……理解だあ?」
エンバの言葉にオウカはコクリと頷く。
「親友の言葉です。相手を理解しろって。誰であろうと……ね」
「……なあ」
オノヅカが問う。
「それは敵でもか?」
「はい」
即答。
「それが殺す相手でもです」
どんな人物なのか?
どんな理由でこんな事をやっているのか?
何を目指しているのか?
「……ねえ」
今度はモモタが問う。
「相手にさ、同情すべき所があったら?」
警察官ならではの問い。
彼は色々な犯罪者を見て来た。
犯罪をする事を当然の権利だと思っている者、何が全く悪いかわかっていない者、理由がない者など、救いようのない者達がいるが、困窮してやった者、脅されてやった者、それしか選択肢がなかった者もいた。
「そういう場合、鈍るんじゃないの?」
同僚にはそれが元で大怪我をした者がいた。
そんな彼の問いかけにオウカは頷く。
「ええ、そうかもしれませんね。親友もそう言ってました」
でも、と彼は続ける。
「それでも鈍らせるなとも言ってました」
「だったら、知らない内にぶっ殺した方がいいんじゃねえの?」
「駄目です」
エンバの問いかけにオウカは即答。
心なしか圧がかかっている。
そして、続ける。
「理解しないで殺したら、いずれ、自分が訳のわからないままに殺される。だから、あなたは相手を理解してから殺せ」
親友――連続殺人鬼であり、仕置き人でもあった女性の言葉をそのまま彼は言った。
一方、敵側も会話をしていた。
「……駄目かね?」
「駄目に決まってるっちゃ! そもそも自分らは秘密裡に動いているっちゃ!」
「……色々気になるのだが」
「駄目ったら駄目っちゃ」
そんな二人の言い争いを聞いていたセナヤマは提案する。
「ちょっといいか?」
このままだと平行線になりかねない。
「……何かね?」
「何だ?」
ゴドーとイヌガミの視線がこっちに向く。
彼はその視線に臆さず答える。
「アンタは話を聞きたいんだよな?」
「勿論」
「でも情報を渡すのは駄目……というかそれは当たり前だな」
「そうっちゃよ」
「だったらよ」
一拍置いて彼は提案する。
「答えられないのは無理って言えばいい。もしくは、その都度形式を変えるとか」
「……う~ん。それならまあ」
「吾は元々そのつもりだが?」
しれっと言ったイヌガミ。
それにゴドーが咆える。
「お前は興が乗ると色々言っちまうだろうが!?」
(あ、だから止めてたのか)
納得するセナヤマ。
そういう訳で相談の末。
「……わかったっちゃ。いいっちゃ」
不承不承にゴドーは納得。
「よし!」
「ただし」
ガッツポーズして喜ぶイヌガミに、ゴドーは拳銃をホルスターから引き抜いて告げる。
「余計な事言ったら撃つっちゃ。お前は踏んず蹴るっちゃ」
「……。わかった」
「仲間を殺すのかね?」
「手加減はするっちゃ」
そういう訳で。
「待たせたね」
「いや、こっちも丁度話し合いが終わった所」
オウカの方もどうにか三人に納得して貰えた。
モモタが二人を取りなした結果だった。
一歩前に出るオウカとゴドー。
「じゃあ自己紹介からする?」
「そうだな」
そしてこの場の全員が名乗り合う。
「オノヅカ=ケンヤだ」
「エンバ」
「モモタ=ナオです。宜しく」
「サクヅキと申します。名前だけでも覚えて……地獄へ行ってください」
「「何その挨拶!?」」
そして、次は相手の番。
「吾はイヌガミ=コウメイ」
「自分はゴドー=ヨシノっちゃ」
「セナヤマだ」
そうして自己紹介が終わると、オウカが提案する
「じゃあ基本は一問一答。状況によっては回数決めての[はい]か[いいえ]方式でいいか?」
「ほう?」
「あん?」
「……いいっちゃか?」
その提案には味方も敵も驚く。
それにオウカは答える。
「こういうのは公平にやって置かないと」
後で禍根が残る、と彼は続けた。
そうして質疑応答が始まった。
「じゃあ取り敢えずそっちから」
そうしてオウカは初手を譲る。
それに相手側が驚く。……勿論味方も驚く。
イヌガミが訊ねる。
「……いいのかね?」
「いいよ」
笑うオウカ。
そんな彼に味方も攻めるような視線を向ける中。
「ウフフフフフフ」
答えず彼は笑う。
それに三人は察する。
((何か狙いがあるな……))
この三人は馬鹿ではない。
だからこそ、今は黙って置く事にする。
そして、イヌガミが質問する。
「まずは軽い物から……。その知り合いは何者なのかね?」
「冥刀の製作者の一人」
「「!?」」
その答えに相手は当たり前の如く驚愕。
それにモモタは内心思う。
(まあそれはそうだよね)
自分達も驚いたのだから。
「じゃあ次は俺の番」
そう言って彼は懐から錠剤の入った袋を出す。
【エンジェルハイロゥ】だった。
警察が押収したのを、少しだけ貰っていたのだ。
「コレはどうやって用意したの?」
この事が彼にとって一番気になっている事だった。
「……と言うと?」
「作ったのか、元からあった在庫を利用したのか」
それによっては対応を変えなければならない。
それに対しイヌガミは答える。
「作った」
「!」
「吾ではないがね」
「おい!」
「これくらいならまだいいだろう?」
それにオウカは驚いた。
とは言え、何か察せられたら困ると思い、表情をすぐに戻したが。
一方、相手は
(フム。どうやら予想外だったらしい。と言う事は……)
とある可能性に思い至ったイヌガミ。
なので、次の問いかけを決める。
「では吾のターンだ」
「……何かカードゲームみたいだな」
「そこ、茶々入れない」
新入りに注意してから、彼はオホンと咳払いしてオウカに問う。
「君が――“異邦者”かね?」
「!?」
それに今まで以上に驚いたオウカ。
ややあって答える。
「……ああ。そう呼ばれたのは久しぶりだ」
「なるほど。道理で」
納得し合う二人。
だったが、残りの面々にはわからない。
「おい……」
「説明しろ」
「……どういう事?」
「?? どういう事なんだ」
「わからんっちゃ。イヌガミ。どういう事っちゃ?」
「「後にしてくれ」」
後回しにしようとしたのだが……
「「いいから説明しろ!」」
全員から怒鳴られてしまった。
なので、オウカはイヌガミと顔を見合わせ
「どうする?」
「一旦すり合わせをしないか? その方が無駄が省ける」
「……それもそうか」
そういう訳で質疑と応答は一旦中断された。
そういう訳で何から話そうとオウカが迷っていると、イヌガミが口を開く。
「まずは冥刀やこの麻薬が異世界出身である事」
そう言って視線をオウカ達に向ける。
「君達は知っているようだね」
「「……」」
「……まあ“異邦者”がいる時点で情報共有がされていたようだが」
その言葉にオウカは疑問を投げ掛ける。
「つーかそっちにはされていないの?」
「ああ。詳しく知っているのは吾とカダだ。それと多少なら護衛であるマヤぐらいだな」
さらっとメンバーが明らかになった。
(つまり、メンバーはこの三人、昨日の奴、列車砲、そして今いった二人。七人くらいか)
「さらっとメンバーをばらすな!? この馬鹿!?」
「……今は置いておこう」
ホルスターから拳銃を抜こうとするゴドーを、セナヤマが押しとどめる。
そんな仲間の様子に構わず、イヌガミが続ける。
「とは言えその世界は滅んでしまった。だからこそ遺物が流れ込んだ」
「その一つが冥刀」
オウカが続けるように言う。
それにイヌガミは頷く。
「その通り。そして、それ以外にも幾つかある。その一つが……」
「その麻薬……か」
「ああ」
オノヅカの問いかけに頷き、イヌガミは続ける。
「薬学の天才が作った二つの薬――【エンジェルハイロゥ】と【ダークウィング】」
「……やっぱり名称知っていたか」
オウカが呟いた。
その呟きが聞こえたのか、イヌガミは答えた。
「ああ。説明書があったらしい」
その言葉にオウカは顔を顰める。
(あの人……何を遺してるんだよ……)
――(全くその通り)
誰か心の声に答えた気がした。
(??)
首をひねるオウカ。
それにイヌガミが訊ねて来る。
「? どうしたね?」
「いや、何でもない」
幻聴かとオウカは脇に置く。
「そうかね。では続けよう。それをカダがどうにか再現したそうだ。吾も手伝ったんだが」
説明書にあったのは方法と用途くらい。
成分はある程度。
それをどうにか再現したのは驚嘆するしかない。
(凄い天才なのか)
疑問が解消されたオウカ。
そのまま思考していく。
(つまりはコイツとカダって奴を殺せば良い訳か)
それと出回っている分をどうにか出来ればいい。
だが……
(
あんな事されたら、この世界も終わりかねない。
それと同時にとある疑問が湧く。
(何で作ったんだ。こいつら)
【コソコソ話】
(㈩*㈩)<“異邦者”もしくは“来訪者”。サクの異名。
(・▽・)<いつからそう呼ばれるようになったんですか?
(・▽・)<私と一緒に居た時は、そんな風には呼ばれていなかったと記憶してますけど。
(㈩*㈩)<あなたが死んで、あちらこちらフラフラしている時に付いた異名。
(・▽・)<へえ……。
(#ー#)<明日も更新だ。連続にするかは未定だ。