冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【コソコソ話】
(・▽・)<説明書あるんですか?

(㈩*㈩)<普通の薬には成分や使用方法書いてあるでしょう?

(#ー#)<普通の薬じゃなくて麻薬だろうが!?

(㈩*㈩)<使いすぎると死んじゃうから、使用方法は書いてある。

(㈩*㈩)<成分は……まあゴニョゴニョ。

(・▽・)(#ー#)<(絶対成分馬鹿正直に書いてないな)……。


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 そんな彼の様子を知ってか知らずかイヌガミは語り掛ける。

 

「それにしても“異邦者”に会えるとはな……」

「そりゃどうも」

 

 考えるのはひとまず後回し。

 

「ところで……その“異邦者”ってのは何だ?」

 

 エンバが聞いて来たのでオウカは答える。

 

「俺の通り名です」

「……なんでそんな名前が付いたの?」

 

 モモタの素朴な疑問にオウカは答える。

 

「あちこちフラフラしていたら付きました」

「……間違ってはいないし、嘘も言っていない。だが、色々抜けているぞ」

 

 イヌガミが指摘した。

 

「あの世界で起こった騒動を解決した立役者だろうに」

 

 あの世界は鬼畜や外道ばかりで、終わる寸前だった。

 だが、それをどうにかしようとした人もいた。世界を救おうとしたのだ

 ところが、どれもこれもやり方が破綻していた。

 つまりは燃え盛る火に燃料ばかりを投下してしまったという訳だった。

 

「国を守るために国民全員をゴーレムの素材にした“傀儡の王”、全ての人間から意志を奪おうとした“狂祖”、最強になるために全ての知的生命体を皆殺しにしようとした“堕天剣聖”」

 

 イヌガミは更に続けていく。

 

 

 “殺戮姫”にして“拷問姫”(モンセラート)に憧れた模倣犯“虐殺者”

 静かに本が読みたいという理由で大虐殺をした“司書”

 自分は何もせず、裏で動き悲劇を加速させていた“千両脚本家”

 人間で作品を作り展覧会を開いた“超芸術家”

 “女尊男殺”を掲げた“弓帝”

 様々な発明品により悲劇をばら撒いた“発滅家”

 それ以外もエトセトラエトセトラ。 

 

 そこまで上げてフウと息を吐きイヌガミはオウカをじっと見る。

 

「あの世界でも屈指の狂人にして超人達を討伐して来ただろうに……」

 

 それを聞いたオウカは一言で形容しづらい顔をしていた。

 何かを思い出して、様々な感情が入り混じった顔をしている。

 ややあって彼は口を開く。

 

「……俺一人でやった訳じゃない」

「それでも君が居なかったら、とっくに滅んでいただろうに」

「それでも滅んだ」

「……まああのバイオテロはしょうがないと思うが」

 

 その言葉にオノヅカが反応する。

 

「おい」

「何かね」

「お前は知ってるのか? それが何を引き起こしたのか?」

「勿論。カダと吾は知っている」

「だったら何で蔓延させているんだ?」

 

 最大の疑問を単刀直入に訊ねた。

 

 それはオウカ達が気になっている最大の疑問。

 その問いに対しイヌガミは

 

「……」

 

 沈黙。

 少しして口を開く。

 

「金だよ」

 

 その答えに

 

「あん?」

「は?」

「……」

 

 エンバ、オノヅカ、モモタが反応する中、オウカは

 

「ふうん」

 

 それだけ言った。

 

 そんな様子に構う事なくイヌガミは続ける。

 

「金は大事だぞ? 金がないと何も買えないし、生きていけない」

 

 事実イヌガミは資金不足に苦しめられていた。

 

「そこは同意する」

 

 オウカも同意した。

 彼もクロスを盗まれて間もない頃は、金がない事に苦しめられた。

 元々浪費する方ではなかったが、あの時はアーティファクトを注文したせいで、金がなかった。

 しかも、代金と素材を持ち逃げされてしまった。

 そのうえ、誰も責任を取らなかった。

 

(アレは酷かったな)

 

 そんな事を思っていると、オノヅカがオウカの発言を咎める。

 

「おい!」

「事実ですし」

「だからっt」

「ええわかってます」

 

 オウカはオノヅカの言葉を遮って続ける。

 

「人を不幸にするシノギはやらない方がいい」

 

 思い出したのは彼の師であるメイド師匠の言葉。

 

『道を極めると書いて極道、ヤクザはそのために渡世にいるのです』

 

 彼女の実家は仁義と任侠、強きを挫き弱気を守る極道だった。

 

『シノギは大切です。でも弱い奴を踏みつけて稼いだら駄目です』

 

 そんな彼女にオウカは訊ねる。

 

『じゃあどうやって金を稼ぐんです?』

『守り代とか、闇金への出資、芸能ビジネスとかが中心ですかね。ああ、それと密輸と密漁ですね』

 

 微妙なラインが多い。

 特に最後の二つは完全アウト。

 

『じゃあ麻薬は?』

 

 オウカの言葉にニッコリと笑ってメイド師匠は続ける。

 

『絶対に駄目です。アレは人を壊すだけ』

『……はい』

『だから絶対にやっては駄目ですよ?』

 

 彼女はそう言っていた。

 

 だからこそオウカはこう言う。

 

「金を稼ぐ手段なら幾らでもあるんだからさ」

 

 それにイヌガミは即答する。

 

「それはわかる。だがこちらの方が手っ取り早い。それに……」

「に?」

「カダは何か考えがあるらしいぞ?」

 

 吾は知らないがね、と続ける。

 

 その答えにオウカは思考する。

 

(つまりカダって奴を見つけ出すしかないか……)

 

 しかも自分の事をかなり知っている。

 と言う事はつまりあの世界と関わりがあるのだろう。

 

「そうか。色々聞けて助かったよ」

「そうかね。まあ疑問が解消して良かった」

「じゃあこっちも答えるけど、何か聞きたい事ある?」

 

 思った以上に答えて貰ったのでオウカはイヌガミ問いかける。

 ここまで答えてくれたのだから、彼としても答えるつもりだった。

 それにイヌガミは少し考え……

 

「今は思いつかん。後で話したいところだが……」

 

 チラリと彼はゴドーとセナヤマに視線を移す。

 

「もう無理だな」

 

 ゴドーは拳銃を二丁抜いていた。

 六発装填の回転式(リボルバー)である【ガーンデーヴァ】、九発装填の自動式(オートマチック)である【チャンドラダヌス】。

 

 セナヤマは靴を抜刀形態に移行させていた。

 それは二メートル程の円錐。地面に付く側が鋭利になっており、突撃槍(ランス)のようになっている。

 超厚底ブーツ、もしくは足場竹馬(ペグスティルツ)――手を使わない竹馬――に似ているが、放つ輝きと鋭さが険呑だった。

 

 二人共完全に戦闘態勢だった。

 

「だね」

 

 オウカも頷く。

 

 彼の背後でも三人が戦闘態勢に移行していた。

 

 オノヅカはクロスを発動させ、目が白黒反転している。更に、両腕を甲殻で覆っている。

 

 エンバは身体をオーラを纏っている。そして、今まで付けていたサングラスを外しており、複眼になった目が露わになっている。

 

 モモタは長ドスを抜刀している。その周囲には四十センチほどの半透明の六角形障壁が幾つか浮いている。

 

 そんな彼らにオウカとイヌガミは……

 

「「……はあ」」

 

 少し溜息を吐いた。

 

 イヌガミがゴドーに訊ねる。

 

「やる気まんまんだな」

「もう止めるのは無理ってわかったからっちゃ」

「と言うと?(そう言えば途中から止めて来なくなったな)」

 

 それにゴドーは答える。

 

「全員消せばいいだけっちゃ」

 

 手に持った拳銃をガンスピンさせる。

 

 一方、セナヤマは好戦的な笑みを浮かべる。

 

「話が終わったんなら、後は踏み潰すだけだな」

 

 そう言って軽く跳ねる。

 

 そして、オウカ達の方も。

 

「話は終わったんだろう? ならとっとと殺すぞ」

 

 オノヅカがそう言う。

 彼にとっては、自分達の縄張り(シマ)麻薬(ヤク)を蔓延させている元凶。

 生かしておく事は出来ないのだろう。

 

「だな」

 

 エンバも同意する。

 彼としても生かしておく気はない。

 

「出来るなら生け捕りね……」

 

 モモタが指摘する。

 警察官としてそれは譲れなかった。

 

 そんな彼らにオウカとイヌガミは。

 

「じゃ、やるか」

「そうだな」

 

 各自戦闘態勢を取った。

 

 オウカは黒腕を使い忍者刀を二本作り出し二刀流になる。

 更に足に【グウェンゾライ・アプ・カイディオ】の脛当(グリーブ)鉄靴(サバトン)を装着する。

 

 イヌガミは懐からキューブ状の物体を二つ出す。それを宙に放り投げる。するとそれらがガシャガシャと音を立てながら変形・巨大化する。

 そして、二体のゴーレムが現れる。二メートル程の人型でどこか有機的。手には鋭い鉤爪を持っており、地面に付かない長さの尻尾があった。

 

「これで四対四。後は任せたぞ」

「はいはいっちゃ」

「……戦えないのか?」

「吾はポメラニアンと殴り合って負けるぞ?」

「「威張るな!?」」

 

 ツッコミを入れられながらイヌガミは下がる。

 それと入れ替わるようにゴーレムが前に出る。

 

 そんな三人と二体の敵を見てから、オウカは同行者を見やる。

 

「どうします?」

「あん?」

「ん?」

「何が?」

「誰が誰をやります?」

 

 人が二体と機が二体。

 それにまずモモタが立候補。

 

「ボクがあの銃使いをやる」

「……ありがたいが、いいのか?」

 

 オノヅカが問いかけた。

 実のところ、彼は他の三人と違い、中距離・遠距離への対抗手段がない。

 ……オウカは言わずもがな、エンバは中距離・遠距離への対抗手段がある。あまり好かないうえ、苦手だが。

 

「大丈夫。対中距離・遠距離相手の方が得意」

 

 そして、モモタは中距離・遠距離対抗手段を持っていた。

 

「それじゃあ俺はゴーレムやります」

 

 オウカがそう言った。

 それにエンバも続ける。

 

「じゃあオレもソイツをやる」

「いいのか?」

 

 オノヅカが問いかける。

 彼の目線はセナヤマに向いていた。

 彼としてはそっちをやりたいと思ったのだが……

 

「ああ、アッチも面白そうだけどな。あのガラクタも楽しそうだから譲る」

 

 エンバとしては最初はセナヤマと戦ろうと思った。

 だが、彼の勘が囁いたのだ。あのゴーレムの方が楽しそうだと。

 

 そう言う訳で消去法でオノヅカの相手はセナヤマとなる。

 

「……わかった」

 

 オノヅカが頷く。

 誰が誰を担当するのかが決まった。

 

 これで会話と相談は終わり。

 ここからは戦いとなる。

 

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……」

 

 空気が緊張していく。

 もし第三者が見ていたら、歪んでいるように見えただろう。

 

「「……」」

 

 誰も何も言わず、動かない。

 ……ゴーレムには発声機能がない。

 そして。

 

「「!」」

 

 全員が動く。

 激闘が始まった。

 

 初めに動いたのはゴドー。

 

 二丁拳銃から弾丸が吐き出される。

 この二丁は銃の形をしているが、冥刀である。

 つまりは、生半可な銃器以上の硬度と強度を誇り、自己修復能力を持っている。

 だからこそ、スキルを使い、銃身へのダメージを増加させながら弾丸の威力を上げた早撃ちに耐えられる。

 一気に吐き出された六発と九発の弾丸。

 あまりの早撃ちによりほぼ同時に合計十五発の弾丸が敵に襲い掛かる。

 

「させないよ」

 

 だが、それらはモモタが展開していた障壁で防がれる。

 しかも正面からは防げないと踏んで、受け流す形式にしている。

 砕け散る障壁。だが、役目は果たした。

 

 そこへ、脛当(グリーブ)鉄靴(サバトン)を使い、速度を上げたオウカがいつの間にか間合いを潰していた。

 そして、二体のゴーレムの内の一体を接近し……

 

「コイツ貰ってくな」

 

 そのままゴーレムを押し出すようにその場から離脱。

 更にもう一方のゴーレムへエンバが近づき。

 

「じゃあ俺はこっちだ!」

 

 ゴーレムの頭部を掴み、そのまま離脱。

 こうして二体のゴーレムと二人がそこから居なくなる。

 

「チッ」

 

 ゴドーはそれをただ見ていた訳ではないく、拳銃を向ける。

 とは言え、二丁共に弾切れなので、スキルを使い弾丸を再装填。

 

(まだ射程距離だ)

 

 そうして撃とうとするが。

 

「ッ!?」

 

 悪寒を感じ、伏せる。

 次の瞬間、極薄の刃が通り過ぎる。

 そのままだったら、首が落ちていた。

 

「外したか」

 

 モモタの一刀。

 障壁を使い射程を伸ばす技。

 返す刀でもう一刀放とうとするが……

 

「ハッハー!!」

 

 そんなモモタへ目がけ飛びかかったのがセナヤマ。

 ランスの如き、蹴りの一撃が、そこへ襲い掛かる。

 スピードとパワーを兼ね備えたその一撃は……

 

「お前の相手は俺だ」

「うお!?」

 

 横から割り込んだオノヅカの拳によりズラされる。

 一瞬ぐらつくも器用に着地するセナヤマ。

 オノヅカに問う。

 

「お前が俺様の相手か?」

「そういう事だ」

 

 そのまま暫く睨み合い。

 

「ッ!」

「オラァ!」

 

 拳と蹴りが激突!

 

 それを横目で見たゴドーは、援護をしようと拳銃を向けようとして止める。

 そのまま自身に近づいて来る相手を見る。

 

「お前が自分の相手をするっちゃか?」

「うん。そういう事」

 

 モモタと向かい合った。

 

 こうして四対四が成立した。

 それをホバーする椅子で俯瞰していたイヌガミは呟く。

 

「さて、どうなるかな」

 

 ……どことなく楽しそうだった。




【後書】
(・▽・)<ちょっとわかりにくいかもしれないのでまとめます。

(・▽・)<敵組織の内、異世界の事を知っているのは三人居ます。

(・▽・)<生産要員であるカダとイヌガミの二人は詳しく知っている。

(・▽・)<だから、サクが何していたのかも知っています。

(㈩*㈩)<有名なのだけでしょう? わたしみたくしていた訳じゃないし。

(・▽・)<まあそうです。それと、カダの護衛のマヤも多少知っている。

(㈩*㈩)<今回で情報共有される感じだね。

(㈩*㈩)<それと目的も判明したけど、実はこれ嘘ではないんだけど……

(#ー#)<まだ何かありそうだな。


(・▽・)<明日も更新します♪
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