冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【コソコソ話】
(㈩*㈩)<サクは黒腕を手に入れてから、色々生成して使ってる。

(㈩*㈩)<気分によって色々変えるけど、大体こんな感じ。


大鉈。マチェーテ。刃渡り四十センチ程。
長ドス。刃渡り五十五センチ程。
ドス。刃渡り三十センチ未満。
ロングナイフ。刃渡り数十センチ(相手によって誤差あり)。
日本刀。打刀。刃渡り七十~八十センチ。
大太刀。野太刀。身の丈~三メートル。
特大剣。全長数メートルから十メートル弱。


(・▽・)<大型武器はよく使えますね……。

(㈩*㈩)<これで作った剣は身体の一部って見なされるらしくて

(㈩*㈩)<重さ感じないらしいよ?

(・▽・)<なるほど。


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 ◇◆◇◆

 

 

 オウカはゴーレムを押しながら暫く進み……

 

(この辺でいいか……)

 

 そう思い止まる。

 片足を上げ。

 

「オラァ!」

 

 ヤクザキック!

 ヤクザ直伝である。

 

 その一撃はゴーレムを吹っ飛ばす。

 なすすべもなく吹っ飛んだゴーレム。

 だが、オウカの顔はそこまで明るくない。

 

「硬い……」

 

 脛当(グリーブ)鉄靴(サバトン)のチカラで、極限まで威力が向上した蹴りを喰らって装甲に凹みどころか、罅すらいかない。

 それどころか、こっちの反動の方が強い気がする。

 

(前に戦ったのに比べても硬い……)

 

 そう分析したオウカ。

 そのままどう倒すか思考していこうとすると……

 

「!」

 

 中断させるかのようにゴーレムが飛び出し、オウカへ襲い掛かる。

 腕に付いた鉤爪を振るう。

 

「おっと」

 

 それを手に持った刀で受け流す。

 

(力も強い……)

 

 そのままカウンターの一撃を繰り出す。

 その一撃はゴーレムの装甲に当たったが……

 

「!」

 

 弾かれる、なら予想通り。

 刃が通らない、それも予想通り。

 

「おいおい……」

 

 なんとゴーレムが展開したのは――闘氣(オーラ)

 それによりダメージを減衰した。

 

「何で無生物が闘氣(オーラ)使ってるんだよ!」

 

 思わずツッコミを入れるオウカ。

 

 闘氣(オーラ)を使えるのは竜、獣、鳥などの生物(モンスター)。一応人も含む。モンスターではないが。

 ゴーレムやロボットなどの無生物(モンスター)は使えないはず。

 なのにこのゴーレムは使っている。

 

(どうやって?)

 

 どう考えても普通の手段ではない。下手をすれば非人道的な手段な可能性もある。

 かなり気になるが、今は後回し。

 

「ぶっ壊してから考えるか……」

 

 そう呟いたオウカの上半身に鎧が装着される。

 【グウェンゾライ・アプ・カイディオ】で冥刀化した武器・防具の一つ。

 闘氣(オーラ)を展開する事が可能であり、更に条件を満たせば深奥の奥義すら可能。

 

「目には目を歯には歯を。闘氣(オーラ)には闘氣(オーラ)ってな」

 

 それと同時、両手の刀の形状を変える。

 メリケンサックとナイフが合体したような形状――いわゆるメリケンナイフにする。

 

(殴り合いならこっちだな)

 

 それに対して、ゴーレムはオーラの出力を更に上げる。

 そして、背中に光の翼を広げ、一気に突撃を仕掛け、鉤爪を突き出す。

 オウカはそれに合わせるように右拳を繰り出す。 

 衝突、拮抗。

 そうしてインファイトに突入した。

 

 

 ■□■□

 

 

 一方、同型のゴーレムと戦うエンバはと言えば……

 

「ハッハー! いいねえ!」

 

 楽しそうにゴーレムと殴り合っていた。

 勿論両者共に闘氣(オーラ)を使っている。

 どちらもただ全身に纏っているだけでない。

 

 攻撃する際は、闘氣(オーラ)を腕部に集中させ、防御する際は、相手の攻撃を受ける場所に集中させる。

 更に配分も時に変え、時に攻撃力を上げ、時に防御力を引き上げる。

 これこそが闘氣(オーラ)使いの基本である

 

 

 ★☆★☆★

 

 

 闘氣(オーラ)は誰でも持つチカラ。

 なのだが、色々な理由から使い手が少ない。

 初心者でもある程度なら使える魔力(マナ)と違い、本格的な修行・鍛錬が必要なのもそうなのだが、人の身では出力、練上、蓄積などをそこまで上げられず、光熱を纏うからこそのダメージもある。

 だからこそ少ない。

 

 だが、三奇拳はそれを、モンスターのチカラを取り込む事で一気に解決した。

 しかも蟲灼晃而一族は、モンスターのチカラだけでなく、優秀な血を外部から取り込み、厳しい鍛錬をする事で、更にそれを強化している。

 だからこそ、蟲拳士は普通のプレイヤーが一日で絞り出せる量の闘氣(オーラ)の、数十倍を超える量を使える。

 

 しかもエンバの場合、それがずば抜けて多い。

 今の一族では断トツな上、歴代の中でも五本指に入る。

 一見すれば無駄遣いに見える戦い方をしても平然としている。

 だからこそ、普通の闘氣(オーラ)使いでは持久戦は悪手になる。

 

 そのはずなのだが……

 

 

  ■□■□

 

 

 (どうなってる……?)

 

 お互い奔流とでも言うべき闘氣(オーラ)を出しながらの攻防。

 どちらも衰える気配がない。

 エンバは言わずもがなのだが、問題はあのゴーレム。

 

(どうやって闘氣(オーラ)を練り上げてるんだ?)

 

 最初は闘氣(オーラ)を蓄積して使っているのかとも思った。

 だが、今の攻防で確信する。

 

(動力炉が特殊なのか?)

 

 恐らく闘氣(オーラ)を作り出す器官……否、機関があるのだろう。

 

(まあいい。ぶっ壊せば分かる話だ)

 

 考えるのは止め。

 こういうのは堅物に任せる。

 自分は戦えばいいだけ。

 

「フッ!」

 

 エンバは、両拳を上段中段に同時に繰り出す。

 空手の『山突』に近い技。

 人間の本能的に顔面を庇う習性を利用して、本命の中段を入れる技。

 それにゴーレムは見事に引っかかり、吹っ飛んだ。

 ……とは言え闘氣(オーラ)を上手く使い、ダメージを減らしていたが。

 

 そんなゴーレムへエンバは宣言。

 

「さあぶっ壊してやるよ……。ガラクタ」

 

 彼の体から迸るオーラが蜻蛉――オニヤンマの形を取った。

 ここからが本番だった。

 

 

 ******

 

 

 人と機の対決が互角な状況の中で、人と人の対決は……

 

「フッ」

 

 ゴドーの早撃ち。

 

「お」

 

 それはモモタが展開した障壁により防がれる。

 一枚、否、数枚程度では貫通されると踏んだ彼は、対物理に特化させ、数十枚を重ね防ぎ切る。

 

(ただの弾丸じゃなさそう……)

 

 分析しながら、モモタは長ドスを振るう。

 勿論、障壁を利用して刀身を延長させている。

 それに対しゴドーは……

 

「同じ手を喰らう訳ないっちゃ」

 

 二丁拳銃を発砲。

 跳弾と曲射を使い、伸長した刃を圧し折った。

 

「……多芸だね」

 

 呆れたモモタのコメントにゴドーが苦々しく告げる。

 

「そう思うなら倒れろっちゃ」

「それは遠慮しておくよ」

 

 涼しそうに言うモモタ。

 

 この戦いも膠着していた。

 ゴドーが撃ち、モモタが守り、時に反撃。それをゴドーは防ぐ。

 この攻防がずっと続いていた。

 

 とは言え、どちらもまだ手札は互いにほとんど出していない。

 モモタは障壁、ゴドーは射撃。

 それだけだ。

 

(さてどうするっちゃ……)

(どうするか……)

 

 両者思考。

 そして。

 

(このままだと埒が明かないっちゃ)

 

 ゴドーは手札を切る事を決意する。

 そして……目の白黒が反転する。

 瞳の色は――黄と赤。

 

(うわ……)

 

 内心モモタがしかめっ面をする。

 それはそうだろう。

 よりによって当たりと言われる部類の二つを持っているのだから。

 

(アンバーとレッドか……)

 

 アンバークロスは古代生物。

 つまり恐竜や翼竜などの生物。

 レッドクロスは自然。

 炎、氷、雷、重力、光など。

 どちらもクロスでは大当たりの部類。

 

(さあ何が来る……)

 

 身構えるモモタ。

 それに対し、ゴドーは拳銃を向け発砲。

 

「同じとは芸g」

 

 悪寒がして伏せる。

 再び障壁を張って防ごうとしたが、弾丸が貫通。

 前までの障壁では止まらなかった

 

(どういう事だ?)

 

 ゴドーは再び発砲。

 それに対してモモタは障壁の種類を変更。

 対物理から対熱に切り替える。

 だが、それすら貫通。

 

「だったら……」

 

 三度目の正直。

 対物理と対熱の二つを幾重にも重ねる。

 そうしてやっと防げた。

 その弾丸は赤熱化している。

 

「まさか……マグマ!?」

「ご名答っちゃ。そして、もう一つ」

 

 ゴドーの言葉と同時、背中に翼が展開。

 それは翼竜の翼。

 

「トゥプクスアラ? プテロダクティルス ?」

「……こういうのって普通プテラノドンって言うもんじゃないっちゃか?」

「それで? 何なの?」

「ケツァルコアトルっちゃ」

 

 そう言って彼は飛び上がる。

 そして、告げる。

 

「さあ一気に決めるっちゃよ」

 

 その言葉と同時、マグマの弾丸がモモタ目がけ襲い掛かった。

 

 

 ******

 

 

 そしてオノヅカとセノオの戦いの方も膠着していた。

 

「オラァ!」

 

 セノオが蹴りを繰り出す。

 足場竹馬――【セブンリーグブーツ】を履いているおかげで、その一撃は槍使いの突撃に等しい。

 

「……っと。フン」

 

 それをオノヅカは僅かな回避で見切り、カウンターパンチを繰り出す。

 蝦蛄のチカラが乗った一撃。戦車すら砕くソレをセナヤマは避ける。

 

「おっと危ねえ」

(回避が上手いな……)

 

 互いに致命の一撃を繰り出すが、どちらも回避するためダメージがない。

 

「……このままだと埒が明かねえな」

「そうだな」

「あっちは本気出したようだしな……」

 

 セナヤマの視線が向こう――モモタとゴドーの戦いの方へ向く。

 釣られてオノヅカもそこを見る。

 

 するとそこでは、ゴドーが翼竜の羽を広げて空を飛び、二丁拳銃からマグマの弾丸を放っていた。

 それをモモタは障壁を使い弾速を弱めて何とか回避していた。

 威力が高すぎて障壁だけでは防ぎきれないのだ。

 しかも、モモタの攻撃――障壁伸長斬撃は距離的に届かない。

 無理に届かせようとしても、弾丸で圧し折られる。

 

(アイツ……大丈夫か?)

 

 不安に思うも、その表情を見てすぐに安心した。

 そんな彼にセナヤマが問いかける。

 

「加勢しなくていいのか?」

「……必要ない」

「押されてるぜ?」

「そう見えるならお前の中ではそうなんだろう」

 

 モモタの顔は悲観していない。

 それどころか、口元には笑みが浮かんでいる。

 恐らく何かを狙っている、もしくは隠した手札があるのだろう。

 

「そういうお前は出さないのか?」

「……そうだな。出すか」

 

 セナヤマ頷いた。

 その言葉と同時、眼の白黒は反転。

 濃褐色と淡褐色に輝く。

 

(デュアルで生物かよ……)

 

 それを見たオノヅカが心の中で嘆息。

 

 生物系のクロスは身体能力が向上する。

 それが二つ。

 つまり身体能力が凄まじいという事になる。

 

 そうしてセナヤマの体に変化が起こる。

 足が変形し、どことなく直翅目を彷彿とさせる足へと変貌。

 【セブンリーグブーツ】も形を合わせるように変える。

 そして、ドレッドヘアの髪の毛のボリュームが増す。

 それはまるで獅子のよう。

 

「飛蝗と獅子か?」

「おしい。竈馬(カマドウマ)だ」

「……」

 

 オノヅカはそれを聞いて沈黙した後、何かを思い出そうとする。

 そして。

 

「ああ、便所コオロギ、オカマコオロギか」

 

 それは竈馬の別名。

 屋内に出没する虫としては、大型であることや跳躍力の高さなどから不快害虫として有名なのだ。

 

 それを聞いたセナヤマの顔に青筋が浮かぶ。

 

「ぶっ殺す」

 

 そして、今までとは比にならぬスピードで蹴りを放った。

 

 

 ******

 

 

 四対四の戦いの中、一人だけ仲間外れ(?)がいた。

 

(ほう……。あの二人がクロスを切ったか)

 

 イヌガミ=コウメイ。

 この組織の後方支援要員。

 

 本人が戦闘員ではないので、戦う時はゴーレム、ロボット、オートマタなどの発明品に戦わせる。

 今回もそれだった。

 ゴーレムを二機出した後、浮遊椅子に座りドローンを複数飛ばし、映像を空中に投影し、四つの戦いを見ている。

 因みにゴーレム以外の支援は一切していない。

 それどころか、携帯している匣からポップコーン(しかも複数)とコーラを出して観戦している。

 ……映画館かよ。

 

(マグマとケツァルコアトルス、ライオンとカマドウマ。どれも当たりの部類)

 

 ポップコーン(薄塩)を食べながら、仲間の戦闘力を分析する。

 

 ゴドーとセナヤマの二人はクロスの当たりが出たからと奢らず、鍛え続けた猛者。

 だからこそ戦闘力も高い。

 しかも二人共クロス抜きでもかなり強い。

 

(そんな二人と渡り合えているとはな……)

 

 コーラを飲んで、口直しをしてから、ポップコーン(蜂蜜)を食べ、今度は相手の分析をする。

 

 ゴドーと戦うモモタという男。

 障壁を使い攻撃と防御に転用している。

 

(ノーブルか……)

 

 『大転換』以降、魔法が公になり、才能さえあれば誰でも学べるようにはなった。

 だが、やはり使うプレイヤーはノーブル系が多い。

 歴史がある分、教え方や鍛え方などが色々整っている。

 

(ノーブルはクロスや冥刀を使わない傾向にあるが、彼もそのようだな)

 

 ゴドーがクロスと冥刀を使っている中、モモタは障壁だけで戦い続けている。

 

 ノーブル……大転換前から活動していたプレイヤーは新しい技術を避ける傾向にある。

 事実、クドウ=カナタは冥刀を勧められても手を出さず、クロスのナノマシンも投与していない。

 

(何か狙いがあるのか……、まだ何か隠しているのかもしれん)

 

 次にセナヤマと戦うオノヅカに視線を向ける。

 

(シャコか。当たりの部類だな)

 

 生物系のクロスはどれもが当たり以上。

 その中でも一部の生物は大当たりとされている。

 蝦蛄はその中の一つ。

 

(だが、それ以外を使おうとしていないな……)

 

 持っていないのか、まだ隠しているのか……。

 

「出さないと……死ぬぞ?」

 

 恐らくセナヤマは今見せているモノ以外にもまだ隠しているだろう。

 だからこその言葉だった。




【コソコソ話】
(㈩*㈩)<何でトゥプクスアラ? 凄いマイナーだと思うけど。

(・▽・)<ほら、恐〇戦隊の彼のモチーフ。ア〇レキラーです。

(㈩*㈩)<アレそれがモチーフだったんだ……。

(・▽・)<作者が一番好きな戦隊だそうです。

(・▽・)<見た目は恰好良いし、武器も好みだそうです。

(㈩*㈩)<……なるほど。

(・▽・)<因みに海外だとドラゴンって事になっているらしいです。

(㈩*㈩)<マイナーだものね。
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