(#ー#)<この世界の暗黙の了解の一つに、他人のクロスを馬鹿にしないというのがある。
(#ー#)<クロスはガチャだから、酷すぎるモノが当たる時もあるからな。
(#ー#)<ゴキブリとか、トイレとか、AVが当たる人もいるからな。
(㈩*㈩)<ゴキブリはともかく、後ろ二つはどうやって戦うの……?
(#ー#)<だからガチャなんだよ。
イヌガミは仲間の戦闘を横目に、自身の作品の戦闘に目を向ける。
「悪くないな……」
ボソリと呟く。
オウカとゴーレム、エンバとゴーレム。
どちらも
互角に渡り合っているのを見て、イヌガミは笑みを深くする。
「うん。結果は大成功だ」
実は今回使ったゴーレム、初の実戦だった。
相手が相手……
「問題はコストか……」
溜息を吐いたイヌガミ。
「まあそれはどうにもならない。……ままならないな」
そう呟いた。
★☆★☆★
無生物であるゴーレムが
それはゴーレムに搭載された動力炉にある。
これは二つの技術がハイブリッドしたものだった。
まず一つ目が生体炉心。
異世界で“傀儡の王”と呼ばれた男が使ったモノの応用。
元は人間を炉心にするという外法なもの。
これを使った事で、彼の国では民がいなくなった。
とは言え、イヌガミはそれをそのまま使わなかった。
世紀末であったあの世界と違い、この世界の場合、行方不明者が居ればいずれバレる。
……現にどこぞの宗教団体の幹部にまで上り詰めた天才は、やり過ぎたせいでバレて粛清された。
住所不定者、身寄りのない人、危険仕事ばかりするプレイヤーでも猶更。
居なくなる人が居れば、探す人や捜査する人がいる。
だからこそ、イヌガミはヒトを使わなかった。
クローンやホムンクルスなどを作る技術を利用し、肉の塊のような生命体を使い、それを炉心として利用していた。
因みにこんな状態だが、AIくらいの意志はある。
というか闘氣は意志のチカラでもあるので、無い場合使えない。
そして二つ目がB細胞。
組織の下部組織の一つが作った特殊細胞。
これを埋め込めば誰でも界蟲拳が使えるようになる。
開発した所は、蟲灼晃而一族の報復――歴史に残る壮絶な粛清――を喰らい全滅したが、そのデータとサンプルは残っていた。
この三つを使って作り出したのが『鬼蟲炉心』。
だからこそ、無生物のゴーレムが
そこへ、イヌガミが持っていた技術――特殊な合金、高度な戦闘AIなどの机上論だったものを、組織の力で実現化した物と混ぜ合わせて作り出したのがこのゴーレム二機。
とは言え、コストと手間の問題で量産は出来ないのだが。
いずれはそれもどうにかしたいと思っているイヌガミだった。
■□■□
(本当に苦労した……)
そう思いながら、ゴーレム二機の戦闘に目を移す。
互角に渡り合っており、最初は満足そうに見ていたイヌガミだったが……
「ううむ……」
唸り声をあげた。
それは今気づいたとある問題点だった。
(やはり強化がせいぜいか……)
なのであるが、熟練者になれば、何かしらの特性を乗せる事が可能。
属性に変化させたり、概念を付与したりなどが可能。
だが、このゴーレムには不可能。
(そして、〈心牙〉も不可能だな)
これは鍛錬が必要なうえ、強固な自我も必要なので不可能。
「いずれは可能にしたい……、というかそうしなけれb」
最後まで言えなかった。
ゴーレム二機の戦闘が佳境を迎えたからだった。
◇◆◇◆
オウカのメリケンナイフとゴーレムの鉤爪がぶつかり火花を散らす。
何度も何度もぶつかり合う。
これは本来おかしい事だった。
ゴーレムに搭載されているAIは高度な戦闘用であり、動きを調整し、相手の戦闘パターンすら読み取り、ドンドン動きが良くなる。
だからこそ戦闘が長引けば長引くほど、オウカには不利になるはずだった。
なのだが、オウカは互角に渡り合っていた。
それどころか……
「オラよ!」
ヤクザキックがゴーレムに突き刺さる。
どうにか態勢を立て直しゴーレムは反撃を加えるが、それは防がれてしまう。
このようにオウカの攻撃がドンドン当たる様になっていた。
その理由は簡単。
オウカの成長・進化・適応だった。
これは最強を目指した求道者の能力……というか技術だったもの。
相手の良い所を取り込み、自身の無駄をそぎ落としていき、時に覚醒する。
だからこそ、格下はあっという間に負け、格上は起爆剤になる。
だからこそ、討伐されずに殺戮行脚をし続けたのだ。
それを受け継いだからこそ……
「うん。もう慣れた」
その言葉と同時、擦り抜けるようにメリケンナイフの一撃がゴーレムにヒット。
装甲を深く抉る。
それにゴーレムは
下手をすればオーバーヒートを起こすか、起こさなくても暫く機能停止になりかねない。
それでも出さねば負けると判断したゴーレム。
そうしてゴーレムはタックルを仕掛ける。
それにオウカは両手のメリケンナイフの形を変える。
片方は刀、片方は鞘へ。
そして、ゴーレムが射程に近づいた瞬間……
「フッ」
居合が炸裂。
ゴーレムは真っ二つになった。
■□■□
オウカがゴーレムを慣れと覚醒により一刀両断した頃……
エンバの戦闘も決着が付こうとしていた。
「おいおい……どうした?」
ゴーレムへ声をかけるエンバ。
「そんなものかよ」
その体にはこれと言った損傷もない。
それどころか、若干肌がツヤツヤしている。
誰から見ても戦闘前より調子が良さそうだった。
一方、ゴーレムの状態は正反対。
装甲は凹みや罅が入り、腕の鉤爪も欠けている。
完全に追い詰められている。
それでもゴーレムには退くという選択肢はない。
だが……
「これで終わりか? じゃあ死んでいいぜ」
エンバはそう言った。
それと同時、
そして、一瞬でゴーレムの背後にその姿はあった。
「まあまあだったぜ」
エンバの手にはゴーレムの動力炉があった。
動くための中枢を失ったゴーレムは、一歩二歩踏み出してから倒れた。
「これが……大本か。後で調べて貰うか」
彼はそう呟いた。
******
ゴーレムの戦いを見終え、イヌガミは嘆息する。
「……こうなったか」
暫くしてそう呟いた。
先程までの楽しそうな顔から一転、悔しそうな顔をしている。
(サクヅキ=オウカは成長性と適応力で突破か……)
こちらはまだ良い。
問題はエンバ。
(流石に
やはり三奇拳と言うべきか、
上手く配分・調整し、攻撃、防御、移動に使い、破壊、貫通、対物理などの性質を付与してくる。
更に、対象から
そのせいで、時間が経つに連れて優劣がはっきりしてしまった。
ゴーレムの攻撃は通じないのに、エンバの攻撃は通るという始末。
その結果がこれだった。
「……負ける事は想定内」
因みにイヌガミとしては負ける事も織り込み済み。
これはあくまで実験機なのだから。
それより問題は……
「あの動力炉を取り戻さなくては……」
エンバの作る作品は機密保持のために自爆・自壊機能が付けてある。
勿論、あのゴーレム二機にも付けていたが、動力炉には付けていなかった。
生産コストが高い事から、再利用できるように、ゴーレムが機能停止した場合、ソレだけは転移するようにしていたからだったのだが、それが仇となった。
すぐ取りに戻そうかと思ったが……。
(他の二人がどうなるか次第か……)
そう思った。
******
モモタとゴドーの戦いは一方的な展開となっていた。
ゴドーは二つのクロス……〔マグマ〕と〔ケツァルコアトルス〕を使う事で有利に戦闘を進めていた。
まずマグマ。
彼の場合、マグマを普通に放つ訳ではなく、弾丸状――熔岩弾とでも言うべき物にして、それを拳銃の弾丸として撃っていた。
マグマの温度は地表近くでだいたい八百~千二百度程度、 地下深くの出来立てのマグマは千三百~千四百度位。
つまりは生半可な炎より高温なうえ、質量がある。
だからこそ、この弾丸は対物理や対炎熱では防げない。
そして、ケツァルコアトルス。
背中から翼を展開し、空中を凄まじいスピードで飛ぶ。
一説によれば、ケツァルコアトルスは時速五十~六十kmで飛行していたが、そこはクロス。ゴドーはそれを遥かに超えるスピードで飛んでいた。
そして、この翼竜自体には空中からの攻撃手段はないが、それを彼はクロスと拳銃で補っていた。
これが本気のゴドーの戦法……の一つ。
空中を高速で飛びながら、マグマの弾丸を撃っての滅多撃ち。
相手に滞空攻撃手段がなければ詰む。
それをモモタは障壁を使う事で防いでいた。
だが、完全には防げず、弾速や威力を弱めるのがせいぜい。
それを自力で回避していた。
(ここまでバンバン撃っても弾切れがないとは……)
内心嘆息していた。
最初は相手のスタミナ切れを狙っていたが、相手に消耗が全くない。
(これは何かしら使ってるね……)
装備か、スキルか。
どちらかはわからないが……。
モモタは知らない事だが、これはスキル……と言うかギアスの効果だった。
ゴドーは自身の《レッドクロス〔マグマ〕》に制限を掛けている。
それが――『マグマを銃器での攻撃手段でしか使わない』というモノ。
つまりはそれ以外の攻撃方法が一切出来ない。
ただしその代わり、撃てる回数が上昇し、威力と弾速まで上がっている。
そんな相手にモモタは決意する。
(なら使うか。幸いにも射程範囲だ)
相手の攻撃方法の観察は終わった。
ここからは反撃と行く。
モモタは長ドスを持っている手とは逆の手で、首に付けていたペンダントを出す。
それは漆黒の宝石が付いた物。心なしか不気味な気配を放っている。
彼はいつもこれを上手い事見えないように付けて、服の中で隠している。
これこそが彼の奥の手。
「さあここからだ」
その言葉と同時、ペンダントが輝き始める。
そして、心臓にように脈打ち凄絶さを増していく。
それを見ていたゴドーはこれは不味いと察する。
(何かさせる前に……)
すぐさま拳銃から発砲。
大量のマグマの弾丸が、モモタ目がけ襲い掛かる。
それに対しモモタは障壁を展開。
だがそれは今までの障壁とは違っていた。
今までのが、半透明で半球状や壁状に張られていた。
ところが、今回の物はまるっきり違う。
色は黒く、形状も棒のよう、それが網の様に展開されている。
(さっきと同じとは芸がないっちゃ!)
そう思ったゴドーだが、その余裕は崩れ去る。
その網はマグマの弾丸を完全に防ぎ切る。
「!?」
それに驚くゴドーだが、そんな暇はなかった。
その障壁が拡散し、斬撃となりモモタへ迫る。
「何っちゃそれ!?」
咄嗟に高度を下げる事で回避するも、幾つかの刃が掠める。
(障壁の出力が上がっているっちゃ)
そんな事を思い飛んでいると……
「いつまで飛んでいるのかな?」
「!?」
声が間近に響く。
そこにはモモタが目の前にいた。
高度を下げた事が仇となり、モモタの跳躍で届く距離になっていた。
(しまったっちゃ!?)
その手には振りかぶった長ドス。
「ハア!」
「っと(。落ちた所を狙うっちゃ)」
どうにか避けるゴドー。
そうして飛ぶ手段のないモモタを狙おうとする。
だが、モモタは空中に留まる。
そのまま、彼は空を掛け、ゴドーを追撃。
「お前飛べたっちゃか!?」
「飛んでないよ。駆けてるだけ」
どうにか距離を離そうとしながら咆えるゴドーへ、モモタが静かに答えた。
よく見ると、彼の足元には棒状の黒い障壁。
それを使い、空中を駆けていた。
「離れろっちゃ!」
「嫌だね」
ゴドーが発砲。それをモモタは黒い障壁で防ぎながら距離を潰す。
そして、放たれる横薙ぎの一閃。障壁を使い射程を伸ばした一撃。
それをさっきと同じようにゴドーは曲射と跳弾で壊そうとしたが……
(いや、多分無理っちゃ)
障壁が黒くなっているから無理だと判断。
避けるのも不可能。
だからこそ……
「ッチ!」
「へえ……」
ゴドーはそれを受け止めた。
感心するモモタ。
銃口から出た
これは【チャンドラダヌス&ガーンデーヴァ】の接近戦用の技。
彼はコレをクロスのチカラで更に強化させている。
実は接近戦も得意なゴドーであるが、普段は隠している。
だが、バレてしまった。
「まあいいっちゃ。ここでお前を消せばいいだけっちゃ」
気持ちを切り替え近接戦を挑むゴドーだった。
【コソコソ話】
(・▽・)<堕天剣聖が討伐されなかった要因は、冥刀と秘咒のせいもありますけど。
(・▽・)<成長・進化・適応が半端ないからなのが一番の要因です
(・▽・)<そりゃあ最強になるため、全てを捨てた人ですから。
(・▽・)<戦っていない時も、鍛錬していますし。
(・▽・)<戦闘に関する事以外はほぼしていなかったですからね。
(#ー#)<こういうのを修羅って言うのか?
(㈩*㈩)<もはやそれすら超えたナニか。
(・▽・)<明日も更新です♪ 連休中更新出来ました!
(#ー#)<(大丈夫か? 追いつかないか?)