冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【コソコソ話】
(#ー#)<この世界の暗黙の了解の一つに、他人のクロスを馬鹿にしないというのがある。

(#ー#)<クロスはガチャだから、酷すぎるモノが当たる時もあるからな。

(#ー#)<ゴキブリとか、トイレとか、AVが当たる人もいるからな。

(㈩*㈩)<ゴキブリはともかく、後ろ二つはどうやって戦うの……?

(#ー#)<だからガチャなんだよ。


179

 イヌガミは仲間の戦闘を横目に、自身の作品の戦闘に目を向ける。

 

「悪くないな……」

 

 ボソリと呟く。

 

 オウカとゴーレム、エンバとゴーレム。

 どちらも闘氣(オーラ)闘氣(オーラ)を使っている。

 互角に渡り合っているのを見て、イヌガミは笑みを深くする。

 

「うん。結果は大成功だ」

 

 実は今回使ったゴーレム、初の実戦だった。

 相手が相手……闘氣(オーラ)使いなので、どこまでやれるかと思い付きで投入してみたはいいが、思いのほか上手くいっている。

 

「問題はコストか……」

 

 溜息を吐いたイヌガミ。

 

「まあそれはどうにもならない。……ままならないな」

 

 そう呟いた。

 

 

 ★☆★☆★

 

 

 無生物であるゴーレムが闘氣(オーラ)を使える理由。

 それはゴーレムに搭載された動力炉にある。

 これは二つの技術がハイブリッドしたものだった。

 

 まず一つ目が生体炉心。

 異世界で“傀儡の王”と呼ばれた男が使ったモノの応用。

 元は人間を炉心にするという外法なもの。

 これを使った事で、彼の国では民がいなくなった。

 

 とは言え、イヌガミはそれをそのまま使わなかった。

 世紀末であったあの世界と違い、この世界の場合、行方不明者が居ればいずれバレる。

 ……現にどこぞの宗教団体の幹部にまで上り詰めた天才は、やり過ぎたせいでバレて粛清された。

 住所不定者、身寄りのない人、危険仕事ばかりするプレイヤーでも猶更。

 居なくなる人が居れば、探す人や捜査する人がいる。

 

 だからこそ、イヌガミはヒトを使わなかった。

 クローンやホムンクルスなどを作る技術を利用し、肉の塊のような生命体を使い、それを炉心として利用していた。

 

 因みにこんな状態だが、AIくらいの意志はある。

 というか闘氣は意志のチカラでもあるので、無い場合使えない。

 

 そして二つ目がB細胞。

 組織の下部組織の一つが作った特殊細胞。

 これを埋め込めば誰でも界蟲拳が使えるようになる。

 開発した所は、蟲灼晃而一族の報復――歴史に残る壮絶な粛清――を喰らい全滅したが、そのデータとサンプルは残っていた。

 

 この三つを使って作り出したのが『鬼蟲炉心』。

 だからこそ、無生物のゴーレムが闘氣(オーラ)を使っている訳だった。

 そこへ、イヌガミが持っていた技術――特殊な合金、高度な戦闘AIなどの机上論だったものを、組織の力で実現化した物と混ぜ合わせて作り出したのがこのゴーレム二機。

 とは言え、コストと手間の問題で量産は出来ないのだが。

 いずれはそれもどうにかしたいと思っているイヌガミだった。

 

 

 ■□■□

 

 

(本当に苦労した……)

 

 そう思いながら、ゴーレム二機の戦闘に目を移す。

 互角に渡り合っており、最初は満足そうに見ていたイヌガミだったが……

 

「ううむ……」

 

 唸り声をあげた。

 それは今気づいたとある問題点だった。

 

(やはり強化がせいぜいか……)

 

 闘氣(オーラ)で可能な事は強化とその延長線上。

 なのであるが、熟練者になれば、何かしらの特性を乗せる事が可能。

 属性に変化させたり、概念を付与したりなどが可能。

 だが、このゴーレムには不可能。

 

(そして、〈心牙〉も不可能だな)

 

 闘氣(オーラ)の深奥である〈心牙〉。

 これは鍛錬が必要なうえ、強固な自我も必要なので不可能。

 

「いずれは可能にしたい……、というかそうしなけれb」

 

 最後まで言えなかった。

 ゴーレム二機の戦闘が佳境を迎えたからだった。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 オウカのメリケンナイフとゴーレムの鉤爪がぶつかり火花を散らす。

 何度も何度もぶつかり合う。

 

 これは本来おかしい事だった。

 ゴーレムに搭載されているAIは高度な戦闘用であり、動きを調整し、相手の戦闘パターンすら読み取り、ドンドン動きが良くなる。

 だからこそ戦闘が長引けば長引くほど、オウカには不利になるはずだった。

 

 なのだが、オウカは互角に渡り合っていた。

 それどころか……

 

「オラよ!」

 

 ヤクザキックがゴーレムに突き刺さる。

 どうにか態勢を立て直しゴーレムは反撃を加えるが、それは防がれてしまう。

 

 このようにオウカの攻撃がドンドン当たる様になっていた。

 その理由は簡単。

 オウカの成長・進化・適応だった。

 

 これは最強を目指した求道者の能力……というか技術だったもの。

 相手の良い所を取り込み、自身の無駄をそぎ落としていき、時に覚醒する。

 だからこそ、格下はあっという間に負け、格上は起爆剤になる。

 だからこそ、討伐されずに殺戮行脚をし続けたのだ。

 

 それを受け継いだからこそ……

 

「うん。もう慣れた」

 

 その言葉と同時、擦り抜けるようにメリケンナイフの一撃がゴーレムにヒット。

 装甲を深く抉る。

 

 それにゴーレムは闘氣(オーラ)の出力を増して対抗する。

 下手をすればオーバーヒートを起こすか、起こさなくても暫く機能停止になりかねない。

 それでも出さねば負けると判断したゴーレム。

 

 そうしてゴーレムはタックルを仕掛ける。

 それにオウカは両手のメリケンナイフの形を変える。

 片方は刀、片方は鞘へ。

 そして、ゴーレムが射程に近づいた瞬間……

 

「フッ」

 

 居合が炸裂。

 ゴーレムは真っ二つになった。

 

 

 ■□■□

 

 

 オウカがゴーレムを慣れと覚醒により一刀両断した頃……

 エンバの戦闘も決着が付こうとしていた。

 

「おいおい……どうした?」

 

 ゴーレムへ声をかけるエンバ。

 

「そんなものかよ」

 

 その体にはこれと言った損傷もない。

 それどころか、若干肌がツヤツヤしている。

 誰から見ても戦闘前より調子が良さそうだった。

 

 一方、ゴーレムの状態は正反対。

 装甲は凹みや罅が入り、腕の鉤爪も欠けている。

 完全に追い詰められている。

 

 それでもゴーレムには退くという選択肢はない。

 闘氣(オーラ)を動力炉が自壊寸前する寸前まで迸らせ、エンバ目がけ突進する。

 だが……

 

「これで終わりか? じゃあ死んでいいぜ」

 

 エンバはそう言った。

 それと同時、闘氣(オーラ)が蜻蛉の翅のように展開される。

 そして、一瞬でゴーレムの背後にその姿はあった。

 

「まあまあだったぜ」

 

 エンバの手にはゴーレムの動力炉があった。

 動くための中枢を失ったゴーレムは、一歩二歩踏み出してから倒れた。

 

「これが……大本か。後で調べて貰うか」

 

 彼はそう呟いた。

 

 

 ******

 

 

 ゴーレムの戦いを見終え、イヌガミは嘆息する。

 

「……こうなったか」

 

 暫くしてそう呟いた。

 先程までの楽しそうな顔から一転、悔しそうな顔をしている。

 

(サクヅキ=オウカは成長性と適応力で突破か……)

 

 こちらはまだ良い。

 問題はエンバ。

 

(流石に闘氣(オーラ)の扱いでは一枚上手か)

 

 やはり三奇拳と言うべきか、闘氣(オーラ)の扱いが上手い。

 上手く配分・調整し、攻撃、防御、移動に使い、破壊、貫通、対物理などの性質を付与してくる。

 更に、対象から闘氣(オーラ)を吸収するという妙技まで使ってくる始末。

 そのせいで、時間が経つに連れて優劣がはっきりしてしまった。

 ゴーレムの攻撃は通じないのに、エンバの攻撃は通るという始末。

 その結果がこれだった。

 

「……負ける事は想定内」

 

 因みにイヌガミとしては負ける事も織り込み済み。

 これはあくまで実験機なのだから。

 それより問題は……

 

「あの動力炉を取り戻さなくては……」

 

 エンバの作る作品は機密保持のために自爆・自壊機能が付けてある。

 勿論、あのゴーレム二機にも付けていたが、動力炉には付けていなかった。

 生産コストが高い事から、再利用できるように、ゴーレムが機能停止した場合、ソレだけは転移するようにしていたからだったのだが、それが仇となった。

 すぐ取りに戻そうかと思ったが……。

 

(他の二人がどうなるか次第か……)

 

 そう思った。

 

 

 ******

 

 

 モモタとゴドーの戦いは一方的な展開となっていた。

 ゴドーは二つのクロス……〔マグマ〕と〔ケツァルコアトルス〕を使う事で有利に戦闘を進めていた。

 

 まずマグマ。

 彼の場合、マグマを普通に放つ訳ではなく、弾丸状――熔岩弾とでも言うべき物にして、それを拳銃の弾丸として撃っていた。

 マグマの温度は地表近くでだいたい八百~千二百度程度、 地下深くの出来立てのマグマは千三百~千四百度位。

 つまりは生半可な炎より高温なうえ、質量がある。

 だからこそ、この弾丸は対物理や対炎熱では防げない。

 

 そして、ケツァルコアトルス。

 背中から翼を展開し、空中を凄まじいスピードで飛ぶ。

 一説によれば、ケツァルコアトルスは時速五十~六十kmで飛行していたが、そこはクロス。ゴドーはそれを遥かに超えるスピードで飛んでいた。

 そして、この翼竜自体には空中からの攻撃手段はないが、それを彼はクロスと拳銃で補っていた。

 

 これが本気のゴドーの戦法……の一つ。

 空中を高速で飛びながら、マグマの弾丸を撃っての滅多撃ち。

 相手に滞空攻撃手段がなければ詰む。

 

 それをモモタは障壁を使う事で防いでいた。

 だが、完全には防げず、弾速や威力を弱めるのがせいぜい。

 それを自力で回避していた。

 

(ここまでバンバン撃っても弾切れがないとは……)

 

 内心嘆息していた。

 最初は相手のスタミナ切れを狙っていたが、相手に消耗が全くない。

 

(これは何かしら使ってるね……)

 

 装備か、スキルか。

 どちらかはわからないが……。

 

 モモタは知らない事だが、これはスキル……と言うかギアスの効果だった。

 ゴドーは自身の《レッドクロス〔マグマ〕》に制限を掛けている。

 それが――『マグマを銃器での攻撃手段でしか使わない』というモノ。

 つまりはそれ以外の攻撃方法が一切出来ない。

 ただしその代わり、撃てる回数が上昇し、威力と弾速まで上がっている。

 

 そんな相手にモモタは決意する。

 

(なら使うか。幸いにも射程範囲だ)

 

 相手の攻撃方法の観察は終わった。

 ここからは反撃と行く。

 

 モモタは長ドスを持っている手とは逆の手で、首に付けていたペンダントを出す。

 それは漆黒の宝石が付いた物。心なしか不気味な気配を放っている。

 彼はいつもこれを上手い事見えないように付けて、服の中で隠している。

 これこそが彼の奥の手。

 

「さあここからだ」  

 

 その言葉と同時、ペンダントが輝き始める。

 そして、心臓にように脈打ち凄絶さを増していく。

 

 それを見ていたゴドーはこれは不味いと察する。

 

(何かさせる前に……)

 

 すぐさま拳銃から発砲。

 大量のマグマの弾丸が、モモタ目がけ襲い掛かる。

 

 それに対しモモタは障壁を展開。

 だがそれは今までの障壁とは違っていた。

 今までのが、半透明で半球状や壁状に張られていた。

 ところが、今回の物はまるっきり違う。

 色は黒く、形状も棒のよう、それが網の様に展開されている。

 

(さっきと同じとは芸がないっちゃ!)

 

 そう思ったゴドーだが、その余裕は崩れ去る。

 その網はマグマの弾丸を完全に防ぎ切る。

 

「!?」

 

 それに驚くゴドーだが、そんな暇はなかった。

 その障壁が拡散し、斬撃となりモモタへ迫る。

 

「何っちゃそれ!?」

 

 咄嗟に高度を下げる事で回避するも、幾つかの刃が掠める。

 

(障壁の出力が上がっているっちゃ)

 

 そんな事を思い飛んでいると……

 

「いつまで飛んでいるのかな?」

「!?」

 

 声が間近に響く。

 そこにはモモタが目の前にいた。

 高度を下げた事が仇となり、モモタの跳躍で届く距離になっていた。

 

(しまったっちゃ!?)

 

 その手には振りかぶった長ドス。

 

「ハア!」

「っと(。落ちた所を狙うっちゃ)」

 

 どうにか避けるゴドー。

 そうして飛ぶ手段のないモモタを狙おうとする。

 だが、モモタは空中に留まる。

 そのまま、彼は空を掛け、ゴドーを追撃。

 

「お前飛べたっちゃか!?」

「飛んでないよ。駆けてるだけ」

 

 どうにか距離を離そうとしながら咆えるゴドーへ、モモタが静かに答えた。

 よく見ると、彼の足元には棒状の黒い障壁。

 それを使い、空中を駆けていた。

 

「離れろっちゃ!」

「嫌だね」

 

 ゴドーが発砲。それをモモタは黒い障壁で防ぎながら距離を潰す。

 そして、放たれる横薙ぎの一閃。障壁を使い射程を伸ばした一撃。

 それをさっきと同じようにゴドーは曲射と跳弾で壊そうとしたが……

 

(いや、多分無理っちゃ)

 

 障壁が黒くなっているから無理だと判断。

 避けるのも不可能。

 だからこそ……

 

「ッチ!」

「へえ……」

 

 ゴドーはそれを受け止めた。

 感心するモモタ。

 

 銃口から出た発火炎(マズルフラッシュ)を固定化させ銃剣のようにして受け止めている。

 これは【チャンドラダヌス&ガーンデーヴァ】の接近戦用の技。

 彼はコレをクロスのチカラで更に強化させている。

 実は接近戦も得意なゴドーであるが、普段は隠している。

 だが、バレてしまった。

 

「まあいいっちゃ。ここでお前を消せばいいだけっちゃ」

 

 気持ちを切り替え近接戦を挑むゴドーだった。




【コソコソ話】
(・▽・)<堕天剣聖が討伐されなかった要因は、冥刀と秘咒のせいもありますけど。

(・▽・)<成長・進化・適応が半端ないからなのが一番の要因です

(・▽・)<そりゃあ最強になるため、全てを捨てた人ですから。

(・▽・)<戦っていない時も、鍛錬していますし。

(・▽・)<戦闘に関する事以外はほぼしていなかったですからね。

(#ー#)<こういうのを修羅って言うのか?

(㈩*㈩)<もはやそれすら超えたナニか。


(・▽・)<明日も更新です♪ 連休中更新出来ました!

(#ー#)<(大丈夫か? 追いつかないか?)
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