(#ー#)<コイツ何したんだ? ペンダントの効果っていうのはわかるんだが。
(㈩*㈩)<特殊なアクセサリーの効果で、出力を上げた。今言えるのはそれだけ。
(#ー#)<つまり何かしらトリックがあると?
(㈩*㈩)<うん。まあそれは追々。近い内に。
(㈩*㈩)<ちょっとネタバレすると、特殊な事はしていない。
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そして、オノヅカとセナヤマの戦いは……
「おいおい! どうしたどうした!」
「……」
セナヤマの【セブンリーグブーツ】の一撃をどうにか避けるオノヅカ。
だが、完全に避けられず、服が少し破ける。
このような被弾が続いており、服はあちらこちらが破けていた。
こちらもやはりと言うべきか、セナヤマが有利になっていた。
二つのクロス――〔カマドウマ〕・〔ライオン〕と冥刀の組み合わせが猛威を振るう。
しかも彼の場合、素の戦闘力も高いからこそ質が悪い。
それに対し、オノヅカはクロス一つ――〔モンハナシャコ〕のみ。
冥刀を持っておらず、二つ目のクロスもない。
もう一つ手札はあるが、今はまだ使えない。
(どうするか……)
思考していく。
(こちらの
この戦いでオノヅカは何度かカウンターを叩き込んでいるのだが、一度も当たっていない。
「リーチの差……だな」
あの靴は槍のような物。
距離を保ち、一方的に攻撃可能。
至近距離……殴れる距離ならこちらのターンになるが……
(本当に厄介だな……。あの冥刀)
それが出来なかった。
その理由は【セブンリーグブーツ】にあった。
ソレのチカラは――転移。
ただしそこまで長距離転移が出来る訳ではなく、原典の如く七歩が距離限界。
なのだが、それが戦闘では厄介。
近づいたと思っても、あっという間に引き離される。
その上、転移能力はコスパが悪いのが常なのだが、この冥刀は短距離転移限定なため、何度も可能。
「どうするか……」
呟いたオノヅカ。
そこへセナヤマの一撃。
どうにか避けるが……
「チッ!?」
「腕貰い!」
避けきれず腕が吹っ飛ぶ。
どうやら向こうはこちらのペースを掴み始めている。
(……このままだと不味いな)
千切れた腕に力を集中させる。
その途端、新しい腕が生えてくる。
★☆★☆★
生物系のクロスはその生物の特性のチカラが使える。
普通の人間ならば、手足が無くなったら生えてこないが、新しい手足が生えて来る生物は幾つかいる。
そして、海老や蟹……甲殻類は手足が千切れても生えて来る。
蝦蛄も該当する。
しかも、そこはクロス。普通の生物ならば時間がかかるところを、一瞬で生やす事が可能。
……ただし、結構疲れるので、何度も出来る手ではない。
■□■□
「……(どうするか)」
オノヅカは物陰に潜んで考える。
(こっちの攻撃は通らねえ)
彼の戦闘スタイルは近づいてぶん殴る。
ただそれだけ。
冥刀はなく、スキルは物理攻撃を無効化する相手にダメージを与えられるようにするスキルと、追い詰められた時に発動するステータスバフ――いわゆる背水系で固めてある。
……中距離・遠距離の敵はどうするんだ? という感じだが、彼は元々一人ではなく、仲間がいる。そういう相手はそういうのが得意な人がやればいい。
そして、大抵の相手なら回避し、フットワークで近づけば事足りる。
水上や空中を駆ける事が可能な、装備品もあるのだから。
だが、今回はそれが出来ない。
(有効な手札はない事はない……)
それはクロスとスキルのコンボ。
破壊力は凄まじく、範囲も広いのだが、その光景から見た味方から……
[あまりに狂気すぎる]
[見てて痛そう]
[男のロマン……だけど、やりたいって思えない]
というコメントを貰っている。
それに消耗もあるので、出来る事なら伏せておきたい。
「後は……アーティファクト系か」
オノヅカは呟く。
攻撃を避けながら、ポケットや匣を探る。
……匣は物によっては触れただけで中身が分かる品物もある。
(何かないか、何かないか……)
そして、
「あん?」
思わず声が出る。
ポケットの中を探った時に、硬い物が指先に触れた。
出してみてみると、それは何かの液体が入った容器。
「……これは? 確k」
そして思い出した。
ソレは……
「クロス……」
正確にはクロスの入ったナノマシン。
これを目に投与すればクロスが手に入れられる。
ただし、適合しなければ死に至る上、無事に能力を得られたとしても、ガチャなので使えないチカラが宿る事もある。
……〔プレパラート〕とか。〔ゼリー〕はどないせいっちゅうねん。
何でオノヅカがこれを持っているか? と言えば、それは簡単。
逆転のためである。
適合すれば生命力が活性化するので、重傷からの回復も可能。
そして、手札も増える。
ゆえに、ポーション代わりに持つ人もいる。
だからこそ、一部プレイヤーはクロスを持ち歩く。
実際、天ノ角高校の前生徒会長は持ち歩いていたからこそ、それが逆転の一手となった。
「……」
オノヅカは沈黙してそれを見る。
僅かな逡巡の末。
「死んで元々だ」
容器の蓋を開け、彼は眼に投与した。
******
「アイツどこ行きやがった……」
セナヤマは探す。
身を隠したオノヅカを探す。
とは言え、探査は得意でないので、短距離転移を繰り返し、辺り一面を破壊していく。
だがそれでも見つからない。
イライラが募って行く中……
「よぉ、待ったか」
オノヅカが姿を現す。
心なしか雰囲気が変わっているのに、セナヤマは気づく。
(……何かしたか?)
彼は別に馬鹿ではない。
オノヅカが隠れていた間に、何かしたと踏んでいた。
とは言え、やる事は単純。
「オラァ!」
短距離転移で間合いを詰めての蹴り。
鋭さと重さを兼ね備えており、喰らえばひとたまりもない。
それをオノヅカは横っ飛びに回避。
心なしか余裕がある上……
(スピードが上がった!?)
セナヤマは気づいていた。
戦いの中で、オノヅカのペースを掴み、攻撃を当たるようになり、致命の一撃を与えられるまでもう少しと思っていたが……。
「何したっちゃ?」
思わず訊ねた。
それにオノヅカはこう答える。
「言う訳ねえ、と言いたい所だが……」
「……」
「今教えてやる」
その言葉と同時、体に肌に豹紋が浮き上がる。
それにセナヤマが叫ぶ。
「お前もデュアルだったか!?」
クロスを二つ持つ
略してデュアルやディーと呼ばれる事が多い。
だが、そんな素振りはなかったのに。
そして、すぐに思い至る。
「……ああ、そう言う事か」
納得したセナヤマ。
「ナノマシン投与したのか?」
「まあな」
「……色が同じだったからわからなかった」
ツインの方かと、セナヤマは言った。
クロス二つが同系統になっている人が稀にいる。
その場合、デュアルではなく、ツインと呼ばれる事も多い。
見ただけでは二つ持ちだとわからない。
(まあ、条件は同じになっただけだ)
蹴り砕く、と地面を踏みしめる。
それにオノヅカは拳を構える。
両者、動かない。
暫く不動が続く。
初めに動いたのは――セナヤマが動く。
短距離転移を繰り返し、攪乱をする。
(まだ早い……)
それにオノヅカが動かない。
眼だけを動かし相手を見る。
(十分に引き寄せる……)
そして。
「オラァ!」
セナヤマの飛び蹴りが炸裂!
それをオノヅカは寸前で回避。
そして背中から何かが飛び出し、セナヤマを捕まえた。
「んな!?」
「捕まえた……」
オノヅカの背からは八本の蛸の触腕が伸びていた。
それは豹紋を持った黄色。
それにセナヤマが咆える。
「おま……それ……豹じゃなかったのか?」
「豹は豹でも、豹紋蛸だ」
そう答えたセナヤマだった。
★☆★☆★
ここ数年で出来たクロスの新しい分類。
主に生物系の実在生物――
それは細かく分けられるかどうか。
例えば、蜘蛛のチカラを持つクルセイダーを例に挙げるなら、《ヘーゼルクロス〔クモ〕》が広義で、《ヘーゼルクロス〔アシダカグモ〕》、《ヘーゼルクロス〔クロドクシボグモ〕》、《アンバークロス〔ロサミガレ・グラウボゲリィ〕》が狭義。
……《グリーンクロス〔アトラク=ナクア〕》、《グリーンクロス〔イクトミ〕》、《グリーンクロス〔牛鬼〕》は含まない。幻獣なので。
閑話休題。
広義の場合、多彩な蜘蛛の特性・能力を使える。
蜘蛛と一口に言っても、脚が速い物、水中行動が可能な物、パワーがある物、毒を持つ物など様々。
狭義の場合、その種類限定のチカラしかもたない。
……まあ鍛えれば、ある程度なら拡張可能であるが。
一見すれば、広義の方が強そうであるが、そこはクロス。
どちらとも言えない。相性の問題がある。
そして、最大の問題は燃費。
広義の場合、多彩なチカラを使える代わり、消耗が激しくなる。
狭義の場合、コスパが良く、持続時間や維持時間も長い。
使い方にもよるので、鍛えていない広義より、鍛えた狭義の方が強いのは自明の理である。
******
そして、オノヅカが
マダコ亜目マダコ科ヒョウモンダコ属に属する四種類のタコの総称。
小型(十センチ程)の蛸であり、熱帯域や亜熱帯域の浅い海の岩礁、サンゴ礁、砂礫底に生息しているが、地球温暖化の影響で分布北限が北上しており、日本の浜名湖で目撃や捕獲例がある。
食べる物は海老、蟹、魚。飼育下では共食いも確認された。
ここまでは普通の小さな蛸なのだが、吸盤は小さくて弱々しく、スミを蓄える墨汁嚢も退化している。泳ぎも不得意で、基本的に海底をゆっくり這っている。
そんなどう見ても弱そうなヒョウモンダコであるが、恐ろしい点がある。それが毒性。
フグ毒としても知られる強力な神経毒素テトロドトキシンを保有する危険生物として知られており、人間の死亡事例もある。
毒を持つのは、後部唾液腺が最も高いが、量としては筋肉や皮が多い。なので食べるなんてもっての外である。
総合的に見る限り、大当たりである。
しかもどちらもブラウンなので、デュアルだと見破られにくい。
後は、生かすも殺すも本人の修練次第だろう。
■□■□
蛸の触腕をどうにか外そうと藻掻くセナヤマ。
「この……」
あまりの必死さを見て、オノヅカはある事に思い至る。
「……どうやら転移出来ないようだな」
「!」
「誰かと接触状態だと出来ないのか?」
「……」
「図星だな」
次元系――時間、空間、重力の術技は強力な分コストが重い。
だからこそ、希少な素材を使ったり、制限を設けたりする。
【セブンリーグブーツ】も正にそれ。
時空の天剣である【アロンダイト】の欠片を使った
まず、移動距離。七歩で行ける距離限定。……一応歩幅調節は可能なので、多少融通は効く。
そして、条件。幾つかあるが、その内の一つに非接触状態である事というのがある。
つまり、誰かに拘束されていたり、触れられていると、転移が出来ない。
そして、もう一つ気になる点がある。
(……コイツ妙に焦ってねえか?)
捕まっただけなら手段が幾らでもあるだろうに、心なしか焦っている気がする。
(まだ何かありそうだな……)
確かめるため、とオノヅカは拳を握る。
そして、触腕を使いセナヤマを引き寄せ……
(あかん!? 殴られる!?)
咄嗟に腕を使い、腹筋を固め、ガードするが……
「オラァ!」
シャコパンチが炸裂!
「グボォ!?」
凄まじい威力の拳に吐血するセナヤマ。
(い、一発でなんつー威力……)
生物系クロス
恐らくシングルでは耐え切れなかった。
(こっちのクロスは防御に特化していないからな……)
カマドウマはソフトインセクトなので結構脆い。……それでもクロスの場合、防御力は上がるが、甲虫系と比べると低い。
そして、もう一つは……
(コイツとは相性が悪い……。このままだと不味い。仕方ねえ……)
セナヤマは奥の手を切る事を決断する。
そして、奥歯に仕込んだ薬――【ダークウィング】を噛み砕こうとしたが……
「それを使うのは待て」
声が響いた。
それと同時、飛んできたのは大型の手裏剣多数。……もはや刃付きの
このままでは当たると、オノヅカはどうにか回避するも、触腕を切られてしまい、セナヤマを解放してしまう。
「誰だ」
オノヅカが手裏剣の飛んできた方向を見る。
そこにいたのは――和洋折衷の大きな鎧。
組織の幹部の一人――マヤだった。
それに驚くセナヤマ。
「おま、何で?」
彼女はカダの護衛。
滅多に動かない。
それに彼女は答える。
「カダ様の指示だ。引くぞ」
「悪い……」
「待て!」
オノヅカは追いかけようとしたが、マヤは煙幕を展開。
逃げられてしまった。
【コソコソ話】
(・▽・)<オノヅカさんの第二のクロス。ギリギリまで迷いました。
(#ー#)<何と?
(・▽・)<まずツインにするのは確定だから、昆虫、古代生物、幻獣以外で
(・▽・)<そして、デンキウナギにしようかと思いましたけど
(・▽・)<ある人と被るのでやめて、豹紋蛸にしました。
(#ー#)<……(アレ? デンキウナギっていたっけ?)……。
【後書】
(・▽・)<……(ムンクの叫び)!!??
(㈩*㈩)<……どうしたの? 凄い顔しているけど。
(・▽・)<追いついちゃいました!!
(㈩*㈩)<あらあら。
(・▽・)<更新ペース戻します(汗)。
(㈩*㈩)<次の更新は再来週。皆ごめんなさい。