(#ー#)<捕捉。大転換以後に出て来た、『思念操作』っていう技術が使われている。
(#ー#)<だから、使う人の意志で色を変えられる。
(・▽・)<これは読んで字の如く?
(#ー#)<ああ。筋電義手みたいに、意志を読み取れる。
(#ー#)<因みにカラコンだけじゃない。
(#ー#)<髪色を変えられるウィッグや髪飾り、肌の色を変えるクリームもある。
(・▽・)<つまり、一瞬で変装可能?
(#ー#)<ああ。そう言う事だ
するとそこへ……
「良かった二人共無事だったんですね」
「負けてねえようで何よりだ」
オウカとエンバがやって来た。
するとモモタが聞いて来る。
「そっちも無事で良かった。ところで……」
モモタの目線がエンバがクルクル回している機械に向く。
「それ……何?」
「ゴーレムの動力炉」
「わざわざ取ったのか?」
「ああ。妙だったから」
「「妙?」」
それにエンバは説明はかいつまんで説明をする。
それを聞いて彼らも納得。
「
「ところでこっちからもいいか?」
「あん?」
今度はオノヅカが訊ねる。
「お前さ、匣持ってねえのか?」
その機械をどうして持ったままなのかと訊ねる。
唯一の手が手掛かりを出しっぱなしなのか、気になったのだ。
「あ、俺も気になります」
オウカも気になっていた。
恐らくそれが無ければ、あのオートマタをもっと楽に倒せただろう。
それにエンバがああ、という顔をして答える。
「そうしたいのは山々なんだが……」
「「が?」」
「仕舞えない」
三人が目をパチクリさせる。
「つまりどういう事だ?」
「アイテム……というか無生物じゃない?」
オノヅカが首を捻り、モモタが自身の考えを述べた。
そして、モモタは呟く。
「……確かゴーレムは仕舞えたような気がしたけど?」
「それはゴーレムによります。自然発生系は仕舞えません」
オウカは使っていた冥刀が冥刀なので次元系については結構詳しい。
「ロボットも似たような感じです。モンスター化していたら仕舞えないです」
「つまり……」
エンバがクルクル回している動力炉を見てこう言う。
「つまりこれは……生物?」
「「……」」
全員沈黙。
ややあって、オウカが口を開く。
「エンバさん」
「ん?」
「貸してくれませんか? それ」
「あ、ああ。壊すなよ」
「そんなヘマしません」
「お前じゃあるまいし」
余計な事を言ったオノヅカにガンを付けるエンバ。
そうして睨み合う二人。
それを止めにかかるモモタ。
そんな三人を無視して、オウカは動力炉を受け取る。
「まずはっと」
オウカはまず自身の匣に仕舞おうとする。
が、やはり出来ない。
「なら……」
次に、特殊な匣……生物系が仕舞える物で試してみる。
結果は……
「仕舞えた!」
「つまり……」
「この動力炉は生きている?」
「生物なのかよ……」
全員の顔が妙な物を見た顔になった。
■□■□
その頃、組織の面々はと言えば……
時間差はあったが、どうにか転移で戻れる面々は揃った。
『残りはゴドーか……。無事という連絡があったから大丈夫だろう』
巨大機械の中の脳みそ――カダが電子音声を発する。
ゴドーは今は翼でこちらに向かっている。
転移設置ポイントを目指しているらしい。
もうしばらくかかるらしい。
『他の面々で無事で何より』
「はい」
すぐに答えたのはマヤ。
あまり戦っておらず消耗は少ないからこそ。
「まあな」
イヌガミも少し遅れて答える。
彼は発明品で支援していたから、本人は疲れていない。
だが……
「「……」」
他の面々は無言。
セナヤマ、カマタ、レミア。
この三人は先程まで死力を尽くして戦っていたから当然。
まだカマタとレミアは長時間は戦っていなかったため、二本足で立てているが、セナヤマは床に寝っ転がったまま。
するとそこへ。
「……ただいまっちゃ~」
ゴドーが帰って来る。
その声は心なしかくたびれている。
『おかえり。無事で何よりだ』
「……まあなっちゃ」
そう言って彼は床に座り込む。
「まさかあそこまで強いとは思わなかったっちゃ……」
「あのノーブルか……」
ゴドーの呟きに返事をしたのはイヌガミ。
彼は戦闘の様子を見ていたから、知っている。
「恐らく得意な障壁を鍛え上げたのだろう。一つの事を極めれば立派な武器になる」
武器しかり、魔法しかり。
何にでも手を出すと、器用貧乏になりやすい。
……まあ中にはならない人もいるが。
「そしてセナヤマ」
「……なんや」
「相手もDになるとはな。運がなかったな」
アレには少し驚いた。
「しかも当たりの部類を引き当てた」
驚いたのはクロスのナノマシンを持っている事ではない。
当たりを引き当てた事だった。
「モンハナシャコとヒョウモンダコ。
人間に何かしらの動物がプラスされるので、身体能力が上がるため、外れがない。
その中でも、上記二つはかなり当たりだった。
前者は、防御力、視力、手足なら生えて来る再生力、そして、最大の武器であるパンチ力。
後者は、自身にも使える毒だけでなく、生命力、触腕、墨など手札が多い。
「しかも引き当てたばかりだ。アレはまだ成長するぞ」
「……敵褒めてどうするっちゃ」
ゴドーがツッコミを入れた。
それにイヌガミはすまし顔で答える。
「何を言う。相手を知らねば倒せないだろう?」
『それは倒さねばならないか?』
カダの言葉。
『下手に争ってよしんば勝ったとしても犠牲はゼロでは済まない』
「その意見には一理どころか全面的に同意だ」
一拍置いてイヌガミは続ける。
「だが、おそらく向こうはこちらを狙ってくる」
『【エンジェルハイロゥ】と【ダークウィング】の件か?』
「ああ。敵に異邦者がいる」
その言葉にカダは沈黙。
暫くして。
『そうか。では争うしかないな』
こう言った。
それに数人の頭に疑問符が浮かんだので、イヌガミが説明する。
冥刀や麻薬が異世界の産物であり、この世界に流れ込んでいる事。
その異世界は、冥刀のプロトタイプとでも言うべきもののせいで滅んでしまっている事。
滅びを確定させた要因が【エンジェルハイロゥ】によるバイオテロである事
本来であれば、壮絶な滅びを迎えるはずだったが、ある理由で多少マシになった事。
それを成したのがこの世界から迷い込んだ人物である事。
その人物が敵に居た事。
「バイオテロを止めた者だ。扱っている時点で我々は敵でしかない」
((……))
何とも言えなくなる全員。
そんな中で巨大鎧――マヤが口を開く。
「カダ様。どうされます? マヤめが消しに参りましょうか?」
『……』
沈黙したカダ。
ややあって電子音声が響く。
『いやいい。暫くは様子見でいい』
「……承知しました」
主がそう言うなら異論はないマヤ」
それに他の面々が意見を言う。
「それでいいんですの?」
「いずれは争うかもしれへんのに?」
「二人に同意っちゃ」
因みにカマタは無言。
カダに賛成だったからである。
そんな三人の意見にカダは答える。
『いずれは争うかもしれないが、それまではな』
それに、と続ける。
『こちらは尻尾を掴ませないように動いている。暫くは大丈夫なはずだ』
そう続けたのだが……
「その事なんだが……」
イヌガミが口を挟む。
『どうした?』
「……その返しからすると何かやらかしたっちゃ?」
ゴドーの言葉にイヌガミは答える。
「あのゴーレムの動力炉が鹵獲された」
『それは……少し不味い』
その言葉に他の面々が首をひねる。
「あん?」
「それの何が不味いんですの?」
新入り二人の疑問にイヌガミは答える。
「アレは異世界の技術が元だが、この世界のとある技術も使われているからな」
◇◆◇◆
施設襲撃の数日後。
オウカの姿はとある場所にあった。
それは……
「そういや俺、車にあんまり乗らないな」
「そうなのかい?」
モモタが運転する車の中だった。
「今は自動運転のタクシーとか色々あるけど……」
「あっても持っていなきゃ乗りませんし、身近に持っている人いないので」
「なら仕方ないか……」
そう言うと彼は他の同乗者に視線を向ける。
「
それにまず答えたのは――
「ウチも同じです」
ソラナキ=ヒナタだった。
「移動なんて空飛べば良いだけですし……」
「移動手段持っているプレイヤーあるあるだね」
「
「それもあるあるだね」
アハハと笑うモモタ。
そんな車が普通にある世界の三人に対し……
「ワタクシもこの世界ではあまり乗っていないですね」
そう言ったのはマリア。
異世界出身のシスター。
「……あのゴミ溜めに車ってありましたっけ? ワタクシ乗った事ないのですけど」
ふと湧いた疑問に答えたのは……
「あったとは思うけど、僕も乗った事ないな」
そう答えたのはユウナ。
異世界出身の勇者……と呼ばれた人。
車に乗っているのはこの五人。
モモタが運転し、オウカが助手席、残り三人が後部座席に居た。
だが、実はまだ同乗者が二人居る。
「此界、成立、同様。乗車、在筈」
助手席にくっついている機械アリ――ネラ=D=パラポ。
最近別行動が多かった相棒の片割れだが、今回はオウカと一緒に行動する事になっていた。
「その辺どうだったんだ? マユ」
「ある」
オウカが髪に刺してある櫛――マユに訊ねる。
こちらも今回は一緒に行動していた。
「でも乗れなくなっていた」
「「と言うと?」」
「あの世界で真っ先に犠牲になった人間ってどういう人かわかる?」
マユの言葉に何人かが思い至る。
代表してモモタが答える。
「戦えない人……特に生産者とか、技術者、作業従事者か!」
「そ」
トチ狂った人が虐殺をする場合、やはり一般市民から襲う。しかも戦えない人ばかり。
だからこそ、生産者や技術者が真っ先に殺された。
その結果、農業や酪農をする人がいなくなり、食べ物が原始的になり、服を作る人がいなくなり、ファッションが固定。
そして、車を作る人も、ガソリンを入れる人も居なくなってしまった。
「一応機体型の冥刀とかに乗っている人はいたけどね」
「車型なんてあるの?」
「あるよ」
何でもありなのが冥刀である。
★☆★☆★
自動車……ここではとりあえず四輪駆動の物を指す。
十八世紀に蒸気を動力とした物が登場し、十九世紀後半にはガソリン車が開発された。
そして、二十世紀になると、馬に取って代わり始め、遂には大衆車が出回るようになった。
更に、二十一世紀には電気や水素を動力とする物が出てきて、自動運転の車も出回るようになった。
それらの技術が発達すると、コスパが良い物、自動運転のタクシーが出て来たり、運転免許を持たなくても利用できる車が購入できるようになった。
とは言え、技術と言うのはある時点で止まってしまう。
だからこそ、そんな時に起こったのが『大転換』――ダンジョンやモンスターの対発生である。
事前にある程度予測され、対策をしていたとはいえ、それでも犠牲は出た。
だが、それ以上にダンジョンで採集・採掘される素材やモンスターが遺す遺物――オブジェクトによる技術発展がもたらされた。
その結果、何かしらの補給が必要ない半永久機関で走り続けられる車、前述の完全自動化の車が更に進化した物などが出て来た。
だが、車の利用者は『大転換』から落ち着いた後、徐々に減って行った。
その理由は簡単。それ以外の足があるからだ。
身体能力が優れたプレイヤーなら数駅くらいなら余裕で走ったり、パルクールしたり、自転車(頑丈な物)を使えばあっという間に現地に辿り着ける。
モンスターやアーティファクトを馬車のように利用する人もいる。
更に、今の時代、田舎でも電車やバスなどの公共交通機関も発達しており、大都市ならば最近ようやっと出回るようになった転移装置を使えば一瞬で遠方まで移動可能。
だからこそ、普通に生活する分には車はいらない。
利用者の数は『大転換』前に比べれば少なくなった。
まあそれでも、今では免許なしでも買って利用できるので、持っている人はいるにはいるが。
******
因みに異世界の場合、前述したようにあるにはあったが、利用出来なくなっていた。
車を作る人、修理する人、ガソリンなどの燃料を掘り出す人、補充する人がいなくなったので、使えなくなっていた。
……なんとかこうにか使っている人もいたが、それは少数。
だからこそ、移動には自分の足、動物、冥刀を使うしか無くなっていた。
もう完全に行き止まりになっていた。
【TIPS:炉】
(#ー#)<一部のマシンやゴーレムに使われる炉。
(#ー#)<一般的なのは外から充填した電力や魔力等で動くんだが……
(#ー#)<自力で動力を生産可能な動力炉が存在して、それを搭載している物もある。
(・▽・)<半永久機関って奴ですか?
(#ー#)<おう。とは言え誰でも作れる訳じゃないうえ、素材も希少。
(#ー#)<だから一般人には手は届かない。富裕層や一部プレイヤーくらいだな。