冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:キリシマ=キリコ】
(#ー#)<この警察も世話になっている研究所の主任。つまり一番偉い。

(#ー#)<優秀なんだが、裸族という欠点がある。

(・▽・)<人間誰しも欠点はありますよ。

(㈩*㈩)<欠点まみれの人がそれ言っちゃうの?

(・▽・)<……ぶち殺しますよ?

(㈩*㈩)<やってみろ。

(#ー#)<喧嘩なら他所でやれ。因みに本人、研究者だけど戦える。

(#ー#)<自力を冥刀で底上げしている。


一八四

 そして、モモタが口を開く。

 

「ところでキリキリさん。結果は?」

「ああ、アレね……」

 

 そう言って彼女は卓の上――色々な物が置かれてゴチャゴチャしている場所を漁り始める。

 

「確か……この辺に……」

 

 そして、数分後……

 

「あった」

 

 そう言って出したのは掌サイズの匣。

 そこから例の動力炉を取り出す。

 

「コレがそうなの?」

「ああ」

 

 初見のヒナタの問いかけにオウカは頷く。

 

「……確かに生きてる」

「わかるのかい?」

「氣を感じ取れるので」

 

 ユウナは色々器用なので、闘氣(オーラ)を展開するのは出来ないが、氣を感知する位なら出来る。

 

「見た所は普通ですね……」

「同意。機体、冥刀、動力、不変」

 

 マリアがポツリと漏らし、ネラが捕捉。

 

 だが、マユがある事に気づく。

 

「……これ魂がある」

「「ハア!?」」

 

 ほぼ全員絶句した。

 唯一、面白そうな表情を浮かべたのはキリコ。

 

「……へえ。わかるんだ」

「わたしは魂が見えるから」

「そう言えば動画で言っていたね。冥刀を作れる条件の一つに魂の感知が出来る事って」

「……よく見てくれてるようで何より」

「フフフフフフ」

 

 そんな二人に対し、オウカが問う。

 

「じゃあ生物なのは確定?」

「そうだよ。これは機械じゃない。――れっきとした生物だ」

「……まさか」

 

 ある最悪の想像が過ったオウカに対し、キリコが気を使うように告げる。

 

「安心していいよ。人を犠牲にした訳じゃないみたい」

「……そうですか」

 

 少しほっとしたオウカ。

 そんな彼に変わって聞いたのはマユ。

 

「じゃあ何の魂が使われているの?」

「……」

 

 それに少し沈黙するキリコ。

 ややあって口を開く。

 

「ホムンクルスかクローン」

「その根拠は?」

 

 モモタの問いにキリコは指を一本出す。

 

「一つ目。魂魄が真っ新。つまり生まれたて」

 

 二本目を出す。

 

「二つ目。自我が希薄……というか無いに近い」

 

 三本目を出す。

 

「三つ目。行方不明者リストに該当者がいない」

 

 四本目を出す。

 

「四つ目。生身の部分は加工した形跡がない」

 

 その答えに全員が納得する。

 そんな中、オウカがふと気になった事を問う。

 

「……と言う事は、これは最初からこの形で生み出された、という事ですか?」

「おそらく」

 

 そう言ってから、キリコは顔を顰めながら言う。

 

「こんな事のために生み出されるのはかわいそうだよ」

「「……」」

 

 誰も何も言えなかった。

 

 一同何も言えなくなってしまった。

 そんな時、ノックが響く。

 

「宜しいでしょうか」

 

 声も聞こえた。

 キリコが答える。

 

「どうぞ」

「失礼します」

 

 そう言って入室したのは、そこの研究員らしい男性。

 これと言った特徴はない普通の男性。

 ちゃんと白衣(以外も)着ている。

 

「お茶とお菓子をお持ちしました」

 

 そう言って盆を卓の上に置く。

 人数分の饅頭が乗った皿と抹茶の湯飲みが人数分ある。

 そして、彼は退出しようとする。

 

「では失礼しm」

「待て」

 

 オウカがそれを呼び止めた。

 

「サク?」

「どうしたの?」

「如何?」

 

 その場の全員が疑問に思う中、オウカは湯呑を取り、その研究員に差し出す。

 

「飲め」

「え……それはお客様n」

「いいから飲めよ」

 

 有無を言わさないオウカ。

 

「お、お客様のですから」

「俺が許可してやる。飲め」

「いや、あの、それは……」

 

 しどろもどろ。

 どうにも様子のおかしい研究員。

 それにこの場の全員がどういう事が気づき始める。

 全員の視線が研究員を捉える。

 特に異世界出身者であるマリアとユウナの視線が険しい。

 

 そんな視線に耐え切れなくなったのか……

 

「し、失礼しました!」

 

 退出しようとした。

 だが……

 

「待てよ」

「ヘギュ!?」

 

 それをオウカは許さない。

 襟首をつかんで止めた。

 

「俺の茶が飲めないって言うのか?」

「君のだけじゃないけどね……」

 

 ボソリとツッコミを入れるモモタ。

 警察だが、その行為を止める立場でありながら止めようとはしない。

 彼もどういう事かわかっていた。

 

「……もしや」

 

 目の前でおこなわれた惨状に唖然呆然としていたキリコだったが、彼女もついに気づく。

 

 そして、オウカは湯呑を一つ手に取り……

 

「お茶ハラだ~! 一気に行けー!」

「ガボガボ!?」

 

 中の液体を相手の口に流し込む。

 そのまま研究員は条件反射で飲んでしまう。

 

「あ……不味い」

 

 顔が真っ青になっていく。

 この場から退出しようとするが、オウカが掴んでいるので逃げられない。

 

「どこへ行くの?」

「いえ、あの、その」

「ゆっくりしていけよ。時間があるだろう?」

 

 そして、少しして……

 

「ウ……」

 

 苦しみ始める研究員。

 そして、泡を吹き、藻掻いてから動かなくなった。

 

「やっぱりな……」

 

 オウカはそう言ってから、脈を取ったり、呼吸を確かめ……

 

「死んでるな」

 

 端的に言った。

 

 普通、人が死ねば動じるものだろう。

 だが、生憎とここにいるのはプレイヤー。

 

「「……」」

 

 特に動じなかった。

 

 しかも、その中の二名――マリアとユウナは異世界……人が死ぬのが当たり前のような世界で生きて来た。殺しの経験もかなりある。

 

「あら……」

「毒物で死ぬなんてね」

 

 だからこそ、平然としていた。

 

 常識人(より)のモモタとキリコも……

 

「こうなったか……」

「あらま」

 

 あんまり動じていない。

 そして、キリコはとりあえず内線を使い、他の局員を呼び出す。

 

「――お願いね」

 

 内線を切ったタイミングでオウカは訊ねる。

 

「あのキリシマs」

「キリキリで」

「……キリキリさん」

「なんだい?」

「ここの警備とかセキュリティってどうなってます?」

「万全だよ? 当然じゃない」

 

 人と機戒、様々な認証をしてやっと入室できる。

 モモタも捕捉する。

 

「僕らの場合、事前にどういう人が行くって連絡したから」

 

 だからこそ、入れたという訳だったが。

 ……まあ、怪しい人過ぎて若干スムーズには行かなかったが。

 

「じゃあ……コイツに見覚えは?」

 

 白衣を着た死体の顔を見せる。

 それにキリコは顔を顰め、何かを言い淀んでいる。

 

「あーうん……その」

「「?」」

 

 一同の顔に疑問符が浮かぶ中、モモタが口を開く。

 

「キリキリさんは人の顔とか覚えないから」

「「はい?」」

「それはそういう病気かなんかで?」

 

 人の顔が認識できない人がいる、とオウカは聞いた事があった。

 それに対しキリコは首を振る。

 

「いいや、違うよ」

 

 横に。

 

「ただ単純に興味がないだけ」

「「……」」

「はあ……」

 

 幾人かが冷たい視線を向け、モモタが溜息を吐いた。

 

 そして、マリアが問いかける。

 

「サク様」

「……ん?」

「どうされますか?」

「そうだな……」

 

 そう言いながら、オウカは卓に近づき、饅頭を手に取り……

 

「パクリ」

「「あ!?」」

 

 食べた。

 毒物が入っている可能性があるにも関わらず。

 

「サク!? 何してるの!?」

「ぺってしなさい! ぺって!」

 

 ヒナタとマリアがオウカに詰め寄る中、マユがポツリと一言。

 

「大丈夫。サクの毒耐性は凄まじいから」

「そうなの?」

 

 ユウナの問いにこくんと頷くマユ。

 

「小さい頃から、食事や水に毒物混ぜて慣れさせてたんだって」

「へえ……」

 

 その言葉が示すように、オウカに特に異常は見られなかった。

 それどころか……

 

「うん……。中々強い毒。殺すの狙ってるな」

 

 どんな毒かも判断してしまった。

 

 その言葉にネラも饅頭とお茶に近づき、調べていく。

 こういうのが得意分野である。

 暫くして、結果を述べる。

 

「即効、性毒。殺害、狙物」

「両方に入っているのですか?」

「其通」

「そうですか……」

 

 マリアも饅頭を一つ手に取って眺める。

 

「……そのようですね」

 

 マリアは身体能力だけでなく、感覚も鋭敏。

 だからこそ、毒物を見破るのも結構得意。

 

「よくわかったね」

 

 ヒナタの言葉にオウカは頷く。

 

「まあなんとなく。詳しくはわからんけど」

 

 そんな彼らに対し、モモタとキリコの表情は暗くなっている。

 

「つまり、ここの職員全員敵?」

「可能性あるね……。わえ、そんな恨み買ったかしら?」

「モラハラとか、アルハラとか、セクハラとかしたんじゃない?」

 

 ユウナの言葉に首を振るのはモモタ。

 

「キリキリさんそういう事しないから。逆に人と最低限しか関わらないから……」

「こうなったのか……」

 

 ユウナが溜息を吐いた。

 とは言えこのままじっとしている訳にはいかない。

 

「サク、どうするの?」

「とりあえずここを出よう。下手をすると……」

「「すると?」」

「いや、何でもない」

「「言えよ!?」」

 

 全員からツッコミを貰った。

 だが……

 

「……」

 

 それでも言わないオウカ。

 

(流石に攻撃が振って来るとは言えない……)

 

 今までの敵との対決では、最後に列車砲からの攻撃でお開きになっている。

 注意喚起は必要だろうが、この面々なら対応可能。

 ただ言っては不安を煽るだけだと思ったのだ。

 

(どうしようか……)

 

 そんな事を思っていると、人が多数近づく気配。

 そして、間もなく扉が乱雑に開けられ……

 

「「死ねー!!」」

 

 白衣を着た研究員らしき者二人が襲撃して来た。

 その手には機関銃。

 一気に火を噴くが……

 

「させないよ」

 

 モモタが障壁を張り、その場の全員を守る。

 幾重にも重ねられた障壁は弾丸を通さない。

 そして、マリアとユウナがもう動いていた。

 

「いつの間n」

「速」

「この程度で僕らを殺そうなんて夢物語だよ」

「遅いですよ」

 

 ユウナのレイピアが相手に風穴を開け、マリアは相手の頸椎を圧し折った。

 

「お見事」

「「いえいえ」」

 

 褒めるオウカに照れる二人だが……

 

「殺しを褒めちゃ駄目だよ……」

 

 呆れるモモタ。

 それに曖昧に頷き、オウカは告げる。

 

「とりあえず移動しましょう。マリア、ユウナ」

「何でしょう」

「何?」

「殿宜しく」

「わかりました」

「任せて」

 

 そうして部屋を出る面々。

 勿論、ほぼ全員戦闘態勢を取っている。

 

 

 オウカは、黒いロングナイフを作り出し

 ヒナタは、【ムジョルニア】を装備し

 ユウナは、【メルヴェイユーズ】を抜いて持ち

 マリアは、【カズィクルベイ】を籠手にして装着

 モモタは、長ドスを抜いたまま

 

 

 そんな状況下でただ一人……

 

「皆頑張ってね」

 

 キリコだけはそのまんま。

 

「……キリキリさん」

「何?」

 

 モモタが眉間を抑えながら言う。

 

「戦えとは言わないからさ……」

 

 冥刀持ちではあるキリコ。

 だが、戦闘が本職ではない。

 

「せめて服装はちゃんとして!?」

 

 キリコの恰好はそのまんま。

 裸白衣である。

 

「面倒くさい」

 

 モモタの叫びを一言で斬り捨てる。

 

「別に見られて困る物じゃない」

 

 キリコはスタイルが良いため、そう言える。

 それに続けざまツッコミを入れるモモタ。

 

「少しは困って!? 恥ずかしがって!?」

 

 そんな会話を聞きながら、似たような服装のヒナタは自分が着ている物――黒いトレンチコート。冥刀――を見て。

 

(ウチもあそこまで割り切れるかな?)

 

 そう思った。

 

 この恰好を始めた頃は、怒りと悲しみが渦巻いて恥ずかしいという思いが無かった。

 だが、復讐が終わると、少し恥ずかしさが出て来る。

 幸い、【パダルン・レドコウト】の布地のおかげで体のラインなどは出ないが。

 

(後悔はないけど、おしゃれしたいな)

 

 そう思った時だった。

 

「ヒナタさん」

 

 声を掛けられる。

 その声に振り向く。

 

「マリアさん。どうしました?」

「ちょっとお願いがありまして」

「……お願い?」

「はい。s」

 

 何かを言おうとしたが、言えなかった。

 

「敵」

「「!」」

 

 現れた敵に対応しなければならなくなった。

 そこにいたのは、特殊部隊のような服装の人間十名。

 手には機関銃。それ以外にも武器がありそう。

 

「……もう、研究員である事の偽装はしないのか」

 

 呟くオウカ。

 それに対する答えは機関銃の乱射。

 咄嗟にモモタが障壁を張る。

 だが、人数の差もあり、あっという間に軋み始める。

 矢継ぎ早に障壁が生み出されるが、それでも限界はある。

 しかもどうやら特殊な弾丸を使っている。

 

「……不味い。あまり持たない」

「なら。こっちから行く」

「僕も出る」

 

 オウカとユウナが飛び出す。

 そのまま連射される弾丸の雨を避けていく。

 

「な、なんだ!?」

「当たらねえ!?」

 

 弾丸避けは一流プレイヤーにとっては朝飯前である。




【コソコソ話】
(#ー#)<お前らの世界程じゃねえけど、俺らの世界もまあまあ物騒な所はある。

(#ー#)<だから、中堅以上のプレイヤーになると、死体を見たって動じない。

(・▽・)<……死体がゴロゴロしている訳じゃないんですね。

(#ー#)<そこまでじゃあない。……一部地域を除いていな。

(・▽・)<あら

(#ー#)<町や国によって治安はまちまちだから。


(㈩*㈩)<月初だから明日も更新するよ。
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