冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:クリドゥノ・アイディン その二】
(㈩*㈩)<それでディアンの死後、サクに受け継がれた。

(㈩*㈩)<というか……これネタバレになるけど言っちゃう。

(#ー#)<何を?

(㈩*㈩)<実は無理矢理託した。

(#ー#)<は?

(㈩*㈩)<本人長くないって悟って、サクが寝てる隙に拘束して、無理矢理手術実行。

(#ー#)<おい!? それ昭和特撮の秘密結社がやる改造手術!?

(㈩*㈩)<正にそれ。しかもやり方も凄まじくて、糸を極限まで細くして

(㈩*㈩)<サクの全身――血管、神経、骨、肉などに巻き付けた。亜空間から。

(㈩*㈩)<そして手術を終えて力尽きてディアンは死んだ。

(㈩*㈩)<……というか手術の途中で死んでたけど無理矢理体動かしていた。

(#ー#)<……(唖然)……。

(㈩*㈩)<それでどうなったか話そうと思ったけど、長くなったからまた次回。

(・▽・)<またですか!?


一八六

 ■□■□

 

 

 とある場所。

 研究室と鍛冶場が混ざったような部屋。

 そこに一人の男がいた。

 白衣姿で、空中投影されている映像を見ている。

 

「うむ……。良い感じだな」

 

 そう言った。

 彼は現在進行形で暗躍中の組織の幹部の一人――イヌガミ=コウメイだった。

 そんな彼の後ろの空間が開いて、人が出て来た。

 

「よ。……何見てるんだ?」

 

 カマタ=ジンヤだった。

 それにイヌガミは振り向かずに答える。

 

「ある場所での戦いだよ」

「ふうん……。見ても?」

「構わない」

 

 それにカマタが映像を見る。

 そこでは二人対十人の戦いがおこなわれていた。 

 

「これは……」

 

 今見ているのは、オウカ一行の研究所での戦いだった。

 イヌガミはこの研究所での映像を手に入れて見返していた。

 二人の方は男女であり、男の方はカマタにも見覚えがあった。

 

「サクヅキ=オウカ……、と誰だ? このアマ?」

「彼の仲間の一人だよ。下部組織が幾つか潰されている」

 

 因みにまだ女――ユウナの情報は少なかった。 

 当然である。そもそも彼女はこの世界にまだ来たばっかりである。

 

 映像でオウカと女は二刀流――ロングナイフ二本とレイピアとマインゴーシュで相手の攻撃を捌いている。

 人数的には不利なのだが、全くそれを介していない。

 

「(強い。真向からだと厳しいかもしれん。)そして相手は……。こいつらは?」

「ウチの下部組織だよ」

 

 結構な武闘派の半グレとの事。

 だからこそ……

 

「ある物を全員に渡して置いたんだ」

「……ある物?」

「まずは装備」

「……ああ。どうりで」

 

 銃剣の付いた機関銃。

 かなり頑丈に作られており、業物の近接武器と打ち合っても壊れない。

 更に、銃器型の冥刀やクロスを元にしており、弾丸切れの心配がない。

 良い事ずくめなのだが、製作コストはお高いうえ、定期的なメンテナンスが必要なので、ぶっちゃけ普通の銃器の方がコスパは良い。

 更に彼らが着ている戦闘服も特別な素材で作られており、生半可な防具よりも硬く強靭。……これもコストはお高い。

 

 だがこの二つはあくまでおまけ。

 メインはもう一つ。

 

「……ん?」

 

 カマタはある事に気づく。

 それは十人がオーラを纏っている事。

 それを使い、オウカとユウナの斬撃を防ぎ、弾丸や銃剣にオーラを纏わせ威力を底上げしている。

 

「こいつは……」

「気づいたかね?」

 

 イヌガミが笑う。

 それにカマタが問いかける。

 

「ただのオーラじゃねえな」

「ああ。闘氣だよ」

「!」

 

 カマタはそれに驚く。

 戦闘系のプレイヤーなので、闘氣の事は使えないが、良く知っている。

 

 イヌガミは説明を続ける。

 

「そしてこれがメイン。B細胞だ」

「確か……闘氣(オーラ)が使える細胞だったか?」

「ああ。ある企業に開発させていたものだ」

「……残っていたんだな」

 

 開発途中に蟲灼晃而一族にバレてしまい、襲撃され全滅させられる憂き目にあった。

 だが、試作品はイヌガミの所に送られていた。

 

「ああ。あの時点でメリットも多いがリスクがあった」

 

 闘氣(オーラ)の使い手は、三奇拳と物好きぐらいと少ない。

 その理由は、応用性が魔力(マナ)と比べて低く、身体強化の延長線上がせいぜいな事と、使いこなすのに鍛錬が必要なのもあるが、通常のプレイヤーではそこまでの出力の闘氣(オーラ)が出さないのが最大の理由である。

 

 B細胞にはそれらを補うため、使用補助機能と出力上昇機能がある。

 だからこそ、移植直後でも相手の攻撃を減衰したり、自身の攻撃を増強したりする事が可能。

 ……流石に移動や射程、特性付与などは修練が必要だが。〈心牙〉も理論上可能だが、そもそもコレ自体闘氣(オーラ)の深奥なので使える人が凄く少ないので、流石に辿り着ける人はいないだろう。

 

 使用と出力の二つさえクリアすれば、後は応用性が問題だが、強化と拡張だけと割り切れば、魔力と同じようなコストで闘氣はより高い増強率を発揮可能なのである。

 更に強化なしの素の身体能力が強化され、自然治癒すらも強化される。

 

 良い事ずくめのようだが、リスクも当然の如くあり、大半の移植者は拒絶反応を起こし死んでしまうため、使用者は少なかった。

 

「……あの時点で死亡率は高かった」

「どれくらい?」

「十人移植して一人適合出来れば良い方だ」

「……駄目だろうそれ」

 

 しかもクロスのようにパッチテストのような事が出来ず、ぶっつけ本番で試さなければならない。

 ……ミユの所属していた殺し屋組織のボスは適合したからこそ使っていたのだが、奇跡である。

 

「それをどうにか改良したものだ。言わばB細胞・改だ」

「適合率を上げたわけか……」

「ああ。上手くやれば死亡率を逆に出来る」

「そりゃ凄い……」

 

 素直に感心するカマタ。

 

「これからは下部組織に【ダークウィング】と共に降ろす予定だ」

「そりゃあいいね。オイラ達が絡出来る」

 

 二人はニヤリと笑った。

 

 

 △▲△ 

 

 

 その後、無事に帰宅出来たオウカ達。

 キリコはと言えば、警察に保護してもらうとの事。

 そうしてこの日は解散となった。

 

 ところが、そこから数週間、組織の手がかりはなかった。

 ただ、一つ厄介な問題が出て来た。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 この日、オウカは学校にいた。

 

「で、あるからして……」

 

 プレイヤー養成高校では、普通高校の授業もやっている。

 今聞いているのは数学。

 

 オウカは授業を聞きながら、ノートに重要事項を書き込んでいく。

 結構授業態度は真面目なオウカである。

 

 そんな時だった。

 

「~~!」

「!!」

 

 何か廊下から騒ぎが聞こえた。

 その声に授業をおこなっていた男性教師が、説明の手を止め、顰め面をする。

 

「……何だ? 様子を見て来るから、自習していなさい」

 

 そう言って出て行った。

 

(何だろう。まあいいや)

 

 そんな事を思っていると、ジンナが話しかけて来る。

 

「ねえサク君。最近どう?」

「それは何について?」

「アレの件。どうなっているか気になって」

 

 その言葉に【エンジェルハイロゥ】の事だと察し、オウカは話す事にする。

 

「研究所の件から音沙汰ないな」

「そうなんだ……」

「でも厄介な問題が起こってる」

「問d」

 

 最後まで言えなかった。

 何かが教室に飛び込んできて、壁に叩きつけられた。

 

 それは……

 

「「!?」」

 

 先程の男性教師だった。

 頭から血を流し気絶している。

 

(大した怪我ではなさそうだが……何g)

 

 オウカはある可能性に思い至る。

 

「まさか!?」

 

 教室を飛び出すオウカ。

 

「サク君!?」

 

 ジンナも遅れて続く。

 

 そして、廊下にいたのは制服を着た男子生徒。

 ただ獣人のようになっている事からクロスの使い手のようだ。

 《ブラウンクロス〔ゴリラ〕》だろう。

 そして、その周りには警備員や教師、壊れたロボットがある。

 

「フー……、フー……」

 

 眼を見る限り、正気ではない。

 匂いから恐らく、麻薬をキメてる。

 だが、問題はそこではない。

 体にオーラを纏っている。

 

「酷い冗談だ……」

 

 オウカがそう言うのも無理はない。

 なぜならそのオーラは闘氣だった。

 つまりB細胞――オウカは知らないがその改良版――を使ってる。

 

「こんな所まで出て来たのか……」

「■■ーー!」

 

 オウカへ襲い掛かるゴリラ男。

 クロスと闘氣(オーラ)の相乗効果で凄まじいスピードを見せる。

 だが……。

 

「……」

 

 オウカは投げナイフを投擲。

 ゴリラ男はそれを避けるためにスピードが落ちる。

 その隙にオウカは懐に潜り込み。

 

「死んだらすまんな」

「!?」

 

 相手を掴みバックドロップを仕掛ける。

 

「■!?」

 

 あっという間に戦闘不能にしてしまった。

 

 そこへジンナが駆け込んでくる。

 

「何があったの? 大丈夫?」

「ん」

 

 短く返事するオウカ。

 そんな彼の様子を見て一安心するジンナ。

 

(特に怪我はなさそうだけど……)

 

 オウカの表情は険しい。

 

「(まあ、聞いて見ないとわからないか。)何があったの?」

「……コイツが」

 

 少し沈黙後、オウカは口を開いた。

 その目線を辿ると、そこにいるのは倒れた男子生徒。

 

(死んではなさそう。良かった)

 

 オウカが容赦しないのをジンナは知っているからこそ、こう思った。

 因みに、意識喪失しているので、クロスは解除されている。

 

「どうしたの? 死んではなさそうだけど」

「ヤク決めていたうえ、闘氣(オーラ)を使っていた」

「!?」

 

 ジンナ含め、研究所での事は聞いているからこその驚き。

 

「つまり……アレを使っていたって事?」

 

 アレとはB細胞・改の事である。

 キリコに調べて貰った結果、色々改良してある事はオウカ達も掴んでいた。

 

「十中八九な」

 

 そう言って端末を出して、どこかへ連絡をしたオウカ。

 暫く話した後、端末を仕舞う。

 

「……誰と電話していたの? もしかしてモモタさん?」

「ああ。来てくれるって」

 

 そう言ってオウカは外の空を見る。

 雨は降っていないが、曇っている。

 

「どうなるかね……」

 

 ボソリと呟いた。

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

 暫くして警察や救急車がやって来た。

 その中にいたのは――

 

「や」

「モモタさん」

 

 モモタがいた。

 だがそれだけでなく。

 

「やっほ」

「!」

「どうしてここに? キリキリさん」

 

 キリコだった。

 流石にTPOを弁えて、白衣以外も着用している。

 

「アレが使われてるって聞いてね」

 

 そう言って、倒れた男子生徒に近づく。

 

「ちょっとゴメンね」

 

 キリコは、救急隊員をどけ、男子生徒に近づき。

 

「どこだろ?」

 

 服を捲って行く。

 そして。

 

「あった!」

 

 その声にオウカ達が近づく。

 そして、見た。

 首の所の肌の色が違う。

 

「やっぱり使っていたか……」

「予想が当たって嬉しい?」

「全く」

 

 ジンナの問いに、首を横に振るオウカ。

 

「これ面倒事になるぞ……」

 

 そう呟いた彼にモモタが言いにくそうに告げる。

 

「もうなってる」

「え……」

「実はね――」

 

 何でも同じような事が各地で相次いでいるとの事。

 つまりは一般市民に手が届く範囲に来ているとの事。

 

「それで……ついに大激怒しちゃった」

「……もう誰かがはわかってますけど。一応聞きます」

「うん」

「誰がですか?」

「蟲灼晃而。その当主」

 

 

 ■□■□

 

 

 日本の某所にある山。

 遠目には普通の山なのだが、大改造の末、要塞になっている。

 改築と増築を繰り返し、中はまるで迷宮。

 一族の物か、案内人がいなければ、初見の人は侵入したが最後、二度と出て来れない。

 

 その通路を歩く一人の男がいる。

 

「まさか急に呼び出されるとはな……」

 

 エンバである。

 いきなり呼び出されたので、戻って来た訳だった。

 

 彼は迷路のような通路を迷う事なく歩いていく。

 そして、とある部屋の前で止まる。

 その部屋の前には護衛らしき人が二名。

 身のこなしに隙がない。

 

「入るぜ」

「「どうぞ」」

 

 一言声をかけてエンバは襖――ここの内部は和風――を開ける。

 そこには幾人もの人間。

 

「来ましたか。エンバ」

 

 眼鏡をかけた男がそう言う。

 

 それ以外特徴は特に無く、街で見かけてもすぐに忘れそう。

 だが、分かる人には分かる。

 身のこなしに隙がない。

 今はただ座っているだけだが、明後日の方向から襲い掛かられても対応できるだろう。

 

「ショウ。来てたのか」

「ええ。やつがれも呼ばれたので」

 

 この人物の名前はムシャコウジ=ショウ。

 一族の一人であり、エンバが堅物だのと呼んでいた人である。

 ……彼が後始末を押し付けた人である。

 

「後始末は?」

「終わりました」

「そうか」

 

 そう言ってエンバは適当な場所に座る。

 すると、そこに奥に座っていた人物が声をかける。

 

「来てもらってすまんな」

「いや、いいさ」

 

 そこに居たのは未だ年若そうな人物。

 一見では年齢が分からず、性別もどちらとも取れる。

 彼こそが蟲灼晃而一族の現当主。

 ムシャコウジ=ゼンゾウである。

 

「それで? 何で急に呼んだんだ?」

「……わかるじゃろう?」

「数日前に送ったあのデータか?」

 

 ゼンゾウは首肯。

 

 今回、組織を潰すために動いている面々には、情報共有が成されている。

 見せたらヤバそうな情報ですら共有される。

 それは隠し事は変なタイミングでバレると不味い、というオウカの考えから来ている。

 なので、エンバも研究所襲撃であった事を共有し、その資料を一族に送っていた。

 

「B細胞とか言う物が出回り始めている」

「……みたいだな」

「あの会社を潰した時、もっと背後関係洗うべきでした……。申し訳ありません」

 

 ショウがそう言って頭を下げた。

 それにゼンゾウは首を横に振る。

 

「いや、あの時点ではここまでになるとは予想しなかった。これは儂のミスじゃ」

 

 彼はそう言った。




【TIPS:クリドゥノ・アイディン その三】
(㈩*㈩)<そういう訳でオウカの武器になった。これのおかげで強くなった。

(㈩*㈩)<糸を使っての戦闘、糸での冥刀再現だけじゃなくて

(㈩*㈩)<様々な人の経験・技術が受け継がれた。更に……

(#ー#)<糸が巻き付いているから死に辛くなったんだよな。

(㈩*㈩)<うん。首を斬られても死なない。すぐに接合可能。

(・▽・)<腕とか足もすぐにくっつけてましたね。

(㈩*㈩)<その分オリジナルと比べると、リーチとかは劣ってた。

(㈩*㈩)<でも、あの事件でこれも奪われた。経験・技術と多少の糸は残ったけど。

(㈩*㈩)<前見たいな無茶は出来ない。多少の傷の縫合がせいぜい。

(#ー#)<あ、だから右腕をあの女に返せていたのか……。

(㈩*㈩)<そういう事。

(・▽・)<……(あのディアンがそれを想定していないとは思えない)……。

(・▽・)<……(まだ何か遺していそうですね)……。

(㈩*㈩)<あ、そうそう。ネタバレになっちゃうけど、まだ続く。

(#ー#)<え!?

(㈩*㈩)<やるのはこの章の終盤だろうけど。
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