(・▽・)<……何ですコレ?
(#ー#)<三奇拳の拳士の闘氣が何かしらの生物の形を取る事。
(㈩*㈩)<カ〇ラバチの妖刀のアレとか、レ〇ロスのアレみたいな感じ?
(#ー#)<……言うなよ。
(・▽・)<あってはいるんですね。
(#ー#)<うるせえ。……オホン。因みにそれ自体を攻撃に使う事も可能。
(・▽・)<へえ。……そういえば三奇拳の戦士以外は使えないんですか?
(#ー#)<そういう訳でもない。ただ……かなり少ない。
(#ー#)シャーマン系の闘氣使いなら使える可能性がある。
■□■□
とある邸宅。
そこは≪岸谷組≫と言う名の極道の本拠地。
外から見ればいつも通りなのだが、内部はかなり慌ただしかった。
銃器や弾薬が所せましと並べられており、組員達はあちらこちら走り回っている。
まるで抗争前のよう。
そして、着物を着た中年の男が檄を飛ばしている。
「テメエら。気抜くんじゃねえぞ!」
「「はい!」」
舎弟達が頷く。
そんな中、傍らに控えている中年の男が訊ねる。
「おやっさん。本当に来るんですかね?」
「……来るさ、オレにはわかる」
そう言って彼は星月夜を見上げた。
★☆★☆★
≪岸谷組≫は歴史のあったと暴力団組織が幾つかに分裂した際に出来た組の一つ。
発足当初は中々の勢力だったが、争いに負けたり、
だが、今の組長になってから少しずつ勢力を取り戻して来た。
だが、それは正攻法で成した訳ではない。
違法かつ外道なシノギ――振り込め詐欺、誘拐による人身売買、孤児院運営の振りをした臓器売買などをおこなっていた。
そして、一番代表的で、売り上げが良かったのが――麻薬売買。
外道なシノギは先代組長が禁じていたのだが……
『それがどうした? [貧すれば鈍する]。だから仁義はそれからでいい』
現組長キシタニ=ソウジロウはこう断言した。
そうして少しずつ勢力を盛り返す中、とある男――カマタ=ジンヤが接触してきた。
『どうだい~。コレ売買しないかい?』
それが【エンジェルハイロゥ】。
今までの麻薬と比べ物にならない程の効能を持つ物。
これのおかげで遂に最盛期以上の勢力を取り戻す事に成功。
これで仁義と任侠と真っ当な組織に戻ると、構成員――仁義と任侠の者。ずっと我慢していた――は思っていた。
だが、そうしなかった。
キシタニは更なる組織拡大に動いた。
反発者――若頭含めた武闘派――は出たのだが、その頃からある程度出回るようになった【ダークウィング】を使った事で粛清。
もう誰も……少なくとも内部からは止められなくなってしまった。
■□■□
中が慌ただしい中、門で見張りをしている舎弟達は若干気楽だった。
少なくとも走る必要はなく、見張るだけでいい。
……ただし、監視カメラが仕掛けられており、幹部も見張っているので、気を抜きすぎると鉄拳制裁が飛んで来るが。
正門にいる舎弟は二人。
太った男と痩せた男。
一番の下っ端の同期同士。兄貴衆からはデブガリコンビと親しみを込めて呼ばれている。
……親しみって何だっけ?
デブが口を開く。
「……なあ、それにしてもよお」
「何だ? 喋り過ぎると怒られるし殴られるぞ」
実体験である。
幹部の中には「ミスすなわち死」の人がおり、失敗を許さない人がいる。
……流石に殺されはしないが、拳骨一発から数発は覚悟しなくてはならない。
「いやよお、本当に襲撃あるのかってハナシだよ」
いきなり
それにガリは少し考えてこう答える。
「今日あるかはわからねえけど、確実にあるだろうさ」
「その心は?」
「だって
これは今回のオウカ達――対麻薬チームの方針。
【エンジェルハイロゥ】を扱っている場所にカチコミし、叩き潰す。
方針は、襲ってくる奴には容赦はしないが、降伏・投降する者は助けていた。
……まあ人によってはもうしないように、フルボッコにしていたが。
顔面が変形したり、歯が全部圧し折れたり、河童にされたりしていた。
そして、アジトに至っては文字通り、物理的に潰していた。
だからこそ、情報をしてあちらこちらに伝わる。
それが彼らの狙いだった。
見せしめという訳である。
こうすれば手を出す奴はいなくなると踏んでいたが、結果は芳しくない。
「だからこそ見張りは必要なんだ」
「それはそうだけど……、ここまでする必要あるのか?」
どう見ても普通の抗争の準備には見えない。
武器はチャカやドスだけでなく、ライフル、マシンガンなどが用意されている。……勿論対プレイヤーやモンスターを想定している。
防具は、服の下には生半可なモンスターの攻撃すら寄せ付けない防具、そして、武闘派幹部には身体能力を上げるパワードスーツが与えられている。
更に、操縦するロボット、自律制御のオートマタ、機械ゴーレムなど色々ある。
……完全に対軍勢や対モンスターの軍団にしか思えない。
「あるだろう。だってあちこち潰されているんだぞ?」
「若干過剰な気がするんだがな……」
そうぼやいたデブだった。
ところがそんな事は思えなくなった。
「ん?」
デブがある事に気づいた。
それはこちらに複数人が向かってきている。
この邸宅は出入り口が一か所しかない。
しかも周りには他の家もあるが、塀だったり壁だったりする。
つまり、ここに向かっているという事は、必然的にこちらに用があると言う事。
「おい! 誰か来たぞ」
「あん?」
「ほら」
デブが指を指し、ガリはその方向を見た。
そこにいたのは……
「何だ雑魚か……、つまんねえな」
色の薄いサングラスをした柄の悪そうな男。
「油断をしないでください。何か持っている可能性があります」
眼鏡をかけたスーツ姿の男性。
「ドラマティックに行こうか」
皮ジャン、サングラス、リーゼントの伊達男。
「実戦か。久しぶりじゃのう」
そして、男とも女とも取れる、老人とも若者のようにも見える人。
この四人がゆっくりとこちらに歩いて来る。
それに、ガリは耳に付けた通信機で指示を仰ぐ。
「兄貴達! こちらにやって来る人が居ます。どうしましょう?」
それに対する答えは……
[撃ち殺せ]
問答無用だった。
「え!? でもカタギだったら」
[良いんだよ。疑わしきは罰せよだ]
「でも死んじまったら……」
[そん時はそん時。殺しちゃってゴメンで良いだろうが]
全く良くない。
だが兄貴の指示は絶対。
なので、デブガリコンビは見張り用の人員に渡される腕輪型の匣から、マシンガンを出し構える。
そして。
「死ねぇ!」
「恨むなら兄貴を恨んでねぇ!」
発砲した。
それに四人は避けようともしなかった。
ただ
見張りに与えられるマシンガンは対プレイヤー・モンスターを想定している。
プレイヤーが防具や障壁や、モンスターが持つ硬い外皮や甲殻を貫ける。
ただのオーラなら余裕で貫通出来ただろう。
だが、ここにいるのは――蟲灼晃而一族の蟲拳士。
その中でも最強格の四人。
対弾丸対策は持っている。
素人に毛が生えた程度の銃撃なら、余裕で避ける事が出来た。
だが、今回は……
『『とりあえず
打ち合わせもなしに、四人の行動が一致。
その結果……
「な、なんだ!?」
「弾丸が貫通しねえ!」
弾丸はあらぬ方向へ弾かれていった。
鉄の雨を喰らいながら、平然と歩む四人。
そんな中でエンバがぼやく。
「パチパチうっとおしい」
……普通はこんな事言えない。
弾丸の雨霰に晒されながら言える、こう言える神経が異常。
「ええ。同意します」
ショウも頷いた。
それに、ゼンゾウがギイへ語り掛ける。
「確かにのう。……ギイ」
「はい。何でしょうか? 翁」
「儂が右をやる」
「ではギーは左を」
その言葉と同時、一気に二人は飛び出す。
全身に纏っていた
防御力は落ちるが、弾丸は避ければ良いだけ。
あっという間に相手の懐に二人は入り込む。
「んな!?」
「速!!」
驚きながらもデブガリコンビは対応。
兄貴達に鍛えられているからこそ。
機関銃に付いた銃剣を使い、接近戦を仕掛けようとするが……。
「地獄でギーに殺される事を……自慢しておけ」
「若いの。災害あったと諦めい」
ギーの拳が機関銃ごと相手を砕き、ゼンゾウは相手の首を360度回転させる。
「カ……パ……」
「ポキュ」
デブガリコンビは苦しむ暇なく絶命。
そうしている間にエンバとショウも出入口に到達。
エンバがゼンゾウを見て笑う。
「鈍ってねえみたいだな。ジジイ」
「若いのには負けん」
そんな会話を後目にショウは門の前に立つ。
「フー」
息を吐き
「ハア!」
掌底付き!
全身の力と、回転エネルギーを利用し、
邸宅の中は大きな庭になっていた。
そこには≪岸谷組≫の組員達が居た。
勿論、武装している。
その中央に立つ着流しの和服の男――組長であるキシタニが、四人に怯まず咆える。
「テメエら! ここか何処かわかってんだろうな!!」
「あん? 雑魚の巣窟だろう?」
エンバのあまりに失礼な言葉に、組員達の顔に青筋が浮かぶ。
それにショウがたしなめる。
「エンバ、失礼ですよ」
「そうだ」
ギイも同意したが……。
「生きる価値の無い塵共だろう? 雑魚に失礼だ」
「ギャハハ!! 違えねえな!!」
こっちも失礼だった。
エンバがそれにゲラゲラ笑う。
雰囲気が加速度的に悪くなっていく中、ゼンゾウが前へ出る。
そして口を開く。
「初めまして。≪岸谷組≫の組長とお見受けする」
「そうだ。……お前は?」
「儂の名はムシャコウジ=ゼンゾウじゃ」
短い間じゃがよろしくと、ゼンゾウは自身の目をぐるりと反転させ、一族特有の複眼を見せた。
その名字と特徴的な眼に組員達がざわめく。
「む、蟲灼晃而って、三奇拳の!>」
「ど、どどどどどどうせ偽物だだろろううう」
「……動揺し過ぎだ」
「気持ちはわからんでもないがな……」
「いやいや、あの複眼。間違えないだろう!」
「いや、カラコンかもしれねえぞ」
蟲灼晃而一族の恐ろしさはプレイヤーの間でも有名であるが、偽物も多い。
……まあそう言う者はあっという間に居なくなるが。
理由? 察しろ。
そのため、この場でそれを信じているのは半々と言った所だった。
そして、キシタニはそれを信じている。
(本物なのは間違えない。しかも)
四人の内、三人は結構知られている。
(“鬼人”、“七ツ芸”、“殺人拳”か。蟲灼晃而一族でもトップクラスの三人)
今の時代、有名な強者には通称、通り名、異名、二つ名が付く。
この三人は知る人ぞ知っていた。
だが、問題はそこではない。
(このゼンゾウと名乗った奴……得体がしれねえ)
この三人を従えているように見える上、一見では強そうに見えない。
だが、わかる。コイツはヤバイ。
色々考えていると、ゼンゾウが続けて来る。
「どうした? こちらは名乗ったのに、そちらは名乗らないのかのう?」
「……そうだな」
とりあえず名乗る事にする。
「オレはキシタニ=ソウジロウだ。それで? テメエらは一体何のようだ?」
「……わからんのか?」
「どうだかな……」
「……」
「……」
「「……」」
両者沈黙。
空気が緊張していく。
その静寂を破ったのは……
「なら教えてやろう」
ゼンゾウだった。
「人を壊す事しか出来ない麻薬の売買、人身売買。そう言うのは許せんが、まあそれはええ。他の奴らが裁くじゃろう」
一拍置いて続ける。
「儂らの一族の遺体を利用したモノを使っている事。それが何より……許せん」
そして、凄まじい殺気と圧が放出。
それに組員達は怯む。
だが、そこに怯まない者が一人いる。
「(予想通りにコイツはやばかった。)テメエら怯むんじゃねえ!!」
キシタニは発破をかける。
「向こうは武器はねえが、こっちには色々武器がある」
そして、引かず前へ出る。
「コイツらを仕留めた奴は何でもやる! 酒、女、地位。欲しい物をくれてやる!!」
それに組員達の士気は上がる。
「よっしゃー! やったるでー!!」
「幹部になるぞ!」
「キャバクラで豪遊だ!」
それを見て
(自ら前に出て、士気を上げたか。これは手こずるかもしれんのう)
ゼンゾウが思った。
【コソコソ話】
(㈩*㈩)<岸谷組は元々はヒ〇ーマンバグ大学の極道みたいな感じだった。
(㈩*㈩)<けど、今の組長になった際に、改名した際にガラリと方針転換。
(・▽・)<忍者と戦っている感じになったんですね。
(㈩*㈩)<……あそこまでのテロはしてないけど。
(㈩*㈩)<そして、外道なシノギをするようになって勢力を盛り返した。
(㈩*㈩)<組長としてはある程度したら、仁義と任侠に戻すつもりだったけど
(㈩*㈩)<ドンドン資金が増えていくから、そんな気が小さくなってなくなっちゃった。
(・▽・)<人間一度妥協すると、折れやすくなるんですよね。