(#ー#)<こちらも四天王の一人。眼鏡にスーツと一見すると格闘家に見えない。
(㈩*㈩)<サラリーマンだね。
(#ー#)<だが、“七つの死”と呼ばれ、恐れられている。
(・▽・)<これはどういう事です?
(#ー#)<ケラのチカラを持っているから、色々出来るんだよ。
(#ー#)<飛べる、泳げる、跳ねれる、潜れる。
(#ー#)<音を使って、拳の威力や切れ味を上げたりも出来る。
(#ー#)<それと、
(㈩*㈩)<そんな事出来るの?
(#ー#)<ああ。歩法や走法の応用……らしい。
(#ー#)<こいつはこれで地面を自在に遊泳可能。物理攻撃も擦り抜け可能。
(・▽・)<結構何でもありなんですね。
(㈩*㈩)<だね。
(#ー#)<因みに、そこまで出来るのは三奇拳でも現在はコイツだけだ。
(#ー#)<理論上、他の奴らも不可能ではないがな。
ショウの様子を戦いながら見ていたゼンゾウは苦笑い。
(あやつの悪い癖じゃな)
ショウは相手に疑問があるなら聞き、こちらに疑問があるならきちんと答える。
堅物真面目、とエンバに言われるだけはある。
「エンバは……」
気になったので様子を見てみる事にする。
先程は抑え込まれていたのだが……
「……このぉ」
まだ抑え込まれている。
それにゼンゾウは声を掛ける。
「どうした? エンバ。お前の力はそんなものかのう?」
挑発をするかのように、火に油を注ぐように言った。
その時だった。
「……!」
何かを、思いっきり引き千切るような音が聞いた。
「……舐めんじゃねえぞ!!」
遂にエンバが切れた。
全身から
そして、エネルギーが蜻蛉……オニヤンマの形を取る。
キチキチと顎を鳴らし、翅を鳴らす。
それが消えたと同時、エンバの
そして、エンバが消えた。
「な!?」
「どこへ……」
それが最後の言葉になった。
周りにいた組員達が全員絶命する。
首が吹っ飛び、頸椎が捻り折られ、胴体がへこんで死んだ。
そのままエンバは凄まじいスピ―ドで相手を屠り始める。
それを見てゼンゾウは軽く微笑み
「では、儂もやるとするか」
闘氣顕体を使う。
エネルギーが形作ったのは、先程のギイと同じようによくわからない虫。
ずんぐりむっくりとして、四対八本の脚を持っている。
だが……こちらはカギムシと違い、わかる者がいた。
「あ、アレって……」
舎弟の一人が何かに気づいた。
それに幹部の一人が問いただす。
「おい、アレが何か知ってるのか?」
「え、た、多分。間違っているかもしれませんけど……」
自信がないらしい。
「良いから言え! 間違っていても文句言わないから」
鉄拳くらいはお見舞いするかも、と心の中で付け足す。
それに意を決して彼は言う。
「……クマムシかもしれません」
「なんだそりゃ?」
どうやら幹部は知らないらしい。
それに舎弟は説明する。
「不死身の生物です」
「あん? そんなもの居る訳ねえだろう!」
怒鳴るのも当然。
色々技術が発達した現在でも、完全なる不死は不可能。
何かしらで死ぬ。
舎弟は説明を続ける。
「普通の生物が死ぬ環境でも生きてられるんですよ」
「……そんな馬鹿n」
「ほう。詳しいの」
「「!?」」
いつの間にかゼンゾウが近くにいた。
「二人纏めてあの世に逝くがよい」
彼の蹴りが炸裂。
二人纏めて殺害した。
★☆★☆★
クマムシ。
……この名前も前に紹介したカギムシと同じように、これも総称や通称であり、本来は
由来は、四対八本の脚でゆっくり歩くからだそうだ。その姿が熊に似ているのでクマムシと呼ばれる事が多い。
こちらはカギムシと違って、大きさが50マイクロメートルから1.7ミリメートルの微小な動物で、肉眼では確認しにくい。
姿は他の虫のように体節を持っており、キチン質のクチクラで覆われており、種類によって外面は滑らかだったり、装甲版、棘、毛などを持っていたりする。
脚は丸く関節はなく、四~十本の爪か、粘着性の円盤状組織が備わっている。
因みに触覚や口器はない。
熱帯から極地方、超深海底から高山、温泉の中まで、海洋・陸水・陸上のほとんどありとあらゆる環境に生息している。
なんと雪上に生息どころか、生殖している種類までいたそうだ。
ちなみに水中にいる種類もいるが、泳げない(笑)。水草や藻類の表面を這い回ったりするそうだ。
食べている物は、堆積物中の有機物に富む液体や、動物や植物の体液を吸入している。
そして、クマムシの最大の特徴はクリプトビオシスをする事である。
「隠された生命活動」の意で、乾燥などの厳しい環境に対して、活動を停止する無代謝状態の事であり、水分などが供給されると復活して活動を開始する。
「乾眠」とも呼ぶ。
クマムシの場合、体を縮める。これを「樽(tun)」と呼び、代謝をほぼ止めて乾眠の状態に入る。
そして、水を与えれば復活する。
この乾眠状態だと、過酷な環境に対しての耐性が高い。
例えば……
通常は体重の85%をしめる水分を3%以下まで減らし、極度の乾燥状態にも耐える。
百 °Cの高温から、ほぼ絶対零度の極低温まで耐える。
真空から七万五千気圧の高圧まで耐える。
高線量の紫外線、X線、ガンマ線等の放射線に耐える。……因みにX線の半致死線量は三千~五千グレイ(ヒトの半致死線量は四グレイ)。
拳銃弾より速いスピードでの射出に耐える。
更にはクマムシの寿命は通常半年だが、乾眠状態だと、長期的な生存も可能で、何でも百三十年前の物が水を掛けて復活した事例もあるらしい。
ここまで読んで乾眠状態のクマムシは凄いと思ったかもしれない。
ただし、これは乾眠できる種が乾眠している時に限ることである。
全てのクマムシがこうした能力を持つわけではなく、更に動き回ることができるというだけであって、その後通常の生活に戻れるかどうかは考慮されていないことに注意が必要である。
▼▽▼
かつて、百獣拳から破門されたアマリという男がいた。
その男は、【カイチュウ】と言うモンスターと出会い、チカラを貰い、蟲拳士となり、そこに巣くっていたボスモンスターを屠った。
その後、彼は一人で暮らしていたのだが、運命の出会いがあり、結婚して子をなした。
その子供は彼と同じチカラを持っていた。
そして、その子供が結婚して出来た子供もチカラを持っていた。
……一人を除いて。
それがムシャコウジ=ゼンゾウだった。
彼? 彼女? は奇妙だった。
まず、母親の胎内にいる期間が長く、なんと三年近くいた。
そして、生まれたと同時、泣かず、いきなり喋り始めた。
何より、特徴的だったのはその体。
男性の特徴と、女性の特徴を持っていた。
最初は普通にアレが付いているので、男性かと思われたのだが、よく全身を見ると、男根だけでなく、膣まで付いていた。
更に成長するにつれ、胸部が膨らみ、女性的特徴も出て来て、精神的にも男性とも女性とも言えた。
そんなゼンゾウは蟲のチカラを持っていなかった。
とは言え、一族にはそれを見下すような下衆はいなかったのが、幸い。
だからこそ、ゼンゾウは歪まずに育った。
とは言え、どこかしら疎外感を感じていたが。
それにアマリは――この時、床に伏しており、当主を子供の一人に譲ってから、ほぼ寝たきりになっていた――気の毒に思っていた。
そして、自分がもう長くないと悟ると、彼は最後の力を振り絞り、ゼンゾウを連れてとある場所へ向かった。
それは……
『久しぶりだな』
『ええ、おひさしぶりです。すこしふけました?』
『まっとうに年食っただけだ』
【カイチュウ】の所だった。
本来であれば、当主と、許可を得た人物した謁見出来ないが、アマリは全当主特権を利用しごり押しした(笑)。
『それで? なんのようです?』
『コイツにチカラを分けて欲しい』
『……なるほど』
【カイチュウ】は察する。
ゼンゾウに自身のチカラが受け継がれていない事を。
『……』
『駄目か?』
『かまいませんが、しぬかもしれません』
【カイチュウ】はゼンゾウを見つめる。
『いいですか?』
『やってください』
ゼンゾウの決意に【カイチュウ】は答えた。
そして、ムシャコウジ=ゼンゾウは再誕した。
ここからが、彼? 彼女? の新たな始まりだった。
■□■□
(それから色々あったのう)
ゼンゾウは【カイチュウ】との出会いを思い出していた。
勿論戦いの手は止めない。
彼は他の面々――蟲灼晃而一族だけでなく、イデア百獣拳の使い手も含む――と違い、構えを取らない。
ただ自然体でゆっくり佇む、もしくは歩いていくだけ。
「死ねぇー(背中ががら空き)!」
「取ったぞ(隙だらけだ)!」
「手柄は貰った(俺も幹部だ)!!」
一見すれば隙だらけ。
だからこそ、襲い掛かる者がいる。
だが……
「え……」
「は!」
「!?」
攻撃は擦り抜けたようになる。
手応えがない。
それに呆然とする。
更に、攻撃直後なので隙だらけ。
その隙を見逃す程、ゼンゾウは甘くない。
「ほっ」
「ぎゅぼ!?」
一人目。浸透勁により内部破壊。
「はっ」
「首ぃ!?」
二人目。頸椎を狙い断頭。
「てや」
「ごきゅ!?」
三人目。頭を掴み、地面に叩きつけた。
あっという間に三人を始末した
「温い……のう?」
複眼を≪岸谷組≫の組員、まだ生き残っている者達へ向ける。
数はもう三分の一を切っている。
それに組長――キシタニは指示を飛ばす。
「ロボット、ゴーレム、オートマタをありったけ出せ!」
「え!? でも……」
「ここで全滅したら全部おじゃんだ」
「「は、はい!!」」
舎弟二名が奥へ引っ込む。
ゼンゾウ達は止める事は出来たが……
((ここで徹底的に叩き潰す。それと何をして来るか……))
心の中の意見が一致。
……若干楽しみにもしている。
なので見送った。
それを知ってか知らずか、キシタニはもう一人の組員に声を掛ける。
「おい! ミズタ!」
「はい! なんでしょう!」
「アレを起こせ!」
「え!!??」
驚くミズタ。
何せソレは……
「あ、相手は四人ですよ!? 本来、大組織の殲滅用ですよ!」
それは麻薬を卸している所から貰った虎の子。
本来なら、都市攻め・国攻め用兵器。
相手は四人なのに使うのか? と聞いたのだ。
それにキシタニは答える。
「さっきも言ったろ? ここで死んだら元も子もない」
一拍置いて続ける。
「いいから取ってこい!」
「わっかりましたーー!!」
ミズタが叫んで奥へ引っ込んだ。
「さて……」
キシタニはそう呟き、戦場を俯瞰する。
(後は……それまで持つかだ。ならば)
彼は一歩踏み出す。
そして、着流しの上半身を脱ぎ、肌を晒す。
その背中には愛染明王の刺青が彫られている。
「侵入者ども! オレが相手じゃあ!」
キシタニは咆えて相手に向かって行った。
そして、近くにいた相手と向かい合う。
それは……
「ほう……、ボスから出て来たか……のう?」
ムシャコウジ=ゼンゾウだった。
ニヤリと笑い告げる。
「来るがいい。小僧」
「誰が小僧だ!」
キシタニはダンピラ片手にゼンゾウへ斬りかかって行った。
……この選択の成否は少し先に明らかになる。
▼▽▼
蟲のチカラを手に入れたゼンゾウだったが、そこから色々大変だった。
あの後、すぐにアマリが亡くなってしまったうえに、二代目当主まで急逝し、当主争いのゴタゴタが発生した。
そうして血を血で洗うように闘争が勃発し、一時は蟲灼晃司一族は十人を切る程に減ってしまった。
そんな状況でゼンゾウは争いを止めるために動いた。そして、紆余曲折の末、ゼンゾウが三代目の当主になる事でどうにか内乱は収まった。
そうして暫くは平和が続くかと思われたが、数十年後に新たな問題が発生。
それは、突如として昆虫ではなく甲殻類のチカラを持った人が出て来た事。
元々、昆虫ではないのも多少居たのだが、彼らはそれらと一線を画していた。
しかも質が悪い? もしくは良い? 事にソレは遺伝しやすかった。更に同じチカラを持つ甲虫系も出て来た。
だからこそ、増えていく甲殻類と甲虫系に、それらを淘汰すべきと言う意見が出始めたのだ。
それにゼンゾウはどうすべきかと考え……
『殺すのは忍びない。分派せよ』
『わかりました』
そういう訳で〈外甲殻〉を持つ者達はヨーロッパ方面に渡った。
……この頃の日本は鎖国中だったので、海外には行きづらく、戻れないのである意味丁度良かった。
それで一件落着かと思ったのだが、更に問題が発生。
今度は毒系の人達が出て来たのだ。
それらは体が猛毒となっていた。しかもそれらも遺伝しやすかった。
だからこそ、ゼンゾウは……
『以下略』
『『略しちゃった!?』』
そして、〈毒身〉を持つ者達は中国方面に渡った。
こうして暫くは平和となった。
モンスターやダンジョン大発生の「大変革」の時は、事前に歴史の長いノーブル――ブルーブラッドの名家に知らされていたので、準備が出来ていた事からそこまでゴタゴタはしなかった。
『少なくとも、分派騒動の時よりはマシじゃった』
ゼンゾウ談である。
【後書】
(・▽・)<こういう設定とか、解説とかは書きやすいんですよね。
(#ー#)<だからってそれで字を埋めるな。
(・▽・)<まあそうですね。あ、そうそう、今回はWikipediaを参考にしました♪
(㈩*㈩)<……。ねえ。
(・▽・)<何です?
(㈩*㈩)<この章……ちゃんと終わる?
(・▽・)<……。
(#ー#)<……(やっぱりな)……。……まあ暖かい目で見守ってくれ。
(#ー#)<あ、そうそう。三連休だから三日連続更新するぜ。