(㈩*㈩)<今回出た腕輪双剣の正式名称。こういう名称で売り出す……予定。
(・▽・)<アクセサリーから武器に変わるようですけど他にもあるんですか?
(㈩*㈩)<うん。色々種類がある。ネックレス、指輪、イヤリング、アンクレットなどなど。
(㈩*㈩)<武器としての形態は――槍、斧、棍棒、盾、籠手、脛当などなど。
(・▽・)<……アレ? 銃器は?
(㈩*㈩)<あるけど、構造上の問題から、重量がちょっと重めで、待機形態も少し大きくなっちゃった。
(㈩*㈩)<だから要望を聞いて、売るか決めるみたい。
(#ー#)<……なあこれもしかして、お前関わってる?
(㈩*㈩)<うん。
そうして雑談したりしている時だった。
「……ん?」
イムロンの表情が突如として引き締まる。
「……」
ザンカも何かに気づいたらしく、突如として口を引き結ぶ。
「姉さん? イムロン?」
ジンナが突如として様子の変わった二人に問いかける。
だが、それに二人(?)は答えない。
ザンカが冥刀――【ウルナッハ】を虚空から引き抜く。
戦闘態勢に入ったザンカに驚くジンナ。
「姉さん!?」
「静かにするっス。出て来るっス」
ジンナの驚きを静止して、ザンカが誰も居ない場所へ呼びかける。
だが、誰も出て来ず、声もしない。
それにイムロンが動く。
「空間に潜んでいるな」
「え……」
「通常の攻撃手段では通らん。〈斬空・陰打〉」
そう言ってイムロンは影から何かを引きずり出す。
それは大剣。片刃で先端が歪曲している。
普通の人なら引きずるのも大変そうな、重そうなそれをイムロンは片手で振りかぶり……
「フン」
片手で振るう。
すると、斬撃の軌跡が空間を抉る……はずだったが。
「させないよぅ~」
声が聞こえた。
それと同時に、斬撃の軌跡が打ち消された。
そして、出て来たのは……
「まさか引きずり出されるとはねぇ」
大鎌を持った男――カマタ。
「あっけなくバレたな」
「!」
それにジンナが戦闘態勢を取る。
オウカから、敵の詳細を聞いていた。
だからこそ、今戦っている組織の幹部だと気づいた。
そうして三人と二人が向かい合う。
「「……」」
誰も何も言わない中、沈黙を破るように口を開くのはカマタ。
「一つ聞いていいかい?」
「「……」」
「沈黙は肯定と受け取るよぉ。何でわかった?」
それに二人はこう答える。
「そこにいるんだから気づくだろう」
「勘っス」
二人らしい答え。
そして、今度はジンナが口を開く。
「ならこっちも聞いていい?」
「いいぜ」
「何をしに来たの?」
「おつかいさ」
セナヤマがそう言って指を指す。
指した先にいるのはジンナ。
「カダ……ウチのリーダーがお前に用があるんだと。来て貰うぜ」
その言葉にザンカがジンナの前に出る。
「そんな事させる訳ないっス」
更にイムロンも前に出る。
「オイラのお得意様だ。させんよ」
そんな二人にセナヤマは笑う。
「やっぱりこうじゃねえとな」
「やれやれ~」
カマタが溜息を吐く。
そのまま大鎌を構えた。
そうして四人――ジンナ以外が動く。
「ハッハー!」
「フン」
「シャア!」
「ハア!」
響き合う金属音。
そのままギリギリと鍔迫り合い。
拮抗するかと思いきや……
「うお……」
「あらぁ~」
セナヤマとカマタが押され始める。
イムロンとザンカはパワーファイター。
どちらも膂力は凄まじい。
それにセナヤマはまだ使っていなかったクロス――〈ヘーゼルクロス〔カマドウマ〕〉を解放。どうにか押し返そうとするが……
「そう来たか。なら……」
イムロンの腕が隆起する。
セナヤマはまだ押されている。
(まだ足りねえ!?)
それにもう一つの手札のクロスを解放。
これでどうにか拮抗した。
******
一方カマタはステータスを上げる手段がないため、押し込めないと判断するや否や……
「おっと」
下がる。
だが、
「逃がさないっス」
それにザンカは地面を滑るように移動し、追いすがる。
【ウルナッハ】の摩擦操作の応用。
「チッ」
大鎌を持つ手とは逆の手に鎖を展開。
それを後方に伸ばし、ロープアクションやワイヤーアクションのようにして一気に下がる。
そして、追いすがろうとするザンカに目がけ手裏剣を放つ。
だが、それらはザンカに当たらない……否、当たっても滑って行く。
(摩擦操作か! 厄介な……)
この状態のザンカは物理攻撃はほとんど通じない。
……無理矢理通じさせたオウカ、元の持ち主であるマリアが異常なだけ。
突破するには、属性攻撃を叩き込むか……
(空間ごと斬るしかないか……)
カマタは大鎌の柄の握り直す。
鎖をくっつけ、鎖鎌にして大鎌を強化。
更に刃に空間斬を纏わせる。
そうして、ザンカ目がけカウンターの一撃を叩き込もうとしたが……
「とととっス」
射程範囲寸前で止まった。
それにカマタは思わずこう言う。
「おいおい。何で止まるんだよ……」
「だってそれ……」
指さすザンカは続ける。
「当たったら危なそうっスもん」
「やれやれ……」
勘が鋭いタイプかと溜息を吐くカマタ。
「どうしてオイラの戦う相手はこんなのばっかりなんだろう~」
「知らんっス」
けんもほろろなザンカ。
「とりあえず……死ねばいいと思うっす」
「冷たいねえ……」
ザンカは大剣を握り直し、カマタは大鎌を構え直した。
******
その戦いをジンナは何も出来ずに見ていた。
(どうしよう……)
まず彼女の視線が向いたのはイムロンとセナヤマの戦い。
こちらは結構オーソドックス(?)な戦いになっていた。
セナヤマは獣化するクロス――直翅目系の昆虫とライオン。ジンナはそこまで動物に詳しくないのでこれくらいしかわからない――を併用して身体能力を引き上げ、
それをイムロンは手に持った鍛冶鎚で受け、時に自身の影から様々な武器を出してそれを使っていく。
「〈幻刀・陰打〉」
イムロンが影から出したのはシンプルなロングソード。
それを上空に投げる。
「?」
疑問に思ったセナヤマ。
だが、すぐに疑問は氷解する。
ロングソードが刃を下にして大量に分裂。
そしてセナヤマ目がけ降り注ぐ。
「うおおおおおお!?」
それを疾走しながら避けていくセナヤマ。
移動先を予想したイムロンは鍛冶鎚を振り上げ。
「フン!」
「危ね!?」
振り下ろす!
それをセナヤマは
するとイムロンは鍛冶鎚を握る手とは逆の手を使って、影から槍を出す。
それは
「〈羅旋・陰打〉」
それを突き出した。
その一撃をセナヤマは弾き返そうとしたが、弾け飛んだ!
だが、器用に空中で態勢を立て直して着地。
「おいおい。さっきからそれなんだよ……」
遂に本音が漏れた。
因みにこの疑問であるが、敵であるカマタだけでなく、味方であるザンカやジンナも気になっていた。
なにせ初めて見るので。
それにイムロンは答える。
「オレはな、自分で打った武器なら模造品を影から再現できる」
幾らでもな、と言うとイムロンの影から様々な武器が出て来る。
剣、刀、槍、斧、棍棒などの様々な武器。どれ一つとして同じ物はない。
しかも一目で分かる。何かしらの能力を持っていると。
これこそがイムロン……ゴブリンの
武器を作るだけでなく、それを振るう事も可能。しかも素のステータスも高い。
律儀に答えたイムロンに拍子抜けしながらセナヤマは聞く。
「馬鹿正直に言って良かったのか?」
「リスクを取って、能力の効果や出力を上げる事はよくあるだろう?」
馬鹿正直に自分の術技・能力を言うのは一見するとデメリットにしかならないが、こういう効果もある。
……まあブラフを張る人もいるが。
(こっちは加勢は無理。……というか足を引っ張りかねない)
それどころか、巻き込まれて死にかねない。
(姉さんは……)
次に視線を移したのは、ザンカとカマタの戦い。
こちらはあちらとは真逆の戦いだった。
「ハッ!」
「おっと~」
お互い大剣と大鎌という近接武器同士ながら、距離を保ちながら攻撃をし合っていた。
まるで射撃武器同士の戦いのよう。
ザンカは大剣を振るって斬撃を飛ばす。
これは〈飛斬〉と言うスキル。
剣や斧などの切断武器のプレイヤーがよく覚えるスキル。
武器を振るう動作で斬撃を放つというシンプルな技。
重い代償もなく、通常の動作の倍の疲労するだけ――という軽いコストで遠距離攻撃が可能となる。
しかもその斬撃は、放つ武器の性質・属性・威力が伴っており、熟練すれば、僅かな予備動作で放てるようになり、応用も利くようになる。
結構便利なので、覚える人は多い。
カマタはその斬撃を避け、時に鎖や鎌で弾きながら、彼も攻撃を仕掛ける
手裏剣を放ち、時にそれに紛れ込ませるように空間断裂の斬撃を放つ。
これは〈飛斬〉由来ではなく、自身のスキルの《歪曲門扉》を使い斬撃を放つ。
本来これは亜空間にトンネルを作って移動するだけでなく、自身の武器に食うか切断の性質を付与させたり、空間を歪曲させて防御をこなす事も出来る。
手裏剣と斬撃をザンカは避ける。時に上手く弾く。
最初は斬撃だけ避けていたのだが、途中から手裏剣に空間切断が付与されるようになったので、全部避けるようにしていた。
そしてある程度相手の攻撃に慣れて来たタイミングでザンカは……
「っと」
素手で手裏剣を払ってしまった。
「!」
流石に驚くカマタ。
空間切断を付与されているのに、それを素手で払ったのだ。
(どうやった?)
もう一度手裏剣を放ってみる。
すると……
「同じ攻撃は通じないっス」
そう言ってゴミでも払うかのように手裏剣を払う。
カマタはそれを見た。
(嘘だろう……)
なんとザンカは空間切断が刃の部分にしか付与されていないのを見切り、腹の部分から払ったのだ。
これは言うは易いは、おこなうのは難しい。
そして、ミスすれば腕が細切れになるのに、おこなった胆力も凄まじい。
「本当に嫌になるね~」
カマタは攻撃の手は緩めず溜息を付いた。
(こっちも介入は無理)
実はジンナは遠距離手段を持っていない。
あそこに介入したら何も出来ない。
それどころか、ザンカの足を引っ張りかねない。
(今は見てるしか出来ないか……)
戦いは待つのも大事。
今はチャンスを伺う。
そんな戦いが暫く続く中……
(埒が明かねえな……)
焦れて来たのはセナヤマ。
相手である鬼――イムロンの手札が色々あり過ぎる。
このままでは……押し込まれる。
(あんまり使いたくはねえんだけどな……)
実はこの状況を逆転できる手札を彼は持っている。
だが、そうすると隠し札がバレる。
(どうすっか……)
少し考え……決断。
「しゃあねえ。使うか」
セナヤマは決断する。
一方、カマタの方は相手の攻撃を避けながら考える。
(このままだとどっちが先に力尽きるかだね……)
そうすると長引く。
チラリとセナヤマを見ると、何か決めたような眼をしていた。
「切るのか。ならこっちも出すか」
カマタも決断する。
そうして二人は手札を切った。
セナヤマの体が変わり、あっという間に二足歩行の獅子のようになる。
ただ足は
カマタの体に冥刀の鎖――【ドローミ】が巻き付いていく。
そうして体に鎧のように鎖が巻き付く。
明らかに強くなり、覇気が増す。
更に二人は手札を重ねる。
「カマタぁ! 使うぞ!」
「安心しろ。オイラも使うっちゃ」
そうはさせんとイムロンとザンカが迫るが……遅かった。
二人が奥歯に仕込んでいた薬……【ダークウィング】を噛み砕く。
その途端、身体中からオーラが噴き出す。
「さあ一気に決めるぜ」
「終わらせよう~」
それを見たイムロンは
(これは不味いかもしれん……)
ザンカに目配せ。
(ジンナちゃん……どうしよう)
チラリとジンナを見る。
逃がそうとも思ったが、そうすると守れなくなる。
なので
「ジンナちゃん」
「何?」
「手伝ってほしいっス」
素直に頼む。
それにジンナは頷き前に出る。
「任せて」
そうして第二ラウンドが始まった。
………………
…………
……
暫く後。
イムロンの鍛冶場があった廃屋は倒壊していて、完全に崩れ去っていた。
それどころかその周囲の建物まで倒壊・粉砕していた。唯一の救いは全て人が入居していない廃屋である事であろうか。
更に周囲の空間が歪んでおり、何か大規模な空間系の攻撃が放たれたのは明白であった。
【TIPS:陰打】
(・▽・)<鬼の鍛冶師、イムロンさんの能力です。
(・▽・)<自分が作った武器を影から再現します。
(㈩*㈩)<サクやディアンが使う術技みたい。……劣化とかあるの?
(・▽・)<多少の劣化はあります。オリジナルと力比べすれば負けてしまいます。
(㈩*㈩)<まあそれはそうだよね。……そういえば幾つぐらいあるの?
(・▽・)<それはもう数多に。
(㈩*㈩)<これでステータスも高いって……どうやって倒すの?
(・▽・)<それについては追々……。
(㈩*㈩)<? どういう事?