冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【前書】
(・▽・)(㈩*㈩)<(温かい目)

(#ー#)<?


【TIPS】


色々な集まり
(・▽・)<本作では色々な集まりが出てきます。

(#ー#)<パーティとか、傭兵団とか、半グレとか、マフィアとか、だな。

(・▽・)<規模は色々です。人間がバグっている大学みたいな感じですね。

(#ー#)<例え!?

(㈩*㈩)<マークは「≪≫」で表すよ。


ⅩⅩ

 ■□■□

 

 

 とある廃屋。性別、体型、服装がバラバラな五人組が集まっていた。

 各自思い思いに過ごしている。

 

 そんな状況で口を開いたのは、制服を着たギャル風の少女。端末を弄っており、目は端末に向けられている。その端末には蠍の付いたストラップが付いていた。

 

「ねえ。リーダーまだなの? 遅くない?」

 

 それに対し答えたのは、サングラスを掛けた色黒の男性。サングラスのフレームには小さな蝸牛があしらってあった。

 

「もう打ち合わせに少しかかるそうです」

 

 その答えに捕捉したのは、軍服を着た大柄な男。時間を見るために時計を出す。その時計は斑猫があしらってある。

 

「今回の仕事は、色々複雑だからな」

 

 更に独特な口調で付け足すのは、長髪にダークスーツの男装の麗人。髪飾りは蜈蚣になっており、髪の一房に巻き付いていた。

 

「最良、一人、戦闘。最悪、全員、戦闘」

 

 それに顔をしかめたのは制服姿の少年。何も言わないが、落ち着かないように腕に付けたブレスレットを弄る。そこには蟋蟀が彫られていた。

 

「……」

 

 その時だった。一人の男が入って来た。帽子とコートから、ギャングのように見える穏やかそうな青年だった。

 

「皆さん、お待たせしました」

 

 それに各自反応を示す。

 

「リーダー遅ーい!」

「おかえりなさい」

「やっとか」

「全員、不揃。一人、仕事」

「……」

 

 それに男は微笑んでから続ける。

 

「内容が固まったので、話します。……一人は別件でいませんけどね」

 

 そうして彼と彼女らは仕事の内容を聞く事になる。

 

 

 ******

 

 

 廃屋から車で数時間程離れた、とある場所。そこにはその一人が別件でいた。

 そこでは戦闘がおこなわれていた。否、戦闘になっておらず、一方的な虐殺になっていた。

 

 三人の武装した兵士達が手に持ったマシンガンやライフルを乱射する。辺り一帯にはその兵士達の味方だったと思われる死体があった。その死体はどれも真っ二つだった。まるで、巨大な刃物で寸断されたかのよう。

 

「クソォー! どこだ!? どこにいるぅ!?」

「出てこい! 卑怯だぞぉー!」

「撃って撃って撃ちまくれ! そうすれば近づけまい」

 

 彼らの装備は最新式の物。<モンスター>と<プレイヤー>にすら通用する。なのだが、その敵には通用しなかった。

 そうして弾丸をばら撒いていた。だが、そんな奮闘虚しく、

 

「グゲ!?」

「ギャアアア!?」

「ポゲエ!?」

 

 彼らも真っ二つになった。

 それから暫くして。突如として現れたのは、モヒカンでヒャッハーと言いそうな男。身体中がアクセサリーでジャラジャラしている。そして、その男の右頬には蟷螂の刺青が彫ってあった。

 

「もう終わりかぁ? 帰るかぁ」

 

 そうして踵を返す。そして、呟いた。

 

「次はもっと殺せるかぁ?」

 

 

 ★☆★☆★

 

 

 彼らは≪蟲≫。この世界でもよく知られた傭兵団。メンバー全員が<デュナミスト>であり、特殊な<冥刀>を使う。その戦闘力は凄まじく一人で一個中隊以上の戦闘力を持っている。

 彼らがその依頼を引き受けた事が、壮絶な戦いが勃発する事の前触れだった。

 

 

 ■□■□

 

 

 豪奢な建物。その一室に豪華な服を着た恰幅の良い男性がいた。その顔はイライラしている。

 

「上手く行きませんね。まさか初日の襲撃が失敗するとは……」

 

 彼は『オオトリ=トシノブ』。≪聖霊教≫の大聖女の補佐をしている男。そして、今回のリア襲撃の黒幕である。

 元々、権力欲の強い男であり、次期大聖女がリアでない方が良いので、色々暗躍している。しかも、質が悪い事に、普段は代わりの人を、もう一人の聖女補佐として送り込んでおり、自身は中立派として振舞っている。自分は手を汚さず安全圏から指揮する外道である。

 

「一の矢、二の矢、三の矢の準備は完了。まあ、三の矢の場合、犠牲はかなり出るでしょう。ですが仕方がない事です」

 

 彼は知らない。いや、把握しているが、完全には知らない。

 リアの護衛に就く事になった学生の事を。彼が自分のような人間を死ぬ程嫌っている事を。そして、元殺人鬼の仕置人、“殺戮鬼”、”拷問姫”と呼ばれ恐れられた女性の手伝いをしていた事を。

 この時点で彼の運命は決定した。

 

 

 ******

 

 

 ある町の廃ビル。そこは半グレ組織≪外流(ゲル)≫の根城になっていた。そこでは一人の男が金を数えていた。

 

「収入は悪くねえな……」

 

 彼はヨシムラ=シゲユキだった。

 

 オウカの件で、今までやって来た事のツケが噴き出して退学になった。しかも、実家からも勘当され、行く場所が無くなった彼は、手切れとした貰った金と、自らの強さを使って半グレ組織を作り上げた。主な収入源は、カツアゲ、ミカジメ料の徴収、強盗・窃盗、臓器や違法薬物の売買など。当たり前だが、違法であり、アウトである。

 

 卓の上には髪の長い少年――オウカの写真があり、そこにはナイフが突き刺さっていた。

 

「これだけあれば、アイツに復讐できるか?」

 

 彼はオウカへの報復を諦めていなかった。だからこそ、人を集め、資金を集め、力を溜めた。

 

「だが、どうするか……」

 

 数で行っても負けるのはわかってる。何か策を考えなければならない。

 そんな時だった。声が後ろから聞こえた。ボイスチェンジャーを使っているのか機械音声。

 

「この男に恨みがあるのか?」

「ッ!? シャア!!」

 

 即座に《クロス》を発動させ腕部を獣化。<スキル>のバフを載せ腕を振るうが、その一撃は空を切る。それどころか、その拳にその人物は載っていた。

 忍者装束を着て、顔には白い眼、鼻、口、眉などの部位が一切ないのっぺりとした面――無貌の面とでも言うべき物を付けている性別不詳の人物。

 

「ならば、手を組まないか?」

「あん? つーか誰だ?」

「我は≪御面屋≫を纏める者。名はない。無貌とでも呼べ」

「……それで?」

「我らもこの男が邪魔なのだ。どうだ? 何だったらチカラもくれてやろう」

 

 無貌の提案にヨシムラは思考。

 

(渡りに船だが、あやしい。とりあえず……)

 

 彼は口を開いた。

 

「そっちの事情を聞かせろ。それとそのチカラとやらも」

「……金は?」

「金なんざ、時間かけりゃ手に入る。だから場合による」

 

 そういう訳で話し合いが始まる。

 

「よし。とりあえず……何か飲むか?」

「オレンジジュースを」

「酒じゃないんだ!?」

 

 こうして、話し合いが始まった。

 

 そして、殺し屋組織≪御面屋≫、半グレ組織≪外流≫の同盟が決まったのは、一時間もしない内だった。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 野外実習が始まるまで残り二日を切った。土日を挟んで実習があるので、今日明日は家に籠ってのんびりしたい所である。

 だが、そうは問屋が卸さなかった。

 

「すいません、オウカさん。外出に付き合ってくれませんか?」

「(あんまりよくないけど。)いいけど。どこへ行くの?」

「≪聖霊教≫の教会です」

 

 その言葉にオウカは眼が点になる。パチパチと瞬きしてから聞き返す。

 

「ゴメン。聞き損ねた。もう一回言って?」

「≪聖霊教≫の教会です」

「……正気?」

「狂気かもしれません」

 

 ウフフと笑うリア。

 オウカは横にいるランコに視線を移すと、彼女は申し訳なさそうになる。

 

「すまん。どうしても顔を出したいとの事だ」

「飛んで火にいる夏の虫って言葉知っている?」

 

 中立と味方もいるだろうが、敵だっている。下手をすれば向こうのホームグラウンドで襲われかねない。

 

「そうならないために私とお前がいる」

「そうだけどね……」

 

 溜息を吐くオウカ。頭を掻きながら相棒と相談。

 

[どうしよう?]

[止められないなら、行くしかない]

[それもそうだな。武装しておこう]

[最悪わたしも出る]

[その時は頼む]

 

 そういう訳で三人は出かける事になった。

 

 

 ******

 

 

 教会への道中は、いつも通りチンピラや半グレの襲撃があったが、鎧袖一触で蹴散らした。

 

「飽きないね~」

「全面的に同意する」

 

 オウカとランコは武装していた。

 普段は目立つ武装を持ち歩かず、必要な時は取り出すオウカは、佩刀していた。

 左腰には大小二刀、右腰には西洋剣を下げ、後ろの腰には狩猟刀を下げている。勿論、いつものロングナイフや鉄棒は常備済み。そして、手には金属製の太く長い六尺棒を持っている。

 実は徒手空拳でも結構強いランコは、普段は槍を【匣】に仕舞っているのだが、今回は持ち歩いていた。

 背中に短槍を二本背負い、手には十文字槍を持っていた。流石に槍はむき出しではなく、鞘に包まれている。十文字槍の鞘は大名行列で見かけそうな鞘である。

 

「因みに、リア様の自作だ!」

「マジで!?」

「刺繍や縫い物は得意なんです」

 

 そういう訳でやって来たのは、街外れにある教会。

 

「ところでさ、今更の疑問なんだけど、何するの?」

「信者の話を聞いたり、怪我した人の治療をしたりします」

 

 そうして敷地内に入ろうとした時だった。

 

(何だ? この妙な気配?)

 

 オウカは――百戦錬磨の少年は気づいた。逆を言えば、彼だから気付けた微かな違和感。それは霞のような気配。

 

[マユ]

[もしもの時は出る]

 

 警戒を引き上げるオウカとマユだった。

 

 敷地内にランコが足を踏み入れた時だった。その足に痛みが走る。即座にリアに注意を促す。

 

「っ!? リア様! 止まってください!」

「!」

「どうした!」

「足に何か……」

 

 ランコが自分の足の裏を見て、オウカも周りを見渡す。

 そこには、鋭利な罠――忍者御用達の道具、撒き菱が散らばっており、その内の幾つかがランコに突き刺さっている。

 足に刺さったそれを抜こうとするランコ。しかし、その瞬間に三人の頭上から投網が降って来る。撒き菱のせいで動けないランコとリアだったが、オウカが動く。

 

「っ!?」

「あ……」

「フン!」

 

 網を六尺棒で弾き飛ばすオウカ。地面に着地したと同時、

 

「俺を騙せると思うなよ?」

 

 彼は左腰から段平を抜き、リアの近くへ振り下ろす。すると、響いたのは金属音。

 

「フゥウゥン!」

「むぅうぅ!」

 

 そこには忍者装束に天狗の面をした者がいた。どうやら、ステルス状態で近づいていたらしい。

 オウカが振り下ろした一撃を、忍者刀で受け止めており、そのせいでステルスが解除されたようだ。

 

「そんなんで受け止められたらいいなぁ」

 

 だが、拮抗したのはわずか数秒。

 

「ゴェエエ!」

 

 オウカはそのまま強引に押し込んで、忍者刀ごと、天狗忍者を真っ二つにしてしまった。

 段平を軽く振り、血を落とすオウカ。そして、リアとランコに声を掛ける。

 

「大丈夫か?」

「はい。わたくしは問題ありません。ですが、ランコが……」

「大丈夫です。この程度」

 

 どうやら、足の裏から撒き菱を抜き、リアに回復して貰ったおかげか、問題なさそうなランコ。十文字槍の鞘を外し完全臨戦態勢になっている。

 そんな二人の様子にほっとするオウカ。そして、声を掛けた。

 

「多分、ここからが本番だ。気合入れろよ? 二人共」

 

 それに無言で頷く二人だった。

 

 そうして、三人は進む事になる。足元の撒き菱はオウカが六尺棒で吹き飛ばしていく。そんな中、ランコが気になった事を訊ねる。

 

「何でお前には刺さっていない?」

「うん? 俺の靴には金属が仕込んであるから」

 

 鋭利な何かを踏んで足を怪我しないように、オウカは履物に金属を仕込んでいる。サンダル系は裏に、靴系は裏だけでなく、爪先と踵にも金属を仕込んでいる。物によっては他のギミックもある。

 その言葉にランコは呟く。

 

「私もそうしよう」

 

 反省するランコだった。

 

 敷地を進み、建物を前にする三人。

 扉を開けようとした時、オウカの鼻に入った匂いは、異世界でよく嗅いだあの香り。なので、リアとランコを止める。

 

「ッ! 待った」

「……オウカさん?」

「一体どうした?」

 

 オウカの言葉に止まる二人。

 

「血の匂い……。かなり死んでる」

「!」

「まさか……」

 

 そういう訳でオウカが扉を開けずに、

 

「後で謝る。オラァ!」

 

 蹴り砕く。木っ端微塵に砕ける扉。その中の光景にランコとリアは言葉を失う。

 

「「……!」」

 

 そこには大量の死体が転がっていた。服装から察するに教会にいた神父やシスター、教会に訪れたであろう人達――老若男女区別なく死んでいる。

 だが、その中に、生きている人達がいた。そこら辺にいる若者の恰好もいれば、忍者装束と面姿の者もいる。共通している事は、全員が武装している。そして、その中央にいたのが……

 

「よお、遅かったじゃねえか……。久しぶりだなぁ」

 

 ヨシムラ=シゲユキだった。獣化しており、手が血に塗れている事から彼も殺している。そんな彼を見てオウカの一言は、

 

「誰だっけ?」

 

 ……その場の全員がズッコケた。相棒(マユ)も体があったらズッコケていただろう。マユが呆れる。

 

[お、覚えてないの?]

 

 どうにか起動してリアとランコがフォローしようとしたが、

 

「ほら、あなたが決闘でボコボコにした……」

「た、確か……ヤマダ=タロウ?」

 

 ランコも覚えていなかった。そんな三人にヨシムラが咆える。

 

「ヨシムラだ、コラ!」

 

 首を捻るオウカ。暫くして発した言葉は、

 

「蛆虫のように沸く、塵屑の名前は覚えないようにしているんだ。脳の無駄遣いだからな」

 

 凄まじい暴言。それに青筋を浮かべるヨシムラだったが、隣にいた忍者装束の人物――無貌が声を掛ける。

 

「落ち着け。素数を数えろ」

「一、二、三、五、七、九、十一……ふう」

 

 落ち着くヨシムラ。本人は気づいていないが、素数じゃない数が混じっている。

 そして、そんな彼らにオウカは訊ねる。

 

「それで? どうするの?」

 

 その言葉に、弛緩しかけた空気が引き締まる。

 それに答えたのは――無貌。

 

「どうするも何も。我らがする事は一つだけ」

 

 そう言って目線をリアに向ける。

 

「大聖女候補の暗殺だ」

「そして、オレはテメエを殺す」

 

 ヨシムラが付け足す。

 そんな彼らにオウカは呟く。

 

「そうか。……古き友は言った」

 

 そして、親友の言っていた言葉を言う。

 

「人を殺す奴は、人に殺される覚悟を持たなければならない。テメエらにその覚悟……あるか?」

 

 そして、笑い。

 

「まあ、なくても殺すけどな! 【ギルタブリル】!」

 

 <冥刀>を、〈剣威模倣(ミメーシス)〉を解放した。




【TIPS】

≪蟲≫、≪外流(ゲル)≫、≪御面屋≫
(・▽・)<今回出て来た組織ですね。

(#ー#)<簡単に説明すると、


≪蟲≫:少数精鋭の傭兵団。全員が■■型の<冥刀>持ち。

外流(ゲル)≫:半グレの集まり。最近規模を拡大しつつある(笑)。

≪御面屋≫:中規模の殺し屋組織。全員が忍者装束を着て御面を被っている。


(#ー#)<こんな感じだな。

(㈩*㈩)<こういうのって沢山あるの?

(#ー#)<あるっちゃあるが、生まれては消えてく。

(㈩*㈩)<悲し……くはないか。

(・▽・)<……因みに今回の件が無くても、シマ荒らしをしたから、とある組のカチコミで壊滅予定。

(#ー#)<え!?

(㈩*㈩)<良かったね。めでたしめでたし。

(#ー#)<何もめでたくねえ!


“殺戮鬼”、“拷問姫”
(・▽・)<私の通り名ですね♪ おかげで私を見た人が逃げていく。失礼ですね。

(#ー#)<当然の反応だ。馬鹿野郎。

(㈩*㈩)<前も説明した通り、前期と後期の通り名。色々あってこうなった。
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