(・▽・)<遂に登場しました。鍛冶師ヴィシュヴァカルマン。私の友達。
(#ー#)<……良いのか?
(・▽・)<この展開は作者も迷いましたが、どうせなら好きな事やろう、という事です。
(㈩*㈩)<……。
(㈩*㈩)<……何で? だって皆サクの事忘れているはずなのに……。
(㈩*㈩)<というか異世界だよ? どうやって? どうして?
(・▽・)<それについては……追々。
(・▽・)<ただこれだけ。彼女、結構滅茶苦茶です。その鍛冶の腕が。
というかミシミシ言っている。
このままでは明らかに不味い。
……というか。
「苦しい……」
「……苦悶」
オウカにくっついていたネラとマユも巻き込まれた。
万力のように締め付けられている。
このままでは三人の死因が圧死、もしくは窒息死になる。
それにカナタは呆然としていたが、どうにか我を取り戻す。
「えっと、落ち着いてください!」
どうにかヴィーをオウカから引き離そうとするが……
(力強!?)
全く剥がれない。
どうにか身体強化を使って引き離そうとするが、それでも駄目。
(この人、……どれだけパワーあるの!?)
そう思ったカナタ。
因みにカナタは知らない事だが、ヴィーは秘咒を持っている。
それは――〈超力招来〉
簡単に言えば、凄まじいパワーが出せる事であり、その力はなんと特異体質のマリア以上。
オウカの現在過去含めた仲間・友達全員で、様々な手段使ってのブーストありの腕相撲をした場合でも一位を取れる。
そういう訳なので
「離れてください! 離れなさい!!」
カナタの腕力程度では離せる訳もない。
そして、遂に必死にタップしていたオウカの手がだらんと垂れ下がる。
ネラとマユのうめき声も聞こえなくなった。
それにカナタは血相を変える。
「サク君、死んじゃいますよ!」
「……はっ」
その言葉にマリアはようやく力を緩めた。
カナタはその隙に、オウカをヴィーから引き剥がして彼の体を抱きしめる。
「サク君、生きてる?」
「……どうにか」
「マユさん、ネラさん、大丈夫?」
「何とか……」
「死思」
どうにか無事だった三人。
それに一安心したカナタは改めてヴィーを見る。
立ち上がった事で、改めて分かる事がある。
まず服装。
袖なしシャツと頑丈そうなズボンはわかっていたが、革製のエプロンを付けており、[まさに鍛冶師!]という恰好である。
次にスタイル。
その背はやはりかなり高く、百九十近くはあるだろう。
そして、出る所は出て、引っ込む事は引っ込んでいる。
更に顔。
癖のないローズミストの髪を姫カットにしており、化粧はしていない。だが、顔が左右対称で、パーツも綺麗で、位置も整っている。
(磨けば光りそう。本当にキレイな人)
そんな事を思っていると、異音が響く。
それはヴィーのお腹。
全員の視線がヴィーに集中する。
それに彼女は大きな体を縮こませて、恥ずかしそうな顔をする。
そんな彼女にカナタはこう声を掛ける。
「……何か食べm」
「食べます!」
ヴィーは食い気味にこう言った。
……
…………
………………
そういう事で飲食が出来る場所に行く事にする。
だが、ここからオウカとカナタの家は遠いうえ、幾つかの条件と制限が引っかかるため、転移が使用出来ない。
そして、出来たとしても生憎すぐに用意できる食べ物がない。
なので……
「とりあえずこれでも食って置け」
「ありがとうございます」
オウカはいつも仕込んでいる非常食――ジャーキーと羊羹を渡す。
それをもそもそと食べるヴィーを横目に、飲食店を探す。
そして、見つけたのは――焼肉屋。
しかも個室がある店。
「ベストタイミング」
そういう訳で店に入る。
時間帯としては昼食には遅く、夕食としては早いので、空きがあった。
なので、店員に案内された個室に入り、早速する頼む物を決める。
メニュー表を見て、眼に付いたメニューを注文する。
……今は何よりスピード。
「とりあえずこれをお願いします」
「わかりました」
そして退出する店員。
そのタイミングでヴィーが口を開く。
「……サクさん」
「どうした?」
「お腹が……空きました」
「……」
「溜めて言う事?」
沈黙するオウカ、ツッコミを入れたマユ。
実は焼肉屋までの道中で、仕込んでいる食べ物を全部食べさせたのだが……
「焼石に水ね……」
カナタが溜息を吐いた。
そのタイミングで、ネラが口を開く。
「丁度、肉来」
店員が注文の品を持ってやって来た。
カルビ、ロース、ホルモン、ミノ、タン、ハツ、レバーなどなど。
牛肉ばかりではなく、野菜と白米もある。
因みにデザートも頼んであるが、食後に来るようにした。
「わあ……」
顔を輝かせるヴィー。
それにオウカは苦笑しながら、暖まった鉄板に野菜と肉を並べていく。
少し経つと焼けて来たので……
「どうz」
最後まで言えなかった。
ヴィーは白米片手に肉を取り、タレに付けて食べ始めた。
「~~!!」
声にならない声を上げたヴィー。
そのままモリモリと焼けた肉を食べ始める。
それを微笑ましそうに見ていたオウカだが、肉がドンドン減って行くので……
「おっと不味い。俺らも食べましょう」
「!? そうね」
「わたしも」
「腹満」
他の面々に声をかけ、オウカ達は食べ始める。
五人で食べる(入店前にマユとネラは人間形態になった)には少し多めの量を頼んだのだが、ずっと空腹だった人と、健啖家がいるので、あっという間に無くなりかける。
なので、追加注文をして、五人は食べ進めて行った。
……………
…………
……
そうして肉を何度か追加注文する。
最初は牛だったので、鳥、豚、羊など別の肉を頼んで食べる。
そうして、三度目の追加注文の肉を食べていると、ようやっとヴィーの箸のペースが落ちて来た。
それを見計らいオウカは口を開く。
「ヴィー」
「……」
「ヴィー」
「……はっ」
二度程呼びかけ彼女はこちらを向く。
「何ですか。モグモグ」
食べるペースは落ちない。
「単刀直入に聞くぞ。何でここにいる?」
そもそも最終決戦でオウカの仲間・友達は彼の事を忘れたはず。
それに加え、ここは異世界。行くのも一苦労……では済まない。
「それはわたしも気になった」
マユも口を挟んだ。
彼女もそれが気になっていたのだ。
(そういえば……そうよね)
(何故、此処、存在?)
カナタとネラもそれに気づいた。
そんな四人の視線を受け、縮こまるヴィー。
「……」
何も言えなくなる彼女。
……食事のペースは落ちない(笑)。
それにオウカは少し溜息を吐いて、こう言う。
「ヴィー」
「な、なんでしょう?」
「今いくらになったか……聞きたい?」
「う!?」
この焼肉屋、個室なので値段が程々にする。
とは言え、この四人はお金に困っている訳ではないうえ、結構余裕がある人もいるので、特に問題はない。
だが、問題はヴィー。
この状況から恐らく無一文。一銭も持っていないだろう。
「「……」」
無言で視線を向ける四人。
それにヴィーは遂に白状し始める。
「ええと……その……」
「ゆっくりでいいから話せ」
ドリンクバーで持って来たジュースを渡すオウカ。
そんな彼は彼女と最後に会った時を思い起こしていた。
△▲△
オウカが異世界から帰還する前に、仲間・友達の様子を見に行った。
とは言え、全員覚えていないので、遠目で様子を見るだけに留めていた。
だが、一人だけ直接会いに行った人がいた。
それがヴィーだった。
『ここは変わらないな……』
彼女の店の前に立ち呟いたオウカ。
そのまま入店する。
その動機は――武器の購入。
ナイフやドスなどの武器を買って置こうと思ったのだ。
(無いなら無いでいいや。刺身包丁で代用しよう)
とは言え、平和になった世界なので、武器が売っていない可能性の方が高い。
だからダメ元で入店した訳だった。
そうして店の中を見渡す。
すると……
『だ、誰でしょう?』
奥から人が出て来た。
ヴィーことヴィシュヴァカルマン。
そんな彼女にオウカはこう言う。
『客』
『! な、何をお探しですか!』
ちょっとテンションが上がったヴィー。
少し食い気味に聞いて来た。
なので、オウカはとりあえず自分の探している物を言う。
それに彼女は何かを考えるような仕草をして。
『! ちょっと待っててください!』
そう言って奥へ引っ込んだ。
暫くして戻って来た彼女の手には大きな木の箱。
……かなりの重量で、多分数人がかりで持つような代物だろうが、それを一人でしかも、機械等のアシスト無しに軽々と持って来て、オウカの前にドンと置く。
『……それは?』
『昨日まで作っていた作品達です』
そう言って木の箱を開ける。
『!』
それに少し驚いたオウカ。
そこには色々な武器と防具が入っていた。
それらは結構前に、完成はいつでもいいから、と頼んだ物だった。
『……どうして』
『何か作りたくなって作っていたんです』
なんででしょう? と軽く首を捻り笑うヴィー。
そんな彼女にオウカは問う。
『全部貰う』
『え!?』
『いくらだ』
その言葉にヴィーは眼を見開いた。
暫くして言葉を紡ぐ。
『お代はいいです』
『は!?』
『趣味で作ったような物ですし……』
そう言ってオウカに笑う。
『なんででしょう? あなたからお代を取りたくないんです』
『……』
『もしかして、どこかで会ってます? あたし達』
それにオウカは何も言えなくなった。
そして、少しうつむく。
今は顔を見られたくなかった。
『だ、大丈夫ですか?』
それに心配そうに聞いて来たヴィーへオウカはこう言う。
『大丈夫だよ、ヴィー』
『え』
『じゃあこれは貰って行く』
木の箱を異空間――この頃は【アロンダイト】の置き土産が残っている――に仕舞い、それと入れ替わりに金と金目の物を幾らか出しておく。
『これはお代だ』
『あ』
『じゃあな。これだけあれば店続けられるだろう?』
そう言って彼は彼女に背を向けて、店から出る。
『ま、待って、』
背中に声が聞こえたが、扉を閉めて駆けだす。
『待ってください! ……サクさん』
呼ばれた名前に立ち止まりたい衝動に駆られるが、それを堪える。
パルクールをしてまで遠くに離れ、オウカは一息ついた。
◇◆◇◆
(後で確かめたら……頼んでいた物全部あったっけ)
嬉しいと同時に悲しかった。
因みに今はそれらは全部ない。
改竄騒動の際に、全て失った。
(思い出したら、腹立って来た……)
オウカから圧と殺気が漏れ始めた。
それにヴィーが小さく悲鳴を上げる。
「ぴ!?」
「「
それを他の女性陣が止める。
「おっと悪い」
圧と殺気を綺麗に収め、オウカはヴィーに問う。
「それで?」
どうして思い出せたのか? どうしてここにいるのか?
その問いにヴィーはゆっくりと語り始める。
「えっと……、サクさん店に来てくれたじゃないですか」
「ああ」
「逃g……帰った後に何かおかしいと思って……」
あの反応から間違えない。
彼と自分は何か関係がある。
とは言え、思い出せない。
「だからあちこち漁っている時に、この子を見つけました」
そう言って彼女は頭に付けているゴーグルを外して見せる。
一見すれば少し古ぼけたゴーグル。なのだが、独特の雰囲気を持っている。
「それもしかして……」
「そう。冥刀」
カナタの問いに答えたのはマユ。
「【アルハーゼン】。ロリコンの作品」
「変態……、須臾?」
「そう」
ネラの問いに頷いたマユ。
なんとこのゴーグル、アクセサリー職人の須臾叢雅の作品らしい。
「元々アイツの作品は補助が多い」
今オウカが使っている【グウェンゾライ】しかり、オウカとヴィーの共通の友人であるモンセラート然り。
直接攻撃能力は低かったり、皆無だったりする。
「その中でもこれは変わり種」
「どこが?」
あの人の作品は全部変わり種な気がする。
それにマユは答える。
「まず戦闘系じゃない。補正は器用さ特化」
「え!?」
「驚愕……」
それに驚いたのはカナタとネラ。
どうやらあのパワーを冥刀によるものだと思っていたらしい。
それにオウカはジト目でこう言う。
「何を勘違いしていたのかはわかるけど、違うからな」
「「……」」
「マユ」
「ん」
話が戻る。
マユは説明を再開する。
「そして能力は……自分が持つ技術・能力の限界突破」
どんな技術・能力でも伸ばしていけば、いずれは壁に到達する。
だが、この【アルハーゼン】はそれを壊す事が出来る。
「「……」」
それにカナタとネラが沈黙する。
イマイチ、ピンと来ないらしい。
それにオウカがこう言う。
「ゲームでさ、カンストってあるでしょう? レベルの限界。それがなくなるんだぞ?」
「それは凄いわね……」
ゲームをやるカナタが納得した。
【TIPS:超力招来】
(・▽・)<ヴィーの秘咒。簡単に言えば怪力、パワーですね。
(#ー#)<それって鍛えたり、プロテイン飲まずに?
(・▽・)<そうですよ。因みに後天覚醒なので、人を傷つけた事はありません。
(㈩*㈩)<それは何より。……でもこれなら自分で戦った方が良くない?
(・▽・)<戦闘センスゼロなんですよ彼女。それに鍛冶に腕力は必要ですから。