(㈩*㈩)<決戦後、オウカは帰る前に友達や仲間の様子を見に行った。
(㈩*㈩)<どうしているか気になったから。遠目で様子見る位に留めていたけど。
(・▽・)<でしょうね。彼は身内には優しいですし。
(㈩*㈩)<まあ全員会うのは無理だったけど。どこにいるのか分からない人も居たから。
(㈩*㈩)<平和な世界だから皆色々違っていたけど、違わなかったのが数名。
(㈩*㈩)<ヴィーはその一人。店をやっていた。まあ品揃えが変わっていたけど。
(#ー#)<平和な世界で武器売っている奴ヤバイだろう……。
(㈩*㈩)<それもそうだけど。オウカは何か買って行こうという訳で彼女に会った。
(㈩*㈩)<その結果……こうなった。だからこそ別れが辛くなるって
(㈩*㈩)<あの後、すぐに元の世界に戻った。
因みにあくまで【アルハーゼン】は限界値を無くすだけ。
壁にぶつかる程の腕前が無ければ意味をなさない。
凄まじい鍛冶の腕前を持つヴィーだからこそ活かせたのだ。
ネラも納得しかけたが……
(……?)
ある事実に気づく。
それは……
(記憶、取戻、要因、関係)
その冥刀の能力は、ヴィーが記憶を取り戻した理由と、ここにいる理由にならない。
(?)
首を捻ったマユ。
それに知ってか知らずかヴィーは説明を続ける。
「記憶が戻った理由は簡単です」
一拍置いて続ける。
「あたしの記憶をこの中にバックアップしておいたんです」
「「はあ!?」」
全員それに変な声を出してしまった。
さもありなん。
「元々、あの戦いが終わったら何か起こるかもって思いましたから」
そう言いながらヴィーは食べる手を止めない。
「なるほど……。でもさ」
説明を続けたヴィーにオウカは納得しつつも問う。
「
「ああ、それは簡単ですよ」
ヴィーがニッコリ笑って続ける。
「あたしの手を加えてあるので」
「……つまり叢雅の作品判定されなかった訳か?」
「はい。色々改造してあります」
因みに口で言うのは簡単だが、実際にやるのは難しい……というか不可能に近い。
そもそも腕の良い職人ですら、冥刀を弄ったり、改造なんて事はやらない。
修理や補修が精々である。
念話でネラがマユに問いかける。
(難易、度高?)
(当たり前)
例えるなら、高名な画家の絵を色々付け足して、更に価値を上げるような物。
そんな事不可能に近い。
だが……
(ヴィーの鍛冶の腕前がおかしいから)
彼女はそれを平然とやってしまう。
元々凄まじかった鍛冶の腕前が、冥刀のせいで更にエライ事になったのだ。
「つまり、俺が店から逃g……帰った後に、ゴーグル付けて全て思い出した訳か……」
「あ、逃げたって自覚……あるんですね」
「うるせー」
クスクス笑うヴィー。
そのまま彼女は説明を続けていく。
「あの後、奥を漁って、この子を見つけたんです」
ゴーグルには貼り紙がしてあった。
[頭に付けろ!]と。
「怪しいとは思いました。けど自分の字だったので」
そうして全てを思い出したヴィー。
だが、問題はそこからだった。
「それからは色々作ってました」
店には人来ませんし、と自虐するヴィー。
それにマユがふと気になった事を訊ねる。
「それってもしかして……」
「はい。冥刀……というか
断剣、もしくは欠刀。
元々は冥刀の原典である天剣の一部……欠片や断片が使われている冥刀の事を指すが、いつからか、破壊・廃棄された冥刀の一部が使われている刀剣の事を指すようになった。
一部程度では、本来ならそんなチカラは出せないのだが、職人の腕が良かったり、使う素材によっては元の冥刀に匹敵するチカラを発揮できる場合がある。
ヴィーはそれが上手かった。
「そう……。それで?」
「そんな時に、借金の取り立てが来たんです」
「借金?」
疑問に思うカナタに対し、オウカは説明する。
「ヴィーは腕は良いんですけど、接客態度とかに問題があって店には閑古鳥が鳴いてたんです」
「ああ……」
納得したカナタ。
この性格では人は来ない。
「昔はセラがどうにかしたんですけど……」
「一体……?」
ネラの疑問にオウカはニッコリ笑う。
「……聞きたい?」
「……。遠慮」
「賢明だ。……あれ?」
ふとオウカは気になった事が出来たので、訊ねる。
「でもさ、俺結構な金とか、換金できる物置いて行ったよね?」
「はい。それで後少しのはず、だったんですけど……」
ヴィーが顔を伏せる。食べる手も止まる。
その時の事を語り始める。
▼▽▼
『借金の取り立てに来たぜ?』
『え? ああ。もうちょっとで返せます』
『へえ……。返せんのか? 数億』
『はあ!?』
借りたのは数百万だった。
利子でとんでもない事になっている。
『返せなきゃ体を売ってもらうぜ』
その男の取り巻きが自分を取り囲む。
この時に理解した。
こいつらは完済させる気がないのだと。
◇◆◇◆
「屑ね」
「塵以下」
「鬼畜、外道」
カナタ、マユ、ネラがコメントを漏らし、オウカはタイミングをズラしてポツリと呟く。
「セラが豚の餌にしたのに……」
凄い小声で言ったので、幸い誰も聞いていなかった。
ヴィーは説明を続ける。
「もう逃げるしかないって思いまして……」
そのままヴィーは逃げた。
着の身着のまま、自分を捕まえようとした者達を蹴散らして。
因みに借金の取り立てに来た人と、取り巻きはヴィーのパワーを知らず、文字通り蹴散らされた。
「でも逃げた所で行く所なんてないんですよね」
ヴィーが悲しそうに笑う。
「サクさんの友達で面識あった人もいましたけど……」
「ディアンとかリリだな。そもそもお前に会ったきっかけは――セラの紹介だったけど」
「はい、そうですね」
その時の事を思い出して二人で笑い合う。
「……懐かしい」
「昨日の事のように思い出せます」
△▲△
その日、モンセラートには依頼――ターゲットの確保、拷問、後始末――がなかった。
なので、とある場所に行こうと、身支度していた。
それにオウカは訊ねる。
「どこに行くの?」
「修理に出していた武器を取りに行こうと思いまして」
「……ああ」
納得したオウカ。
モンセラートの使う冥刀は須臾叢雅の作品である【ルンペルシュティルツヒェン】。その特性は武器強化
形状は水切根付なので、そのままでは使えず、武器に取り付ける事で使う。
とは言え、一々付け直すのは隙になるので、彼女は闇医者――ディアンに頼む事で、心臓に埋め込んで使っていた。
閑話休題。
だからこそ、何かしらの武器が必要なのである。
そして、強化倍率は武器の性能に依存するからこそ、ヴィーに作成や修理などを依頼していた。
勿論、月ごとにかなりの金額を払い、仕事が頼む度依頼料も支払っている。
「……」
ふとモンセラートは考える。
(良い機会かもしれませんね)
オウカの顔を見てふと思った。
なので、彼にこう言う。
「サク。一緒に行きましょう」
「はい~?」
……
…………
………………
そんな訳で二人がやって来たのはとある店の前。
看板もなくさびれている。
外からでも鉄打ちの音が聞こえる。
(何か良いな……)
そんな事を思っていると、セラは堂々と店に入る。
「入りますよ」
「……失礼します」
オウカも後から入室。
中に入るとそこは様々な金属製品が並んでいた。
剣や槍などの武器もあれば、銃器や大砲のような火器、鎧や盾などもある。
……隅っこの方に鍋やフライパンなどがある。
「へえ……」
オウカはメイド師匠に色々鍛えられているため、そういう目利きも出来る。
なのでわかる。どれもがかなりの一品。
そんなオウカの態度に、モンセラートは我が事のように嬉しそうにする
「凄いでしょう。彼女の腕前は凄いですから♪」
そして、続ける。
「まあ今は作業中なようなので、待ちましょう」
「ん」
特に異論はなかったので、オウカは頷いた。
………………
…………
……
ヴィーが一仕事終えて、出て来たのはお昼過ぎ。
だが、意外と暇ではなかった。
店に並んでいる商品を見ていると、時間が経つのはあっという間だった。
ヴィーはセラに気づくと、彼女に声を掛ける。
「あ、セラさん! 出来てますよ」
「それは何よりです」
ヴィーの視線がオウカへ向く。
「……」
沈黙。
そして
「ぴゃ!」
変な声を出して、店の奥へ引っ込んだ。
それにオウカはどういう事かと、モンセラートに視線を送る。
「……結構人見知りなので」
「ああそういう……」
納得したオウカ。
だが、ずっとそのままという訳には行かないので……
「セラ」
「はあい♪」
モンセラートが店の奥へ入って行く。
「ほら出て来なさい」
「ま、待ってください! こ、心の準備を……」
「彼は大丈夫ですから」
「彼!? お、男の人なんですか!? アレで!?」
失礼な女である。
そうして、モンセラートはヴィーを引きずって戻って来る。
そして、紹介する。
「彼女はヴィー。私の専属職人です」
「へえ……。あ、俺はオウカです」
「は、はじめましゅてぇ」
噛んだ。
でも、指摘はしない。
聞かなかった事にするオウカ。
それに、[よくやった]と、視線を送ってからモンセラートは話を続ける。
「彼には私の助手をして貰っているのですが、良い機会だから紹介しておこうと思いまして」
「そ、そうですか……」
ヴィーがオウカを見る。
背がかなり高いので、オウカを見下ろす形になる。
「な、何か欲しい物とかありますか? セラさんの知り合いなら……」
店の中をぐるりと見渡してこう続ける。
「気に入った物があるなら
「いや、流石にそれは悪い」
「い、いいんです。セラさんにはお世話になりっぱなしなので」
「……じゃあ」
店内を見ていた時に、なんとなくフィーリングが合った物があった。
それを持って来てヴィーに渡す。
「コレを」
ソレはロングナイフ。
これと言ったギミックもないが、頑丈で切れ味が良い。
それを見たヴィーが嬉しそうに笑う。
「あ、この子ですか! 結構上手く出来たからお気に入りなんですよ!」
「そうか」
「じゃあお譲りしますね」
「ありがと」
「サービスで似たようなの幾つか付けときます」
「いいの!?」
「いいんです」
「「何でお前が言うの!?」」
モンセラートのボケにオウカとヴィーのツッコミがハモった。
◇◆◇◆
「懐かしいな」
「はい」
実は、その出会いのまもなく、モンセラートが死んだ。
なのでしんみりしてしまう。
「……アイツわかっていたのかもな」
「そうですね……。勘の鋭い方でしたから」
だからこそ、二人を対面させた面もあるのだろう。
そんな中、マユが訊ねる。
「逃げたのはわかった。どうやってここに来たの?」
「あ、それは簡単です」
続く言葉にオウカ以外が絶句する事になる。
「次元移動が可能な
「「……」」
ネラも半人半刀なので、どういう事なのかわかるのっで、唖然。
ただ一人、オウカだけは口笛を吹いて称賛する。
「~♪ 流石。【アロンダイト】の欠片使った訳か」
「はい。遺ってましたので。でも、使い捨てなのでもう無いんですけどね」
たははと笑ったヴィー。
そんな中で、ネラが再起動し、訊ねる。
「聞事」
「なんでしょう?」
「世界、数多。此処、何見、出来?」
「ここにはあたしが作った作品がありますから、それを目印にして」
そうしてやって来たは良いのだが、問題が発生した。
ほぼ着の身着のままなので、やっていけないという事。
「そうして行き倒れている時に、親切な人達に助けて貰ったんです」
「親切な人達」
▼▽▼
お金がないので、食べ物も買えず、生き倒れたヴィー。
そこへ偶然通りがかったのは……
「おい!? 大丈夫か!?」
「空腹……みたいね」
「乳、尻、太腿、背丈。羨ましい」
聖騎士のような男――サドガサキ=ジョウキチ、ローブで体を隠す女性――ダテ=カンナ、ノースリーブを着た女性エンドウ=イチコの三人。
天ノ角高校の卒業生の幼馴染三人組パーティーだった。
彼らに介抱して貰い、食事を食べさせて貰った。
なので、お礼としてサドガサキのために武器の手入れと修理をおこない、新しい武器を作ったそうだ。
『す、スゲエ。ありがとう! また頼んで良いか!』
『え、あ、は、はい』
『『……』』
はしゃぐサドガサキに白い目を向ける幼馴染女性二人。
そして、彼らから幾らかの路銀を貰い
『こ、こんなに受け取れません……』
『いいからいいから』
それでどうにかオウカの所へ向かった。
◇◆◇◆
「それでどうにか近くまで来たんですけど、途中で生き倒れて……」
「路銀が足りなかった?」
「はい……」
結構あったので、グレードを上げたのが仇となった。
この世界はモンスターがいるので、都市間の移動にも結構金がかかる。
そのせいで、都市に付いたと同時にすっからかんになったそうだ。
【TIPS:断剣と欠刀】
(・▽・)<叢雅一門がテロで全滅してから、冥刀は製作出来なくなったうえ、
(・▽・)<自己修復機能があるとはいえ、破損具合が酷すぎた場合、
(・▽・)<修理すらままならない状況になってしまいました。
(・▽・)<だからこそ開発された苦肉の策です。
(・▽・)<神話とか伝説だと、何かしらを柄の中に入れるというのがありますしね。
(#ー#)<でもそれさ……、良くて
(・▽・)<ええ。その通り。稀に上手く作れる事があるんですけどね。
(・▽・)<でも確実に出来るような人なんて、居ないはず、出て来ないはずでしたが……
(#ー#)<コイツは違うと?
(・▽・)<……ええ。