(・▽・)<私の友人でもある闇医者です。
(・▽・)<元は大病院に勤める超一流の外科医だったんですけど……
(・▽・)<重傷の孤児と軽傷の政治家の患者を助けなきゃならなくなった時、
(・▽・)<上司に政治家を優先しろ、と言われたのに腹を立て
(・▽・)<ぶん殴って、両方同時手術をおこなってから、裏社会にドロップアウトしました。
(#ー#)<じゃあ免許ないのか……。
(・▽・)<ええ。そして、冥刀を手に入れたり、私と出会ったりしてました。
(・▽・)<そしてある時、瀕死のオウカを拾い、助けました。
(#ー#)<そんな出会いだったのか……。
(・▽・)<はい。そして、それから彼を長きにわたってサポートしたんですけど
(・▽・)<特殊な病にかかり、死期を悟り
(・▽・)<サクに最後の処置をおこない絶命したはずでしたが……
(㈩*㈩)<バックアップが遺っていた訳ね。
(・▽・)<はい。
……
…………
………………
「戦うのは良いんだけど……」
「わかってるよ。今ヴィーがメンテ中なんでしょう?」
オウカが見聞きしている事はある程度把握しているディアン。
「だからアタシも
そう言って笑うが、オウカは、否、彼女と親しい者は知っている。
冥刀を使わなくても十分に強い事。
そして、あの世界で生粋の強者は、冥刀が使えなくなった時の事を想定している事を。
(ディアンもヴィーの欠作持っているからな)
オウカは思い返した。
それはディアンのもう一つの武器。
恐らくそれは使ってくるだろう。
「ま、やるだけやるか……」
腰からオウカは
それにディアンが目を細める。
「それがヴィーの?」
「ああ。……知らないのか?」
その言葉にディアンは苦笑。
「全部は知らない。医者を呼ぶ声に起きるまで寝てたから」
ヴィーが来たのは知っているけど、と付け足す。
「そうか」
その言葉に思考する。
(するともう一つの手札は知らない? まあ
油断なく行こうと、オウカは構える。
「そうだよ」
ディアンも構える。
空気が緊張していく。
どちらも動かず相手の出方を伺う中……
「シッ!」
「おっと」
先に動いたのはディアン。
右腕を振るうと同時、糸が五本、オウカへ襲い掛かる。
それに対し、オウカは引かず、間合いを詰めながら避ける。
「そう来たか!」
「退くは老いるぞ、臆せば死ぬぞ」
「違いない」
苦笑しながらディアンは左腕を振るう。
右の糸と挟み撃ちにしようとするが……
「更に踏み込む」
オウカは下がらない。
スピードを更に上げ、ディアンの近く……安全地帯へ飛び込む。
そして、
「さあ中身を出せ。闇医者」
「嫌だよ」
それを糸を張り巡らせて防ぐディアン。
そのまま糸と刃が拮抗する中。
「うん……?」
ディアンがある事に気づいた。
彼女は糸ごしに対象がどういうモノかを確かめる事も可能。
触れているのとほぼ同じ。
その違和感は――剣から。
「ナニコレ」
思わず口に出してしまった。
なぜならそれは……
(弾力がある? いや、意味がわからないんだけど!?)
本来刀身は硬いはずなのだが、妙な感触。
まるでそれは――
「液体金属?」
「ご名答」
ディアンの答えに、オウカは笑った。
●○
「ええと……その……」
「刀や剣って折れるじゃないですか」
「何ですかその眼……。え? 剣じゃなくても、武器は折れる?」
「それはそうですけど……、槍や薙刀なら柄だけでも棒術みたく使えるじゃないですか」
「でも……、剣や刀は圧し折れたら、長さによってはもう武器として使えないじゃないですか」
「だから、それをどうにか出来ないかなって考えまして」
「そして出来たのがこの四つです。……まあ今は二つしか出してませんけど」
「という訳でまずはこの捌號から説明します♪」
「はい? なんですか? ええとカナタさん? でしたよね?」
「え? 銘を付けないのか? ですか?」
「はい。あたしは作った作品達に名前は付けないんです」
「使い手が好きな銘を付ければ良いと思っているので」
「でも、最高欠作には號を付けてますけどね」
「……話がズレました。では戻します」
「そういう訳で折れない刀剣を作ろうと思って試行錯誤してました」
「まず大前提として……硬いっていうのは脆い。ダイアモンドだって壊れます」
「だから硬度を上げるんじゃ駄目だと思って、発想を転換してみました」
「物質の五態って知ってますか? 元々の三態――固体、液体、固体」
「そこに波体――エネルギー体と、霊体もしくは幽体の二つを追加したものです」
「固体は砕けたらお終いですけど、他は違う。だからそれを利用しました」
「この捌號は液体金属……まあ流体金属と言った方が良いかもしれませんが」
「固体の性質を合一させてます。だからこそ壊れず折れない」
「液体は切っても戻る。水溜まりを二つに分けても元に戻るように」
「柔よく剛を制す。衝撃吸収、運動エネルギーの反射、ノックバック無効という機能が付けられました」
「でもまあ欠点もあります。一つ目として切れ味が鈍い。鈍器寸前です」
「切れ味を求めた場合、流動化が落ちちゃうので。この幅がギリギリでした」
「二つ目が重さ。流石に壱號や参號よりは軽いですけど、弐號よりは重い」
「そして三つ目。オウカさん専用という訳じゃないんです」
「他の人も使えます。筋力補助とかすれば常人だって使える」
「……ちょっとそれが心残りです」
「という訳でどうぞ♪ まあ一応オウカさん用ですけど」
「他に使えそうな人……必要な人がいるなら渡しても良いです」
■□■□
ディアンは
(液体と固体の合一化した剣……。こんなの作れるのなんてヴィーしかいない)
ご名答。
因みに今ディアンが使っているのもヴィーの最高欠作である。
それは彼女の髪から作り上げた髪糸である。
……とは言え今はそれを再現した物であるが。
(折るのは……無理か)
正確には、今ある手札で折れない、というだけ。
本気を出せば壊す事は可能。
【クリドゥノ・アイディン】がストックしたチカラを使えば、壊す事も可能だが、今はしない。
今の戦いは冥刀は使わない事にしているのだから。
(ま、使っているけど、これくらいならサクは何も言わないし)
とは言え、今のディアンとその糸は冥刀で構成されているので、使っている事にはなるが。
(まあ別にやりようはある)
ディアンは操る糸の本数を増やす。
それらが包み込むようにオウカに襲い掛かる。
それはまるで鳥籠。しかも狭まっていく。
「!」
今まで引かず前進していたオウカだったが、流石に不味いと、ギリギリ通れる隙間の内にと、大きく飛び上がる。
「狙い通り」
飛び上がったオウカ目がけ鳥籠を形成していた糸が解け、跳ねるように縦横無尽に襲い掛かる。
空中で身動きの取れないオウカになすすべはない……と思われたが
「舐めんな」
剣を振るう。
剛剣により糸を断ち斬り、軌道をズラして避け脱出、どうにか積まれた木箱の上に着地したが……
「っ!?」
木箱が崩れる。
体重で潰れた訳ではない。
見てみると、斬られたような鋭い断面。
つまり……
(アイツいつの間に斬ってやがった!?)
ディアンが前もって断ち切っていたのだろう。
これこそがディアンの真骨頂。
糸による切断、拘束、移動だけでなく、こういった罠まで仕掛けて来る。
そして、そんな隙を見逃すディアンではない。
「シィ!」
「っ!?」
襲い掛かる糸をどうにか斬り避けるオウカ。
だが……
「……チィ」
血が出る左目を抑えるオウカ。
不安定な態勢だったせいで、糸を完全に斬り避ける事が出来なかった。
少し離れた所には、切り取られた眼球が落ちており、その眼は凍っていた。
これこそがディアンの糸の真骨頂。
ただ物を斬るだけでなく、大気すら断ち切る。
そして、それにより生まれる気流と温度変化により、物を凍らせる事も可能。
因みにコレは異能ではなく純然たる技術である。
◇◆◇◆
「何しやがるテメェ」
こういう模擬戦は後に支障が残らないのようなダメージにするのがセオリー。
なのにそれを平然と破るディアンを睨むオウカ。
それに彼女は平然と笑う。
「眼球の移植ぐらいならやってあげる。アタシの腕忘れた?」
「知っている」
ディアンは超凄腕の外科医。
不可能と呼ばれた手術を全てこなして失敗はゼロ。
「でもそれt「それに丁度良かったでしょう?」
ディアンの発言にオウカは言葉が止まる。
「……お前」
「新しい目を手に入れて移植するんでしょう?」
「それは……」
「それにその左目。視えていないでしょう?」
「……」
図星だった。
改竄事件の際、大怪我を負ったオウカ。
実は左目の視力だけは完全に回復しなかった。
とは言え、周りには悟られないようにしていたが……
「……よくわかったな」
「アタシは医者だよ?」
「闇が付くけどな」
茶々を入れた後、オウカは手元の剣に視線をやり思考する。
(やっぱりこの剣だけで突破するのはちときついか)
今は隻腕でパワー不足でバランスも悪い。
思考、思考、思考……決断。
(少し
オウカは決意する。
もう一つの最高欠作を使う事を。
(ぶっつけ本番。どこまでやれるか)
そしてオウカは集中し始めた。
■□■□
ディアンは何かをオウカがして来ようとするのを察する。
(何をすr)
感じたのは悪寒。
糸を使いワイヤーアクションのように飛びのくとほぼ同時、先程までいた場所には刃があった。
「!?」
驚いたディアン。
思わずオウカを見る。
(何をした?)
疑問に思っていると、オウカは腕を振るう動作をする。
それに連動するかのように、投げナイフのような刃が幾つもディアン目がけ飛んで来る。
「いっ!?」
咄嗟に糸を張り巡らせて防いだ。
そんな彼女に対し、オウカは周囲に刃を孔雀の羽のように展開。
そして腕を振るうと、刃が蛇腹剣のようになり、ディアン目がけ襲い掛かる。
それに糸で対抗しながらディアンは思考する。
(何これ? 一体何処から刃を出したの?)
考えながらも攻撃の手は緩めない。
その時、ふと周囲に張り巡らせた糸が異変を探知する。
「……もしかして」
ディアンは咄嗟に近くに糸を網のように張り、盾を作る。
それと同時、刃が出現し、盾と拮抗。
「なるほど」
ディアンはオウカの攻撃の謎に気づいた。
それは……
「気体と固体の同一化した剣……と言う事ね」
それにオウカはフッと笑った。
●○
「マユさん? 何です?」
「え? じゃあこっちは何か? ですか?」
「……ああ、コレの事ですね。コレが漆號です♪」
「え? 武器ですらない? どう使うんだ? ですか?」
「……それもそうですね。ちゃんと説明しないと。オホン」
「捌號が固体と液体の合一化を目指した結果、ああなりました」
「伍號も似た感じですが……今は置いておきます」
「そして、漆號の場合は……固体と気体の合一化を目指しました♪」
「……まあ正確には伍號と捌號は両方の性質が同時に押し出されていますけど」
「漆號と捌號の場合は、性質の行き来が可能という事です♪」
「捌號は普段は気体で目に見えません。金属探知機にも引っかかりません」
「でもちゃんと武器として使えます。しかもですよ!」
「剣だけじゃない。投擲武器、長柄武器、連結武器にもなりますし」
「鎧や盾のようにする事も可能です! それ以外の形にも色々構築可能ですし」
「他にも色々応用が可能です♪ 遠隔操作も出来ますからね♪」
「……流石に銃火器や大砲は無理ですし、羽のようにした所で空は飛べませんけど」
「どうです! 凄いでしょう? え? もはや冥刀の領域に入っている?」
「アハハハ。まだその領域には入れません。だって自我も魂もないですから」
「それに大きな欠点があります」
「簡単ですよ。使い手と融合させなきゃならないんです」
「その処置は……凄まじく痛いです。細胞一つ一つに針が刺されるような痛み」
「サクさん。やりまs」
「即答ですね……。流石」
「え? 痛みで人は死なない? だから大丈夫?」
「死にますからね! 痛みで人は死ぬんです!!」
「……はあ。じゃあ取り敢えず始めましょう。善は急げです」
「はい? なんですか? ネラさん?」
「外科、手術、出来? ですか? 大丈夫です! ブ○ックジャックとス●パードクターKは読みましたので♪」
「……冗談です冗談。ドン引きしないで。ディアンさんと技術交流しているので」
「あたし、ある程度の外科手術なら出来るんですよ?」
……
…………
………………
「ふう。終わり……」
「それにしても麻酔なしで耐えるなんてサクさん凄いですね!」
「え? 体の痛みなら幾らでも耐えられる?」
「……そうですか。……ちょっとサクさん失礼します」
「ぎゅう~~」
「どうです? 柔らかくて暖かいでしょう?」
「え? 手加減覚えたようで何より? うるさいですよ!」
「はい? フフ。……どういたしまして」
【TIPS:ディアンそのⅡ】
(・▽・)<医者ではありますが、その戦闘力は高いです。
(・▽・)<何度か言いましたけど、その冥刀【クリドゥノ・アイディン】
(・▽・)<そのチカラがかなり厄介です。
(・▽・)<そして、それなしでも滅茶苦茶強い。
(㈩*㈩)<相手の技術・経験も再現するからね。
(・▽・)<はい。なので糸なしの徒手空拳でもべらぼうに強いです。
(・▽・)<武器や防具も色々使えます。ですがその真骨頂は
(・▽・)<糸による戦闘です。まあこれについては近い内に。