冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【コソコソ話】
(#ー#)<この物質の五態。実は授業でも習う。属性にも関わるしな。

(㈩*㈩)<固体、液体、気体の三態に波体、霊体の二つ追加か。

(#ー#)<おう。因みに液体は流体、波体はエネルギー体、霊体は幽体とも言う。

(㈩*㈩)<となると、ヴィシュヴァカルマンの作品の残りって……。

(・▽・)<はい。そういう事ですね。

(#ー#)(㈩*㈩)<急に出て来た!?


二百八

 ■□■□

 

 

 種がディアンに割れたがオウカは平然としている。

 

「ああそうだ。だからこういう事も出来るし」

 

 その言葉と同時、オウカの周囲に刃が展開、射出される。

 先程は、投げナイフのようにしていたのだが、今回は針のように細い刃となっている。

 

「なら……」

 

 ディアンは糸の結界だけじゃなく、氷の柱を作り出して、刃を防ぎ切る。

 

(刃の形がさっきよりも細い……。網じゃ無理だった)

 

 そんな事を思っていると、再び悪寒。

 

「!!」

 

 それは自身の第六感、冥刀により蓄積した強者の経験などが鳴らした警鐘。

 咄嗟に糸を周囲に張り結界を作るが……

 

(これだけじゃ……駄目ね)

 

 判断は一瞬。

 嫌な予感が収まらない。

 だからこそ、後ろに飛ぶ。

 それとほぼ同時、刃が幾つも出現し、ディアンがいた場所を串刺しにした。

 

(結界だけじゃふせげなかった……)

 

 そんな事を思っていると……

 

「おいおい。攻撃は終わってねえぞ?」

「……」

 

 そうオウカが言った。

 それにディアンは足を止めずに掛けながら、糸と氷を合わせた攻撃を放つ。

 切り裂く糸と、氷柱による攻撃。

 それらがオウカに襲い掛かり、ぶつかる。

 

(……妙な手応え。防がれた?)

 

 粉塵が晴れると、そこにはオウカは居ない、否、居る。

 

「……そんな事も出来るんだ」

 

 刃が羽のようになり、オウカの体を隠して、糸と氷を防ぎ切っていた。

 そして、刃が花が咲くように広がり、オウカが出て来る。

 

「やっぱり遠距離じゃ埒が明かない」

 

 そう言って、オウカは身を低くする。

 

「やっぱし斬りあいだろう!」

 

 地面を砕くかのように蹴り、間合いを一気に詰める。

 

「させないよ」

 

 ディアンは糸と氷柱で妨害。

 それをオウカは刃を展開させ、それを高速で移動させる事で切り裂きながら迫る。

 

(……そんな事も出来るのか!)

 

 ディアンは下がる。

 糸と氷柱を使いながら。

 勿論、それだけでなく……

 

「……む」

 

 オウカの動きが止まる。

 それは氷柱と氷柱の間に張り巡らせた糸の罠。

 それらがオウカに絡みつき、彼の動きを止めたが……

 

「その程度で俺を止められるかぁ!」

 

 刃が糸と氷柱を切り裂き、拘束を解く。

 遂に、オウカはディアンを自身の間合いへ到達。

 

「ハア!」

「しぃ!」

 

 剣と糸が激突。

 ギリギリと鍔迫り合いがおこなわれた。

 

 そうしながらディアンは思考する。

 

(あの刃はヴィーの作品である事は間違えない)

 

 今までオウカがやって来た事を思い返す。

 

(刃を飛ばす、剣のように振るう、どこからともなく出現させる……)

 

 そして先程の発言に対するオウカの態度から導かれるのは……

 

(この作品はあの剣とは性質が違う)

 

 片手半剣(バスタードソード)は液体と固体の性質が同一化していた。

 液体が剣の形になっており、衝撃に強く、曲げられたとしても、形状記憶の作用で元に戻る。

 柔よく剛を制す事で壊れなくなっている。

 液体は切ったり、吹き飛ばしても、くっつければ元に戻る事を活かした、不壊の剣。

 

(それで、こっちは状態の行き来が可能なのか……)

 

 刃(仮称)は気体と固体を性質が同一化しているのは共通。

 ただし、こちらは性質が行き来している。

 壊れたとしても、気体に戻し、再構成すれば、元通り。

 それどころか応用して奇襲にまで使える。

 気体は壊せない事を活かした、不壊の剣。……剣? まあいいか。

 

(あの鍛冶師(マッドスミス)……何作っているんだか)

 

 思わず心の中で悪態をつく。

 そして、ふと思う。

 

(気体と固体、液体と固体。エネルギーと霊体の作品もありそうだな……)

 

 ご名答。

 

(まあでもサクが持っている可能性は低いかな。持ってるなら多分もう使っている)

 

 オウカは昔から手札を出し惜しみする傾向にある。

 出すとしても、それは弱い順番に出していく。

 

(だったら多分霊体との合一化が先に出ているはずだしね)

 

 とりあえずそう仮定して戦闘を進めると決めるディアン。

 

(こうなると中遠距離はアタシだけの独壇場じゃなくなる)

 

 あの刃は飛ばすどころか、遠隔操作やいきなり出現させる事も出来るよう。

 

(ならある程度の距離で法則を見極めるしかないか……)

 

 ヴィーの作品は何かしらの欠点・欠陥がある。

 そして、刃操作には法則性があるはず。

 この二つを見極めるしかない。

 

「フウ」

 

 息を吐き、指をコキコキと曲げる。

 まるで何かの感触を確かめるように。

 

「行くよ」

「!」

 

 ディアンが腕を振るう。 

 今までは片方だけで、もう片方で防御が出来るようにしていたが、今回は違う。

 全てを攻撃に回す。

 

(攻撃は最大の防御……ってね)

 

 密度を増した攻撃。

 それをオウカは刃を使わずバックステップで避ける。

 そのまま周囲に刃を展開して飛ばす。

 それをディアンは糸を使わないで避けた。

 それは今までより素早い。 

 

(久しぶり使ったけど、鈍ってないね)

 

 ディアンは内心そう呟いた。

 

 彼女が今使ったのは体を糸でマリオネットのように操る事。

 これを使えば、普通ではやれないような攻撃を繰り出したり、糸と自身の攻撃を合わせる事によって攻撃や速度を増す事も可能。

 

(後は……色々確かめる)

 

 一見すれば万能にも見えるあの刃だが、どこか違和感がある。

 

(本当に万能ならもっとエゲつない事が出来るはずなのに)

 

 死角からの攻撃や、意識の隙間への攻撃。

 ……オウカはそういう隙を付くのが上手い。

 

(気体なんだから、吸い込ませて肺を攻撃とかね♪)

 

 なのにオウカはしてこない。

 そういう攻撃は趣味じゃないという理由もあるだろうが……

 

(そこまで自在じゃないのかもしれない)

 

 だからこそ、それを確かめる。

 

「シィイ!!」

「おっと」

 

 糸による攻撃。

 それをオウカは刃を出して防ぐ。

 そうしながらバックステップをして、刃を飛ばす。

 それをディアンは氷柱を盾にして防ぐ。

 あえて糸で防ぐ事はしない。

 それにオウカは先程よりも大きな刃を作りだして、攻撃。

 氷柱を破壊にかかる。

 

(もしかして……?)

 

 その音に、ディアンの脳裏にある仮設が浮かぶ。

 

「確かめよう」

 

 再び氷柱を形成。

 その影から糸で攻撃。

 張り巡らせた糸も動員し、先程の鳥籠のように包み込むようにする。

 

「!」

 

 回避は不可能。

 それにオウカは刃を翼のようにして、体を包み込んで糸を防ぐ。

 攻撃は――してこない。

 

(攻撃と防御は同時に出来ないのか……)

 

 考えてみれば当然。

 リソースが足りない。

 

(次はこれっと)

 

 攻撃が止んだ隙に、氷柱を更に形成。

 自分の全面に展開させ、自身の姿が見えないようにする。

 

「!」

 

 オウカはそれに周囲に刃を展開し、連続して放つ。

 氷が削れる音が響く中……

 

「サク!」

 

 ディアンは声を掛ける。

 

「……あん?」

「アタシの近くに刃を出さないの?」

「……」

 

 オウカの表情が少し変わった……ような気がした。

 

「(図星だね。)出来ないんでしょう?」

 

 ディアンは指摘していく。

 

「出来るなら、死角や間隙に出したり、内部に出したりすればいいのにさ」

「……」

 

 沈黙の肯定。

 だが、少ししてオウカは口を開く。

 

「ああ。そうだよ。見ている所じゃないと出来ないようでな」

 

 万能な力など存在しないのだから。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 オウカはただ認めた訳ではない。

 自身がリスクを負い、相手と相互認識する事により、効果や威力が増大するのを狙ったからこそ、あえて言った。

 

(やっぱり見抜かれるよな)

 

 オウカは嘆息する。

 

「ハア……」

 

 そして思考する。

 

(それともう一つ。投擲の弱さだな)

 

 それはもう一つの問題点。

 投擲する刃の威力は、そこまで強くない事。

 恐らく手で投擲したのとたいして変わりない。

 

(どうにかならないかね……)

 

 糸の攻撃を回避し、防御しながら思考していく。

 そして、ふと右腕に握る片手半剣(バスタードソード)が目をやり……

 

「あ……」

 

 ふとある事を思い付く。

 

(やってみるか……)

 

 思い付きを試してみる。

 剣をしっかり握り……

 

「ハア!」

 

 振るった。

 刃が振るわれた軌跡の形となり、ディアンに迫る。

 威力は先程とは比べ物にならない。

 

「ナニソレ!?」

 

 それにディアンは糸網と氷柱の合わせ技で防ごうとしたが……

 

(無理かも)

 

 直感に従い、回避も選択。

 糸で体を強制的に動かし、飛び上がる。

 それの一瞬後、オウカが放った斬撃刃が糸網と氷柱を突き破った。

 

「あらら……」

 

 恐らく避けなかったら、直撃していた。

 だが、休んでいる暇はない。

 

「おいおい、まだ終わらねえよ」

「い!?」

 

 オウカは振った体勢から斬り上げを放つ。

 それと共に斬撃刃が再び放たれる。

 

「何ソレ!? 新技!?」

 

 再び回避して叫んだディアン。

 それにオウカは答える。

 

「そうさ。思い付きだけどな」 

 

 剣などの切断武器を使う者は、斬撃を放つスキルを取る場合が多い。

 中遠距離をカバーしたり、遠くの敵の牽制にも使えるからだ。

 オウカはかつてはそういうのを持っていたが、今は持っていない。

 だからこその思い付き。

 

「威力が想定外に出たけどな」

「良かったねっと」

 

 ディアンは糸を操り、オウカを絡めとろうとする。

 それをオウカは接近しながら避ける。

 斬撃刃を牽制として放つ。

 

(防ぎきれない。……なら)

 

 斬撃刃の鋭利さは凄まじい。

 防ぎきれないと判断し、ディアンも接近戦を選ぶ。

 

「ハッ!」

「シッ」

 

 互いに交差。

 ディアンが狙ったのは腕。

 腕がなければ剣は振るえない。

 彼女の思惑通り、オウカの右腕が吹っ飛んだ。

 だが、彼は怯まない。

 

「はふぇんふぁふぉ(舐めんなよ)」

 

 剣の柄を口で咥え、ディアンへ突き出す。

 

「!」

 

 糸は間に合わない。

 だからこそ、ディアンは指を突き出した。

 

 結果は……

 オウカの剣がディアンに寸止めされ、ディアンの指がオウカの眼球寸前で止められていた。

 お互い動かない。

 

 暫くして……

 

「サクの方が少し早かったか……」

「ほふぇふぉふぁふぃ(俺の勝ち)」

 

 その言葉にディアンは苦笑。

 そして、オウカにこう言う。

 

「うん。それでいいから……」

 

 糸を走らせ、オウカの腕に巻きつけ、止血する。

 

「大人しくしてね」

「? ふぁんふぇ(何で)?」

「……わからないの? 腕と眼を繋げないと」

「ふぁ……そりゃそうか」

 

 オウカは口から剣を落とした。

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 

 そうして手術となる。

 まずディアンは糸を使い簡易的に手術室を作る。

 無菌状態にしてから、寝ても平気なように敷物を糸で作る。

 そして、まず自分が座り……

 

「はい。そこに寝て」

「おう」

 

 自身の膝にオウカを寝かせるディアン。俗にいう膝枕。

 回収しておいた眼球を出して繋げ直そうとした所で……

 

「じゃあ目かr」

「あ、ちょっと待って」

 

 待ったをかけたオウカ。

 

「?」

「そっちじゃなくて、懐にあるのを繋げてくれ」

 

 その言葉にディアンは糸を器用に使い、懐にあるそれを出す。

 それは容器に入った眼球。

 

「これ? 見た所……特殊な眼って感じ?」

「ああ。つーか知らないのか? 視界とか共有していたのに……」

「半分寝てたから、全部は知らない」

「そか。じゃあ頼む」

「OK、じゃあ麻酔は……」

「要らない。人は痛みで死なない」

 

 死にます。

 

「……死ぬからね? サクは別かもだけど……」

「ハハハ。あ、こっちの眼球も取って置いて。何かに使うかもしれないから」

「ん」

 

 ディアンは糸で容器を開け、そこから眼球を出し、入れ替わるようにオウカの眼をそこに仕舞う。

 そして、手術を開始する。

 糸を使い視神経を繋げていく。

 あっという間に縫合が終わる。

 

「ほい終了。次は腕ね」

「ああ」

 

 そして、腕の縫合が始まる。

 血管、神経、骨、筋肉を糸で繋げていく。

 幸い綺麗に斬ったのですぐに引っ付く。

 

 あっという間に手術を終え、ディアンは息を吐く。

 オウカは試しに右腕を動かしてみると、普通に指が動く。感覚もある。

 

「おお……。流石」

「ふふん。糸は皮膚に馴染むから良いけど、一応包帯巻いて置こうか。ある?」

「ああ。……これだ」

「じゃ巻いたげる」

 

 そういう訳で、ディアンは包帯を左目と右腕に包帯を巻きつけた。




【TIPS:最高欠作・第漆號】
(・▽・)<ヴィーの作品の一つ。不壊を目指した一つ。

(・▽・)<気体と固体を行き来させ、本文通り色んな事が出来ます。

(・▽・)<形状変化、投擲、遠隔操作で遠近万能に対応可能。

(・▽・)<そして、気体状態で飛ばし、固体に変化させての奇襲も可能です。

(㈩*㈩)<でも欠点があるよね。

(・▽・)<はい。まず形態は一つずつしか使えません。

(・▽・)<そして、遠隔操作も色々制限がありますし、

(・▽・)<刃の奇襲に関しては、見える範囲でしか使えません。

(・▽・)<吸い込ませて肺を突き破るなんて出来ません。

(㈩*㈩)<他にも色々ありそうだけど……

(・▽・)<はい。ヴィーが想定していない使い方ですね。

(・▽・)<今回は剣に刃を乗せて飛ばすのを思い付きましたが……

(・▽・)<他にも色々思い付きそうですね。
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