(#ー#)<この物質の五態。実は授業でも習う。属性にも関わるしな。
(㈩*㈩)<固体、液体、気体の三態に波体、霊体の二つ追加か。
(#ー#)<おう。因みに液体は流体、波体はエネルギー体、霊体は幽体とも言う。
(㈩*㈩)<となると、ヴィシュヴァカルマンの作品の残りって……。
(・▽・)<はい。そういう事ですね。
(#ー#)(㈩*㈩)<急に出て来た!?
■□■□
種がディアンに割れたがオウカは平然としている。
「ああそうだ。だからこういう事も出来るし」
その言葉と同時、オウカの周囲に刃が展開、射出される。
先程は、投げナイフのようにしていたのだが、今回は針のように細い刃となっている。
「なら……」
ディアンは糸の結界だけじゃなく、氷の柱を作り出して、刃を防ぎ切る。
(刃の形がさっきよりも細い……。網じゃ無理だった)
そんな事を思っていると、再び悪寒。
「!!」
それは自身の第六感、冥刀により蓄積した強者の経験などが鳴らした警鐘。
咄嗟に糸を周囲に張り結界を作るが……
(これだけじゃ……駄目ね)
判断は一瞬。
嫌な予感が収まらない。
だからこそ、後ろに飛ぶ。
それとほぼ同時、刃が幾つも出現し、ディアンがいた場所を串刺しにした。
(結界だけじゃふせげなかった……)
そんな事を思っていると……
「おいおい。攻撃は終わってねえぞ?」
「……」
そうオウカが言った。
それにディアンは足を止めずに掛けながら、糸と氷を合わせた攻撃を放つ。
切り裂く糸と、氷柱による攻撃。
それらがオウカに襲い掛かり、ぶつかる。
(……妙な手応え。防がれた?)
粉塵が晴れると、そこにはオウカは居ない、否、居る。
「……そんな事も出来るんだ」
刃が羽のようになり、オウカの体を隠して、糸と氷を防ぎ切っていた。
そして、刃が花が咲くように広がり、オウカが出て来る。
「やっぱり遠距離じゃ埒が明かない」
そう言って、オウカは身を低くする。
「やっぱし斬りあいだろう!」
地面を砕くかのように蹴り、間合いを一気に詰める。
「させないよ」
ディアンは糸と氷柱で妨害。
それをオウカは刃を展開させ、それを高速で移動させる事で切り裂きながら迫る。
(……そんな事も出来るのか!)
ディアンは下がる。
糸と氷柱を使いながら。
勿論、それだけでなく……
「……む」
オウカの動きが止まる。
それは氷柱と氷柱の間に張り巡らせた糸の罠。
それらがオウカに絡みつき、彼の動きを止めたが……
「その程度で俺を止められるかぁ!」
刃が糸と氷柱を切り裂き、拘束を解く。
遂に、オウカはディアンを自身の間合いへ到達。
「ハア!」
「しぃ!」
剣と糸が激突。
ギリギリと鍔迫り合いがおこなわれた。
そうしながらディアンは思考する。
(あの刃はヴィーの作品である事は間違えない)
今までオウカがやって来た事を思い返す。
(刃を飛ばす、剣のように振るう、どこからともなく出現させる……)
そして先程の発言に対するオウカの態度から導かれるのは……
(この作品はあの剣とは性質が違う)
液体が剣の形になっており、衝撃に強く、曲げられたとしても、形状記憶の作用で元に戻る。
柔よく剛を制す事で壊れなくなっている。
液体は切ったり、吹き飛ばしても、くっつければ元に戻る事を活かした、不壊の剣。
(それで、こっちは状態の行き来が可能なのか……)
刃(仮称)は気体と固体を性質が同一化しているのは共通。
ただし、こちらは性質が行き来している。
壊れたとしても、気体に戻し、再構成すれば、元通り。
それどころか応用して奇襲にまで使える。
気体は壊せない事を活かした、不壊の剣。……剣? まあいいか。
(あの
思わず心の中で悪態をつく。
そして、ふと思う。
(気体と固体、液体と固体。エネルギーと霊体の作品もありそうだな……)
ご名答。
(まあでもサクが持っている可能性は低いかな。持ってるなら多分もう使っている)
オウカは昔から手札を出し惜しみする傾向にある。
出すとしても、それは弱い順番に出していく。
(だったら多分霊体との合一化が先に出ているはずだしね)
とりあえずそう仮定して戦闘を進めると決めるディアン。
(こうなると中遠距離はアタシだけの独壇場じゃなくなる)
あの刃は飛ばすどころか、遠隔操作やいきなり出現させる事も出来るよう。
(ならある程度の距離で法則を見極めるしかないか……)
ヴィーの作品は何かしらの欠点・欠陥がある。
そして、刃操作には法則性があるはず。
この二つを見極めるしかない。
「フウ」
息を吐き、指をコキコキと曲げる。
まるで何かの感触を確かめるように。
「行くよ」
「!」
ディアンが腕を振るう。
今までは片方だけで、もう片方で防御が出来るようにしていたが、今回は違う。
全てを攻撃に回す。
(攻撃は最大の防御……ってね)
密度を増した攻撃。
それをオウカは刃を使わずバックステップで避ける。
そのまま周囲に刃を展開して飛ばす。
それをディアンは糸を使わないで避けた。
それは今までより素早い。
(久しぶり使ったけど、鈍ってないね)
ディアンは内心そう呟いた。
彼女が今使ったのは体を糸でマリオネットのように操る事。
これを使えば、普通ではやれないような攻撃を繰り出したり、糸と自身の攻撃を合わせる事によって攻撃や速度を増す事も可能。
(後は……色々確かめる)
一見すれば万能にも見えるあの刃だが、どこか違和感がある。
(本当に万能ならもっとエゲつない事が出来るはずなのに)
死角からの攻撃や、意識の隙間への攻撃。
……オウカはそういう隙を付くのが上手い。
(気体なんだから、吸い込ませて肺を攻撃とかね♪)
なのにオウカはしてこない。
そういう攻撃は趣味じゃないという理由もあるだろうが……
(そこまで自在じゃないのかもしれない)
だからこそ、それを確かめる。
「シィイ!!」
「おっと」
糸による攻撃。
それをオウカは刃を出して防ぐ。
そうしながらバックステップをして、刃を飛ばす。
それをディアンは氷柱を盾にして防ぐ。
あえて糸で防ぐ事はしない。
それにオウカは先程よりも大きな刃を作りだして、攻撃。
氷柱を破壊にかかる。
(もしかして……?)
その音に、ディアンの脳裏にある仮設が浮かぶ。
「確かめよう」
再び氷柱を形成。
その影から糸で攻撃。
張り巡らせた糸も動員し、先程の鳥籠のように包み込むようにする。
「!」
回避は不可能。
それにオウカは刃を翼のようにして、体を包み込んで糸を防ぐ。
攻撃は――してこない。
(攻撃と防御は同時に出来ないのか……)
考えてみれば当然。
リソースが足りない。
(次はこれっと)
攻撃が止んだ隙に、氷柱を更に形成。
自分の全面に展開させ、自身の姿が見えないようにする。
「!」
オウカはそれに周囲に刃を展開し、連続して放つ。
氷が削れる音が響く中……
「サク!」
ディアンは声を掛ける。
「……あん?」
「アタシの近くに刃を出さないの?」
「……」
オウカの表情が少し変わった……ような気がした。
「(図星だね。)出来ないんでしょう?」
ディアンは指摘していく。
「出来るなら、死角や間隙に出したり、内部に出したりすればいいのにさ」
「……」
沈黙の肯定。
だが、少ししてオウカは口を開く。
「ああ。そうだよ。見ている所じゃないと出来ないようでな」
万能な力など存在しないのだから。
◇◆◇◆
オウカはただ認めた訳ではない。
自身がリスクを負い、相手と相互認識する事により、効果や威力が増大するのを狙ったからこそ、あえて言った。
(やっぱり見抜かれるよな)
オウカは嘆息する。
「ハア……」
そして思考する。
(それともう一つ。投擲の弱さだな)
それはもう一つの問題点。
投擲する刃の威力は、そこまで強くない事。
恐らく手で投擲したのとたいして変わりない。
(どうにかならないかね……)
糸の攻撃を回避し、防御しながら思考していく。
そして、ふと右腕に握る
「あ……」
ふとある事を思い付く。
(やってみるか……)
思い付きを試してみる。
剣をしっかり握り……
「ハア!」
振るった。
刃が振るわれた軌跡の形となり、ディアンに迫る。
威力は先程とは比べ物にならない。
「ナニソレ!?」
それにディアンは糸網と氷柱の合わせ技で防ごうとしたが……
(無理かも)
直感に従い、回避も選択。
糸で体を強制的に動かし、飛び上がる。
それの一瞬後、オウカが放った斬撃刃が糸網と氷柱を突き破った。
「あらら……」
恐らく避けなかったら、直撃していた。
だが、休んでいる暇はない。
「おいおい、まだ終わらねえよ」
「い!?」
オウカは振った体勢から斬り上げを放つ。
それと共に斬撃刃が再び放たれる。
「何ソレ!? 新技!?」
再び回避して叫んだディアン。
それにオウカは答える。
「そうさ。思い付きだけどな」
剣などの切断武器を使う者は、斬撃を放つスキルを取る場合が多い。
中遠距離をカバーしたり、遠くの敵の牽制にも使えるからだ。
オウカはかつてはそういうのを持っていたが、今は持っていない。
だからこその思い付き。
「威力が想定外に出たけどな」
「良かったねっと」
ディアンは糸を操り、オウカを絡めとろうとする。
それをオウカは接近しながら避ける。
斬撃刃を牽制として放つ。
(防ぎきれない。……なら)
斬撃刃の鋭利さは凄まじい。
防ぎきれないと判断し、ディアンも接近戦を選ぶ。
「ハッ!」
「シッ」
互いに交差。
ディアンが狙ったのは腕。
腕がなければ剣は振るえない。
彼女の思惑通り、オウカの右腕が吹っ飛んだ。
だが、彼は怯まない。
「
剣の柄を口で咥え、ディアンへ突き出す。
「!」
糸は間に合わない。
だからこそ、ディアンは指を突き出した。
結果は……
オウカの剣がディアンに寸止めされ、ディアンの指がオウカの眼球寸前で止められていた。
お互い動かない。
暫くして……
「サクの方が少し早かったか……」
「
その言葉にディアンは苦笑。
そして、オウカにこう言う。
「うん。それでいいから……」
糸を走らせ、オウカの腕に巻きつけ、止血する。
「大人しくしてね」
「?
「……わからないの? 腕と眼を繋げないと」
「ふぁ……そりゃそうか」
オウカは口から剣を落とした。
……
…………
………………
そうして手術となる。
まずディアンは糸を使い簡易的に手術室を作る。
無菌状態にしてから、寝ても平気なように敷物を糸で作る。
そして、まず自分が座り……
「はい。そこに寝て」
「おう」
自身の膝にオウカを寝かせるディアン。俗にいう膝枕。
回収しておいた眼球を出して繋げ直そうとした所で……
「じゃあ目かr」
「あ、ちょっと待って」
待ったをかけたオウカ。
「?」
「そっちじゃなくて、懐にあるのを繋げてくれ」
その言葉にディアンは糸を器用に使い、懐にあるそれを出す。
それは容器に入った眼球。
「これ? 見た所……特殊な眼って感じ?」
「ああ。つーか知らないのか? 視界とか共有していたのに……」
「半分寝てたから、全部は知らない」
「そか。じゃあ頼む」
「OK、じゃあ麻酔は……」
「要らない。人は痛みで死なない」
死にます。
「……死ぬからね? サクは別かもだけど……」
「ハハハ。あ、こっちの眼球も取って置いて。何かに使うかもしれないから」
「ん」
ディアンは糸で容器を開け、そこから眼球を出し、入れ替わるようにオウカの眼をそこに仕舞う。
そして、手術を開始する。
糸を使い視神経を繋げていく。
あっという間に縫合が終わる。
「ほい終了。次は腕ね」
「ああ」
そして、腕の縫合が始まる。
血管、神経、骨、筋肉を糸で繋げていく。
幸い綺麗に斬ったのですぐに引っ付く。
あっという間に手術を終え、ディアンは息を吐く。
オウカは試しに右腕を動かしてみると、普通に指が動く。感覚もある。
「おお……。流石」
「ふふん。糸は皮膚に馴染むから良いけど、一応包帯巻いて置こうか。ある?」
「ああ。……これだ」
「じゃ巻いたげる」
そういう訳で、ディアンは包帯を左目と右腕に包帯を巻きつけた。
【TIPS:最高欠作・第漆號】
(・▽・)<ヴィーの作品の一つ。不壊を目指した一つ。
(・▽・)<気体と固体を行き来させ、本文通り色んな事が出来ます。
(・▽・)<形状変化、投擲、遠隔操作で遠近万能に対応可能。
(・▽・)<そして、気体状態で飛ばし、固体に変化させての奇襲も可能です。
(㈩*㈩)<でも欠点があるよね。
(・▽・)<はい。まず形態は一つずつしか使えません。
(・▽・)<そして、遠隔操作も色々制限がありますし、
(・▽・)<刃の奇襲に関しては、見える範囲でしか使えません。
(・▽・)<吸い込ませて肺を突き破るなんて出来ません。
(㈩*㈩)<他にも色々ありそうだけど……
(・▽・)<はい。ヴィーが想定していない使い方ですね。
(・▽・)<今回は剣に刃を乗せて飛ばすのを思い付きましたが……
(・▽・)<他にも色々思い付きそうですね。