冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

211 / 212
【コソコソ話】
(・▽・)<因みに、内臓抜き取りは偶にやりました♪

(#ー#)<やるなよ……。

(・▽・)<ですが、流石の私でも、他の臓器を傷つけずに

(・▽・)<内臓の抜き取り、縫合、止血は上手く出来ないので。

(・▽・)<主にオウカやディアンが主動してやります。

(㈩*㈩)<サクはその気になればある程度の外科手術できるし。

(・▽・)<ええ。私も手足を素手でもぎ取るくらいは出来るんですけど……

(・▽・)<まあ、この達磨好きに対しては大鉈で手足を落としましたけど♪

(#ー#)<……(笑顔で言う事じゃないよな)……。


②①①

 ………………

 …………

 ……

 

 

 そして次の日。

 外では雀がチュンチュン鳴いている中……

 

「おはよう」

「……おはよ」

 

 二人は目を覚まして挨拶。

 そして、朝の身支度をして、朝食を作る。

 

「昨日は作って貰ったから俺がやる」

「わかった。材料は好きにして良いよ」

「おう」

「……昨日のウチの体みたく」

「例えが悪すぎる!?」

「ウフフ」

 

 そういう訳でオウカは冷蔵庫や棚を覗きメニューを決める。

 

(御飯を炊いている暇はないから、パンを使うか)

 

 朝食は和食派のオウカだが、好き嫌いはないので、偶になら構わない。

 

(パンは少し硬いな……)

 

 見つけたのは食パン。

 

(牛乳、卵、バターはある。……お、生クリームとメイプルシロップもある)

 

 オウカは何を作るか決める。

 

(アレを作るか……)

 

 卵をボールに割り入れ、溶きほぐす。

 そして、牛乳と生クリームを少しずつ入れて卵液を作る。

 そこへパンを入れる。

 欲を言えば卵液にパンを一晩漬けて置きたいが、時間がないので。食パンを薄切りにしてカバー。

 そして、フライパンを熱してバターを入れて、パンを焼いていく。

 暫く焼いて皿に乗せれば……

 

「はい。フレンチトースト」

「わあ……」

 

 朝食が完成。

 とは言え、これだけじゃ物足りないので、切ったハムを混ぜたサラダも作った。

 

「「いただきます」」

 

 二人で食べていく。

 

「……美味しい」

「そりゃあ良かった」

「毎日でも作って欲しいかも」

「……(何か更に雰囲気変わったような?)」

 

 そうして食べ終わると、ヒナタがいち早く立ち上がりこう告げる。

 

「作って貰ったから洗うね」

「わかった」

 

 そうしてヒナタは使った物を下洗いして、食洗器に入れた。

 こうして洗い物を終えると、コーヒーを淹れて持って来た。

 

「はい。朝はブラックが良いんだよね」

「おう」

 

 そうして二人で朝をゆっくり過ごして、コーヒーがなくなった所でオウカは立ち上がる。

 

「じゃあ……俺は行く」

「……どこへ?」

「わからない」

 

 オウカは偶にフラフラ散歩をする癖がある。

 

「暫くは自宅に戻れないから、あちこちフラフラしようと思ってる」

「……」

 

 その言葉に少し寂しそうな顔をするヒナタ。

 そんな彼女にオウカはこう続ける。

 

「別に今生の別れじゃないんだから」

「……うん」

 

 そういう訳でオウカはヒナタの家を出る。

 

「じゃ」

「うん。またね」

 

 オウカは玄関から出ず、窓から飛び出した。

 

 

 ……

 …………

 ………………

 

 ヒナタの家を出たオウカはあちこちをフラフラする。

 偶に出店で買い食いしながらあちこちを歩き回る。

 そうこうしていると、いつの間にか郊外に出てしまう。

 

「……あらま」

 

 今の世界は都市の外は、モンスターがおり、襲われれば常人は死んでしまう。

 それに加え、場所によっては、極寒、灼熱、湿潤、乾燥などの環境が牙を剥く。

 だからこそ、都市間の移動には、特殊な乗り物やモンスターを使ったり、プレイヤーを護衛として雇う事もある。

 なので、場所によっては城塞を築いたり、特殊な結界を張ったり、友好的なモンスターと同盟を結ぶなどをする。

 

「ま、いいか」

 

 なのだが、 危険度はやはりモンスターの生息地やダンジョン化の具合にもよる。

 そのため、結構安全な所も存在する。

 オウカが住んでいる都市の場合、そこまで危険なモンスターは周囲にはいないため、熊が出る山に行く感覚で行ける。

 ……熊を返り討ちに出来る実力があるならほぼ大丈夫。イレギュラーが起こらない限り。

 

「♪~」

 

 自然の中を鼻歌を歌いながら、歩いていく。

 街中を歩くのは楽しいが、自然の中を歩くのも良い。

 森へ入りひたすら歩いていると開けた所に出る。

 

「……おお」

 

 思わず声を漏らしたオウカ。

 

 そこは一面の花畑。様々な花が一面に咲いており、良い匂いがする。

 暫く見惚れてると……

 

「?」

 

 ふと人の気配を感じる。

 なので、そこへ歩いて行くと、そこに居たのは……

 

「クイン……」

 

 オウカの後輩兼友人でもあるネコハ=クインが居た。

 花畑の中にある、花が咲いていない場所に敷物を敷いて、クッションを置き、毛布を掛け、丸まって寝ている。

 

「ZーZーZー……。んん」

 

 クインの目が薄く開いた。

 そして、首を動かし、オウカを見つける。

 

「……」

「よ」

 

 とりあえず手を挙げて挨拶するオウカ。

 それにクインは……

 

「……」

 

 暫し無言。

 そして。

 

「ん」

 

 いつもの挨拶。

 元々彼女は口数が少ない。

 なのだが……

 

「サク」

「うん?」

 

 珍しく言葉を長く紡ぐ。

 

「どうしてここにいるの?」

 

 その疑問にオウカはそのまんま答える。

 

「歩いていたらいつの間にかここにいた」

「……そう」

 

 一応クインは納得してくれた。

 そして、クインは起き上がると、敷物にスペースを開け。

 

「ん」

 

 座れ、と言う事らしい。

 

「いいの?」

「ん」

「じゃあ遠慮なく」

 

 オウカはクインの隣に座った。

 そこへクインは匣――クインは武器用の匣である腕輪と、その他を入れた匣である指輪を使い分けている――から水筒とジャーキーの入った袋を出す。

 そして、その二つをオウカへ差し出す。

 

「ん」

「……良いの?」

「ん」

 

 そういう訳で頂く事にするオウカ。

 まず飲み物を一口。

 冷たいジャスミン茶だった。

 

「ふう……」

 

 人心地ついてから次にジャーキーを齧る。

 

「……!」

 

 無言で遺り齧っていくオウカ。

 スパイシーでかなり美味しい。

 そんな彼を優し気な眼で見守るクイン。

 一つを食べ終え、オウカは感想を言う。

 

「美味しい」

「ん。良かった」

 

 どことなく嬉しそうなクイン。

 それにオウカはとある可能性を思い付き問いかける。

 

「もしかして……?」

「手作り」

「へえ……」

 

 何でも市販の物では物足りなくなって作ってみる事にしたそうだ。

 

「趣味」

 

 それから嵌ったらしく、時間があればこういう保存食を作っているそうだ。

 

「良い趣味だと思うけど」

 

 オウカは人の趣味をどうこう言う事はない。

 

(迷惑をかける趣味じゃなきゃな……)

 

 思えば、あの世界は自分の趣味で迷惑をかける奴ばかりだった。

 そんな事を思い出し、しかめ面になっていると……

 

「ん?」

「え? どうしたかって?」

「ん」

 

 どうやら気になったらしいクイン。

 それにオウカは少し考え……

 

「ちょっと嫌な事を思い出しただけ」

「ん?」

 

 気になったクイン。

 それにオウカはこう続ける。

 

「……楽しい話じゃないぞ?」

「ん。構わない」

 

 そう言ってクインは今度はドライフルーツの入った袋を出して差し出す。

 

「ん。口直し」

「ありがとう。……もしかしてこれも?」

「手作り」

「……何ともはや」

 

 そういう訳でドライフルーツを食べて、ジャスミン茶を飲んでからオウカは話し始める。

 

「ポツポツ話しているけどさ……」

 

 少し間を開ける。

 

「冥刀が生まれた世界って酷かったんだよ」

「……ユウナもそう言っていた」

「だろうな……」

 

 彼女は被害者なので実感がある。

 

「ほとんどの奴が自分の事しか考えていないんだが……」

「ん」

「だからこそ人に迷惑をかけても、それが当然の権利だと思ってる」

 

 ただの迷惑で済むならまだ良い。

 ……本当は良くはないが。

 それを大勢がやった結果、世界が終わりそうになったのだからどうしようもない。

 

「そして、趣味で人を犠牲にする奴も多かったんだ」

「……?」

 

 首を捻り、疑問符を浮かべるクイン。

 どうやらピンと来ないらしい。

 

「例えば……そうだな……」 

 

 具体例を挙げていく。

 

「人を殺す事を楽しむ奴とか」

「ん。友達?」

 

 オウカの脳裏に浮かんだのはコジュウロウとモンセラート。

 どちらも連続殺人鬼(シリアルキラー)。

 

「……」

 

 無言となり、頷きかけたが、首を横に振る。

 

「いや、違う」

「どこが?」

「う~ん……」

 

 否定したオウカ。

 だったが、何が違うかをどう言うか迷う。

 そして。

 

「ああ、そうだ!」

「ん?」

「アイツらは楽しんではない」

 

 コジュウロウにとって殺人は手段。

 最強となるためには、全ての知的生命体を抹殺しなければならないと思って実行した。

 モンセラートにとって殺人は生理現象。

 殺さなければ生きられない。だからこそ実行した。

 

 そう説明するとクインは一言。

 

「殺される側にとってはどうでも良い」

「おっしゃる通りです」

 

 何も反論できないオウカ。

 なので……

 

「オホン。まあその二人の片方は置いておいて……」

「ん?」

 

 その言葉にクインが疑問を示した。

 なのでオウカは続ける。

 

「とは言えセラは途中から方針転換した」

 

 とあるきっかけから無差別を止めた。

 だが、彼女は殺人自体を止める事が出来ない。

 だからこそ

 

「依頼を受けて殺すようになった」

「殺し屋? 暗殺者?」

「違う」

 

 否定してからこう言う。

 

「どっちかと言うと……仕置人が近い」

「近い?」

 

 コクリと頷きオウカは続ける。

 

「ただ殺すだけじゃなくて、拷問をかけて壮絶死させる」

「……」

 

 クインが顔を顰める。

 なので、オウカは続ける。

 

「量より質を取った結果らしい」

「……質?」

「質」

 

 モンセラートは沢山殺すのを辞め、一人~数人をじっくり時間を掛けて殺すようになった。

 

「ま、そんな感じでやっていたのを、俺は手伝っていた」

「ん」

「そんで、そのターゲットが迷惑な趣味をしている奴が多かった」

「……ん?」

 

 クインはあまり喋らない。

 大抵「ん」で済ませてしまう。

 とは言え、付き合いが長ければ何が言いたいのかはわかる。

 今回は「例えば?」と聞いていた。

 

「そうだな……」

 

 そうしてオウカは説明していく。

 

「人間の皮で服を作る奴とか、骨で武器作る奴とか、内臓で楽器作る奴とか……」

「……」

 

 クインは無表情ながらも絶句した。

 そして、問う。

 

「……それで?」

「全員生まれて来た事と、生きている事を後悔させてから、地獄へ送って、跡形もなく消した」

 

 だからこそ、結構キツイ仕事? になる。

 だからこそ、モンセラートの助手は長く続かないのだが、オウカは長く続けていた。

 

(まあ確かにキツイ仕事だよな……)

 

 そんな事を思っていると、クインが問いかけて来る。

 

「ん」

「……何?」

「まともな人は居ないの?」

「居ない」

 

 オウカは断言する。

 

「まともな人とか、優しい奴から狂ったりしていくから」

「友達は?」

「アイツら? ああ……」

 

 クインの一言に何に気になったかが分かったオウカ。

 確かにオウカの友達・仲間は変人ばかりだが、そこまで変な人は居なそう。

 だが……

 

「アイツらもアイツらで結構狂っているよ」

 

 オウカは断言した。

 

「ん~」

 

 クインは自分と交友がある人達を思い出す。

 それはユウナとマリア。

 思えば、二人は一見すればまともだが、狂っている。

 

「ん」

「まあ外道畜生じゃないけど、人を殺すのに躊躇いないから」

 

 それは共通項。

 

「本来、人間ってさ同族を殺すのにためらいがあるんだよ」

「普通は?」

「普通は……な」

 

 殺しが生業の奴らは除くが。

 

「だけど……あの世界は殺さなきゃやって行けない。だから……」

 

 一拍置いて続ける。

 

「躊躇った奴から死んでいく。もしくは……」

 

 顔を顰める。

 

「大事な人を失っていく」

「……」

 

 情けをかけたせいで、逆恨みの報復を喰らった人をオウカは結構見て来た。

 

「だから慣れていくしかない。強いだけじゃ生き残れない」

「適応?」

「……そうだな」

 

 生き残るのは賢い者でもないし、強い者でもない。

 環境に適応できる者だ。

 だが、それでも適応できない人はいる。

 そういう人は殺されるか、自分で命を絶った。

 

「……。サクは?」

「まあ適応出来た。それに……」

「それに?」

「出会う人に恵まれていた」

 

 だからこそオウカはあの世界で生き残れた。

 そんな事を思い返したオウカ。

 少ししんみりしてしまうが……

 

「おっと。話が暗くなったな」

「ん」

「もうこの話は終わり! もっと明るい話をしよう」

「ん。でも……」

 

 クインが訊ねる。

 

「そういう話題ある?」

「……」

 

 沈黙するしかないオウカ。

 実際、この二人多弁ではないので、あまり話す話題がない。

 

「……」

 

 無言になったオウカ。

 

「ん~……」

 

 どうにか話題を捻り出そうとしていく。

 そんな彼にクインはいつもの無表情を少し崩し、微笑んで告げる。

 

「真似しないで」

「してないよ!?」

 

 ツッコミを入れたオウカ。

 そんな彼にクインは少しだけ笑った。

 

 その後、二人はポツポツ雑談しながら、過ごした。




【コソコソ話】
(#ー#)<都市や村によって防衛方法は千差万別だ。上記以外にもある。

(・▽・)<外道なのってあります?

(#ー#)<……表向きはない。

(㈩*㈩)<裏向きは?

(#ー#)<モンスターと同盟って挙げただろ?

(・▽・)(㈩*㈩)<うん。

(#ー#)<生贄とかを差し出している所もあるらしい。

(・▽・)<……でしょうね。

(㈩*㈩)<……やりそうだよね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。