(・▽・)<因みに手紙の内容は……
世話になった。
昨日は結構楽しかった。
朝食は作って置いた。
(・▽・)<こんな感じです♪
(#ー#)<シンプル!?
(㈩*㈩)<短い!?
………………
…………
……
クインの家を出たオウカは歩く。
街の中は早朝なせいでまだ人が少ない。
(さて今日はどうしよう)
そろそろ自宅に戻っても大丈夫だろうが、流石にまだ早い。
帰るにしても夕方だろう。
(何をしよう?)
候補は二つ。
のんびりするか、トレーニングか。
「トレーニングだな……」
決めたオウカ。
早速実行。
そのまま走り始める。
「フッ、フッ、フッ……」
走るオウカ。
風のように駆ける。
暫く走っていると、人が増えて来る。
だが、オウカはそんな事お構いなし。
「うわ!?」
「な、何だ?」
「風?」
気配を薄くし、スピードを上げる。
人と人の間を器用に潜り抜ける。
そうしている間に、再び街を出て郊外に。
(どこまで行こうか?)
とりあえず行ける所まで行こう、と思い彼は更にスピードを上げる。
そうしていると道が斜面になる。
山に入ったようだ。
(こんな所に山があったんだ……)
オウカは案外行動範囲が狭い。
なので、こんな場所は知らなかった。
とりあえず昇っていくオウカ。スピードは緩めない。
更に走っていると、オウカは立ち止まる。
「おお……」
そこには湖があった。水は中々綺麗。
立ち止まったオウカは街で買って置いた飲み物――スポーツドリンク――を飲む。
「……丁度良いかも」
ボソリと呟いたオウカ。
ずっと走っていたので汗をかなりかいた。
さっぱりしたいと思った。
「よし」
水浴びをする事にしたオウカ。
そういう訳で服を脱いでいく。
そして、腕輪型の匣に着替えを仕舞い、足から水に浸かる。
(冷たい……。けどまあ平気)
そうして水の中を歩いていく。
水は浅瀬は足首程の深さだったのだが、少しずつ深くなっていく。
脛、膝、太腿、腰、腹、胸と水に浸かる。
火照った体に水が心地よい。
そう思っていると、遂に水が首に到達。
まだ、水は深くなりそうで、流石にそろそろ歩くのは難しい。
(久しぶりに……泳ぐか)
なので、泳ぐ事にするオウカ。
思えば、泳ぐ事自体かなり久しぶり。皆で遊びに行って以来。
底から足を離し、クロールのようなフォームで泳いでいく。
暫く泳いていると、ある事に気づくオウカ。
(水が浅くなってきた……)
一体何処まで浅くなる、と思いながら泳いでいると向こう岸に到達。
そろそろ歩くか、とオウカは顔を挙げる事にした。
「ぷは」
「あ……」
そこには先客が居た。
悪意、敵意、殺意などがあればオウカは気づいたが、水浴びをしていたのでそういうのはない。
「は?」
「さ、サク……」
そこに居たのは――ハナヤマ=ベニバナ。
当然の如く全裸であり、何も着てらず、お互いの全て丸見えだった。
「……」
「……」
「「……」」
予想もしない状況に、ベニバナは叫ぶのを忘れ、オウカは何も言わず、お互い思考停止状態に陥り沈黙。
全部見てしまう二人。
そんな中で思ったのは……
(芸術品みたいな体してるな……)
(海に行った時みましたけど、やっぱり引き締まってますわね)
(胸あまりないって言っていた挟んだけど、そこまで無い訳じゃないな)
(それにしてもちゃんとした男性ですわね)
(他の面々が若干巨乳なだけだな。うん)
(案外立派な物を持ってますわね)
互いの体の感想。
そうこうしている間に、両者なんとか再起動し……
「ーー(声にならない悲鳴)ーー!」
「!? 悪い」
ベニバナが悲鳴を上げ、オウカは後ろを向き謝った。
そのままのお互い再び黙り込む中……
「さ、サク」
ベニバナから切り出す。
「……何?」
「ど、どうしてここに?」
とりあえず状況把握に努める事にする。
「泳いでいたらここに居た。そっちは?」
「偶に立ち寄る場所ですの」
実はベニバナは結構アウトドア派。
一人キャンプはよくしており、山籠もりしたり、水のある所で泳いだりしている。
オウカもその事は知っていたが、まさか鉢合わせるとは思わなかった。
今度はオウカから話しかける。
「と、とりあえず服着ないか?」
「さ、賛成ですわ」
そういう訳で二人は水からあがり、体を拭き、服を着る。
因みに背中合わせで見ないようにしている。
暫くして……
「もう大丈夫ですわ」
ベニバナの声掛けに振り向くオウカ。
そこにはいつもの袴姿のベニバナが居た。……顔はまだ赤い。
「ええと……どうぞ」
「?」
オウカは顔を差し出す。
ベニバナは首を捻る。
それにオウカは口を開く。
「見ちゃったから、殴る、ビンタ、ひっかくくらいならどうぞ」
そんな彼に言葉にベニバナはキョトンとした後、少し微笑んでから続ける。
「
「でも……」
「してもいいですけど、その場合
「それは……」
「だから忘れてですわ」
それにオウカは頷いた。
「……まあこっちは忘れられないかもですわ」
……小声でベニバナはこう呟いた。
そして話をする事になる。
「……それにしてもこんな場所に居たとは」
「偶に来る場所ですの」
実はベニバナはこういう事をよくしているので、連絡が取りずらい。
「……まあ渡りに船だったかもしれん」
「? 何かありましたの?」
今回の件も未だ知らない。
なのでオウカは説明する。
「――てな訳だ」
「そんな大変な事態になっていたのですわ……」
今回の事態に唖然としたベニバナ。
まずは謝る。
「す、すみませんですわ。そんな事も知らずに呑気に……」
「いやいや、悪いのは相手だから」
当然の事である。
「償いと言ってはなんですけど、
「ありがたい。今回は人手が必要だから」
「……そうなんですの?」
ベニバナの疑問にオウカは説明する。
「敵地突入は少人数で行くんだが……」
一旦言葉を切ったオウカ。
躊躇いがちに告げる。
「何か大規模な事起こしそうなんでな」
「それって前のヒナタさんの件みたく?」
「下手するとアレ以上」
ヒナタの時は、相手は一人だった。……それでも能力のせいで被害は結構出てしまったが。
だが、今回は組織が開いてなうえ、下部組織が結構ある。
「陰陽師組の占いでもそう出ている」
「占い頼りはどうかと思いますけど、結構当たりますからね……」
「だな」
恐らくもっとも有名な陰陽師である安倍晴明は占いの国家公務員である。
「それで? サクは一体何を?」
「家に帰れないからフラフラしてる」
「……浮気がバレたんですの?」
「……違うよ!?」
「今の間は?」
「……」
沈黙するオウカ。
ここ二日の事は言えない。
そんな彼に胡乱な眼を向けていたベニバナだったが……
「まあ、いいですの」
「(良かった!)」
「それで? 帰れないというのは一体……?」
「ああそれな。実は――」
そして、オウカは話す。
自身の武器を作っていた鍛冶師――ヴィシュヴァカルマンがやって来た事。そして、武器を作っている事。他の面々はその補助をしている事を。
それに絶句したベニバナ。
「え? やって来たって……」
オウカの異世界道中は知っているからこその驚き。
「次元移動が可能なアイテムを作ったらしい」
「……凄いですわね」
「ああ。まあ使い捨てで片道だけらしいけど」
「と言う事は……戻れない?」
「ま、戻る気ないらしいけど」
肉親はもう亡くなっており、知り合いもいない。
あの世界に未練はなかったそうだ。
(凄い覚悟ですわね……)
幾ら知り合いが居ないとは言え、慣れ親しんだ場所から離れるのは勇気がいる。
それを躊躇なくおこなうとは……
(ん?)
今何か引っかかったベニバナ。
だが、何かはわからないので、置いておく。
「(まあいいですわ。)それでオウカは何をしてましたの?」
「トレーニング。走って、歩いて、泳いでいた」
「なるほどですわ」
それにベニバナは立ち上がって、オウカの前に来る。
「では一戦しませんか?」
軽くですので、というベニバナ。
それにオウカは口を開く。
「別にいいけど、俺今戦力半減だぞ?」
「そうなんですの?」
「武器をメンテナンス中」
「でしたら、こうしません?」
ベニバナの提案は単純。
能力・術技は使わないで戦おうとの事。
「初めて会った時の事覚えてます?」
「ああ」
あの時は、徒手空拳のインファイトをした。
「そうしませんか?」
最後に物を言うのは己の肉体ですし、とベニバナは言う。
それにオウカは躊躇なく頷いた。
そういう訳で二人は向かい合う。
両者共に素手。武器はない。
「では……」
「ああ」
そして、合図もなく、二人は同時に動く。
拳を振りかぶり……
「はあ!」
「オラァ!」
拳を放った。
拳同士が衝突する。
そして、拳蹴の応酬となる。
お互い攻撃を繰り出し、時に避け、時に防ぐ。
勿論二人共本気ではやらない。
あくまで軽く、軽く、軽く。
本気でやった場合、殺し合いになりかねないからこそ。
そんな中で二人はこう思う。
(やっぱり……)
(スタイルが噛み合うと……)
((楽しい!!))
奇しくもこの二人の徒手空拳での戦闘スタイルは同じ。
投げや関節技を使わない、拳蹴を中心とした喧嘩殺法。
……場合によってはオウカは、投げと関節技は使う事もある。相手を壊す場合や惨殺する場合とか。だが、今回は使わない。
「オラァ!」
「う……」
オウカのヤクザキック――ヤクザ直伝――がベニバナに炸裂!
それを両手を組んでベニバナは防ぐも、衝撃で少し吹っ飛ぶ。
だが、その顔に笑みが浮かぶ。
「お返しですわ!」
「うお!?」
くるりと回るベニバナ。
するといつの間にかその腰には尻尾が生えている。
それでオウカを打ち据える。
だが、それをオウカは先程のベニバナと同じように腕を交差させて防ぎ切った。
「おいおい……」
オウカの顔に浮かぶのは呆れ。
「クロスは使うのか?」
素手での殴り合いと言っていたのに、尻尾が出て来た。
ベニバナのクロスである東洋龍。因みに尻尾を出しただけであり、まだ鱗や角は出ていない、一部だけ出した状態。
それにベニバナはすまし顔で答える。
「尻尾も体の一部ですわ」
「屁理屈!?」
「オーラは使いませんし、オウカも武器を使っても構いませんわ」
「……なら使う」
そういう訳でオウカが出したのはバスタードソード。ヴィーの最高欠作である捌號。
それにベニバナは眼を細める。
「それが鍛冶師さんの?」
「ああ」
「へえ……では」
ベニバナが構えを取り……
「圧し折ってあげますわ!」
一気に間合いを詰めた。
それに迎撃するようオウカは剣をフルスイング。
その剣をベニバナは手で挟み込むように掴み取る。
そのまま圧し折ろうとするも……
「!?」
折れなかった。
というか思わぬ感触に戸惑うベニバナ。
(何ですの!? コレ!?)
普通の刀剣は金属や木製なので硬い。
なのだが、この剣は弾力がある。
彼女が思い起こしたのは金属スライム。
(負けませんわ!)
それでもどうにか圧し折ろうとするがびくともしない。
そして、そんな隙を見逃す程、オウカは甘くない。
「ヴィーを……」
ベニバナの腹部にオウカの指がトンッと軽く触れ……
「舐めんな!」
「ごほ!?」
オウカの拳がベニバナの腹部にめり込んだ。
マリアが零距離の相手によく使うが、そもそもこれを教えたのはオウカ。使えるに決まっている。
「ぐぅううう!?(何と言う威力ですの……)」
ベニバナは凄まじい勢いで吹っ飛ばされるも、どうにか踏ん張る。
だが、そこへ今度はオウカが距離を詰める。
「一旦……寝とけ!」
「かはっ!?」
再びのフルスイング!
しかも捌號が貯め込んでいた力――ベニバナが圧し折ろうとして掛けていた運動エネルギー――を同時解放。
その一撃はベニバナの意識を刈り取る。
だが、彼女はドラゴンでもあるので、一瞬で意識を取り戻すも……
「
「一つの事に専心し過ぎたな」
「ですわね……」
敗北を認めた。
そして、オウカはお暇しようとしたのだが……
「帰りますの?」
「ああ」
「一緒に行っていいですの? ヴィーさんに会ってみたいですわ」
「別にいいけど……」
「では、送って行きますわ」
「お、おう」
こう返事した事を、オウカはすぐに後悔する事になる。
【コソコソ話】
(・▽・)<ベニバナさんが感じた違和感。何だかわかりますか?
(#ー#)<知らん。
(㈩*㈩)<……。
(・▽・)<ちょっとネタバレですが、その作品が使い捨てと言ってますけど……
(・▽・)<一つだけ作ったとは言ってませんよね?
(#ー#)<あ!? じゃあ残りは一体……?
(㈩*㈩)<まさか……。でも……。
(・▽・)<これについては追々。ただヴィーはある賭けをした、とだけ。