(・▽・)<前話で出た二つのダンジョンってヤバイのですか?
(#ー#)<ああ。≪深淵の海≫と≪シーサーの城≫共に難易度は高め。
(#ー#)<挑戦者がかなりの数死んでいる。
(#ー#)<まあ、ただ迷い込んだ場合、生きて戻れる場合も多いんだが、
(#ー#)<攻略しようとすると、話は別。
(㈩*㈩)<迷い込むなんてあるの?
(#ー#)<あるんだ。ほら前の≪トロルの森≫の事件。アレもそうだ。
(㈩*㈩)<あ。
◇◆◇◆
オウカ達は順調に進んでいた。そして……
「チェックポイントはもう少しか」
「長かったですね」
「これで最後やな~」
「増えなきゃな」
「「増えてたまるか!?」」
そんな会話をしていた時だった。
リアが突如足を止める。それにタナカとランコが問いかける。
「リア様?」
「どうしたん?」
「……いえ、何でもないですよ」
微笑みながらそう言うリアだったが、何か様子が変な事にオウカとランコは気づく。
なのでオウカは強硬策を取る。
「おい、ちょっと見せろ」
「おい貴様!」
ランコが止めるが、それを無視して、リアの足の靴と靴下を脱がせる。そこにあったのは大きな靴擦れ。それだけならいいのだが、足首が腫れあがっている。
「……!」
「リア様!?」
「やっぱりな……」
師匠や友人のおかげで、多少の医療知識はあるオウカが見る。
「骨は……罅ぐらいはあるかも。いつ挫いた?」
「……」
「言え」
「……昨日です」
「そういえば、確かに捻っとったな」
実はリアは昨日、山道で足を挫いていた。だが、彼女の得意分野は回復系。だからすぐ治すと思っていた。だが、全く治っていない。
それにオウカはある事を思い出していた。
△▲△
それはオウカが師匠の所で色々学んでいた頃。
彼女は形から入る人だった。普段はメイド服(自分で作った特別製)だが、状況に応じてよく着替える。
彼女の友人であり、オウカとも面識がある、とある人物曰く、
「アレはコスプレ好きなのさ」
との事。
なので、彼女はこの日は教師の服を着て、眼鏡を掛けて、オウカに色々教えていた。
彼女が彼に聞いて来た。
「<スキル>を強力にするのに必要な物ってわかりますか?」
「気合と根性とテクノロジー?」
「違います。それ好きなんですか?」
そう言って黒板に書き出していく。
「まず、コストやリソースを掛ける事」
火に注ぐ油が多ければ多い程、火は燃え上がる。
「次に、制御を捨てる事」
形を整えなければ料理はすぐに出来る。
「最後に、欠点を付ける事」
使う方に制限や縛りがあった方が威力が上がる。
「例えば、ある回復魔法の使い手は、自分には使えないという縛りを付けて、回復魔法の威力を上げてます」
「それ自分が危ないですよね?」
「ええ。でもその分威力が上がったとか」
範囲と速度が上がったそうだ。
そして、これは余談だが、
「……因みに真逆もいます」
「自分以外使えない?」
「はい」
「それはそれでどうかと思いますけど……」
因みに、この自分に使う人は手足位なら再生できたらしい。
◇◆◇◆
師匠の授業を思い出したオウカ。
思い返せば、随分とランコは過保護だった。点と点が線になっていく。そして、オウカはリアへ問いかける。
「リア。お前、回復魔法自分に使えないんだな」
「……」
沈黙するリア。タナカは驚くも信じられないようだった。
「!? いや、そんなアホな事ある訳……」
「ある。師匠曰くあったらしい。ほら、<スキル>強化の三要素」
「あ!」
実はコレ結構有名で、授業でも学ぶ。
そんなリアは、オウカの言葉に、観念したような顔になる。
「はい、そうです」
「リア様!」
「良いのです。もうバレています」
そうして説明を始める。
「わたくしは回復魔法に制限を掛けてます。自分に使えない代わり、他者に使用するる際、その効果が倍増します」
元々、回復しか適性がなかったうえに、それすらも弱かったそうだ。だからこそ、強化する際に欠点を持たせた。
だが、それだけしてもまだ足りないと思った
「そんなある時、偶然手に入れたある<スキル>を使う事d」
「リア様! それは」
ランコが遮る。どうやらトップシークレットらしい。だが、それを無視してリアは話し続ける。
「致命に至らない負傷を癒さず、自然治癒に任せる。その代わりに回復魔法を更に増強させているのです」
《
それがリアが持つ<レアスキル>だった。小さい頃に偶然手に入れたらしい。
絶句する一同。
そんな雰囲気を変えようと、リアは微笑んで言った。
「勿論、それ以外にもメリットはありますよ? 例えば出血多量や臓器不全になりませんし、感染症とは無縁です」
つまりは、出血性ショック、敗血症、サイトカインストーム、破傷風などに罹らない。
だが、逆を返せば、回復魔法を受ける事や、薬により治療が出来ないと言う事。この時代にそれはあまりにもキツい。
オウカはふと思った事を口に出してしまう
「それだけしても部位欠損を習得出来なかったのか……」
その言葉が聞こえてしまったらしく、寂しそうにリアは答える。
「……はい。わたくし元々適性低いので」
「貴様!」
ランコがキレた。
槍を出し、オウカの首元に向けた。
「その暴言許さんぞ!」
「ランコ! 今すぐ槍を降ろしなさい!」
それにリアは止めようとしたが、それをオウカは手で制した。
そして、彼の口から出た言葉は。
「気持ちはわかる。俺も同じ立場だったら躊躇いなくやったと思うし」
リアに対する同意だった。更に続けるオウカ。
「俺も強化するために、色々やったんだ。<冥刀>が手に入らなきゃ。二度目のナノマシンを入れてたし」
「それ死ぬで!?」
タナカの絶叫は最もだった。
実は、《クロス》のナノマシンは二度目以降の注射が可能。なのだが、成功率が極端に下がる。だからこそ、二つ以上のチカラを持つ<クルセイダー>が非常に稀。
「だって諦められないから。お前もそうだろう?」
「はい」
頷くリアにオウカは続ける。
「俺さ、才能を盗られたんだ」
「「は?」」
その言葉にポカンと口を開けるタナカとランコ。
一方、リアは気になった事を訊ねる。
「それはもしかして、《クロス》の事ではなくて?」
「ああ。胎内で。<スロット>や才能、適性、身体性能などを盗られた」
その言葉に、全員の脳裏にある事が過る。
((胎内? つまり盗った相手って……))
その母親か、双子の兄弟姉妹という事になる。そして、この場合は後者の可能性が高い。
今度はタナカが訊ねる。
「双子だったん!?」
「うん。まああんまり似てないけど」
正確には、似てなくしたが、それは言わないで置いた。
次にランコが槍を降ろして訊ねる。
「それは故意にか? 偶然にか?」
「故意に決まってんじゃん」
答えたオウカの口元は、笑っているが、目は全く笑っていない。
まだ自我や精神もはっきりしない、赤子にそんな事は不可能。
つまりは、
((その施術をした奴がいる!))
聞く限り完全アウト。そもそも、<スロット>移植は、生命関連――特に魂魄について詳しくないと出来ない。
「そんで、産まれて、色々あって、家出して、師匠に出会った」
色々は本当に色々。今回は割愛するオウカ。というか話すと色々ヤバイ。そのためか、これを完全に知っている人は、異世界の仲間や友達の中でも五人もいない。
「師匠に言われたんだよ」
あの時の事を、思い出しながら言う。
「〔貴方に才能はない。<プレイヤー>として大成はしないでしょう〕」
世の中には、努力の鬼、才能お化け、得体の知れない人、全部兼ね備えた化物がいる。それらには勝てないだろう。
「でもな、凡人には凡人の維持がある」
「「
心の中で言おうとした事が口に出てしまったタナカ。
それにオウカはケラケラ笑う。
「凡人だぜ? 俺。だって今の強さは全部貰いモノだから」
オウカの凄まじい身体能力、特殊能力、戦闘技術。それらはすべて友達や仲間から貰った〈
「それに、俺は全部自分だけ。誰かのために使えるお前は凄いよ」
それは心からの言葉だった。
オウカの言葉に空気が戻ったが、問題は解決していない。
「それで? どうするん?」
「わたくしはまだ歩k」
「怪我人は黙れ」
偶に厳しくなるオウカ。親しい人なら猶更である。
「いいよ。俺がおぶっていく」
「いえ、そんな迷惑をかける訳には……」
謙遜するリアだが、オウカは譲らない。
「おぶるのが嫌なら、お姫様抱っこ、お米様抱っこ、肩車。どれがいい?」
「「いやそれは違う」」
タナカとリアがツッコミを入れ、
[同意]
マユも頷く。
そんな三人にオウカは苦笑し説明する。
「師匠の訓練で、重い荷物持って登山があるから余裕。三人担いでいく事も出来る」
今はやらないけど、と心の中で付け足す。
そんな彼にリアは躊躇いがちに頷いた。だが、それにランコが否を唱える。
「待て、それなら私が背負う」
「お前も結構無理しているだろう?」
「そんな事は……」
「前も言ったけど、慣れていない所では見えないダメージがあるんだよ」
それでも納得しないランコ。
それにタナカが折衷案を出した。
「まあまあ。じゃあこうしよう」
そういう訳で。
「わたくし、重くないですか?」
オウカにおぶさったリアが訊ねる。
「全然。逆に軽すぎ。ちゃんと食べて……はいたな」
護衛中、同居していたのでわかる。リアが出された食事やおやつを完食していた。因みに、太らないようランコは総カロリーを調整しているうえ、リアも毎日適度な運動をしている。
「ええ、ランコが作る食事やおやつは美味しいですので」
「いえ、まだまだです」
謙遜するランコだったが、口元は緩んでいる。そんな彼女は表情を引き締め告げる。
「いいか、サクヅキ。チェックポイントで交代だ」
「わかってる」
タナカの案は、オウカとランコの二人交代でリアを担ぐ事だった。
因みにタナカは、
「悪いな~。ワイは力ないからな」
膂力的に不可能なので、除外された。元々後衛系なのでしょうがない。
そして、最後のチェックポイントに到達。そこにあるモノリスに魔力を流せば良い。とは言え一人ずつなので、
「じゃ、ワイから」
最初はタナカから。それが終わると、タナカが伸びをする。
「これでクリアや~」
その様子を見てランコが呟く。
「大丈夫そうだな」
「え、何が?」
「いや、もしかしたら罠があると思ってな」
「ワイは実験体!?」
オウカは二人のコントを無視して自分も流す。
「うん。OK」
そう言うとリアに呼びかける。ランコは漫才中なので無視。
「リア」
「あ、はい」
そう言ってモノリスに魔力を流そうとするリアだったが、
「リア様! 私が先にやります。何かあるといけません!」
「え、でも」
「三人やって様子を見ないと」
「俺も実験体?」
オウカの呟きを無視して、ランコはモノリスに魔力を流す。
「異常はなさそうです。どうぞ」
「はい」
そして、リアはモノリスに触れた。
その瞬間、リアが消えた。跡形もなく。
あまりに突然の事に、反応出来ないランコとタナカ。漏れたのは声。
「え……」
「は?」
だが、反応出来た者がいる。オウカだった。
「まさか!」
即座にモノリスに近づく。髪に挿した櫛を抜き、モノリスに近づける。そして、マユに聞く。
[どうだ?]
それと並行して、呆然としている二人にも声を掛ける。
「おい! ボサっとすんな!」
「「!」」
オウカの声に我に返る二人。ランコが当たり一体を探し始め、タナカは緊急事態用の端末を出して連絡。
「リ、リアちゃん!? い、一体どこへ!?」
「えっと、こういう時は……連絡!」
そして、マユはモノリスの鑑定をする。彼女は(一応)刀工であるので、物品の鑑定は得意。何かしらのギミックすら見抜ける。それは別の術理で成り立っているこの世界の技術も可能。
マユが念話で話しかけて来た。
[何か仕込みがある。四人目の人が特定の魔力を流すと、飛ばされるようになっている。しかも隠蔽されている]
[おいおい、〈転移封鎖〉は?]
[わたしにはわからない。でも、何かしら抜け穴があるんじゃないの?]
[抜け穴?]
オウカはこめかみを揉んで考える。だが、今はそれよりもリアの身の安全が第一。なので並行で思考しながら、マユに訊ねる。
[どこに飛ばされたかはわかるか?]
[わたしより、あなたが適任じゃないの]
[え]
[あなたが最初に使った<冥刀>は?]
その言葉に思い出す。【オートクレール】の真の姿を。
「そうだったな」
腰に佩刀している古代剣に触れて頷いた。
【コソコソ話】
(#ー#)<……もしかして
(・▽・)<ええそうですよ。彼は私と違って実の親からの愛を貰えませんでした。
(㈩*㈩)<それどころか、奪われて、閉じ込められた。
(㈩*㈩)<前も書いたけど、育ての親と友人がいなかったら死んでた。
(#ー#)<……さりげなく言ったけど、お前は両親に愛されたんだ。
(・▽・)<はい♪ 私も親、姉妹、友達が生きていた間はおとなしくしてました。
(#ー#)<つまり、死んでから弾けたと?
(・▽・)<……ええ。だってあんな事になったんだから。
(#ー#)<(コイツも色々ありそう)……。
(㈩*㈩)<因みに、わたしはどちらとも言えない。