冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【前書】
(・▽・)<本文中の〈〉と《》。良い機会だから説明します。

(・▽・)<〈〉は術や技系の<スキル>です。

(㈩*㈩)<ポ○モンのわざととくせい?

(・▽・)<それが近いですね。

(#ー#)<色々言いたいが、一番それがわかりやすいんだよな……。

(・▽・)<《》は能力系です。

(・▽・)<《クロス》とか、前述の<レアスキル>とかが該当します。

(㈩*㈩)<後は()()も。

(#ー#)<アレ?


弐拾陸

 ■□■□

 

 

 リアが消えた同時刻。

 その瞬間をキョウコは見ていた。思わず叫ぶ。

 

「やられた!」

 

 その言葉に、教師や<プレイヤー>がキョウコのテントに入って来た。

 

「どうしまs」

「何かあっt」

 

 その言葉を遮るようにキョウコは告げる。

 

「カミヨさんがどこかに飛ばされた!」

「「!」」

 

 全員が驚き硬直。そして、漏れたのは疑問の声。

 

「な、何でカミヨさんが?」

「〈転移封鎖〉は一体?」

「どうすれば……」

 

 そんな彼らにキョウコは手を叩いて正気に戻す。

 そして、彼女は指示を出していく。

 

「実習はただちに終了! 生徒全員に集合場所に集まるように伝えて!」

「え、ですg」

「ですがもへちまもない! 早く」

「あ、はい!」

 

 教師の一人が出て行くのを見届けると、他の面々を見る。

 

「他の人達は生徒の所へ行って!」

「え、でs」

「いいから!」

「せ、せめて理由を……」

 

 一人の教師の言葉に、キョウコは答えようとした時だった。先程とは違う教師がテントに飛び込んで来た。

 

「アシヤ先生! タナカ君から連絡です」

「今出る」

 

 端末を受け取り出る。

 

「そっちはどういう状況?」

[サクヅキはモノリスを探ってて、サクライは辺りを探しています]

「そう。とりあえず君達も待機場所へ行って!」

[わ、わかりました]

「それと、サクヅキ君に代わって!」

[あ、はい]

 

 そうしてオウカが出て来る。なので端的に訊ねる。

 

[代わりました。俺です]

「何かわかった?」

 

 その言葉に一拍置いてオウカは答える。

 

[どうやら何かしらの<アーティファクト>で〈転移封鎖〉から逃れたようです]

「ッ!」

[でも、おそらくは完全には無理。この森のどこかにいます]

 

 それは確実に言える。広範囲・高威力の術を完全に破る事など不可能。

 

「探せる?」

[やれます]

「お願い!」

[はい。ではこっちからもお願いが]

 

 続くオウカの言葉にキョウコは絶句する事になる。

 だが、理由を聞いて納得する。

 

「わかった。じゃあ頑張って」

[はい]

「あ、ちょっと待って!」

[?]

 

 キョウコはにんまりと笑って、間延びした口調にして告げた。

 

「後始末は~、こっちでするから~、派手やっていいよ~」

[わかりました。先生がクビになる勢いでやります!]

「やめて!?」

 

 端末は切れた。

 

(言い過ぎた……)

 

 ちょっと後悔したが、今はそれどころではない。

 

「さあ、皆! 配置について! 後、ワタシが言う人は個別に指示があるから」

「だから理由w」

「これで終わりじゃない。ここから何か――来る」

 

 それはオウカとキョウコの一致した意見。

 ここからが本番だと。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 オウカは端末を切る。そして、タナカに返して彼に指示する。

 

「二人は待機場所へ行け! 俺はリアを連れ戻す」

「場所がわかるん?」

「おおまかに」

 

 リアが消えた理論は、何かしらの<アーティファクト>で〈転移封鎖〉を弱め、その隙に空間を歪ませ、二つの地点をくっつけてリアを移動させた。だからこそ、空間には痕が残る。折り紙に折り目が残るように。

 それをオウカは探知できる。

 

 そして、オウカが〈剣威模倣(ミメーシス)〉から、出したのは――バイクだった。それに跨った時だった。

 ランコが声を掛けて来た。

 

「サクヅキ。私も連れてけ! リアちゃ……リア様を助けないといけない!」

「……」

 

 その言葉に沈黙する。本来はタナカの護衛をして欲しい所。流石に一人にするのは忍びない。だが、ランコはこのままだと勝手に動く可能性がある。

 

(どうする?)

 

 考えるオウカにタナカが声を掛けた。

 

「ワイは一人でもダイジョブや~」

 

 明るく言う。

 

「知っとると思うけど、ワイも結構強いんやで?」

 

 その言葉にオウカは決断した。

 

[マユ。頼む]

[わかった]

 

 相棒に声を掛けて櫛を髪から抜く。そして、行動を開始。

 まずランコに声を掛ける。

 

「わかった。後ろに乗れ」

「あ、ああ!」

「ただし!」

「!」

「勝手な行動はするなよ? したらどうなるかわかるな?」

 

 圧を出すオウカ。それに力強く頷くランコ。そんな彼女にオウカは少しだけ微笑み告げる。

 

「じゃあ乗れ」

 

 次にタナカに櫛――マユを渡す。

 

「お守りだ。持っとけ」

「え、大事なモンやないの?」

「ああ、命より大事だ」

 

 本心のオウカだったが、マユはこう言う。

 

[もしもの時は自分を優先してね]

[わあってる、わあってる]

 

 念話で返し、タナカに強引に受け取らせる。

 

「な、なら受け取れへん」

「でも、お前の命も大事だからな」

「せ、せやけど」

「もしもの時はお前を守ってくれるから」

「わ、わかった」

 

 頷くタナカ。

 そして、バイクのエンジンを吹かす。今回はノーヘルである。

 発車する前にランコとタナカへオウカは言った。

 

「サクライ、しっかり掴まれ。落ちたら死ぬぞ?」

「え」

「タナカ。櫛無くしたら――ブチ殺す」

「怖い事言わんといて!?」

 

 二人のコメントを聞かず、オウカは猛スピードでバイクを走らせた。

 

 

 ■□■□

 

 

 キョウコから特殊な指示を貰った<プレイヤー>の一人――ザンカは目的地目がけて走る。

 身体強化して進むのだが、やはりスタミナや体力が減っていく。そして、ザンカの<スキル>はパワー上昇や攻撃力上昇ばかりを習得している。そのため、スピード特化に比べれば遅い。

 どうにかパワーで突破し、回復の丸薬を噛み砕き、空気抵抗を無視して進む。……衝撃波で周りが荒れ果てている。

 溜息を吐くザンカ。

 

「こんな事になるなら、足を用意すべきだったっす」

 

 魔力を動力源とする車やバイクや、テイムできる<モンスター>etc。

 この時代ならではのモノであり、所持している<プレイヤー>はまあまあいるが、ザンカは持っていなかった。

 そうして、目的地に着く。

 

「ここっすね」

 

 ザンカはスコップを出して、地面を掘る。あっという間に一メートル程堀って目的の物を見つけた。それは魔法陣が刻まれた六角形の石。

 これが六か所に埋まっており、破壊すれば〈転移封鎖〉が解除される。

 

「さーて、壊s」

 

 その時だった。ザンカに悪寒が走る。

 勘の赴くままスコップを振るい、響いたのは金属音。

 

 そこにいたのは色黒のサングラスの男だった。手には長銃を持っている。この長銃、銃身が棍棒のように太く、打撃武器としても使えるようである。スコップと鍔迫り合いを起こす。

 

「おや、中々勘が鋭いようで」

「自慢じゃないっすけど、選択問題は外した事ないっす」

 

 ザンカはパワーで男を押し込もうとするが、彼は上手く間合いを離す。仕切り直しとなる。

 

「こっちも聞いて良いっすか?」

「何でしょう?」

「どっから出て来たっす?」

 

 気配は感じなかった。一体何処にいたのだろう?

 だがそれに男は濁し、逆に問いかけて来た。

 

「さあ? ところで私が敵かは聞かないのですか?」

「え」

 

 その言葉にきょとんとするザンカ。

 そして、告げた。

 

「問答無用で襲い掛かって来る奴は、敵と相場が決まっているっす」

「なるほど」

 

 納得するサングラスの男。

 そして、二人は名乗り合い、

 

「私は≪蟲≫のサブリーダー。カルゴ=エス。貴方が死ぬまで覚えておいてください」

「アタシはクロガネ=ザンカっす。別に覚えなくて良いっすよ」

 

 己のエモノをぶつけ合った。

 

 

 ******

 

 

 タナカは待機場所へ一人で向かっていた。

 オウカから渡された櫛をギュッと握る。そのまま歩いていたが、思わず叫ぶ。

 

「やっぱり寂しいな~。誰か~! おらへんの~!」

 

 そんな様子を見守っていたマユは、流石に可哀そうになってきた。

 

(話しかけるべき?)

 

 だが、自分が話し掛けた事により、オウカに不利益が生じたら困る。

 

(どうしようか……)

 

 そんな事を思っていると、複数の人が近づく気配を感じる。それは、

 

「タナカ君!?」

「ハナオ君……一人で何してるの?」

 

 ジンナだった。班で行動しているので、タナカの恋人である、ヤマダ=タナコもいる。

 それに喜ぶタナカ。

 

「ああ良かった~、人に会えたで~」

 

 そんな彼に恋人は訊ねる。

 

「ウチに会えた事は?」

「嬉しいで~」

 

 喜び合う二人にジンナは訊ねる。

 

「でも何で一人なの?」

「それはな、かくかくしかじか」

「まるまるうまうま。じゃあ一緒に行こう」

 

 そういう訳でタナカはジンナの班に合流する。それにほっとするマユ。

 

(良かった。人形態にならずに済みそう)

 

 そうして進んでいる時。

 初めに気づいたのは班員の男子生徒。

 

「ッ! 敵がいる!」

 

 彼は<クルセイダー>で、《ヴァイオレットクロス〔レーダー〕》を持っていた。彼の場合、周囲の敵を感知する事ができ、自分に敵対するモノなら、隠蔽すらも看破し、広範囲をカバー可能。だからこそ、気づけた。

 

「どこ!?」

「このまま進むとぶつかる」

 

 それにジンナは思考する。そして、決断する。

 

「……迂回しよう」

 

 どんな敵かはわからない。勝てるかも不明。だから避けようとしたが、

 

「気づかれた。近づいて来る!」

 

 遅かった。

 敵は風のように駆ける。そして、真っ先に狙ったのはジンナ。

 

「まず一人ィ」

「ッ!」

 

 元々色々聞いていたジンナ。そのため、実習中は【エスペ・アヴァンチュルーズ】を腰に下げていた。だからこそ対応できた。攻撃を受け止める。

 

「受け止めたねぇ。やるねぇ」

 

 モヒカンに頬に蟷螂の刺青を彫った男。目の状態から<クルセイダー>だと思われる。右手にはカランビットナイフを持っている。

 

「ならこれはぁ?」

 

 左手のカランビットを出し振るわれる。彼は《ブルークロス〔カランビットナイフ〕》の<クルセイダー>。

 それに、ジンナも剣を双剣にして対抗。

 そのまま、斬り合いへとなだれ込む。響き渡る金属音。徐々に押されていくジンナ。

 そこへタナカが火球を放つ。

 

「加勢するで! 喰らえや!」

 

 だが、それは避けられる。そのまま間合いが離れる。

 

 相手の様子を観察するジンナ。これでも強者は色々見てきて、時に鍛えて貰った。だから分かる。相手は強敵。ならばと決断する。

 

「皆! 待機場所へ行って!」

「え!?」

「何言っとるん!?」

「五対一の方が有利だよ!」

「クロガネさんを残して行けないよ」

 

 級友達の言葉に、胸が暖かくなる。だが、気を引き締め続ける。

 

「いい? この人はね、この状況で勝てるって踏んで来たの! このままだと全滅する。だから誰かが殿を引き受けなきゃならない!」

「……でも」

「だから助けを呼んできて」

 

 ジンナは笑う。

 

「大丈夫。ボクは結構強いんだよ?」

 

 その言葉に、四人は躊躇いながらも、待機場所へ向かおうとする。途中。

 

「バフは渡しておく」

「じゃあウチはリジェネを」

「じゃあアイテムを」

 

 班員から色々貰う。

 最後にタナカは、

 

「ワイは……そういうのあらへんから、これ預けるわ」

「櫛? これってオウカ君のだよね?」

「そや。一人で行く際、お守り替わりに貸してくれたんや。……失くしたら殺されるから返してな?」

「殺されるって……。わかった。ボクから返しておく」

「頼んだで」

 

 そうして班員は待機場所へ走る。

 ジンナは櫛を懐に仕舞い、男に向かい合う。

 

「待っててくれたんだ」

「こういうのは邪魔しちゃ駄目だからなぁ」

 

 そして、男は名乗る。

 

「サイズだぁ。短い時間だが宜しくなぁ」

「クロガネ=ジンナ」

 

 

 ******

 

 

 キョウコが向かった所とは逆方向。そこに向かったのは三人組のパーティだった。

 

「全く面倒な事になった」

 

 溜息を吐くのは聖騎士のような男。全身鎧を着ているが、兜はしておらず、イケメンの部類に入る顔を晒している。

 

「楽な仕事だと思ったのにね」

 

 同調したのはローブ姿の女性。声から性別はわかるが、フードもしているため顔はわからない。

 

「人生とは、ままならないものです」

 

 ノースリーブの小柄の女性が呟く。ローブの女性とは真逆で、顔、手、足を晒している。

 

 このパーティーは学外実習のために雇われた<プレイヤー>だった。因みにキョウコの教え子で、この学校の卒業生である幼馴染の三人組。

 だからこそ、<転移封鎖>の解除に動いていた。

 

 進み続ける中、男が言った。

 

「なあ、一ついいか?」

「「何?」」

 

 一拍置いて、叫ぶ。

 

「何でオレがテメエら担いでるんだ!?」

 

 鎧の男が二人をお米様抱っこをして移動していた。

 それにローブの女性が答える。

 

「だって、ワタシは後衛よ? 体力ないに決まってるじゃない」

「まあ、それは百歩譲って許そう。だがな! オマエはオレと同じ前衛だろうが!?」

 

 そのツッコミにノースリーブの女性は平然と答える。よよよと噓泣きすらしている。

 

「貴方は、こんなか弱い女の子を走らせるのですか? 酷い人ですね」

 

 それに二人がツッコミを入れる。

 

「どこがか弱いんだ。こないだ襲いかかって来た奴の顔面を嬉々として潰していただろう?」

「この前は、亀の<ボスモンスター>を殴り壊していたわよね?」

「あーあーあー。聞こえない聞こえない」

 

 幼馴染同士の気の置けない会話。だったのだが、

 

「ッ!」

 

 突如ノースリーブの女性が、お米様抱っこ状態から、くるりと飛び上がり二人の前に出る。そして、迫る攻撃の盾になった。こんな格好ではあるが、タンクも兼ねている。

 その攻撃は、衝撃砲弾とでも言うべき物。一発、二発と耐えるが、砲弾は連発される。このままでは耐え切れない。だが、彼女は一人ではない。

 

 ローブの女性はお米様抱っこ状態で、杖を出して、器用に防御上昇のバフとリジェネをノースリーブの女性に掛ける。

 男は左手に斧を出し、威力の高い斬撃を撃ち、衝撃砲弾を迎撃。だが、威力を減衰させるのが精一杯。

 だが、ノースリーブの女性にとってはこれで十分。防ぎ続けられる。

 そのまま彼女は前進する。そして、視力を強化し、敵――砲撃手を見つけた。

 それはヘッドホンをした厚着の男。身の丈以上の巨大な大砲から、衝撃砲弾を放っている。

 

(弾切れは期待しない方がいいですね)

 

 そうして幼馴染三人組と、ヘッドホン砲撃手の攻防が幕明けた。

 そして、刃と刃がぶつかり合った。




【コソコソ話】
(・▽・)<この三人組パーティ、中堅なんだけど……。

(㈩*㈩)<だけど?

(・▽・)<実は滅茶苦茶強い。本気を出せば高ランク狙えるんです。

(・▽・)<でもある理由から、本気出さないんでこうなってます。

(#ー#)<因みにアシヤは真の実力知ってるから、コイツらに依頼した。

(㈩*㈩)<昔世話になったから、断れなかった?

(#ー#)<それもあるし、依頼と場所から楽そうだと思ったから。

(㈩*㈩)<こんな事態は予想できないか。
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