(㈩*㈩)<今回は良い機会だから<冥刀>の銘――表について。
(㈩*㈩)<ほとんどが、神話や伝説の武器の名前がついている。
(㈩*㈩)<まあ「~の剣」とかの場合、神や英雄の名前や異名が付いている事もある。
(・▽・)<アレ? 私の【■■■■■■■■■■■■■】は?
(㈩*㈩)<ソレは例外。こういう例外もある。
(㈩*㈩)<今日出て来る六徳叢雅の作品も例外。
(㈩*㈩)<という訳で後書に続く。
(#ー#)<続くんだ……。
++++
ハーミットが押したスイッチにより流れたのはオーケストラ。各地にその音楽が流れる。
それを、聞いた≪蟲≫の表情が変わる。
「おや?」
「うん?」
「え」
「驚愕」
「……ッ!?」
「やっとかぁ」
そして、武器を振るう者はエモノ仕舞う。そして、リーダー以外が出したのは――奇妙な剣だった。
それが<冥刀>だと気づいた者はいた。だが、その本質に気づいた者は二人しかいなかった。
オウカの眼が見開かれる。
「それは!?」
マユの表情が驚きに染まる。
[嘘でしょう!? 六徳の作品!?]
それは奇しくも全員同じ形をしていた。
短剣と言うには長く、長剣と言うには短い、微妙な長さをしている。
刀身は幅が広く、溝があちこちにある鍵のような両刃剣。ただし、色が全員違っており、柄頭には、その色に近い宝石が埋め込まれていた。
何より特徴的なのは――刀身には何かしらの蟲が描かれていた。それは彼らが付けていた蟲の意匠だった。
そして、
「「刃金の誓い、今此処に!」」
詠唱が始まった。
カルゴは唱える。
「進め、進め、果てまでも。辿り付いたら、裏へ行け」
「そこには未だ見ぬ知れぬ、広い世界が広がっている」
エンマンドウはかく語る。
「翅は動かず、飛べずとも、我が刃はまだ折れない」
「顎は削る、脚は駆ける、殻は破れず」
ファンは歌う。
「光、輝き、光、煌く。光、形、不定」
「光、矛、刃。光、盾、鎧」
ネラは謳う。
「
「
フタオが喋る。
「咆哮を、絶叫を、響かせろ」
「天を割り、地を割り、海を割り」
サイズは宣言する。
「姿、音、匂い、熱」
「見えず、聞こえず、匂わず、感じない」
そして、
「「光へ堕ちろ、闇を照らせ!!」」
詠唱が完了。
「「
重なる。
「《
「《
「《
「《
「《
「《
そして、顕れたのは機械の蟲達。
カタツムリ、ハンミョウ、サソリ、アリ、コオロギ、カマキリ。
色は裏銘で付く宝石の色をしており、どれもが大きく、バスやダンプカー並のサイズがある。
その蟲から、トラクタービームが発射され、使い手達は愛機に搭乗する。
「ここからが本番です」
「行くぞ」
「やったるし」
「反撃、開始」
「……」
「殺してやるぜぇ。どう死にたい?」
ここからが本番だった。
■□■□
ジンナは一人(味方が掛けてくれたバフは残っている)でサイズと渡り合っていた。
そして、サイズが抜錨して、遊びを放棄した結果、すぐに倒される……はずだった。だが、彼女はまだ生きていた。立っていて、戦っていた。それどころか、互角に渡り合っていた。
ジンナは【エスペ・アヴァンチュルーズ】を、双剣にして舞うように振るう。襲い掛かる【エンプーサ】の鎌を打ち払う。
それにサイズは疑問に思う。
(何でだぁ? 何でコイツを切り裂けねぇ?)
鎌による連撃。だが、それらは、
「ハア! フウ!」
すべて、打ち払われた。
はっきり言おう。普通なら不可能であろう。『六徳叢雅』の作品で、抜錨して召喚する機体は、どれもスペックはそれ相応にある。
なのに、それをジンナは打ち払う。それには四つのトリックがあった。
一つ目。【エスペ・アヴァンチュルーズ】のチカラ。
連撃による強化であり、剣を振るえば振るう程、攻撃が重く、鋭く、速くなる。
二つ目。ジンナはそれを上手く隠していた。
実はオウカとの模擬戦の後、とある提案をされていた。
「ねえジンナ。そのチカラを隠せない?」
「うん? どういう事?」
「その連撃強化は確かに強力だよ。でも相手にすぐに気づかれる」
「……うん。それは確かに」
「だからさ、振るう力を調節して振るって能力を秘する。そんで、チャンスになったら……一気に決める」
それは、確かに良い案ではある。
「でも、それは難しくないか? 出来るかな?」
「出来る出来ないじゃない――やるんだよ!」
「え~」
そういう訳で、オウカやザンカ、更に、ランコやカナタにまで付き合って貰い、どうにかその技術を習得した。
だからこそ、サイズにはそのチカラがバレなかった。
三つ目。新たに習得した<スキル>。
ジンナは<スロット>を、補正系、斬撃系、思考加速、身体強化など、オーソドックスなモノで埋めていた。そして、手に入れた<冥刀>のおかげで<スロット>が増えた。だからこそ、新しい<スキル>をどうするか迷っていた。そんな時、
「ジンナちゃーん、お土産っす」
ザンカから貰った。とある<スキル>、その効果を見て、すぐさま覚えた。それは自分にぴったりだった。
《ソードダンス・ブレイドマカブル》
〈
その上昇率が比ではなく、他の条件でも上昇する。ただし、「ダンス・マカブル」の元ネタになぞらえているのか、二刀流の近接武器でないと使えないという制限があった。
ジンナは基本戦闘スタイルは二刀流。だからこそ、上手く使いこなしていた。
四つ目。これは本人も気づいていない事。マユがバフを掛けていた。気づかれないよう、わからないよう。本来なら時間経過で消えるバフを強化させ、持続させていた。
そして、ついに――
「ハァアアア!」
右手の剣の一撃が、巨大カマキリを吹っ飛ばした。
<スキル>に加え、瞬間的にマユがバフを載せた一撃。その威力は凄まじく巨大カマキリを吹っ飛ばす。
吹っ飛んだ巨大カマキリは地面を転がり、木や岩にぶつかりながら、ようやく止まる。
(まだ形は残っている。油断はしない)
双剣を構えるジンナ。それに答えるかのように、声が聞こえた。
「ああ、しくじったなぁ」
ひっくり返った巨大カマキリが起き上がる。だが、その体は凹みや傷があちらこちらにあり、辛うじて動いている状態。後脚の一本はあらぬ方向に曲がり、左前脚の鎌に至っては折れていた。
実は【エンプーサ】は脆い。ソフトインセクトであるカマキリを元にしたためか、防御力は低い。
だが、まだ動きはする。サイズはいつもより動作が下がった【エンプーサ】を動かしながら続ける。
「お前の武器、<冥刀>だなぁ。時間経過での攻撃力上昇効果があるだろう?」
答えると思っていないのか、更に続ける。
「それに<スキル>でそれを更に強化と言った所だなぁ」
サイズは遊びは入れるが、馬鹿ではない。だから気づいた。
「しかも、オレと直接打ち合っている時は隠してたなぁ、このアマァ」
(気づかれたか……)
ジンナは内心しかめっ面になるが、表情に出さない。
「まあいぃ。これはぁ、オレのミスだぁ」
だからこそ、
「本気で行くぜぇ」
その言葉と同時、巨大カマキリが一気に増えた。
ジンナの顔が驚愕に歪む。
「分身!?」
巨大カマキリは数十体にもなり、ジンナを取り囲む。
取り乱しかける彼女の脳裏に声が響く。
[落ち着いて。アレは幻像]
「え、d」
[声に出さないで。わたしは]
何と言おうか迷うマユだったが、とある言葉を選び念話で伝えた。
[サクヅキ=オウカの相棒。名前はマユ。正体が知りたいなら後で]
[わ、わかった]
彼なら何でもありだと、落ち着いてくれた。そんな彼女に続ける。
[あのカマキリ――【エンプーサ】は戦闘専門じゃないの]
[アレで!?]
実のところ、【エンプーサ】のスペックは低い。パワーとスピードはそこまででもなく、防御力はソフトインセクトなので論外。実のところ、≪蟲≫の機体でワースト二位である。……まあワースト一位よりはマシだが。
[アレの用途は幻像を使った攪乱と……避けて!]
説明が途中で注意になる。その言葉に飛び退くジンナ。だが、完全に避けきれず、背中に痛みが走る。どうにか血が出るだけで済ませた。
「ッ! (自分だけじゃ避けれなかった)」
後ろを振り向くと、そこには血が付いた鎌が浮いていた。血振りをするとまた見えなくなる。
マユは説明を再開した。
[アレの本質は暗殺。幻像による分身と、ステルス]
[ヤバイ。何より、ここから離れられて隠れられたら更に不味い]
ここで仕留めなければならないと決意するジンナ。そんな彼女にサイズは言う。
「やるねぇ。さあここからだぁ」
[マユさん。手を貸して。コイツは逃がしたら不味い]
[当然そのためにここにいる]
ここからが本番だった。
そして、戦いは佳境に差し掛かる。
サイズは、ステルスと幻像を使用し、ジンナを攻撃する。
ジンナはそれを迎撃。だが、姉とは違いそこまで勘が鋭くないので、攻撃は当たってしまう。ただ、直撃は避けているので、致命傷は避けていた。
ジンナはボロボロだった。隙を見てどうにか回復しているのと、仲間が掛けたリジェネが残っている事で持ちこたえていた。そして、何よりマユのサポートが有り難い。
だんだんじれったくなってくるサイズ。
(中々、直撃しねえなぁ)
鎌が一本になってしまったうえ、機動力が落ちたのも痛い。
(このアマァ、どことなく余裕があるぅ。眼の光が消えねぇ。まだ何かぁ?)
そして、ある事に気づく。
(こいつ、ステータス上がってるぅ?)
それは正解だった。
《ソードダンス・ブレイドマカブル》のステータス上昇は、戦闘継続だけでない。体力や気力の減少、対象が格上の場合、対象が邪悪な場合なども対象となる。
今は全部、当て嵌っていた。
そして、遂に、ジンナは攻撃を薄皮一枚で防ぎ、カウンターを繰り出す!
[そこ!]
「ここだ!」
バフを積んだ突きは脚を圧し折る。そのまま転がるように離れるジンナ。
【エンプーサ】は崩れるが、どうにか残る脚で体を支える。倒れずには済むが、ステルスと幻像が解除されてしまう。
それにジンナは笑う。
「やっと当たった……。これで動けまい」
「……だなぁ」
サイズは肯定。そのまま思考する。
(どうすっかねぇ。もう降りて戦うか)
その時、ジンナが有り得ない行動に出た。
彼女は機体へと近づき、鎌の射程内に入った。そして、双剣を一本の剣にして、告げる。
「サイズ……と言ったな。まだ何かあるんだろう?」
そして構える。
「出してみろ。どっちの切り札が強いか勝負だ」
ジンナの言葉は、自分の有利を捨てるかのような宣言。
それにサイズは驚くも、どうにか平静さを保ち訊ねる。
「……テメェ、どういうつもりだぁ?」
「アナタが最初から本気だったらコッチは全員死んでた。でもアナタはそうしなかった」
そう言って苦笑する。
「それは、遊んでいただけかもしれない。でもそのおかげでボクも益があった」
この戦いでジンナは、マユのサポートで遂に切り札を掴み取った!
「だから――来い」
サイズはそれを聞いて大笑いする。
「ハハハハハハ!! その決断、後悔すんじゃねえぞぉ!」
巨大カマキリの残された鎌にエネルギーが集まっていく。空間が歪む。
それに対し、両刃剣に見た所変化はない。まるで凪の海のよう。
そして、
「「
お互いの深奥が放たれる!
【エンプーサ】の畢竟は〈絶対切断〉。
使用の際はステルスと幻像は一切使えない。そのエネルギー全てを鎌の刃に収束させて放つ一撃。例えるなら絵を描く時に、絵具を重ねすぎると画材に穴が空くアレ。
【エスペ・アヴァンチュルーズ】の畢竟は〈一刀両断〉。
一本状態でのみ発動可能。双剣状態で与えた全ダメージを加算、それにプラスして、上昇した全ステータス合計値を攻撃力にして与える一撃。ただし、これを使うとステータス上昇はリセットされる。
「オラよぉ!」
振り下ろされる鎌の一撃。それをジンナは見極め、
「ハア!」
パリィした! 鎌が消し飛び、巨大カマキリの頭部すら粉砕!
それに胴体部に搭乗していたサイズは苦笑する。そして、巨大カマキリの中から、出て来る。そして、《クロス》を解除し、両手を上げる。
「負けたぜぇ。あーあこんな事なら、遊ぶんじゃなかったぜ」
その言葉にジンナは苦笑した。
【後書】
(#ー#)<……。
(㈩*㈩)<これが『六徳叢雅』の作品。
(#ー#)<どこが剣だ!? つーかこの形にする意味ねえだろう!?
(・▽・)<皆そう言いますよね。
(㈩*㈩)<うん。でも強力さはお墨付き。
(㈩*㈩)<因みに、待機形態も普通に武器として使える。
(#ー#)<……使えなかったら、訴訟レベルだろ。
【コソコソ話】
(㈩*㈩)<六徳の作品の場合、銘方法も変わってる。
(㈩*㈩)<神話や伝説の怪物や神から取る場合と
(㈩*㈩)<「~カブト」とか。「~ハンミョウ」の「~」から取る場合がある。
(・▽・)<と言うと?
(㈩*㈩)<さっきの二つで例えるなら、「アトラスオオカブト」だったら、【アトラス】、「オオエンマハンミョウ」なら【ヤムラージ】みたいに。
(・▽・)<納得です♪
(㈩*㈩)<なら良かった。まあ若干苦しいのもあるけど。
(#ー#)<どういう意味だよ……。