冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【コソコソ話】
(㈩*㈩)<今回は良い機会だから<冥刀>の銘――表について。

(㈩*㈩)<ほとんどが、神話や伝説の武器の名前がついている。

(㈩*㈩)<まあ「~の剣」とかの場合、神や英雄の名前や異名が付いている事もある。

(・▽・)<アレ? 私の【■■■■■■■■■■■■■】は?

(㈩*㈩)<ソレは例外。こういう例外もある。

(㈩*㈩)<今日出て来る六徳叢雅の作品も例外。

(㈩*㈩)<という訳で後書に続く。

(#ー#)<続くんだ……。


弐拾捌

 ++++

 

 

 ハーミットが押したスイッチにより流れたのはオーケストラ。各地にその音楽が流れる。

 それを、聞いた≪蟲≫の表情が変わる。

 

「おや?」

「うん?」

「え」

「驚愕」

「……ッ!?」

「やっとかぁ」

 

 そして、武器を振るう者はエモノ仕舞う。そして、リーダー以外が出したのは――奇妙な剣だった。

 

 それが<冥刀>だと気づいた者はいた。だが、その本質に気づいた者は二人しかいなかった。

 

 オウカの眼が見開かれる。

 

「それは!?」

 

 マユの表情が驚きに染まる。

 

[嘘でしょう!? 六徳の作品!?]

 

 それは奇しくも全員同じ形をしていた。

 短剣と言うには長く、長剣と言うには短い、微妙な長さをしている。

 刀身は幅が広く、溝があちこちにある鍵のような両刃剣。ただし、色が全員違っており、柄頭には、その色に近い宝石が埋め込まれていた。

 何より特徴的なのは――刀身には何かしらの蟲が描かれていた。それは彼らが付けていた蟲の意匠だった。

 

 そして、

 

「「刃金の誓い、今此処に!」」

 

 詠唱が始まった。

 

 カルゴは唱える。

 

「進め、進め、果てまでも。辿り付いたら、裏へ行け」

 

「そこには未だ見ぬ知れぬ、広い世界が広がっている」

 

 エンマンドウはかく語る。

 

「翅は動かず、飛べずとも、我が刃はまだ折れない」

 

「顎は削る、脚は駆ける、殻は破れず」

 

 ファンは歌う。

 

「光、輝き、光、煌く。光、形、不定」

 

「光、矛、刃。光、盾、鎧」

 

 ネラは謳う。

 

増加(増えろ)増加(増えろ)満地(地を満たせ)

 

満杯(満たせ)満杯(満たせ)閉天(天を閉じろ)

 

 フタオが喋る。

 

「咆哮を、絶叫を、響かせろ」

 

「天を割り、地を割り、海を割り」

 

 サイズは宣言する。

 

「姿、音、匂い、熱」

 

「見えず、聞こえず、匂わず、感じない」

 

 そして、

 

「「光へ堕ちろ、闇を照らせ!!」」

 

 詠唱が完了。

 

「「剣轟抜錨(デュナミス)」」

 

 重なる。

 

「《深裏蠢潜殻・藍銅鉱蝸牛(アズライト・ル・カルコル)》」

「《大皇帝閻魔・黒曜石斑猫(オプシディアン・ヤムラージ)》」

「《輝矛煌盾・黄鉄鉱蠍(パイライト・セルケト)》」

「《多重偏在講・紅縞瑪瑙蟻(サードニクス・アスカトル)

「《大動震世界・風信子蟋蟀(ジルコン・ディオスクロイ)》」

「《幻光虚像鎌刃・蒸着水晶蟷螂(オーロラオーラ・エンプーサ)》」

 

 そして、顕れたのは機械の蟲達。

 

 カタツムリ、ハンミョウ、サソリ、アリ、コオロギ、カマキリ。

 

 色は裏銘で付く宝石の色をしており、どれもが大きく、バスやダンプカー並のサイズがある。

 その蟲から、トラクタービームが発射され、使い手達は愛機に搭乗する。

 

「ここからが本番です」

「行くぞ」

「やったるし」

「反撃、開始」

「……」

「殺してやるぜぇ。どう死にたい?」

 

 ここからが本番だった。

 

 

 ■□■□

 

 

 ジンナは一人(味方が掛けてくれたバフは残っている)でサイズと渡り合っていた。

 そして、サイズが抜錨して、遊びを放棄した結果、すぐに倒される……はずだった。だが、彼女はまだ生きていた。立っていて、戦っていた。それどころか、互角に渡り合っていた。

 

 ジンナは【エスペ・アヴァンチュルーズ】を、双剣にして舞うように振るう。襲い掛かる【エンプーサ】の鎌を打ち払う。

 それにサイズは疑問に思う。

 

(何でだぁ? 何でコイツを切り裂けねぇ?)

 

 鎌による連撃。だが、それらは、

 

「ハア! フウ!」

 

 すべて、打ち払われた。

 

 はっきり言おう。普通なら不可能であろう。『六徳叢雅』の作品で、抜錨して召喚する機体は、どれもスペックはそれ相応にある。

 なのに、それをジンナは打ち払う。それには四つのトリックがあった。

 

 一つ目。【エスペ・アヴァンチュルーズ】のチカラ。

 連撃による強化であり、剣を振るえば振るう程、攻撃が重く、鋭く、速くなる。

 

 二つ目。ジンナはそれを上手く隠していた。

 実はオウカとの模擬戦の後、とある提案をされていた。

 

「ねえジンナ。そのチカラを隠せない?」

「うん? どういう事?」

「その連撃強化は確かに強力だよ。でも相手にすぐに気づかれる」

「……うん。それは確かに」

「だからさ、振るう力を調節して振るって能力を秘する。そんで、チャンスになったら……一気に決める」

 

 それは、確かに良い案ではある。

 

「でも、それは難しくないか? 出来るかな?」

「出来る出来ないじゃない――やるんだよ!」

「え~」

 

 そういう訳で、オウカやザンカ、更に、ランコやカナタにまで付き合って貰い、どうにかその技術を習得した。

 だからこそ、サイズにはそのチカラがバレなかった。

 

 三つ目。新たに習得した<スキル>。

 ジンナは<スロット>を、補正系、斬撃系、思考加速、身体強化など、オーソドックスなモノで埋めていた。そして、手に入れた<冥刀>のおかげで<スロット>が増えた。だからこそ、新しい<スキル>をどうするか迷っていた。そんな時、

 

「ジンナちゃーん、お土産っす」

 

 ザンカから貰った。とある<スキル>、その効果を見て、すぐさま覚えた。それは自分にぴったりだった。

 

 《ソードダンス・ブレイドマカブル》

 

 〈剣舞(ソードダンス)〉という、戦闘時間が長引く程にステータスが上昇する<スキル>が存在するのだが、それの上位交換とでも言うべきモノ。

 その上昇率が比ではなく、他の条件でも上昇する。ただし、「ダンス・マカブル」の元ネタになぞらえているのか、二刀流の近接武器でないと使えないという制限があった。

 ジンナは基本戦闘スタイルは二刀流。だからこそ、上手く使いこなしていた。

 

 四つ目。これは本人も気づいていない事。マユがバフを掛けていた。気づかれないよう、わからないよう。本来なら時間経過で消えるバフを強化させ、持続させていた。

 

 そして、ついに――

 

「ハァアアア!」

 

 右手の剣の一撃が、巨大カマキリを吹っ飛ばした。

 <スキル>に加え、瞬間的にマユがバフを載せた一撃。その威力は凄まじく巨大カマキリを吹っ飛ばす。

 吹っ飛んだ巨大カマキリは地面を転がり、木や岩にぶつかりながら、ようやく止まる。

 

(まだ形は残っている。油断はしない)

 

 双剣を構えるジンナ。それに答えるかのように、声が聞こえた。

 

「ああ、しくじったなぁ」

 

 ひっくり返った巨大カマキリが起き上がる。だが、その体は凹みや傷があちらこちらにあり、辛うじて動いている状態。後脚の一本はあらぬ方向に曲がり、左前脚の鎌に至っては折れていた。

 実は【エンプーサ】は脆い。ソフトインセクトであるカマキリを元にしたためか、防御力は低い。

 だが、まだ動きはする。サイズはいつもより動作が下がった【エンプーサ】を動かしながら続ける。

 

「お前の武器、<冥刀>だなぁ。時間経過での攻撃力上昇効果があるだろう?」

 

 答えると思っていないのか、更に続ける。

 

「それに<スキル>でそれを更に強化と言った所だなぁ」

 

 サイズは遊びは入れるが、馬鹿ではない。だから気づいた。

 

「しかも、オレと直接打ち合っている時は隠してたなぁ、このアマァ」

(気づかれたか……)

 

 ジンナは内心しかめっ面になるが、表情に出さない。

 

「まあいぃ。これはぁ、オレのミスだぁ」

 

 だからこそ、

 

「本気で行くぜぇ」

 

 その言葉と同時、巨大カマキリが一気に増えた。

 ジンナの顔が驚愕に歪む。

 

「分身!?」

 

 巨大カマキリは数十体にもなり、ジンナを取り囲む。

 取り乱しかける彼女の脳裏に声が響く。

 

[落ち着いて。アレは幻像]

「え、d」

[声に出さないで。わたしは]

 

 何と言おうか迷うマユだったが、とある言葉を選び念話で伝えた。

 

[サクヅキ=オウカの相棒。名前はマユ。正体が知りたいなら後で]

[わ、わかった]

 

 彼なら何でもありだと、落ち着いてくれた。そんな彼女に続ける。

 

[あのカマキリ――【エンプーサ】は戦闘専門じゃないの]

[アレで!?]

 

 実のところ、【エンプーサ】のスペックは低い。パワーとスピードはそこまででもなく、防御力はソフトインセクトなので論外。実のところ、≪蟲≫の機体でワースト二位である。……まあワースト一位よりはマシだが。

 

[アレの用途は幻像を使った攪乱と……避けて!]

 

 説明が途中で注意になる。その言葉に飛び退くジンナ。だが、完全に避けきれず、背中に痛みが走る。どうにか血が出るだけで済ませた。

 

「ッ! (自分だけじゃ避けれなかった)」

 

 後ろを振り向くと、そこには血が付いた鎌が浮いていた。血振りをするとまた見えなくなる。

 マユは説明を再開した。

 

[アレの本質は暗殺。幻像による分身と、ステルス]

[ヤバイ。何より、ここから離れられて隠れられたら更に不味い]

 

 ここで仕留めなければならないと決意するジンナ。そんな彼女にサイズは言う。

 

「やるねぇ。さあここからだぁ」

[マユさん。手を貸して。コイツは逃がしたら不味い]

[当然そのためにここにいる]

 

 ここからが本番だった。

 そして、戦いは佳境に差し掛かる。

 

 サイズは、ステルスと幻像を使用し、ジンナを攻撃する。

 ジンナはそれを迎撃。だが、姉とは違いそこまで勘が鋭くないので、攻撃は当たってしまう。ただ、直撃は避けているので、致命傷は避けていた。

 ジンナはボロボロだった。隙を見てどうにか回復しているのと、仲間が掛けたリジェネが残っている事で持ちこたえていた。そして、何よりマユのサポートが有り難い。

 

 だんだんじれったくなってくるサイズ。

 

(中々、直撃しねえなぁ)

 

 鎌が一本になってしまったうえ、機動力が落ちたのも痛い。

 

(このアマァ、どことなく余裕があるぅ。眼の光が消えねぇ。まだ何かぁ?)

 

 そして、ある事に気づく。

 

(こいつ、ステータス上がってるぅ?)

 

 それは正解だった。

 《ソードダンス・ブレイドマカブル》のステータス上昇は、戦闘継続だけでない。体力や気力の減少、対象が格上の場合、対象が邪悪な場合なども対象となる。

 今は全部、当て嵌っていた。

 

 そして、遂に、ジンナは攻撃を薄皮一枚で防ぎ、カウンターを繰り出す!

 

[そこ!]

「ここだ!」

 

 バフを積んだ突きは脚を圧し折る。そのまま転がるように離れるジンナ。

 【エンプーサ】は崩れるが、どうにか残る脚で体を支える。倒れずには済むが、ステルスと幻像が解除されてしまう。

 それにジンナは笑う。

 

「やっと当たった……。これで動けまい」

「……だなぁ」

 

 サイズは肯定。そのまま思考する。

 

(どうすっかねぇ。もう降りて戦うか)

 

 その時、ジンナが有り得ない行動に出た。

 彼女は機体へと近づき、鎌の射程内に入った。そして、双剣を一本の剣にして、告げる。

 

「サイズ……と言ったな。まだ何かあるんだろう?」

 

 そして構える。

 

「出してみろ。どっちの切り札が強いか勝負だ」

 

 ジンナの言葉は、自分の有利を捨てるかのような宣言。

 それにサイズは驚くも、どうにか平静さを保ち訊ねる。

 

「……テメェ、どういうつもりだぁ?」

「アナタが最初から本気だったらコッチは全員死んでた。でもアナタはそうしなかった」

 

 そう言って苦笑する。

 

「それは、遊んでいただけかもしれない。でもそのおかげでボクも益があった」

 

 この戦いでジンナは、マユのサポートで遂に切り札を掴み取った!

 

「だから――来い」

 

 サイズはそれを聞いて大笑いする。

 

「ハハハハハハ!! その決断、後悔すんじゃねえぞぉ!」

 

 巨大カマキリの残された鎌にエネルギーが集まっていく。空間が歪む。

 それに対し、両刃剣に見た所変化はない。まるで凪の海のよう。

 そして、

 

「「畢竟(アリストテレス)!」」

 

 お互いの深奥が放たれる!

 

 【エンプーサ】の畢竟は〈絶対切断〉。

 使用の際はステルスと幻像は一切使えない。そのエネルギー全てを鎌の刃に収束させて放つ一撃。例えるなら絵を描く時に、絵具を重ねすぎると画材に穴が空くアレ。

 

 【エスペ・アヴァンチュルーズ】の畢竟は〈一刀両断〉。

 一本状態でのみ発動可能。双剣状態で与えた全ダメージを加算、それにプラスして、上昇した全ステータス合計値を攻撃力にして与える一撃。ただし、これを使うとステータス上昇はリセットされる。

 

「オラよぉ!」

 

 振り下ろされる鎌の一撃。それをジンナは見極め、

 

「ハア!」

 

 パリィした! 鎌が消し飛び、巨大カマキリの頭部すら粉砕!

 それに胴体部に搭乗していたサイズは苦笑する。そして、巨大カマキリの中から、出て来る。そして、《クロス》を解除し、両手を上げる。

 

「負けたぜぇ。あーあこんな事なら、遊ぶんじゃなかったぜ」

 

 その言葉にジンナは苦笑した。




【後書】
(#ー#)<……。

(㈩*㈩)<これが『六徳叢雅』の作品。

(#ー#)<どこが剣だ!? つーかこの形にする意味ねえだろう!?

(・▽・)<皆そう言いますよね。

(㈩*㈩)<うん。でも強力さはお墨付き。

(㈩*㈩)<因みに、待機形態も普通に武器として使える。

(#ー#)<……使えなかったら、訴訟レベルだろ。


【コソコソ話】
(㈩*㈩)<六徳の作品の場合、銘方法も変わってる。

(㈩*㈩)<神話や伝説の怪物や神から取る場合と

(㈩*㈩)<「~カブト」とか。「~ハンミョウ」の「~」から取る場合がある。

(・▽・)<と言うと?

(㈩*㈩)<さっきの二つで例えるなら、「アトラスオオカブト」だったら、【アトラス】、「オオエンマハンミョウ」なら【ヤムラージ】みたいに。

(・▽・)<納得です♪

(㈩*㈩)<なら良かった。まあ若干苦しいのもあるけど。

(#ー#)<どういう意味だよ……。
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