冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS】

【エンプーサ】
(㈩*㈩)<能力は姿、音、匂い、熱を隠蔽し、感知されなくする事と、

(㈩*㈩)<音と匂いがある幻像を作り出しての攪乱。

(㈩*㈩)<だから、直接戦闘力は低いんだけど、搭乗者の技術で高くなっている。

(・▽・)<……まあ本人舐めプしていたせいで、追い詰められてましたけどね。

(#ー#)<油断大敵だな。

(㈩*㈩)(・▽・)<あなたが言う?

(#ー#)<うるせー!!

(㈩*㈩)<そして、〈畢竟〉は鎌の刃に全エネルギーを集めての〈絶対切断〉。

(㈩*㈩)<絵を書いていると、絵具を重ねすぎて穴が開くアレ。

(㈩*㈩)<空間ごと切り裂ける。


【前書】
(・▽・)<連絡事項です。

(・▽・)<次回から更新は週一になります。

(㈩*㈩)<理由? ストックが無くなって来たのと、

(㈩*㈩)<カクヨムの方に追いついて来たから。

(・▽・)<そういう訳ですので、ご了承ください。


弐拾玖

 ******

 

 

 待機場所で行われるイオリ対ファン。

 〈転移封鎖〉が解除されたので、〈転移〉で生徒達を学校へ送る中、手の空いた教師や<プレイヤー>がどうにか彼に加勢しようとする。

 

「こ、これは……」

「加勢できない……」

 

 規模が凄まじい戦いになっており、加勢出来なかった。

 

 イオリは自身のエモノを振るい、近距離・中距離で戦う。

 

 彼は、雷属性で身体強化し、速度を上げる。風属性で辺りを覆い感知し、移動も補助する。そうして武器を振るう。

 イオリは相手を強敵と認めなければ自分の武器を使わない。そうせずとも風の刃で倒せるからだ。だが、今回は抜いた。抜かねばならなかった。

 彼のエモノは二本の両刃のショートソード……否、剣の柄に、短い柄を刀剣の腹側に付けたトンファーブレードとでも言うべき物。打撃も斬撃も打てる優れもの。

 風の刃に真空刃を混ぜ飛ばし、トンファーブレードの攻撃を織り交ぜる。時に風や雷で防壁を張る。正に攻防一体。

 

 ファンは搭乗した巨大サソリの機体を操縦して戦う。

 

 巨大サソリ――【セルケト】は光熱操作のチカラを持つ。純粋な機体の性能も高いうえに、最強の矛と盾を持っている。

 矛はビーム。尾の棘部分からビームを放つ。ビームはいくつか種類があり、不安は数発の誘導性が主だが、五月雨のような連射、渾身の一撃も可能。更に、鋏部分からビームをブレード状にして接近戦もおこなえる。

 盾はバリア。周囲に円状のバリアを展開する。その防御膜は凄まじく、物理、エネルギー、状態異常、デバフも通さない。

 とは言え、この矛と盾は同時には使えない。だが、それを補助するようにファンは自身の《クロス》を使用する。

 

 《ヴァイオレットクロス〔3Dプリンター〕》

 自分の分身を作り出し、それらは本体と同一の能力・人格での自立行動をとらせることができる。彼女はそれを使って四人による徒手空拳で戦う。そして、その本領は搭乗時。何と【セルケト】――<冥刀>も自分扱いされるのため、巨大サソリも分身する。しかも同一の能力・人格を持っている。

 それを使う事で四体の巨大サソリが攻撃や防御をおこなっている。通常時は攻撃と防御が二対二だが、状況に応じて配分を変える。こちらも攻防一体。

 

 どちらも攻防一体同士。最強の矛と最強の盾を持っている。

 

 イオリのトンファーブレードと、一体目の巨大サソリのビームブレードがぶつかり合う。

 

「やるね!」

「そっちこそ」

 

 二体目の巨大サソリと三体目の巨大サソリが、イオリの左右から迫り、ビームを撃つ。それを、イオリは風と雷を合わせた防御を張り、ビームを逸らし拡散させる。そのビームを、四体目がイオリに伸し掛かるようにして、拡散ビームの被害を防ぐも、巨大サソリは爆発。だが、入れ替わるように巨大サソリが一体目の横に現れる。

 互いに分析し合う。

 

(ビームとバリアが主。ビームブレードで接近背も可能なうえ、スペックも高い)

(風と雷で近、中、三百六十度をカバー。更に攻撃、防御、移動、感知までやるとか、無いわー)

(本体は今打ち合っている方か。恐らくそれを倒せば止まるかな?)

(スピードタイプなうえ、感知能力も高いし。当たらない)

 

 そして、お互いの考えが一致。

 

(でも、このまま続ければどうなるかな?)

(持続はどうだし? このまま持つとは思えない)

 

 更に、これから取ろうとする戦法も一致した。

 

((だからこそ、一気に決める!))

 

 戦いは最終ラウンドに突入する。

 

 最初に動いたのは――ファン。

 

「〈畢竟(アリストテレス)〉!」

 

 切り札を切った。

 巨大サソリに変化が起こる。ビームと同じ色のオーラを纏った。それと同時、分身の数が九体となった。

 更に、巨大サソリのパワー、スピード、ビーム、バリアの威力が上昇した。

 これが【セルケト】の奥の手。機体の性能三倍化。なのだが、それが搭乗者であるファンにも影響を及ぼし、《クロス》すらも三倍化する。……こういうバグ、偶にあるのが怖い所。

 ただし、欠点もあり、長時間は出来ず、これを使った後は、機体も本人も暫く動けなくなり、インターバルの時間が伸びる。

 

 イオリは驚愕しながらも、どうにか対応。だが、攻撃の密度が増した事で、足に負傷を負ってしまう。

 

「これは!?」

 

 機動力が低下するも、イオリは咄嗟に呪符を呪符を出し、風と雷の防御を張り、どうにか猛攻を防ぎ切る。彼はこういう事態に備え呪符を作り備えている。

 

「不味いね……」

 

 【ポーション】を出し、足にかけ負傷は治す。だが、防御は破れる寸前。

 

「向こうから出して来たか。さて、どうするか」

 

 思考、思考、思考。決断する。

 

「こっちも出すか」

 

 イオリは目隠しの布を取る。それと同時、彼のチカラが増した。

 

 これが彼の奥の手だった。

 この布は特殊な<アーティファクト>であり、持ち主のチカラ――ステータス、能力、術技を抑える効果がある。

 だが、コレの効果はそれだけでない。発動すると、抑え込んでいたチカラを加算する事が可能。要するに、パワーアップ出来る。

 ただし、これもデメリットがあり、制限時間があるうえ、使用後は著しく弱体化する。本人曰く、かなりだるいとの事。

 

 そうして戦いは予想だにしない結末を迎える事になる。

 

 防御が破れると同時、彼は動く。その動きは今までで一番速い。実は今までスピードをセーブしていたのだ。だから相手にはスピードが増したように感じる。

 

「狙うは本体!」

 

 だが、敵は歴戦の傭兵。対応する。

 三体の巨大サソリが、本体を守るようにバリアを張る。だが、

 

「温い!」

 

 イオリは、左のトンファーブレードに風と雷を束ね、巨大な刃を作り出して振るう。轟音と共に、巨大サソリは三体まとめて行動不能になる。それと引き換えに左のトンファーブレードは使用不能になる。

 武器が壊れるのと引き換えに、術技の威力を引き上げる<スキル>を使用したのだ。

 

「舐めるなし!」

 

 三体が作った隙に本体は後退。六体の巨大サソリが前に出る。そして、尾の棘からビームが照射、それが中央で集まる。

 

「〈スコーピオンQ〉!」

 

 凄まじい破壊力のビームが放たれる。

 それにイオリの取った手段は、

 

「ならこっちも高火力だ!」

 

 脳筋丸出しだった。

 右のトンファーブレードに、先程のと同じ風と雷の刃を展開。それに、呪符を大量に出し、そこから放出される風と雷、感知に回してた風、天空の雷すらも取り込み、超巨大な刃を作り出し振るう。

 

「ハア!」

 

 ビームと刃は拮抗する。だが、徐々にビームの方が押し始める。それでも、イオリはそれを計算済み。

 

「ブレイク!」

「!?」

 

 刃が大爆発。その隙にビームを潜り抜けるイオリ。更に六体の巨大サソリすらも通り抜ける。目指すは本体。 

 

(ここで決める!)

 

 だが、ファンも対抗する。巨大サソリの鋏と尾にビームブレードを展開。今までの物よりも高出力。

 

「行くし!」

 

 イオリも壊れた武器の代わりに、風の刃を展開。いつものウルミのような刃ではなく、風をトンファーブレードのように固める。この形態だと消耗が激しいので滅多にしない。

 

「来い!」

 

 そして、激突する……かに思われた時だった。

 

「嘘……」

「あ」

 

 その寸前、タイムリミットが来た。

 巨大サソリは動きを止め、イオリは倒れ込む。

 そして、ファンが這いずるように出て来た。そして、イオリの傍に来て告げた。

 

「……ウチの負けだし」

「いやあ、引き分けじゃない?」

「そっちにはまだ戦える人いるけど、こっちは無理だし」

 

 彼女の言う通りだった。他の教師と<プレイヤー>が各々のエモノを彼女へ向けている。それをどうにかするすべを彼女は持っていない。

 それにイオリは苦笑して。

 

「いいよ引き分けで。それと、手荒な事しなければ悪いようにしないよ」

「……それは助かるし。あ、取り調べならカツ丼食べたいし」

「「図々しいなお前!?」」

 

 こうしてファンは拘束された。

 

 

 ******

 

 

 激しくぶつかり決着した、他の所と違い、ザンカ対カルゴの戦いは静かなものだった。

 

 ザンカは眼を閉じ大剣を構えている。

 

「……」

 

 言葉もなく、静かにしている。

 

 その時だった。ザンカの斜め後ろの空間が歪む。そこから出てきたのは巨大なカタツムリ――【ル・カルコル】。そのチカラは空間の裏に潜む事。そして、頭部だけを出し、頭部の触覚から電撃を放つ。

 

「ッ!」

 

 それをザンカは避ける。そのまま巨大カタツムリに迫る。だが、間髪入れず貝殻から放たれたミサイルに手間取っている間に、巨大カタツムリは空間に潜んでしまう。

 

(また、コレっす~)

 

 ザンカは内心うんざりしていた。

 

 実はカルゴが抜錨して、ザンカも抜錨。そのままぶつかり合いかと、彼女は思ったのだが、彼の戦い方は自分は安全な所に潜んでのヒットアンドウェイ。だからこそ、嚙み合ってなかった。

 

(このままだと長引くっすね~)

 

 自分の妹――ジンナが心配。だからこそ早く終わらせたい。

 こうなったら仕方ない。彼女は自分の相棒である【ウルナッハ】に声を掛けた。

 

「……使うっす。負担かかるけど許してっす」

 

 それに大剣は「仕方ないな」とでも言う風に震えた。

 

 一方、カルゴは空間の裏からザンカを観察していた。

 

(このまま削り切る。いくらでも時間はある)

 

 体力と気力は減るが、【ポーション】で回復すればいい。

 そうして様子を見ていると、ザンカが動いた。

 

「《クロス》解放。」

 

 その言葉と同時、眼の白黒が反転。虹彩が青紫色に光る。

 

(青紫。人工物ですか……。一体何を)

 

 カルゴが見ていると、ザンカが大剣を水平に構える。

 

「〈畢竟(アリストテレス)〉!」

 

 ザンカが大剣を振るう。なのだが、その進みが遅い。まるで硬い物を無理矢理押し切ろうとしているかのよう。

 

「? ……!?」

 

 疑問は驚愕へと変わる。またまた最後まで言えなかった。大剣の周囲の空間が物理的に歪み始めた。

 

「な!? 不味い!?」

 

 その場から離れようとしたカルゴ。だが、遅かった。

 

「アアアアアア!」

 

 ザンカの絶叫と共に、壁紙でも破るかのように、周囲の風景が砕けて壊れた。

 

 

 ☆★☆★☆

 

 

 【ウルナッハ】の〈畢竟(アリストテレス)〉は〈空間摩擦〉。本来なら摩擦など存在しない、空間に摩擦を設定できる。これを使えば空中を駆けたり、大剣を空中に引っ掛けて置く事も出来る。

 そして、ザンカは後者を活かし、《ヴァイオレットクロス〔ステロイド〕》――自身の身体能力を増幅させる能力に、攻撃力上昇やパワー上昇系の<スキル>を重ね、空間を押し切る。

 その結果、空間破壊され、空間復元の歪みにより周囲は巻き込まれる。

 これこそが、ザンカの奥の手だった

 

 

 ■□■□

 

 

 空間が元に戻り、周囲はボロボロ。そこにザンカはいた。

 

「ふう」

 

 疲れたのか大剣を杖にしている。

 実はこの技、武器にも使い手にも負担が大きい。

 

 そして、カルゴに声を掛ける。その近くにはグシャグシャの巨大カタツムリ。

 

「続けるっすか?」

「いえ、やめておきます」

 

 首を横に振る。彼自身はどうにか死なずに済んだが、機体は空間破壊に巻き込まれてグシャグシャ。しかも彼自身も無傷で逃れる事は出来なかった。もう戦えない。

 

「じゃあ行くっすよ」

「ええ」

 

 そうしてザンカはカルゴを待機場所へ連れて行った。




【TIPS】

【セルケト】
(㈩*㈩)<サソリロボット。ビームとバリアが武器。

(㈩*㈩)<機体スペックも高いし、ビームブレードもあるから、殴り合いも強い。

(㈩*㈩)<でも、その分、体力と精神力消費が激しいし、カロリーも消費する。インターバルも長い。

(#ー#)<そりゃあな……。

(・▽・)<因みに、体力・精神力・カロリー消費と、インターバルの両方が代償なのって珍しいです。普通は消費か、インターバルなので。


《ヴァイオレットクロス〔3Dプリンター〕》
(#ー#)<機械系の《ヴァイオレットクロス》だな。

(#ー#)<機械が持っている特性を使えるタイプだな。

(・▽・)<今回の場合、実体と意識がある分身を作り出すのですね。

(#ー#)<ああ。本人のスペックで同様の動きが出来て、本体がやられない限り、数は維持可能。

(#ー#)<因みに、この女はこうなったけど、逆もいる。

(㈩*㈩)<質より量の人がいるの?

(#ー#)<ああ。能力が被る事があっても、何かしら違いが出るんだよ。

(#ー#)<これも《クロス》の面白い点だな。


【後書】
(#ー#)<次の更新は土曜日だ。宜しくな。
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