【ル・カルコル】
(㈩*㈩)<カタツムリ型の機体を呼び出す。能力が厄介で空間の裏に潜む。
(・▽・)<ド○ドアの実みたいな?
(㈩*㈩)<それが近いかも。因みにそれ以外も武装はある。
(㈩*㈩)<スペックは中くらい。因みに、サクとの相性は最悪。
(・▽・)<確かにそうですね。
******
フタオの戦闘スタイルは遠距離戦。……他の面々が近接戦闘も可能なのだが、彼は出来ず、仲間外れ(笑)。まあ彼は気にしていないが。
普段は、衝撃波を砲弾状にして放てる大砲を撃って敵を倒す。命中精度は凄まじくフレンドリーファイアとも無縁。
そして、それは<冥刀>を抜錨しても変わらない。
【ディオスクロイ】は、巨大コオロギの機体を召喚し戦う。
機体の性能的には、機動力が高く、防御はソフトインセクトが元なので低めで、他もまあまあ。そして、コレの本領は――対軍勢との死闘。
振動操作能力を持っており、翅から振動波や衝撃波を放ち、敵を粉砕する中距離戦が主。衝撃波を砲弾状にして遠距離戦も可能。その威力は凄まじく生半可な金属すら砕く。しかもそれらの攻撃の速度も速い。
今回もそれを使う事で、敵は粉砕される……はずだった。だが。
(強い。この三人組)
敵もさるもの。三人組は持ちこたえていた。
消耗はしているも、どうにか一人分の隙を作り出し、その際に回復していた。
この三人組はバランスの取れているパーティーである。
鎧の男は、前衛を主に担うが、実のところ、様々な武器を状況に応じて使い分けるので、オールラウンダーでもある。
ローブの女性は、完全なる後衛。主にバフと回復をこなす。因みに全く接近戦は出来ず、体力もない。
ノースリーブの女性は、前衛で、鎧の男と共にアタッカーをしているが、場合によっては、高い防御力を活かしてタンクを担う。実は攻撃と防御は彼女が上。
そして、この三人、全員が<クルセイダー>であり、奥の手を持っている。とは言え、まだ使っていない。
だが、この状況押されている。だからこそ、男は――サドガサキ=ジョウキチは決意する。少し顔を顰め宣言する。
「カンナ! イチコ! 使うぞ!」
その言葉に頷く二人――ダテ=カンナとエンドウ=イチコ。そして、三人は《クロス》を発動する。だが、その顔は三人とも嫌そうだった。
ジョウキチは自身が所有する武器を全て【匣】から放出。それと同時、彼の姿が変貌。背が低くなり、髪が伸び、体が女性と化す。更に、八本の腕が生えた。そして、それぞれの腕に武器を持つ。虹彩の色は緑。
《グリーンクロス〔ドゥルガー〕》。
カンナのローブが脱げた。そこから現れたの背中が剥き出しのレオタードのような衣服を来た美女。その背から生えているのは蛸の八本足。虹彩の色は濃褐。
《ブラウンクロス〔オクトパス〕》。
イチコの手足が鉄塊のようになり、硬く強靭になる。虹彩の色は白。
《ホワイトクロス〔アイアン〕》。
そして、変貌を終えた三人は動く。
「こうなったからにはとっと決めるぞ」
「「ええ!」」
実はこの三人、全員能力的には大当たりで、戦闘スタイルとの相性は良い。だが、能力自体が嫌いなので、あまり使いたがらない。
「オラよ!」
ありったけの武器がフタオ目がけ飛ぶ。威力が増したそれを、衝撃砲弾で撃ち落とすが、それらは陽動。
ジョウキチが本命を――弓矢を構える。
その矢にカンナがバフを掛ける。更にその効果を多重化させる。タコは脳が九つある。だからできる芸当。
「ハア!」
放たれる強弓!
一直線に迫る矢を、巨大コオロギはどうにか振動波で撃ち落とそうとする。だが、幾つものバフが重なった一撃は消えない。
(不味い!)
どうにか一点集中させ打ち消す。だが、敵は二人だけではない。
「私このチカラ嫌いなんです」
「!」
頭上から声が響く。
「だって、鍛錬とか関係なく硬くなりますし」
イチコが頭上にいた。全身を鉄化させ、彼女は拳を巨大コオロギに落とす。咄嗟に衝撃波を繰り出すが、それを諸共せず拳は巨大コオロギに刺さる! 巨大コオロギは潰れた。
驚くフタオ。
(馬鹿な!?)
確かにソフトインセクトが元でも、程々に防御力はあるうえ、衝撃波を盾にした。それ諸共貫いた。
その理由はイチコの<スキル>だった。
幾つかの縛りと引き換えに、拳の攻撃と防御を引き上げ、パンチやチョップの威力を上げる〈鉄拳〉。それに〈衝撃拡大浸透〉を重ねた。
だからこそ、彼女はこのパーティーでアタッカーでタンカーなのだ。
そのままイチコは左を手刀にして、巨大コオロギを切り裂き、フタオを引きずり出した。
「……!」
こうなってはどうしようもない。両手を上げるフタオ。
だが、イチコは容赦しない。
「殴る人は殴られる覚悟を持ちなさい」
「ッッ!?」
手加減したアッパーが炸裂。フタオの意識を刈り取り、吹っ飛ばした。
******
オウカに「私に任せて先に行け」をしたランコ。
抜錨される前の戦況は、ランコが攻めたて、カツトが守っていた。
ランコは槍と爆裂を使う事で戦い、カツトは双刃剣を振るい、《クロス》で体をダイヤモンドにする事で攻撃を防ぎ切っていた。
どちらも決め手がなかったため、この状態だったのだが、抜錨した結果、ランコは追い詰められていた。
カツトの<冥刀>は【ヤムラージ】。巨大ハンミョウの機体を呼び出し搭乗する。
実はコレ、【エンプーサ】や【セルケト】のような特殊能力を持っていない。ただ、機体の性能が高いだけ。スピードは中くらいだが、パワーと防御力はトップクラス。だからこそ、それが厄介だった。それに加えプラスアルファがあった。
ランコは爆発する槍を投擲、更に、爆裂光球を飛ばし、罠としてしかけていた空中機雷も一気に起爆。大爆発を起こす。
(やったか……?)
距離を取り、回復しながら様子を見る。粉塵が晴れた先には、巨大ハンミョウが無傷で立っていた。その体表はダイヤモンドで覆われていた。
(またこれか!?)
これが厄介な点だった。カツトの《ホワイトクロス〔ダイヤモンド〕》だった。体をダイヤモンドにする事が可能なのだが、彼の場合、それを機体にも伝播させる。だからこそランコの攻撃がまるで通らない。
(幸いスピードが遅いうえ、遠距離攻撃手段は持たないのが、唯一の救い)
だからこそ、どうにかなっている。だが、いつまでも持たない。
(どうする……)
考えるランコ。
そんな時、ふと思い出した。
それはリアとの幼い日の記憶。
▼▽▼
「そういえばランコは知ってますか?」
「何ですリアちゃん」
「ダイヤモンドは硬くて脆い事を」
「? 矛盾してない?」
「していないのです。ダイヤモンドは、分子の結合が強いからこそ硬いんですけど、衝撃には弱いんですよ」
「なるほど」
この頃は自分達は友人同士だった。
だが、自分が魔法の制御をしくじり自爆した際、リアとランコは重傷を負った。
その時に、彼女は《
幸い、リアは助かり、医療技術のおかげで傷跡も残らなかった。
だが、そのせいで自分は彼女の生き方を決めてしまった。だからこそ、自分には彼女を呼ぶ資格はないのだ。
■□■□
嫌な事を思い出した、と顔を顰めるランコ。だが、同時にある事を思い出す。それはダイヤモンドの砕き方。ならば、
「決めるのは覚悟か」
絶対に倒すとランコは決意した。
そして、身をひるがえし、巨大ハンミョウから逃げるように駆けだした。
疾走しながら、空中機雷を仕掛けるランコ。
その爆破攻撃を巨大ハンミョウは掻い潜りランコへ迫る。
操縦しながらカツトは思考。
(向こうの爆破は厄介だが、こちらの防御を突破出来ない)
木々や岩々を薙ぎ倒す巨大ハンミョウ。ランコへ向けて迫る。
(一体奴は何を狙っている?)
逃げたとは思わない。絶対に何か狙いがある。
そして、遂にランコが止まる。
「観念したか……」
その言葉にランコは――笑う。
「それはこっちのセリフだ。観念しろ」
手に持った槍を地面に突き刺した。その途端、巨大ハンミョウを囲むように巨大な魔法陣が起動した。
「これは!?」
カツトは理解する。ランコは逃げながら魔法陣を描いていた。それに加え、彼女が立ち止まった場所は、昨日のキャンプ地。そこにランコは色々仕込んでおいたのだ。
実はオウカは、昨日彼女に助言していた。
「なあサクライ。お前さんって魔法の遅延発動って出来る?」
「愚問だな。元より私は罠を張っての戦いが得意だ」
「ならさ、丁度いいから何か仕込んで置いたら?」
「何故今頃?」
「今日だから」
オウカは断言した。
「絶対相手は何かしら起こす。だから準備しておけ」
そして、彼は何かを思い出すように言う。
「師匠が言っていたんだけど、死なないために死ぬ程準備するのは当然なんだとさ」
だからこそ、ランコは準備した。そして、それらは無駄にならなかった。
「セット」
ありったけ投槍(回収機能がある【匣】に入っていたのも含め)と、爆裂光球をばら撒く。そして、
「エクスプロード!」
その言葉と同時、巨大ハンミョウを周囲を大爆発が起こる。それが連鎖していく。
「舐めるな!」
だが、巨大ハンミョウは未だ健在。
爆発の中、遂にランコは見つける。そして、槍を片手に特攻。バフも載せた突きを放つ。
「ハア!」
「特攻か。芸がn」
カツトは最後まで言えなかった。響いたのは何かが砕ける音。
「な!?」
巨大ハンミョウの一部が砕けた。それに驚愕するカツトだが、同時に理由を悟る。
(なぜ!? 石目か! それにダメージも積み重なったか……)
ランコは笑って告げた。
「ダイヤモンドは砕けない、そんな事はない。砕け散れ」
その言葉と同時、槍――【ブラストランス】が大爆発。それに重ね、辺りで一番の大爆発が起こった。
その結果、巨大ハンミョウは半壊した。
「……く」
搭乗者であるカツトも重傷。そんな彼の首元に槍が付きつけられる。実は先程の爆発、威力を高めるために、〈耐性突破〉が付与してあった。そのため彼女はボロボロだった。だが、まだ動ける、戦える。
「降伏するなら命はまでは取らん」
それにカツトは、どこからか出した白旗を上げた。
【ディオスクロイ】
(㈩*㈩)<コオロギ型の機体を呼び出し戦う<冥刀>。
(㈩*㈩)<能力は振動操作。攻撃よりで、振動波や衝撃波を飛ばす。
(#ー#)<まるで他のモノがあるような言い方だな。
(㈩*㈩)<……。それについてはまたいずれ。
(#ー#)<ふうん。ん? 【ディオスクロイ】って双子座だよな? どういう事だ?
(㈩*㈩)<これはちょっと無理矢理名付けた。
(#ー#)<あん?
(㈩*㈩)<「フタホシコオロギ」の「フタホシ」から連想で。
(#ー#)<……まあ納得。