冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS】

【ル・カルコル】
(㈩*㈩)<カタツムリ型の機体を呼び出す。能力が厄介で空間の裏に潜む。

(・▽・)<ド○ドアの実みたいな?

(㈩*㈩)<それが近いかも。因みにそれ以外も武装はある。

(㈩*㈩)<スペックは中くらい。因みに、サクとの相性は最悪。

(・▽・)<確かにそうですね。


参拾

 ******

 

 

 フタオの戦闘スタイルは遠距離戦。……他の面々が近接戦闘も可能なのだが、彼は出来ず、仲間外れ(笑)。まあ彼は気にしていないが。

 普段は、衝撃波を砲弾状にして放てる大砲を撃って敵を倒す。命中精度は凄まじくフレンドリーファイアとも無縁。

 そして、それは<冥刀>を抜錨しても変わらない。

 

 【ディオスクロイ】は、巨大コオロギの機体を召喚し戦う。

 機体の性能的には、機動力が高く、防御はソフトインセクトが元なので低めで、他もまあまあ。そして、コレの本領は――対軍勢との死闘。

 振動操作能力を持っており、翅から振動波や衝撃波を放ち、敵を粉砕する中距離戦が主。衝撃波を砲弾状にして遠距離戦も可能。その威力は凄まじく生半可な金属すら砕く。しかもそれらの攻撃の速度も速い。

 

 今回もそれを使う事で、敵は粉砕される……はずだった。だが。

 

(強い。この三人組)

 

 敵もさるもの。三人組は持ちこたえていた。

 消耗はしているも、どうにか一人分の隙を作り出し、その際に回復していた。

 

 この三人組はバランスの取れているパーティーである。

 

 鎧の男は、前衛を主に担うが、実のところ、様々な武器を状況に応じて使い分けるので、オールラウンダーでもある。

 

 ローブの女性は、完全なる後衛。主にバフと回復をこなす。因みに全く接近戦は出来ず、体力もない。

 

 ノースリーブの女性は、前衛で、鎧の男と共にアタッカーをしているが、場合によっては、高い防御力を活かしてタンクを担う。実は攻撃と防御は彼女が上。

 

 そして、この三人、全員が<クルセイダー>であり、奥の手を持っている。とは言え、まだ使っていない。

 だが、この状況押されている。だからこそ、男は――サドガサキ=ジョウキチは決意する。少し顔を顰め宣言する。

 

「カンナ! イチコ! 使うぞ!」

 

 その言葉に頷く二人――ダテ=カンナとエンドウ=イチコ。そして、三人は《クロス》を発動する。だが、その顔は三人とも嫌そうだった。

 

 ジョウキチは自身が所有する武器を全て【匣】から放出。それと同時、彼の姿が変貌。背が低くなり、髪が伸び、体が女性と化す。更に、八本の腕が生えた。そして、それぞれの腕に武器を持つ。虹彩の色は緑。

 《グリーンクロス〔ドゥルガー〕》。

 

 カンナのローブが脱げた。そこから現れたの背中が剥き出しのレオタードのような衣服を来た美女。その背から生えているのは蛸の八本足。虹彩の色は濃褐。

 《ブラウンクロス〔オクトパス〕》。

 

 イチコの手足が鉄塊のようになり、硬く強靭になる。虹彩の色は白。

 《ホワイトクロス〔アイアン〕》。

 

 そして、変貌を終えた三人は動く。

 

「こうなったからにはとっと決めるぞ」

「「ええ!」」

 

 実はこの三人、全員能力的には大当たりで、戦闘スタイルとの相性は良い。だが、能力自体が嫌いなので、あまり使いたがらない。

 

「オラよ!」

 

 ありったけの武器がフタオ目がけ飛ぶ。威力が増したそれを、衝撃砲弾で撃ち落とすが、それらは陽動。

 ジョウキチが本命を――弓矢を構える。

 その矢にカンナがバフを掛ける。更にその効果を多重化させる。タコは脳が九つある。だからできる芸当。

 

「ハア!」

 

 放たれる強弓!

 一直線に迫る矢を、巨大コオロギはどうにか振動波で撃ち落とそうとする。だが、幾つものバフが重なった一撃は消えない。

 

(不味い!)

 

 どうにか一点集中させ打ち消す。だが、敵は二人だけではない。

 

「私このチカラ嫌いなんです」

「!」

 

 頭上から声が響く。

 

「だって、鍛錬とか関係なく硬くなりますし」

 

 イチコが頭上にいた。全身を鉄化させ、彼女は拳を巨大コオロギに落とす。咄嗟に衝撃波を繰り出すが、それを諸共せず拳は巨大コオロギに刺さる! 巨大コオロギは潰れた。

 驚くフタオ。

 

(馬鹿な!?)

 

 確かにソフトインセクトが元でも、程々に防御力はあるうえ、衝撃波を盾にした。それ諸共貫いた。

 

 その理由はイチコの<スキル>だった。

 幾つかの縛りと引き換えに、拳の攻撃と防御を引き上げ、パンチやチョップの威力を上げる〈鉄拳〉。それに〈衝撃拡大浸透〉を重ねた。

 だからこそ、彼女はこのパーティーでアタッカーでタンカーなのだ。

 

 そのままイチコは左を手刀にして、巨大コオロギを切り裂き、フタオを引きずり出した。

 

「……!」

 

 こうなってはどうしようもない。両手を上げるフタオ。

 だが、イチコは容赦しない。

 

「殴る人は殴られる覚悟を持ちなさい」

「ッッ!?」

 

 手加減したアッパーが炸裂。フタオの意識を刈り取り、吹っ飛ばした。

 

 

 ******

 

 

 オウカに「私に任せて先に行け」をしたランコ。

 

 抜錨される前の戦況は、ランコが攻めたて、カツトが守っていた。

 ランコは槍と爆裂を使う事で戦い、カツトは双刃剣を振るい、《クロス》で体をダイヤモンドにする事で攻撃を防ぎ切っていた。

 

 どちらも決め手がなかったため、この状態だったのだが、抜錨した結果、ランコは追い詰められていた。

 

 カツトの<冥刀>は【ヤムラージ】。巨大ハンミョウの機体を呼び出し搭乗する。

 実はコレ、【エンプーサ】や【セルケト】のような特殊能力を持っていない。ただ、機体の性能が高いだけ。スピードは中くらいだが、パワーと防御力はトップクラス。だからこそ、それが厄介だった。それに加えプラスアルファがあった。

 

 ランコは爆発する槍を投擲、更に、爆裂光球を飛ばし、罠としてしかけていた空中機雷も一気に起爆。大爆発を起こす。

 

(やったか……?)

 

 距離を取り、回復しながら様子を見る。粉塵が晴れた先には、巨大ハンミョウが無傷で立っていた。その体表はダイヤモンドで覆われていた。

 

(またこれか!?)

 

 これが厄介な点だった。カツトの《ホワイトクロス〔ダイヤモンド〕》だった。体をダイヤモンドにする事が可能なのだが、彼の場合、それを機体にも伝播させる。だからこそランコの攻撃がまるで通らない。

 

(幸いスピードが遅いうえ、遠距離攻撃手段は持たないのが、唯一の救い)

 

 だからこそ、どうにかなっている。だが、いつまでも持たない。

 

(どうする……)

 

 考えるランコ。

 

 そんな時、ふと思い出した。

 それはリアとの幼い日の記憶。

 

 

 ▼▽▼

 

 

「そういえばランコは知ってますか?」

「何ですリアちゃん」

「ダイヤモンドは硬くて脆い事を」

「? 矛盾してない?」

「していないのです。ダイヤモンドは、分子の結合が強いからこそ硬いんですけど、衝撃には弱いんですよ」

「なるほど」

 

 この頃は自分達は友人同士だった。

 だが、自分が魔法の制御をしくじり自爆した際、リアとランコは重傷を負った。

 その時に、彼女は《宇兆神鳥(マカーマート・アル・トゥユール)》を覚えてランコを治した。だが、自分は治せなくなってしまった。

 幸い、リアは助かり、医療技術のおかげで傷跡も残らなかった。

 だが、そのせいで自分は彼女の生き方を決めてしまった。だからこそ、自分には彼女を呼ぶ資格はないのだ。

 

 

 ■□■□

 

 

 嫌な事を思い出した、と顔を顰めるランコ。だが、同時にある事を思い出す。それはダイヤモンドの砕き方。ならば、

 

「決めるのは覚悟か」

 

 絶対に倒すとランコは決意した。

 そして、身をひるがえし、巨大ハンミョウから逃げるように駆けだした。

 疾走しながら、空中機雷を仕掛けるランコ。

 その爆破攻撃を巨大ハンミョウは掻い潜りランコへ迫る。

 操縦しながらカツトは思考。

 

(向こうの爆破は厄介だが、こちらの防御を突破出来ない)

 

 木々や岩々を薙ぎ倒す巨大ハンミョウ。ランコへ向けて迫る。

 

(一体奴は何を狙っている?)

 

 逃げたとは思わない。絶対に何か狙いがある。

 

 そして、遂にランコが止まる。

 

「観念したか……」

 

 その言葉にランコは――笑う。

 

「それはこっちのセリフだ。観念しろ」

 

 手に持った槍を地面に突き刺した。その途端、巨大ハンミョウを囲むように巨大な魔法陣が起動した。

 

「これは!?」

 

 カツトは理解する。ランコは逃げながら魔法陣を描いていた。それに加え、彼女が立ち止まった場所は、昨日のキャンプ地。そこにランコは色々仕込んでおいたのだ。

 

 実はオウカは、昨日彼女に助言していた。

 

「なあサクライ。お前さんって魔法の遅延発動って出来る?」

「愚問だな。元より私は罠を張っての戦いが得意だ」

「ならさ、丁度いいから何か仕込んで置いたら?」

「何故今頃?」

「今日だから」

 

 オウカは断言した。

 

「絶対相手は何かしら起こす。だから準備しておけ」

 

 そして、彼は何かを思い出すように言う。

 

「師匠が言っていたんだけど、死なないために死ぬ程準備するのは当然なんだとさ」

 

 だからこそ、ランコは準備した。そして、それらは無駄にならなかった。

 

「セット」

 

 ありったけ投槍(回収機能がある【匣】に入っていたのも含め)と、爆裂光球をばら撒く。そして、

 

「エクスプロード!」

 

 その言葉と同時、巨大ハンミョウを周囲を大爆発が起こる。それが連鎖していく。

 

「舐めるな!」

 

 だが、巨大ハンミョウは未だ健在。

 爆発の中、遂にランコは見つける。そして、槍を片手に特攻。バフも載せた突きを放つ。

 

「ハア!」

「特攻か。芸がn」

 

 カツトは最後まで言えなかった。響いたのは何かが砕ける音。

 

「な!?」

 

 巨大ハンミョウの一部が砕けた。それに驚愕するカツトだが、同時に理由を悟る。

 

(なぜ!? 石目か! それにダメージも積み重なったか……)

 

 ランコは笑って告げた。

 

「ダイヤモンドは砕けない、そんな事はない。砕け散れ」

 

 その言葉と同時、槍――【ブラストランス】が大爆発。それに重ね、辺りで一番の大爆発が起こった。

 その結果、巨大ハンミョウは半壊した。

 

「……く」

 

 搭乗者であるカツトも重傷。そんな彼の首元に槍が付きつけられる。実は先程の爆発、威力を高めるために、〈耐性突破〉が付与してあった。そのため彼女はボロボロだった。だが、まだ動ける、戦える。

 

「降伏するなら命はまでは取らん」

 

 それにカツトは、どこからか出した白旗を上げた。




【ディオスクロイ】
(㈩*㈩)<コオロギ型の機体を呼び出し戦う<冥刀>。

(㈩*㈩)<能力は振動操作。攻撃よりで、振動波や衝撃波を飛ばす。

(#ー#)<まるで他のモノがあるような言い方だな。

(㈩*㈩)<……。それについてはまたいずれ。

(#ー#)<ふうん。ん? 【ディオスクロイ】って双子座だよな? どういう事だ?

(㈩*㈩)<これはちょっと無理矢理名付けた。

(#ー#)<あん?

(㈩*㈩)<「フタホシコオロギ」の「フタホシ」から連想で。

(#ー#)<……まあ納得。
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