(#ー#)<前に述べた<妖刀>。アレの技術を応用して作られている。
(#ー#)<封じられた<モンスター>のチカラを振るえるんだが、
(#ー#)<乗っ取られる危険性が<妖刀>より高い。
(・▽・)<間接と直接では比べるべくもありません。
(#ー#)<その通り。
(㈩*㈩)<じゃあベニバナって人も?
(#ー#)<コイツはちょっと例外。これについてはまた。
◇◆◇◆
相手の変化に対してオウカは、即座に対応。
彼が手に持ったのは、奇妙なロングソード。片手剣のようであり、柄の五指が掛かる位置に引鉄が存在する。
「フッ」
ソレを振るうと、節に分かれ刀身が鞭のようになる。いわゆる蛇腹剣。
この蛇腹剣は、オウカの友達である鍛冶師が、彼の誕生日プレゼントに送った物。
彼が持っていた《ブルークロス》を再現した物であり、大きさ、長さ、重さ、重心、色合まで、殆ど再現している。
とは言え、流石の天才でも、幾つかの問題から完全再現は出来なかった。特に自在に伸縮するギミックは無理だったので、引鉄を付けた。
本人は申し訳なさそうだったが、オウカとしては申し分ない。
だが、ある理由からオウカはコレをあまり使わない。だが、今回は即座にそれを出した。
その一撃はベニバナを捉えた! だがダメージは無い。彼女が纏うオーラに阻まれていた。
「〈竜氣〉か」
中位以上の一部ドラゴンは、特殊なオーラを防御膜のようにして、相手の攻撃を種類問わず減衰可能。
更に〈竜氣〉は、扱いに習熟すれば様々な事が可能になる。
「次は│私《わてくし》の番ですわ!」
ベニバナが地面を踏み砕き、一瞬でオウカの背後に回り込む。
〈竜氣〉は完全コントロール出来れば、機動力すら上昇可能。
「はあっ!」
「おっと……」
先程より威力の上昇した拳が襲い掛かる。それをオウカは避ける。
だが、それは一撃で終わらない。
「はああああああ!」
勿論、〈竜氣〉は攻撃力を増す事すら可能。
その連続拳打をオウカは避けていく。距離の問題で、蛇腹剣は使えないと判断し、収納。
「ッ!」
無手で立ち向かうオウカ。かつてあった同じ状況と違い、余裕がないのか、軽口を叩かない。
(このままだと、やられる……)
しかも、それだけではなく。
「はあ!」
「っと」
ベニバナの踏みつけ攻撃をオウカは避ける。空振りした一撃が床を粉砕。
これが厄介だった。
ベニバナは上半身に攻撃を集中させながら、偶に下半身に攻撃を加えて来る。しかも嫌なタイミングを見計らって来る。
「やばいね……」
反撃を加える隙がない。
思わず小声を漏らすオウカ。
そんなオウカに答えるかのように、ベニバナは言う。
「さあ、見せてください! 魅せてください! 貴方のチカラは」
思いっきり拳を振りかぶる。
「この程度ではないのでしょう!」
全力の一撃。
(避けきれない!?)
両腕をクロスし防御する。
そこへその一撃が着弾! オウカは吹き飛び、壁に叩きつけられた。
壁に叩きつけられたオウカが地面に倒れる。
「サク!」
叫ぶジンナ。思わず駆け寄ろうとしたが、むくりと起き上がる彼を見て止まる。
そんな彼を見て、ベニバナは微笑む。
「ちゃんとガードが間に合いましたわね。しかも自分から吹っ飛ぶ事でダメージを押さえましたわね」
その言葉に、オウカは両手をひらひら振って続ける。
「まあね……」
こういう技術はメイド師匠から習った。
だからこそ、ダメージは少ない。まだ戦える。
(とは言え、どうしたものか……)
相手は搦め手や特殊能力を使わず、高い身体能力で戦うタイプ。
実はこういうタイプが一番厄介である。
しかも、ベニバナの場合、元からあった格闘能力と、手に入れたチカラの相性が嚙み合っているので、隙がない。
思考、思考、思考。決断。
「よし。決めた」
オウカはゆっくりとベニバナに歩み寄る。
それを怪訝に思うベニバナ。
(何のつもりですの?)
そして、拳は届く範囲に来た。
「何のつもりですの?」
心の声が出てしまった。
それにオウカは手をひらひらとさせて答える。
「いやさ、最初は距離を保って戦おうかと思ったんだ」
「ええ(。それは織り込み済みですわ)」
実はベニバナは格闘能力向上以外の手札が幾つもある。超レアな《グリーンクロス〔ドラゴン(東洋龍)〕》は伊達ではない。
「でもさ」
「ですわ?」
「それじゃあ、つまらねえ」
友達のソルドアットの戦い方は、相手の得意分野を無効化し、自分のペースに相手を引きずり込む戦い方をする。
ならば、自分は相手の得意分野で戦おう。
「だから殴り合おう、蹴り合おう」
馬鹿丸出しの脳筋戦法。
それにジンナやカミキも呆れている気配がする。
だが、そんな事知った事じゃない。
そして、その言葉にベニバナは笑う。
「うふふ、あはははははは」
「「ッ!」」
その笑みはジンナとカミキが思わず怯んでしまう笑み。
ひとしきり笑うと、ベニバナはオウカを恍惚として表情で見て、言葉を発する。
「素晴らしいですわ! そうこなくては!!」
「喜んで貰え光栄だ」
そして、お互い拳を引いて、相手目がけて拳を振るった! 両方にクリンヒット!
だが、双方共に、ダメージと痛みを意に介さず、そのまま殴り合いに移行する。
ベニバナは先程同じように、オーラによる強化。
オウカは【イーコール】で防御を強化、【レギンナグラル】で殴撃を強化、【クリドゥノ・アイディン】の〈
先程の力だけでなく、技もあった格闘戦と違い、攻撃を避けず、喰らい合う泥臭い殴り合い。
双方とも笑っていた。
そんな状況下に観戦者二人はと言えば。
「い、痛そうだな……」
比較的まともな感性を持つカミキはこうコメント。
一方ジンナはと言えば。
「……何か二人共楽しそう」
そんな事を思った。
それに反応するかのように、腰に佩いた【エスペ・アヴァンチュルーズ】が震える。
ここ最近、ジンナは自分の<冥刀>をナイフサイズまで縮小させ、腰に付けていた。
「戦いたいの? でも今は駄目だから我慢して」
その言葉を理解するかのように、【エスペ・アヴァンチュルーズ】は一際大きく震えてから止まった。
その後、オウカ対ベニバナの戦いはと言えば、終わらないと判断した、カミキが無理矢理止めた。
それには二人共かなり不満そうだったが。
******
いつもの帰り道。オウカは戦いを思い返していた。
(あの戦いは悪くなかったな)
全く同じタイプ同市の殴り合い。だからこそ楽しい。
そんな彼に懐から出て来たネラが、肩に移動しながら聞いてくる。
因みに、ネラはあの殴り合いの時は、オウカの足に捕まっていた。殴り潰されるのは御免である。
「
「戦闘狂って程でもないと思うけどな……」
確かに、戦いが楽しいと思う事はある。だが。
「あの馬鹿とは断じて違う」
「比べるべくもない」
マユもそう言う。
そんな二人の言葉にネラは訊ねる。
「馬鹿? 前述、人物?」
「ソルじゃない。セラでもない。まああの二人も馬鹿で変態だけど、アイツらを超える大馬鹿野郎がいた」
そうこう言っていると、家に到着する。
「まあ話しておくか。でもそれは夕飯で」
「承知」
そういう訳で夕食の準備をする三人。
とは言え、学校があった後なので、本格的な物は作らない。
大きめのフライパンにラードを入れて熱してから、そこに、解凍した冷や御飯、刻みネギ、溶き卵、ほぐした鮭、ナンプラー、オイスターソースを入れて炒めてチャーハンを作った。
「じゃあ話の続きと行こう」
オウカは食器の節約のため、フライパンのまま食べながら、話し始める。
「待兼」
機械アリ姿のネラが、小皿に盛られたチャーハンを食べながら聞く。
「ソルドアットはまだマシだ」
「アイツは強い奴にしか喧嘩を売らないし、必ず殺す訳じゃないから」
マユは中皿に盛られたチャーハンをレンゲで上品に食べながら捕捉。
「セラは殺人鬼だったけど、仕置人になってからは無暗な殺人は控えていた」
「殺人、事態、駄目」
ごもっとも。
「まあ、あの世界で不殺を貫くは無理だな。うん」
「酷すぎる環境だから」
思い返す二人。
「擦話。質悪、存在?」
「ん? ああ。いたんだよ。質が悪すぎるのが」
そうしてオウカは始める。
「なあネラ。“最強”――になるためにはどうすれば良いと思う?」
「強奴、撃破」
ネラの答えにオウカは首肯。
「うん。それは間違えじゃない。でもさ……」
一拍置いて続ける。
「強いけどあまり戦わない奴とか、強そうに見えないけど強い奴っているだろう?」
「此処、存在」
「その通り」
相棒二人の茶々をオウカは無視。
「だからさ、ソイツはそれらも倒さなきゃ最強になれないと考えた。だから――ある手段に出たんだ」
「手段?」
「全知的生命体抹殺。通称、殺戮行脚」
すなわち目が合った者は赤子だろうが、羽虫だろうが殺す。存在する全ての知的生命体と戦い、殺すことで最強を証明するという荒唐無稽の実現に向けて邁進していた。
それに加え、戦闘を楽しみ、逆境や大ピンチになると燃え上がる。
「これには流石の二人も呆れてたよ」
「当然。……疑問、存在」
「ん?」
「討伐、隊組?」
「モチのロン」
流石にアイツはやり過ぎたし、殺り過ぎだった。だからこそ、何度も幾度も討伐隊が差し向けられた。
「でも、全員返り討ち。全滅」
「……。沈黙」
だが、悪因悪果、因果応報、天網恢恢疎にして漏らさず。
「でも終わりはある」
「終焉」
「アイツは行脚の手始めに、兄弟姉妹弟子と師匠を殺してるんだけど、生き残りがいたんだ」
「其人、友達?」
「ああ」
瀕死の重傷なのを押して、兄弟子を追った。それにオウカもある理由から手を貸した。
そして、彼女は復讐を果たし力尽きた。
『ありがとうございます、サク』
『最後まで付き合ってくれて。ワタシの我が儘に付き合って貰って』
『我が儘ついでに、ワタシの最後の頼み、聞いてくれませんか?』
彼女の言葉は未だ果たせていない。
「ままならないな……」
オウカは残りのチャーハンをかき込んだ。
******
オウカが対校戦の出場を打診されて数日後。
この日は全校集会で、出場選手が発表された。
因みに、本戦出場者には当然の如くカナタの名前があり、新人戦出場者にはジンナやタナカの名前が挙がった。
そして、まだ一年生であるオウカが本戦、しかも華である「バトル×バトル×バトル」の出場には非難が相次いだ。
それに黙っているオウカではなく。
「よしやるか。お前ちょっとこっち来い」
「え……」
とりあえず、手近にいた非難していた奴を、取っ捕まえる。
「頭皮をすっぺがすガスバーナー♪」
「「やめたげて!?」」
そして、ガスバーナー(改造済み。師匠の私物)で焙ろうとしたのだが、クラスメイト複数に止められた。
「大丈夫、大丈夫。殺さないからちょっと焙るだけだから」
「「何も大丈夫じゃない!?」」
焙りは地獄である。
そんな混沌とした状況の中。
「お止めなさい!」
ベニバナが一喝する。
「これは生徒会長の決定ですわ。そして、
彼女の体から、湯気のように立ち昇るオーラが、ドラゴンのカタチを取る。
「文句があるなら、掛かってきなさい!」
オーラドラゴンが咆哮を上げる。
その言葉に、誰も逆らえない。彼女の強さは皆が知っているのだから。
因みに、近くにいた哀れな生徒達が吹っ飛んだ。
そうして、オウカの参戦を反対する意見は無くなったのだが。
「あの……?」
「うん?」
オウカにガッチリと掴まれたままの男が、オウカに頼んできた。
「離してくれませんか?」
「う~ん……」
無罪放免は虫唾が走るので。
「お前の来世は落ち武者な」
「来世は戦国時代!?」
ナイフで髪の毛を剃り上げて。
「ついでに頭蓋骨に頓馬って書いておくわ」
「意味は愚かですねー!?」
額に「頓馬」と書いてから、解放した。
そういう訳でオウカは正式に選手となった。
【コソコソ話】
(・▽・)<今言うべき話かどうかわかりませんが言っちゃいます。
(#ー#)<何を?
(・▽・)<次章か、次々章の内容は復讐に関する話です。
(#ー#)<……だから、前回あの話だった訳か。
(・▽・)<そして、サクは復讐をしたと思っている訳ではなく、
(・▽・)<復讐者と関わっています。しかも二人。
(#ー#)<二人? 一人は大馬鹿を追う奴だよな。もう一人は?
(・▽・)<序盤の方に少しだけ触れられてます。ほら、異世界外道エピソードで滅んだ四つの国のお話を覚えてます?
(#ー#)<……ああ、そんなのあったな。確か大国の自作自演で、小国三つが滅んで、大国も小国の生き残りの手によって滅んd……あ。
(・▽・)<はい。それです。その人に関わってます。
(#ー#)<でも、それこの章関係ないだろう?
(・▽・)<……。
(#ー#)<何その沈黙。
【TIPS:竜氣】
(#ー#)<一部の竜が持つオーラ。使い方は、その個体によりけりだが、
(#ー#)<一般的には、防御膜のようにして攻撃を減衰・遮断する。
(#ー#)<ただし、全ての攻撃に適応されちまうから、減衰・遮断率は低め。
(#ー#)<……のはずなんだが、その中の一部は色々工夫する。
(・▽・)<具体的には?
(#ー#)<出力を上げたり、性質を変えて特定のモノへの防御力を増す。
(#ー#)<そんで、更に練度を上げると、手足や翼に集中させて、攻撃力と機動力を上げる事も可能。
(#ー#)<これは難易度が少し高めだな。制御ミスると自傷しちまうから。
(㈩*㈩)<その辺はどこも変わらない。
(#ー#)<そして、ここからが本番。
(・▽・)(㈩*㈩)<本番?
(#ー#)<これは追々。