冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【コソコソ話】
(#ー#)<そういや、こっちのロボは操縦するタイプだがよ、

(㈩*㈩)<うん。

(#ー#)<機体型はどうなんだ? あのロボみたくモーションなのか?

(㈩*㈩)<人によって変わる。

(㈩*㈩)<操縦が上手な人は、操縦桿やペダルが付く。

(㈩*㈩)<白兵戦が得意な人は、動きに同調する。

(㈩*㈩)<だから、どっちでも無駄にならない。

(#ー#)<なるほどな。だから一際高いのか。

(・▽・)<どれぐらい高価なのですか?

(#ー#)<普通? のタイプが億で取引されるんだが、

(#ー#)<機体型は百倍以上。

(・▽・)<うわ……。

(㈩*㈩)<アイツが知ったら喜びそう。




 ジンナの説明を受けて納得するオウカ。そこへカミキが、湯呑み、海苔煎餅、豆大福を盆に乗せてやって来た。

 

「持たせたね。因みにコレは副会長の趣味だ」

「そうなんだ……」

「あの人、和物が好きだから。サク君も見た事あるでしょ? セーラー服を着ないで、大正浪漫な格好した人」

「ああ!」

 

 確かに見た事ある。

 矢絣の着物に海老茶色の袴、そして黒のブーツ、頭には大きなリボンをしていた。

 アレが副会長。

 

 納得すると同時に、疑問が湧いた。

 

「……それって良いの? 校則的に」

 

 そういえば、リアもセーラー服とシスター服を折衷してたなと思ってると、会長が苦笑いしながら答える。

 

「ギリ合法なんだ」

 

 高校では、決まった制服を着る決まりがあるが、改造は許可されている。とは言え、公序良俗に反しない範囲である。

 

「彼女曰く、『公序良俗には反しないですわ』だそうだ」

「「何か違う」」

 

 思わずツッコミをいれる二人。

 

 そして、お茶とお菓子を頂いて、本題が切り出される。

 

「オホン。さて。君を呼び出した理由は」

 

 一拍置いて続けるカミキ。サングラス越しの瞳がオウカを捉える。

 

「対校戦の目玉、バトル✕バトル✕バトルの本戦に出場して欲しい」

 

 その言葉にジンナは驚くが、事前にカナタから聞いていたオウカは眼を少し見開いた程度。

 そんな彼の態度にカミキが聞いてくる。

 

「予想していたのかな?」

「友人がそういう事あるかもって言ってたので」

「なるほど」

 

 ドンピシャリである。

 

「それで?」

「引き受けるのは構わないのですけど、理由を聞かせて貰えますか?」

 

 その言葉に、何を言っているんだという顔をするカミキ。そして、ジンナも同じような顔をする。

 

「それは勝つためだ」

 

 そして、カミキは問いかける。

 

「日本には、五つの<プレイヤー>育成高校がある」

 

 

本校である≪都立天ノ角高校≫

 

もう一つの東京校にして、唯一の女子高≪都立昴咲高校≫

 

鹿児島県の森の中にある≪県立森峰高校≫

 

北海道の山の上にある≪道立光ヶ星≫

 

京都府にある≪府立涼見台≫

 

 

「この五つの中で――我が校だけは総合優勝をした事がないのだよ!」

「そりゃあ<スキル>を奪うような下衆や、人の事をいじめる屑がいる所なんて、優勝出来る訳ないじゃないですか」

「サク!?」

 

 辛辣なオウカの言葉にジンナが叫ぶ。それにカミキは怒るどころか、苦笑を浮かべる。

 

「耳が痛いな。実際その通り。でも今年はそういった輩が一気にいなくなったからね」

 

 ヨシムラの件で、芋づる式に生徒と教員含めて一気に高校から去らせ、補填として、色々な生徒を途中入学させたらしい。

 

「だからこそ、今年は優勝したい。協力してくれるね」

 

 その言葉にオウカは頷いた。

 彼の言葉にカミキはほっとしたような顔をする。

 

「良かった。こればっかりは強制出来ないからね」

「そういうものですか」

「ああ、バックレられても困るからな」

 

 因みにヨシムラは選ばれてバックレた。

 

「とは言え、タダで出場させるのもどうかと思う。だから何か望みはあるかね?」

「望みって全員に聞いているんですか?」

「ん? 人によるな。出たい人もいるが、出たくない人を説得するのに使っている」

 

 実力を隠しておきたい、目立ちたくないと言う人はいる。富と名声は程々で良いという人もいる。

 

「そうですね……」

 

 考えるオウカにジンナが訊ねる。

 

「《クロス》の盗難は?」

「それはアシヤ先生が動いている」

 

 あの人、責任感じて色々やってくれているらしい。とは言え結果は芳しくないが。

 この間、偶然鉢合わせして夕食を奢って貰った時に愚痴っていた。

 

(それにはっきり言ってもうソレはどうでもいいし)

 

 そんな事を思っていると、カミキが付け加えるように言う。

 

「それについては他の面々も動いているよ。こんな事続いては駄目だからね」

「そうですか……」

「まあ、敵もさるもの引っ搔くもの、尻尾を掴ませないが……」

「どこにいるんでしょうね。犯人」

 

 首を捻る三人。

 

「おっとと、脱線した。それで?」

「……今は思いつかないので保留で」

「わかった。ああ、それと」

 

 カミキはこう言う。

 

「反撃と正当防衛は構わないが、やり過ぎないように。流石に人死には困る」

「わかってますぅー」

「「それ、分かっていない人の返事!?」」

 

 そんなツッコミを二人から貰った時だった。

 

「こんにちはですわー」

 

 一人の人物が生徒会室に入って来た。

 それは先程まで噂をしていた人物だった。

 

「おや、ジンナさんと……貴方は確か……」

 

 校則ぶっちぎって(ギリ合法?)着物と袴を着ている少女。内履としてブーツを履き、頭には大きなリボン。

 

「確か、サクヅキ=オウカさん……ですわね」

「おう。そう言う貴方は……ハ○カラさん」

「違いますわ!? 誰ですわ!? (わてくし)はハナヤマ=ベニバナですわ!」

 

 お嬢様口調で名乗る少女。そんな彼女にオウカは訊ねる。

 

「おう、悪い。それで俺の名前はよく知っていたな?」

「……貴方有名ですもの。突っかかってくる人を、ボッコボコにしてるって」

「撫でる程度なのに」

 

 そんなオウカに三人が半眼になってツッコミを入れる。

 

「関節を曲げる事が?」

「河童や落ち武者にする事が?」

「舌をカットする事が?」

「よく見てる……というか聞いたのか?」

 

 そんな返しをしてオウカは続ける。

 

「そうだよ。俺の親友……達だったら、もっと過激だ」

「「達!?」」

 

 オウカは思い返していく。

 

「例えば……」

 

 真っ先に思い浮かんだのは、夢に見た友。

 

ソルドアット(アイツ)は……達磨にしていたし」

「「……」」

 

 因みに、河童と落ち武者にもしていたが、彼女はもっと深く斬り、脳無人間を量産していた。流石に過激なのでコレは言わない。

 

「後、シスターの友達なんかは、やられたら倍返しにしてたな」

「ぐ、具体的には……」

「左の頬を叩かれたら、右の頬に肘打ちしてから、ボディブロウ」

「「やり過ぎ!?」」

 

 因みに、金的で睾丸どころか、内臓まで潰していた。流石に過激なのでコレも言わない。

 

「な、穏便だろう?」

 

 そんなオウカの言葉にジンナが吐き出したツッコミは。

 

「比較対象が可笑しいだけ」

 

 ごもっとも。

 

「それでカミキ会長。一体何のお話されていたのですの?」

「ああ、キミにも無関係じゃないからね」

 

 そう言ってカミキは、ベニバナにオウカにバトル×バトル×バトルの本戦出場への依頼をした事を話す。

 なんでも彼女も本戦に出るらしい。つまりはチームメイト。

 

「なるほどですわ!」

「反対しないの?」

 

 すんなり受け入れたベニバナにオウカは訊ねる。

 それにベニバナは答える。

 

「だって、貴方は身のこなしに隙がありませんもの。それに戦場を潜り抜けた感じがしますわ」

 

 どうやら見抜いているらしい。

 

「そう言って貰えると助かるよ。俺はどうにも強さが見えないって言われるからね」

 

 オウカは意図して圧を出さないと、強く見えない。

 どれだけ強くてもそう見えないタイプは少ないがいると、戦闘狂(ソルドアット)も言っていたなと思い返していると。

 

「とは言え、どういう戦い方なのか知っておきたいので、一戦交えません事?」

「んー」

 

 少し考え、断る理由もない。それに、

 

「わかった」

「そうこなくっちゃですわ!」

 

 この大正浪漫がどう戦うのか見てみたい。

 

「と言う訳で会長。お願いしますわ」

「はいはい」

 

 

 ******

 

 

 そういう訳で、場所を移動し、戦闘服に着替え向かい合うオウカとベニバナ。

 共に武器は持たず、無手。

 

「エモノは良いんですの? 貴方は確か刀とかナイフを使ってましたわよね?」

「ん? ああそっちは素手のようだし。相手に合わせる」

「舐めてますの?」

 

 声のトーンが下がる。そんな彼女にオウカは誠意をもって答える。

 

「舐めてない」

「そ。ならいいですの」

 

 すんなり引き下がったベニバナ。

 そんな彼女にオウカは聞く。

 

「さっきもそうだけど、すんなり引くよな」

「引くべき所は引くのが(わてくし)ですわ」

「そうかい」

 

 そして、審判代わりのカミキが会話が終わったのを見計らい、言葉を発する。

 

「勝敗は意識喪失、降参、戦闘続行不可能な怪我で決める。では、始め!」

 

 その言葉に両者飛び出す。

 

「ハア!」

「てや!」

 

 選んだのは双方共に拳の一撃。それは互角。

 そして始まったのは殴蹴の応酬。奇しくも両方同じタイプだった。組み合ったりはせず、殴り蹴る。受け避ける。

 ただこの二人タイプが違った。

 

「サクヅキ君が一撃決める間に、副会長は数撃を打ち込む」

 

 審判のカミキが分析する。

 オウカはパワー寄りなら、ベニバナはスピード寄りだった。

 だが、それ以外は全く同じスタイル。

 そして、この二人は……。

 

「笑ってる?」

 

 唯一の観客であるジンナが気づく。この二人が笑みを浮かべてる事に。

 

 その時だった。

 

「うふふ、あはは!」

「ハハハハハハ!」

 

 お互い殴り合い蹴り合っている最中、ベニバナとオウカが笑い始めた。

 

「楽しいな! ハナヤマ副会長!」

「つれませんわね! サクヅキ=オウカ! 敬語をやめなさい! それと名前で呼びなさい!」

「だったらそっちもそう呼べやベニバナァ!」

「構いませんですわ! オウカ!」

 

 そうしてお互いの拳がお互いの頬にヒット。とは言えまだお互い倒れない。

 

「ここからが本番ですわよ」

 

 その言葉と同時、眼の白黒が反転。瞳の色は緑。

 更に、ベニバナの体が変化する。頭部に角が生え、肌に鱗のような紋様が現れる。そして、腰から尻尾が生えた。正に龍人態とでも言うべき姿。

 オウカは分析する。

 

「ドラゴンか……」

 

 《グリーンクロス〔ドラゴン(東洋龍)〕》と言った所だろうか。だが、それだけではない。更にオーラが体から立ち昇り、それがドラゴン(西洋竜)の姿を取り咆哮を上げる。

 

 その姿にジンナはある事を思い出す。

 

「会長は“二ツ神”で、副会長は“竜龍(ダブルドラゴン)”って聞いたけど、こういう事だったんだ……」

 

 そして戦いはここからが本番だった。

 

 

 ▼▽▼

 

 

 その少女の始まりは、母親から買って貰った絵本を見た事から始まった。

 そこに描かれていたのは――ドラゴン。

 

「かっこういいな……」

 

 飽きる程見た。そのせいでボロボロになってしまったが、今でもその絵本は宝物。

 そこから、彼女の私物はドラゴンに染まっていった。

 

 次の転機は、父親との散歩で池の錦鯉を見かけ、彼から聞いたある言葉。

 

「知っているか? 鯉はな、龍に……ドラゴンになるんだ!」

「ほんとう!」

「ああそうだ!」

 

 中国の故事で、黄河に「竜門」と呼ばれている激しい急流があると言われていた。急流のふもとに集まっている鯉は、決して「竜門」を登ることができないとされていた。だが、登ることができた鯉は竜になれる、という言い伝えがある

 

「ねえ、おとうさま」

「何だ」

「わたしもドラゴンになれるかな?」

 

 その言葉に、父親はう~んと迷い始めた。恐らくなれないと正直に言えなかったので、上手い言い訳を考えていたのだろう。

 そして、思いつかなかった結果。

 

「頑張ればきっとなれる!」

 

 こう言った。言ってしまった。

 

 そこから、彼女は鍛錬を始めた。

 体を鍛え、道場に通う。一番しっくり来たのは徒手空拳だった。

 そして、体だけでなく、心や頭も成長するにつれて、あの時の父が自分を傷つけないようにああ言った事も理解した。

 でもしかし。

 

(今は<スキル>がある時代ですわ。だったら何かしらドラゴンになる手段があるはずですわ)

 

 何かしら方法があるはずだと、模索していく。

 そして、二つの手段に辿り着く。

 

 一つ目が《クロス》。

 パッチテストは大丈夫だったので、投与可能なのだが、《グリーンクロス〔ドラゴン〕》を引き当てねばならないので、それは滅茶苦茶可能性が低い。

 ……まあ最悪はドラゴン関連の生き物ならまあいいかとも思っている。それでも可能性は低いが。

 

 二つ目が<シャーマン>となる事。

 大きく分けると、従えるか、降ろすかのどちらかで、彼女が狙うのは降ろすタイプ。

 とは言え、こちらも狙った<モンスター>を呼んだり、契約出来るかが出来るかはわからない。完全ガチャの《クロス》よりはマシだろうが。

 

「ままなりませんわね……」

 

 そんなある日の事だった。

 偶然、ネットのサイトで見かけた“とある団体”が自己強化のためにおこなう方法の改良版。それは特殊な珠に<モンスター>封じて、それと融合する事

 元々、特殊な<モンスター>と契約・融合してチカラを得る方法をソコはやっていたのだが、これをもっと手軽に出来ないかと模索した“とある天才”が開発した方法。

 とは言え、この方法は<妖刀>と融合するようなモノであり、リスクはそれ以上。だからこそ、症例は少なかったのだが。

 

「これですわ!」

 

 彼女はソレに目を付けた。そして、(当然の如く)追放された施術者をどうにか見つけ出し、頼み込んだ。

 実はこの人物も、被験者を探しており、お互いのメリットが一致したうえ、更に好都合な事に、丁度ドラゴンの【封珠】が存在した。

 

「お願いしますわ!」

「君、躊躇いとかないの?」

 

 流石の施術者も困惑する程の勢いだった。

 そして、施術は成功したのだが、彼女のバイタルは急速に停止していった。

 このままでは不味いと感じた施術者が使った手段が――《クロス》の投与。元々、死に掛けの人の生命力を活性させるために取る事もある手段。

 

 そしてその結果。

 

(わてくし)はドラゴンになりましたわ!」

 

 彼女――ハナヤマ=ベニバンはドラゴンになった。“竜龍(ダブルドラゴン)”がここに誕生した。

 これは余談だが、全部親には無断だったため、ベニバナは滅茶苦茶怒られた(笑)。




【TIPS:とある団体】
(#ー#)<前に少し述べた特殊な<シャーマン>が多数所属。

(#ー#)<契約した特殊な<モンスター>を取り込む事でそのチカラを振るう。

(#ー#)<ここについてにはいずれ詳しくやるからその時に。

(・▽・)<ウ○トラマンのアレみたいですね~。

(#ー#)<詳しく言わなかったのには感謝してやる。


【TIPS:とある天才】
(#ー#)<マッドサイエンティスト扱いされそうだが、実は滅茶苦茶良い人。

(・▽・)<谷○鬼十みたいな?

(#ー#)<例え悪いがこれが近いんだよな……。

(㈩*㈩)<今、生きているの?

(#ー#)<ああ。ハナヤマの親の伝手で、医者みたいな事やってる。
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