《ブラウンクロス》
(#ー#)<動物全般だな。哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類
(㈩*㈩)<脊椎動物ばかり。無脊椎と植物は?
(#ー#)<種類に寄りけりだな。
(#ー#)<昆虫や蟲は《ヘーゼルクロス》になるな。
(・▽・)<「ア○クニド」、「キ○タピラー」、「プ○トデア」の虫は入ります♪
(・▽・)<後、「仮○ライダーカブト」のワーム。
(#ー#)<言わんとしていた事言うな!?
(㈩*㈩)<いいから続けて。
(#ー#)<……オホン。んで、それ以外の動物は含むな
(#ー#)<そんで植物も似た感じだ。
(#ー#)<竹、サボテン、サラセニアとか種類はこっち。
(#ー#)<森とか自然そのものは《レッドクロス》だな。
(・▽・)<要するにモ○モリとモ○モサの違いですね♪
(#ー#)<いいから黙っとけボケナス!?
そんな攻撃が百戦錬磨のオウカに通じるはずがない。真っ直ぐに向かってくる相手など的にしかならない。攻撃を置いておけば自然に当たる。
オウカが放つ、たった一発のパンチで鼻がひしゃげるヨシムラ。防御力が上昇しているおかげか、オウガが(ワザと)手加減したせいか、先程の取り巻きよりはダメージは低い。
(な、なんてパンチだ……)
しゃがみ込むヨシムラにオウカは言葉を掛ける。
「立て下衆。まだやれるだろう?」
それを聞いたヨシムラが再びオウガに飛びかかる。
「舐めんじゃねえ!」
今度は先程のように真っ直ぐ突っ込んでこないで、スピードで攪乱してくる。
「どうだ! 目で追えないだろう!」
声だけが聞こえてくる。
「俺は最強なんだ!」
ヨシムラは再びオウガに飛びかかるが。
「死n」
「何だ? 豚足を取って欲しいのか? なら肘を逆に曲げておこう」
「アギャァアー!」
[豚ではなくジャガー]
マユのコメントを聞きながら、オウカは容赦なく右肘を壊し、ついでに肩も壊しておく。
「次は足だな。よいしょっと」
「イガァアー!?」
[耳障りな悲鳴。静かにして]
次に狙うは足。左足の関節を逆直角にする。ついでにアキレス腱も切る。
抵抗する力を奪った所で一旦オウカは立ち上がりヨシムラを見下ろす。その眼はどこまでも冷たい。そんな彼にヨシムラは声を震わす。
「な、何なんだお前は? 一体何をした?」
「何って?」
「こんな強くなるなんてあり得ないだろう!」
その言葉にオウカは口元だけ笑みを浮かべ。
「気合と努力だよ。後、テクノロジー?」
「嘘つけ!」
[嘘は言っていない。全部言ってないけど]
オウカの言葉にヨシムラは咆える。そんな彼にオウガは続ける。
「あり得ない事はあり得ないんだよ」
今までの彼の経験から出た言葉だった。
「じゃあ次はこっちの番だ」
「は!?」
「そっちの質問に答えたんだ。ならこっちの質問にも答えて貰う」
当然の事である。
オウカは前から気になっていた事を訊ねる。
「どうして人を傷つけて踏みにじるの? やられる人が可哀そうだと思わないの?」
それに対しマユから念話が入る。
[聞くのそれ?]
[いい機会だし。相手の事を理解しないと]
これはオウカの友達の教えだった。彼はこれ以外も“その教え”を大切にしている。
[碌な答えが返って来ない気がする]
マユのコメント。
そして、ヨシムラが吐き出したのは憤怒と憎悪の声。
「思う訳ねえだろう! コッチは親ガチャでスーパーレアを引いたんだ! 好き放題やって何が悪い!」
大正解。案の定酷く、ヘドロ以下で唾棄すべき戯言。
[同情の余地はなし]
[ああそうだな]
これで聞きたい事は聞けた。
「そうか、ならもういいや。取り敢えず、足を壊そう」
「グギャァア!」
これでヨシムラの両足が砕けた。
「人を傷つける事しか出来ない腕は、もういらないな」
「オゴォオー!?」
オウカは脇固めで左腕を壊す。こうして四肢が砕かれ、芋虫のようになるヨシムラ。
「痛え……痛え……」
「何が痛いだ。被害者達の痛みに比べれば、蚊が刺したようなものだ」
そして、オウカはヨシムラに馬乗りになる。
「さあ、お前が俺にやろうとしていた事をやってやる。覚悟しろよ?」
そして、
「フン! フン!」
殴打が始まった。
「どうした! お前の力は! そんなものか!」
「ごぇええ……」
ヨシムラは悲鳴をあげる事しか出来ない。そうしてボコボコにしていると、
「!」
オウカとヨシムラがいる場所に、折り紙の鶴が数羽飛んでくる。折り鶴は紙で出来た鎖に変わり放たれる。だが……
「ぐ、苦じい……」
捕えられたのはヨシムラだけ。
四肢を捩じられ、顔面をボコボコに殴られ、鎖で縛られる。踏んだり蹴ったりである。因みに紙の鎖だが、実際の強度は鉄鎖以上に硬い。
「危ない危ない」
オウカはその場にいなかった。彼は咄嗟に飛びのいて、鎖の射程から逃れていた。再びナイフを抜きながら着地。
そこへ、
「はいそこまで~」
少し間延びした声が響く。その声にオウカは警戒を解いてナイフを降ろす。
そこに現れたのは、藍色の髪をおかっぱ頭にして、糸目に狩衣が特徴の女性。その正体をマユは知らないが、オウカは知っている。
「もう決着は付いたよ~」
[……誰?]
「アシヤ先生。どうしてここに?」
アシヤ=キョウコ。
かの有名な陰陽師を先祖に持つ優秀な<プレイヤー>。この高校の教師であり、オウカの担任である。養成高校には腕の立つ<プレイヤー>を一人以上派遣する決まりがあり、彼女はその一人。
「暇だったから~?」
「その理由は教師として駄目だと思いますよ?」
この間延びした口調がキョウコの特徴。
「面白そうだったから~?」
「五十歩百歩です」
結構気さくなので、生徒からは慕われている。
「興味深かったから~?」
「面白いとほぼ同義です」
オウカの事も心配して、色々話を聞いて貰っていた。
「と言うのは~、冗談~」
漫才みたいなやり取りの後、ちゃんとキョウコは理由を話す。
「何か~、ワタシの居ない間に色々~、変なコトになっていた~」
オウカの処遇について、色々を決めようとした所で、実家の用事のせいで高校を離れていたキョウコ。先程戻ると居ない間に色々決まっていたと知らされた。
しかも、決闘が始まったと聞かされ、急いで駆け付けたそうだ。オウカは《クロス》を盗まれ弱体化中。しかも相手があのヨシムラ。そのうえ、取り巻きまで一緒と来た。これは不味いと駆け付けると、
「そしたら~、こんな状況~」
正に死屍累々。……死んでは無いが。
「やれやれ~」
その言葉と同時に今度は紙の人形を放つ。その数は数十枚。それらがヨシムラとその取り巻き達に張り付く。すると血が止まり、痛みが和らいだのか、呻き声が聞こえなくなった。
これがアシヤ=キョウコに戦闘方法。折り紙を様々な形で使い、攻撃、防御、移動、治療などを万能におこなう。この折り紙は陰陽師や退魔士が、術の発動に使用する呪符なのだが、彼女は折り紙にして使っている。
「どういう事~?」
「決闘です」
「そう~」
キョウコは周りをグルリと見渡し、糸目でオウカを見る。
「ナニか手に入れられたみたい~?」
「ええ、おかげさまで」
オウカはニッコリと笑う。目は笑っていない。
「どうやったの~?」
「偶然迷いこんだ
嘘は言っていない。
「ふ~ん」
一応納得してくれたらしい。
緊張感漂う雰囲気の中、オウカが肝心な事を訊ねる。
「勝敗は? どうなるんでしょう?」
元々これは彼の在学が掛かった決闘。それに対してキョウコは口を開く。
「どう見てもキミの勝ちでしょう~」
言質は取れた。だが、審判の意見を聞かねばならない。
キョウコがゴンダに視線を送ると……。
「そ、そんな物決まってる。お前の反則負けだ!」
「反則って……」
唖然として、フリーズしていたゴンダが再起動して咆える。
「何が反則なんです?」
ルール自体聞かされていないうえ、一対一が多対一になっている。しかも今までの審判である彼の行動を見る限り、完全に向こう側。
「致死性が高い、もしくは後遺症が残る術技は使用禁止だろうが!」
「え」
[?]
キョトンとするオウカ(とマユ)。
「どこがですか?」
「は?」
「うん~?」
妙な表情になったゴンダとキョウコにオウガは続ける。
「綺麗に斬ったから縫合は可能ですよ?」
「それに今の技術なら治るでしょうし……」
チラリと
「まだ生きていますよ?」
その言葉に絶句するゴンダ。
確かに間違いではないが。少ししてどうにか言葉を絞り出す。
「相手に過剰な暴力を与えただろう! だからだ!」
それを言われると弱い。
[どうしよう?]
[……いっそのことやめれば? 他の道はあるでしょう?]
[う~ん]
念話で会話していると、
「いやいや~、サクヅキクンの勝ちだよ~」
キョウコが意見を言う。
「確かに~やり過ぎなトコロはあるけど~」
「そうですよね!」
「これさ、もしサクヅキクンが負けていたら……どうなっていたのかな~」
「そ、それは、その……」
ゴンダは何も言えなくなる。
「そもそもさ~、こういう決闘って一対一だよね~?」
「あ、相手が希望すr」
「希望していません」
オウガは別に艱難辛苦を進んで望みはしない。
「周りの奴ら、フライング状態で攻撃を仕掛けてきました」
「さて~、ゴンダセンセイ~」
オウカの言葉に、キョウコの糸目が開眼。
「一体どういう事かな?」
間延びした口調が消える。それにゴンダは……
「あの、そ、その……」
何とか言い訳を絞り出そうとしていたが……
「お、お前らを倒せば証拠隠滅だ!」
結局、馬鹿な結論に走った。何かしらの<スキル>発動の兆候が見られたが。
「もう喋るな。耳が腐る」
「グギャア!?」
オウガは何の躊躇もなくゴンダの喉を指で破壊。勿論、これで終わりにする訳がなく、
「お前の遺伝子、後世に残すな」
「(声にならない悲鳴)!?」
急所を蹴り潰した。友人なら骨盤や内臓まで潰す金的をするが、彼は睾丸を潰すだけにする。
「これで良し」
[うん]
そんなオウカ(とマユ)にキョウコは苦笑した。
「ちょっと~、やりすぎかな~」
口調と眼は戻っていた。
「もう少し手加減出来なかった~?」
「さてどうでしょう?」
フフフと笑い合う両者。
そして、
「俺はこれからどうしましょう?」
「うん~?」
オウカの疑問にキョウコは周りを見渡す。辺り一面には命だった者が散らばっている。……死んではいないが。
「キミは、他者に対する回復や治療ってできる~?」
「微妙な所です」
「~?」
オウカの言い方に首を捻るキョウコ。
「縫う事ならできますけど、回復や治癒促進は出来ません」
「そういう事~。(縫う?)」
半分納得するキョウコ。そういう訳で、オウカはサポートに徹する事になった。そして、全員に処置を施した後、帰宅の許可を貰った。
「後はやっとくから~。ゴンダセンセイの事も任せて~」
との事。
そして、去り際に、
「悪い様に~、ならないように~、しておくからね~」
キョウコはそう言った。
******
そういう訳でオウカは帰宅の途に就いた。
「さて、どうなる?」
「大丈夫」
呟くオウカに、櫛から人に戻ったマユがコメント。
「あなたは真面目にやったのだから」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
隣だって歩く二人。ナチュラルに手を繋いでいる。
「それでこれからどうする?」
「取り敢えず今は……」
「今は?」
「夕食を食べよう」
朝食は御飯と味噌汁、昼食は野菜うどん。
こういう軽めのメニューだったうえ、戦いをしたので、お腹が空いているオウカ。マユには食事は必要ないが、栄養補給は可能なので無駄にはならず、味は分かる。
「ここ?」
「うん」
彼らがやって来たのはハンバーガーのチェーン店。程々の値段で、ハンバーガー、サイドメニュー、飲料のセットが食べられる。
「久しぶりにこういうの食べたかったんだ」
「確かに、
オウカは、照り焼きハンバーガー、チキンナゲット(ソース付)、100%オレンジジュース。
マユは、野菜バーガー、ポテト、ジンジャーエール。
「炭酸好きなのか?」
「シュワシュワ感が好き」
会話を交え食事を取る。時にマユがポテトにナゲットのソースを付け味変したり、オウカがポテトを分けて貰ったりしながら、ゆっくり食べていく。
「それにしても」
「うん?」
「俺はこれからどうすればいいんだろう?」
そんな時、オウカからポツリと漏れたこの言葉。
「と言うと?」
「
だからこそ、進む事に躊躇いはなかった。
だが今は、目的が特にない。
「正式な<プレイヤー>になる事は?」
「あくまでソレは通過地点」
マユの疑問にオウカは答える。
実際、<プレイヤー>を目指したのは、「高卒の方が中卒より有利」と同じ感覚である。とは言え五つの高校のどれかを卒業した方が、色々有利なのは間違いない。
「今までは考えてなかった?」
「目の前の事で手一杯」
異世界に行く前は、チカラを手に入れる事が優先だった。だからこそ高校入学したのだが、
「手に入れたと思ったら、このザマだけど」
肩を竦めるオウカ。実際彼は《クロス》を盗まれた。
そんな彼にマユが訊ねる。
「能力を盗んだ奴を見つけるのは?」
「ソレな」
残りのハンバーガーを口に放り込み咀嚼して答える。
「はっきり言って、今はどうでもいい」
「返して欲しくないの?」
「代わりがある」
そういうとオウカの指からは赤い糸が出て来る。
「総合値ならこっちの方が上」
「でも、術技の習得は?」
その言葉にオウカの顔が少し歪む。
実はオウカが盗られたのは《クロス》だけではない。ソレにより付随・拡張する<スロット>まで盗られている。元々少ないがあったモノすら根こそぎ盗まれた。
「……」
「沈黙の肯定」
そのせいで、彼は<スキル>を覚える事が不可能になっている。そして、それは今も変わらない。
「まあ正直言って、返しては欲しい」
「うん」
だが、ソレよりも、
「でも、塵以下、糞以下の下衆野郎に関わるのはゴメン」
人の大事にしているものを、盗むような奴はソレ以下である。そんな奴には関わりたくない。そんなオウカの言葉にマユは、
「食事中に糞とか言わない」
「モゴォ!?」
食べ途中の野菜バーガーを、オウカの口に突っ込む。オウカはモゴモゴしながらどうにか咀嚼する。そして、
「はい」
「ん」
マユの渡したジンジャーエールを飲むオウカ。どうにか飲み終えたオウカは抗議しようとする。そんな彼に彼女は、
「な、何をすr」
「わかった。取り敢えず」
そう言ってマユは笑った。
「幸せになろう」
「え」
「あなたは頑張ったのだから」
マユはよしよしとオウカの頭を撫でる。その言葉と行動に彼は呆然としていたが、
「俺、幸せになっていいのか?」
「良いと思う。少なくとも人に迷惑かけていないし」
「
やんちゃのレベルが桁違いである。だが、
「
マユがすぐさま答える。
異世界では、人に迷惑をかけ、不幸のどん底に落とす大馬鹿野郎ばかりだったので、そんな奴は幸せになるどころか、生きる資格すらない。今日の決闘相手達? アレらも人間ではない畜生なので除外。
「そうか」
「うん。取り敢えず色々してみたら?」
「色々か」
「友達作りとか、新しい趣味の発見とか、学生生活を楽しむとか?」
「フム」
その意見に否定する要素はない。ならば、
「わかった。頑張ってみる」
「頑張らなくても。力を抜いて」
そう言うとマユはオウカの手を握る。
「それと術技ならわたしが代わりになる」
指を絡ませ更に告げる。
「わたしを選んだ事を後悔させない」
そして、食べ終えると二人は店から出た。そのまま帰途についた。
その道中、
「手を繋いでも良い?」
「ん」
マユから訪ねオウカは頷く。そして手を繋いで、指を絡ませて仲良く帰って行った。
序章 Fin. Next 間章……
【コソコソ話】
(#ー#)<アシヤの先祖は、皆さんお馴染みの陰陽師。
(#ー#)<蘆屋道満だ。
(・▽・)(㈩*㈩)<誰でもわかります。
(#ー#)<言うな!? 因みに他の陰陽師の子孫もいる。
【後書】
(・▽・)<次の更新は次週。
(・▽・)<ストックはまだあるので。