(#ー#)<自然属性を操作する能力を得られる。
(・▽・)<炎、光、風とかですか?
(#ー#)<ああ。でも派生や細分化される場合もある。
(㈩*㈩)<と言うと?
(#ー#)<前も説明したが、火力の高い炎だけ、竜巻だけって奴もいるし、
(#ー#)<光全般なら攻撃、防御、回復までこなす奴もいる。
(#ー#)<同じ使い手でも個性が出る。それが《クロス》だ。
(・▽・)<範囲広い方が応用効きそうですけど……。
(#ー#)<その分、消耗が激しかったり、何かしら制限がある。
(#ー#)<だからどれが強いとは言えん。使い方次第だ。
(㈩*㈩)<そう言うの何か好き。
(・▽・)<同感です♪
******
そうして次の日。
五人は昨日と同じ部屋に集まり、動きやすい恰好に着替え、ストレッチをしてから、カミキが四人に声を掛ける。
「さて、まずは戦おう」
「いきなりかよ」
スドウのコメントに頷くカミキ。
「その方が色々わかりやすいからね」
「一応そうですわ……」
どうにか納得したベニバナ。カナタがカミキに訊ねる。
「それで順番と組み合わせは?」
「ああ、まずは……」
そういう訳で十メートル程離れて向かい合うのは――カナタとベニバナ。
カナタは、複数の刀を佩刀したスタイル。指と手に複数の呪符を持っており、準備万端。
ベニバナはいつもの恰好に、たすき掛けスタイル。こちらは剣や槍などの武器は持たず、ガントレットやレガースなどの防具は付けてないが、これで準備万端。
カミキは審判になり、オウカとスドウは壁際で観戦。
カミキは二人を見渡し告げる。
「さて、今回のルールは、公式の大会でも使われている方式で行く」
彼が出したのは、首飾り。よく見ると、カナタとベニバナも付けている。
コレは【VFペンダント】。
特殊な防護膜――
……まあ百パーセントという安全という訳ではないうえ、特殊な結界が張られた空間のみと制限はあるが。
「これの数値がゼロになったら負けだ」
「「わかりました(ですわ)」」
「では――始め!」
■□■□
その言葉と同時、両者共に動く。
カナタは呪符を飛ばしながら、間合いを詰めにかかる。
ベニバナは息を吸い込み……
「かっ!」
口から吐き出したのは熱線。ドラゴン御馴染みのブレス攻撃。カナタの呪符攻撃を薙ぎ払うが、カナタは咄嗟に上に逃れ無事。
空中を滞空して、腰から抜刀したのは、薄い刀――【薄閃】。白刃が伸び、ベニバナに襲い掛かる。だが、それをベニバナはオーラを展開し受け止める。
だが、
「甘い」
「!?」
刃はオーラの防御を突破し、VF数値を削る。
不味いと判断したベニバナはオーラの出力を増す。そして、手で刃を掴み取ろうとするが、直ぐに引っ込めるカナタ。
そして、地面に着地しながら、【雷丸】を抜刀して雷攻撃を仕掛ける。だが、それを見たベニバナの顔は喜悦に染まる。そして、上空目がけ口を開ける。雷が吸収された。
「な!?」
流石に驚くカナタ。
そんな彼女にベニバナは笑ってこう言う。
「お返しですわ」
口から吐き出したのは雷のブレス。
それをカナタは呪符の障壁で防ぐ。
そして、次に二人が下した判断は――単純。
ほぼ同時にそこから、飛び出す。カナタはスピードアップの【翼】とコスト削減の【助格】を抜刀、ベニバナはオーラを両手に集中。
そして、カナタは右手の【翼】を振るい、ベニバナは右拳を繰り出す。
「ハア!」
「ふん!」
ぶつかり合う。そのまま拳と剣がぶつかり合い拮抗。
そして、そのまま連続して拳と剣が何度もぶつかり合う。
パワーではベニバナが上。だが、カナタは技と速さで対抗している。
ベニバナは素直に称賛する。
「流石ですわ!」
「それほどでもありません!」
返事をしながらカナタはわかっていた。このままでは先に力尽きるのは自分だと。
(賭けに出るしかないわね)
これはあくまで模擬戦。でもこれに負けてしまったら。
(彼の横に立てない気がする)
今は友達の彼の事を思った。
魔法発動には、様々な手段がある。
カナタの場合、呪符を使った方法を取る。
東洋の術者――陰陽師や退魔士等がよく使う方法であり、事前準備と素材が必要と言うデメリットがあるのだが、それを除けば、発動は速いうえに、少ない魔力で大規模な術を発動可能というメリットがある。
カナタは時間がある時に、大量の呪符を作って置き、体のあちあこちらに仕込んでいる。……下着の中にすら仕込んでいる。
久遠家の騒動前はそれだけだったのだが、あの戦いを経て、それだけではいけないと彼女は思うようになった。
だからこそ、彼女は特殊な【匣】を使うようになった。
コレは呪符の出し入れしか出来ないのだが、呪符ならば凄まじい量の収納が可能なうえ、任意の位置に配置可能。しかもかなりコンパクト。
それがこの戦闘でも役立っており、これからやる事にも役立つ。
「さて、始めましょう」
接近戦でバチバチぶつかっていたが、突如、ベニバナの渾身の一撃を使い、後ろに下がるカナタ。
それと同時に、ベニバナの足元に大量の呪符を設置。
用途は拘束。光の縄がベニバナを捉える。
「こんなもの……ですわ!」
無理矢理引き千切ろうとするベニバナ。縄がミシミシ言っており長くは持たない。だが、時間は稼げる。
カナタは使っていた二刀を納刀。代わりに両手で構えるのは柄と鍔だけの刀。
銘は【瞬刃】。
(必要なのは高威力の一撃)
今からやる事は、コレだからこそできる。
「フウ……」
大量の呪符が足元に現れる。その中に貯め込まれていたエネルギーを【瞬刃】は喰らっていく。それと同時に刀身が形成されていく。
拘束を解こうと藻掻いていたベニバナはそれを見た。彼女の動きが止まってしまう。
(アレは不味い……ですわ)
アレは放たれたら終わる類のモノ。
発動前に止めなければならない。
ならば。
「ああああああ!!」
咆哮を上げるベニバナ。
オーラの出力が増す。それに加え《クロス》のチカラをパワー重視に振り分ける。
その結果、拘束が千切れ飛ぶ。
そして、ベニバナはカナタの方へ全力で向かう。
だが、それは。
「間に合いましたね」
一手遅かった。
カナタの手にある、【瞬刃】の刀身が完全に形成されていた。
「ハア!」
「!?」
カナタの一閃。それをベニバナは防御の態勢を取り、オーラを集中させて防ごうとした。
その結果。
「それまで! 勝者クドウ=カナタ」
カミキの声が響いた。
◇◆◇◆
勝利したカナタの取った行動は……
「サク君、勝ったよ~」
オウカへ駆け寄っての報告だった。
それにオウカは微笑んで答える。
そして、二人はハイタッチする。
「見てました。前より強くなってましたね」
「私だって鍛えているもの」
そう言って笑うカナタ。
そんな彼女にオウカは気になった事を訊ねる。
「そういえば、あの刀は?」
「ああ、【瞬刃】の事ね」
そう言ってカナタは手に持っていた【瞬刃】を見せる。刀身は消え柄と鍔だけに戻っていた。
「この間の大捜索で見つかった武器よ。エネルギーを大量に吸った時のみ刀身が現れるの。威力は高いし、概念攻撃も含んでいるんだけど……」
「……短時間しか使えない?」
「そう。実戦じゃ少し使いにくいわね」
そう言ったカナタ。
その武器を見たマユがコメントする。
[【アル・マヒク】みたい……]
[ああ確かに]
[何其?]
[似たようなのがあるの?]
知っているオウカは同意するが、知らないネラとカナタが訊ねる。因みに念話での会話である。
知らない二人に知っている二人が説明する。
[那由他の作品。だったよな?]
[うん。合ってる。センスを大事にしていた]
マユが懐かしそうに話す。
[彼女の作品は、代償が軽かったり、無いに等しい。【アル・マヒク】はその筆頭]
[能力は簡単。鞘に納刀していると、使い手の剣気を吸収して蓄積。納刀時間が長ければ長い程強化する。上限なし]
[[納得]]
二人の説明に納得する二人。
[まあ溜めない状態だと、殺傷力はスポンジの刀以下だけど]
[極端]
マユの追加説明にコメントするネラ。
そんな二人の会話を聞き、カナタが気になった事を訊ねる。
[その使い手と知り合いだったの?]
[ええ。親友の切り札だったんで]
少し遠い目をするオウカ。
そんな彼にその話題に触れていいか迷うカナタ。
(サク君、地雷がどこに埋まっているかわからないものね……)
そんな事を思っていると、オウカが別の話題を振って来る。因みに念話ではなく、ちゃんと唇では話す。
「呪符の展開のスピードと規模も上がってましたね」
「ん? ああそれね」
カナタが服の右袖を形までまくり上げる。そこにはカードケースのような【匣】があった。
「コナタ兄さんが使っていたモノよ」
「へえ……」
何でも、呪符しか出し入れ出来ない代わり、それに関する様々な機能があるそうだ。
「道具頼りって言われたらお終いだけど……」
そんな彼女にオウカは言う。
「少なくとも俺には、鍛錬の成果もわかるから、大丈夫」
その言葉にカナタは軽く微笑んだ。
■□■□
一方、ベニバナは放心していた。
実は彼女、チカラを手に入れてから、敗北経験が少ない。実際、この高校最強(と言う事になっている)の、カミキとも互角に戦えた程だった。
だが、カナタには負けてしまった。
とは言え、ずっと落ち込んでいる訳にも行かないので、自分の敗北原因を分析していく。
(力、速さ、防御力は
だが、カナタはベニバナと渡り合っていた。
(ですが、技、経験、手数は向こうが上)
多種多様な呪符と幾つかの刀。それらで渡り合って見せた。
(多少舐めていたのは認めましょう。ですが……)
こんなあっさり負けるとは思わなかった。
すると、そんな彼女にカミキとスドウが近づいて来た。
「負けたようだね」
「ええ。……そうですわ」
カミキの言葉に素直に頷いた。そんな彼女にスドウが訊ねる。
「でもよ、ブレスと吸収以外も色々出していれば、もっと結果違っていたんじゃねえのか?」
《グリーンクロス〔ドラゴン(東洋龍)〕》は様々な技が身に付く。
ドラゴンの膂力が手に入るだけではなく、熱線放射、竜巻発生、鎌鼬攻撃が可能になる。
それに加え、ドラゴンで御馴染みのブレスも、熱線だけではなく、火、雷、風のブレスを使い、吸収し自身のエネルギーに変換する事まで出来る。更に大抵の《クロス》で身に付く身体能力の強化も、パワー特化やスピード特化と言った事もまで可能。
当たり外れが大きい《クロス》の中では大当たりの部類である。
そんなスドウの言葉を、ベニバナは否定する。
「いいえ。多分対処されてましたわ。それに……」
「それに?」
「いえ、何でもありませんわ」
言葉にしようと思ったが、止めた。
実は、ベニバナは上記の手札をあまり使わない。よく使う〈竜氣〉は、《クロス》由来ではなく、彼女が融合しているドラゴン由来。
彼女が、チカラを手に入れる前からの戦闘方法に組み合わせられないので、あまり使わないのである。
「はあ……ですわ」
溜息が漏れた。
今まではどうにかなった。だが、これからはどうにもならない敵が出るだろう。
「ままなりませんわね」
ベニバナは呟いた。
◇◆◇◆
反省しているベニバナの方へ、オウカは近づく。
とりあえず。
「どうも」
挨拶する。
それに、ベニバナは声を掛ける。
「ああオウカ。負けてしまいましたわ」
「カナタが上手でしたね」
「ええ。……敬語じゃなくていいですわ」
総合戦闘力ではベニバナが上だった。だが、自身の持ち手の出し方はカナタが上だった。
そんな彼女へオウカは助言する。
「手札色々あるんだから、組み合わせとか考えてみたらどうだ?」
「そうですわね……」
色々考え始めるベニバナ。
そんな彼女にオウカは言葉を掛ける。
「そういえばベニバナは……」
因みに、模擬戦以来呼び捨てで呼ぶ事にしているオウカ。彼が気になっていた事。
「〈竜氣〉をどんな風に使う?」
「どんな風って……、普通にオーラ状態にして、攻撃や防御ですわ。後、速さ強化にも使いますけど」
見ればわかる事なのに、何で聞くのだろう。そう思っているとオウカは更に言葉を続ける。
「〈爪技〉と〈心牙〉は出来ないんだな?」
「……何ですのそれ?」
聞きなれない言葉を訊ねるベニバナ。すると、ベニバナの口から言葉が漏れた。
「おい、お前。何でそれを知っている?」
「「!?」」
それは、声音も口調も違う声。まるで別人が口を借りて話しているかのようだった。
その言葉に、何人かがギョッとする。
一方、ベニバナは動じていないが、驚いてはいる。
「……貴方が話すとは珍しいですわね。グラド」
「気になった事が出来たからな」
「もしかして、知ってますの? 教えてですわ!」
一つの口で、グラドという存在と会話するベニバナ。
一方、オウカは冷静に、そのグラドの疑問に答える。
「俺の師匠は二度死に掛けた事がある。その内の一回が凄まじく強いドラゴンとの戦いでだ」
「なるほど」
「グラド!
納得したのか、ベニバナの内にいる存在は引っ込む。
「この男に聞け。我が話すよりもわかりやすい」
そんな言葉を去り際に残した。
そんな彼にベニバナは訊ねる。
「オウカ! 教えてですわ!」
「良いけど、その前に一ついいか?」
「何ですの?」
「今の誰?」
オウカの疑問は全員の心を代弁している。
その疑問にベニバナは
「
「嘘!? 先輩、相互理解しているんですか!?」
平然と答える。
それに驚いたのはカナタ。
彼女は昔から続く名門出身。だからこそ、<シャーマン>の危険性――乗っ取られる可能性がある事を知っている。
そして、憑依や融合の場合、押さえつけるパターンが大半であり、相互理解で力を借りる場合は少ない。
だからこその驚き。
それに対してベニバナはこう答える。
「
指を指しながら、話を続ける。
「考えるための脳があり、思うための心がある。だったら通じない道理はないのですわ」
そんなベニバナの言葉に否と言ったのはスドウ。それに賛同するカミキ。
「そう上手く行くもんか。考えの相違だってある」
「譲れない状況というのは誰しも存在する」
ベニバナの考えは所詮、綺麗ごと。だが、それにオウカは自分の考えを述べる。
「ベニバナの意見は綺麗ごとだな」
「うぐぐ」
でもとオウカは続ける。
「綺麗ごとで済むなら、それが一番いい。俺はそう思う」
「私もそう思いますよ、副会長」
カナタも同意する。
そんな二人の意見に男二人は。
「……まあ確かにそうだな」
「それで済めば一番いい」
賛同した。
「ありがとうですわ! さあ説明を!」
「はいはい」
そうしてオウカは説明を始めた。
【コソコソ話】
(#ー#)<なあ、一ついいか? 「剣気」って何だ?
(・▽・)<オーラの一種じゃないんですか? 〈竜氣〉とかも出ましたし。
(㈩*㈩)<違う。だから「気」と「氣」で使い分けてる。
(㈩*㈩)<とりあえず、この作品での剣気は――剣士の覇気、気合、意志の力。
(・▽・)<武○色とか、見○色とか、覇○色の?
(#ー#)<おい!?
(㈩*㈩)<う~ん。そう言ってもいいかもしれなけど、微妙な所。
(㈩*㈩)<覇気の元の意味の、「溢れる意気込み」とか「野心」とかが近い。
(・▽・)<じゃあ、どっちかと言うと我○?
(㈩*㈩)<うん。そっちの方が近い。
(#ー#)<ほとんどの人わからねえよ。じゃあ「氣」はオーラって事でいいのか?
(㈩*㈩)<この作品ではとりあえずそれでOK。