冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

41 / 182
【TIPS:レッドクロス】
(#ー#)<自然属性を操作する能力を得られる。

(・▽・)<炎、光、風とかですか?

(#ー#)<ああ。でも派生や細分化される場合もある。

(㈩*㈩)<と言うと?

(#ー#)<前も説明したが、火力の高い炎だけ、竜巻だけって奴もいるし、

(#ー#)<光全般なら攻撃、防御、回復までこなす奴もいる。

(#ー#)<同じ使い手でも個性が出る。それが《クロス》だ。

(・▽・)<範囲広い方が応用効きそうですけど……。

(#ー#)<その分、消耗が激しかったり、何かしら制限がある。

(#ー#)<だからどれが強いとは言えん。使い方次第だ。

(㈩*㈩)<そう言うの何か好き。

(・▽・)<同感です♪


四十一

 ******

 

 

 そうして次の日。

 五人は昨日と同じ部屋に集まり、動きやすい恰好に着替え、ストレッチをしてから、カミキが四人に声を掛ける。

 

「さて、まずは戦おう」

「いきなりかよ」

 

 スドウのコメントに頷くカミキ。

 

「その方が色々わかりやすいからね」

「一応そうですわ……」

 

 どうにか納得したベニバナ。カナタがカミキに訊ねる。

 

「それで順番と組み合わせは?」

「ああ、まずは……」

 

 そういう訳で十メートル程離れて向かい合うのは――カナタとベニバナ。

 カナタは、複数の刀を佩刀したスタイル。指と手に複数の呪符を持っており、準備万端。

 ベニバナはいつもの恰好に、たすき掛けスタイル。こちらは剣や槍などの武器は持たず、ガントレットやレガースなどの防具は付けてないが、これで準備万端。

 カミキは審判になり、オウカとスドウは壁際で観戦。

 

 カミキは二人を見渡し告げる。

 

「さて、今回のルールは、公式の大会でも使われている方式で行く」

 

 彼が出したのは、首飾り。よく見ると、カナタとベニバナも付けている。

 

 コレは【VFペンダント】。

 特殊な防護膜――VF(バリアフィールド)――を全身に展開可能で、付けた者同士のダメージを軽減できるので、安全に決闘が可能という訳である。

 ……まあ百パーセントという安全という訳ではないうえ、特殊な結界が張られた空間のみと制限はあるが。

 

「これの数値がゼロになったら負けだ」

「「わかりました(ですわ)」」

「では――始め!」

 

 

 ■□■□

 

 

 その言葉と同時、両者共に動く。

 カナタは呪符を飛ばしながら、間合いを詰めにかかる。

 ベニバナは息を吸い込み……

 

「かっ!」

 

 口から吐き出したのは熱線。ドラゴン御馴染みのブレス攻撃。カナタの呪符攻撃を薙ぎ払うが、カナタは咄嗟に上に逃れ無事。

 空中を滞空して、腰から抜刀したのは、薄い刀――【薄閃】。白刃が伸び、ベニバナに襲い掛かる。だが、それをベニバナはオーラを展開し受け止める。

 だが、

 

「甘い」

「!?」

 

 刃はオーラの防御を突破し、VF数値を削る。

 不味いと判断したベニバナはオーラの出力を増す。そして、手で刃を掴み取ろうとするが、直ぐに引っ込めるカナタ。

 そして、地面に着地しながら、【雷丸】を抜刀して雷攻撃を仕掛ける。だが、それを見たベニバナの顔は喜悦に染まる。そして、上空目がけ口を開ける。雷が吸収された。

 

「な!?」

 

 流石に驚くカナタ。

 そんな彼女にベニバナは笑ってこう言う。

 

「お返しですわ」

 

 口から吐き出したのは雷のブレス。

 それをカナタは呪符の障壁で防ぐ。

 

 そして、次に二人が下した判断は――単純。

 

 ほぼ同時にそこから、飛び出す。カナタはスピードアップの【翼】とコスト削減の【助格】を抜刀、ベニバナはオーラを両手に集中。

 そして、カナタは右手の【翼】を振るい、ベニバナは右拳を繰り出す。

 

「ハア!」

「ふん!」

 

 ぶつかり合う。そのまま拳と剣がぶつかり合い拮抗。

 そして、そのまま連続して拳と剣が何度もぶつかり合う。

 パワーではベニバナが上。だが、カナタは技と速さで対抗している。

 

 ベニバナは素直に称賛する。

 

「流石ですわ!」

「それほどでもありません!」

 

 返事をしながらカナタはわかっていた。このままでは先に力尽きるのは自分だと。

 

(賭けに出るしかないわね)

 

 これはあくまで模擬戦。でもこれに負けてしまったら。

 

(彼の横に立てない気がする)

 

 今は友達の彼の事を思った。

 

 魔法発動には、様々な手段がある。

 カナタの場合、呪符を使った方法を取る。

 東洋の術者――陰陽師や退魔士等がよく使う方法であり、事前準備と素材が必要と言うデメリットがあるのだが、それを除けば、発動は速いうえに、少ない魔力で大規模な術を発動可能というメリットがある。

 

 カナタは時間がある時に、大量の呪符を作って置き、体のあちあこちらに仕込んでいる。……下着の中にすら仕込んでいる。

 久遠家の騒動前はそれだけだったのだが、あの戦いを経て、それだけではいけないと彼女は思うようになった。

 

 だからこそ、彼女は特殊な【匣】を使うようになった。

 コレは呪符の出し入れしか出来ないのだが、呪符ならば凄まじい量の収納が可能なうえ、任意の位置に配置可能。しかもかなりコンパクト。

 

 それがこの戦闘でも役立っており、これからやる事にも役立つ。

 

「さて、始めましょう」

 

 接近戦でバチバチぶつかっていたが、突如、ベニバナの渾身の一撃を使い、後ろに下がるカナタ。

 それと同時に、ベニバナの足元に大量の呪符を設置。

 用途は拘束。光の縄がベニバナを捉える。

 

「こんなもの……ですわ!」

 

 無理矢理引き千切ろうとするベニバナ。縄がミシミシ言っており長くは持たない。だが、時間は稼げる。

 

 カナタは使っていた二刀を納刀。代わりに両手で構えるのは柄と鍔だけの刀。

 銘は【瞬刃】。

 

(必要なのは高威力の一撃)

 

 今からやる事は、コレだからこそできる。

 

「フウ……」

 

 大量の呪符が足元に現れる。その中に貯め込まれていたエネルギーを【瞬刃】は喰らっていく。それと同時に刀身が形成されていく。

 

 拘束を解こうと藻掻いていたベニバナはそれを見た。彼女の動きが止まってしまう。

 

(アレは不味い……ですわ)

 

 アレは放たれたら終わる類のモノ。

 発動前に止めなければならない。

 ならば。

 

「ああああああ!!」

 

 咆哮を上げるベニバナ。

 オーラの出力が増す。それに加え《クロス》のチカラをパワー重視に振り分ける。

 その結果、拘束が千切れ飛ぶ。

 そして、ベニバナはカナタの方へ全力で向かう。

 

 だが、それは。

 

「間に合いましたね」

 

 一手遅かった。

 カナタの手にある、【瞬刃】の刀身が完全に形成されていた。

 

「ハア!」

「!?」

 

 カナタの一閃。それをベニバナは防御の態勢を取り、オーラを集中させて防ごうとした。

 その結果。

 

「それまで! 勝者クドウ=カナタ」

 

 カミキの声が響いた。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 勝利したカナタの取った行動は……

 

「サク君、勝ったよ~」

 

 オウカへ駆け寄っての報告だった。

 それにオウカは微笑んで答える。

 そして、二人はハイタッチする。

 

「見てました。前より強くなってましたね」

「私だって鍛えているもの」

 

 そう言って笑うカナタ。 

 そんな彼女にオウカは気になった事を訊ねる。

 

「そういえば、あの刀は?」

「ああ、【瞬刃】の事ね」

 

 そう言ってカナタは手に持っていた【瞬刃】を見せる。刀身は消え柄と鍔だけに戻っていた。

 

「この間の大捜索で見つかった武器よ。エネルギーを大量に吸った時のみ刀身が現れるの。威力は高いし、概念攻撃も含んでいるんだけど……」

「……短時間しか使えない?」

「そう。実戦じゃ少し使いにくいわね」

 

 そう言ったカナタ。

 その武器を見たマユがコメントする。

 

[【アル・マヒク】みたい……]

[ああ確かに]

[何其?]

[似たようなのがあるの?]

 

 知っているオウカは同意するが、知らないネラとカナタが訊ねる。因みに念話での会話である。

 知らない二人に知っている二人が説明する。

 

[那由他の作品。だったよな?]

[うん。合ってる。センスを大事にしていた]

 

 マユが懐かしそうに話す。

 

[彼女の作品は、代償が軽かったり、無いに等しい。【アル・マヒク】はその筆頭]

[能力は簡単。鞘に納刀していると、使い手の剣気を吸収して蓄積。納刀時間が長ければ長い程強化する。上限なし]

[[納得]]

 

 二人の説明に納得する二人。

 

[まあ溜めない状態だと、殺傷力はスポンジの刀以下だけど]

[極端]

 

 マユの追加説明にコメントするネラ。

 そんな二人の会話を聞き、カナタが気になった事を訊ねる。

 

[その使い手と知り合いだったの?]

[ええ。親友の切り札だったんで]

 

 少し遠い目をするオウカ。

 そんな彼にその話題に触れていいか迷うカナタ。

 

(サク君、地雷がどこに埋まっているかわからないものね……)

 

 そんな事を思っていると、オウカが別の話題を振って来る。因みに念話ではなく、ちゃんと唇では話す。

 

「呪符の展開のスピードと規模も上がってましたね」

「ん? ああそれね」

 

 カナタが服の右袖を形までまくり上げる。そこにはカードケースのような【匣】があった。

 

「コナタ兄さんが使っていたモノよ」

「へえ……」

 

 何でも、呪符しか出し入れ出来ない代わり、それに関する様々な機能があるそうだ。

 

「道具頼りって言われたらお終いだけど……」

 

 そんな彼女にオウカは言う。

 

「少なくとも俺には、鍛錬の成果もわかるから、大丈夫」

 

 その言葉にカナタは軽く微笑んだ。

 

 

 ■□■□

 

 

 一方、ベニバナは放心していた。

 実は彼女、チカラを手に入れてから、敗北経験が少ない。実際、この高校最強(と言う事になっている)の、カミキとも互角に戦えた程だった。

 だが、カナタには負けてしまった。

 とは言え、ずっと落ち込んでいる訳にも行かないので、自分の敗北原因を分析していく。

 

(力、速さ、防御力は(わてくし)の方が上でしたわ……)

 

 だが、カナタはベニバナと渡り合っていた。

 

(ですが、技、経験、手数は向こうが上)

 

 多種多様な呪符と幾つかの刀。それらで渡り合って見せた。

 

(多少舐めていたのは認めましょう。ですが……)

 

 こんなあっさり負けるとは思わなかった。

 

 すると、そんな彼女にカミキとスドウが近づいて来た。

 

「負けたようだね」

「ええ。……そうですわ」

 

 カミキの言葉に素直に頷いた。そんな彼女にスドウが訊ねる。

 

「でもよ、ブレスと吸収以外も色々出していれば、もっと結果違っていたんじゃねえのか?」

 

 《グリーンクロス〔ドラゴン(東洋龍)〕》は様々な技が身に付く。

 ドラゴンの膂力が手に入るだけではなく、熱線放射、竜巻発生、鎌鼬攻撃が可能になる。

 それに加え、ドラゴンで御馴染みのブレスも、熱線だけではなく、火、雷、風のブレスを使い、吸収し自身のエネルギーに変換する事まで出来る。更に大抵の《クロス》で身に付く身体能力の強化も、パワー特化やスピード特化と言った事もまで可能。

 当たり外れが大きい《クロス》の中では大当たりの部類である。

 

 そんなスドウの言葉を、ベニバナは否定する。

 

「いいえ。多分対処されてましたわ。それに……」

「それに?」

「いえ、何でもありませんわ」

 

 言葉にしようと思ったが、止めた。

 実は、ベニバナは上記の手札をあまり使わない。よく使う〈竜氣〉は、《クロス》由来ではなく、彼女が融合しているドラゴン由来。

 彼女が、チカラを手に入れる前からの戦闘方法に組み合わせられないので、あまり使わないのである。

 

「はあ……ですわ」

 

 溜息が漏れた。

 今まではどうにかなった。だが、これからはどうにもならない敵が出るだろう。

 

「ままなりませんわね」

 

 ベニバナは呟いた。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 反省しているベニバナの方へ、オウカは近づく。

 とりあえず。

 

「どうも」

 

 挨拶する。

 それに、ベニバナは声を掛ける。

 

「ああオウカ。負けてしまいましたわ」

「カナタが上手でしたね」

「ええ。……敬語じゃなくていいですわ」

 

 総合戦闘力ではベニバナが上だった。だが、自身の持ち手の出し方はカナタが上だった。

 そんな彼女へオウカは助言する。

 

「手札色々あるんだから、組み合わせとか考えてみたらどうだ?」

「そうですわね……」

 

 色々考え始めるベニバナ。

 そんな彼女にオウカは言葉を掛ける。

 

「そういえばベニバナは……」

 

 因みに、模擬戦以来呼び捨てで呼ぶ事にしているオウカ。彼が気になっていた事。

 

「〈竜氣〉をどんな風に使う?」

「どんな風って……、普通にオーラ状態にして、攻撃や防御ですわ。後、速さ強化にも使いますけど」

 

 見ればわかる事なのに、何で聞くのだろう。そう思っているとオウカは更に言葉を続ける。

 

「〈爪技〉と〈心牙〉は出来ないんだな?」

「……何ですのそれ?」

 

 聞きなれない言葉を訊ねるベニバナ。すると、ベニバナの口から言葉が漏れた。

 

「おい、お前。何でそれを知っている?」

「「!?」」

 

 それは、声音も口調も違う声。まるで別人が口を借りて話しているかのようだった。

 その言葉に、何人かがギョッとする。

 一方、ベニバナは動じていないが、驚いてはいる。

 

「……貴方が話すとは珍しいですわね。グラド」

「気になった事が出来たからな」

「もしかして、知ってますの? 教えてですわ!」

 

 一つの口で、グラドという存在と会話するベニバナ。

 一方、オウカは冷静に、そのグラドの疑問に答える。

 

「俺の師匠は二度死に掛けた事がある。その内の一回が凄まじく強いドラゴンとの戦いでだ」

「なるほど」

「グラド! (わてくし)の疑問に答えてくださいまし」

 

 納得したのか、ベニバナの内にいる存在は引っ込む。

 

「この男に聞け。我が話すよりもわかりやすい」

 

 そんな言葉を去り際に残した。

 そんな彼にベニバナは訊ねる。

 

「オウカ! 教えてですわ!」

「良いけど、その前に一ついいか?」

「何ですの?」

「今の誰?」

 

 オウカの疑問は全員の心を代弁している。

 その疑問にベニバナは

 

(わてくし)がチカラを借りているドラゴンのグラドですわ!」

「嘘!? 先輩、相互理解しているんですか!?」

 

 平然と答える。

 それに驚いたのはカナタ。

 彼女は昔から続く名門出身。だからこそ、<シャーマン>の危険性――乗っ取られる可能性がある事を知っている。

 そして、憑依や融合の場合、押さえつけるパターンが大半であり、相互理解で力を借りる場合は少ない。

 だからこその驚き。

 それに対してベニバナはこう答える。

 

(わてくし)達には、話しをするための口があり、聞くための耳があるんですわ」

 

 指を指しながら、話を続ける。

 

「考えるための脳があり、思うための心がある。だったら通じない道理はないのですわ」

 

 そんなベニバナの言葉に否と言ったのはスドウ。それに賛同するカミキ。

 

「そう上手く行くもんか。考えの相違だってある」

「譲れない状況というのは誰しも存在する」

 

 ベニバナの考えは所詮、綺麗ごと。だが、それにオウカは自分の考えを述べる。

 

「ベニバナの意見は綺麗ごとだな」

「うぐぐ」

 

 でもとオウカは続ける。

 

「綺麗ごとで済むなら、それが一番いい。俺はそう思う」

「私もそう思いますよ、副会長」

 

 カナタも同意する。

 そんな二人の意見に男二人は。

 

「……まあ確かにそうだな」

「それで済めば一番いい」

 

 賛同した。

 

「ありがとうですわ! さあ説明を!」

「はいはい」

 

 そうしてオウカは説明を始めた。




【コソコソ話】
(#ー#)<なあ、一ついいか? 「剣気」って何だ?

(・▽・)<オーラの一種じゃないんですか? 〈竜氣〉とかも出ましたし。

(㈩*㈩)<違う。だから「気」と「氣」で使い分けてる。

(㈩*㈩)<とりあえず、この作品での剣気は――剣士の覇気、気合、意志の力。

(・▽・)<武○色とか、見○色とか、覇○色の?

(#ー#)<おい!?

(㈩*㈩)<う~ん。そう言ってもいいかもしれなけど、微妙な所。

(㈩*㈩)<覇気の元の意味の、「溢れる意気込み」とか「野心」とかが近い。

(・▽・)<じゃあ、どっちかと言うと我○?

(㈩*㈩)<うん。そっちの方が近い。

(#ー#)<ほとんどの人わからねえよ。じゃあ「氣」はオーラって事でいいのか?

(㈩*㈩)<この作品ではとりあえずそれでOK。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。