冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:特殊な匣】
(#ー#)<今回の呪符専用みたいに、専用のカスタマイズされているモノもある。

(㈩*㈩)<例えば?

(#ー#)<特定の物しか出し入れ出来ない代わり、容量が凄まじい物。

(#ー#)<容量が少ない代わり、一瞬で出し入れ可能な物とか。

(#ー#)<生物の出し入れ可能な物とか。まあ色々だ。

(㈩*㈩)<ふーん。


四十二

 ★☆★☆★

 

 

 〈竜氣〉、〈闘氣〉、〈錬氣〉と言ったオーラに関する<スキル>がある。総じてソレらは〈氣〉と呼ばれる。

 ……実の所、名称が異なるだけで、本質はほぼ同じである。

 コレらの使い方は、「強化」と「拡張」である。

 

 初歩では、纏う事で、相手の攻撃を減衰・遮断が出来る。

 そこから、習熟すれば、特定の攻撃――例えば、エネルギーや状態異常――に対して防御有利に働かせる事も可能。

 

 次の段階では、膂力、五感、治癒力を高め、そこから速度や跳躍力を強化する。機動系が別なのは、制御が他の系統と比べると難しいからである。下手をすると、壁のシミになりかねない。

 

 ここまでが「強化」。ここから「拡張」に入り、三つ存在する。

 

 一つ目が、物質浸透。

 一般的には、武器や防具にオーラを通し、纏わせる。そうする事で、道具の性能や強度の強化をするだけでなく、単純な、武器なら破壊力、防具なら防御力も増す。更に、投擲した際に、軌道を操ったり、手元に戻す事も可能。中には、水、大気、地面にオーラを通して自在に操作する人もいる。

 

 二つ目が、圧縮、維持、解放。

 人には、オーラの保持限界が存在する。それは戦闘を積み重ね、筋肉や循環器系が鍛えられれば上昇するが、それでも一定以上は保持出来ない。だからこそ、オーラを圧縮し、限界以上のオーラを維持出来るようにする必要がある。更に、それらを任意のタイミングで解放出来るようになれば、瞬間的な強化や、威力の浸透をしたり、爆発させたり、暴風や衝撃波を放つ事が可能になる。

 

 三つ目が、変質・変換。ドラゴンからは〈爪技〉と呼ばれる。

 固有能力をオーラとして発現させる。具体的に言うなら、火、雷、氷などの属性や、破壊、切断、貫通などの概念に変える。……稀に複合、どれとも言えない、複数持っているモノがいるが、これは例外中の例外なので脇に置く。コレは人によって違い、固有の性質が現れる。だからこそ、上記二つより習得難易度は高い。

 

 そして、それらを極めた末、極一部のモノは深奥へと至る。それが〈心牙〉。これはヒトもドラゴンも名前が共通。

 コレは言ってしまえば、固有能力の発現の最終段階。オーラを超高密度に圧縮し、物質化させる事で、自身の本質を最大限に発揮する、正に最終奥義にして、必殺技。

 

 なのだが、強力なだけあってその分、デメリットも存在する。

 体力と気力の消耗が激しいので、長時間の維持は不可能であり、更に強靭な肉体を持たないと、体が持たずに自壊してしまう。

 そして、習得には才能も必要なうえ、それ相応の修練が必要。寿命のせいで挫折したモノも数多くいる。

 

 だからこそ、深奥を知っているモノは少なく、至っているモノに関しては更に少ない。恐らく片手の指で足りる程しかいないだろう。

 

 オーラは魔力に比べれば劣るモノと言われがちだが、そんな事はない。極めれば相応に使えるモノである。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 オウカが説明を終える。

 

「ふぃ~。何か飲み物あったかな……」

 

 話疲れて何か飲もうとしたオウカに、カナタが差し出したのはノンカフェインの甘いお茶。オウカは結構お気に入り。

 

「どうぞ。サク君」

「ありがとう」

 

 喉を潤していると、スドウが訊ねてきた。

 

「……なあ、オレもこれ使えるか?」

「使えはすると思います」

 

 オウカは答える。

 

「でも、かなりの修練が必要です」

「そうか……」

「それに、先輩は色々習得していますよね? <スキル>の容量を圧迫します」

 

 <スキル>は覚えれば覚える程、それぞれの成長速度が遅くなる。スドウはオウカの分析通り、沢山覚えている。

 オウカの言葉にスドウは納得する。

 

「そうだな。うん色々考えてみる」

「そうしてください」

 

 そう言って彼は色々考え始めた。

 一方ベニバナはと言えば、色々考えていたようだが、オウカとスドウの話が終わったタイミングで話しかけて来た。

 

「オウカ!」

「何?」

(わてくし)も使えますよね!?」

「近い近い近い」

 

 顔がかなり近くになったのでそう言う。

 

「あら……失礼」

 

 そう言って離れる。そして、聞いてくる。

 

「それで?」

「使える。というか、圧縮は出来てるから、次は固有能力だな」

「〈爪技〉ですわね」

「でも、これはちょっと難しいらしい」

 

 オーラ操作には三つの壁がある。一つ目が防御以外の使用、二つ目が固有能力、そして、最後の〈心牙〉。壁は超える度、厚く大きくなっていく。

 ベニバナが超える、もしくは砕かなければならないのは二つ目の壁。

 

「何かしらきっかけが必要だとさ」

「きっかけ……ですの?」

「例えば?」

 

 カナタの疑問にオウカは答える。

 

「追い詰められた時とか。生命の危機と生存の意志」

「……そういうの多い気がする」

「アハハ」

 

 そんなカナタのコメントにオウカは苦笑する。

 一方、ベニバナは考え込み始めた。

 

 そして、会話が一段落したタイミングで、カミキが次の戦いの組み合わせを決める。

 

「さて次は……」

 

 一拍置いて続ける。

 

「自分とスドウ、そして、サクヅキ君だ」

「三つ巴か?」

「二対一?」

 

 上がスドウ、下がオウカ。

 答えは……。

 

「自分とスドウの二人掛かりで挑ませて貰おう」

「ですわ!?」

「え」

「おいおい」

 

 オウカ以外が驚く。流石にそれは予想外だったらしい

 一方オウカは。

 

「へえ……」

 

 好戦的な笑みを浮かべる。

 

 そんな四人に、カミキは告げる。

 

「これで丁度良いだろうからね」

 

 その言葉に三人も一応納得。カナタは少し心配そうだったが。

 

「大丈夫?」

「大丈夫ですよ。負けても死ぬ訳じゃない」

 

 今回はルールがちゃんとしているからこそ。

 ……退学危機の決闘が本当に酷かったのがよくわかる。

 

「まあやるからには、勝ちますよ」

 

 その言葉に男二人は――

 

「舐めんなよ?」

「先輩の力を見せようか」

 

 好戦的な笑みを浮かべた。

 

 

 ******

 

 

 そうして向かい合う三人。

 三人とも武器は持っていないが、準備万端。

 

 オウカは状況によって、武器を変えるので、こういうスタイル。

 カミキは武器は使わないので、徒手空拳。

 スドウはオウカと同じパターン。

 

 そうしてカミキが二人に声を掛ける。

 

「では勝敗は先程と同じように」

「はい」

「おう」

 

 カミキが出したのはコイン。

 

「これを投げる。落ちたらスタートだ」

 

 カミキが親指でコインを弾く。コインが上がり、重力に従い落ちる。

 そして――地面に落ちた。

 

 それと同時、二人は距離を離しにかかり、一人は距離を詰めにかかる。

 

 カミキは移動しながら、両腕をカマキリの鎌に変え、腕を振るい三日月形態の光刃を飛ばす。しかも連続して飛ばす。

 スドウは片手で撃てるボウガン出して発射する。勿論、対<プレイヤー>と<モンスター>用のボウガンで、【匣】と連動しており、連射可能な矢の数は五桁。

 奇しくもオウカに近づけさせないように立ち回る事にした二人。

 

 それにオウカは、ロングナイフを両手に構える二刀流。一気に間合いを詰めにかかる。

 

「スロー過ぎて欠伸が出るねぇ!」

 

 矢と光刃を避け、時にナイフで弾き、近づく。

 オウカは、銃や砲の速さに慣れているからこその言葉。

 それにツッコミを入れる二人。

 

「お前が速すぎるんじゃボケ!」

「……全くもって同感だ」

 

 そう言いながらも二人は対抗。

 カミキは鎌に光を纏わせ、攻撃の威力を上げ、スドウはボウガンの代わりにショートソードを二本出して近接戦に持ち込む。

 そして、ぶつかり合う。

 

「ハアアアアアア!」

「オラアアアアアア!」

「ハッハー!」

 

 斬撃がぶつかり合う。お互いのVFが削れていく、完全に互角な状況。だが、それは、冷静に考えると、実際はおかしい。

 二対一、四つの刃対二つの刃なので、数的にオウカが不利。

 だが、オウカは二倍の手数相手に渡り合っていた。

 

 それを見ているベニバナは絶句し、カナタは呟く。

 

「……!」

「流石サク君」

 

 拮抗した状況だったが、これが長く続く訳もない。

 

「テンション上げて行こうかぁ!」

「「!!」」

 

 オウカの斬撃の激しさが増していく。しかも、それだけでなく。

 

「オラよっと」

「!」

 

 偶に、踏みつけ攻撃を混ぜてくるオウカ。今回はスドウ目がけ襲い掛かる。それをどうにか避ける。

 

「足癖悪いなぁ!」

「誉め言葉どうも」

 

 オウカの足が上がる。それを見た二人は再び警戒する中。

 

「同じじゃ芸がないよねぇ!」

「うお!?」

 

 踏みつけと見せかけた前蹴り。

 スドウは対応出来ず、蹴り飛ばされた。

 だが、ただでは飛ばず、投擲ナイフを飛ばす。蹴りで足が伸びた瞬間を、二人は見逃さない。

 

「隙あり」

 

 そこに重ねるように、カミキは鎌に光を集中させた一撃を放つ。鎌に光を集中させた一撃を放つ。片足だけで避けられないベストなタイミング。

 だが、それをオウカは不安定な態勢で、投擲ナイフを避け、弾き、光鎌を受け止め、後ろに飛ぶ事で威力を殺す。

 

 そうして仕切り直しになった。

 

(スリルあるねえ。……不可思議みたいな事言っているな俺)

 

 オウカは思う。

 先程は少し危なかった。

 接近戦は自分の方が上。恐らく持ち込めば、消耗はするだろうが勝てる。だが、そんな事は向こうはわかっている。

 

(連携が出来てるし、二人共遠近万能。ならば、二人共近づけさせないだろうな……)

 

 その考えは正しかった。

 

 カミキは背に翅を展開し、空を飛ぶ。スドウは両手にボウガンを構える二丁拳銃ならぬ、二丁弩弓スタイルになる。

 そして、カミキは光弾を連射し、スドウは矢を放つ。

 それをオウカは走って避ける。ナイフは邪魔なので仕舞っておく。

 

(不味いね……。先程よりも避けにくい)

 

 カミキは腕を振るって撃つ光刃よりも、威力は劣るが連射性の高い、光弾を指から撃っている。しかも、空を飛びながら、天井近くで撃っているので、近づけない。しかも偶に威力の高い光線を撃って来る。

 スドウはボウガンを二丁にしているうえ、動きまわりながら撃って来る。しかも、何かしらのバフを載せているので威力・速度共に上昇している。

 

(反撃しようにも通じないし……)

 

 オウカはタイミングを見て、投擲ナイフを投げ、チャカを撃つが、防がれてしまう。特に、カミキの場合、守りも上手く、光を盾にする事で完全に無効化されてしまう。

 

(やりにくい……)

 

 内心溜息を吐くオウカ。

 実のところ、こういう相手との戦闘経験はあるにはあるが、少ない。そんな状況下でふと思い出したのは戦闘狂の友人。

 

(ソルを見習うべきだったな……)

 

 ソルドアットの場合、自身の戦闘スタイル――刀を使った接近戦が主体なので、オウカやモンセラートのような相手には真向勝負を挑むが、遠距離戦や、状態異常などの搦め手を仕掛けて来る相手対策を戦闘狂なだけあって、きちんとしており、そういう相手の手札を無効化していた。

 

(まあ、アレはインチキだけど)

 

 そんな事を考える。だが、そうしている内に、ドンドン攻撃の密度は上がっていく。このままでは避けきれなくなる。

 そんな事を思っていると、カミキが声を掛けて来た。

 

「サクヅキ君。<冥刀>は使わないのかい?」

「一応使ってますよ」

 

 今も【イーコール】を使用している。本当に便利であり、移植してくれたディアンには感謝しかない。

 そんな事を思っていると、スドウも声を掛けて来る。

 

「お前、色々持っているんだろう? だったら出してみろ」

 

 そんな二人の意見に、否を唱えたのはカナタ。

 

「先輩方。其の場合、この場所どころか、高校が消し飛ぶのもありますよ」

「「え!?」」

「……下手するとそれじゃ済みそうにないのも」

「「は!?」」

 

 ギョッとするベニバナとスドウに対し、カミキはああそうかとわかりきったような顔をしてから告げた。

 

「まあそういうのはやめてくれ。火力が調整しやすいので。それと」

 

 一拍置いて続ける。

 

「大きすぎるのも駄目だ」

 

 その言葉にオウカは、彼が学外実習で何をしたのか知っていると察する。

 

(まあ知っててもおかしくないけど)

 

 そう思いオウカは決める。

 

「わかりました。では」

 

 そして、指から赤い糸を展開し、告げる。

 

「死んでも、後悔しないでくださいね」

「「殺すなよ!?」」

 

 総ツッコミを貰ったオウカだった。

 

 五指から出た赤い糸が形作ったのは――ルービックキューブだった。片手で握りしめられるサイズで、六面には数字が描かれている。

 

「スタート」

 

 オウカはソレを放り投げる。すると、ルービックキューブが勝手に動く。暫くカチャカチャと動いていたが、数秒後に止まる。そして、オウカの手元に戻る。

 

「さあ、何が出るかな」

 

 キューブが箱のように開く。そして、そこから出て来てきたモノを見て、マユとネラが絶句する。

 

[うわ……]

[……何其?]

 

 ソレは片手用の盾なのだが、ガトリング砲がくっついた代物だった。

 

「よし大当たり」

 

 そして、オウカはそれをスドウに向ける。

 

「覚悟してください」

「ま、待て! それは何だ!?」

 

 流石に、こんな殺意満点の武器が出るとは思っていなかったのか、スドウが怯み、問いかけて来る。

 それにオウカはきちんと答える。

 

「【パンドーラ】です。かなりの変わり種ですね」

 

 【パンドーラ】

 製作者は、ガンスミス弾指叢雅と、マルチウェポン瞬息叢雅の共同開発で作られた。……こういう作品は変わり種が多いとは刹那叢雅こと、マユの談。

 待機形態はルービックキューブなのだが、抜錨すると何かしらの武器・兵器(銃火器系が多い)が出て来るのだが、それはランダム。

 当たり外れが大きいうえ、必要な時に、必要な武器が出ない時も多々ある。しかも、その武器はある程度使わないと、切り替え不可能。このように癖があり過ぎなので、使う人はほとんどいなかったのだが、ディアンはストックしていた。

 因みに理由は、

 

『相手も自分も何が起こるかわからない手札って、持っていると面白いじゃない?』

 

 との事。

 

 そして、今回オウカも賭けで使った結果、当たりを引けた訳である。

 

「さあ逝ってください」

「ちょっとm」

 

 勿論、待つ訳がなく。

 

「ブンブンブ~ン。鉛が飛ぶ~」

 

 ガトリングが火を噴く。スドウのVF値を削り取るかと思いきや。

 

「させないよ」

 

 とっさに割り込んだカミキが光の壁を張り防ぐ。

 

「悪い……」

「何。助け合いだよ。でもね……」

 

 一拍置いて続ける。

 

「長く持たない」

「はあ!?」

 

 光の壁が軋んでいる。そろそろ壊れるだろう。

 

「どうすんだ……」

「取れる手段は一つだけだ」

「それは?」

 

 カミキの答えは。

 

「降参だ」

 

 ズッコケるスドウだった。

 そして、この勝負はオウカの勝ちとなった。




【TIPS:パンドーラ】
(㈩*㈩)<凄い変わり種。合作系の<冥刀>。

(㈩*㈩)<何かしら銃火器が出て来るんだけど、何が出るかはランダム。

(・▽・)<火力が足りない時もあれば、火力過多な時もありましたね~。

(#ー#)<? と言うと?

(・▽・)<ディアンが使った時、対大人数なのに、単発拳銃になったり、

(#ー#)<うわ……。

(・▽・)<拳銃一丁で事足りる時に、デ〇ドロビウムが出て来たり。

(#ー#)<別の意味で使えねーな!?

(㈩*㈩)<その制限が代償だから仕方ない。

(・▽・)<パ〇プンテみたいですね。

(#ー#)<びっくり箱って言ってやれ。


【コソコソ話】
(#ー#)<そういや、実体剣で非実体剣って受け止められるのか?

(㈩*㈩)<物による。普通だったら、通り抜けるか、溶断されるかの二択。

(㈩*㈩)<でも、<冥刀>は受け止め可能。ちゃんと対策済み。

(・▽・)<そして、特殊な処置をすれば<冥刀>じゃなくても受け止められます。

(・▽・)<因みに、ヴィーの武器は全部処置済み。

(・▽・)<それに、私は【ルンペル】の強化を載せているから鍔迫り合いも可能です。
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