冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【コソコソ話】
(・▽・)<スドウって人、どうしてボウガンを使うんですか? 銃器の方が良いような?

(#ー#)<本人の趣味と値段。

(・▽・)<趣味はわかるんですけど、値段ってどういう事ですか?

(㈩*㈩)<わかるんだ……。まあわからなきゃ、あんな武器で戦わないか。

(#ー#)<そのままの意味だ。前にも言った通り、銃器は問題があっただろう。

(・▽・)<ありましたね。……あ、そうか。値段か。

(#ー#)<ああ。それに弾丸も結構高いうえ、メンテも大変だからな。

(・▽・)<確かにボウガンの方がマシですね。

(#ー#)<そういう事だ。


四十三

 ******

 

 

 模擬戦を終えてから、オウカ達五人は本格的に対校戦の練習を始めた。

 

「今までグダグダだったからね」

「「誰のせいだよ!?」」

 

 この五人の場合、各自の課題を洗い出し、自由行動と言う名の修練となる。

 それに疑問が湧いたので、オウカはカミキに聞いてみる。

 

「……連携とかの練習は良いんですか?」

「ある程度なら、全員即興でも出来るだろう。それに」

 

 一拍置いて続ける。

 

「君の場合、手札が多いし、何をしでかすかがわからないからね」

「アハハ」

 

 サングラス越しに見られて、笑うしかないオウカだった。

 

 そういう訳で、オウカが何をしているかと言えば。

 

「アララライ!」

「フッ、ハッ」

 

 ジンナと模擬戦をしていた。

 オウカは大槍の連続突きを繰り出し、ジンナがロングナイフ形態の【エスペ・アヴァンチュルーズ】でそれを捌いていた。

 

 実は彼女、新人戦の「バトル×バトル×バトル」に出場が決定しているからこそ、彼女の稽古に付き合っていた。

 オウカは様々な武器でジンナと戦っており、今は槍を使っていた。

 

「ハア!」

 

 オウカが溜めてからの突きを放つ。それをジンナは受け流し、槍の内側に入り込む。

 

「取った!」

 

 ロングナイフをオウカ目がけて振るう。槍が使えない間合いに対し、オウカは。

 

「甘い!」

「くはっ!?」

 

 鉄山靠が炸裂。ジンナを吹っ飛ばす。モロに喰らってしまい、壁に叩きつけられ倒れるジンナ。受け身も取れなかったらしく呻いている。

 

「熟練の槍使いは間合いに入られた時の対策をしている」

 

 アイツもしていたしなと呟いて続けた。

 

「八極拳を学んだ者は、神槍と呼ばれる者も多かったらしいよ」

「……説明どうも」

 

 そう言いながら、ジンナは起き上がろうとする。

 

「治療します!」

 

 そこにやって来たのはリア。

 彼女は選手には選ばれなかったが、こういうお手伝いをしている。だが、そんな彼女に待ったをかけたのはジンナ自身。

 

「だ、大丈夫。これくらい、へ、平気……」

「……そうは見えませんけど?」

「大丈夫……」

 

 どうにか起き上がろうとすると、それをオウカは押しとどめる。

 

「少し休憩にしよう、ジンナ。リアは他の所へ」

「で、でも……」

 

 心配そうなリアにジンナは軽く微笑んで続ける。

 

「ボクは大丈夫だから」

 

 その言葉にリアは心配そうな顔をしながらも、その場を立ち去った。

 リアがいなくなったのを確認すると、ジンナは起き上がろうとするのを止めて、少しだけ恨みがましそうな視線でオウカを見て来る。

 

「サク君。やり過ぎ」

「容赦はいらないって言ったのジンナだぜ?」

「それはまあ」

 

 なので強く言えなってしまうジンナ。そんな彼女にオウカは【ポーション】を出して渡す。

 

「飲んどけ。痛み止めも入ってる」

「うん。ありがとう」

 

 どうにかオウカの補助を受けて座り、【ポーション】を飲む。

 

「ぷは」

 

 どうにか回復するジンナ。立ち上がろうとするが。

 

「よし。元気一杯。サク君お願い」

「まだ休んでろ」

「わ」

 

 オウカはジンナの肩を掴んで片手で押しとどめる。

 

「さっきまでぶっ続けでやってただろう?」

 

 実はジンナはオウカが槍を使うまでに、色々な武器を想定した戦いをしてきた。

 シンプルな剣、蛇腹剣、長ドス、ロングナイフ二刀流、ハンマー、徒手空拳、ドスとチャカなどなど。

 

「体力だけじゃない。集中力だって消耗する」

「う、うん。わかった」

 

 そういう事で休憩を取る二人。

 隣り合って座り、軽食を食べ、飲み物を取る。

 

「そういえば、<冥刀>の形変わったな」

 

 そうして雑談をする。

 オウカの言葉にジンナは答える。

 

「うん。あの実習でボクの事、認めてくれたんだ」

 

 心なしか嬉しそうで、誇るようだった。

 

 実は【エスペ・アヴァンチュルーズ】はジンナの事を完全に認めていなかった。

 だが、あの戦いを通して、彼女を完全に認めた。その結果、色々可能になった。

 

 その一つが、形の変形だった。

 

 <冥刀>が持つ基本機能の一つであり、非戦闘状態の納刀形態では、持ち運びのしやすい形になったり、装飾品になったりする。そして、戦闘状態の抜錨状態では、相手を殺さないように刃を無くしたり、使い手のサイズに合わせたり、状況に応じて変形したりする。

 【エスペ・アヴァンチュルーズ】の場合、抜錨時は、二刀になる幅広い両刃剣だったのが、ジンナに使いやすいように、合体可能なロングナイフ二本に変わり、納刀時には腕輪に変わるようになっていた。

 

「聞いたぜ? 〈畢竟(アリストテレス)〉が使えるようになっただろう?」

「うん。他にも補正も強化された。能力はあまり変わらなかったけど」

「基本能力が上昇するのはいい事だよ」

 

 オウカが笑う。釣られてジンナも笑う。

 そして、彼女は立ち上がる。

 

「……よし。十分休めた。じゃあ、サク君。お願い」

「もういいのか」

「うん」

 

 その言葉にオウカは頷く。

 そして、間合いを取って向かい合う。

 ジンナは、腕輪をロングナイフに変えて、逆手に持って構える。そして、問いかける。

 

「今度は何?」

 

 その問いにオウカは武器を出して答える。

 

「これだな」

 

 鎖鎌だった。どこぞの殺し屋が使っていた変わり種でなく、手鎌に鎖分銅がくっついたシンプルな物

 それを見たジンナが少し呆れる。

 

「本当に色々使えるね」

「俺は超一流にはなれないからな。だから使い分けるのさ」

「……ボクはキミに勝てないんだけど?」

 

 少し拗ねるようなジンナの言葉に、オウカは苦笑して答えた。

 

親友(ダチ)の置き土産で誤魔化しているだけさ」

 

 闇医者ディアンが冥肌鏤骨(オストラコン)で残してくれた〈剣威模倣(ミメーシス)〉。糸で<冥刀>を再現するだけでなく、使い手の経験や技術まで再現可能。だからこそ、オウカは超一流の戦闘者とも渡り合える。

 

「じゃあ始めるぞ」

 

 鎖分銅を回し始めたオウカ。あまりに早く、分銅は視認不可能。

 それにジンナは怯まずに向かって行った。

 

 

 ******

 

 

 身体を動かすだけが、対校戦の準備ではない。

 空き教室では一人の少女が呪符を書いていた。

 昼食が終わってから、かれこれ三時間程集中している。

 そして、

 

「フウ……」

 

 一段落したのか、伸びをしていると。

 

「はい、お茶」

「ああ、ありがとう」

 

 渡されたお茶を受け取るランコ。

 彼女は爆発の魔法である、光球を展開するスタイルだったのだが、学外実習から、色々戦法を見直して、呪符を使用する事にした。と言う事で準備をしていたのである。

 

 お茶を飲むランコへ、その人物はマシュマロを渡す。

 

「はい。甘い物」

「至れり尽くせりだな。ありがとう。ところで一ついいか?」

「何?」

 

 ランコは問いかけた。

 

「何でお前はここにいるんだ? オウカ」

 

 その人物はオウカだった。

 しかも。

 

「それと何でメイド服?」

 

 なぜかメイド服を着ている。しかも結構似合っており、一見するとオウカとはわからない。

 その言葉に彼は答える。

 

「あちらこちらの手伝いしたり、様子見したりしてるから」

「なるほど……?」

 

 答えになっているようでなっていない。

 因みに、今日からこの恰好をするようにした。

 

「まあそれはいいや。お前自身の練習はいいのか?」

「模擬戦をしたり、助言したりしてる」

 

 そういうので気づく物もある。

 そんなオウカにランコは一応納得する。

 

「まあお前は強いからな。学生レベルならどうにかなるだろう」

「だといいけどね。強者には年齢って関係ないからね」

 

 偶に強者が混ざているのが怖い所。そんな彼にランコは真面目な顔をして告げる。

 

「お前が言うのか?」

「まあね」

 

 肩を竦める。

 そして、オウカはその場から立ち去る事にする。

 

「取り敢えず、飲み物のボトル置いておくから喉乾いたらどうぞ」

「ありがとう」

 

 そしてオウカは部屋から出て行った。

 そんな彼を見送った後、ランコはもう一度伸びをしてから。

 

「さてやるか」

 

 作業を再開した。

 これの結果が現れるのは対校戦での「大破壊」である。

 

 

 ******

 

 

 この日、オウカがいたのは、

 

「お前がこの競技とはな……」

「精密性と正確性を評価されたんや」

 

 タナカの所だった。

 彼も新人戦に選ばれていた。オウカは火力から「大破壊」だと思っていたのだが、「クイック・シューティング」に出場する事になっていた。

 

「こんな風にな」

 

 両方の五指に炎を灯らせる。そして、そこからマシンガンのように炎の弾丸が飛ぶ。それらは的を正確に撃ち抜く。

 

「~♪」

 

 口笛を吹いて称賛するオウカ。そして、彼は【ポーション】を渡す。

 

「はい。魔力回復してくれ」

「ありがとな~」

 

 そんな彼にタナカは訊ねた。

 

「ところで一つ聞いてもええ?」

「ん?」

「何でメイド服着てるん?」

 

 オウカはこの日もメイド服を着ていた。

 そんな彼にオウカは答える。

 

「師匠がくれたから」

「お、おう……?」

 

 答えになっていない。

 

「まあそれはともかく」

「ともかくで済ませてええ問題なん?」

「何か出来る事はあるか?」

 

 オウカの言葉にタナカはこう言う。

 

「……何か助言くれへん?」

「助言?」

 

 オウカにタナカは話始めた。

 

「もっと強くなりたいと思ってな」

「色々やっているんだろう?」

「せやな。<スロット>は全部それよりで埋めとるし」

 

 彼は炎に関する<スキル>で全部埋めている。

 

「でもな、学外実習で思ったんよ。もっと何か欲しいってな」

「<冥刀>や《クロス》は?」

「前者はそもそも手に入らんし、代償が大きい場合あるやろ?」

 

 実際その通り。

 手に入れようとしても手に入るモノではない。金やコネクションがあれば、手にい入るが、相性によっては使えないし、使えたとしても代償でとんでもない事態になる事もある。

 

「後者は二回目やから下手せんでも死ぬ」

「死ぬのが怖いのか?」

「当たり前やろ!?」

 

 オウカの質問に、当たり前のように答えるタナカ。

 

「サクヅキだってそうやろ?」

「俺は死ぬのは怖くないよ」

 

 人間はいつ死ぬかわからないのだから。

 特にオウカは(ある程度)好き放題やって来たので、自分は畳で死ねるとは思っていない。

 

「まあまだやりたい事あるから死ぬのは嫌」

「それはそうやろ……」

 

 そんなタナカを見て、オウカは考える。

 

(他の方法なあ……)

 

 メイド師匠の授業を思い出す中。

 

「あ」

「何かあるん!」

 

 思いついたオウカにタナカは聞く。

 それにオウカは少しだけしかめっ面をして告げる。

 

「あるにはある。死にはしない」

「それやったら……」

「ただ一つだけ」

 

 指を一本立てオウカは続ける。

 

「痛いよ? 大丈夫?」

 

 その言葉にタナカは暫く迷っていたが。

 

「頼むで」

 

 お願いした。

 それにオウカは頷く。

 そして、右手にナイフ、左手に糸を展開した。

 それに後ずさるタナカ。

 

「え、な、何するん?」

「ちょっと痛いぞ?」

「や、やめ……アガアアアアアア!?」

 

 タナカの押し殺した絶叫が響いた。

 

 

 ******

 

 

 その日の対校戦の練習時間。

 屋外ではとある場所に、練習や手伝いそっちのけの見物客が群がっていた。

 

 そこでは二人の人物が戦っていた。辺りには色々な武器――大小様々な刀剣、鎚や棍棒などの打撃武器、槍や薙刀などの長物、手裏剣や投擲ナイフなどが落ちている。

 

「ハア!」

 

 スドウが右手で鎖分銅を回しながら、左手に掴んだ投擲ナイフを投げる。

 

「効かないよ」

 

 それを対戦相手のメイド――オウカが手に持ったロングナイフで弾き、そのまま間合いを詰める。

 

(この距離なら届く!)

 

 鎖分銅を飛ばす。実はこの鎖分銅、見た目以上に伸びる。それに対し、オウカは手にマントを出して放り投げる。

 

「鎖系の武器はこういうのに弱い」

「!?」

 

 絡めとられるのを嫌い、下がるスドウに対し、オウカは一気に間合いを詰める。そして、ロングナイフを振り下ろす。

 

「バックだと遅くなる」

「チッ」

 

 スドウは手にショートソードを出して受け止める。

 そのまま切り合いに突入。あっという間にスドウが劣勢になる。

 

(斬り合いはサクヅキに分がある。しかも)

「上半身に集中すると、下半身が疎かになる」

「!?」

 

 オウカの踏みつけ攻撃をどうにか避けるスドウ。だが、そこへ予想外の攻撃あ突き刺さる。

 

「俺は石頭だぁー!」

「アガ!?」

 

 それは頭突き。モロに喰らったスドウは怯む。そして。

 

「吹っ飛べ」

「ぐほ!?」

 

 蹴りで吹っ飛び倒れるスドウ。手加減しているのでそこまでのダメージはない。

 起き上がろうとする彼に、オウカは手を差し出す。

 

「どうぞ」

「……おう」

 

 素直に手を取り、立ち上がる。そんな彼にオウカは助言する。

 

「不意打ちとかの対処は大体出来てますね。予想外の自体に対応出来てません」

「あんなん予想できるか」

「してください。でないと」

 

 死にますよ。そうオウカは続ける。その顔は凄惨だった。

 見物人が怯える程に怖い。

 なので、スドウは注意する。

 

「顔」

「?」

「戻せ戻せ。怖い」

「あら失礼」

 

 ストンとコマ落としのように、オウカの顔が戻る。

 そんな彼にスドウは言う。

 

「……まさか俺とお前のスタイルが同じだとは」

「一点特化だと、超一流には勝てませんからね」

「だなあ」

 

 言うなればこの二人はテストで平均点は取れるが、満点は取れない。超一流になると、満点どころか、二倍三倍の点数を取って来るので、その武器だけでは点数さで勝てない。だからこそ使い分けて二倍三倍に追いつかなければならない。

 

「もっと手札増やさなきゃダメか……」

「だったら提案があるんですけど、やりますか?」

「うん?」

「耳貸してください」

 

 その提案を聞いたスドウは驚くも、即座に頷いた。

 因みに彼も。

 

「何でメイド服?」

「師匠が着てたので」

「お、おう」

 

 やっぱり答えになっていない。




【コソコソ話】
(・▽・)<サクが今回触れたアイツ。槍使い。

(・▽・)<誰かと言えば……百合のあの人。

(#ー#)<……そいつ槍使いなの?

(・▽・)<……一応。

(#ー#)<今までのパターンからすると、何か変わった槍使ってんだろう?

(㈩*㈩)<その通り。使っている<冥刀>が合作の変わり種。

(㈩*㈩)<例えるなら……蛮族ウ〇トラマンの大喜利しまくるアレ。

(・▽・)<確かに、色々やってましたねあの百合女。

(#ー#)<……やっぱり普通じゃなかった。


【TIPS:<冥刀>の基本機能】
(㈩*㈩)<今更だけど、説明する。

(㈩*㈩)<まずは形の変形。これは上記で述べた通り。

(㈩*㈩)<そして、補正と強化。身体機能に補正が付き、抜錨時に更に強化。

(・▽・)<……狂化だったり、凶化だったりしません?

(㈩*㈩)<一部はね。これのおかげで<プレイヤー>になれる人もいる。

(㈩*㈩)<そして、何かしらの能力や特性。これは千差万別。

(㈩*㈩)<この三つが基本機能。

(#ー#)<でもよ、無いのあるだろう?

(㈩*㈩)<偶にね。有るとしても低かったり、申し訳程度しかないのもある。
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