(・▽・)<スドウって人、どうしてボウガンを使うんですか? 銃器の方が良いような?
(#ー#)<本人の趣味と値段。
(・▽・)<趣味はわかるんですけど、値段ってどういう事ですか?
(㈩*㈩)<わかるんだ……。まあわからなきゃ、あんな武器で戦わないか。
(#ー#)<そのままの意味だ。前にも言った通り、銃器は問題があっただろう。
(・▽・)<ありましたね。……あ、そうか。値段か。
(#ー#)<ああ。それに弾丸も結構高いうえ、メンテも大変だからな。
(・▽・)<確かにボウガンの方がマシですね。
(#ー#)<そういう事だ。
******
模擬戦を終えてから、オウカ達五人は本格的に対校戦の練習を始めた。
「今までグダグダだったからね」
「「誰のせいだよ!?」」
この五人の場合、各自の課題を洗い出し、自由行動と言う名の修練となる。
それに疑問が湧いたので、オウカはカミキに聞いてみる。
「……連携とかの練習は良いんですか?」
「ある程度なら、全員即興でも出来るだろう。それに」
一拍置いて続ける。
「君の場合、手札が多いし、何をしでかすかがわからないからね」
「アハハ」
サングラス越しに見られて、笑うしかないオウカだった。
そういう訳で、オウカが何をしているかと言えば。
「アララライ!」
「フッ、ハッ」
ジンナと模擬戦をしていた。
オウカは大槍の連続突きを繰り出し、ジンナがロングナイフ形態の【エスペ・アヴァンチュルーズ】でそれを捌いていた。
実は彼女、新人戦の「バトル×バトル×バトル」に出場が決定しているからこそ、彼女の稽古に付き合っていた。
オウカは様々な武器でジンナと戦っており、今は槍を使っていた。
「ハア!」
オウカが溜めてからの突きを放つ。それをジンナは受け流し、槍の内側に入り込む。
「取った!」
ロングナイフをオウカ目がけて振るう。槍が使えない間合いに対し、オウカは。
「甘い!」
「くはっ!?」
鉄山靠が炸裂。ジンナを吹っ飛ばす。モロに喰らってしまい、壁に叩きつけられ倒れるジンナ。受け身も取れなかったらしく呻いている。
「熟練の槍使いは間合いに入られた時の対策をしている」
アイツもしていたしなと呟いて続けた。
「八極拳を学んだ者は、神槍と呼ばれる者も多かったらしいよ」
「……説明どうも」
そう言いながら、ジンナは起き上がろうとする。
「治療します!」
そこにやって来たのはリア。
彼女は選手には選ばれなかったが、こういうお手伝いをしている。だが、そんな彼女に待ったをかけたのはジンナ自身。
「だ、大丈夫。これくらい、へ、平気……」
「……そうは見えませんけど?」
「大丈夫……」
どうにか起き上がろうとすると、それをオウカは押しとどめる。
「少し休憩にしよう、ジンナ。リアは他の所へ」
「で、でも……」
心配そうなリアにジンナは軽く微笑んで続ける。
「ボクは大丈夫だから」
その言葉にリアは心配そうな顔をしながらも、その場を立ち去った。
リアがいなくなったのを確認すると、ジンナは起き上がろうとするのを止めて、少しだけ恨みがましそうな視線でオウカを見て来る。
「サク君。やり過ぎ」
「容赦はいらないって言ったのジンナだぜ?」
「それはまあ」
なので強く言えなってしまうジンナ。そんな彼女にオウカは【ポーション】を出して渡す。
「飲んどけ。痛み止めも入ってる」
「うん。ありがとう」
どうにかオウカの補助を受けて座り、【ポーション】を飲む。
「ぷは」
どうにか回復するジンナ。立ち上がろうとするが。
「よし。元気一杯。サク君お願い」
「まだ休んでろ」
「わ」
オウカはジンナの肩を掴んで片手で押しとどめる。
「さっきまでぶっ続けでやってただろう?」
実はジンナはオウカが槍を使うまでに、色々な武器を想定した戦いをしてきた。
シンプルな剣、蛇腹剣、長ドス、ロングナイフ二刀流、ハンマー、徒手空拳、ドスとチャカなどなど。
「体力だけじゃない。集中力だって消耗する」
「う、うん。わかった」
そういう事で休憩を取る二人。
隣り合って座り、軽食を食べ、飲み物を取る。
「そういえば、<冥刀>の形変わったな」
そうして雑談をする。
オウカの言葉にジンナは答える。
「うん。あの実習でボクの事、認めてくれたんだ」
心なしか嬉しそうで、誇るようだった。
実は【エスペ・アヴァンチュルーズ】はジンナの事を完全に認めていなかった。
だが、あの戦いを通して、彼女を完全に認めた。その結果、色々可能になった。
その一つが、形の変形だった。
<冥刀>が持つ基本機能の一つであり、非戦闘状態の納刀形態では、持ち運びのしやすい形になったり、装飾品になったりする。そして、戦闘状態の抜錨状態では、相手を殺さないように刃を無くしたり、使い手のサイズに合わせたり、状況に応じて変形したりする。
【エスペ・アヴァンチュルーズ】の場合、抜錨時は、二刀になる幅広い両刃剣だったのが、ジンナに使いやすいように、合体可能なロングナイフ二本に変わり、納刀時には腕輪に変わるようになっていた。
「聞いたぜ? 〈
「うん。他にも補正も強化された。能力はあまり変わらなかったけど」
「基本能力が上昇するのはいい事だよ」
オウカが笑う。釣られてジンナも笑う。
そして、彼女は立ち上がる。
「……よし。十分休めた。じゃあ、サク君。お願い」
「もういいのか」
「うん」
その言葉にオウカは頷く。
そして、間合いを取って向かい合う。
ジンナは、腕輪をロングナイフに変えて、逆手に持って構える。そして、問いかける。
「今度は何?」
その問いにオウカは武器を出して答える。
「これだな」
鎖鎌だった。どこぞの殺し屋が使っていた変わり種でなく、手鎌に鎖分銅がくっついたシンプルな物
それを見たジンナが少し呆れる。
「本当に色々使えるね」
「俺は超一流にはなれないからな。だから使い分けるのさ」
「……ボクはキミに勝てないんだけど?」
少し拗ねるようなジンナの言葉に、オウカは苦笑して答えた。
「
闇医者ディアンが
「じゃあ始めるぞ」
鎖分銅を回し始めたオウカ。あまりに早く、分銅は視認不可能。
それにジンナは怯まずに向かって行った。
******
身体を動かすだけが、対校戦の準備ではない。
空き教室では一人の少女が呪符を書いていた。
昼食が終わってから、かれこれ三時間程集中している。
そして、
「フウ……」
一段落したのか、伸びをしていると。
「はい、お茶」
「ああ、ありがとう」
渡されたお茶を受け取るランコ。
彼女は爆発の魔法である、光球を展開するスタイルだったのだが、学外実習から、色々戦法を見直して、呪符を使用する事にした。と言う事で準備をしていたのである。
お茶を飲むランコへ、その人物はマシュマロを渡す。
「はい。甘い物」
「至れり尽くせりだな。ありがとう。ところで一ついいか?」
「何?」
ランコは問いかけた。
「何でお前はここにいるんだ? オウカ」
その人物はオウカだった。
しかも。
「それと何でメイド服?」
なぜかメイド服を着ている。しかも結構似合っており、一見するとオウカとはわからない。
その言葉に彼は答える。
「あちらこちらの手伝いしたり、様子見したりしてるから」
「なるほど……?」
答えになっているようでなっていない。
因みに、今日からこの恰好をするようにした。
「まあそれはいいや。お前自身の練習はいいのか?」
「模擬戦をしたり、助言したりしてる」
そういうので気づく物もある。
そんなオウカにランコは一応納得する。
「まあお前は強いからな。学生レベルならどうにかなるだろう」
「だといいけどね。強者には年齢って関係ないからね」
偶に強者が混ざているのが怖い所。そんな彼にランコは真面目な顔をして告げる。
「お前が言うのか?」
「まあね」
肩を竦める。
そして、オウカはその場から立ち去る事にする。
「取り敢えず、飲み物のボトル置いておくから喉乾いたらどうぞ」
「ありがとう」
そしてオウカは部屋から出て行った。
そんな彼を見送った後、ランコはもう一度伸びをしてから。
「さてやるか」
作業を再開した。
これの結果が現れるのは対校戦での「大破壊」である。
******
この日、オウカがいたのは、
「お前がこの競技とはな……」
「精密性と正確性を評価されたんや」
タナカの所だった。
彼も新人戦に選ばれていた。オウカは火力から「大破壊」だと思っていたのだが、「クイック・シューティング」に出場する事になっていた。
「こんな風にな」
両方の五指に炎を灯らせる。そして、そこからマシンガンのように炎の弾丸が飛ぶ。それらは的を正確に撃ち抜く。
「~♪」
口笛を吹いて称賛するオウカ。そして、彼は【ポーション】を渡す。
「はい。魔力回復してくれ」
「ありがとな~」
そんな彼にタナカは訊ねた。
「ところで一つ聞いてもええ?」
「ん?」
「何でメイド服着てるん?」
オウカはこの日もメイド服を着ていた。
そんな彼にオウカは答える。
「師匠がくれたから」
「お、おう……?」
答えになっていない。
「まあそれはともかく」
「ともかくで済ませてええ問題なん?」
「何か出来る事はあるか?」
オウカの言葉にタナカはこう言う。
「……何か助言くれへん?」
「助言?」
オウカにタナカは話始めた。
「もっと強くなりたいと思ってな」
「色々やっているんだろう?」
「せやな。<スロット>は全部それよりで埋めとるし」
彼は炎に関する<スキル>で全部埋めている。
「でもな、学外実習で思ったんよ。もっと何か欲しいってな」
「<冥刀>や《クロス》は?」
「前者はそもそも手に入らんし、代償が大きい場合あるやろ?」
実際その通り。
手に入れようとしても手に入るモノではない。金やコネクションがあれば、手にい入るが、相性によっては使えないし、使えたとしても代償でとんでもない事態になる事もある。
「後者は二回目やから下手せんでも死ぬ」
「死ぬのが怖いのか?」
「当たり前やろ!?」
オウカの質問に、当たり前のように答えるタナカ。
「サクヅキだってそうやろ?」
「俺は死ぬのは怖くないよ」
人間はいつ死ぬかわからないのだから。
特にオウカは(ある程度)好き放題やって来たので、自分は畳で死ねるとは思っていない。
「まあまだやりたい事あるから死ぬのは嫌」
「それはそうやろ……」
そんなタナカを見て、オウカは考える。
(他の方法なあ……)
メイド師匠の授業を思い出す中。
「あ」
「何かあるん!」
思いついたオウカにタナカは聞く。
それにオウカは少しだけしかめっ面をして告げる。
「あるにはある。死にはしない」
「それやったら……」
「ただ一つだけ」
指を一本立てオウカは続ける。
「痛いよ? 大丈夫?」
その言葉にタナカは暫く迷っていたが。
「頼むで」
お願いした。
それにオウカは頷く。
そして、右手にナイフ、左手に糸を展開した。
それに後ずさるタナカ。
「え、な、何するん?」
「ちょっと痛いぞ?」
「や、やめ……アガアアアアアア!?」
タナカの押し殺した絶叫が響いた。
******
その日の対校戦の練習時間。
屋外ではとある場所に、練習や手伝いそっちのけの見物客が群がっていた。
そこでは二人の人物が戦っていた。辺りには色々な武器――大小様々な刀剣、鎚や棍棒などの打撃武器、槍や薙刀などの長物、手裏剣や投擲ナイフなどが落ちている。
「ハア!」
スドウが右手で鎖分銅を回しながら、左手に掴んだ投擲ナイフを投げる。
「効かないよ」
それを対戦相手のメイド――オウカが手に持ったロングナイフで弾き、そのまま間合いを詰める。
(この距離なら届く!)
鎖分銅を飛ばす。実はこの鎖分銅、見た目以上に伸びる。それに対し、オウカは手にマントを出して放り投げる。
「鎖系の武器はこういうのに弱い」
「!?」
絡めとられるのを嫌い、下がるスドウに対し、オウカは一気に間合いを詰める。そして、ロングナイフを振り下ろす。
「バックだと遅くなる」
「チッ」
スドウは手にショートソードを出して受け止める。
そのまま切り合いに突入。あっという間にスドウが劣勢になる。
(斬り合いはサクヅキに分がある。しかも)
「上半身に集中すると、下半身が疎かになる」
「!?」
オウカの踏みつけ攻撃をどうにか避けるスドウ。だが、そこへ予想外の攻撃あ突き刺さる。
「俺は石頭だぁー!」
「アガ!?」
それは頭突き。モロに喰らったスドウは怯む。そして。
「吹っ飛べ」
「ぐほ!?」
蹴りで吹っ飛び倒れるスドウ。手加減しているのでそこまでのダメージはない。
起き上がろうとする彼に、オウカは手を差し出す。
「どうぞ」
「……おう」
素直に手を取り、立ち上がる。そんな彼にオウカは助言する。
「不意打ちとかの対処は大体出来てますね。予想外の自体に対応出来てません」
「あんなん予想できるか」
「してください。でないと」
死にますよ。そうオウカは続ける。その顔は凄惨だった。
見物人が怯える程に怖い。
なので、スドウは注意する。
「顔」
「?」
「戻せ戻せ。怖い」
「あら失礼」
ストンとコマ落としのように、オウカの顔が戻る。
そんな彼にスドウは言う。
「……まさか俺とお前のスタイルが同じだとは」
「一点特化だと、超一流には勝てませんからね」
「だなあ」
言うなればこの二人はテストで平均点は取れるが、満点は取れない。超一流になると、満点どころか、二倍三倍の点数を取って来るので、その武器だけでは点数さで勝てない。だからこそ使い分けて二倍三倍に追いつかなければならない。
「もっと手札増やさなきゃダメか……」
「だったら提案があるんですけど、やりますか?」
「うん?」
「耳貸してください」
その提案を聞いたスドウは驚くも、即座に頷いた。
因みに彼も。
「何でメイド服?」
「師匠が着てたので」
「お、おう」
やっぱり答えになっていない。
【コソコソ話】
(・▽・)<サクが今回触れたアイツ。槍使い。
(・▽・)<誰かと言えば……百合のあの人。
(#ー#)<……そいつ槍使いなの?
(・▽・)<……一応。
(#ー#)<今までのパターンからすると、何か変わった槍使ってんだろう?
(㈩*㈩)<その通り。使っている<冥刀>が合作の変わり種。
(㈩*㈩)<例えるなら……蛮族ウ〇トラマンの大喜利しまくるアレ。
(・▽・)<確かに、色々やってましたねあの百合女。
(#ー#)<……やっぱり普通じゃなかった。
【TIPS:<冥刀>の基本機能】
(㈩*㈩)<今更だけど、説明する。
(㈩*㈩)<まずは形の変形。これは上記で述べた通り。
(㈩*㈩)<そして、補正と強化。身体機能に補正が付き、抜錨時に更に強化。
(・▽・)<……狂化だったり、凶化だったりしません?
(㈩*㈩)<一部はね。これのおかげで<プレイヤー>になれる人もいる。
(㈩*㈩)<そして、何かしらの能力や特性。これは千差万別。
(㈩*㈩)<この三つが基本機能。
(#ー#)<でもよ、無いのあるだろう?
(㈩*㈩)<偶にね。有るとしても低かったり、申し訳程度しかないのもある。