冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【コソコソ話】
(・▽・)<サクはあの百合の教訓から、隠し事はしないようにしています。

(・▽・)<変なタイミングでバレると大惨事になりますから。

(#ー#)<実感籠っているな。


【TIPS:変形機能】
(#ー#)<前回言っていた変形ってどれくらい可能なんだ?

(㈩*㈩)<一般的なので、サイズ調整、納刀時アクセサリー化、刃潰し位。

(#ー#)<そういえば、俺が使ってたのも腕輪になってたし、

(#ー#)<巨大化したら、サイズ合わせてくれたな。

(㈩*㈩)<そして、凄いのだと、刀身が伸びたり、種類すら変わる。

(#ー#)<そういうのってそれ自体が能力なんじゃねえの?

(㈩*㈩)<そうとも言う。

(#ー#)<そうとしか言わねえ。

(・▽・)<因みに、変形機能がまったく無いのもあります。

(・▽・)<ジンナさんの場合、認めた結果色々機能解放された感じです。



四十四

 ******

 

 

 その日の空き教室では、二人の人物がティータイムを楽しんでいた。

 

「はい。どうぞ」

「どうもですわ」

 

 相も変わらずメイド姿のオウカが紅茶を淹れ、それを飲むベニバナ。

 

「お菓子もどうぞ」

「ありがとうですわ」

 

 彼女は差し出されたチョコチップクッキーを齧る。

 暫くそうしてお茶を楽しんでいたが。

 

「って違いますわー!?」

 

 ベニバナが噴火する。

 そんな彼女にオウカは冷静に発言する。

 

「ビークール、ビークール」

「落ち着いていられますか!?」

「どうどうどうどう」

(わてくし)は馬ではないですわ!? ドラゴンですわ!」

 

 怒り出すベニバナ。だが、オウカの指摘ももっともだと思ったのか、深呼吸を繰り返して何とか落ち付く。

 

「どうしてお茶をしているんですの!」

 

 実はベニバナはオウカに助言と修行を頼んでいた。自分一人では強化の道筋が見えなかったからである。

 そんな彼女にオウカは告げる。

 

「今はこれが必要だから」

「え」

「焦るな。心にゆとりが大事なんだ」

 

 その言葉を理解はするが、納得できないベニバナ。

 

「ですが時間は有限ですわ。それにこのままだと……」

 

 そんな彼女にオウカは息を吐いてから続けた。

 

「じゃあやりましょう」

「え」

 

 そう言って真っ直ぐにベニバナを見据えるオウカ。そして、彼女に告げる。

 

「今からやるのはちょっと荒技です」

「な、何をしますの?」

「言うなれば――補助輪を付けます」

「?」

 

 首を捻るベニバナに、オウカは人差し指から赤い糸を出して続ける。

 

「この糸は<冥刀>である【クリドゥノ・アイディン】です」

 

 正確には親友(ダチ)が使っていたモノの、残影であるが、今は関係ないので省く。

 

「この糸には情報が詰まってます。数多の<冥刀>について」

 

 <冥刀>を解析し再現する。それがこの赤い糸のチカラ。それは能力だけでなく、使い手の経験や技量まで再現可能。

 

「それに何の関係g……まさか」

 

 ベニバナは馬鹿でない。だからこそ気づいた。それは――

 

「ええその通り。〈心牙〉に至った人の記憶があります」

 

 <冥刀>は一つとして同じ能力はない。……似たようなのはあるが、全く同一は存在しない。その中にオーラを操作するモノも存在する。

 そして、その使い手の中には〈心牙〉に至った人がいる。

 

「本来は俺が使うのですけど、他の人に使わせる事も出来る」

「で、では……」

「この糸を補助輪にして、ベニバナに〈心牙〉を使わせる」

「!」

 

 これは補助輪付きで自転車に走らせるようなモノ。だが、〈心牙〉は深奥。自転車程度の負担ではない。

 

「でも、かなり反動が来ます。死にはしないと思いますけど。多分」

 

 自信なさそうなオウカ。それでも問いかける。

 

「どうs」

「やりますわ。やってください」

 

 即答だった。

 それにオウカは笑う。

 

「わかりました。では」

「はい」

 

 そして、赤い糸がベニバナに巻き付いた。

 すると、彼女の意志とは裏腹に、オーラが立ち昇る。有色透明のオーラの色が濃くなって、ベニバナを覆い隠す。それと同時。

 

「ぐうぅ」

 

 ベニバナの口から押し殺したような悲鳴が上がる。そのまま椅子から転がり落ちて悶え苦しむ。それは暫く続いた。

 そして、暫く後。

 

「はあ、はあ」

 

 ベニバナは床に倒れ込んで荒い息を吐いていた。ペン一本持てない程の疲労をしてる。

 そんな彼女をオウカはお姫様抱っこで持ち上げる。

 

「保健室に連れてきます」

「……ありがとうですわ」

 

 そうしてオウカはベニバナを保健室に送った。

 

 

 ******

 

 

 オウカはベニバナを保健室に送り届け、その足で誰もいない所へ向かう。

 そして、相棒に頼む

 

[マユ。頼む]

[わかった]

 

 マユが櫛から人になり、亜空間の入口を展開。そのままそこにオウカとマユは消える。

 中に入った瞬間。

 

「うぅ」

 

 膝を付き、座り込む。

 

「はあ、はあ……」

 

 息は荒く、脂汗を流している。しかも、よく見るとあちらこちらから流血までしている。着ているのがメイド服なので目立たないが。

 そんな彼の背中を擦るマユ。

 そこへ、懐に潜んでいたネラが出てきて、マユに聞く。

 

「何起? 先輩(マユ)

「反動。そもそもコピーが無制限で使えると思うの?」

「!?」

 

 強力なモノをコピーした場合、それ相応の反動がある。

 しかも、今回はその中でも反動が強いモノなうえ、他者に使わせるという荒技を使ったのだ。

 勿論、ベニバナにも反動はあるが、オウカの反動はそれ以上。しかも彼は、彼女の反動をある程度肩代わりして引き受けていた。

 だからこそ、こうなっていた。

 

主人(オウカ)、平気?」

「……ああ。どう……にかな」

「大嘘」

 

 そう言うと、ネラは蟻形態から人形態になる。彼女の場合、そうすると裸になってしまうので、胸と臍の下を手で隠す。

 

「何をする気?」

 

 マユの疑問に答えず、ネラはそのまま、機械アリを大量に展開。

 

「〈感覚共有〉」

 

 その言葉と同時、機械アリ達が崩れ落ちる。するとオウカから痛みが引いていく。

 それに驚き、裸から目を背けながら、オウカはネラに問いかける。

 

「お前何した?」

当機(わたし)、能力、感覚、共有」

 

 【アスカトル】のチカラは機械アリの生成と操作。

 それを使う事で、偵察や戦闘をおこなう。特に偵察の場合、感覚を共有しておこなう事が可能。

 今回はそれを応用して、オウカの痛みと反動を引き受けたのだ。

 だが、これはネラも無傷では済まず。

 

「コフッ!」

 

 血を吐くネラ。そのまま座り込み、片手で口を押さえる。

 

「大丈夫か?」

「平気」

 

 見た所外傷はなさそうだが、少し辛そうなネラ。

 オウカはどうにか彼女に近づき、背後に座る。

 

「背中合わせなら少し楽になる」

「礼言」

「こっちのセリフだ。サンキュー相棒」

 

 そのまま二人は、仲良く寄りかかり合う。

 そんな二人を見たマユは少し離れる。邪魔はしなかったが、少しだけ嫉妬している顔をしていた。

 

 暫くしてどうにかオウカは動ける位に回復。

 改めて礼を言う。

 

「ありがとうネラ」

「礼及」

 

 そう言ってネラは機械アリに戻る。そして、オウカの懐に入った。

 それを確認してオウカは立ち上がる。

 

「さて次は何処h」

「今日はもう帰った方がいい」

 

 マユがオウカにそう言った。

 

「痛みはある程度マシになっただろうけど、怠さはあるでしょう?」

「……」

 

 オウカは黙り込む。

 沈黙の肯定だった。

 

「だから今日は休んで」

 

 その言葉と視線にオウカは。

 

「わかったよ」

 

 頷いた。それにマユは安心したような笑みを浮かべた。

 

 そういう訳で、カミキに正直に事情を話す事で、許可を貰って、帰る事にした。

 下校のために出口に向かうそのタイミングで、ばったりとある人物に遭遇する。

 

「ああオウカ。さっきぶりですわ」

 

 それはベニバナだった。手には荷物がある。

 

「もしかしてベニバナも帰る所?」

「そうですわ。どうにか歩く事は出来ますけど、倦怠感がありますので」

 

 そう言って軽く笑う。そして、オウカの手にある荷物を見て、彼女は察する。

 

「オウカも帰るんですの?」

「ああ」

「もしかして……」

 

 ベニバナは馬鹿ではない。だから察した。他者に無理矢理使わせるのは、自分にも反動があるのではないのかと。

 だが、その事を言わなかったオウカを見て。

 

(言うのは野暮ですわね)

 

 黙って置く事にした。

 なので、代わりにある言葉を掛ける事にする。

 

「オウカ」

「ん?」

「一緒に帰ろうですわ」

 

 その誘いにオウカは答える。

 

「いいけど、俺んち近いよ」

「途中まででいいですわ」

「それならいいか」

 

 そういう訳で二人で下校する。

 

「オウカ」

「ん」

 

 道中の話題はと言えば、やはり奥義について。

 

「おかげで掴めましたですわ」

「そうなの?」

「はいですわ」

 

 そう言って彼女は保健室で、自身の中にいる存在(ドラゴン)であるグラドと会話を話し始めた。

 

 

 ▼▽▼

 

 

 保健室のベッドで眠りについたベニバナ。

 すると。

 

「……起きろ」

 

 その声で目覚める。気づけば、目の前には彼女の内にいる西洋竜――グラドが目の前に滞空していた。

 

「おやグラド。おはようですわ」

 

 周囲は真っ暗ではあるが、ベニバナとグラドの姿はよく見える。

 人間は知らない所にいれば戸惑うものだが、彼女はここがどこか知っていた。

 夢の中の世界であり、彼女は招かれた事がある。

 因みに、自我の強い<冥刀>でもこういう事例が確認されている。

 

「一体どうしましたの?」

「さっきのアレで掴めたぞ」

「……!」

 

 何をと聞こうとしたが、すぐに察する。

 

「〈爪技〉と〈心牙〉ですわね!」

「その通り」

 

 頷くグラド。

 

「オウカには感謝しかありませんわね」

 

 そう言うベニバナにグラドも頷く。少し不承不承そうだが。

 

「ただし、問題がある」

「問題? ですの?」

 

 そして、グラドは説明を始める。

 それを聞いて、ベニバナは納得する。

 

「なるほどですわ。使い所を見極めなければなりませんわね」

 

 そういう彼女にグラドは更に捕捉する。

 

「そして、もう一つ」

「何ですの?」

「どちらもまだ完全に制御が出来ないだろうからな。修練が必要だ」

「望むところですわ」

 

 その言葉を聞いたグラドの口が少し歪む。ニヤリと笑ったようにベニバナは感じる。

 

「さあ、もう休め。負担が大きいからな」

「突然始まり、突然終わるですわ!?」

 

 そして、意識を失ったベニバナだった。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

「そういう訳で使えそうですわ」

「なるほど」

 

 ベニバナの説明に、納得したオウカ。

 

「じゃあ後は、慣れればどうにかって事か?」

「ですわ」

 

 やはり彼女には才能があったらしい。

 そんな事をオウカが思っていると、ベニバナが改めて声を掛けて来た。

 

「オウカ」

「ん?」

「改めて御礼を」

 

 一拍置くと、頭を下げた。

 

「まだ(わてくし)は強くなれますわ」

「もしかして伸び悩んでいた?」

 

 オウカの問いかけ。それにベニバナは苦笑いする。

 

「チカラを手に入れた当初は、成長している感じがしましたわ」

 

 <シャーマン>としても、<クルセイダー>としても。

 後者は特に問題なかったが、前者の方は、最初は協力してくれないどころか、乗っ取ろうとしてきた。だが、説得を重ね、どうにか協力してくれるようなってからは、こちらも成長していった。

 ところが、ある時を境に成長が遅くなっていき、遂には止まってしまった。

 

「本当にありがとうですわ、オウカ」

「どういたしまして、ベニバナ」

 

 そんな感じで話していると、大きな家が見えて来た。

 

「あそこが(わてくし)の自宅ですわ」

「そうか。じゃあここまでだな。また明日」

 

 そう言ってオウカは踵を返して帰ろうとする。

 そんなオウカの後ろ姿を見て、ベニバナはある事を思い出す。

 

(あれ? 確かオウカの家って学校の近くって言ってましたよね?)

 

 因みにベニバナの家があるのは、徒歩三十分程の場所。

 つまり通り過ぎている。なので聞いてみる。

 

「……というかオウカの家の家通り過ぎてません?」

「通り過ぎているな」

「何でですわ!?」

 

 ツッコミを入れたベニバナに、さも当然のようにオウカは答える。

 

「女の子一人で帰らせるわけねえだろう」

「オウカ……」

 

 彼の気づかいに感動したベニバナ。

 なので。彼女はこう提案する。

 

「ねえオウカ」

「うん?」

「家に寄って行きません事?」

「ほえ?」

 

 そういう訳でオウカは、ベニバナの家にお邪魔する事になった。

 そして。

 

「ベニが友達を連れて来るなんて初めてだ! さあ沢山食べてくれ」

「……どうも」

 

 テンションの高いベニバナの父親に勧められるまま、夕食を頂く。

 

「母様は料理が上手なんですわ」

「煽てても何も出ないわよ」

 

 メニューはベニバナの母親が作ったビーフシチュー。具沢山で結構美味しい。しかも付け合わせのパンまで手作り。

 沢山食べて、お土産まで頂いてからオウカは、華山家に見送られて帰宅した。

 因みに、ちゃんとカミングアウトしておくオウカ。

 

「一応言っておきますけど、俺男ですからね」

「え!?」

「あらあらまあまあ」

 

 父親は驚いていたが、母親は冷静だった。そして

 

「似合うわね」

「どうも」

 

 褒めてくれた。




【後書】
(㈩*㈩)<【アスカトル】のエグイ荒技はこの感覚共有の応用。

(㈩*㈩)<機械アリの感覚を相手に共有させる。

(#ー#)<それがどうえげつないんだ?

(㈩*㈩)<考えてみて。小さな機械アリを痛め付けて、その痛みを共有するんだよ?

(#ー#)<うわ……。

(・▽・)<(何か参考になりそうですね。メモメモ)……。
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