(・▽・)<では、大会本番に突入します。
(#ー#)<修行編はバッサリ行くんだな。
(㈩*㈩)<前章が長すぎだったから。
【TIPS:移動事情】
(#ー#)<実はこの世界、移動が結構大変。
(・▽・)<まあ、怪物とか、環境とか考えれば当然ですよね。
(㈩*㈩)<じゃあ一般市民ってそこまで移動しないの?
(#ー#)<ああ。場所によっては、隣町に移動するだけで死に掛ける事もある。
(#ー#)<だから、護衛として<プレイヤー>を雇うんだ。
(・▽・)<どこも似たような物ですね。
(㈩*㈩)<そっちは外道と獣畜、こっちは<モンスター>と<ダンジョン>
(㈩*㈩)<どっちがマシだろう……。
(#ー#)<知らん。人による。話を戻すぞ。距離がある場合は移動はかなり大変。
(#ー#)<上記で述べた通り、特殊な車両とか、<モンスター>を使う。
(#ー#)<転移は……何度も言っているが、一般的じゃないからな。
(・▽・)<じゃあ海外旅行ってどうしているんですか?
(#ー#)<個人的に行くしかないな。費用とか馬鹿にならないけど。
******
そして、ついに対校戦当日。
行き方は高校によって違う。
東京にある≪天ノ角高校≫の場合は、朝、学校に集合し、現地へバスで向かう。
そういう訳でオウカは、無事に発車したバスに乗っていた。
「何事も無くて良かった」
「不吉な事を言わないで!?」
オウカのコメントに、ジンナがツッコミを入れた。
「学外実習が大変な事になったの忘れたの!」
「わかってる、わかってる」
オウカは死にはしなかったが、手札を色々切る事になった。
「ボク、死にかけたんだから!」
「今回は何もなさそうだから大丈夫」
そんな気がするとオウカは呟く。
ただ、気になる事もあるが。
(ここ最近、ソルの事をよく思い出すな)
そんな事を思っていた。
この間の夢から始まり、練習期間の間もよく思い出し、彼女に習い新しい戦闘スタイルを編み出し、前日も彼女との夢を見た。
ふと思うオウカ。彼女が自分の立場で、対校戦に出場する事になっていたら……
「お前ならどうする?」
「え」
「ああ、口に出てた。何でもない」
黙り込むオウカ。そのまま考える。
(アイツなら派手にやりそうだな)
苦笑してしまうオウカ。
そんな彼を訝しく思ったのか、ジンナが訊ねてくる。
「さっきからどうしたの?」
「うん? いや何、友達の事思い出してた」
隠す事でもないので、正直に言う事にしたオウカ。
その言葉にジンナは思い出しながら聞く。
「えっと、どの人?」
「戦闘狂の。ソルドアットって奴」
「……ああ」
オウカは、現在交流がある面々には、友達や仲間の話をしている。とはいえ、ある程度はボカすが。正直に言うとヤバいのが結構いるので。
「ソルは祭りとか、派手な事が好きだったから、こういう舞台なら喜んだかなって」
「そうなんだ」
そういえば、闘技場でノリノリで戦っていたな、と思い返したオウカ。
懐かしそうなオウカにジンナは更に聞いて来た。
「その人は強いの?」
「強い」
即答したオウカ。
「小さい頃、死闘に魅入られてから、鍛錬を始めたそうだ」
昔、話してくれた事によれば、実家は程々に裕福な商店で、団体移動の最中、野盗に襲われたそうだ。彼女と家族に怪我は無かったそうだが、護衛にはかなりの犠牲が出た。その戦いを見て、彼女は笑っていたそうだ。
(ソルもあんな戦いがしたい!)
そこから鍛錬を始めた。体力トレーニングを始め、更には、戦闘方法を習い始めた。なので、オウカやスドウと同じタイプではあるのだが。
「アイツは俺と違って才能があったんだ」
例えるなら、百点満点のテストで六、七割しか取れないオウカに対し、ソルドアットは百点を取れた。しかもほんの少しの修練で。
「更に実戦経験を積んで強くなっていった」
実家がなんやかんやで無くなった後、武者修行の旅に出た。そして、戦って、闘った。
その道中、<冥刀>‹を手に入れてからは、さらなる強敵達と死闘を繰り広げた。
オウカとの出会いはそんな時だった。
初めての出会いを改めて思い出して、苦笑するオウカ。
「出会って第一声が、戦いましょうだぜ?」
「うわあ」
流石のジンナも呆れる。それと同時に疑問が湧く。
(どっちが勝ったのかな?)
なので聞く事にする。
「それで戦ったの?」
「まあね。禍根残したくなかったし」
ストレートに聞くのもアレなので、遠回しに訊ねる。
「勝敗は?」
「決着付かず」
「……何で?」
「水を差された」
遠い目をするオウカ。
何が起こったかと言えば――もう一人の戦闘狂、と言うか最強を目指す大馬鹿が乱入して、更にソレを仇と付け狙う剣士までやって来た結果、四つ巴が発生。滅茶苦茶になった。
(そして、アレはねえよな~)
そんな事を思ったオウカ。
「まあ、どうにか切り抜けた後から、つるむようになった」
それから友達のような関係となった。そして、もう二人共関係が出来た。片方は親友、もう片方は腐れ縁。
「で、その後は色々」
戦いはしたが、模擬戦や小競り合いの域を出ないものばかり。共闘したり、遊んだ事もあった。そんな日々が続いた。
そして、運命の日。
「でもな、俺とアイツは目指す所が、決定的に違っていたんだ」
今までお互いに見る機会がなかったからこそ、どうにかなっていた。
「俺は平穏、ソルは闘争。だから相入れなかった」
だが、全てが決着し、もう逸らせない所まで来ていた。
『その願いをさ、叶えてやれたらいいんだけど……』
『その願い、捨ててくれたら、どれだけいいか』
『でも、ソルの願いと、サクの願いは』
『未来永劫交わらない』
『ソルが望むのは、闘争の日々』
『俺が望むのは、平和な日常』
『『
お互いがエモノを構える。
『キミを
『お前を
決戦前のやり取りを思い起こしてオウカは続ける。
「そして、最後の戦いをした」
そこまで聞いたジンナは思う。
(それでどうなったのかは……。聞くまでもないね)
オウカが生きている。
つまりはそういう事である。
そして、暫く黙っていたオウカだったが、口を開く。
「でもな、最近思うんだ。他の道は無かったのかって」
「他?」
「ああ。ボコボコにするとか、半殺しとか、達磨とか」
「物騒!?」
どっちにしろ物騒である。
「(まあ、達磨は無理か。されても止まらなかったし。)あの時はアレが最善だと思った。でも……」
悲しそうな顔をするオウカ。
それにジンナは。
「っ」
「!」
黙ってオウカの手を握った。本来なら抱きしめたかったが、流石にそれはこの場ではやりづらかった。
それにオウカは手を握り返した。
二人はそのまま何もしゃべらず、対校戦まで手を握り合っていた。
★☆★☆★
様々な<オブジェクト>や<スキル>のおかげで、進んだ文明や技術。
なのだが、ただ一点だけ後退してしまったものがある。
それは「移動」。
手段自体は増えた。
既存の乗り物に加え、<スキル>の使用、<モンスター>を利用。
なのだが、移動自体が危険なものになってしまった。
その理由は言わずもがな、<モンスター>と異常環境のせいである。
<モンスター>は陸にも、海にも、空にも生息している。しかも人間に襲い掛かって来るのもいるうえに、完全武装した軍隊すら全滅させる強さを持つモノすら存在する。
ダンジョン化した場所は、環境すらも牙をむく時がある。天候、空気、圧力、温度、重力の有無や変化によって人は容易く死ぬ。
ここまで説明したが、人によって〈転移〉はどうしたと言うかもしれない。だが、これまで何度か述べて来たように。そこまで万能に使えるモノではなく、制限やコストが大きい。
だからこそ、場所によって移動は命がけとなったせいで、海外旅行など今は一部の強者や富裕層しか楽しめない。それにより国によっては食料自給率が上がったのはなんという皮肉だろう。
******
そして、対校戦で五つの学校が集合するのもかなり大変である。
おこなわれる場所は、富士山の近くに作られた特設の場所であり、対校戦以外にも勿論、使用可能であり、宿泊施設も完備している。
場所が場所なので、ある程度は近いうえ、行くための道が整備されている、東京にある≪天ノ角≫と≪昴咲≫は、バスで現地まで行くが、残りの三校――京都の≪涼見台≫、北海道の≪光ヶ星≫、鹿児島県の≪森峰≫は遠いので、結構大変。江戸時代よりはマシだろうが。
そのため、≪涼見台≫は、特殊な車両で向かい、≪光ヶ星≫と≪森峰≫は、海を隔てるうえ距離があるので、〈転移〉を使って現地へ向かう。
因みに移動費用は大会スポンサーが持ってくれる。なので、人によっては長距離旅行が楽しめる機会でもあったりする。
◇◆◇◆
対校戦は二週間の日程でおこなわれる。そのため、夏季休暇を利用する。因みに、選手に選ばれた生徒は夏休みの宿題が免除になる。
そして、この二週間は競技してばっかりという訳でない。実質十日間だけである。
初日の午後(夜を跨る)と最終日の午前(昼を跨る)には五校の交流会があり、七日目と八日目には予定はなく、完全休日である。
そう言う訳でこの日は、参加者は広い場所で、立食パーティーを楽しんでいた。
そこには、オウカの姿もある。彼は――
「モグモグ、パクパク」
[口で言う人初めて見た]
[同感]
凄まじい勢いで、出されている食べ物を食べていた。とは言ってもギリギリ理性を働かせて下品にならない位にはしている。
それでも相棒二人はツッコミを入れていたが。
(結構美味しい。持って帰ろうかな?)
そんな事を思っていたオウカ。ふと見るとそこにはローストビーフの皿。残り一切れの肉。
「食べよう」
手を伸ばした時だった。
「「あ」」
その手がぶつかる。ふと見ると、そこにいたのは、他校の女子生徒。セーラー服の色合いから≪昴咲高校≫と分かる。因みに女子高。
「おや、失礼」
「こちら、こそ、ごめん、なさい」
お互い謝る。そして、改めてお互いの姿を確認する。
(背丈は俺より小さいな)
(この人、男。でも、髪、長くて、背、小さい)
(体付きと、身のこなしから、近接系か……)
(隙、無い。明後日、方向、襲いかかれても、対応、できそう)
そうして少年と少女が見つめ合う中、マユは佩刀した太刀に気づく。
[あ]
[?]
[六徳の作品]
[本当?]
二人の念話にオウカも気づく。その少女が佩刀している<冥刀>の正体に。そして、呟く。
「機体型の<冥刀>か……」
その言葉が聞こえたのか、少女の眼が見開かれる。
「わかる、の?」
「詳しい知り合いがいるんでな」
そう言ったオウカ。
それに念話で会話する相棒二人。
[知識、豊富、当然。製作、本人、刀工]
[手伝いしただけど]
そんなマユにオウカは訊ねる。
[それで? 銘とかわかる?]
[【オーバギュ】。第二世代]
一瞬で判断してしまうマユ。
それにネラが訊ねる。
[世代、違何?]
[第二世代は、第一と第三の間]
第一世代は獣・鳥・虫などの動物ロボ。
第三世代は人型ロボット。
そして、その間。銘として使われているのは、アーサー王の馬。つまりは――
[馬ロボットなんだけど、巨大甲冑形態とかになる]
[納得]
そんな会話を聞きながら、オウカは思う。
(強敵だな。注意しとこう)
二人で半分こにしたローストビーフを食べた。
そして、少年と少女はある事に気づく、まだ自己紹介をしていない。
「申し遅れた。俺はサクヅキ=オウカ。一年だ」
「わたし、シンゲツ=バイカ。一年」
どうやら同年代。
「もしかして、新しい月って書くのか?」
「そう。バイカは梅の火。あなた、朔?」
「ん。オウカは桜の牙」
その言葉に少女――バイカは微笑んで言った。
「良い、姓名」
「そっちもな」
お互い笑い合う。
そして、名字は月繋がりなうえ、同じ意味なので。
「実質同姓だな……」
「驚き。何か、感じる」
「ああ」
二人で頷き合う。そして、話題はやはり。
「サクヅキくん」
「何、出場?」
対校戦について。
「俺はバトル×三」
「わたし、同じ。対戦、楽しみ」
そう笑うバイカに、オウカは真実を告げる。
「悪いな。俺、本戦出場なんだ」
「……そうなの?」
バイカは驚くが、直ぐに納得した表情になる。
「納得。あなた、強いから。わたし、そうすれば、良かった」
「もしかして……候補者にはなってた?」
「そう。でも、新人戦、確実、勝利、ため。それと、三年生、優先」
「そりゃあ、しょうがない」
対校戦は卒業後の進路にも影響するので、上級生を優先したのだろう。
「流石にここでやるわけにはいかないしな……」
そう言った時だった。バイカが笑みを深めてこう言う。
「その手、あった」
その瞬間、バイカが動く。左手で佩刀した太刀の鯉口を切り、右手で柄を握り抜刀しようとしたが。
「ここで戦る気かよ……。やめとけ」
オウカはバイカの右腕を左手で掴み、抜刀を止めた。それに目を見開くバイカ。
「速い……」
「お前のそれ、ここで抜錨したら会場消し飛ぶぞ?」
「能力、知っている?」
「知り合いが詳しいんだ」
機体型の<冥刀>は、能力以外にも、機体が何かしらの武装――ミサイルやレーザーなどを詰んでいる場合が多く、それらが解放されれば、会場は簡単に消し飛ぶ。
「そっか。じゃあ、今、やめとく」
そういうとバイカは戦意を霧散させ、左手で器用に太刀を鞘に納める。なので、オウカも右手を離してやる。
「じゃあ、今度、戦おう」
「……TPOを考えてくれるなら」
そういう訳でお互い連絡先を交換し合う。
そして、その後。
「モグモグ」
「これ、美味しい。食べる?」
「どれどれ? うん美味い。酒に合いそう」
「……飲んだ事、あるの?」
「ノーコメント」
二人仲良く食事を楽しんだ。
因みに他の面々はと言えば。
「サク君、他校の生徒と仲良くしてますね」
「前にマユさんが言ってたわ。波長合う人とは仲良く出来るって」
「それって変人って事じゃないのか?」
「ですわ!」
「アハハ……」
その光景を見て、そんなコメントをしていた。
【TIPS:第二世代の<冥刀>】
(㈩*㈩)<前も説明したかもだけど、人と馬を行き来出来る機体型。
(㈩*㈩)<待機形態は日本刀。大きさは全部違うけど、一応持ち運び可能サイズ。
(㈩*㈩)<抜錨すると、馬が召喚。そして、奥の手として合体。
(㈩*㈩)<まあ、人形態はロボと言うより、甲冑に近い。
(㈩*㈩)<でも、巨大で、第三世代と同じ位の大きさだからロボットと言えるかな?
(#ー#)<まあそうだな。……ん? とかってどういう事だ?
(㈩*㈩)<気づいた? 実はそれ以外にも機能がある。それについては追々。
【後書】
(・▽・)<ジンナさん、二人きりだったら抱きしめてました。
(#ー#)<羞恥心が勝った訳か。
(㈩*㈩)<因みに、カナタだったら、人前でも抱きしめる。