冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【前書】
(㈩*㈩)<作者が最終決戦速くやりたいので、飛んだり、巻いたり、戻ったりします。

(・▽・)<蜈蚣に後退の二文字はないですよ?

(㈩*㈩)<わたしは蜈蚣じゃない。サクのメイド師匠。

(#ー#)<ソイツ蜈蚣なの?

(㈩*㈩)<体に蜈蚣の刺青入れているらしい。

(・▽・)<……大〇のカシラ……。

(#ー#)<一部の人しかわからねえネタやるな!?


四十七

 

 

 ******

 

 

 対校戦二日目。ここからが大会本番である。

 七日目と、八日目は完全休暇なので、二日目から六日目と、九日目から十三日目までは競技をおこなう。

 

「今日やるのは大破壊か」

「そうね」

 

 観客席には、オウカとカナタの姿があった。この二人の出場日は、実質最終日なので、出番は暫く無い。

 

 カミキ曰く、

 

『後は野となれ、山となれ。もしくは、当たって砕けろだ』

 

 との事。

 

「まあ、自分が砕けないようにしよう」

「サク君なら砕けても復活するでしょう?」

 

 オウカの言葉に、カナタが笑いながらそう言った。

 なので。

 

「コイツめ」

「痛ッ!?」

 

 オウカはデコピンをお見舞いする。痛がるカナタ。

 そんな感じでやり取りしてると、最初の競技が始まる。

 

 種目は「大破壊」。

 ルールは簡単。

 威力が数値化される目標物を、一定時間以内に攻撃して、どれだけ高威力のダメージを与えられるかを競う。

 

 選手が現れては、目標物にダメージを与えていく。

 方法は問わないため、色々な手段が使われる。

 それを見ながらオウカは呟く。

 

「俺ならどれくらいダメージ出せるだろう?」

 

 その言葉に、カナタが曖昧に微笑む。まあ、彼の最大火力を知っているので、当然の反応ではある。

 

 そして、競技は終わった。結果は……

 

「三位か……」

「可もなく不可もなく……ね」

 

 そう言った二人だった。

 

「次は昼休憩を挟んで空のレースでしたっけ?」

「そのはずよ。まあ予選だけど」

 

 そういう訳で、昼食を取る。食堂があり、そこでメニューを注文可能。

 オウカは青ネギ沢山のチャーシュー麺と炒飯、カナタは焼き魚定食を食べる事にする。

 二人の話題はやはり午前の「大破壊」についてである。

 

「それにしても、色々な手段があったな」

「色々なタイプがいるから」

 

 皆が<スキル>を使って、目標物を攻撃したのだが、方法は様々だった。

 武器を使う、殴蹴、<アーティファクト>、<冥刀>、<モンスター>。これらを組み合わせたりする場合もある。

 因みに優勝者は、≪光ヶ星高校≫の三年である女子生徒。召喚士系の<シャーマン>。

 巨大なドラゴンの一部――頭部だけを召喚して、ブレスを吐かせた。その結果、測定不能値を叩き出し、ぶっちぎりの優勝を飾った。

 

「あの人、連続優勝らしいわよ?」

 

 カナタの説明によると、一年生の時から本戦出場を果たし、三年間ぶっちぎりで優勝したそうだ。

 その説明にオウカは納得する。

 

「そりゃあそうでしょうよ……」

 

 どう見てもあのドラゴンはやばい。

 それにおそらく。

 

(あのドラゴンだけが手持ちじゃないよな。絶対)

 

 そう分析したオウカだった。

 

 

 ******

 

 

 昼休憩を挟んで午後の部が始まる。

 おこなわれる競技は「飛空」。

 ルールはこれも簡単。

 空を飛ぶスピードを競う。勿論方法は問わない。

 ただし、これ方法によっては面積を取る(巨大な乗り物や<モンスター>を使う場合)ので、少人数でレースを何度かやって、最後はその上位者が競う事になる。

 

 なのだが。

 

「でも自然と《グレークロス》持ちが比較的多くなるみたい」

 

 そうジンナが説明する。

 オウカは今はジンナと見ていた。カナタは他の友達と見ているそうだ。

 

「まあそれはそうだろうな……」

 

 乗り物を具現化する《グレークロス》。

 戦闘より、何かしらを運んだりする方が役立つ。

 まあ列車砲や戦車などの戦闘用もあるが。

 

「でも<モンスター>で参加する人とか、自前で飛ぶ人もいるんじゃない?」

「うん。その年によっては程々にいる。」

 

 空を飛ぶ手段は色々あるのだから。

 

「でも、そのせいか年によってはかなりカオスになるんだよ」

「カオス?」

「UFOとか、戦闘機とか、箒に乗った人、翼を生やした人、鳥に乗る人とかが入り乱れて……」

「……」

 

 沈黙するオウカだったが、ポツリと呟く。

 

「逆にどうなるか、ちょっと楽しみになってきた」

 

 オウカの言葉にジンナが笑った。

 

 そして、競技が始まる。

 皆が、様々な手段で空を飛ぶ。

 <スキル>、《クロス》、<モンスター>。

 自前、乗り物、鳥、蟲、竜。

 とは言っても今年は変なのはなかった。

 

「残念……」

「アハハ」

 

 オウカの反応に苦笑いするジンナだった。

 そうして、幾らかやった所で、この日は終了した。

 

 そして、夕飯を取る事にする。

 オウカはカツ丼、ジンナは狐うどんを食べる。

 食べながら、ふとオウカが呟く。

 

「全部はやらないんだな」

 

 この日は「大破壊」は終わったが、「飛空」はまだ残っている。

 それにジンナが答える。

 

「準備が色々あるからね」

 

 ステージの取り換え、打ち合わせなどやる事は色々あるので、余裕を持ってやるそうだ。

 

「明日はどうなるんだろう?」

「頑張ってほしいな」

 

 オウカのどこか他人ごとな言葉にジンナがツッコミを入れる。

 

「サク君も頑張るんだよ?」

「……まあぼちぼちな」

 

 そう言って残りのカツ丼をかき込んだ。

 

 

 

 ■□■□

 

 

 そして、時は飛んで、大会四日目の夕方。これで一旦本戦は終了。

 

 ≪天ノ角高校≫に与えられたスペースの一つに、カミキは一人でいた。椅子に座り、その眼は手元の端末にある。これには対校戦の結果が書いてある。

 

 彼の顔は明るくない。

 

「順位は四位か……」

 

 三日間でおこなわれた四つの競技の結果が芳しくなかった。

 

 『大破壊』は三位、『飛空』は二位とまずまずだったのだが、『クイック・シューティング』は五位、『殲滅戦線』は六位とドンケツ争い。

 

 本戦優勝は諦めるしかないかもしれないが、まだ総合優勝は希望がある。 

 

「希望は新人戦と、本戦の二つか」

 

 ふうと息を吐いて、端末を仕舞い、部屋から出て、空を見た。

 

「一年生諸君。頼んだよ?」

 

 独り言だったが。

 

「それは会長もですわ」

 

 ちょうど通りがかったベニバナがそう言った。

 

「当たり前だ。自分は頑張るけど君もだよ?」

「大丈夫ですわ! 必殺技もありますわ」

「奇遇だね。こっちも手札を増やせた」

 

 その言葉に、ベニバナがもしやと言う顔をして問いかける。

 

「もしかして、オウカの?」

「ああ彼の助言を元にしてね」

 

 一拍置くと続けるカミキ。

 

「《クロス》の拡張性を甘く見ていた」

「光は上手く使いこなしていましたわよね?」

「ああ。でも蟷螂はアレで終わりだと思っていたのだがね……」

 

 そう言って笑うカミキ。

 

「まあどうなったかは本番をお楽しみに、だ」

「それは(わてくし)もですわ!」

 

 二人の眼が、赤、緑、淡褐色に光った。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 そして、大会四日目。遂に新人戦が始まる。

 おこなわれるのは『クイック・シューティング』。タナカが出場する。

 

「あそこまでやったんだ……。勝てよ」

「アレはやり過ぎでは……」

 

 隣にいたリアがツッコミを入れた。

 実は、彼女、タナカを強化する際の後始末に付き合っていた。だからこそのこの言葉。

 因みにランコはいない。『大破壊』の準備があるそうだ。

 

「そういえばさ」

「?」

「この大会の競技の順番って結構滅茶苦茶だよね」

 

 オウカの言葉にリアがこう言う。

 実は彼女、結構除法通である。

 

「くじ引きで決めているらしいですよ?」

「マジで!?」

「マジです」

 

 すまし顔で手に持ったグレープジュースを飲むリア。

 

「ぷは。でも本戦の『バトル×三』は最後にやるって決まっているらしいですよ」

「まあ華だろうからな」

 

 ブラックペッパーのポップコーンを食べながらのオウカの言葉だった。

 それにリアは

 

(それに出場するのわかっているのでしょうか……)

 

 心の中でコメントしながら、オウカのポップコーンを摘まんだ。

 

 ■□■□

 

 

 そうしてブザーが鳴ると同時、『クイック・シューティング』が始まる。

 それと同時、タナカの十指に炎が灯る。指先だけではなく、全体に。そして、前とは火力、精度、速度が比べ物にならない火炎弾が撃たれる。それらは的を正確に撃ち抜いていく。

 

(ここまでになるとはなあ……)

 

 タナカも内心驚いていた。

 それと同時、その原因を作ったオウカにも呆れていた。

 

「アレはなあ……」

 

 その時の事を思い出し、顰め面をするタナカだった。

 

 

 ▼▽▼

 

 

 あの時、ナイフと糸を出したオウカがした事。それは――

 

「な、なにを……」

 

 彼が自由に動けないよう糸で拘束してから。

 

「まずは――指を切ろうか」

「ギャアアア!」

 

 容赦なくタナカの手の指を切断する。

 

「おいおい。まだ二本だぞ? 後八本頑張れ」

「ヤメテェエ!?」

 

 しかも全部切断していく。

 更に。

 

「ついでに、こっちも切っておくか……」

「つ、ついで?」

 

 内履きと靴下を脱がせ、足の指を切っていく。

 

「イヤアア!?」

「喚くな。左右対称にしてやるんだから」

 

 誰も頼んでいない。

 そして、あっという間に全部の指を無くしたタナカ。

 

「い、痛い……」

「喚くな。俺はもっと酷い目にあったぞ?」

 

 それにとオウカは続ける。

 

「炎弾の威力上げたいんだろ?」

「こんな事で上がるわけ……」

「上がる」

 

 断言するオウカ。

 

「俺の友達と腐れ縁はな、剣士なんだが、片方は盲目、片方に至っては隻眼、隻腕、隻脚だ」

「え……。つ、強いん?」

「べらぼうに」

 

 友達の復讐者であった女性は、眼を潰されており、何も見えない。だが、その分他の感覚が鋭くなり、凄まじい剣の腕を手に入れた。

 腐れ縁の最強を目指す求道者は、殺戮行脚の旅路で右眼、右腕、右脚を失っていた。だが、その剣は鈍るどころか、鋭くなっていた。

 

「何かを失えば、代わりのモノはちゃんと手に入るんだ」

 

 これはオウカの持論。

 実際、オウカは《クロス》を失くしたが、代わりのチカラを手に入れた。

 

「さあ、撃ってみろ」

「……わかった」

 

 痛みを堪えながら撃つ。すると、思っていた以上の威力の火炎弾が放たれる。

 

「え……」

 

 これには本人も呆然。

 それにオウカは笑う。

 

「な?」

「あ、ああ」

 

 確かに威力は上昇したうえ、連射性も上がっただろう。

 

「とりあえず、後は指を繋いで貰え。イメージ出来たならもう大丈夫なはずだ」

「え、くっつけたら戻らへん?」

「場合による。今回は大丈夫……多分」

「多分!?」

 

 そういう訳で指は、やって来たリアによって無事に繋いで貰え、後遺症は残らなかった。

 因みに、オウカはリアから滅茶苦茶怒られた。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 そんなオウカとリアは客席で話していた。

 

「な、アレ意味あったろ?」

「……ですが、あそこまで容赦なくやるなんて」

 

 リアは完全に呆れているが、それにオウカは笑う。

 

「向こうが頼んだんだ。痛くても平気って」

「指切られるとは思ってなかったと思いますよ?」

 

 ごもっとも。

 その時、ふと思い返す。オウカは指全部切断以上の重傷を負ったと。

 なので聞く事にする。

 

「サクさんはアレ以上の重傷を負ったって言ってましたよね?」

「ん? ああ」

「どれくらいですか?」

 

 それにオウカはう~んと思い出す。

 

「ええと、手足斬られて、眼は潰れて、骨は折れて、内臓は幾つか損傷……」

「も、もういいです」

 

 聞いただけで痛くなってきた。

 でも今は普通に五体満足である。

 

(どうやって回復したのでしょうか……)

 

 気になる所だが、これは流石に躊躇われた。

 なぜなら、オウカの裸を見た時、リアは気づいていた。僅かに手足の色が違う事を。

 

(いつか話してくれると良いのですけど)

 

 そう思ったリアだった。

 

 因みに、タナカの結果は二位。一位の弓型の<冥刀>使いには勝てなかった。

 

 

 ■□■□

 

 

 試合が終わり、タナカが真っ先に会いに行ったのは恋人の所だった。

 

「残念だったね」

 

 そう言ったのはタナコ。

 それにタナカはたははと笑う。

 

「負けてもうた。アレだけしたんやけどな……」

「もしかしたら、相手はもっと凄まじい代償払っているのかもよ?」

 

 励ますタナコは、彼の手を握る。

 流石に、カナタ程の度胸はない。

 暫く、落ち込んでいたタナカだったが。

 

「よし。メンタルリセット。サクライの所行こか」

「こっちは勝てるといいね」

「せやな」

 

 そう言いながら移動した。

 

 

 ******

 

 

 そして、新人戦の「大破壊」が始まる。

 ランコは投槍を複数持って入場。そして、開始のブザーと同時。

 

「フン!」

 

 槍を投擲。幾つも幾つも幾つも。目標物である岩の塊に突き刺さるが、それだけではダメージは低い。だが、最後に投げた槍と同時に飛ばした爆裂光球が連鎖して大爆発を起こす。

 

(よし、狙い通り)

 

 前と戦法は変わっていないが、実は色々と変えている。

 まずは投槍。元々の爆発ギミックに、爆発する呪符を数多貼り付ける事で爆発力を強化。

 光球の生成も、呪符を使い補助する事で、爆発力を向上。

 そして、最後の投槍。これはかなり特殊な槍で、普段使い投槍の超強化版。ただし、製作コストがかなり高く、時間もかかる。

 今回は大盤振る舞い。

 

(リア様……じゃない、リアちゃんに言われたからな)

 

 本来、護衛として目立たないようにしているランコだが、今回はリアに応援されていた。

 更に極めつけは……

 

『ランコ。勝ちなさい』

 

 自分の槍の師であるルラの言葉。

 

『ですが、派手にやり過ぎると……』

『責任は取ります。ジョージが』

『オレぇ!?』

 

 何か飛び火していたが。

 

 そして、結果は僅差で二位。

 一位が何と、《ブルークロス〔マスドライバー〕》を持っており、凄まじい破壊力を発揮したため、負けてしまった。

 

 なので。

 

「リアさm」

「ちゃん」

「リアちゃん、師匠。負けてしまいました」

「アレは仕方ないですよ」

「……《クロス》は実質何でもありですからしょうがないです」

 

 落ち込んだランコをリアとルラの二人掛かりで励ます一幕があった。

 そして。

 

「ジョージ。何か面白い事しろ」

「何で!?」

 

 再び飛び火した。




【コソコソ話】
(#ー#)<なあ、重傷って何があったんだ?

(・▽・)<ネタバレになるけど、簡単に言うなら――

(#ー#)<ら?

(・▽・)<「君の役目は終わった。死んでくれ」された。

(#ー#)<は!? ちょ、ちょっと待て!? 誰に!?

(・▽・)<誰かは言えない。完全ネタバレなので。

(㈩*㈩)<鋭い人なら気づくと思う。

(㈩*㈩)<アレが色々あって、ああなって、サクを殺そうとした。

(・▽・)<……あの怪我、ディアンじゃなきゃ死んでましたよ?

(㈩*㈩)<サク、運はいいし、塞翁が馬してるから。

(#ー#)<運がいいだけで済まされないだろう……。
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