(#ー#)<なあ、重傷って何があったんだ?
(・▽・)<ネタバレになるけど、簡単に言うなら――
(#ー#)<ら?
(・▽・)<「君の役目は終わった。死んでくれ」された。
(#ー#)<は!? ちょ、ちょっと待て!? 誰に!?
(・▽・)<誰かは言えない。完全ネタバレなので。
(㈩*㈩)<でも、鋭い人なら気づくと思う。
(㈩*㈩)<アレが色々あって、ああなって、サクを殺そうとした。
(・▽・)<……あの怪我、ディアンじゃなきゃ死んでましたよ?
(㈩*㈩)<サク、運はいいし、塞翁が馬してるから。
(#ー#)<運がいいだけで済まされないだろう……。
◇◆◇◆
前半戦終了し、二日の休日となる。この間は、多少の打ち合わせや、軽い練習はしても良いが、それ以外はゆっくり休んでくれとなっている。
なので、オウカは与えられた部屋でダラダラしていた。
ベッドの上でゴロゴロしながら、考え事をしている。
(大会半分が終わって、結果はまずまず)
新人戦では上位入賞者が多かったおかげで盛り返して来た。
このままいけば、新人戦優勝どころか、総合優勝も見えて来たとの事。
「まあどうなるか……」
思わず口に出してしまう。
様々な経験をしてきた身としては、予定通り行くとは思えない。想定外のトラブルや、急に何かが起こる事だって有りうる。
(予定通りか……)
ふと思ったオウカ。予定通りだったら、自分はどうなっていただろう?
(普通に考えて、今のチカラは持っていないな)
《クロス》の蛇腹剣を振っていただろう。この大会には出ていないかもしれない。
(そして、《クロス》を奪われて、【
そこでも、本来手に入れるはずだったチカラは手に入らなかった。
今のオウカはその代わりのチカラの残滓でやっているようなモノ。
「どうなっていたんだろうな……」
オウカの呟き。
それを聞いていた者が二人いた。
「何が?」
「何事?」
マユとネラだった。
なのでとりあえず、自分はどうなっていたのかを聞いてみると。
二人は笑ってこう言った
「今と変わっていなかったと思う」
「同感」
「そうか?」
首を捻るオウカに二人は続ける。
「うん。でもさ」
「?」
「そのおかげでわたしに会えたんだよ?」
「右同。切掛、御蔭、
「……」
その言葉にオウカはなんとも形容しづらい顔をした。
そして、オウカはこんな感じで二日間を休んだ。
******
対校戦九日目。
今日は『ハイパーレース』がおこなわれる。
ルールは、複数人一組のチームで進み、チェックポイントを通過しながら、ゴールを目指す。学外実習でも使った方式を利用するので、言ってしまえば、ミニ学外実習である。
ただし明確に違う点がある。一つ目が、幾つもの罠や障害物が仕掛けられている事、二つ目が、妨害工作がありという事。
「そういえば、学外実習はそういうのは無かったな」
思い返したオウカ。それに答えるのはベニバナ。
「昔は有りだったらしいですわよ」
「昔って?」
「オウカは知ってますよね? <モンスター>の転移事件」
「うん。カナタから聞いた」
知らない人のために簡単に言うなら、トロールの【ガラガラドン】が転移してきて、大惨事である。
「それより昔ですわ」
つまりは数十年以上前だろう。
「でも、ある年はそのせいで誰もクリア出来なかったうえに……」
「うえに?」
何でも傭兵を師に持つ人がいたらしく、エゲつない罠を作ったらしい。
「しかも、罠に引っかかった所を、 <モンスター>に襲われて殺されたり、食べられたりしたそうですわ……」
「そういうのあるよな……」
これには遺族から大批判があった。実質殺されたようなものなのだから、当然ではある。
「だから、妨害工作は禁止となりましたわ」
「当然だな」
「ですが、<モンスター>を仕留める罠と言って色々する人もいて……」
「ルールは知っている人の味方だからな」
法律しかり、校則しかり。
「いかにルールの穴を付くかだからな」
「……何かが盛大に間違っている気がしますわ」
ベニバナがジト目でオウカを見て続ける。
「今ではそういうのは全面的に禁止になりましたですわ」
「だから、この間のアレまでは平和に出来たのかな?」
「……一応緘口令がしかれていますから、あまり言わない方がいいですわよ」
「はーい」
そんなオウカを呆れた目で見るベニバナ。
因みに。
「緘口令しかれているのに、ベニバナは知っているんだ」
「これでも生徒会副会長なので」
「……。そういえばそうだった」
「貴方、
「……。ドラゴン大好きハイカラさん」
「失礼ですわ!?」
こんな会話があり。
[間違ってはいない]
[確かに]
オウカの相棒二人はこんな念話をした。
******
そして、レースが始まる。
開始のブザーと同時に、出発する各校の選手達。
すると早速……
「ギャ!!」
「わ!?」
「いきなりかよ」
巨大な落とし穴に纏めて落ちる選手達。
観客席の人達は、それを映像越しに見ている。
その中に、オウカとベニバナの姿もある。
「わからないのかな? 地面が僅かに違ったけど」
オウカのコメントにベニバナがツッコミを入れる。
「難しいと思いますわよ? │私《わてくし》は目が良いからわかりましたけど」
そういう専門の訓練を受けなきゃキツいと、ベニバナは語る。
「スドウ先輩とか、得意そう」
「そのはずですわ。あの人器用ですもの」
実は彼、本戦のコレも出場選手候補になっていたらしい。
「まあ、最終的に『バトル✕三』になりましたけど」
何でも、彼以外の候補がいなかった事と、点数の高さで選んだそうだ。
実は、このレース、参加人数が多い代わり、一人当たりの点数が低いうえに、大変なので、やる側に人気がない。
「なるほど」
会話をしながら、二人はレースを見守る。
選手達は、罠に引っかかりながらも、どうにかゴールを目指していく。
だが、罠は千差万別にあった。
落とし穴、大きな網、鳥もちの海、括り縄、ゴムで出来たクローズラインなどなど。中には、乗り物系の《グレークロス》を使って進む人対策の、逃走車捕獲用の針トラップ、<モンスター>を足代わりにする人対策の、特殊な餌やモンスター避けまである。
しかもこれらは上手くカモフラージュされているため、見つけにくい。
なのだが、上手くやっている所もあった。
「あの高校は凄いな……」
「≪森峰≫は森にありますから」
≪鹿児島県立森峰高校≫は森の中にある。だから、授業でもそういう所でおこなう場合がある。
だからこそ、この結果だった。
そして、一位となった。
因みに。
「
「まあ悪くはないですわ」
そうコメントする二人だった。
■□■□
そして、遂に新人戦最終日。
この日におこなわれるのは『バトル×バトル×バトル』。
対校戦の花にして、最大点数の種目。
ルールは五人組の一チームで戦い、対戦校の全員を戦闘不能にする事。条件はVF値を削り取り零にするか、意識喪失させるかである。因みに、VFが張られる特殊なアクセサリーを全員装備するので、後遺症の残る怪我や、死亡する心配はない。
試合前、待合室でジンナは精神統一していた。
(やれる事は全部やった)
友人であるオウカや、姉であるザンカを筆頭に様々な人と模擬戦をした。
<スキル>で何が出来るかを、改めて見つめ直した。
そして、マユの助言で【エスペ・アヴァンチュルーズ】と会話をした。
(でも、やっぱり緊張する~)
学外実習の時は、そこまで緊張しなかったのに。
「なんでだろう?」
小声だが口に出してしまった。
周りには聞かれずに済んだので、理由を考えてみる。
あの時とは、状況や場合も違う。何より命が架かっていない。
(チーム戦のせい、かもしれない)
あの時は、実質一人みたいなものだった。……協力してくれた二つの<冥刀>含めれば三人だが、今回はチームメイトがいる。
(チームワークが不安なのか、ボク)
納得したジンナ。
(でもな……)
同じ点もある。それは強敵と戦う点。
オウカが仲良くしていた≪昴咲≫の生徒である、シンゲツ=バイカ。彼女は<冥刀>の使い手であるうえに、彼から教えて貰った、そのチカラはかなり厄介。
加えて、学外実習の時は、ある程度有利な状況が働いていた。
(ああ、考えれば考える程、ドツボにはまる……)
そう思ったジンナ。
その時、ふと思い出す。それはオウカが言っていた言葉
『試合はさ、命が懸かっているいる訳じゃない。だから気楽に行け。死ぬ訳じゃないんだからさ』
命を幾度も賭けて、懸けて来たオウカだからこそ言える言葉だった。
(それもそうだ。負けても死ぬわけじゃない。だったら肩の力を抜いて気楽に行こう)
ジンナの心が安定してきた。
すると、両手首の腕輪――待機形態の【エスペ・アヴァンチュルーズ】が震える。その通りだと言うように。
[キミもそう言うのか。わかった。ありがとう]
その言葉に、愛刀は一瞬で大振りサバイバルナイフ二本に姿を変えた。
「まだ早いよ」
苦笑してそう言ったジンナに、【エスペ・アヴァンチュルーズ】は腕輪に戻った。
******
選手達が所定の位置に付く。そして、試合のブザーが鳴る。
全員が動き出す中、大きく動いたのは二人の選手。
ジンナは待機形態の腕輪を、二振りの大振りサバイバルナイフに変える。
バイカは佩刀した刀を抜刀して、空に掲げる。
「「
それは、この新人戦の『バトル×三』では、二人しかいない<デュナミスト>が切り札を抜錨する合図。
「蛮人は彷徨する。その果てに待つのは非業の死」
それは詠唱。
「善因善果、悪因悪果、陰陽太極、白銀漆黒」
ジンナは唱える。
「天、地、海。走り、奔り、疾り、駆け抜けろ」
それは祝詞。
「刀、抜き、いざ、進め。背、跨る者、敵は無し」
バイカは謳う。
「「
奇しくも二人の言葉が重なった。
「
二振りのナイフが咆哮を上げた。
「
魔法陣より、竜の頭を持つ巨大な馬が現れて嘶いた。
そんな二人にチームメイトはと言えば。
「え!? もう使うの?」
「早くない?」
そういう反応となる。
だが、二人の答えは、
「ボクの【エスペ】はスロースタートだからね。これで良いのさ」
「一気、決める。問題ない」
こうだった。
そうして二人のデュナミストは動く。
ジンナは、自身が前に出て戦い、強化を高めていく。前までは戦わないと強化が解除されてしまったが、今は違う。
「よいしょっと」
ナイフを柄でくっつけて双刃刀にする。こうすると、強化が維持できる。
双剣と双刃刀を使い分け、強化を累積していくジンナ。
バイカは、呼び出した機械馬と別行動を取る。チームメイト達共別なので、実質一人になってしまう。だが。
「ギャ!?」
「グワッ」
全く問題になっておらず、敵を蹴散らしていく。
「……手応え、なし」
太刀を振るう度、脱落者が出る。
更に、機械馬も大暴れする。足で蹴飛ばし、口から火炎を放ち、体からミサイルを放つ。
「こ、こんなのどうす……ギャー!?」
「勝てる訳がない……イヤー!」
こうしてドンドンと脱落者が出て行く。
因みに、VF値が零になって時点で、転移する仕組みになっているので安全。
そうして、森のステージだった競技場は焼け野原になり、二人の<デュナミスト>以外いなくなった。
【コソコソ話】
(㈩*㈩)<サクは、この二日間はのんびりしてた。
(・▽・)<誰かと話したりとかはしてなかったのですか?
(㈩*㈩)<多少はね。でも皆休みたかったから。
(#ー#)<そういうのあるよな。
【TIPS:オーバギュ】
(㈩*㈩)<六徳の第二世代の<冥刀>。
(㈩*㈩)<竜頭の馬を呼び出す。武装は火炎放射とミサイル。
(#ー#)<完全に対軍勢を想定していないか?
(㈩*㈩)<そうだよ。第二世代は仮想敵として軍勢を想定しているから。
(㈩*㈩)<火力を高い兵器を詰んでいる。
(・▽・)<単純に機械馬暴れるだけで大惨事ですね。