冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:武器の持ち運び事情】
(・▽・)<そういえば、この世界って武器の法律ってどうなってますか?

(#ー#)<銃刀法はあるが、緩くなっている。

(#ー#)<今は腰に佩刀した人とか、普通にいるからな。

(㈩*㈩)<でもさ、【匣】とかあるよね? アレは使わないの?

(#ー#)<あるけど高級品じゃなきゃ、取り出しでワンテンポ遅れるからな。

(#ー#)<だから、戦闘前とかは、鞘やホルスターに収めて、

(#ー#)<安全な場所だったら、【匣】に仕舞っておく感じか?

(#ー#)<主人公(アイツ)みたく、携行しやすい武器を仕込んでいる場合も多い。


五十

(見物人は多いけど、まあいいか)

 

 そう思いながら、彼は作業を始める。

 

 初めに床に敷物を敷く。かなり大きな物で、畳十畳分はある。

 そこに彼は仕込んである武器を並べていく。

 

 腰から抜いたロングナイフを二本と、ドスを鞘ごと外して置く。

 特殊なベルトに収まった幾つもの苦無をベルトごと置く。

 脇腹、懐、太腿、脹脛に仕込んである、投擲ナイフや棒手裏剣をケースごと外して置く。

 あちらこちらのポケット(改造して増やした)などに隠した、バタフライナイフや、オートマチックナイフ、アーミーナイフを置く。

 背中の鉄棒と、フードに仕込んだ峨嵋刺、尻ポケットのメリケンサック、口腔に仕込んだ針を置く。

 

 これが彼が登下校の際に仕込んだ武器である。

 この時点で全員唖然としていた。

 

「ナイフ屋でも始める気っすか?」

「質量保存無視してねえか?」

「どれだけ臨戦態勢なんだい?」

 

 年上勢の言葉をオウカは無視。

 そのまま作業を続行する。

 

 今度は【匣】から武器を出していく。

 脇差、長ドス、段平、日本刀、大太刀、西洋剣(実は蛇腹剣)、槍(ギミック有)、スレッジハンマー、金砕棒、鎖分銅、鉄扇(刃仕込み)etc。しかもこれらは複数ある物もある。

 こちらの量も凄まじく、敷物一面全部埋まってしまった。

 

 それにさらに呆然とする一同。

 

「多くない?」

「凄いね~」

「銃刀法とか大丈夫?」

 

 因みに、現在銃刀法は緩くなっている。……その代わり、人を殺傷した場合の罪は重くなったが。

 

 全部並べ終わると、それらを見渡し気合を入れる。

 

「よし」

 

 オウカは武器の確認と手入れを始める。

 

「♪~」

 

 何かしらの鼻歌を歌っているオウカ。

 そんな彼にカナタが問いかける。

 

「見せて貰ってもいいかしら?」

「良いよ」

 

 実はカナタは、前から約束していたのだ。機会があればオウカの武器を見せて貰うと。

 彼女は戦う生産者でもあるので興味があるそうだ。

 

 許可を貰ったので、カナタは武器を見ていく。すると、ある事に気づいた。

 

「ねえサク君」

「ん?」

「どの武器にもVって彫ってあるわよね?」

 

 刀身、鞘、柄、鍔、目貫のどこかに、Vの字が彫ってある。

 それにオウカは答える。

 

「アイツは自分が作った証に、どこかにそれを彫るんだよ」

「そうなのね……」

 

 納得するカナタ……と一部の面々。

 だが、知らない人がこの場には何人かいる。

 

 納得するカナタ……と一部の面々。

 だが、知らない人がこの場には何人かいる。

 

「「??」」

 

 疑問符を浮かべる彼らをオウカはチラリと見て。

 

「作業をしながらでもいいなら話すけど?」

 

 それに断る理由もなかったので全員が頷いた。

 

 

 ●○

 

 

「じゃあ話すとするか」

 

「俺の友達(ダチ)の一人。ヴィー。本名嫌ってるから愛称だけど」

 

「この武器達と……」

 

「防具を作ってくれた人」

 

「うん? いきなり服を捲るな? びっくりする?」

 

「裸見せてる訳じゃないし……」

 

「……何その眼。まあいいか。話を続ける」

 

「凄く腕の良い鍛冶師。一応」

 

「一応ってどういう事かって? アイツ器用だから、鉄を打つだけじゃないんだ」

 

「刀の柄巻とか、鍔とかも作れる。だからセラとかディアン……俺の友人達は拷問具とか、医療器具を注文してたなあ……」

 

「メスとかは作っていたけど、拷問具は断られてたなあ……。ウケる」

 

「え? 笑える要素がない? 拷問具を作らせるってどういう人かって?」

 

「まあそれはいずれ。今はヴィーの話だ」

 

「凄腕の鍛冶師なのは、誰もが認めるんだけど……」

 

「ん? 自他共に認めるんじゃないのか?」

 

「アイツ、自分を過小評価していたから、自分は認めてなかった」

 

「しかも、性格は恥ずかしがり屋の人見知り。ボッチでコミュ障」

 

「だから店には閑古鳥が鳴いていた」

 

「親がいた頃は良かったんだけど、無くなってからはなあ……」

 

「しかも、悪かった……まあこれは本人にとっては悪かった事に、滅茶苦茶美人なんだよアイツ」

 

「背も高くて、出る所は出て、引っ込む所は引っ込んでいた」

 

「おーい女性陣、そんな眼で俺を見んな」

 

「そのせいで、アイツ本当に苦労してたんだよ」

 

「専属契約しようって人もいたけど、体込みとか、愛人契約込みばっかり」

 

「それは本人嫌だって言っていたんだ」

 

「自分は鍛冶師だけでやっていきたいって」

 

「で、食べるにも困る日々。何とか蓄え潰して、借金してやってきたんだが、もう限界ギリギリだった」

 

「そんな時、セラに出会って、アイツのほぼ専属鍛冶師になったんだ」

 

「ん? ルラさん? ああそうですよ。【ルンペル】の元の持ち主」

 

「だから、武器を使ってそれを強化して戦う人」

 

「とは言っても無制限に強化出来る訳じゃなくて、その質による」

 

「色々な売っている武器試して、ヴィーの武器が一番強化率高かったから」

 

「だから、頼み込んでほぼ専属鍛冶師になって貰ったそうだ」

 

「月一で暮らせるだけの金払って、仕事を頼む事にも支払う方式にした」

 

「そのおかげで、借金も一括で返せる事になったんだが……」

 

「貸した奴が屑野郎でな、利息をとんでもない代金吹っ掛けて来た上」

 

「ヴィーを娼館に売ろうとしたから、セラが話し合いをして解決」

 

「え? 本当に話し合いだったのか?」

 

「フフフ」

 

「因みにほぼって言うのは、それ以外の仕事も受けてた」

 

「俺もセラから紹介して貰って色々作って貰ったし、世話になった」

 

「俺も一度、アイツを勧めたけど……。うん。アレは不味かった」

 

「あのレズに魅力的な女性進めるなんて、ライオンの檻に太ったシマウマ入れるようなもの」

 

「性的な眼で見て来る人は苦手って言ってたけど、女性でも当てはまるとは……」

 

「やれやれ」

 

「まあこれがヴィーの話です。俺の愛しい友達」

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 そして、遂に対校戦の実質最終日。……実質を付けたのは、移動と懇親会を抜いたからである。

 おこなわれる競技は『バトル×バトル×バトル』の本戦。毎年一番派手におこなわれ、得点も高い。

 ここで改めてルールの説明。五人一チーム、合計二十五人で一定フィールド内を戦い、味方以外全員を倒せば勝利。

 勝利条件は、対象のVF値を削り取るか、意識喪失をさせるか。VFのおかげで、どこぞの人がやったような火力殲滅までやってよしになっている。

 

「だから毎年人気なんだよ」

 

 控室でカミキがオウカに説明する。

 試合前なので、雑談したりする中で、彼が改めて説明した訳である。

 そこにスドウもコメントする。

 

「まあ、新人戦はアレだったしな」

「「アハハ」」

 

 それには笑うしかない一同。

 そんな時だった。カミキが何かに気づく。

 

「おや? 緊急連絡……。ちょっと失礼」

 

 どうやら何かしらの連絡があったらしく、外に出る。

 暫くして戻って来た彼の顔は曇っていた。

 代表して、ベニバナが問いかける。

 

「どうしましたですの?」

 

 その言葉にカミキは少し沈黙してから答えた。

 

「ルール追加があった」

「「はあ!?」」

 

 驚く一同。

 カナタが訊ねる。

 

「今更ですか? 随分急すぎません?」

「新人戦での戦いに非難があったらしい」

「「そりゃそうだ」」

 

 納得する一同。

 因みに追加されたルールは、持ち運び可能な(フラッグ)を設置して、それを動かさずに守る事。これを破壊されたら、生存者がいても強制脱落との事。

 

「火力殲滅は実質禁止か」

「まあ理にかなってますね」

 

 オウカとカナタがそう言った。

 そこへ、スドウが全員を見渡して口を開く。

 

「で? 誰が守るんだ?」

 

 全員が顔を見合わせて相談しようとするも、とある人物が立候補した事で、すぐに決まった。

 そして、カミキが更にとある情報を言う。

 

「そして、これはもう一つの情報なのだが、≪涼見台≫の登録選手に変更があった」

「随分急ですわね」

「ああ。それでその選手……一年生らしい」

 

 その言葉にオウカに視線が集中する。

 なので、オウカは肩をすくめてこう言った。

 

「何か持っているのかもね」

 

 そう呟いたオウカ。そんな彼は、昨日の武器博覧会(?)が終わった後の、キョウコからの言葉を反芻していた。

 

――サクヅキクン。二つ助言。心に留めといて。

 

 間延びしておらず、開眼しての真面目な話だった。

 

「さてどうなるか……」

 

 呟くオウカだった。

 

 

 ■□■□

 

 

 観客席のとある場所。

 とあるメンバーがそこにいた。

 

「試合開始が近いね……」

「そうですね」

 

 ジンナの呟きに、リアが答えた。

 

「それにしても、いきなりのルール変更とは……」

「誰、せい?」

「お前のせいだよ」

 

 ボケるバイカに、ツッコミを入れたランコ。

 

「それにしても……どうなるかねえ」

「順道に行けば、≪天ノ角≫が勝つでしょう」

 

 ジョージの疑問に、答えたのはルラ。

 その言葉に、そこの教師二人が反応する。

 

「戦闘の~、専門家に~、お墨付きが貰えるとは~」

「これは勝ったも同然かな?」

 

 キョウコはいつもの間延びした口調、イオリは少し嬉しそうな声を出す。

 だが、そこに待ったをかける声があった。

 

「いやいや、わからないっすよ」

「その通り」

「右同」

 

 それはザンカと人形態のマユ、そして、マユの肩に乗っかった蟻形態のネラだった。

 

「強さを隠している人とか、何かしらの奥の手を持った人がいるっすもん」

「わたしとしては、急な出場選手の交代が気になる」

 

 ザンカとマユのコメントに、全員が気を引き締める。

 

 この面々、偶然一か所に集まって、異様な集団(笑)と化していた。だからこそ、彼女らの周りはぽっかりと空いていた。何故か他校の生徒も混ざっているが、そこはご愛敬。

 因みに、いつもオウカと一緒にいる相棒二人も今日はここにいた。

 オウカに言われたからである。

 

 曰く

 

『学生同士の戦いなんだから、出来るだけ一人で戦いたい。新しい戦法がどこまで通じるかも試したいし』

 

 との事。

 命が懸かっていない競技だからこその言葉である。

 それに、場合によっては、身近な面々に、解説も必要だろうと言う判断である。

 マユは一応納得したのだが、ネラは――オウカの<冥刀>である彼女は納得せず、どうにかオウカが説得して渋々納得した。

 

「不満」

 

 呟くネラ。蟻なので表情はわからないが、声音と態度から、まだ完全には納得していない。

 とは言え、彼女もチカラになれないのはアレなので、オウカにある物を預けたが。

 

 そして、試合開始十分前の連絡が入る。

 それを聞いた何人かが、所用を足すために席を立つ。

 そんな中、キョウコは昨日のオウカとのやりとりを思い出していた。

 

 

 ▼▽▼

 

 

 武器博覧会の後、キョウコはオウカを呼び出して二人きりになっていた。

 

「どうしたんです?」

 

 オウカの疑問。それにキョウコは暫くの沈黙後、口を開く。

 

「わたしが~、陰陽師なのは~、知っているよね~?」

「ええ。見ればわかります」

 

 服装も狩衣を着ているし。

 

「陰陽師の~、元々の~、仕事って知ってる~?」

「占いですよね?」

 

 陰陽師は国家公務員であり、占術や天文学を使って、吉凶を占う事が本業である。

 また自然地理学や気象予報にも長け、都市計画や暦・節季の予想など、占いばかりでなく、学術的な研究も多く成している。

 この延長線として退魔行を成すのであり、今はこちらの方が一般的である。

 実際、キョウコは戦う方が得意ではある。

 

「それで~、占いも偶にするんだけど~」

「なにか出ました?」

「当たるも八卦~、当たらぬも八卦~、なんだけど~」

 

 オウカの問いに、少し言いにくそうにキョウコは答える。

 

「最悪の場合~、会場どころか~、関東全域が消し飛ぶって出た」

「は?」

 

 それは学外実習以上の大惨事になるのでは?

 

「それでね~、それを防ぐのに~、サクヅキクンの力が必要~」

「何をすれば?」

「えっとね~。二つ助言。心に留めといて」

 

 その言葉を聞いたオウカは、頷いた。

 

「わかりました」

「うん~。それとね~、それを超えた先に~、良い事あるってさ~」

「良い事……」

 

 この時のオウカは知らなかった。

 本当に良い事が起こる事を。




【TIPS:ヴィシュヴァカルマン】
(#ー#)<誰だよ……。

(・▽・)<ヴィーの本名。

(#ー#)<え!? アイツそんな名前なの!?

(・▽・)<はい。可愛くないから、あまり人に呼ばせませんけど。

(㈩*㈩)<確かインドの神様の名前だよね。神々の武器や壮麗な都市を作った工匠神。

(・▽・)<はい。その名前の通り、鍛冶師としての腕前は凄まじいです。

(・▽・)<何より性能が良い。【ルンペル】の強化率も高いですし。

(・▽・)<市販品で数倍、オーダーメイドで十倍位が限界なのに。

(・▽・)<彼女の作品は数十倍~百倍もの力が引き出せます。

(・▽・)<本当に凄腕。でも陰キャボッチなので店には閑古鳥が鳴いてました。

(㈩*㈩)<あの腕は本当に凄い。一門に匹敵、いやそれ以上かもしれない。

(#ー#)<そんなに凄いのか……。
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