(・▽・)<そういえば、この世界って武器の法律ってどうなってますか?
(#ー#)<銃刀法はあるが、緩くなっている。
(#ー#)<今は腰に佩刀した人とか、普通にいるからな。
(㈩*㈩)<でもさ、【匣】とかあるよね? アレは使わないの?
(#ー#)<あるけど高級品じゃなきゃ、取り出しでワンテンポ遅れるからな。
(#ー#)<だから、戦闘前とかは、鞘やホルスターに収めて、
(#ー#)<安全な場所だったら、【匣】に仕舞っておく感じか?
(#ー#)<
(見物人は多いけど、まあいいか)
そう思いながら、彼は作業を始める。
初めに床に敷物を敷く。かなり大きな物で、畳十畳分はある。
そこに彼は仕込んである武器を並べていく。
腰から抜いたロングナイフを二本と、ドスを鞘ごと外して置く。
特殊なベルトに収まった幾つもの苦無をベルトごと置く。
脇腹、懐、太腿、脹脛に仕込んである、投擲ナイフや棒手裏剣をケースごと外して置く。
あちらこちらのポケット(改造して増やした)などに隠した、バタフライナイフや、オートマチックナイフ、アーミーナイフを置く。
背中の鉄棒と、フードに仕込んだ峨嵋刺、尻ポケットのメリケンサック、口腔に仕込んだ針を置く。
これが彼が登下校の際に仕込んだ武器である。
この時点で全員唖然としていた。
「ナイフ屋でも始める気っすか?」
「質量保存無視してねえか?」
「どれだけ臨戦態勢なんだい?」
年上勢の言葉をオウカは無視。
そのまま作業を続行する。
今度は【匣】から武器を出していく。
脇差、長ドス、段平、日本刀、大太刀、西洋剣(実は蛇腹剣)、槍(ギミック有)、スレッジハンマー、金砕棒、鎖分銅、鉄扇(刃仕込み)etc。しかもこれらは複数ある物もある。
こちらの量も凄まじく、敷物一面全部埋まってしまった。
それにさらに呆然とする一同。
「多くない?」
「凄いね~」
「銃刀法とか大丈夫?」
因みに、現在銃刀法は緩くなっている。……その代わり、人を殺傷した場合の罪は重くなったが。
全部並べ終わると、それらを見渡し気合を入れる。
「よし」
オウカは武器の確認と手入れを始める。
「♪~」
何かしらの鼻歌を歌っているオウカ。
そんな彼にカナタが問いかける。
「見せて貰ってもいいかしら?」
「良いよ」
実はカナタは、前から約束していたのだ。機会があればオウカの武器を見せて貰うと。
彼女は戦う生産者でもあるので興味があるそうだ。
許可を貰ったので、カナタは武器を見ていく。すると、ある事に気づいた。
「ねえサク君」
「ん?」
「どの武器にもVって彫ってあるわよね?」
刀身、鞘、柄、鍔、目貫のどこかに、Vの字が彫ってある。
それにオウカは答える。
「アイツは自分が作った証に、どこかにそれを彫るんだよ」
「そうなのね……」
納得するカナタ……と一部の面々。
だが、知らない人がこの場には何人かいる。
納得するカナタ……と一部の面々。
だが、知らない人がこの場には何人かいる。
「「??」」
疑問符を浮かべる彼らをオウカはチラリと見て。
「作業をしながらでもいいなら話すけど?」
それに断る理由もなかったので全員が頷いた。
●○
「じゃあ話すとするか」
「俺の
「この武器達と……」
「防具を作ってくれた人」
「うん? いきなり服を捲るな? びっくりする?」
「裸見せてる訳じゃないし……」
「……何その眼。まあいいか。話を続ける」
「凄く腕の良い鍛冶師。一応」
「一応ってどういう事かって? アイツ器用だから、鉄を打つだけじゃないんだ」
「刀の柄巻とか、鍔とかも作れる。だからセラとかディアン……俺の友人達は拷問具とか、医療器具を注文してたなあ……」
「メスとかは作っていたけど、拷問具は断られてたなあ……。ウケる」
「え? 笑える要素がない? 拷問具を作らせるってどういう人かって?」
「まあそれはいずれ。今はヴィーの話だ」
「凄腕の鍛冶師なのは、誰もが認めるんだけど……」
「ん? 自他共に認めるんじゃないのか?」
「アイツ、自分を過小評価していたから、自分は認めてなかった」
「しかも、性格は恥ずかしがり屋の人見知り。ボッチでコミュ障」
「だから店には閑古鳥が鳴いていた」
「親がいた頃は良かったんだけど、無くなってからはなあ……」
「しかも、悪かった……まあこれは本人にとっては悪かった事に、滅茶苦茶美人なんだよアイツ」
「背も高くて、出る所は出て、引っ込む所は引っ込んでいた」
「おーい女性陣、そんな眼で俺を見んな」
「そのせいで、アイツ本当に苦労してたんだよ」
「専属契約しようって人もいたけど、体込みとか、愛人契約込みばっかり」
「それは本人嫌だって言っていたんだ」
「自分は鍛冶師だけでやっていきたいって」
「で、食べるにも困る日々。何とか蓄え潰して、借金してやってきたんだが、もう限界ギリギリだった」
「そんな時、セラに出会って、アイツのほぼ専属鍛冶師になったんだ」
「ん? ルラさん? ああそうですよ。【ルンペル】の元の持ち主」
「だから、武器を使ってそれを強化して戦う人」
「とは言っても無制限に強化出来る訳じゃなくて、その質による」
「色々な売っている武器試して、ヴィーの武器が一番強化率高かったから」
「だから、頼み込んでほぼ専属鍛冶師になって貰ったそうだ」
「月一で暮らせるだけの金払って、仕事を頼む事にも支払う方式にした」
「そのおかげで、借金も一括で返せる事になったんだが……」
「貸した奴が屑野郎でな、利息をとんでもない代金吹っ掛けて来た上」
「ヴィーを娼館に売ろうとしたから、セラが話し合いをして解決」
「え? 本当に話し合いだったのか?」
「フフフ」
「因みにほぼって言うのは、それ以外の仕事も受けてた」
「俺もセラから紹介して貰って色々作って貰ったし、世話になった」
「俺も一度、アイツを勧めたけど……。うん。アレは不味かった」
「あのレズに魅力的な女性進めるなんて、ライオンの檻に太ったシマウマ入れるようなもの」
「性的な眼で見て来る人は苦手って言ってたけど、女性でも当てはまるとは……」
「やれやれ」
「まあこれがヴィーの話です。俺の愛しい友達」
◇◆◇◆
そして、遂に対校戦の実質最終日。……実質を付けたのは、移動と懇親会を抜いたからである。
おこなわれる競技は『バトル×バトル×バトル』の本戦。毎年一番派手におこなわれ、得点も高い。
ここで改めてルールの説明。五人一チーム、合計二十五人で一定フィールド内を戦い、味方以外全員を倒せば勝利。
勝利条件は、対象のVF値を削り取るか、意識喪失をさせるか。VFのおかげで、どこぞの人がやったような火力殲滅までやってよしになっている。
「だから毎年人気なんだよ」
控室でカミキがオウカに説明する。
試合前なので、雑談したりする中で、彼が改めて説明した訳である。
そこにスドウもコメントする。
「まあ、新人戦はアレだったしな」
「「アハハ」」
それには笑うしかない一同。
そんな時だった。カミキが何かに気づく。
「おや? 緊急連絡……。ちょっと失礼」
どうやら何かしらの連絡があったらしく、外に出る。
暫くして戻って来た彼の顔は曇っていた。
代表して、ベニバナが問いかける。
「どうしましたですの?」
その言葉にカミキは少し沈黙してから答えた。
「ルール追加があった」
「「はあ!?」」
驚く一同。
カナタが訊ねる。
「今更ですか? 随分急すぎません?」
「新人戦での戦いに非難があったらしい」
「「そりゃそうだ」」
納得する一同。
因みに追加されたルールは、持ち運び可能な
「火力殲滅は実質禁止か」
「まあ理にかなってますね」
オウカとカナタがそう言った。
そこへ、スドウが全員を見渡して口を開く。
「で? 誰が守るんだ?」
全員が顔を見合わせて相談しようとするも、とある人物が立候補した事で、すぐに決まった。
そして、カミキが更にとある情報を言う。
「そして、これはもう一つの情報なのだが、≪涼見台≫の登録選手に変更があった」
「随分急ですわね」
「ああ。それでその選手……一年生らしい」
その言葉にオウカに視線が集中する。
なので、オウカは肩をすくめてこう言った。
「何か持っているのかもね」
そう呟いたオウカ。そんな彼は、昨日の武器博覧会(?)が終わった後の、キョウコからの言葉を反芻していた。
――サクヅキクン。二つ助言。心に留めといて。
間延びしておらず、開眼しての真面目な話だった。
「さてどうなるか……」
呟くオウカだった。
■□■□
観客席のとある場所。
とあるメンバーがそこにいた。
「試合開始が近いね……」
「そうですね」
ジンナの呟きに、リアが答えた。
「それにしても、いきなりのルール変更とは……」
「誰、せい?」
「お前のせいだよ」
ボケるバイカに、ツッコミを入れたランコ。
「それにしても……どうなるかねえ」
「順道に行けば、≪天ノ角≫が勝つでしょう」
ジョージの疑問に、答えたのはルラ。
その言葉に、そこの教師二人が反応する。
「戦闘の~、専門家に~、お墨付きが貰えるとは~」
「これは勝ったも同然かな?」
キョウコはいつもの間延びした口調、イオリは少し嬉しそうな声を出す。
だが、そこに待ったをかける声があった。
「いやいや、わからないっすよ」
「その通り」
「右同」
それはザンカと人形態のマユ、そして、マユの肩に乗っかった蟻形態のネラだった。
「強さを隠している人とか、何かしらの奥の手を持った人がいるっすもん」
「わたしとしては、急な出場選手の交代が気になる」
ザンカとマユのコメントに、全員が気を引き締める。
この面々、偶然一か所に集まって、異様な集団(笑)と化していた。だからこそ、彼女らの周りはぽっかりと空いていた。何故か他校の生徒も混ざっているが、そこはご愛敬。
因みに、いつもオウカと一緒にいる相棒二人も今日はここにいた。
オウカに言われたからである。
曰く
『学生同士の戦いなんだから、出来るだけ一人で戦いたい。新しい戦法がどこまで通じるかも試したいし』
との事。
命が懸かっていない競技だからこその言葉である。
それに、場合によっては、身近な面々に、解説も必要だろうと言う判断である。
マユは一応納得したのだが、ネラは――オウカの<冥刀>である彼女は納得せず、どうにかオウカが説得して渋々納得した。
「不満」
呟くネラ。蟻なので表情はわからないが、声音と態度から、まだ完全には納得していない。
とは言え、彼女もチカラになれないのはアレなので、オウカにある物を預けたが。
そして、試合開始十分前の連絡が入る。
それを聞いた何人かが、所用を足すために席を立つ。
そんな中、キョウコは昨日のオウカとのやりとりを思い出していた。
▼▽▼
武器博覧会の後、キョウコはオウカを呼び出して二人きりになっていた。
「どうしたんです?」
オウカの疑問。それにキョウコは暫くの沈黙後、口を開く。
「わたしが~、陰陽師なのは~、知っているよね~?」
「ええ。見ればわかります」
服装も狩衣を着ているし。
「陰陽師の~、元々の~、仕事って知ってる~?」
「占いですよね?」
陰陽師は国家公務員であり、占術や天文学を使って、吉凶を占う事が本業である。
また自然地理学や気象予報にも長け、都市計画や暦・節季の予想など、占いばかりでなく、学術的な研究も多く成している。
この延長線として退魔行を成すのであり、今はこちらの方が一般的である。
実際、キョウコは戦う方が得意ではある。
「それで~、占いも偶にするんだけど~」
「なにか出ました?」
「当たるも八卦~、当たらぬも八卦~、なんだけど~」
オウカの問いに、少し言いにくそうにキョウコは答える。
「最悪の場合~、会場どころか~、関東全域が消し飛ぶって出た」
「は?」
それは学外実習以上の大惨事になるのでは?
「それでね~、それを防ぐのに~、サクヅキクンの力が必要~」
「何をすれば?」
「えっとね~。二つ助言。心に留めといて」
その言葉を聞いたオウカは、頷いた。
「わかりました」
「うん~。それとね~、それを超えた先に~、良い事あるってさ~」
「良い事……」
この時のオウカは知らなかった。
本当に良い事が起こる事を。
【TIPS:ヴィシュヴァカルマン】
(#ー#)<誰だよ……。
(・▽・)<ヴィーの本名。
(#ー#)<え!? アイツそんな名前なの!?
(・▽・)<はい。可愛くないから、あまり人に呼ばせませんけど。
(㈩*㈩)<確かインドの神様の名前だよね。神々の武器や壮麗な都市を作った工匠神。
(・▽・)<はい。その名前の通り、鍛冶師としての腕前は凄まじいです。
(・▽・)<何より性能が良い。【ルンペル】の強化率も高いですし。
(・▽・)<市販品で数倍、オーダーメイドで十倍位が限界なのに。
(・▽・)<彼女の作品は数十倍~百倍もの力が引き出せます。
(・▽・)<本当に凄腕。でも陰キャボッチなので店には閑古鳥が鳴いてました。
(㈩*㈩)<あの腕は本当に凄い。一門に匹敵、いやそれ以上かもしれない。
(#ー#)<そんなに凄いのか……。