(#ー#)<で? コイツはどんな問題児だ?
(㈩*㈩)<問題児言うな。まともな方だから。
(㈩*㈩)<本職はホスト。その収入だけで贅沢三昧な生活が可能。
(㈩*㈩)<まあ本人、そこまで贅沢はしなかったけど、質にこだわっていた。
(・▽・)<質?
(㈩*㈩)<例えば、食事だったら、化学調味料とか、合成食品とか使っていない、本格的な物を食べたりしてた。
(#ー#)<それはそれで金がかかりそう。
(㈩*㈩)<うん。話を戻す。結構器用で何でも出来た。
(㈩*㈩)そんなある日、無量大数の勧誘を受けて、彼女から鍛冶を習って刀工になった。
(・▽・)<作品的に、「これぞ<冥刀>!」と言うのが多いですよね。
(㈩*㈩)<確かに。能力は自然、概念、強化など色々だからね。
☆★☆★☆
【チャンドラハース】
裏銘は〖圧切長谷部〗、真名は『シータ』。
製作者は阿僧祇叢雅。
インド神話の魔王、ラーヴァナの武器である三日月刀。これを元ネタとして作られた<冥刀>である。
そのチカラはシンプル。二十の腕を持っていた│羅刹《ラーヴァナ》のように、二十の刀を振るう。
要するに、刀が二十本に分裂し、それを自在に操作できる。
そして、本体を壊されない限り、数は維持可能で、射程範囲も二十メートルと意外と広い。
そんな〈畢竟〉では刃を組み合わせ、攻撃、移動、拘束などの奥義を使用可能となる。それは使い手によって色々変わる。
そのため、単純に手数が増えるので、使い手は個人から多人数、近距離・中距離と、結構万能に戦える。
だが、どんな<冥刀>にも、何かしらの制約や欠点があるように、コレにも存在する。
一つ目が、分裂した刃を操るには、本体を手に持つ事。
何かしらあって手から離れたら解除され、納刀状態でも使えない。
因みに、ソルドアットの前の使い手は、その弱点を突かれて死亡している
二つ目が、本体を降って操る必要がある事。
要するに指揮者のようにする必要がある。拘束され一ミリも本体が動かせない状態だと何もできなくなる。
因みに、最初の使い手は、とある<冥刀>使い相手に、その弱点を突かれて敗北した。……まあぶっちゃけるとコレは格差があり過ぎたが。
三つ目が、武器はコレ以外装備不可能と言う事。
片手で操るとして、もう片方が空くのだが。その手に他の武器や盾等の防具を持つ頃は出来ない。要するに、【チャンドラハース】以外の武器は使うなと言う事である。
因みに、鎧や籠手等はOKだが、メリケンサックや盾はアウト。他の剣や槍など持っての他。
そんな<冥刀>だったのだが、とある人物がこの使い手と戦い、勝利。ちょうど使っていた武器が使い物にならなかったから、これを拝借した。
この人物の名前はソルドアット。
ここから、この<冥刀>の変遷は始まった。
******
とある都市にあった何でもありの闘技場。そこでソルドアットは戦っていた。しかもかなり長い間。
こういう闘技場では、賭金が発生するため、ただ勝ち続けるだけでは、いずれ無茶な勝負を組まされ潰される。
だが、ソルドアットはそこで器用にやっていた。
彼女は戦う事が大好きだが、勝敗には拘らない。
本人曰く。
『負けてもいいよ? 撤退戦も楽しいし、逃げ切れたら再戦出来るから』
との事。
だからこそ、負ける時は上手く負け、時には引き分ける。そして、勝つ時も、上手く僅差で勝ったりする。
だからこそ、そこで長くやっていた。
そんなある時、闘技場のオーナーから、その試合では勝つように言われたソルドアット。しかもそれは久々の勝利要求だったうえ、思いっきりやれというオーダー。
そういう訳で彼女は思いっきり挑んだ。
この頃の彼女は、グラディエーターのように様々な武器を使って戦っていた。
因みに<冥刀>はない。とは言え、手持ちの武器にそれに近いモノがあり、ある程度打ち合いも可能だった。
そして、その相手は【チャンドラハース】の使い手だった。
歴代屈指の強敵であり、ソルドアットもボロボロになった。だが、最終的には弱点の一つである、本体がないと、分裂した刀を使えないという欠点を付いて、どうにか勝利。
とは言え、この戦いで彼女はこの戦いで武器を全て失ってしまった。
と言う事で。
「勝利者の権利という事で――貰うね」
使い手を殺したため、残された<冥刀>を貰う事にした。
それから、彼女は更に戦闘力を上げた。器用な彼女との相性は抜群だった。
だが、彼女的には物足りなかった。
「何か出来る事ないかな?」
強くなる方法の一つに弱点の克服という物がある。
という訳で、本体も遠隔操作出来ないかと言う事で彼女が思いついたのは――
「切っちゃえ」
自身の手足を斬り落とした。
その結果、【チャンドラハース】は彼女の覚悟を認めたのか、その狂気に絶句したのか、本体すらも遠隔操作可能となり、更に思考や手の動きだけで動かせるようになった。
因みに、手足は元通りに繋いで貰えた。執刀医はディアンである。
そしてこの頃、闘技場をクビ――強くなり過ぎて対戦カードが組めないので。因みに円満退職――になったので、旅を始めた。
そこで戦利品や、埃を被った<冥刀>を幾つも手に入れた。
とは言え、一人一刀が基本。オウカは複数使っているが、アレは例外。
なので、どうしようもないはずなのだが……。
「そうだ! ソルが使わなければ良い!」
逆転の発想(?)をした。自分ではなく【チャンドラハース】に使わせるという事である。〈畢竟〉がコレになった。
その結果、彼女は幾つもの<冥刀>を使えるようになり、状況に応じて様々な手札を出す事が出来た。
だからこそ、弱点を潰し、範囲攻撃なども手に入れ、更には――最終決戦ではとんでもない事までやってのけた。
だからこそ、オウカの手によって命を落とすまで、彼女は戦い抜けたのだ。
■□■□
マユの説明――ソルドアットとそのエモノ――を聞いて、全員絶句。
その説明に、とある考えが浮かびマユに訊ねたのは――キョウコ。
「ねえマユさん、ソルドアットさんのストックにさ」
一拍置いて訊ねる。
「関東を消し飛ばせるモノってある?」
「「は!?」」
ほぼ全員唖然。だが、マユだけは平然と答える。
「それで済めば御の字」
「「!」」
「最悪は?」
予想出来ていたキョウコの問いにマユは少しの沈黙。
そして、答えた。
「最悪は……新世界創造」
「「!?」」
意味不明な答えにほぼ全員の顔が変顔になる中、ルラだけが何か恵心の言った顔になる。
「つまるところ、世界が消し飛ぶのですね」
「うん。銀河系が消えて無くなる」
「「どういう事!?」」
ツッコミにルラが答える。
「つまり世界が破壊されて、新世界が創造される。神話の再現という事ですね」
「「――」」
「なんで嬉しそうなんだ姐さん……」
ほぼ全員が絶句し、ジョージが呆れる。
そんな状況で、戦況は動く。
ソルドアットが、背後にある二十の刃の内の一本を手前に展開する。その刃が姿を変えていく。そして、現れたのは――鎧騎士。
それにザンカがマユに訊ねる。
「アレは?」
見た所、全身が石で出来ており、一見すると石像の鎧騎士にしか見えない。
「【デア・トロイエ・ヨハネス】」
即答したマユ。流石製作者の一人である。
それにバイカが首を捻り、リアが答える。
「元ネタ、何?」
「グリム童話の『忠臣ヨハネス』ですよね?」
<冥刀>の表銘は主に神話や伝説の武器の銘が使われる。だが、例外があり、物語や童話から取られたモノもチラホラある。
これはその一つ。
「そう。ちょっと変わったモノ」
「変わっていないモノなんてないような……」
イオリの指摘をマユは無視して説明を続ける。
「普段は使い手を自立行動して護ったり、共に戦う」
どこが剣? とツッコミを入れられるシロモノではある。が、こういうのが結構あるのが<冥刀>である。
このタイプはチラホラ存在する。これは鎧騎士だが、他にも生物型など色々ある。
「そして、コレらは使い手との合体能力があるの」
鎧となったり、手足になったり、異形になったりと色々。見た目が変わらないのもある。
一見すれば、数の有利が無くなるだけ。だが、総合値が足し算ではなく、掛け算になる。
だからこそ凄まじい。
「ソルドアットのストックはほとんどが弱点潰しと、状況打破。手足が無くなった状況を想定している」
フィールドでは、鎧騎士の石像の姿が消え、次の瞬間、ソルドアットに手足がその騎士の物になっていた。
その動きを確かめるように、ソルドアットは関節を動かし、指を握っては閉じるを繰り返す。
そして、背後の刀の一つを前に展開。するとまた刃が姿を変える。今度はそんなに大きな変化はせず、片刃が両刃になり、少し短くなったくらい。
その両刃剣をソルドアットが手で掴み、地面に突き刺した。 その途端、両刃剣が消え、光の線となり、フィールド全域を駆け巡る。
それを見たマユの顔が曇る。そして、空を仰ぐ。
「やられた……アイツ邪魔させない気だ」
「あの<冥刀>は?」
ランコの疑問にマユが答えた。
「【レグティ】」
「元ネタ、何?」
バイカの再びの疑問。
だが、今回は知っている者がいないのか、答える者はいなかった。
なので、代わりに訊ねるバイカ。
「能力、どんな?」
「決闘空間の生成」
ただ邪魔を入らせず、正々堂々の勝負をするだけ。有利になったり、不利になったりはしない。
だが。
「邪魔は一切できない。どうしよう……」
つまり見てる事しか出来ないという訳だった。
◇◆◇◆
時間は少し戻る。
手足を【ヨハネス】にしてから、ソルドアットはオウカに話し掛ける
「悪いと思っているなら二つ頼みがあるんだけど」
「何だ?」
「ソルと
それにオウカの顔が更に曇る。
そんな彼に捕捉するソルドアット。
「大丈夫大丈夫。殺し合いじゃないから」
「ならいいけど」
同意を得られたので彼女は笑う。
「そう言ってくれると思ったよ。なら……【レグティ】」
「おま!?」
オウカが止めようとしたが、遅かった。
十九本になった刃の一本が、ソルドアットの手に収まる。それが両刃剣になった所で、それを地面に突き刺す。
すると、軌跡が走り、結界が張られる。
それにオウカはソルドアットに訊ねる。
「どういうつもりだ? テメェ」
【レグティ】のチカラはオウカも知っている。
戦いの邪魔をされないように彼女がよく使う<冥刀>。
なのだが、今回の結界は張り方がいかにもおかしい。
外からの侵入と内からの脱出は不可能なのだが、様子を見る事は出来る。
その気になれば、亜空間に闘技場を作り出し、その中で一対一での公平な戦いも可能なのに、今回はただ囲っただけ。
それにソルドアットは答える。
「昔を思い出したんだよ。ほらソルって昔闘技場で戦ってたでしょう?」
「それは知ってる。でもこいつら巻き込む気か?」
彼の視線はカナタやベニバナに向く。
しかもそれ以外にも、スドウやカミキ他、他校の生徒もまだ残っている。
それにソルドアットは――笑みを浮かべる。
「安心して。元々の仕組みを利用させて貰って、サクとソル以外は致命ダメージや、意識喪失で転移するようにしたから」
「……それならまあ」
どうにか納得するオウカに、ソルドアットは続ける。
「本気で戦える状況ってさ、人によって違うだろう。サクは――誰かを護る時に力を発揮できるでしょう?」
「そうか?」
ブチ切れた時も結構発揮出来るけど、と思うオウカに、ソルドアットはその考えを読み取ったかのように続ける。
「アレはちょっと違う気がする。それに……いやこれは言わないで置く」
オウカをキレさせるのは簡単だが、その場合、死を覚悟しなければならないし、友情が木っ端微塵に砕け散る。
なのでやりたくはない。
(ソルがしたいのは殺し合いじゃなくて戦いだからね)
そう心の中で言った後、オウカに告げる。
「さあ戦ろう! できるだけ周りは巻き込まないようにするし……」
カナタとベニバナに視線を向ける。
その視線に二人は戦いの構えを取る。
「加勢したいならしてもいいよ」
それにオウカは二人の方へ向いて告げる。
「しなくていい。これは俺の戦い」
そして、二人は向かい合う。
オウカはウラベをぶちのめすために一時手放していた武器達を引き寄せて、すぐ取れる所に置く。。
ソルドアットは背後に浮かんでいた刃の幾つかを変化させる。
「なんだい、そのスタイル?」
「新しい戦闘方法だ」
「へえ」
恵心したソルドアットは言い放つ。
「突破してやる」
「やってみろ」
そして、二人は激突した。
この戦いは後に、対戦校史上最大の戦いと呼ばれる事になる。
【コソコソ話】
(・▽・)<【レグティ】の元ネタは――
(・▽・)<十二世紀にサクソ・グラマティクスによって書かれた
(・▽・)<デンマークの歴史に関する記録である『ゲスタ・ダノールム』
(・▽・)<デンマーク王ハラルドの妹とシーヴァルドの間の子オーロの剣。
(・▽・)<彼が、ヴェルミ侯オーラーヴの娘エーサのを略奪しようした
(・▽・)<スカートとヒャール兄弟との決闘で使った剣。
(#ー#)<マイナー過ぎてわからねえよ。ほとんど誰も知らねえよ
(㈩*㈩)<その決闘ってどうなったの?
(・▽・)<勝ちました。そして、エーサと結婚しました。