(㈩*㈩)<生物型の<冥刀>。合体能力持ち。こういうのがチラホラある。
(㈩*㈩)<コレの場合、特殊なチカラはないけど、純粋に硬く、力があり、速い。
(㈩*㈩)<ソルドアットは、手足がなくなった時ようにストックしている。
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戦いの始まりは――静かだった。
ソルドアットはオウカに近づく。
オウカはソルドアットに近づく。
互いの間合いが近くなっていく。
観客がそれを固唾を飲んで見守る中、遂に二人の距離は手を伸ばせば届くところまで来た。
オウカが告げ、ソルドアットは獰猛に笑う。
「さあ――フルコースを味わっていけ」
「いただきます。まずは――
そして、互いに拳を繰り出した! 両者クリンヒット!
「うわあ……」
「痛そう」
「モロに喰らってね!?」
観客がそういうのも無理はない。
なにせオウカはメリケンサックを付け、ソルドアットは腕が石像。
それに加え、両者共に何かしらのバフを載せている。
そんなもの喰らえば、ただでは済まない。
だが、この二人その程度では倒れない。
自前の耐久力や、装備の補正などの要因はあるが、何より――気合が違う。
そして、そのままの態勢で固まっていた二人だったが、ソルドアットが発する。
「次は、アミューズ」
その言葉と同時、壮絶な殴り合いを始まった。
時に、拳で殴り、足で蹴る。攻撃を避け、時に受け止め、反撃する。
更に、
「オラァ!」
「フン!」
頭突きが激突。
鈍痛、脳が揺れ、互いの額から血が流れる。
因みにこの二人、物理的に頭が固い。
「サク曰く、『俺はパキケファロサウルスと頭突きして勝てる』って」
「それはおかしい」
「ソルドアット曰く、『ソルは飛んできた隕石を砕ける』って対抗してた」
「そっちもおかしいです」
マユの言葉にランコとリアがツッコミを入れる。
とりあえず二人の頭が固い事はわかった。
そして、額をくっつけた状態の二人が動く。
「ここからが本番だ」
「
オウカは段平、ソルドアットは三日月刀を右手に持つ。奇しくも両者共に似たような武器。そして、激突!
「速!?」
「眼で追えない……」
「……この二人本当に学生?」
観客がそういうのも無理はない。
剣戟乱舞でも言うべき凄まじいもの。
暫くそうして斬り合っていたのだが――
「じゃあそろそろスープと行こう」
「……ああ」
ソルドアットのその言葉に、オウカは頷く。
そして、両者共にギアを上げる。
オウカは長ドスを左手に取り、ソルドアットは左手にも三日月刀を持ち、二刀流になり、そのまま剣戟に移行。
一刀が二刀になっただけなのだが、二人共ギアを文字通り上げており、先程よりも速い。
お互い傷を負っておくが、どれも掠り傷。なので傷を追う度にあっという間に塞がっていく。
「……凄い」
「これがオウカの本気」
少し離れた所にいるカナタとベニバナも見守るしか出来ない。
そして、戦いは動く。
「お次はパン」
ソルが背後の三日月刀十六本を操作し始める。両手の刀を合わせれば、十八刀流とでも言うべき戦闘方法。
これが彼女の真骨頂。この戦闘方法は、対人だけでなく、対多人数や対巨大生物すら想定している。
生半可な相手なら即座に倒れる。
だが、相手は生半可な相手ではない。
「ハッハー! そう来るよな」
サクヅキ=オウカ。数多の死線を潜り抜けた猛者。対抗できるに決まっている!
最近考案した、幾つもの武器を使う手段に彼は切り替える。
様々な武器を手で握り、手や足の指で挟み、口で咥え、脇や膝で持ち、刃の五月雨を防ぎ、打ち払い、時に、反撃を繰り出す。
先程の一刀流や二刀流と比べ物にならない。正に刃の竜巻のぶつかり合いだった。
「うわあ……」
「もはや何とも」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこにいたのはスドウとカミキ。
よく見ると、少し疲労している様に見える。
それにカナタが問いかける。
「お二方もしかして……?」
「残りの奴らを片付けていた」
実はこの二人、この隙に残りの選手を掃討していた。因みに、ゴリラモーニングスターはスドウとの激戦で倒された。
オウカから授けられた奥の手を使っての凄まじい死闘だった。
「す、すいません……」
「ごめんなさいですわ」
それに二人は謝る。
だが、二人共あまり気にしていない。
「何、気にするな」
「そっちはそっちで大変だったろう?」
「「……」」
男二人の言葉に、女二人も沈黙。
沈黙の肯定と言うべきもの。
「ところで、選手はどうしたのですか?」
「意識喪失させたら、転移した。多分復活したか、させたのだろうな」
カミキの視線が今戦っている二人に向く。
「しかし、この状況をどうしたものか……」
「避難しようにも無理だしな。どうするか?」
「見守りましょう」
「多分、
そんな会話をしていると、状況は更に動く。
突如、動きを止め、間合いを取る二人。
「さて、ここからが本番だ」
「
その瞬間、両者共に、自身のストックを解き放つ。
「ど~れ~に~し~よ~か~な~」
ソルドアットは分裂刃の一本を展開。現れたのは漆黒の剣。それが上空に撃ち上がる。暫ししてから停止、刃先が下を向く。
「「……」」
何が起こるのか、と観客が見守る中。
漆黒の剣は分裂し三百の刃となる。
銘は【ケンヴェルヒン】。
似たようなチカラの【チャンドラハース】と比べると、数は多いが、操作性が劣り、直線軌道が精々。
だが。
「行け」
ソルドアットのその言葉と同時、漆黒の剣が豪雨となり降り注ぐ。
喰らえばひとたまりもない。≪天ノ角高校≫の面々もヤバイと感じて、遠ざかり、結界を張る。
そして、オウカは巨刃の大蛇【マッネ・モショミ】を展開。それが剣雨からオウカを護る。それだけでなく、ソルドアットへ咆哮を上げながら向かう。
「肝が冷えるねぇ」
それをソルドアットは飛び上がり避ける。すると、共に飛翔していた刃の一本が彼女の背後に張り付き、姿を変えた。
それは翼。銘は【イカロス】。同化型の<冥刀>で空中飛翔のチカラを与えるモノ。
それを使い、空中飛翔して、大蛇を避けていく。
そこへオウカが空中を走破しながら迫る。こちらは糸を展開して、移動の補助に使っており、飛翔と遜色なく動く。
「さあ中身を出せ!
「嫌だねぇ」
そして、金属音、両者ともにエモノを振るう。二人は激突しながら、自身のストックを振るう。
オウカが身の丈を超えるどころか、身の丈の五倍はあろうかという大剣を振るえば、ソルドアットは透過して防ぎ、その透過に対し、オウカは炎・氷・雷・風・の四属性を纏う三叉槍の攻撃を繰り出す。
それをソルドアットはエネルギー切断の刀で切り裂き、それにオウカは糸を使い数多の武器を投擲し、その武器をソルドアットは双剣で無効化し倍返しにする。
その武器を上手く回避しながらオウカは間合いを潰し、ソルトアッドと鍔迫り合いをする。
「危ないね」
「全部避け切って言うな」
完全互角の戦況。なのだが、観客の一部――オウカの知り合いが気づき始める。
「アレ? 何か変じゃないっすか?」
「? ああ」
「そういえば」
「何ででしょう?」
上から、ザンカ、ジンナ、ランコ、リア。
だが、他の面々は何の事かわからない。
それにマユが答える。
「ストックを絞っている事でしょう?」
「「うん」」
「使っても意味ないから」
そして、彼女は説明を始めた。
「何人かには話したけど、<冥刀>って製作者によって色々なの」
「……あのさ、人工物ってコト事態が初耳なんだけど」
「というかなぜそんな事を知ってんの?」
イオリとジョージがツッコミを入れるが、今は全員が無視する。
「その中で恒河沙叢雅は、刀剣の機能を拡張させたモノを作っているんだけど、例外がある」
元々は、叢雅一門の創始者である無量大数叢雅に鍛冶を教えた人。
だからこそ、ほとんどの面々が趣味の方向に走り、もはや刀剣と言うべきモノから外れている中、彼は実直に剣らしい剣、刀らしい刀を作っていった。
だが、そんなある日、仲があまり宜しくない六徳にこう言われたそうだ。
「恒河沙さんの作品って、搦め手使いに弱くないですか?」
「あんだと!」
売り言葉に買い言葉。という訳で真っ向勝負してこない奴対策の<冥刀>を作り出した。
・悪影響を無効化する【アパラージタ】
・一定範囲外の攻撃を遮断する【バルムンク】
・暗器や隠し武器を封じる【サン・マルティン】
この三つの刀を『三剣分立』と呼ぶ。
「この三つをソルドアットはストックしている」
だからこそ、ソルトアットには状態異常が効かず、遠距離攻撃や範囲攻撃も効かず、搦め手すらも通じない。要するに真っ向勝負で勝つしかない。
……更には対多人数用の<冥刀>までストックしているので、一騎打ちの真っ向勝負が一番有利という有様。
「つまり、近距離武器、しか、使用、できない?」
バイカの言葉に頷くマユ。
因みにこれは余談。
「三とか言いながら、零や四があったりしません?」
四天王に五人目がいたりするアレ。ルラの疑問に、マユが答える。
「……ある」
「「あるんだ!」」
・次元を断絶させる【シャムシール・エ・ゾモロドネガル】
・特殊なオーラを使用可能になる【デュランダル】
この二つが零と四に当たる。ただし。
「でも、この二本は攻撃にも転用できるから基本カウントしない」
最強の矛と最強の盾を持つのがこの二本である。
「「なるほど」」
説明に一同納得すると、戦況が動く。
突如ソルドアットは戦いを停止。それにオウカも攻撃を止める。
それにオウカは問いかける。
「メインの前のリフレッシュか?」
「うん。
人間の舌は繊細なため、濃い味や脂っぽいものを続けて食べると感じ方が鈍くなってしまう。グラニテは、メインディッシュの前に口の中をリセットさせる役割がある。だからこそ、
ソルドアットは一本の刀――短刀に変わったモノを掴む。回復効果を持つのか、彼女はリフレッシュしていく。
なのでオウカも回復をするため、回復薬を飲み、チョコバーやジャーキーを食べる。そして、気付けの呪符――カナタがくれた物――を自身に貼り付ける。
そして、両者完全に回復する。
そのまま暫く動かない状況の中、真っ先に動いたのは――ソルドアット。
「さあメインディッシュと行こうか!」
その言葉と同時、背後に展開していた刃と、手に持った刀が消えた。
「「!」」
「「?」」
「「!?」」
オウカ以外の観戦者が全員疑問に思う中、ソルドアットは口を開く。
「ねえサク。覚えてる?」
「何を?」
「ソル達の最後の戦い」
それを離れた場所ながら聞いていた≪天ノ角高校≫の面々と、読唇で読み取ったリア、彼女から聞いたほぼ全員の脳裏に疑問が浮かぶ。
これを知っているのは、この場では当事者以外はマユしかいない。
一方オウカはそれに頷く。
「忘れるか。忘れるものか」
「……まあね」
二人共アレは思い出したくもない。
「あの時はさ、二人共死に掛けたけど、逆転の布石を打ったでしょう?」
「ああ」
最後の敵を相手に、何も通じずに二人は死に掛けた。
だからこそ通じる手段を即興で創り出した。
「サクは鍛冶師二人の協力で再現した。ソルはさ、コレを使った」
そう言って出したのは三日月刀。先程の【チャンドラハース】と同じように見える。だが、刀身の色が違う。先程までのは変化を起こす前までは鈍色だったが、これは刀身が虹色に光っている。
「
それを上空に向けて投擲!
すると、それが十本の刀に分裂。そして、魔法陣を作り出す。その陣の形は――
「あの形見覚えが……」
「なんだっけ?」
「何が始まるんだ?」
セフィロトだった。
そして、三日月刀が形を変えていき、十本の違う刀剣となる。
見た所、<冥刀>なのだが、何かが違う。
ソレを見たマユの顔が蒼白を通り越す。そして。
「あのバカ!」
「「!?」」
表情が薄い彼女が、剥きだしの怒りの形相で立ち上がって叫ぶ。
それに思わずぎょっとする一同。
だが、次の言葉で全員の顔が更に凄まじい事になる。
「世界を滅ぼす気!?」
「「はああああああ!?」」
それを聞いた全員が絶叫する。
……実はこの面々の周りに、遮音の結界と、周囲にはぼやけて見えるような細工をキョウコがしているため、周囲には何が起こっているかわからないのが唯一の救い。
聞き捨てならない言葉にキョウコが代表して聞く。
「どういう事?」
「……口が滑った」
マユはそれだけ言って口を噤むが。
「聞き捨てならない。ちゃんと説明をして」
開眼したうえ、間延び口調を消したキョウコが問い詰める。
それに観念したのか、マユは口を開く。
「わかった。説明する。ただし」
そう言って全員を見渡すマユ。
「全員に守秘義務を負って貰う」
「破ったら?」
「姐さん……」
ルラが面白そうに訊ね、ジョージが呆れる。
それにマユが向けたのは――
「……」
「「!」」
悍ましく凄惨な顔。その顔で続ける。
「死んでもらう」
「「!?」」
容赦ない言葉に、感性がまともな者が怯むが、ルラは全く動じず笑う。
「わかりました。誓いましょう。誰にも言わないと。ジョージ」
「わあってます。大聖女様にも言いません」
それにマユはいつもの表情に顔を戻す。そして、他の面々にも確認を取る。
「どうする? 聞く?」
それに全員が頷いた所でマユは説明を始めた。
【TIPS:三剣分立】
(㈩*㈩)<恒河沙叢雅が作った例外中の例外。
(㈩*㈩)<売り言葉に買い言葉で作ったモノだから、本人も気に入っていない。
(㈩*㈩)<番外の二本は結構気に入っているけど。
(#ー#)<そういえば、その二本って誰が持っているんだ?
(・▽・)<本編未登場の人物二人。まだ未決定。
(#ー#)<おい!?
(・▽・)<でも、【ゾモロドネガル】がサクが手に入れる事になりました。
(・▽・)<だから今はないです。