冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:冥刀】
(#ー#)<今更だけど、復習とまとめだから俺が解説。

(#ー#)<ダンジョンで稀に見つかる<アーティファクト>。

(㈩*㈩)<偶に自分の力でこっちにやって来て、普通の武器や<アーティファクト>に擬態している場合もある。

(#ー#)<使い手に代償と引き換えに、身体強化と、特殊能力を与える。これのチカラで<プレイヤー>になる奴もいる。

(・▽・)<まあ例外もチラホラありますけど。

(#ー#)<誰でも使える訳じゃない。自我を持っているから、使い手との相性がある。

(㈩*㈩)<実は魂を持っている。

(・▽・)そして、三つの名と銘(ナマエ)を持つから<トリニティ・ギア>と呼ばれる事もあります。

(・▽・)<まああまりそう呼ぶ人いませんね(笑)。


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 ☆★☆★☆

 

 

 始まりの<冥刀>というモノが存在する。

 

 叢雅一門の創始者である、無量大数叢雅が自ら作刀した<冥刀>である。

 ここから全てが始まったため、始原冥刀や原初冥刀と呼ばれる事もあるが、最も一般的な呼び名は――<天剣(セフィロト)>。

 

 因みに、彼女が作ったのはそれだけでなく、候補となったモノや、かなり特殊なモノがあり、ソレらは<準天剣>と呼ばれる。他の叢雅の作品でも、最高位のモノや、条件を満たせば凄まじい事になるモノも含む。

 

 その呼び名の如く、表向きには十本存在していて、対応する番号を持ち、解放銘にセフィラの名前も入る。

 そして、インド哲学において宇宙の構成要素である「火水風地空」と、物理学において重要な現象五つをモチーフにしたチカラを持っている。

 

 

 例えば【ティソーナ】は「火」のチカラを持つ。 

 剣自体が常に核融合をしており、全ての<冥刀>で最大の火力を持ち、全てを燃やし尽くす黄金の炎を放出する。

 

 他にも【マーガ・カマル】は「振動」のチカラを持つ。

 刀身を振動させるだけでなく、音を操り、振動波や衝撃波を放ち、地震すら引き起こす。

 

 

 このようにそのチカラは、他のモノとは一線を画す。

 個人で軍勢を相手するどころか、国を落とせる。それどころか、世界をも滅ぼせる。

 

 では無量大数は世界を滅ぼすために作ったのか? それとも、元々の理由である『敵』を倒すために作ったのか。

 

 否、否、否。どれも違う。

 

 コレらを作った真の理由。それはとあるモノ――<神刃>と無量大数が呼ぶモノを修復するための儀式のため。<天剣>は儀礼剣である。

 だが、<神刃>が完成した時、何が起こるのかわからない点と、<天剣>自体が危険過ぎる事から、半分以上を破壊して、その事実を彼女は伏せた。

 

 だが、その事を許せないモノがいた。――それが<神刃>自身。

 だからこそ、暗躍を開始した。

 

 自分の手足となる存在を用意した。

 叢雅一門をテロにより全滅させた。

 世界を狂わせ、滅びに向かわせた。

 そして、<天剣>を修復させた。

 

 そして、目論見通り儀式を完遂させて、<神刃>は復活を果たした。

 そのまま世界にトドメを刺そうとした。

 だが、そこに立ちはだかる者がいた。

 

 それが、サクヅキ=オウカとソルドアット。

 一時は死に掛けるも、どうにか復活。

 そして、荒技にて逆転を果たした。

 

 

 ******

 

 

 その荒技とは、儀式により新たなる<神刃>を作り出す事。

 幸いな事に構成要素は揃っていた。

 

 オウカは、自身の持っていた<冥刀>を総動員させて二人の鍛冶師(マユとヴィー)の協力によって、無理矢理セフィロトのパスを再現し儀式を実行。。

 ソルドアットは、【チャンドラハース】にこっそりストックしていた<天剣>を、クリフォトにして儀式を実行。

 

 そうして大逆転劇はなった。

 とは言え余りにも無理矢理過ぎたため、二人の<神刃>は一戦しか持たなかったうえ、代償も大きかった。

 

 そして、この時の状態でソルドアットは再現された。とは言え<神刃>は作れない。出来るとすれば<天剣>のチカラを再現する程度。

 これが今、異世界(この世界)にて解放される。

 

 

 ++++

 

 

 そして、戦いは再開する。

 

 セフィロトが降りて来る。そして、ソルドアットの背後に展開される。

 それはまるで曼荼羅。

 

 オウカはどうするか考えていた。

 

(対抗……出来るか? つーか下手するとアシヤ先生言った通りになりかねない)

 

 <天剣>はどれも凄まじいチカラを秘めている。

 占いの如く、関東が消し飛ぶ程度なら――はっきり言って御の字、下手をすれば銀河系が消し飛びかねない。

 

(そういえば……)

 

 彼女の助言を思い出す。

 それは――

 

 

――何があっても冷静に。怒りを抑えて戦う事。

――キミだけではどうにもならない大ピンチが襲来する。凌ぎ切れば大チャンス。

 

 

 だからこそ、怒りを堪えて戦っていた。

 ……まあ爆発してしまったが、どうにか相手を殺さずには済んだ。

 そして、今の状況は二つ目。

 

(チャンスって一体何が……)

 

 相手の様子を伺いながら、考える。

 自分の手札、使えるモノ、相手の攻撃方法、チームメイトの事。

 思考、思考、思考。

 そして。

 

「あ」

 

 思わず声が漏れる。

 それはとある方法。これを使えば逆転可能。それどころか、これからの戦力にもなる。

 だがしかし。

 

(時間がかかる……)

 

 作業に集中しなければならないうえ、片手間で防げる攻撃ではない。

 

(どうする……)

 

 その時だった。

 

「手助けは必要?」

 

 聞き覚えのある声が、オウカの耳に入った。

 それは――カナタだった。

 しかも彼女だけではない。

 

「今は競技中ですわ。まだ終わりのブザーは鳴ってないですわ」

「確かに。タイミングをなくしたか、装置が壊れたか」

「コレどうなるんだ? 中止は嫌だなあ」

 

 ベニバナ、カミキ、スドウまでいる。『バトル✕バトル✕バトル』のチームが揃っていた。

 更には。

 

「必要、手貸」

 

 耳元に声が聞こえる。

 オウカの肩には赤い機械アリ。観客席にいるはずのネラが、そこにいた。

 

 それに驚くオウカ。思わず問い質す。

 

「ネラ! おまえどうして……」

「貴方、不放」

 

 実は彼女、観客席には偽物を置き、本体をお守り代わりとして渡していた。

 

 因みに観客席では……

 

「そういえばネラさん、喋りませんね」

 

 リアが指摘して、それにマユが答える。

 

「これ偽物。本物はあっち」

「「え!!」」

 

 こんな一幕があった。

 

 そんな彼ら彼女らを見て、オウカは頭を下げる。

 

「頼む助けてくれ」

「「わかった」」

「即答!?」

 

 理由も聞かず、全員が頷いたので、ツッコミをいれたオウカ。

 それにカナタが代表して告げた。

 

「私達は友達・仲間でしょう? 困った時は頼って頂戴」

「……」

 

 その言葉にオウカは、万感の思いで何も言えなくなる。

 しばらくしてから、

 

「ありがとう」

 

 礼を言った。

 

 そして改めて、ソルドアットに向かう。

 

「という訳だ。│肉料理《メインディッシュ》が増えたが、食い切れよ?」

 

 オウカの言葉に、ソルドアットは歯を剥き出しにして笑う。

 

「上等!」

 

 戦いは佳境に入る。

 

 ソルドアットが背後のセフィロト曼荼羅から一本の剣を引き抜く。

 それは――黄金の刀。鞘・柄・鍔・目貫などが全て金一色。

 

 その刀を見たカナタが言葉を漏らす。

 

「あの刀、何か既視感があるわね……」

 

 見た事はないはず。

 なのだが、何か覚えがある。

 

(何だったかしら?)

 

 そして抜刀。鞘から抜かれた刃は真っ白。

 上段の構えを取るソルドアットにオウカは思わず咆える。

 

「いきなりそれか!?」

「最初からクライマックスさ!」

 

 その言葉に応じたように、刀身が燃え始める。

 赤い炎だったのだが、色が変わっていく。青くなり、白くなり、黄金となった。

 

 それを見てカナタは思い出した。

 オウカが使っていたある<冥刀>と、その兄弟刀の事を。

 

「サク君! アレって【ティソーナ】ね!」

「覚えていたか……」

「どんな能力なんですの?」

 

 知らない面々に説明する。

 それを聞いた面々の顔が引きつる。

 

「火の剣で核融合……」

「作った奴は何考えているんだよ……」

「ど、どうしますの!?」

「唖然、呆然」

 

 その時、名乗り出たのは――カナタ。

 

「私がどうにかする」

 

 前に出る。そして、オウカの前を通り過ぎる際に一言。

 

「勝ってね」

「……わかった。頼む」

「手伝」

 

 その言葉にオウカは、作業を開始。演算が必要なので、ネラも演算用のアリを出してサポート。

 

 カナタがソルドアットに挨拶。

 

「改めて。その一撃を防がせて頂きます」

 

 その言葉にソルドアットは笑う。

 

「へえ。やってみろ」

 

 そして抜錨・解放。

 

「陽は昇り、沈む事なく燃え続ける――童子切安綱(ドウジキリ・)美しき金炎よ(ティファレト・)全てを焼き尽くせ(ティソーナ)

 

 【ティソーナ】から放たれたのは黄金炎の奔流。

 この世に並ぶ物のない極大火力。某宇宙恐竜に匹敵する熱量。

 喰らえば、骨すら残らない……どころか、辺り一面が無くなる。

 

 それにカナタは、ありったけの呪符を出す。

 更に、両手には二本の刀。左手に【焔火炎】、右手に【瞬刃】。

 どちらも攻撃力は手持ちではトップクラス。

 

「【焔火炎】! 貴方が炎の天狗と言うならば、その火力を見せてみろ!」

 

 それに答えるかのように、刀身が炎上。今までの最大火力。

 

「【瞬刃】! 早く起きなさい! 貴方の出番はすぐそこよ?」

 

 こちらも答えるように、刀身が形成される。今までで最速。

 

 そして、障壁をありったけ形成し、二つの刀を振り下ろす!

 

 カナタが最大火力に対して選んだ手段は――こちらも火力をぶつけ、残りの余波をどうにか防ぎ切る事。

 だが、あっという間に刀身と障壁に罅が入り始める。

 

「ありったけを……持っていけぇ――!」

 

 絶叫するカタナ。

 自身の体力・気力・魔力を全てを込める。

 

 そして、結果は――

 

「凄いや」

 

 ソルドアットが素直に称賛する。その手に会った金の刀が粒子となって消える。

 本物と比較すれば、火力は劣り、範囲と火力共に調整をしている。それでも、本気ではあった。

 

 辺り一面が焼け野原――を通り越し、何も残っていない。

 だが、オウカ達は無事だった。

 

 だが、代償は大きかった。

 カナタは体力・気力・魔力を使い果たし、武器は燃え尽き、服もボロ屑同然。

 そんな状態で三人の先輩に向けて微笑んだ。

 

「後は宜しくお願いしま」

 

 最後まで言えなかった。カナタは意識を失い倒れた。

 

 最大火力は防いだとはいえ、ソルドアットの攻撃はまだ終わらない

 

「次はどうしようかなぁ~」

 

 とは言え最大火力は防がれてしまったので、迷う。

 

「最初は火だったから、次はこれだな」

 

 彼女が引き抜いたのは両刃剣。

 真っ青な柄・鍔・鞘を持つ西洋剣。それを鞘から抜くと、青白い刀身が露わになる。

 その刀身はパチパチと電気がスパークしている。

 見ただけでわかる。アレには膨大な電力が込められている。それだけでなく、今もなお発電し続け、電力は上がり続けている。

 

 それを見たカミキが分析する。

 

「ふむ。電気の剣と言った所かな?」

「はい。アレは【スル・カイツァキン】」

 

 アルメニアの民族叙事詩『サスナ・ツレル』。それに登場する英雄サスンのダヴィトの剣である。

 ……多分かなりマイナー部類。

 

「とは言え普通にやったんじゃ防がれるから、趣向を変えよう」

 

 ソルトアットの言葉と共に、刃が伸びる。そうして普通の両刃剣だった刀身が、鞭のような剣であるウルミのようになる。しかも刃が四枚に別れる。

 <冥刀>の基本機能の形態変化。通常であれば、サイズ変更や刃を潰して斬れないようにするくらいなのだが、コレは結構応用が効く。

 

「雷光電轟、電光石火、疾風迅雷、雷霆万鈞――甕布都神(ミカフツ・)慈悲無き裁きを、(ケセド・)幾千・幾万の雷(スル・カイツァキン)

 

 ソルドアットの祝詞と同時、空に雷雲が現れる。それが周囲に雷を放つ!

 それだけでなく、雷の球体が無数に浮かび、電撃を放つ。

 更に、彼女自身も剣を持った腕を振るうと、四つのウルミが伸びて襲い掛かる。凄まじい勢いでスパークしている。見ただけで凄まじい電圧なのがわかる。

 

 それに相対するのは――カミキ。

 

「自分が行こう」

 

 《クロス》を再解放。目の白黒が反転し、背から翅が生える。

 

「大盤振る舞いだ」

 

 彼が選んだ手段は攻撃、防御、攪乱。

 光線で攻撃を仕掛け、光の壁を張り、光速で移動する。

 

 ソルドアットは他に攻撃する余裕がなくなり、カミキに攻撃を集中する。

 光速と雷速ならば、光が上。だが、相手は格上なうえ、大盤振る舞いなので消耗が激しい。

 それでもカミキは死力を尽くす。

 そして、暫く後――

 

「すまんここまでだ」

 

 カミキが意識を失い倒れるのと、ソルドアットの手から雷剣がなくなったのは、ほぼ同時だった。




【TIPS:ティソーナ】
(㈩*㈩)<前にもチラっと言ったけど、改めて説明。

(㈩*㈩)<火を司る<天剣>。セフィロトの六番。チカラは核融合。

(#ー#)<そんなに捻くれてないような……

(・▽・)<コレはまだマシな部類ですよ。すっさまじいのがありますから。

(㈩*㈩)<うん。黄金の炎で焼き尽くすのが、主な使い方。

(㈩*㈩)<何だけど、能力を拡張させて様々な事が可能。

(#ー#)<様々な事って?

(㈩*㈩)<超新星とか、ブラックホールとか、縮退星とか、水爆とかの再現。

(#ー#)<おい、大惨事じゃ済まねえの混ざってんぞ!?

(㈩*㈩)<今回は範囲と火力を絞ってた。流石闘技場の闘士。

(・▽・)<観客殺す闘士はいないでしょう。

(#ー#)<いるぞ。

(・▽・)(㈩*㈩)<は!?

(#ー#)<ある違法闘技場の話だが、人を操作するチカラを持った奴が、観客操って戦わせた。

(#ー#)<そんで対戦相手も敵だからって容赦なく殺した。

(#ー#)<結果大惨事。その結果、公になった。

(・▽・)(㈩*㈩)<そりゃそうだ。
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