(㈩*㈩)<セフィロトの一番。時間の<天剣>。
(・▽・)<伏字の正体……ですね。
(㈩*㈩)<そう。分割されたうちの一本――【オートクレール】がサクが初めて手に入れた<冥刀>。
(#ー#)<なあ、能力……あまりに滅茶苦茶過ぎないか?
(㈩*㈩)<まあ、時間と空間の操作だから。思いつく限り色々出来る。
(・▽・)<因みに【オートクレール】時代も色々出来たけど、色々制限がありました。特に序盤に異世界渡航なんてやっちゃったから……
(㈩*㈩)<インターバルで、しばらく〈次元斬〉以外何も出来なかった。
(#ー#)<うわあ……。
ソルドアットはセフィロト曼荼羅から引き抜いたのは四色――黒・黄・オリーヴ・小豆色――の剣。身の丈以上はあり、幅もある壁のような片刃の大剣で、見るからに重そうだが、彼女は片手で振るう。
そして。
「我が願い、
祝詞が紡がれた。
「無限地獄・抜錨開始」
それは先程のオウカが唱えたモノと同じ。
「海より生まれたこの大地。そこから全てが始まった」
<冥刀>の詠唱とは完全別物。
「星に刻まれし記憶。ここに閲覧する」
四色の剣は、外見に変化はない。
「描くは――始まり、繁栄、滅び、栄華、傷」
だが、感じるチカラが、圧が違う。
「創るは――剣、弓、槍、鎚、銃」
しかも、今まで出て来た刀剣よりも内包されたチカラは段違い。
「さあ、武器を取れ、兵器を持て。ここに戦いは今此処に始まる」
それは――見ている全員にわかる。
「
ソルドアットの眼が四色に光る。
「
詠唱が終わると、彼女は笑ってオウカに声を掛ける。
「待ってくれてありがと」
「礼には及ばん。そっちも色々待ってくれてただろう?」
オウカは礼には礼で返し、恩には恩で返し、勿論仇には仇で返す。
だからこそ、仇を恩で返した二宮金次郎を尊敬している。
自分にはそんな事出来ないと。
「さあ再開だ。
「いただきます」
そう言ったソルドアットの手にあった大剣の刀身が姿を変える。四色――黒・黄・オリーヴ・小豆色――の粒子となり、形作られる。そして、彼女の周囲に黒い弓、黄色の槍、オリーヴ色の鎚、小豆色の銃が展開され、手に持った大剣は細くなり、四色――黒・黄・オリーヴ・小豆色――の大太刀となる。
そして、弓から矢が、銃から弾丸が放たれる。五月雨のように弾矢がばら撒かれる。
それに対して、オウカが空間歪曲を使い、間合いを潰し、一撃を見舞う。その一撃は幾つにもなった刃。
それをソルドアットは手持ちの大太刀と、槍と鎚で受け止める。
そこからは壮絶な攻防が始まる。
オウカの増える刃の攻撃を、ソルドアットは周囲や手持ちの武器で受け止める。時に反撃としてオールレンジで攻撃する。それをオウカは空間を破断、歪曲、固定する事で防ぐ。
(手数はそっちの方が多い。だったら)
後方にバックステップしたソルドアットが、大太刀を地面に突き刺す。
それに【アロンダイト】が反応。
『オウカ!』
「わかってる」
オウカは飛び上がる。その途端、先程までいた地面には、巨大な剣が飛び出していた。
それは地面を操作する事で創り出したモノ。しかもそれは地面の素材を極限まで圧縮させ硬度と強度を上げている。
更に地面から剣山のように次々に飛び出し、オウカへと襲い掛かる。
その光景に、マユが呟く。
「遂に出したか」
「地面を操れるのか……」
ランコの言葉に、頷くマユ。
「でもオウカさんも負けてはいません」
リアの言った通り、オウカも負けてはいない。
空間を固定し足場を作り出し、空中に留まる事で剣山攻撃を避ける。
それにソルドアットはすぐに対応。
「だったらこうする」
剣山が射出される。しかも、それを広範囲でおこなう。正に絨毯爆撃。避けるのは不可能。
それにオウカは……
「オートクレール! 行くぞおおおおおお!」
『はい!』
フルスロットルで対抗。
剣を下に目がけ振るう。その一撃は空間を斬り捨てる。空間に出来た切創が、剣山の絨毯爆撃を止めた。
空間を破断させる事で攻撃を届かなくさせたのだ。
そして、
空間の切創が広がっていく。
「うわ」
そしてフィールド全てを覆いつくし、剣山を全て斬り伏せた。
今の攻撃、普通でなくても死ぬ攻撃。
だが、オウカは知っている。あの戦闘狂が簡単に死ぬ訳がない。
なので呼びかける。
「おーい生きてるか? まだデザートとコーヒーが残っているぞ?」
その言葉に対する返事は――剣の一撃。
「!?」
どうにか身を逸らしどうにか避けるオウカ。だが、その剣はオウカを追いかけて来る。しかも剣身が大きくなり、幾つも分裂して迫る。
それを空中機動しながら避けるオウカ。【アロンダイト】が分析する。
『今の一撃、空間を飛び越えました。しかも追跡と分裂が掛かってる』
「アイツ何をした?」
そして一人と一本は、有る可能性に思い至る。
「まさか……」
『ええおそらく』
「アイツ、他の<冥刀>を再現しやがったのか」
『ええ。これは【フルンティング】と【イペタム】のチカラです』
それに答える声がある。
「その通り」
そこにはソルドアットがいた。地面に二歩足で立ち、着ている服はボロボロだが、体には傷は少なく、手には大太刀の【ブルンツヴィーク】。周囲に浮いていた武器は消えている。
「剣は
その顔には――凶暴な笑み。
「そして、星は記憶を持つ。そこにソルの記憶を足した」
ゆえに、だからこそ。
「今なら全ての<冥刀>を再現できる!」
それに対して――
『そうですか。良かったですね。しかし私……いえ私達のほうが強い』
【アロンダイト】は簡明な返答を返す。彼女には彼女の自負が、哲学がある。
そして、オウカは剣の切先を相手に向ける。
「おう。さあデザートだ。味わっていけ」
そこから始まったのは――最終ラウンド。
両者共に出し惜しみはない。
ソルドアットは様々な<冥刀>のチカラを出していく。
地面から生み出される、数多の武器から放たれる掃射は同じモノが存在しない。
劫火の津波、絶対零度を超える冷気の奔流、超高圧の雷轟、猛毒の凝縮、致死の呪詛、斬・貫・打・射の物理攻撃の嵐、沸騰する重金属の液体、電磁波、物質崩壊のウィルス、様々なチカラを宿した光線の雨。そして、どう形容していいのかわからないモノまで存在する。
あらゆる面から見て対処できぬと判断した数と、密度の釣瓶打ちが対象の魂魄すら残さず消え去るまで放たれる。
オウカは時空を操作し戦う。
空間を伸長させ攻撃範囲を広げ、未来に攻撃を飛ばし、手数を増加させ、空間を切断し、切創を拡張させ、攻撃をすると同時、防御もおこなう。それすら潜り抜けて襲い来る攻撃は、時間を止め、時に飛ばし防ぎ切る。
時間と空間という万能の札を様々なモノにして対応していた。
互角のように見える戦いだが、一部の者にはわかる。ソルドアットが若干有利。
マユが苦い顔をする。
「発射台が足りないか……」
正にその通りだった。
オウカは攻撃を放つ台が、手に持った剣しかないのに対して、ソルドアットは地面全てが発射台となっている。
それに加え、ソルドアットに手札には回復、治癒、再生まである。だからこそ、オウカの傷は増えていくのに、ソルドアットのパフォーマンスは下がらない。
このままではオウカは潰される。
だからこそ、オウカはもう一つの手札を準備している。
「オートクレール!」
『もう少しだけ耐えてください……』
まだ時間はかかる。
凄まじい攻防。時間との勝負。気を抜けばやられる状況。
そして、ソルドアットは手に持った太刀から、全てを削り取る消滅の一閃を放つ。
「時空すら超越する一撃だ。躱せまい!」
「!?」
そして、その一撃はオウカを捉えた!
その一撃には必中と必殺を込めた。例え、空間を歪ませようが、時間を飛ばそうが、絶対に防げない攻撃であり、喰らったら、蘇生も出来ず、残機を貫き、身代わりすら無効化する攻撃。
傍から見ても、どう考えても、殺す気にしか思えない攻撃だった。だが、ソルドアットは分かっているし、知っている。
だからこそ、それが直撃したオウカが生きているのには、驚かないが、流石に手傷一つなく無事なのは驚いたソルドアット。
(何をしたの?)
違和感を探れ。何かしたはず。
そしてある事に気づく。
それは彼の手にある【アロンダイト】。純白の剣……のはずだが、紫色の線が入っている。
(紫――【エッケザックス】か!)
そして、思い至る。
「別次元のあらゆる可能性を引き出したのか!」
攻撃を喰らわなかった可能性を引き出した結果、こうなったとソルドアットは思い至る。
それにオウカは説明する。
「元々、時空だけじゃなくて、次元に干渉するチカラを│【アロンダイト】《コイツ》は持っていた。でもそこまで万能じゃない」
「│重力《【エッケザックス】》でソレを補強したのか……」
ソルドアットの言葉に頷くオウカ。
「だから――こういう事も出来る」
無造作の剣の一振り。
ソレに不味いと感じたソルドアットは、地面からの武器掃射で対抗。無理をして最高密度での滅多打ち。
だがソレは一刀で斬り伏せられた!
結果にソルドアットは苦笑い。
「なるほど。数通りが百倍以上に増加した訳ね」
「ああ」
感覚が鋭敏と化した彼女の眼は、オウカの姿が一瞬だけ蜃気楼のように揺らめくのを捉えていた。
「でもさ」
一拍置いて続ける。
「長時間持たないでしょ?」
「そっちもだろう?」
実はお互い稼働限界が近い。
オウカは、ストックは使い切り、【アロンダイト】にもかなり無理をさせており、短時間しか持たない。
ソルドアットは、自己回復が追いついておらず、そろそろ力尽きる。
ではどうするか?
簡単な事。
「「次で決める!」」
お互いの意見が一致した。
「意見があったねぇ」
「奇遇だな。なあ最高最強の一撃で決着と行こう」
「乗った!」
そしてお互い力を溜め始める。
オウカは相棒に発破をかける。それに答える【アロンダイト】。
「気張れよ! オートクレール。お前のチカラはそんなものか!」
『言われずとも! 貴方に害する全ては私の敵! 全部を屠ってみせましょう!』
純白に紫のラインが入った刀身が、蜃気楼のように揺らめく。白と紫のエネルギーが刀身に集まっていく中、黄金の炎が揺らめき始める。
ソルドアットは静かに構える。
「……」
彼女が佇む地面が輝き、その輝きが刀身に集まる。
そして。
「食後のコーヒー」
「これで占め」
同時に
中央で激突! ぶつかり合う両者のエモノ!
「オオオオオオ!」
「アアアアアア!」
絶叫し、咆哮する両者。
そして閃光と爆発!
「ど、どうなった……?」
「真っ白で見えねえ」
「どっちが勝った?」
観客達の眼が治り、粉塵が晴れた先にいたのは――二人の人間。
倒れ手に圧し折れた大太刀を持った女に、男が罅が入り、刃毀れした古代剣を突きつけていた。
「サクが勝った!」
マユの声に、<天ノ角高校>の面々が歓声を上げる。
そして、ステージではソルドアットがオウカに向けて笑いかける。
「あーあ。負けちゃった。でも楽しかった」
「なら良かった」
手の大太刀が消えていく。それと同時彼女の姿が揺らめき始める。
「あ、そうそう。もう一つのお願い良い?」
「?」
「この体の持ち主は許してあげて?」
「でも……」
「悪意あってやった訳じゃないし、ソルはこれでのおかげで楽しめたから」
「……わかったよ。ただし殴りはする」
「殺さないようにね……」
その言葉と同時ソルドアットは消えた。
【TIPS:エッケザックス】
(㈩*㈩)<セフィロトの九番。重力の剣。
(#ー#)<他のでも重力って入ってないか?
(㈩*㈩)<そうだけど、こちらはそれ専門だから、威力と精度、なにより安全性や持続性が高い。
(#ー#)<そういうの大事だな。
(㈩*㈩)<そして、<天剣>にふさわしく色々可能。ブラックホールも勿論可能。
(#ー#)<さらっとヤバイ事言うな。
(㈩*㈩)<因みに、普段は重力バリアにチカラを半分使っている。
(㈩*㈩)<その状態でも、他の<天剣>と渡り合えるんだけど。
(㈩*㈩)<防御に回したチカラとか、全てを攻撃に転用した場合。
(㈩*㈩)<ドエライ事になる。というか保有リソース量はトップだから。
(・▽・)<怖い怖い。