冥刀抜錨トリニティGEAR   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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【TIPS:ホヴズ】
(㈩*㈩)<セフィロトの二番、空の剣。

(㈩*㈩)<元ネタは北欧神話のヘイムダルの剣。

(㈩*㈩)<因みにコレにも兄弟姉妹がある。銘は【ブルートガング】。

(㈩*㈩)<能力は前話で説明した通り。

(・▽・)<B〇EACHにそんなキャラいませんでしたっけ?

(㈩*㈩)<まあモロにそれだから。

(#ー#)<おい!?

(㈩*㈩)<でもそのせいで、十全に使用できた人は一人もいない。

(・▽・)<普通じゃ無理でしょうねコレ。ところで兄弟姉妹の方は?

(㈩*㈩)<こっちはシンプルに……天候操作。こっちの方が使いやすい(笑)。

(#ー#)<駄目じゃねえか!?


60

 ◇◆◇◆

 

 

 対校戦十三日目。最終日は明日だが、移動の日なので、今日が実質最終日と言える……かもしれない。

 

 今年の対校戦の結果は、本戦と新人戦共に、≪天ノ角高校≫が優勝となった。

 とは言え、本戦では│あ《・》│ん《・》│な《・》│事《・》になり、色々覚悟していたのだが、抗議は案外少なかったとの事。

 

『それは〜、そうだよ〜』

『抗議して、殺されたくはないだろうから』

 

 教師二人の言葉に納得した生徒一同。

 

『……ムス』

 

 不満そうなのも一人いたが。

 

 そういう訳で、この日は午前中は休みで、午後から懇親会が始まった。

 オウカはと言えば。

 

「モグモグ」

「口で言うの……」

 

 ジンナのツッコミを聞きながら、前と同じように食べていた。

 他の面々とは、順々に会って話し、今はジンナと話している。……後一人。

 オウカはある程度食べ、飲み込むと答える。

 

「そりゃあね。今日まだ何も食べてないから」

 

 実はオウカ、昨日の表彰後は、部屋に戻って、すぐに寝てしまった。そして、目を覚ましたのは、懇親会が始まる直前。

 

「やっぱり疲れてたみたい」

「それはそうでしょう……」

 

 あの戦いは本当に凄まじかった。しかもあの後、色々ゴタゴタが起こっていた。

 

「そういえば、サク君とソルさんの映像が残らなかったんだって」

「それ皆言ってたな」

「やっぱり」

 

 リアルタイムでは見れたらしいが、記憶媒体には何も残らなかった。しかも、人間の記憶を元に映像を映し出す機械ですら不可能だったとの事。

 それに答えるのは――

 

「当然さ。そういう風な結界を張ったのだから」

「「!?」」

 

 本人――ソルドアットだった。

 

「え、な、何で……」

「……」

 

 絶句したジンナ。それに対しオウカは驚いた表情を見せたものの、直ぐに冷静さを取り戻して、こう告げる。

 

「なるほど。【マック・ア・ルイン】か」

 

 彼には理由がわかっていた。

 それにジンナは訊ねる。

 

「どういう事?」

「ほらアイツが使った<天剣>、使っていないのあっただろう?」

「……えっと」

 

 ジンナは指折り数えていく。

 

重力(力場)磁力(封印)電気(雷電)振動(地震と音)時間(時空)(核融合)(風林火山)(武器)(空想)……あ、水が抜けてる!」

 

 そして気づいた。

 それにマユは念話で説明する。

 

[水の【マック・ア・ルイン】も結構捻くれてる]

[えっと何を操るの?]

[細胞]

 

 その答えにジンナの眼が点になった。それにオウカが捕捉する。

 

「ほら、生物の細胞って大半が水だからね」

 

 あらゆる生物(自分含む)の細胞をこねくり回し、別のモノに変えるだけに飽き足らず、無生物や<天剣>自身にまで及ぶ。

 そこへ更にソルドアットは捕捉説明する。

 

「勿論戦闘でも使えるんだよ? 自分を強化したり、戦闘生物作り出して戦わせたりできるから。でも専ら補助の方が得意だね」

 

 重傷状態から回復させるだけでなく、死にたてほやほやなら蘇生可能。

 今回はこれを使ってスペアボディを作っていたらしい。

 

「そういう訳で暫くシャバを楽しむさ」

 

 そう言ってケラケラ笑うソルドアットであった。

 そんな彼女にジンナが訊ねる。

 

「あの、ソルドアットさん」

「うん? キミは?」

「ボクはジンナと言います。サクの友達です」

 

 その言葉にソルドアットは笑って告げる。

 

「ならソルでいいよ」

「じゃあソルさん」

「呼び捨てでもいいのに……」

 

 そんな彼女に苦笑しながら、ジンナは訊ねた。

 

「どうしてここに? というかどうやって?」

「そういやここ選手以外立入禁止だよな……」

 

 実は二日目と十三日目の懇親会は、大会参加者以外は立入禁止のはず。なのに、ソルドアットは平然とここにいる。

 それに彼女は答える。

 

「ああそれ? 今は化けてるって事になっている」

「なるほど」

 

 オウカは納得する。

 ソルドアットは《ユニークスキル》で呼び出された存在。今も変身継続中と言う事にしている。

 それにジンナが訊ねる。

 

「じゃあウラベ(化ける人)は?」

「出たくないって。だから譲って貰った」

「じゃあ│懇親会《ココ》にいないの?」

「うん。会いたくないって」

 

 その理由には主語がない。だが一目瞭然でわかる。

 

「誰にだろうね〜」

 

 しらばっくれたオウカを、白い目で見る二人。

 実はソルドアットが(一旦)消えた後、オウカは相手を殺しはしなかった。

 だが。

 

『俺は許そう。でも――サクはダメだ』

『ドユコト!?』

 

 許すかどうかは別問題。ボコボコにはした。まあ、再起可能程度にはしておいたが。

 

 ふたりの視線に耐えきれなくなり、オウカは話題を変える。

 

「そ、そういえば」

「「逃げた……」」

「ソル。お前さっき言ったよな。何か映像残ってない事について」

「ああ、それ?」

 

 ソルドアットが説明する。何でも、特殊な結界を張れる【レグティ】で細工したそうだ。

 

「闘技場時代にやってた人がいたんだ。映像で残せないように」

「つまり見たいなら会場に来い?」

「そういう事」

 

 クスクス笑うソルドアット。そしてオウカの耳元に顔を寄せてこう言う。

 

「その方がありがたかったろう?」

「……」

 

 図星の言葉に沈黙してしまう。

 正直、あの戦いはテンションが上がり過ぎて色々やらかして、手札をかなり晒してしまった。

 映像解析とかされないのははっきり言ってありがたい。

 

 何も言えなくなったオウカに、ソルドアットはある事を思い出した。

 

「あ、そうそう」

「「?」」

「さっき、ベニバナに会ったよ」

 

 その言葉にオウカは反応。

 

「どこにいた? 探してたけど見つからなかったんだ」

 

 そして、オウカはその答えを聞き二人へ背を向ける。

 

「じゃあ会って来る」

「いってら」

「また後で」

 

 そして、彼の姿が見えなくなると、ソルドアットはジンナに話しかける。

 

「ジンナ……でいい?」

「いいですよ。ソルさん。何ですか?」

「サクの知り合いって他にもいるよね。紹介して?」

「いいですけど……」

 

 一体どうなるんだろうと不安になったジンナだった。

 

 そして――

 

「どうも~。残酷な天使です。本物です」

 

 ソルドアットは≪天ノ角高校≫の面々――オウカと親しい面々に挨拶した。

 

「「ギャー!?」」

「「殺される―!?」」

「「何その挨拶!?」」

 

 その反応にジンナが手で顔を覆う。

 

「やっぱりこうなった……」

 

 あれだけやらかした人に合わせたら、こうなるのは火を見るより明らかだった。

 そんな反応に、ソルドアットはケラケラ笑う。

 

「酷いな~。ソルは“堕天剣聖”や“拷問姫”と違って無暗矢鱈に人は殺さないよ」

「え……殺す人いるん!?」

 

 タナカのツッコミにソルドアットはコクリと頷く。

 

「隻眼、隻腕、隻脚の人いたでしょう?」

「おったなあ……」

「“堕天剣聖”は最強になるために全知的生命体抹殺を誓っているから。目が合った奴は皆殺しだし」

「物騒過ぎる!?」

「まあもう死んでるから安心して」

「やっぱり物騒!?」

 

 ツッコミが追い付かないタナカを後目に

 

「あのいいですか?」

 

 すると次はランコが訊ねた。

 因みにリアは選手でないので、この場にはいない。なので彼女も参加する気がなかったのだが、

 

『リア様は守りますので行ってきなさい』

『学友との交友は大事だぜ』

『ワタクシは大丈夫ですよ。ランコ』

 

 ルラ、ジョージ、リアにこう言われ、戦闘者二人が護衛をしてくれるというので、この懇親会にやって来ていた。

 

「物騒なワードが聞こえたんですけど……」

「うん? ああ“拷問姫”の事?」

「聞き間違えじゃなかった……」

 

 聞き間違えであって欲しかった。

 そんなランコの思いを後目に、ソルドアットは説明する。

 

「ソイツは元連続殺人鬼で、仕置き人にジョブチェンジした人」

「え……は」

「外道を苦しめて殺すのが生業で……」

「物騒過ぎる!? 残酷過ぎる!?」

「サクはその手伝いをしてたんだよ」

「!? だから拷問に詳しいのか……」

 

 驚くと同時、納得するランコ。

 そして、今度はスドウが訊ねる。

 

「もしかして……今回出た奴って変人しかいないのか?」

 

 その言葉に真顔になったソルドアット。

 思わず全員がその表情に怯む中、彼女は口を開く。

 

「ここにいる面々は――サクの旅路について知ってる?」

 

 それには全員頷く。

 大小はあるが、この場の面々は、オウカが異世界に落ちて、チカラを手に入れた事を知っている。

 その反応にソルドアットは説明する。

 

「サクが迷い込んで旅したのは――末期の世界なんだよ」

「末期?」

「終わりかけ。だって馬鹿しかいないんだもの」

 

 ソル含めてね、と苦笑するソルドアット。

 一同沈黙する中、口を開いたのはカナタ。

 恐らくこの場で一番知っているのが彼女。

 

「サク君言ってました。弱肉強食の末路だって」

「そうだね。弱者は淘汰される。だから残るのは強くて、馬鹿か、狂っているか、頭が可笑しい奴しか残らない」

 

 そんなんじゃ文明の維持なんて出来ないのにね、と言った後、明るい声で告げる。

 

「まあ、根本原因は片付いたから大丈夫だけど」

 

 そして、ソルドアットはカナタの方を向く。

 

「じゃあ次はソルの番だ」

「え」

「ソルの知らないサクの事聞かせてよ」

「付き合いはそっちが長いですよね!?」

「いいからいいから」

 

 その後はわちゃわちゃ色んな話をした。

 

 

 ******

 

 

 外にある庭のような場所。

 そこにはベニバナが一人でいた。

 

「……」

 

 無言で星空を見上げるベニバナ。

 彼女は仲が良い友達と話したり、つるんだり、遊んだり誰かと一緒にいるのは好きなのだが、偶に一人になりたい時がある。

 ……厳密に言えば、一人ではなく、内なる存在がいるが、そこまで多弁ではないので静かにしてくれている。だからこそ、実質一人。

 そんな彼女に近づいて来る気配。

 振り向くとそこにいたのは――オウカ。

 

「隣いいか?」

「いいですわ」

 

 そういう訳で二人隣り合う。

 

「「……」」

 

 両者無言。

 口火を切ったのは、オウカ。

 

「懇親会には参加しないの?」

「してましたですわ。ちょっと一人になりたくてですわ」

「わかる。偶に一人になりたい時ってあるよな」

「ですわ!」

 

 そして再び無言。

 

「「……」」

 

 今度はベニバナが話しかける。

 

「ねえ、(わてくし)は強いと思いますか?」

「強いと思うけど」

 

 即答するオウカ。

 というより弱ければ<天剣>を一本を凌ぐ事すら出来ない。

 そんな彼にベニバナは苦笑。

 

「あの戦いで、未熟さを思い知ったですわ……」

「アイツは戦闘しか考えてないジャンキーだぜ? 比べるな」

「それはそうですけど……」

 

 オウカの助言で強くなった自覚はあるし、他の人からもそう言われる。

 だが。

 

「もっと強くならないと……ですわ」

「頑張れ。応援してる。偶になら修練も付き合ってやる」

「お願いですわ」

 

 そして再び無言。

 

「「……」」

 

 その時だった。

 漏れ聞こえる会場の音楽が変わった。

 それに気づいたオウカにベニバナが説明する。

 

「この懇親会はダンスもするのですわ」

「へえ……」

 

 そんなオウカにベニバナは何かを思いついた顔になり、手を差し出す。

 

「?」

「‎Shall We Dance? ですわ」

 

 その言葉にオウカは

 

「喜んで」

 

 その手を取る。

 そして、二人で踊る。

 見様見真似であるが、意外と上手い二人。

 

「お上手ですわ、オウカ」

「そうか? そっちも上手いな」

「どうもですわ」

 

 踊りながら喋る二人。

 

「一つ聞いて宜しくて?」

「?」

(わてくし)、あなたのご友人との戦いで命を張りましたわ」

「……うん」

 

 ベニバナが気張らなければ、【ジュワユース】を防げたかはわからない。

 

「だから――サクと呼んで宜しくて?」

 

 その言葉に、オウカは

 

「ああ」

 

 頷いた。

 それにベニバナは花のような笑みを浮かべる。

 

「良かったですわ。何か(わてくし)だけ仲間外れな気がしてましたの」

「そうかい。じゃあ俺はベニって呼んでも?」

「……いいですわよ」

 

 そうして二人の仲は深まった。

 そのまま踊り続ける二人だったが、探しに来たカナタ達に見つかり、彼女らとも踊る事になったオウカだった。

 

 

 参ノ章 Fin. Next 3.5章……




【TIPS:ブルンツヴィーク】
(㈩*㈩)<セフィロトの十番。地の剣。元ネタはチェコの王様の剣。

(㈩*㈩)<因みに剣の名前がないから、使い手の名前を付けた。

(㈩*㈩)<そういうのが結構あるのが<冥刀>。能力は本文通り。

(・▽・)<まあ……そこまでひねくれてはいませんね。

(㈩*㈩)<今はね。でもそこは<天剣>。拡張性でとんでもない事になっている。

(#ー#)<そういえば……フルコースってデザートとコーヒーが残っているな。

(㈩*㈩)<うん。そして、実はソルドアットと一番相性がいい。

(㈩*㈩)<だから、【ホヴズ】を大盤振る舞いして、性能を引き上げ、活動時間を引き上げた。

(・▽・)<その結果が――あの惨事。

(#ー#)<惨事っつったぞコイツ!?

(㈩*㈩)<……まあ死者も出なかったし、関東も消し飛ばなかったから良し。
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