(㈩*㈩)<セフィロトの二番、空の剣。
(㈩*㈩)<元ネタは北欧神話のヘイムダルの剣。
(㈩*㈩)<因みにコレにも兄弟姉妹がある。銘は【ブルートガング】。
(㈩*㈩)<能力は前話で説明した通り。
(・▽・)<B〇EACHにそんなキャラいませんでしたっけ?
(㈩*㈩)<まあモロにそれだから。
(#ー#)<おい!?
(㈩*㈩)<でもそのせいで、十全に使用できた人は一人もいない。
(・▽・)<普通じゃ無理でしょうねコレ。ところで兄弟姉妹の方は?
(㈩*㈩)<こっちはシンプルに……天候操作。こっちの方が使いやすい(笑)。
(#ー#)<駄目じゃねえか!?
◇◆◇◆
対校戦十三日目。最終日は明日だが、移動の日なので、今日が実質最終日と言える……かもしれない。
今年の対校戦の結果は、本戦と新人戦共に、≪天ノ角高校≫が優勝となった。
とは言え、本戦では│あ《・》│ん《・》│な《・》│事《・》になり、色々覚悟していたのだが、抗議は案外少なかったとの事。
『それは〜、そうだよ〜』
『抗議して、殺されたくはないだろうから』
教師二人の言葉に納得した生徒一同。
『……ムス』
不満そうなのも一人いたが。
そういう訳で、この日は午前中は休みで、午後から懇親会が始まった。
オウカはと言えば。
「モグモグ」
「口で言うの……」
ジンナのツッコミを聞きながら、前と同じように食べていた。
他の面々とは、順々に会って話し、今はジンナと話している。……後一人。
オウカはある程度食べ、飲み込むと答える。
「そりゃあね。今日まだ何も食べてないから」
実はオウカ、昨日の表彰後は、部屋に戻って、すぐに寝てしまった。そして、目を覚ましたのは、懇親会が始まる直前。
「やっぱり疲れてたみたい」
「それはそうでしょう……」
あの戦いは本当に凄まじかった。しかもあの後、色々ゴタゴタが起こっていた。
「そういえば、サク君とソルさんの映像が残らなかったんだって」
「それ皆言ってたな」
「やっぱり」
リアルタイムでは見れたらしいが、記憶媒体には何も残らなかった。しかも、人間の記憶を元に映像を映し出す機械ですら不可能だったとの事。
それに答えるのは――
「当然さ。そういう風な結界を張ったのだから」
「「!?」」
本人――ソルドアットだった。
「え、な、何で……」
「……」
絶句したジンナ。それに対しオウカは驚いた表情を見せたものの、直ぐに冷静さを取り戻して、こう告げる。
「なるほど。【マック・ア・ルイン】か」
彼には理由がわかっていた。
それにジンナは訊ねる。
「どういう事?」
「ほらアイツが使った<天剣>、使っていないのあっただろう?」
「……えっと」
ジンナは指折り数えていく。
「
そして気づいた。
それにマユは念話で説明する。
[水の【マック・ア・ルイン】も結構捻くれてる]
[えっと何を操るの?]
[細胞]
その答えにジンナの眼が点になった。それにオウカが捕捉する。
「ほら、生物の細胞って大半が水だからね」
あらゆる生物(自分含む)の細胞をこねくり回し、別のモノに変えるだけに飽き足らず、無生物や<天剣>自身にまで及ぶ。
そこへ更にソルドアットは捕捉説明する。
「勿論戦闘でも使えるんだよ? 自分を強化したり、戦闘生物作り出して戦わせたりできるから。でも専ら補助の方が得意だね」
重傷状態から回復させるだけでなく、死にたてほやほやなら蘇生可能。
今回はこれを使ってスペアボディを作っていたらしい。
「そういう訳で暫くシャバを楽しむさ」
そう言ってケラケラ笑うソルドアットであった。
そんな彼女にジンナが訊ねる。
「あの、ソルドアットさん」
「うん? キミは?」
「ボクはジンナと言います。サクの友達です」
その言葉にソルドアットは笑って告げる。
「ならソルでいいよ」
「じゃあソルさん」
「呼び捨てでもいいのに……」
そんな彼女に苦笑しながら、ジンナは訊ねた。
「どうしてここに? というかどうやって?」
「そういやここ選手以外立入禁止だよな……」
実は二日目と十三日目の懇親会は、大会参加者以外は立入禁止のはず。なのに、ソルドアットは平然とここにいる。
それに彼女は答える。
「ああそれ? 今は化けてるって事になっている」
「なるほど」
オウカは納得する。
ソルドアットは《ユニークスキル》で呼び出された存在。今も変身継続中と言う事にしている。
それにジンナが訊ねる。
「じゃあ
「出たくないって。だから譲って貰った」
「じゃあ│懇親会《ココ》にいないの?」
「うん。会いたくないって」
その理由には主語がない。だが一目瞭然でわかる。
「誰にだろうね〜」
しらばっくれたオウカを、白い目で見る二人。
実はソルドアットが(一旦)消えた後、オウカは相手を殺しはしなかった。
だが。
『俺は許そう。でも――サクはダメだ』
『ドユコト!?』
許すかどうかは別問題。ボコボコにはした。まあ、再起可能程度にはしておいたが。
ふたりの視線に耐えきれなくなり、オウカは話題を変える。
「そ、そういえば」
「「逃げた……」」
「ソル。お前さっき言ったよな。何か映像残ってない事について」
「ああ、それ?」
ソルドアットが説明する。何でも、特殊な結界を張れる【レグティ】で細工したそうだ。
「闘技場時代にやってた人がいたんだ。映像で残せないように」
「つまり見たいなら会場に来い?」
「そういう事」
クスクス笑うソルドアット。そしてオウカの耳元に顔を寄せてこう言う。
「その方がありがたかったろう?」
「……」
図星の言葉に沈黙してしまう。
正直、あの戦いはテンションが上がり過ぎて色々やらかして、手札をかなり晒してしまった。
映像解析とかされないのははっきり言ってありがたい。
何も言えなくなったオウカに、ソルドアットはある事を思い出した。
「あ、そうそう」
「「?」」
「さっき、ベニバナに会ったよ」
その言葉にオウカは反応。
「どこにいた? 探してたけど見つからなかったんだ」
そして、オウカはその答えを聞き二人へ背を向ける。
「じゃあ会って来る」
「いってら」
「また後で」
そして、彼の姿が見えなくなると、ソルドアットはジンナに話しかける。
「ジンナ……でいい?」
「いいですよ。ソルさん。何ですか?」
「サクの知り合いって他にもいるよね。紹介して?」
「いいですけど……」
一体どうなるんだろうと不安になったジンナだった。
そして――
「どうも~。残酷な天使です。本物です」
ソルドアットは≪天ノ角高校≫の面々――オウカと親しい面々に挨拶した。
「「ギャー!?」」
「「殺される―!?」」
「「何その挨拶!?」」
その反応にジンナが手で顔を覆う。
「やっぱりこうなった……」
あれだけやらかした人に合わせたら、こうなるのは火を見るより明らかだった。
そんな反応に、ソルドアットはケラケラ笑う。
「酷いな~。ソルは“堕天剣聖”や“拷問姫”と違って無暗矢鱈に人は殺さないよ」
「え……殺す人いるん!?」
タナカのツッコミにソルドアットはコクリと頷く。
「隻眼、隻腕、隻脚の人いたでしょう?」
「おったなあ……」
「“堕天剣聖”は最強になるために全知的生命体抹殺を誓っているから。目が合った奴は皆殺しだし」
「物騒過ぎる!?」
「まあもう死んでるから安心して」
「やっぱり物騒!?」
ツッコミが追い付かないタナカを後目に
「あのいいですか?」
すると次はランコが訊ねた。
因みにリアは選手でないので、この場にはいない。なので彼女も参加する気がなかったのだが、
『リア様は守りますので行ってきなさい』
『学友との交友は大事だぜ』
『ワタクシは大丈夫ですよ。ランコ』
ルラ、ジョージ、リアにこう言われ、戦闘者二人が護衛をしてくれるというので、この懇親会にやって来ていた。
「物騒なワードが聞こえたんですけど……」
「うん? ああ“拷問姫”の事?」
「聞き間違えじゃなかった……」
聞き間違えであって欲しかった。
そんなランコの思いを後目に、ソルドアットは説明する。
「ソイツは元連続殺人鬼で、仕置き人にジョブチェンジした人」
「え……は」
「外道を苦しめて殺すのが生業で……」
「物騒過ぎる!? 残酷過ぎる!?」
「サクはその手伝いをしてたんだよ」
「!? だから拷問に詳しいのか……」
驚くと同時、納得するランコ。
そして、今度はスドウが訊ねる。
「もしかして……今回出た奴って変人しかいないのか?」
その言葉に真顔になったソルドアット。
思わず全員がその表情に怯む中、彼女は口を開く。
「ここにいる面々は――サクの旅路について知ってる?」
それには全員頷く。
大小はあるが、この場の面々は、オウカが異世界に落ちて、チカラを手に入れた事を知っている。
その反応にソルドアットは説明する。
「サクが迷い込んで旅したのは――末期の世界なんだよ」
「末期?」
「終わりかけ。だって馬鹿しかいないんだもの」
ソル含めてね、と苦笑するソルドアット。
一同沈黙する中、口を開いたのはカナタ。
恐らくこの場で一番知っているのが彼女。
「サク君言ってました。弱肉強食の末路だって」
「そうだね。弱者は淘汰される。だから残るのは強くて、馬鹿か、狂っているか、頭が可笑しい奴しか残らない」
そんなんじゃ文明の維持なんて出来ないのにね、と言った後、明るい声で告げる。
「まあ、根本原因は片付いたから大丈夫だけど」
そして、ソルドアットはカナタの方を向く。
「じゃあ次はソルの番だ」
「え」
「ソルの知らないサクの事聞かせてよ」
「付き合いはそっちが長いですよね!?」
「いいからいいから」
その後はわちゃわちゃ色んな話をした。
******
外にある庭のような場所。
そこにはベニバナが一人でいた。
「……」
無言で星空を見上げるベニバナ。
彼女は仲が良い友達と話したり、つるんだり、遊んだり誰かと一緒にいるのは好きなのだが、偶に一人になりたい時がある。
……厳密に言えば、一人ではなく、内なる存在がいるが、そこまで多弁ではないので静かにしてくれている。だからこそ、実質一人。
そんな彼女に近づいて来る気配。
振り向くとそこにいたのは――オウカ。
「隣いいか?」
「いいですわ」
そういう訳で二人隣り合う。
「「……」」
両者無言。
口火を切ったのは、オウカ。
「懇親会には参加しないの?」
「してましたですわ。ちょっと一人になりたくてですわ」
「わかる。偶に一人になりたい時ってあるよな」
「ですわ!」
そして再び無言。
「「……」」
今度はベニバナが話しかける。
「ねえ、
「強いと思うけど」
即答するオウカ。
というより弱ければ<天剣>を一本を凌ぐ事すら出来ない。
そんな彼にベニバナは苦笑。
「あの戦いで、未熟さを思い知ったですわ……」
「アイツは戦闘しか考えてないジャンキーだぜ? 比べるな」
「それはそうですけど……」
オウカの助言で強くなった自覚はあるし、他の人からもそう言われる。
だが。
「もっと強くならないと……ですわ」
「頑張れ。応援してる。偶になら修練も付き合ってやる」
「お願いですわ」
そして再び無言。
「「……」」
その時だった。
漏れ聞こえる会場の音楽が変わった。
それに気づいたオウカにベニバナが説明する。
「この懇親会はダンスもするのですわ」
「へえ……」
そんなオウカにベニバナは何かを思いついた顔になり、手を差し出す。
「?」
「Shall We Dance? ですわ」
その言葉にオウカは
「喜んで」
その手を取る。
そして、二人で踊る。
見様見真似であるが、意外と上手い二人。
「お上手ですわ、オウカ」
「そうか? そっちも上手いな」
「どうもですわ」
踊りながら喋る二人。
「一つ聞いて宜しくて?」
「?」
「
「……うん」
ベニバナが気張らなければ、【ジュワユース】を防げたかはわからない。
「だから――サクと呼んで宜しくて?」
その言葉に、オウカは
「ああ」
頷いた。
それにベニバナは花のような笑みを浮かべる。
「良かったですわ。何か
「そうかい。じゃあ俺はベニって呼んでも?」
「……いいですわよ」
そうして二人の仲は深まった。
そのまま踊り続ける二人だったが、探しに来たカナタ達に見つかり、彼女らとも踊る事になったオウカだった。
参ノ章 Fin. Next 3.5章……
【TIPS:ブルンツヴィーク】
(㈩*㈩)<セフィロトの十番。地の剣。元ネタはチェコの王様の剣。
(㈩*㈩)<因みに剣の名前がないから、使い手の名前を付けた。
(㈩*㈩)<そういうのが結構あるのが<冥刀>。能力は本文通り。
(・▽・)<まあ……そこまでひねくれてはいませんね。
(㈩*㈩)<今はね。でもそこは<天剣>。拡張性でとんでもない事になっている。
(#ー#)<そういえば……フルコースってデザートとコーヒーが残っているな。
(㈩*㈩)<うん。そして、実はソルドアットと一番相性がいい。
(㈩*㈩)<だから、【ホヴズ】を大盤振る舞いして、性能を引き上げ、活動時間を引き上げた。
(・▽・)<その結果が――あの惨事。
(#ー#)<惨事っつったぞコイツ!?
(㈩*㈩)<……まあ死者も出なかったし、関東も消し飛ばなかったから良し。