(#ー#)<……。あ、忘れてた。
(・▽・)<おいおい、と言いたいところですけど、
(・▽・)<今まで出て来たのって、軽めのが多いですものね。
(・▽・)<体力・気力・魔力消費、インターバル、制限や欠点など。
(・▽・)<後、前払いでの試練とかだから、払い終えている場合も多いです。
(#ー#)<俺のは時間かけての蓄電が代償だしな。そっちも似たようなものだろう?
(・▽・)<はい。【ルンペル】は制限や欠点です。
(・▽・)<そもそも本体だけだったら何も出来ませんから。
(㈩*㈩)<というか今まで、この作品に出て来たのはこういうタイプが多い。
(・▽・)(#ー#)<急にぬって出て来た!?
(㈩*㈩)<重すぎて使う人いないんじゃどうしようもないから。
(㈩*㈩)<因みに今回出て来た二つ。これでもマシな方。
(㈩*㈩)<もっと凄まじいのがあるけど、それは追々。
そして、バイカの案は――
「ソラナキさん。ちょっと、いい」
正面突破だった。
「……」
その声に一瞬だけ声の方向を向くヒナタ。だが、何もなかったように鍛錬に戻ってしまう。
もう一度声を掛けるバイカ。
「ソラナキ=ヒナタさん」
今度はフルネームで呼びかける。だが、相手は無視。
「おーい、聞こえないの?」
もう一回呼びかけてそれも無視された。
「……」
なので、バイカが取る手段は単純明快。
「話、聞け」
抜刀しての閃光のような斬撃を放つ。
仏の顔も三度まで。
それをヒナタは素振りに使っていた棍棒で防ぎ、鍔迫り合いとなる。
「?」
それに疑問を覚えるバイカ。彼女のエモノは冥刀【オーバギュ】。生半可な武器では刃毀れを起こすどころか、鍔迫り合いすら不可能。圧し折れるだろう。
なのに棍棒は受け止めている。
つまり。
(冥刀? 確かめる)
バイカは力を緩め、一回間合いを離す。そして、連続突きを仕掛ける。鍛錬の結果、かつてジンナとの戦いの時よりもその攻撃は速い。
それをヒナタは避け切る。バイザー越しの視線を見てバイカは確信。彼女の眼は見えている。
(目、良い?)
そんな事を思いながらも、攻撃を続けていると、ヒナタの唇から言葉が漏れる。
「……見切った」
棍棒で反撃を開始。武器同士がぶつかり合う。
「ッ!」
「見切ったと言った」
ヒナタの攻撃がバイカに掠り始める。こちらの攻撃は避けられるか、防がれるのに。どうやら見切られ始めているらしい。
「だったら、こう」
上半身に意識を向かせたら、下半身を狙うのがセオリー。
足を踏み潰しにかかるバイカ。だが、それは見切られており、避けられる。
「無駄。これで終わり」
それどころか、反撃としての棍棒の攻撃で吹っ飛ぶバイカ。
空中でどうにか態勢を整え、顔を伏せるバイカ。それを隙と見て、間合いを潰しヒナタは襲い掛かろうとしたが。
「!」
足が止まる。
「やる、ね」
顔を上げたバイカ。その顔は喜悦に染まっていた。
「戦闘、こうじゃなきゃ。戦い、やっぱり、楽しい!」
笑う、笑う、笑う。
そして、襲い掛かって来るヒナタを迎撃。覇気が増し、攻撃の速度も増す。
すると、バイカの攻撃がヒナタに当たり始める。
(トリック、ある?)
先程の見切りは、トリックがあったらしい。
ならば。
「一気、決める」
一方、ヒナタの方も同じ考え。
「決着を付ける」
両方が鬼札を切る。
******
戦いが激しさを増す中、オウカはと言えば。
「二人共やるな……」
呑気に観戦していた。因みに、その場にいた生徒、全員が見ている。
そんな状況下で、マユとネラがツッコミを入れる。
[サク、止めないの?]
[戦闘、激化、周囲、巻込]
「流石に二人共自重するでしょう」
オウカの願いはかなわなかった。
「来て」
バイカが機械馬を召喚。
『ヒヒーン、ブルルル!』
出番を待っていた、とばかりに嘶き、前足を上げる機械馬。
「それならこっちも」
ヒナタの言葉に応じたかのように、棍棒が姿を変えメイスとなる。棍棒に擬態していた冥刀である。
放射状にフランジ(出縁)が六枚付いており、先端は鋭くなっている。
オウカが念話でマユに訊ねる。
[マユ、アレは?]
[【テーセウス】]
[今迄、不分]
疑問を呈したネラにマユは答える。そして捕捉。
[擬態していたらわからない]
[納得]
[能力は応報]
[【ネメシス】や【フラガラック】みたいな?]
全く同一能力の冥刀はないが、同じような能力を持つ冥刀は存在する。
[うん。でもそれより問題は……]
マユが言葉を切って続ける。
[あの子、冥刀を他にも持ってる]
[え……]
[何処?]
[手足と外套]
そこからマユは説明する。
手足は【ダス・メッチェン・オーネ・ヘンデ】。
本来は義手の冥刀なのだが、使い手に応じて多少変形する事があるため、彼女の場合は、手足になっている。
外套は【パダルン・レドコウト】。
これも使い手によって、形を変えるタイプで、彼女の場合は、コートとして使っている。
そこまでの説明を聞き、オウカはとある事実に思い至る。
[マユ。代償は?]
[サクは知ってるでしょ?]
[……]
[??]
知らないネラにオウカは説明すると。
[……(絶句)……]
ネラが何も言えなくなる。
つまりはヒナタは手足を捧げたという事。
体の部位を置換する冥刀はそういう代償。とは言え、それ以上は要求しないうえ、能力も結構強力なモノが多いので良心的と言われている。
だが、それより問題はもう一方。
[問題は【パダルン】の方]
[そんなにヤバイ代償なのか?]
[一部の人以外には]
少し言い淀んだ後、マユは口を開く。
[服がそれしか着れなくなる]
[は!?]
[外套、内部、裸体?]
[
その代償はヌーディストやナチュラリスト以外には重い。
なにせお洒落が出来なくなるうえ、防具も着れない。
プレイヤーとしてもキツイ。
だが、それだけの代償を支払っているという事は……
[チカラは?]
オウカの疑問に答えるネラ。
それを聞き、オウカは二人の戦闘に目を移した。
オウカ達の会話は思考加速状態でおこなわれたため、時間は数秒も経っていない。
バイカとヒナタは一歩も動かず、相手の出方を伺っている。
そして――まず動いたのはヒナタ。
「喰らえ」
正確には機械馬。
ミサイルがヒナタ目がけて放たれる。
「馬鹿か!?」
「巻き込まれる~」
「死ぬー!?」
周囲が叫んだり、ツッコミを入れるが、流石に対校戦の時と違い、誘導されており、全弾ヒナタに向かう。
それに対してヒナタは。
「ソレ貰う」
メイスを振るう。するとミサイルが綺麗さっぱり消え失せる。それと同時、メイスのフランジ(出縁)が光る。
「嘘!?」
驚くバイカ。だが、直ぐに混乱を捻じ伏せる。
機械馬に他の攻撃方法での攻撃支援を頼み、自らも切り込みに行く。
奥の手の合体はまだ使わない。
それをヒナタは迎え撃つ。
野球のバッターがバットを振るうかのようにして迎撃。
響き渡る金属音。
打ち勝ったのは――ヒナタ。バイカは吹っ飛ぶ。それを機械馬が頭部で器用に受け止める。
「ありがと」
どうにか態勢を立て直す。そして。
「ミーマンサー」
【オーバギュ】を真名で呼びかける。
すると、機械馬が頭部を使って、器用にバイカを背に乗せる。
人馬一体の形態となる。
それにバイカは
「――刃金の誓い、今此処に」
詠唱を始めた。
抜錨前でも、冥刀はある程度のチカラを振るえるが、本番は詠唱をしてから。
[サク!]
[
もうこれ以上続いたら、大変な事になる。
ネラとマユはオウカに呼びかける。
それに彼は答える。
「わかってる!」
オウカは【アロンダイト】を抜錨。
「頭を……冷やせぇー!」
「「!?」」
斬撃が放たれる。
【アロンダイト】や系列の冥刀の基本技。ジャブのような技であるが、斬撃一つ一つが空間ごと斬り裂くので、通常の防御手段は無効化される。
それが二人目がけて襲い掛かる。
「わわわ」
バイカはどうにか避け切る。
「危ない」
ヒナタはメイス――【テーセウス】を向け、攻撃を消去した。それと同時にフランジ(出縁)が光る。それは先程とは違うフランジだった。
(なるほど。ストックできる訳か)
【テーセウス】のチカラは応報、つまりは相手の攻撃を跳ね返すチカラを持つ。
同系統の冥刀は何本かあるが、どれも差異が存在する。
【テーセウス】の場合は、喰らった攻撃をストックし、任意のタイミングで跳ね返せる。
ただし六発まで。それ以降はストックを空にしないとならない。
(便利だな)
そんな事を思ったオウカだった。
とりあえず戦闘を止められた。
オウカは剣を片手に、向かい合う二人の真ん中に立つ。
「お互い武器を収めろ。どっちか死ぬぞ」
その言葉にバイカはこくりと頷き納刀。機械馬も消える。
一方、バイカはオウカを警戒しているのか、武装解除しない。
「……」
そんな態度にオウカは――
「なんだ? 戦るか?」
強烈な圧を掛ける。
彼の本気の圧ならば、強者でなければ、気絶するか、戦意喪失する。
だが、ヒナタは耐え切る。
「……舐めるな」
それどころか、オウカへ立ち向かおうとする。
なので、オウカはニヤリと笑い、内心で彼女の実力を上方修正する。
おそらく、学生レベルを超えているランコよりも強い。
「へえ。だったら遊んでやるよ」
その時だった。
「二人共そこまでよ」
声が響いた。
それと同時、オウカとヒナタの前に鎧武者が現れる。オウカの前にいるのは小太刀二刀、ヒナタの前にいるのは大太刀を持っている。
(気配が人じゃない。それと突然現れた。召喚モンスターか?)
そんな事を思っていると、ヒナタが声の方を向く。
そこにいたのは女性。女性物のスーツを着た敏腕秘書のよう。
彼女こそが昴咲高校の学長であるカモノ=カヤ。
その顔見て顔を顰め、声を漏らすヒナタ。
「叔母さん……」
「貴方は相手を殺す気ですか?」
「手を出して来たのはあっち」
指を指したのはバイカ。
それに、バイカの方を向く。
「シンゲツさん? どういう事ですか?」
「声、掛けても、無視」
それを聞いて溜息を吐くカヤ。
そして、気持ちを切り替えるようにオウカを見る。
「二人の戦いを止めてくれたのには礼を言います」
頭を下げる。だが、苦言を呈する。
「でも、貴方まで戦おうとしないでください。本気で暴れられたら止められません」
「すいません」
とりあえず頭を下げるオウカ。
それにもう一度だけ溜息を吐く。
そして、空の右手をオウカとヒナタの中央に向けてくるりと回す。すると、オウカとヒナタの前にいた鎧武者が消え失せ、カヤの右指には人型の呪符が二枚挟まっていた。
(式神か……)
式神は召喚モンスターの一種で、陰陽師、退魔士、修験者などの東洋プレイヤーがよく使う。
その呪符をポケットに仕舞うと、改めて三人を見て告げる。
「とりあえず三人は学長室へ行きますよ。被害はありませんでしたが、流石に無罪放免と言う訳にはいきません」
******
そして、学長室に呼び出された三人。
まずは小言から始まる。
「ヒナタ」
「……はい」
「人とは会話をしなさい。人は一人では生きていけないのですから」
「ウチは一人で生きていけます」
「ヒナタ!」
声を荒げるカヤに対し、ヒナタは横を向く。
それに溜息を吐くと、バイカに視線を向ける。
「シンゲツさん」
「はい」
「人が無視するからって、武器を向けてはいけませんし、振るうなんてもってほかです」
「……はい」
「素直で宜しい」
こちらは素直に頷くので、溜息を吐かずに済んだカヤ。
そして、オウカに視線を向ける。
「サクヅキくん」
「はい?」
「あなたは……さっき言ったからもういいでしょう」
「じゃあ何で呼んだんです?」
素朴な疑問をぶつけるオウカ。それにカヤは答える。
「お願いがあります。聞いてくれますか?」
「……」
それに沈黙したオウカ。
こういう事は面倒事が多い。
なので。
「内容によります」
こう言った。
それにカヤはお願いを言う。
「わたしの姪――ヒナタと仲良くしてくれませんか?」
「はい?」
意外な提案に目を見開くオウカ。
こっちとしては願ったり叶ったり。
なので了承して、理由を確認しようとしたが。
「構いm」
「ウチには必要ありません。失礼します」
「ヒナタ!」
ヒナタはそれを遮った。そして、何も言わずにヒナタは出て行った。
それに溜息を吐き、こめかみを揉むヒナタ。
そんな彼女に訊ねるのはバイカ。
「噂、本当? 保護者、代わり?」
「ええそうです。妹の娘です」
「あまり、似てない」
「血の繋がりはありませんので当然です」
何でも妹の再婚相手の連れ子だったそうだ。
しかも、その相手とも血の繋がりはないとの事。
「それでも、あの二人はヒナタの事を愛していました。だから、私が引き取ったのですよ」
「……」
想像以上に闇の深い話にバイカは黙り込んでしまった。
なので、次はオウカが訊ねる。
「彼女がああなったのは、両親の死が関係しているのですか?」
「ええ。そうです」
「誰かに殺された?」
「……どこでそれを?」
警戒するカヤにオウカは、ここまでの経緯を話す。
復讐者の友人と眼がそっくりな事、彼女と復讐者を救う約束をしている事、接触しようとしていたら、バイカがあんな行動を取った事を話す。
オウカが話し終えると、カヤは納得する。
そして。
「では彼女の事をお願いできるでしょうか?」
改めてのお願いにオウカは無言で頷いた。
【TIPS:応報】
(㈩*㈩)<メイスの【テーセウス】は“応報能力”の冥刀の一つ。これはストックして放出。
(㈩*㈩)<連続攻撃には少し弱いのが欠点。
(#ー#)<その言い方からすると、他のもあるのか?
(㈩*㈩)<うん。ロングソードの【ネメシス】は、そのまま跳ね返し。ストックは出来ない。
(㈩*㈩)<その代わり、連続攻撃にも強いうえ、飛翔も可能。
(㈩*㈩)<柳葉刀の【フラガラッハ】は、倍にして跳ね返す。
(㈩*㈩)<こっちもストックは無理。更に連続攻撃には弱い。
(㈩*㈩)<日本刀の【アンサラー】は、刀剣に纏わせたり、斬撃状にして放出。
(㈩*㈩)<こっちはストックが可能。まあ数は【テーセウス】より少ないけど。
(㈩*㈩)<その代わり、何回も使えるうえ、上書きしない限り消費されない。
(・▽・)<あの戦闘狂ストックしてそうですね。
(㈩*㈩)<【フラガラッハ】はしてる。